令和5年第四回定例会 北岡あや子議員一般質問
【誰一人取り残さない、やさしさあふれる街豊島】

2023.11.22登壇

公明党の北岡あや子でございます。私は公明党区議団を代表いたしまして、「誰一人取り残さない、やさしさあふれる街豊島」と題し、

1、防災震災対策について、2、少子化対策について、3、子ども施策について、一般質問させていただきます。

去る4月23日に行われました、豊島区議会議員選挙におきまして、区民の皆様からの熱いご支援を頂き、初当選させていただきました。小さな声を聴く力・現場第一主義をモットーに、やさしさあふれる街、誰でも安心安全に住み続けられる、豊島の街づくりに、全力で取り組んで参ります。

初めに1項目として、防災震災対策について伺います。

まず1つ目、防災備蓄倉庫について質問します。

今年は関東大震災から100年目の節目にあたり、いつ首都直下地震が起きてもおかしくない、という油断ならぬ状況であります。

災害に強い街づくりと同時に大切なのは、防災備蓄であります。

私の担当地域であります3か所、旧真和中学校・南長崎スポーツ公園・要小学校の救援センター開設訓練に参加致しました。備蓄倉庫内の確認時、「棚に積み上げられた段ボールに何が入っているのか分からない、分かるようにしてほしいと、地域の方からご要望頂き、段ボールにラベルを貼って対応頂きました。素早いご対応に感謝致します。しかし、重量のある段ボールベットが棚の一番上にあり、倉庫内には脚立が1つしか無い中で、男性1人で下せるのか、脚立が2つ必要ではないか、と災害時を想定しさまざまなご要望をお聞きしました。

災害備蓄倉庫の整理・収納管理についてのお考えをお聞かせください。

災害備蓄倉庫の整理・収納の課題を解決することが、安心な避難所生活に繋がると考えます。備蓄品は区民のライフスタイルの変化などで、物資が増え、管理が複雑化し、限られた職員数では多くの労力がかかると伺いました。

そこで、防災備蓄倉庫の管理体制や整理状況を、利用しやすいように見直すことが、必要だと考えます。

近隣の北区では、災害備蓄品の管理業務委託サービスを利用し、誰もが使いやすい備蓄倉庫を目指し、備蓄倉庫管理、5か年計画を策定し、進めております。

委託している業務は、棚卸し・賞味期限の調査・備蓄品の再配置・簡易清掃・配置レイアウトマップ作成の5つの業務です。

このような委託サービス導入について、区のご見解を伺います。

北区はサービスを導入後、訓練の際には区民の方から、「倉庫が使いやすくなり、気持ちの安心にもつながった」と評価があったそうです。また、倉庫内の配置レイアウトマップを、各備蓄倉庫へ掲示することで、初めて倉庫に訪れた方も何がどこにあるか把握しやすくなった、と課題が改善されています。また、委託でなくても職員が収納ノウハウの研修を受講するなど、使いやすい倉庫にしていくことが大切だと考えます。本区において、災害時の円滑な避難所運営を要望いたしますが、区のお考えをお示しください。

本区は、鉄道やバスなどの公共交通機関において、乗降客数が多い池袋駅を抱えております。

3.11 東日本大震災当時はすべての交通機関が停止、携帯電話等の通信機能も使えず、池袋駅を中心に1万人を超える帰宅困難者が発生し、混乱が生じました。

首都直下地震が発生した際の、巨大ターミナル池袋は、東京都の「地震被害想定」では約 16 万 5 千人の滞留者、また、約 8 万 5 千人の帰宅困難者が出ると想定されています。

しかし現在、帰宅困難者への災害物資は、練馬区江古田にある倉庫にあると伺いました。

区外にある帰宅困難者への備蓄品を、池袋駅まで運搬する訓練はされているとのことですが、道路渋滞や人の混雑を考えると非常に時間がかかるのではないでしょうか。そのような中で、どのように運搬し、配布していくのか区のお考えを伺います。

災害時の道路の混乱状況などを考えると、帰宅困難者向けの備蓄倉庫は池袋駅近くへの設置が望まれます。

東池袋一丁目地区での、市街地再開発事業において、帰宅困難者向けの防災備蓄倉庫や、一時滞在施設の整備など、本庁と連携した防災機能強化を高める計画にもなっているとお聞きしました。このような池袋駅に近いエリアに備蓄倉庫設置が必要であると考えますが、区のお考えをお示しください。

次に2つ目として、防災備蓄食のハラル認定について伺います。

ハラルフードとはムスリムの方々の食事です。

令和5年度10月1日現在の本区の人口数は、総数291,421人、そのうち外国人は31,629人であります。

外国人の住民数は令和3年、4年は減少傾向でありましたが、令和5年は増加しております。外国人増加に伴い、先日の新聞報道では、日本に住むイスラム教徒である、ムスリムの人数は推計で20万人を超え、1999年に全国で15か所だった礼拝堂「モスク」も2021年3月には、113か所に増えたそうです。豊島区内にもイスラムの礼拝所があり、ムスリムの方はとても身近な存在です。

先日防災士の方から、被災された方は、避難所で普段食べなれている物を口にすることで、気持ちの安心につながったとのお話を伺いました。

最近ではビリヤニやナシゴレンなども備蓄食として販売されるようになり、ムスリムの方やベジタリアン、ヴィーガン食などの菜食主義の方には食べなれた食事になると考えます。

本区において、どなたでも安心した避難所生活が送れるよう、備蓄食の種類を増やす検討をされてはいかがでしょうか、区のお考えをお聞かせください。

また、現在本区の備蓄食は、ムスリムの方には戒律で禁じられた食品が含まれる恐れから、避難所で食事を取れない人が出る可能性があり、戒律に従った食品を示す、ハラル認証を受けた備蓄食が求められます。価格も変わらず、非常時の混乱を極めた現場で、人によって食べられるもの・食べられない物の区別や、確認の必要がなくなり、配布もスムーズになると考えます。本区においての、ハラル認証を受けた備蓄食の導入を提案致しますが、お考えを伺います。

次に3つ目として、災害時におけるアレルギー対応食について伺います。

これまでの全国の災害時において、誤食の不安などから、避難所に避難しなかった、という事例がありました。避難所でのアナフィラキシーショックが起きた場合には、対応が困難なこと、物流が停滞する恐れがあることから、備蓄食のアレルギー対応が必要だと考えます。

龍ヶ崎市においては、アレルギーの有無に関わらず、備蓄食を「小麦」を使用しない製品のかわりに、米粉を使った製品、米粉カレーうどんなどを導入し、備蓄食のすべてをアレルギー原因食品、27品目を使用しない、「食物アレルギー対応商品」の導入の取り組みをされているそうです。本区においても、備蓄食を食物アレルギー対応食にすることで、今後発生が懸念される首都直下地震などの大災害時に、アレルギー症状の有無による、飲食可否の判断を誤る心配や、知らずにアレルギー食品を食べてしまい、アナフィラキシーショックなど、命にかかわる危険性を低減させることができると考えます。災害時のアレルギー食対応の、促進について、区のお考えをお聞かせください。

次に4つ目として、防災士 資格取得 助成制度について伺います。

多くの地方公共団体が予算を計上し、防災士を養成し、自主防災組織や学校や職場に配置する取り組みが各地で広がっております。

日本防災士機構の発表では、防災士認定登録者数は10年前77,632人と比較すると2023年では266,519人と年々増加傾向にあります。

本区においては、地域防災向上力を目的とし、防災士 資格取得の 一部費用助成をする制度が、令和4年度から開始されました。

本区の防災士 資格 取得者に対する、区が求める役割についてお考えをお示しください。

また、令和4年度の合格者の中には未成年もいるとお聞きしましたが、区がホームページで明記している、防災士としての活動について、と照らし合わせると、未成年の防災士にどのような活動をしてもらうお考えなのか、ご見解をお聞かせください。

本区の救援センター数は35か所、1救援センターに1名の防災士を配置するため、令和4年度から、募集7名で5年かけて

35名の防災士 資格 取得支援を実施する予定である、とお聞きしました。

令和4年度の合格者について、地域の遍在性はありませんでしょうか、お聞かせください。

資格試験合格者が、5年後に35名誕生した場合、防災士が各地域の救援センターに配置できることが理想でありますが、合格者が地域に偏る可能性が考えられます。今後はすべての救援センターで、防災士が活躍することが求められますが、防災士の地域性について、区としてどのように推進していかれるのか、お考えをお聞かせください。

現在は1救援センターに1防災士の配置で35名の育成計画になっておりますが、救援センターに配置するには1人でも多くの防災士の配置が求められます。複数名の防災士を救援センターへ配置できるよう、防災士 資格 取得助成の対象人数の増員を求めますが、区のご見解をお示しください。

 

次に2項目、少子化対策について伺います。

1つ目、パートナーとの、不妊相談窓口設置と、パートナーと参加できる講演会実施について質問致します。

厚生労働省が公表した、令和4年、人口動態統計調査によると、出生数は91,097人で、前年より4,307人減少、7年連続減少しております。

合計特殊出生率は1.04で、前年の1.08より低下、6年連続低下している、とありました。少子化がさらに加速していることが分かります。

本区における、合計特殊出生率の推移について、お聞かせください。

一方で、子どもを授かりたいと望み、妊娠・出産に向けた妊活の1つに、不妊治療があります。不妊治療の実態として、厚生労働省の令和4年度の発表では、2020年に日本では60,381人が、生殖補助医療により誕生し、これは全出生児840,835人の7.2%に当たり、約14人に1人が不妊治療によって誕生していることになります。出生時比率でみると2013年では4.1%、この10年で不妊治療による出生率が約2倍に増えているのが分かります。令和4年4月より不妊治療が保険適用になり、治療の認知度は広がっていると思いますが、本区での不妊についての相談体制や相談件数をお聞かせください。

不妊についての悩みは、とてもセンシティブであり、家族や友人や親しい人にも打ち明けずらく、治療に対して、女性・男性ともに、自分ばかり一生懸命になっているという気持ちに陥りがちであり、相手にもっと協力してほしい、しかし、なかなか言い出せないという相談もあります。また、治療が妊娠につながる結果が伴わないこともあり、治療後の結果には、常に期待と不安が伴い、心理的な切迫感は、心身ともに強烈な疲弊に繋がります。パートナー間での価値観の方向性を一致させてから治療に取り組むことや、2人だけの話し合いが難しい場合には、夫婦そろって相談できる環境作りが必要だと考えます。そうした支援が妊娠・出産の増加につながるのではないでしょうか。本区においては女性の相談窓口の設置はすでにありますので、パートナーと相談できる窓口設置や、共に参加

できる講演会など、安心して不妊治療に取り組める環境づくりを要望致しますが、本区のお考えを伺います。

 

次に2つ目として、卵子凍結費用助成について伺います。

卵子凍結は、子どもを産み育てたいと望んではいるものの、様々な事情によりすぐには難しい方にとって、また、将来の妊娠に備える選択肢の1つとして、卵子を若い時の状態で保存できる画期的な技術であると考えます。

東京都は新たに「卵子凍結に係る費用」及び「凍結卵子を使用した生殖補助医療」への助成を開始しました。

東京都の卵子凍結事業についての区のご認識を伺います。

この助成を受けるには、「説明会に参加する」という条件があります。

この事業がどれだけの応募があり、反響があったのか、区の知りえる範囲でお答えください。

小池都知事は定例記者会見で、「卵子凍結といった人生の選択肢について、考えておられる方がいかに多いかということではないか」、また「女性が安全かつ安心して卵子凍結を行える環境を整えていく」と述べられ、「ここ数年ライフプランとキャリア形成の両立に悩む女性従業員のために、企業として卵子凍結に関する社内制度を整えていこうという企業も増えている、こうした企業に対する助成事業も開始しようというものです」と発表されております。

東京都の職員に伺ったところ、アンケート調査をおこない今後の卵子凍結事業の確立に向け、アンケート結果などをもとに、ニーズや支援の在り方を検討していくと話されていました。

今後の支援の在り方を決めていく事業でもあるため、希望する方のよりたくさんの参加が望ましいと考えます。本区としても、必要な方が安心して制度を利用できるように、相談窓口の設置や区民の皆様への、制度の周知に取り組んで頂きたいと思いますが、本区としてのお考えをお示しください。

 

次に3つ目として、多子世帯支援について伺います。

厚生労働省の2022年国民生活基礎調査で、18歳未満の子どもがいる世帯は991万7000世帯、統計開始の1986年以降初めて1000万世帯を割り込みました。

また全世帯のうち、子どものいる世帯の割合も18.3%と初めて20%を下回り、少子化に歯止めがかからないという状況です。

また、子どものいる世帯の子どもの数については、子どもの人数で最も多いのは「1人」49.3%で、全体のほぼ半数。「2人」は38.0%「3人以上」は12.7%と、「3人以上」がいかに少ないかが明らかです。

本区における、子どもを「3人以上」育てている多子世帯数について伺います。また、区として多子世帯への支援策についてどのようにお考えなのか、お示しください。

令和5年10月より、現行の、東京都 保護者 補助金における多子世帯に係る「小学校3年生までの兄・姉を有する幼児」という年齢制限が、「年齢を問わず、保護者と生計を一にする」というように緩和され、私立幼稚園等 園児 保護者負担軽減 事業費補助金に係る取り扱いが、変更になりました。区民の方からは喜びのお声を頂いております。しかし、本区では私立幼稚園の給食費補助について、多子計算に係る「小学校3年生までの兄・姉を有する幼児」という年齢制限が未だ残っております。

私立幼稚園の給食費への補助拡充については、自治体独自の判断であるとお聞きしました。近隣区の自治体を調べたところ、江戸川区・北区・葛飾区・荒川区・足立区は全園児対象、台東区は第3子以降長子の年齢制限無し、港区・練馬区は第2子以降長子の年齢制限なし、を実施しております。少子化が加速する中で、子どもを「3人以上」育てている多子世帯が減少しており、本区においても、私立幼稚園給食費の多子計算に係る年齢制限を設けないよう要望しますが、いかがでしょうか。本区のお考えをお示しください。

 

次に3項目として、子ども施策について伺います。

1つ目として、児童相談所について質問します。

令和5年2月より、私の地元長崎三丁目に児童相談所が開設されました。

こども家庭庁の社会的養育に関する資料では、全国の児童相談所における児童虐待に関する相談対応件数は、児童虐待防止法施行前の平成11年度に比べ令和2年度には約18倍に増加しているとのことであります。

本区における、児童相談所開設後の相談件数と、虐待に関する通報件数をお伺いしますが、いかがでしょうか。

本区は児童相談所を独自で開設したことで、職員には親権停止の権利があり、一時保護対応をされております。その際に保護者の方との激しい対立に神経をすり減らし、大人へなかなか心を開きずらい、子どもの心のケアの対応、また業務の多さからくる恒常的な長時間勤務や、土日夜間を含めた緊急対応など、業務の厳しさは増しています。

現在の職員の、メンタルヘルスについてのフォロー体制についてお聞かせください。

児童福祉司は、どの自治体も人材不足が課題であると伺っております。ゆとりを持った対応が可能となるため、さらなる人員増が必要であり、メンタルを崩す前に事前に防げる環境づくりや例えば事例をもとにしたロールプレイングなど、フォロー体制づくりが喫緊の課題であると考えます。

児童福祉司の増員・養成や、フォロー体制整備について、区のお考えをお聞かせください。

児童相談所の援助の中には、子どもを里親家庭に迎え、家族の一員として一緒に生活をする里親制度があります。

子ども家庭庁の資料において、児童が心身ともに健やかに養育されるよう、より家庭に近い環境で育てられることが求められております。しかしながら、児童の8割が施設に入所しているのが現状であります。

本区において、家庭に近い環境で育てるための、里親制度のさらなる周知や取り組みが必要であると考えますが、お考えを伺います。

豊島区には、特別養子縁組支援をしているNPO法人があり、先日視察に伺いヒアリングをおこなって参りました。行政機関や福祉専門職、民間支援団体などと連携を図り、全国の特別義子縁組を行ったり、家族及び養育家庭に対して、家族同士の交流の支援などに取り組まれています。

現状の課題として、養子縁組をした後の実親への支援体制や養子縁組家庭の実子への支援、また、養子縁組後の子育てをしていく中で、出てきた悩みを相談できる支援体制が不足しており、支援が途切れてしまうと伺いました。

NPO法人とともに、実親に対する相談支援や自ら声を上げることが難しい状況である実子への支援、また、養子縁組後、の支援を広げることが必要だと考えます。養子縁組の支援体制強化について本区のお考えを伺います。

 

次に2つ目として、アドボケイトについて伺います。

東京都は令和5年1月「児童相談所が関わる子供の意見表明を支援する仕組み、子供アドボケイトの在り方」について、東京都児童福祉審議会から提言を受けたとの報道がありました。

また、児童福祉法の改正により、2024年から「児童 意見聴取等の仕組みの整備」が実施されます。これにより児童養護施設や一時保護施設の子どもたちへの措置を検討する際、子どもの意見を聞くことが盛り込まれました。

国や東京都の方針を受け本区のアドボケイトへのご見解をお聞かせください。

本区では先日、「としまこどもの権利相談室」が設置されました。

権利擁護委員と相談員が連携し、第三者機関として、子どもたちの相談に対応されています。

児童相談所が関わる子どもたちの意見表明について、このような第三者機関をどのように活用していかれるのか、お考えを伺います。

例えば、熊本県ではモデル事業としてこどもアドボカシー制度導入に取り組まれております。導入の流れとしては 1.学ぶ場を作り、アドボケイトの育成をする 2.運用を考える、子どもたちの声をひろう方法や、信頼関係を築くにはどうするかを学ぶ 3.学びを実践し振り返り、運用を見直して調整していく、という取り組みを2022年度に実施しています。

子どもが声をあげやすい環境づくりのため、子どもの声を聞くことができる方は、多い方が良いと考えます。地域の方とともに、アドボケイト育成に取り組んで頂くなど、本区のお考えをお聞かせください。

また、本区において、アドボケイトによるこどもの声を聴く環境づくりを要望しますが、お考えを伺います。

現段階では公的な資格ではありませんが、NPO法人などがアドボケイトの養成講座を実施しています。認定取得への支援は、アドボケイトの存在の周知・啓発に繋がると考えます。

本区においての、今後の認定取得に関する支援について、お考えをお聞かせください。

 

次に3つ目として、児童養護施設と乳児院設置について伺います。

児童相談所が設置され、保護された子どもたちにとって、一時保護から家庭復帰、社会的自立にいたるまでを視野にいれ、社会的養護が必要な子どもの生活圏を、保障し切れ目なく総合的に支援できる乳児院・児童養護施設が益々必要だと考えます。児童相談所設置後における、本区の子どもたちの児童養護施設と乳児院の利用状況についてお聞かせください。

以前に我が会派の夫馬議員からも質問させて頂きましたが、児童養護施設は地域の中にあってこそ、その存在意義があると考えます。地域の子育て支援の拠点となり、子育て家庭を支援する役割を担うため、ショートステイ事業委託や里親支援機関、子育て相談など、委託により子育てサービスの充実、区民の利便性やサービス向上のためにも、区内に児童養護施設と乳児院を整備し一体型の運営が望ましいと考えますが、ご見解を伺います。

本区においては、児童相談所も設置されたことを踏まえ、児童養護施設・乳児院の設置が実現した際には、地域小規模児童 養護施設グループホームや小規模グループケアの設置も要望いたしますが、区のご見解をお伺い致します。以上で私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

 

【一般質問区長及び理事者答弁】

公明党 北岡 あや子 議員

  • 高際みゆき区長答弁

ただいまの、北岡あや子議員のご質問にお答えいたします。

はじめに、少子化対策についてお答えいたします。まず、本区の合計特殊出生率の推移についてです。

令和4年の出生率は0.93と、23区の中では高い方から20番目の値となっております。推移については、最も低かった平成15年の0.76から徐々に上昇し、平成29年には1.04となりました。その後、再び低下に転じ、令和2年には0.91まで低下しましたが、令和3年には0.93に上昇しています。

 

次に、不妊についての相談体制や相談件数についてです。

不妊のご相談は、月に一回、池袋保健所で開催している「女性のための健康相談」の中で、産婦人科の医師が対応しており、令和4年度の相談実績は2件、今年度は10月末までに2件となっています。

次に、安心して不妊治療に取り組める環境づくりについてです。

一般的な妊娠に関するご相談については、池袋保健所と長崎健康相談所の保健師と助産師が随時対応しており、パートナーと一緒に相談することも可能です。産婦人科の医師による「女性のための健康相談」については対象を女性に限定していますが、事前にご連絡をいただければ、今後パートナーとご一緒での相談にも対応してまいります。

妊娠・出産には健康であることが大切であり、将来の妊娠を考えながら女性やパートナーが自分たちの生活や健康に向き合うことが重要です。区は、これまでも女性だけでなく、カップルも対象とした、プレコンセプションケアに関する講演会を開催しており、今後も、不妊症や妊活をテーマとした講演会については、パートナーが一緒に参加できることを考慮する等、安心して不妊治療に取り組める環境づくりを進めてまいります。

次に、都の「卵子凍結に係る費用助成事業」についてです。

この事業は、健康な女性が加齢等による妊娠機能の低下に備えて行う卵子凍結の費用を助成するものであり、卵子凍結により将来の妊娠に備えることで、女性が自分らしく人生を送るための選択肢が広がるといったメリットがあるものと評価しています。

一方で、採卵に伴う痛みなど身体へ負担があることや、凍結したからといって必ずしも妊娠や出産に至るわけではなく、また、年齢が高くなってからの妊娠や出産は妊娠中の病気の発症や早産など赤ちゃんへのリスクが高くなります。実施に当たっては、そうしたリスクも含めた卵子凍結に関する正しい知識の情報提供が重要と考えています。

次に、都の「卵子凍結に係る費用助成事業」の応募状況や反響についてですが、都の助成希望者向けの説明会は、9月25日から受付が始まっており、都は当初、参加枠を1,000人としていたところ、「11月16日時点で約5,000人の応募があり、参加枠を大幅に増やしている」と聞いており、大きな反響となっております。

次に、この事業についての区の相談窓口の設置及び周知についてです。都の制度であることから、区が専用の相談窓口を開設することは考えておりませんが、制度の内容について区のホームページに掲載するとともに、区民の皆様から制度利用についての具体的なご相談があった際には、都の問い合わせ先をご案内してまいります。また、卵子凍結に関する医学的なお問い合わせについては、「女性のための健康相談」の中で対応してまいります。

 

次に、多子世帯への支援策についてです。

本区における、子どもを3人以上育てている多子世帯数は、令和2年の国勢調査によると、18歳未満を含むこどもがいる世帯数41,770世帯のうち、4.4%となる1,835世帯です。全国の3人以上の多子世帯の割合は7.9%であり、全国と比較して、3.5ポイント低い状況です。

多子世帯は、教育費、医療費、食費、住居費など、養育にかかる経済的な負担が、子どもの人数に伴って大きくなるため、区では、0歳から2歳児の保育料について、第2子以降を無償化し、私立幼稚園保育料についても第2子以降の補助を拡大しております。また、育児支援ヘルパー事業およびファミリー・サポート・センターについては第2子の利用料を半額に、学童クラブについては第2子以降半額にするなど、多子世帯への支援を行っており、様々な子育て支援の中でもこうした支援は重要であると考えております。

 

次に、私立幼稚園給食費の多子計算についてです。

都は、本年10月から、多子世帯の経済的負担の軽減を図るため、私立幼稚園等園児の保護者への補助金における多子計算に係る年齢制限を「小学校3年生までの兄・姉を有する幼児」から、「年齢を問わず、保護者と生計を一にする兄・姉等を有する幼児」に緩和しました。一方、給食費補助については同様の緩和はされておりません。

また、国においても「多子世帯」の考え方は、「小学校3年生までの兄・姉を有する幼児」としており、支援に係る年齢制限は残っております。

こうした状況から、本区においても、私立幼稚園の給食費については、多子世帯の年齢制限の緩和は現在実施しておりません。

そうした状況ではありますが、子育てしやすい環境づくりを進めている本区といたしましては、多子世帯への経済的負担軽減の重要性に鑑み、給食費補助に対する区の多子計算の取り扱いについて、見直しに向けた検討を速やかに行ってまいります。

 

次に、子ども施策に関し、初めに、児童養護施設と乳児院についてです。

初めに、児童相談所設置後における区の子どもたちの児童養護施設と乳児院の利用状況についてお答えいたします。

児童養護施設は原則、2歳から18歳まで、乳児院は原則、0歳から2歳までを対象年齢としております。

11月1日時点で、豊島区児童相談所が児童養護施設に入所措置している児童数は54名で、主たる入所理由は、虐待によるものが41名と全体の76%を占めております。

なお、入所児童の内訳ですが、7歳から12歳までの児童が最も多く、全体の31%、13歳から15歳までの児童は全体の24%と、義務教育対象児童は、全体の55%となっております。そのほか、15歳以上の児童は全体の28%で、18歳以降も家庭復帰が困難な状況にあると思われる児童が多い状況です。

また、乳児院に入所措置している児童数は9名となっており、主たる入所理由は、虐待によるものが5名、養育困難によるものが4名となっております。

 

次に、区内に児童養護施設と乳児院を整備し、一体型で運営することについてです。

児童養護施設と乳児院の2つの機能が一体となる施設につきましては、すでに他県の自治体において、一体型で運用しているところもありますが、少数となっております。

その理由として、乳児から18歳までの児童が、同一施設で生活できるだけの居室をはじめ、遊具やグラウンドの整備などに要する敷地面積を確保する必要があることや、調理の面では、新生児や乳児の離乳食づくりに関わる厳しい衛生管理から、学齢児童に対するアレルギー対応などの個別の献立づくりまでが必須となるなど、人員の確保や整備面をはじめ、運営上の課題が大きいことが考えられます。

また、11月1日時点の都内における乳児院の入所率は60%台であり、本区が児童相談所を開設して以来、乳児院の利用にあたっては、ほぼ希望どおりに、近隣区の乳児院に入所できている状況にあります。こうした状況を総合的に考え、乳児院については、自区内に設置しなければならない緊急性は低いと認識しております。

児童福祉施設の整備につきましては、こうした現状等を踏まえ、今後、専門的な知見を持つ委員で構成される児童福祉審議会への諮問を行い、多角的に検討してまいりたいと考えております。

次に、地域小規模児童養護施設グループホームや小規模グループケアの設置についてです。

グループホームや小規模グループケアは、施設を利用する児童に家庭的な養育環境を保障するとともに、施設を巣立っていくケアリーバーに対しても、より個別的な、手厚い自立支援やアフターケアを行えることから、社会的養護を必要とする子どもたちにとって、重要な施設であると認識しております。

一方、こうした小規模での施設運営に関しては、より専門的な人材の確保や、限られた人数での運営体制の整備、また、望ましい立地場所の選定等が必要となります。

区といたしましては、区内の児童数の人口動態・社会的養護のニーズなど、施設整備の前提となる状況分析を含め、先程申し上げた児童福祉審議会での児童福祉施設に係る検討の中で、合わせて御意見をいただき、区として更なる検討をしてまいりたいと存じます。

私からの答弁は以上でございます。

 

  • 岡谷危機管理監答弁

私からは、防災震災対策についてお答えいたします。

初めに、災害備蓄倉庫の整理・収納管理についてです。

防災備蓄倉庫の整理・収納管理につきましては、発災時、迅速に備蓄物資や資機材を運搬することができるよう、常に倉庫内を整理しておくべきであることから、防災危機管理課の職員及び指導員が、平時より定期的に整理と点検を実施しているところです。

今後も、発災時迅速な対応ができるよう、また、救援センターの開設・運営の主体となる地域の皆様の意見を取り入れながら、定期的に倉庫の整理整頓を実施してまいります。

 

次に、災害備蓄品の委託サービス導入についてです。

備蓄物品は、飲食料だけでもアルファ化米約6万食、クラッカー約2万食、ビスケット約1万食、保存水約6万5千リットルを毎年、入替えております。

さらに、ポンプや発電機などの資機材についても、毎年点検などメンテナンスを行っております。

これらの業務を、職員が行うことにより、収納状態や機械の状況を自身の目で直接把握でき、自分達で使いやすいように配置できるメリットがあります。他方、備蓄倉庫の整理・配置は、防災危機管理課11人全員で臨む業務となり、負担が大きい面もあります。

今後は、職員が収納状況や機械の状況を直接把握しながら、業務の負担軽減を図るため、委託サービスの導入の可否についても、既に導入をしている先進自治体の状況などを調査し、今後検討してまいりたいと考えております。

次に、災害時の円滑な避難所運営についてです。

救援センター内に備蓄されている物品には、段ボールに品名等を記載した紙を貼付するなど、分かり易い収納に努めているほか、狭隘(きょうあい)で収納箇所が分かりにくい備蓄倉庫には、レイアウトマップを掲示してあるところもあります。

また、収納業務は、東京消防庁出身の防災指導員が、それまでの豊富な経験に基づき、使いやすい収納に努めておりますが、他区の備蓄品収納管理のノウハウなども参考にしながら、更に使いやすい倉庫にしていくために研究し、円滑な避難所運営に努めてまいります。

次に、区外にある帰宅困難者用備蓄品の運搬・配布及び池袋駅に近いエリアにおける備蓄倉庫設置についてです。

現在、練馬区旭丘所在の日本通運江古田倉庫と、南池袋公園駐輪場の倉庫の2ゕ所に53,000人分1日分の飲食料等が備蓄されています。日本通運江古田倉庫備蓄分は池袋駅西口の帰宅困難者向け、南池袋公園駐輪場の倉庫備蓄分は東口の帰宅困難者向けと考えております。

東京都で震度5強以上の地震が発生すると、環状七号線内側への車両の流入は規制され、震度6弱以上ではそれに加え、 目白通りが「緊急自動車専用路」となり一般車両の通行が禁止されます。日本通運江古田倉庫は、目白通りに近い場所にあるので、「緊急自動車専用路」である目白通りを通り池袋西口公園まで物資を運搬すれば渋滞や混雑はある程度避けられ、この経路での運搬訓練も実施しております。

しかしながら、帰宅困難者へのより迅速な対応を考えますと、やはり、池袋駅周辺に備蓄倉庫があるべきであると考えております。

そこで、東池袋一丁目地区市街地再開発事業において、再開発組合が目標とする、令和9年度末に竣工予定の建物内に、事業者の公共貢献による備蓄倉庫ができることから、日本通運江古田倉庫の備蓄物資を当該建物内の備蓄倉庫に移動させる予定です。

次に、備蓄食の種類につきましては、現在、アルファ化米4種類、クラッカー、ビスケットの6種類を避難生活者全員の3日分を賄う量を備蓄しております。

現在、備蓄物資の見直しをしておりますので、ムスリムの方やベジタリアンやヴィーガン食などの菜食主義の方に対応した備蓄食の導入についても検討して参ります。

次に、ハラル認証を受けた備蓄食については、令和4年度購入分から、豚肉・豚由来の成分が含まれていないこと、アルコールが含まれていないこと、食肉はイスラム法に則った(のっとった)方法で屠畜(とちく)されていること、の条件を満たす「ハラル認証」を受けたアルファ化米を備蓄しております。

将来的にすべての入れ替えが終わる令和8年度には、すべてハラル認証を受けたアルファ化米になる予定です。

次に、災害時のアレルギー食の対応については、食物アレルギーを抱える方々にとって、救援センターで配給される食料に、食物アレルギーの原因となるアレルゲンが含まれない食品の備蓄も重要と考え、本区におきましても、アレルギー対応のクッキー、粉ミルク及び4種類のアルファ化米を備蓄しております。

今後も区民の皆様の意見なども踏まえながら、アレルギー対応食品の備蓄を進めてまいります。

次に、防災士資格取得者に対して区が求める役割についてです。

本区の助成制度により防災士資格を取得した方には、地域の防災リーダーとして、救援センターの開設・運営の中心となっていただきたいと考えております。

令和4年度に助成を行った10人の方々に対しては、本年度は地域の防災リーダーとして活躍していただくため、区の防災体制や救援センターにおける防災士の役割などを学ぶための勉強会を3回実施しているところです。今後も各救援センターに防災士を配置できるよう事業を効果的に進めてまいります。

次に、未成年の防災士の活動についてです。

防災士資格取得助成制度の目的として、地域防災の担い手を育成するとともに、地域防災力を向上させることがあげられます。

令和4年度に区の助成を受けて防災士資格を取得した方10名中2名が未成年でした。

この2名は、いずれも母親と一緒に防災士となっていることから、区で行う勉強会に親子で出席されていましたが、非常に真剣に受講し、未成年者でありながらも、頼もしさを強く感じました。

発災時には親子で同じ救援センターで「親子防災士」として活躍していただき、そうした活動経験を将来に活かし、地域防災力向上の中心になっていただけると考えております。

次に、令和4年度防災士資格合格者に関する地域の偏在性についてです。

親子も2組いることから、千川3名、巣鴨、上池袋各2名、池袋本町、東池袋、南長崎 各1名となっております。

本年度は、新たに千早、北大塚、目白にお住まいの方が合格されております。

この助成制度を開始してまだ2年目ですので、区内全域に本区の助成による合格者がいるという状況にはなっていませんが、現時点では特に地域による大きな偏りは生じていないと考えております。

次に、地域の偏りがないように防災士を配置することについてです。

防災士資格取得の助成の主たる目的が、地域の防災リーダーとなり、各救援センターの開設・運営の中心となって活躍していただくことですので、地域に偏りがなく、将来的に各救援センターに防災士が配置できることが望ましいと考えております。

よって、今後の資格取得者の居住地の状況を把握しながら、資格取得者の少ない地域においては、重点的に防災士資格取得助成制度をお知らせするなど、本制度を利用した防災士資格取得の勧奨に努め、地域に偏りが生じないようにしてまいります。

次に、複数名の防災士を救援センターに配置できるよう防災士資格取得助成の対象人数を増員することについてです。

現計画では5年間ですべての救援センターに1人ずつ防災士資格取得者が配置できるよう、まずは35人を育成することを目標としております。

しかしながら、親子で防災士の資格を取得している例もあり、資格取得者の居住地の偏りを生じさせないようにするために、助成対象者の増員についても検討し、区全体としての地域防災力の向上に努めてまいります。私からの答弁は以上でございます。

 

  • 子ども家庭部長答弁

私からは、初めに、国や都の方針を踏まえた区のアドボケイトに対する見解についてお答えいたします。

令和6年4月に施行される改正児童福祉法では、一時保護や里親委託、入所措置など、子どもの環境を決める重大な場で、子どもアドボケイトである意見表明等支援員が子どもの意見を聞き、子どもの望む方法で関係機関等に伝え、必要に応じて継続的な支援を行う「意見表明等支援事業」が、児童相談所設置市の努力義務となります。

子どもが意見形成や意見表明をできるよう支援する子どもアドボケイトは、一時保護所や児童養護施設で暮らす子どもたちの権利擁護のために、極めて重要な役割であると考えております。

本区においても来年度の実施に向け、意見表明等支援体制の検討を行っております。

こうした中で、本年2月に児童相談所を開設し、すでに一時保護所に入所している子どもたちの意見を聞く必要があることから、10月より試行実施を開始いたしました。

試行実施を踏まえ、次年度の意見表明等支援体制の構築に生かしてまいります。

 

次に、児童相談所がかかわる子どもたちの意見表明での第三者機関の活用についてです。

児童相談所が関わる子どもたちの意見表明支援については先ほど申し上げました意見表明等支援事業で対応いたします。

一方で、第三者機関として本年9月に設置した子どもの権利相談室は、18歳未満のすべての子どもを対象にしており、令和6年度から一時保護所で暮らす子どもにも子どもの権利相談員が定期的にアウトリーチを行う予定です。こうしたアウトリーチ時などに、子どもから意見表明等支援事業に対する権利侵害等の相談があった場合には、子どもの権利擁護委員が子どもの権利救済を図るために支援を行います。権利侵害の状況によっては意見表明等支援事業に対して是正要請を行うなど、事業の適正化を図る役割を担います。

子どもの権利擁護委員は、児童相談所に関わる子どもたちに意見表明の適正な機会を保障してまいります。

次に、アドボケイト育成及びアドボケイトによる子どもの声を聴く環境づくりについてです。

現在、アドボケイト育成のための取組は行っておりませんが、地域の大人や保護者、教師など子どもに関わる全ての大人がアドボカシーを理解することは大変重要と考えております。

まずは、地域においてアドボカシーの理解者を増やし、子どもの声を聞く環境づくりを進めるために、地域団体等を対象とした出前講座や保育園や子どもスキップなどの施設の職員を対象とした研修などを実施し、理解促進を図っております。

さらに、子どもが声をあげやすい環境づくりを進めるためには、アドボケイトの育成が大変重要であり、区におけるアドボケイトの育成や普及啓発のあり方を検討してまいりたいと考えております。

次に、アドボケイト認定資格の取得支援についてです。

アドボケイトの認定資格は民間の資格であり、各団体の養成講座は内容や形態もさまざまであることから、現段階で、区が資格取得を支援することは難しいと考えております。

まずは、区におけるアドボケイト育成や普及啓発のあり方を検討してまいります。私からの答弁は以上でございます。

 

  • 児童相談所長答弁

私からは、初めに、児童相談所開設後の相談件数と虐待通報件数についてお答えいたします。

2月開設以降の相談受理件数は11月1日時点で、919件となっております。相談受理件数の主な内訳ですが、虐待や養育困難を主訴した養護相談が691件で全体の75%を占め、最も多くなっております。次いで、愛の手帳などの障害相談が96件、生活習慣の逸脱や家庭内暴力などの性格行動に関わる育成相談が51件、家出・外泊などのぐ犯行為や刑罰法令に触れる触法行為による非行相談は29件です。

また、虐待通報件数につきましては、565件と相談受理件数全体の61%を占めており、父母間の喧嘩や暴力目撃による心理的虐待が、全体の半数以上となっております。

次に、児童相談所職員のメンタルヘルスのフォロー体制についてです。

児童相談所開設以降、メンタルヘルスを必要とする職員については、人事課の職員カウンセリングや産業医面接などの機会を利用し、早期対応を徹底しております。

なお、職場内における職員のメンタルヘルスについては、職員一人ひとりの些細な変化に目を配り、不調を見過ごすことのないよう、職員との面談や業務状況の確認を行っております。

また、対応困難となった業務については、スーパーバイザーによる丁寧な助言・指導を通じて、新たな活路を見出すとともに、振り返りを行う中で、対応における検証を行うなど、「職員をひとりにしない」組織としてのフォロー体制を構築しております。

さらに、休憩時間・年次休暇の取得奨励を促すなどの予防的な措置を講じ、健全な職場づくりに努めております。

次に、児童福祉司の増員・養成やフォロー体制整備についてです。

児童福祉司は現在、法令基準に基づく16名を確保しておりますが、対応件数が増加する中で職員への負担も増しているため、引き続き、計画的な人員増に努めてまいります。

加えて、時には保護者から激しい言葉を受け、大きなストレスを抱えながらも、「子どもを守る最後の砦」として日々、職責を果たしている児童福祉司へのフォロー体制の一つとして、毎週ミニ研修を所内定例会議の中で実施し、専門知識の習得に努めております。

こうした取り組みを通じて、児童福祉司一人ひとりの対応力を向上させ、安心して業務に従事できる体制整備を図るとともに、今年度末を目途に策定する、児童相談所独自の内部研修計画を活用し、更なる組織強化を図ってまります。

 

次に、里親制度の更なる周知や取り組みについてです。

現在、豊島区児童相談所では、国や都と同様に、実親による養育が困難な場合は特別養子縁組や里親のもとでの養育を推進しているところです。

他区にない独自の取り組みとしては、一時保護が必要となった場合でも、学校登校が可能な児童は通学できるよう、小学校区毎に2家庭ずつの里親登録・開拓を目指しております。

このための具体的な取り組みとしてまず、里親を希望する区民の皆様が気軽に相談に来られるよう、毎月1回、里親個別相談会を所内や、区民ひろばで出前開催しております。

また、普及啓発のためのイベント開催では、「庁舎まるごとミュージアム」へのパネル展示、「ふくし健康まつり」への出店のほか、12月9日には、としまセンタースクエアにて養育家庭体験発表会を、児童相談所として初めて開催致します。

こうしたイベントの周知にあたっては、広報としまへの掲載をはじめ、としまテレビに児童相談所長が出演するほか、都電停留所へのポスター掲示、さらには、ホームページやフェイスブックなどデジタル媒体も活用しております。

今後も児童相談所が区に開設したメリットを最大限活かし、里親制度の普及啓発などを委託している民間フォスタリング機関とともに、豊島区独自のより区民の皆様への幅広い周知活動を展開してまいります。

次に、養子縁組後の実子や実親への支援を含む体制強化についてです。

豊島区児童相談所では、区民ひろばなどを利用し、里親交流会を定期的に開催していますが、この交流会に参加する中で、実子の養育や育児不安、さらには実親の存在をどのように伝えるか、などで悩んでおられる声を実際に耳にしております。

まず、養子縁組を進める家庭に幼い年齢の実子がいる場合、急に新しい家族が増え、父母の注目が自分以外の養子にいくのではと、「赤ちゃんがえり」してしまうことがあります。

このため児童相談所は、実子に対しても養子縁組を好意的にとらえているか、どんな不安があるのか等を慎重に見極めています。そして、養子縁組成立後に、実子が心身の不調を訴えた場合は、心理ケアやカウンセリングを実施することとなります。

次に養子縁組した後の実親への支援ですが、児童相談所が関わっている方の中には、子どもの養育を希望されなかったり、行方不明になってしまう方もいることから、実態として、実親への支援は困難である場合が多い現状です。

このため今後、実子や実親への支援が必要となった場合は、成功事例を持ち、様々な家庭の縁組に実績があるNPO法人との協働や、児童相談所が里親支援を委託しているフォスタリング機関との連携も強化しながら、「子どもまん中」の取り組みを推進してまいります。

以上をもちまして、北岡あや子議員のご質問に対する答弁を終わります。