令和5年決算委員会公明党意見開陳

2023.10.24 高橋佳代子議員

 

公明党の高橋佳代子でございます。私は、公明党豊島区議団を代表いたしまして、令和4年度一般会計決算並びに国民健康保険事業会計、後期高齢者医療事業会計、介護保険事業会計の3特別会計決算を認定する事に賛成する立場から意見開陳を行います。

はじめに、円滑、公平な運営に努められました根岸光洋委員長並びに、有里まほ副委員長の労に感謝を申し上げます。また、理事者の皆様には、事前の勉強会や資料要求などに快くご対応頂き、私どもの質問の意を酌まれてご答弁頂きましたことに、心から御礼を申し上げます。

さて、令和4年度の決算にあたり1.区民目線の行政運営がなされているか2.豊島区を取り巻く時代の変化に的確に対応した事業展開となっているか3.安定的・持続可能な財政運営がなされているか4.SDGsを基調とした取り組みとともに、安全・安心の取り組みがなされているか、以上4つの指標を基に、慎重かつ厳正に審査に臨みました。

令和4年度決算については、一般会計決算額は、歳入が1,493億2,942万円、前年度決算との比較では、3億5,571万円の増となりました。歳出は1,447億2,990万円、前年度と比較すると10億3,443万円の増となっております。 令和4年度は、新型コロナウイルス感染症対策として52億円、物価高騰対策を含めた社会経済対策に53億円の積極的な財政出動を実施されました。こうした対策と併せて、子育て世帯や中小企業、介護・障害・保育サービス事業者への支援など、国や東京都の支援を踏まえつつ、補正予算を第10号まで編成し、機動的に対策を講じてきたところであります。財源を見ると、特別区税が13億円の増となる358億円となり、過去最大規模となりました。特別区財政調整交付金は17億円増となる353億円となり、こちらは過去2番目の規模となりました。

次に、本委員会でのこれまでの質疑について取り上げます。

総括質疑では、まず身の丈にあった財政運営と標準財政規模の考え方について確認し、先行き不透明な経済情勢の中で、増分主義ではなく、景気の悪化にも対応できる柔軟な財政運営を求めました。また、「ふるさと納税」の影響額も年々増加しており、今後は返礼品の開発も行われるとの事ですが、影響額の推移に注視しつつ、適切な財政運営を要望させていただきました。

特に、公共施設については、区立小・中学校において今後10年間で建築後60年を経過する学校が全30校中20校になり、一般の公共施設でも今後10年間で建築後60年以上となる建物は、163施設中36施設。また、今後15年間で築60年を超える建物は、193施設中78施設で全体の40.4%にものぼるとの事であります。ランニングコストを維持しつつ、定期的に改築・改修を行うための中長期的な計画策定が必要であり、そのための財政の見通しもしっかり行っていくよう要望いたしました。

また、行政評価については、1年サイクルでの業務の見直しにより、決算や指標の達成状況などの進捗状況を確認して予算に反映させ、次年度もその事業を注視する事で、適切な事業評価に努められるよう求めたところであります。

高際区長からは「施設の改築・改修等も取り組んでいかなければならない。区民の声を聴き、優先順位を決めて、スピード感をもってやるべきことはやる。判断基準は区民の声、区民ニーズである」とのご決意を伺いました。まさに「区民のために」との行政の原点に立つご発言であり、私どもも同じ思いであります。

 

以下、款別ごとに、具体的な提案も含め、特筆すべきことを述べさせていただきます。

最初に議会費、政策経営費、総務費について申し上げます。

議会システムについては導入から8年が経過し、不具合も出てきている事から、議会運営に支障が出ないよう計画的に更新さるよう要望いたします。

SDGsの推進については、区内企業への経営優良法人の資格取得推進など、区民・団体・企業と連携し、「チームとしま」として豊島区らしい取り組みを望みます。

庁舎管理については、庁舎出入口に傘の雫取りの設置を望みます。また、駐輪場満車時の案内設置・破損ラックの修繕と、暑さ対策など駐輪場スタッフの就労環境改善を求めます。

ハラスメントについては、職員の相談件数が過去最多であり、全庁あげての更なる対策強化を要望致します。

リスクマネジメントについては、不適切な事務処理等が減少しない事から、内部統制制度の導入を検討され、区民に信頼される豊島区として、質の高い行政サービスを安定的に提供されるよう要望いたします。

すずらんスマイルプロジェクトについては、民間団体等とよく連携しながら、困難女性支援法の施行に向け、多様な年齢層の困難を抱える女性の支援も行えるよう、早急に体制整備を要望いたします。

防災備蓄品の生理用品、紙おむつなどの衛生用品の多種化による拡充と、集中備蓄倉庫の西部方面への設置を要望します。

女性の防災リーダーの育成については、更にスキルアップを図られ、救援センターにおける実地訓練に取り組まれるよう望みます。また、福祉救援センターへも備蓄品を整備され、モデル地区での個別避難計画の丁寧な策定推進を要望いたします。

次に区民費、福祉費、衛生費です。

区民ひろばについては、地域の特性や運営形態も様々であるため、これまでの事業を検証され、今後の方針を示されるよう要望いたします。

高齢者の見守りが地域課題である事から、見守りキーホルダーの導入検討を求めます。また、日常生活圏域の中で高齢者の偏在もあるため、高齢者総合相談センターの人的配置は柔軟に対応して頂くよう要望致します。さらに、社会的課題が複雑になりCSWの負担も大きい事から、メンタル支援のあり方や業務量に見合う増員についても検討を求めます。

子宮頸がんワクチンについては、キャッチアップ接種が令和6年3月末までで終了するため、更なる周知と、男性にも公費負担でHPVワクチンが接種できるよう検討を要望いたします。

オーラルフレイル予防については、災害時生活必需品口内衛星備蓄品に入れ歯の洗浄薬も加えて頂くよう望みます。また、豊島区歯科医師会と連携し、日本歯科医師会が作られた口腔体操をフレイル予防に取り入れ、ホームページ等でも紹介し、周知されるよう要望いたします。

難病医療費助成制度手続きについては、郵送手続きができる旨をホームページに明確に掲載するよう要望いたします。また、障がい者申請手続きについては、手続きが多岐に渡り煩雑なため、ホームページ等でイラストなどを使用しながら、わかりやすい周知を望みます。

がん対策については、国ががん検診受診率を60%に引き上げられた事から、レディースデイなど多様ながん検診が1度に受けられる体制を構築し、普及啓発事業に積極的に取り組まれるよう要望致します。また、アピアランスケアについては、助成額と対象商品の拡充を求めます。

地域猫団体の活動については、不妊・去勢手術の助成はあるものの、物価高騰により個人の負担が増大しています。地域の衛生にも寄与する活動であるため、管理費の助成を検討され、活動資金を確保する官民連携のあり方を積極的に検討されるよう要望いたします。

次に環境清掃費、都市整備費です。

食品ロス削減推進事業については、3010運動の推進や飲食店にシェアバックの提供導入をするなど、SDGs未来都市として更なる取り組み強化を要望いたします。

脱炭素社会に向け、家庭内や企業でのCO2削減を更に推進すると共に、区役所をはじめ公共施設での温室効果ガス排出量を積極的に抑え、2050ゼロカーボンシティを実現されるよう要望いたします。

池袋の都市再生については、エリアの特性に応じたエリアマネジメントを検討され、特に収益性の低い住宅エリアの財源確保については今後も課題となる事から、区のお考えを示され、丁寧な取り組みを望みます。また、池袋東西のウォーカブルなまちづくりが周辺へ波及していくよう、官民一体となって魅力あるまちづくりの推進を要望いたします。

長崎1丁目1から5番地区防災街区整備事業については、まちの利便性向上のためにも、椎名町北口にタクシー乗り場の設置を要望いたします。

災害に強いまちづくりについては、関東大震災の教訓を踏まえ、不燃化の更なる推進を望みます。また、避難路確保のための狭あい道路拡幅事業や無電柱化の推進も重要であり、建築物耐震化の促進と特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化についても積極的に推進されるよう要望いたします。

住宅施策については、ファミリー世帯の定住化に向けた多様な家賃助成メニューの検討を望みます。また、空き家バンクの充実や住宅セーフティネット専用住宅登録の拡充を推進し、安心住まいの偏在の解消、高齢者優良賃貸住宅の制度移行も丁寧に実施されるよう要望いたします。

私道整備助成事業については、破損したマンホールの蓋を助成対象とし、助成制度を活用する際の私道所有者への了承等にも区の支援を要望いたします。

次に、文化商工費、子ども家庭費、教育費です。

旧第十中学校跡地野外スポーツ施設は、区民の皆様が期待されております。子どもたちが利用しやすい一般開放を要望いたします。利用者や地域住民の方々から愛される施設となるよう、区民に寄り添いきめ細やかな対応を望みます。

児童相談所については、児童虐待が増加傾向にあり、一時保護も定員を超過する事があるため、適切な職員体制を望みます。東西の子ども家庭支援センターと共に、重層的な支援に繋がっている事も確認させて頂きました。また、児童養護施設等で育つ子どもたちが自立する時は独自支援を行い、安心して進学や社会生活が行えるよう助成等の体制整備を要望いたします。

移動教室・修学旅行や日帰り郊外学習については、物価高騰により保護者負担が増えることがないよう要望いたします。

幼児教育については、生涯にわたる人間形成の基礎の醸成に重要な意味を持つと考えます。「豊島区幼児教育あり方検討会報告書」を基に、社会情勢や子育て環境の変化を鑑みながら、早急に全ての就学前児童に対する幼児教育ビジョンを検討されるよう要望いたします。

認定子ども園については、計画を再検討するという事でありますが、幼児教育ビジョンを策定後に、区立幼稚園のあり方も含め、子ども家庭部ともしっかり連携して検討されるよう要望いたします。

通知表の総合的な学習評価や学校からの欄は、家族が児童・生徒への励ましを送り、次の学期の目標を定めるなど、成長の記録としも大変有効であります。学校長の判断とは言え、これまでの通知表が果たしてきた役割を鑑みて、心ある対応を要望いたします。

高南小学校別棟建設については、どれだけ綿密に担当課と連携し現場の声が建物に活かされているかが重要でありますが、残念ながら不十分な点が散見されました。複合施設はこれからも多く建設されていく予定であり、責任者を明確にし、綿密な連携のもと無駄のない効率的な施設建設・改修を要望致します。

一般会計歳入については、資金活用について伺いました。

資金運用実績については、23区の中でも運用益、利回りなどが大変よく運用されている事を確認しました。今後の施設改築やまちづくりなど、基金の取り崩しを行わなければならない資金需要に備え、流動性を確保した資金運用を要望いたします。

次に、特別会計の内、国民健康保険事業会計については、医療費の適正化について現状を確認しました。糖尿病重症化予防や糖尿病性腎症重症化予防事業が実施されており、積極的な保健指導の実施を望みます。また、1人あたりの医療費が23区で最小であるものの、引き続きレセプト点検やジェネリック医薬品の普及促進に取り組まれ、医療費の適正化の取り組みを推進されるよう要望いたします。

 

以上、委員会審査に沿って一般会計、特別会計に対する意見、要望を述べさせていただきました。令和4年度は途中、高野前区長がご逝去される中、本区が一丸となってコロナ禍や物価高騰の中で、区民の暮らしを守る事を最重要課題として取り組まれ、10号にわたる補正予算を編成し、執行されてこられました。

4月には高際区長がご就任され、本区も新たな変革の時を迎えております。

物価高騰は未だ続いており、本区を取り巻く経済情勢の先行きが不透明な事に変わりはありません。また、今後の公共施設改築・改修も相まって、先を見通した堅実な財政運営は、今こそ求められていると言えます。

今決算の議論が、高際区長が編成される初めての新年度予算に繋がるとの思いで、質疑をさせて頂きました。中長期的な展望を持ちながら、区民の声、区民ニーズを的確に捉え、いかに区政運営に繋げていくのか。最小の経費で最大の効果を挙げる新年度予算となるよう強く要望いたしまして、令和4年度決算における認定に際し、公明党からの意見開陳といたします。

ご清聴、誠にありがとうございました。