視察2日目は、明石市市役所を訪問。
「明年開設予定である児童相談所の設置に向けての取り組み」と、「里親100%プロジェクト」を視察しました。
明石市は、8年前に泉房穗市長が就任され、子どもを核としたまちづくりに取り組んでこられました。その結果、昨年は2700人の人口増を達成され、特に20~30代の子育て世帯の転入増加により、人口は過去最高。「子育てするなら明石」と近隣県で言われているとの事です。人口は約29万7千人で、合計特殊出生率も1.58と兵庫県平均の1.48を上回っています。
平成30年4月に中核市となり、自らの権限と責任のもと、児童相談所の開設に取り組まれております。明石市には、県の児童相談所が設置されているそうですが、「明石の子どもは明石が守る」との思いで、市長が決断され明年の開設に向けて準備が進められています。
児童相談所を市で設置することにより、措置権限が市に移管されるので、迅速に子どもの命を救う事ができ、総合的な支援が可能になります。
基礎自治体の児童相談所だからこそ、一貫して市が責任をもつことにより「支援のはざま」に落ちることなく、支援を届ける事が可能となります。また、市にはさまざまな支援ツールがあるため、子ども一人ひとりに寄り添い、顔の見える関係で、児童相談所が支援をコーデいネートし、子どもと家庭の状況に応じた最適な支援を届ける事ができます。まさに、生まれ育った地域で、一貫して子供の国育ちを支える事ができるとの事でした。
特に肝心なのは人材の確保と、スキルアップです。明石市は、3年かけて人を採用し、県への派遣研修等も行い、弁護士も常勤の職員として配置。また、全小学校区に子ども食堂を設置し、そこでの気づきを支援に繋げていくとの事です。県と市のワーキング会議においては、市が行うことになる事務や事業について、詳細な打ち合わせが行われており、県が協力体制にあるとの事でした。
即戦力となる人材の育成は、豊島区でも大きな課題であり、これまで議会でも度々取り上げてきましたが、更なる体制強化に取り組んでいきたいと思います。
更に、一時保護等で親もとで暮らすことができない子どもが、家庭と同様の環境など、望ましい環境で暮らすことができるよう「あかし里親100%プロジェクト」を展開されています。
また、児童相談所設置を見据えた家庭養護推進の取り組みもされており、里親会や市内児童養護施設、乳児院、家庭養護促進協会、県、市をメンバーとする「あかし里親推進連絡会議」を設置され、児童相談所開設後の里親推進、里親支援にかかる役割分担や連携方策について検討されています。
里親登録車を増やす取り組みとしては、10月の里親月間の集中的な広報啓発、「あかし里親フォーラム」を開催され、オリジナルポスターの貼り出し、出前講座の開催、毎月の里親相談会も実施され、少しでも興味のある人へのアプローチに努力されています。それによって、29年度は2世帯増え、30年度は10世帯が研修を受けられ登録予定との事でした。
特に注目すべきは、里親コンシェルジュを設置され、先輩里親の紹介や、諸手続きへの同行等、きめ細やかに支援されていることです。また、今年度からは、里親研修の受講のための交通費補助、里親スタートのための物品購入費の一部について商品券の支給をされています。
また、ニュースにもなりました明石市職員の里親登録に向けた独自の休暇制度の創設は、7月1日から施行されています。強制になるのではなく、職員から制度を知る事が大切であるとの意味から創設されたとの事。
今年度はさらにボランティア里親入門講座の開催や、特別養子縁組に関する講座も開催されていくとの事です。
児童相談所の移管によって、豊島区が取り組むべき事は多岐にわたっています。平成34年の開設に向け、豊島の子どもたちは豊島で守るとの思いで、しっかり取り組んで参ります。