令和3年予算特別委員会(3月17日) 意見開陳 公明党 辻 薫
公明党の辻薫でございます。私は、公明党豊島区議団を代表して、令和3年度豊島区一般会計予算並びに、国民健康保険事業会計、後期高齢者医療事業会計、介護保険事業会計、の4議案に対し、可決することに賛成する立場から意見開陳します。
先ずは、感染防止対策に万全を期し、円滑公平な運営に努められました磯委員長、木下副委員長の労に、深く感謝申し上げます。また、理事者の皆様には、資料要求を初め、事前調査に快く応じていただき、丁寧に御答弁頂きましたことに、心から御礼を申し上げます。
予算審議に当たり、私ども公明党は、1.区民目線に立った行政運営となっているか、2.安定的・持続可能な財政運営がなされているか、3.時代の変化に的確に対応した事業展開となっているか、の3点とともに、
SDGsダブル選定後、初の予算編成となることから、SDGsがどのように反映されているか、との視点も加えて、慎重かつ厳正に審査に臨みました。
初めに、一般会計予算案全般について、述べさせて頂きます。
一般会計予算規模は、前年度比1.5%増の1,302億2,700万円と、過去2番目に大きい規模となっています。
その要因としては、子育て関連事業などの扶助費が過去最大規模になったこと。また、将来を見据えての義務教育施設整備基金などの積み増しを行ったこと。さらに、現在進行中の市街地再開発事業における投資的経費が増加したこと。ただし、この事業については、国庫補助金などにより区の負担はほとんどないもので、以上3つの要因からであることを確認しました。
歳入については、新型コロナウィルス感染症による影響を受け、3大基幹歳入の減収規模は、前年度比66億円にのぼると想定され、また、いわゆる不合理な税制改正による区財政への影響額が約77億円となり深刻な状況が続いている実態も明らかになりました。
歳出については、4つの重点テーマを踏まえ、喫緊の課題であるコロナ禍における区民生活の支えを最優先に位置付ける緊急事態対応型の予算であるとともに、将来を見据えて「国際アート・カルチャー都市」を推進していく未来志向型の予算であることを確認しました。
そして、当初予算の編成にあたっては、8年ぶりに財政調整基金から69億円を取り崩すことになりましたが、豊島区がこれまでに乗り越えてきた過去の経験を生かして、今後とも持続可能な財政運営をして頂くよう強く要望致します。
次に、総括質疑では、新型コロナ感染症が自治体の財政に与える影響のほか、令和3年度における本区の区政運営に関する基本的な考え方、また、喫緊の課題であるワクチン接種の概要についても確認しました。質疑の最後に、高野区長より、「コロナ禍の厳しい時に『SDGs未来都市』に指定され、今こそピンチをチャンスに変えて、区政運営に邁進していく」との力強い決意をお聞きしました。
以下款別ごとに、具体的な提案も含め、特筆すべきことを述べさせて頂きます。最初に、政策経営費・総務費について申し上げます。
- SDGsの推進にあたっては、強化された3名の単独組織が全庁の取り組みをマネージメントするとともに、公民連携による、自律的好循環を形成する取り組みを強化するよう要望します。
- 「女性の防災リーダー」のステップアップ講座については、オンラインで実施し、早期に、各救援センターの「環境改善委員」として活躍するよう要望します。また、分散避難については、区民への周知とともに、保健福祉部とも連携の上、要援護者の個別計画に具体的に反映していくことを望みます。
- 地域防災リーダーである消防団への一層の支援をお願いします。特に救援センターである小中学校や区立保育園、区民広場等区有施設で消防団員の募集チラシを配布するなどして、防災の担い手作り、区民の防災意識向上に取り組む事を要望します。
- 平和事業については、SDGsの目標16-平和な社会の達成へ向けて、若い方への啓蒙とともに、23区初の“非核都市宣言”都市としてSDGsの視点からの平和行政の推進を求めます。
- テレワークについては、ワークライフバランスに繋がり、更には災害時、緊急時の業務の継続にも関わってくる。よりよい環境の確立で、より働きやすく、区民サービスの一層の向上に努めることを望みます。
- コロナ禍における女性の負担軽減については、3月9日に公明党より緊急要望を行いました。区は3月15日より、防災備蓄品の活用として生理用品等を必要な方に配布する運びとなり、迅速な対応に感謝申し上げます。学校施設内を含めた公共施設へ生理用品の無償提供や、コロナ禍において生活困窮者に防災備蓄品の食料などの配布を実施する等、さらなる女性の負担軽減を望みます。この件は、後程、改めて取り上げます。
- 物品の寄附とサービスの無償提供については、本区の施策へ共鳴されてのことであり、今後とも寄附された方の思いを最大限に活かせるような取り組みをお願い致します。
次に、区民費・福祉費・衛生費です。
- 町会活動の支援については、都の事業でもあるプロボノに対する区の活用について、区内では池袋本町でFacebookによる町会情報発信の実績を確認しました。コロナ禍により人と人のつながりが少なくなる中で、町会活動は重要な役割を果たします。町会を核とした豊島区のコミュニティ(住み良さ・町会の活性化)の向上を目指して、今後も町会活動の支援を強化されますよう求めます。
- 「おくやみ案内コーナー」については、本年7月に開設を予定していることを確認し、早期の取り組みに感謝申し上げます。お亡くなりになっても誰一人取り残さない豊島区として、ご遺族の立場に立った、的確なサポートが出来るよう要望致します。
- 「区民ひろばにおけるSDGsの取り組み」については、区民ひろばでのあらゆる取り組みがSDGsの目標に位置付けられ、積極的に事業展開されることを要望します。
- 自転車の安全利用については、交通事故の約半数を自転車が関与したものであり、今後の交通安全対策を確認しました。また安全に走行できる道路環境の整備も引き続き取り組むよう望みます。自転車損害保険の加入義務化により、加入者が約26%増加しました。懸案となっているWEB手続きの導入や、加入者の側に立った運用を保険会社へ促していただけますようお願いいたします。自転車事故ゼロを目指して、セーフコミュニティ認証都市として、さらなる安全・安心の取り組みを要望します。
- 住宅相談業務の保健福祉部への移管については、これにより、住宅確保要配慮者が誰一人取り残されることなく入居先が確保されることを望みます。
- いわゆる断らない相談支援を中心とした重層的支援体制整備事業については、今後、国への事業申請へ向けて、各課の連携を強化し、区民の抱えている複合的課題の解決へ向けて取り組むよう要望致します。
- ワクチン接種については、豊島方式として三層接種体制について確認しました。高齢者や障がい者、施設入所者など配慮が必要な方への支援を求めます。接種記録システムの導入も検討され、様々な立場の方の対応に万全を期していただきたい。また接種後は直ちにマスクが外せることではなく、三密を避けるなどの日常生活に対して啓発を望みます。また区医師会などのご協力をいただき、スピーディーに確実に接種事業に取り組まれるようお願いします。
次に、環境清掃費・都市整備費です。
- 温暖化対策については、先の一般質問で2050年ゼロカーボンシティを目指すことを表明されたことを高く評価いたします。今後は、区環境基本計画を前倒し改定し、省エネ再エネの利用促進、自然との共生、プラスチックのリサイクルとともに、区民理解と協力について、オールとしまで取り組まれるよう要望します。
- ゴミ出しに関する近隣からの苦情については、地域と連携の上対応されるよう望みます。また、粗大ごみの収集に関する課題は、改善策を着実に実行されることを要望致します。
●池袋駅西口地区のまちづくりについては、防災性の視点とともに、コロナ禍の中、今後建設する建築物のあり方の見直しがされている観点からも、市街地再開発事業を推進して頂きたく強く要望致します。
- 住宅セーフティネット事業については、家賃低廉化補助を拡充して頂いたことを高く評価致します。引き続き、一人暮らし高齢者などへの入居拒否がないよう、住宅オーナーさんにも配慮したさらなる施策の展開を強く要望致します。
- 公園の維持管理については、中小規模公園活用プロジェクト「ともに育つ公園」の方向性からも、今後は、地元町会や企業との連携の中で、維持管理上の課題も一緒に取り組んでいくことを要望致します。
次に、文化商工費・子ども家庭費・教育費です。
- Webサイト「IKE-CIRCLE」は、区民への周知と共に、名前の由来の通り、世界中に、つながりが拡がるような取り組みを望みます。
- 池袋駅ストリートピアノは、コロナ対策とともに治安対策も万全にし、街の賑わいと癒しの空間となるよう望みます。
- 待機児童対策については、これまでの待機児童ゼロ達成への取り組みを高く評価致します。既存の施設では、年間を通して定員に満たない状況が出ており、待機児童対策は新たな局面を迎えていると認識しました。今後は、中・長期的な展望に立って、きめ細かな対策の下、待機児童対策に取り組むことを要望致します。
- ICT環境整備については、我が会派の要望を受けて、新年度には、全教員にもChrombook端末を支給し、また、ICT支援員の増員拡充も実施して頂くことになり、感謝申し上げます。GIGAスクール構想推進担当課長の新設により、ICTを活用した取り組みが着実に進展していくことを望みます。
- 学校施設の長寿命化、改修計画については、小中学校19校、3幼稚園が築50年が経過し改修が必要です。今後は災害時の拠点として、環境対策として地域に愛される街づくりの一環として長寿命化計画を要望します。
- 高校受験する中学3年生のインフルエンザ予防接種助成を昨年提案し、今年度、対象者の75%が接種しました。迅速なご対応を高く評価します。コロナ禍が心配される中、全力で受験を挑戦できるよう、今後は、公明党が進める教育費の保護者負担軽減にむけて、就学援助対象者以外の方の接種助成の検討を要望します。
次に、公債費について申し上げます。
本区の起債残高及び実質公債費比率については、特別区の中ではまだ、高い状況にあることを確認しました。一方で、コロナ禍にあって、厳しい財政状況の中でも、真に必要な投資事業については、実施していく必要があると考えます。
コロナ禍の区債の発行については、この先の状況を見据えて慎重に検討することを要望致します。
次に、一般会計歳入です。
不合理な税制改正の区政への影響額は、3年間で約309億円と大きな影響を受けています。トキワ荘施設整備や医療・福祉支援のための寄付を募った経験をもとに、クラウドファンディングの活用など、さらなる財源確保を望みます。
次に、特別会計のうち国民健康保険会計についてです。
国保財政の安定的な運営の確保、重症化予防の効果的な保険事業、医療費の適正化への取り組みを確認しました。医療費総額は減少しているものの、医療技術の高度化など、一人当たり医療費は増加しています。
また不慮の事態に備える、東京都国民健康保険財政安定化基金により、急激な保険料上昇とならないことも確認しました。
今後の医療費の適正化に向けて、レセプト点検やデータヘルス計画、ジェネリック医薬品の更なる使用促進、糖尿病性腎症重症化予防などに取り組まれ、加えて、重複・多剤服薬者への保険指導も含め、社会的孤立化の防止にも注力していただくよう重ねて要望いたします。
ここで、前述しました「コロナ禍における女性の負担軽減策」について、改めて、これまでの事実関係と経緯を述べます。
我々公明党豊島区議団は、3月9日付で高野区長に対し、公明党豊島総支部長の長橋けい一都議会議員と区内在住の若い女性の方々と防災備蓄品の生理用品を配布するよう緊急要望を行いました。その日の夕刻の本区マスコミ発表では「公明区議団の緊急要望」により3月15日(月)から配布するとHPで発信されました。
そもそも、この提案は、このコロナ禍の一年、区民から様々な相談をお聞きし、特に若い女性の声は、高橋議員の20代の3人のお嬢様を通じて様々な声を聞いて対応している中で、予算特別委員会が行われていた、3月4日(木)参議院での公明党佐々木さやか議員の「生理の貧困」の質疑が行われ、自宅待機中の高橋佳代子区議が「生理の貧困」の相談状況を田中真理子保健福祉部長にヒアリングしたことから始まりました。
3月8日(月)高橋議員が本区防災課に防災備蓄品の生理用品の在庫を確認し買い替えの時期が来ているという情報を得て、防災課長に初めて「生理の貧困」対策として備蓄品の提供を提案。同3月8日(月)高橋議員から斉藤副区長にも防災備蓄生理用品の提供を要望。
3月9日都議会でも、公明党松葉議員が同趣旨の質疑を行う中、公明区議団は、長橋都議とも連携をとり、区防災備蓄生理用品の配布提案を決め、文章を作成しました。
3月9日(火)の予算委員会文化商工・子ども家庭・教育費にて、他会派の議員から「生理の貧困」の質疑があり、理事者から「すずらんスマイルプロジェクト」に参加する支援団体からは、「相談を受けているなかで、生理用品を渡すことがある」との声が寄せられており今後の対応を考えていきたい、と答弁されました。
3月9日(火)17時、若い女性の区民の代表の方々と長橋都議と公明区議団が揃って、高野区長、斉藤・高際両副区長に緊急申し入れを行い強く実現を迫まったところ、その席で、区として防災備蓄生理用品の配布を決定しスピーディに対応するため開始を3月15日と決め、夕刻にマスコミ発表をし、区HPに同記事が掲載されました。
この間、渡す際は外から分からいように、かわいく包装する事、窓口には女性を配備する事、ネット申請や郵送での配布も検討する事、コロナ禍で生活困窮者に防災備蓄品食料などの同時配布、区立小学校、中学校を含めた公共施設への無償提供への取り組み等々、具体化に向けて公明区議団と理事者で詳細にわたり打ち合わせしたところです。
すなわち、3月9日(火)17時公明区議団が申し入れをするまで、生理用品の配布、防災備蓄品活用は区として正式にはなんら具体的に決まっておらず、公明区議団の申し入れにより区長が判断しマスコミ発表をしました。3月8日国際女性デーのミモザの提案。カードを提示するだけで配布。公明区議団の提案で実現した事は、紛れもない事実です。
我々が確認したところ「すずらんスマイルプロジェクト」は1月29日、2月9日に会を開催し、NPO団体さんから女性相談の際生理用品を渡すことがある、との情報は得ましたが、区としては「いつ」、「だれが」、「どうように」この問題に対処するかの議論にはいたらず、今日まで来ました。また、国会やマスコミ等で「生理の貧困」が話題になり出した時にも、どのように対処するか、具体的な決定はなかったと承知しています。
また、生理の貧困対策として「防災備蓄生理用品の活用」という具体的な提案が公明党以外の会派、及び議員さんからはなかったと我々はうかがっていますが、間違っていれば申し出て下さい。更に詳細に調査をさせていただきます。
残念ながら、区のHPには「公明区議団緊急要望」の活字はなんらかの理由で消えてしまいしたが、事実は今述べた通りです。困窮女性の支援を口で言っているだけで行政が動く訳ではなく、具体的なアイデアを提案し、区の理事者及び政策決定権のある方に、政策実行を決断していただいて、初めて行政は動くものと考えます。
具体的な提案もなく「我々も困窮女性支援を今まで訴えてきた」だけでは、「生理の貧困」の具体的な課題解決には繋がらないのであります。「いつ」、「だれが」、「どように」、「どう進める」が明確になってはじめて政策が実現するのです。
我々公明区議団のところには東京都内はもとより関東、全国から「生理の貧困・防災備蓄生理用品の配布」について問い合わせが相次いでいます。区にも多くの問い合わせが来ているとうかがっており、また、他会派の方々にも、区民から、他自治体議員さんからも問い合わせがきていると思いますが、「防災備蓄生理用品の配布」を提案したのは公明党区議団であり、決して「自分がやったとは」言わないでいただきたいとねがうものであります。
残念ながら、HPの記事には「公明区議団の要望」という文字が削除されましたが、正確な情報を区民におしらせする広報としては、ふさわしくないと言わざるを得ない。誠に残念というしかありません。
最後に、SDGs未来都市豊島区の今後の「女性にやさしいまちづくり」について「寄り添う気持ちを持って取り組んで欲しい。」と重ねて要望させていただきます。
以上、これら質疑を通じて、令和3年度予算は、財政調整基金を最大限に活用することで、区民の命と健康を守ることを最優先に、様々な施策に取り組まれていることを確認することが出来ました。
新型コロナウィルス感染症の収束が見えない中、感染症の拡大防止と社会経済活動の両立を図りながら、SDGs未来都市の実現を目指し、積極的に取り組んでいかれますようお願い申し上げ、令和3年度豊島区予算4議案に対し、可決すべきと意見開陳致します。
最後の最後になりましたが、この3月に退職されます理事者の方々、職員の皆様に長年の区政に対する御尽力に敬意を表し、衷心より感謝を申し上げます。今後とも愛する豊島区を大所・高所から見守っていただけますようお願い申し上げます。
御清聴ありがとうございました。