令和5年第1回定例会高橋質問
「誰一人取り残さない 持続可能な豊島へ」

2023.02.14登壇

私は、公明党豊島区議団を代表して、「誰一人取り残さない 持続可能な豊島へ」と題し1.令和5年度予算について 2.公共施設の適正管理について 3.SDGsの取り組みについて 4.子ども施策について 5.成年後見制度について 6.その他として帯状疱疹ワクチンの費用助成について 一般質問を行います。

敬愛する高野区長が、残念ながら9日にご逝去されました。謹んでお悔やみを申し上げますとともに、心よりご冥福をお祈りいたします。

高野区長が歩まれた6期24年間は、財政破綻寸前の区財政との戦いからはじまり、新庁舎建設、消滅可能性都市との指摘など、常にピンチをチャンスに変え、何があろうと決して悲観せず、豊島区民のため、豊島区の発展のために心血を注いでこられました。厳しい試練の冬があったからこそ、誰も予想していなかった魅力あるまちへと変貌し、春爛漫と咲き誇る今の豊島区があります。

高野区長は豊島区の歴史に燦然と輝く、偉大な功績を残されました。私ども公明党豊島区議団は、高野区長のこれまでのご功労に対し、心から感謝を申し上げます。

今後も、区政施行100周年に向け、またその先の未来に向け、文化の力で価値あるまちを目指し、高野区長が述べられた「豊島区政に果てあるべからず」との言葉を胸に、豊島区民のため、豊島区の更なる発展のために邁進してまいります。高野区長、大変にありがとうございました。

質問に入ります。はじめに第1として「令和5年度予算について」伺います。

令和5年度の一般会計予算規模は、前年度当初予算比で3億5,900万円の増、1、361億5,100万円となり、令和元年度当初予算に次ぐ、過去2番目の予算規模となりました。また、3特別会計と合わせると、前年度に比べ38億6,800万円の増となる1,961億6,700万円となり、これも過去2番目の予算規模となっております。

予算の特長として1点目は「区民生活を支え、価値あるまちづくりを推進する過去2番目の予算」であり、特に区民生活を支える扶助費については過去最大の420億円が計上されております。待機児童対策の充実による私立保育園運営経費や、児童相談所設置事務にかかる経費の増加が主なものであります。新型コロナウイルス感染症や物価高騰の社会的影響のある中で、区民生活を支えながら、一方で価値あるまちづくりを推進するという舵取りは、非常にバランスが問われてくると考えますが、区のお考えを伺います。

また、歳入については特に特別区民税が30億円の増を見込んでおります。納税義務者数や特別区民税が増加に転じたとの事でありますが、その分析と今後の見通しについて伺います。

さらに、特徴の2点目として、「子育てしやすい街を躍進させ、福祉・健康・教育の充実を図る予算」とあります。令和5年度予算については、新規・拡充事業が240事業を数え、41億円を計上。その内、福祉分野と子育て分野で計10億円、健康・保険分野で7億円、教育分野4億円が計上されております。昨年12月、本区は「共働き 子育てしやすい街ランキング」で全国1位と評価されましたが、新年度予算において、どのように区民の暮らしを守っていかれるのか。また、今後の取り組みについて伺います。

 

3点目の特長としては、「区政100周年に向け、さらなる文化と経済の好循環を生み出す予算」とされております。昨年の第4回定例会で、「文化によるまちづくりによって、経済の好循環を生み出す」という区の政策について質問をさせて頂き、文化を区政の柱に据えた事により、かつて経験した財政危機から脱却してきたとの答弁も頂きました。東アジア文化都市2019豊島まちづくり記念事業で、まちが大きく変わりましたが、今後の公共施設の更新もまだ控えております。財政の健全化を成し遂げたとはいえ、物価高騰や先行き不透明な社会情勢の中で、基金と起債つまり「貯金」と「借金」のバランスを今後どのように考え、対応していかれるのか、お聞かせください。

 

次に第2として「公共施設の適正管理について」伺います。

はじめに、千登世橋教育文化センターについてであります。

以前から、敷地の有効活用を図るため、再整備方針が検討されてきました。令和5年度はエレベーターの改修が行われる予定となっておりますが、「豊島区未来戦略推進プラン2023(案)」には、検討結果を踏まえた再整備の検討と書かれており、一向に方向性が示されません。雑司が谷体育館や雑司が谷地域文化創造館、教育センターとの複合施設のため、改築や改修も容易ではないことは承知しておりますが、令和8年度には教育センターは一部を残して千川中学校の敷地に移転する計画が示されております。その後の活用も含め、千登世橋教育文化センターの貴重な敷地の有効活用が期待されるところでありますが、区のお考えについて伺います。

 

次に、学校施設について伺います。

私の地元の高南小学校は、大型マンションの竣工に伴う児童数の大幅増加で、普通教室の確保や子どもスキップの実施に大きな影響が出ております。この新たな大型マンション建設に伴う、児童数増加を見込んだ教室数の確保を計画的に行うように昨年の第4回定例会で申し上げたところであります。

高南小学校も普通教室の確保を進めてきましたが、新入生の児童数も多く、学校運営が心配されておりますが、別棟建設で今後の児童数増加を受けきれるのか、ご所見を伺います。また、35人学級の導入も現在進行中であり、影響が出てくる学校があるのではないかと危惧しておりますが、いかがでしょうか。

 

今後は、エリア的には南池袋小学校、朋有小学校の教室数の確保が、必要になって参ります。南池袋小学校は、体育館棟の改築が示されておりますが、普通教室の増築も含め、どの程度の規模になるのか、お考えを伺います。

 

また、朋有小学校については、別棟建設による教室の増築が示されておりますが、校庭の広さと児童数を考慮すると、単に校庭に別棟を配置するのも困難ではないかと考えますが、いかがでしょうか。区のお考えを伺います。

朋有小学校は、全体の改築についての検討も必要であり、以前から近くの西巣鴨中学校の改築についても、合わせて議論にあがったと記憶しております。教室数の確保が喫緊の課題でありますが、合わせて今後の改築についても視野に入れて検討される事が望ましいと考えますが、お考えをお示しください。

次に3.として「SDGsの取り組みについて」伺います。

日本経済新聞が発行している「日経グローカル」は、全国815市区を対象にした「第3回SDGs先進度調査」を実施し、点数化されたランキングにおいて豊島区が9位の評価を得ました。街灯のLED化で使用電力半減が高評価を得たとの事でありますが、この結果を総合的にどのように分析されておられるかを伺います

さいたま市には、SDGs企業認証制度があります。

SDGsの理念を尊重し、経済・社会・環境の3つの分野を意識した経営活動を推進する市内企業を認証する制度であります。さいたま市では「さいたま市SDGs認証企業活動ロードマップ」をもととした「さいたま市SDGsコミュニティ」を定期的に開催し、認証企業各社のSDGs経営の実践を中長期的にサポートされております。

区政施行90周年の企業実行委員会でも、このような制度を望まれるお声があったと伺っておりますが、SDGs企業認証制度の導入について、前向きにご検討いただきたいと考えますが、区のお考えを伺います。

 また、さいたま市ではSDGs認証企業への支援として、SDGs経営のための専門家派遣やオンライン面談などを行い、個社別支援が行われております。また、認証企業向けの資金融資も実施されているとの事でありますが、本区でも認証制度導入の折には、ぜひこのような支援策も併せてご検討いただきたいと考えますが、いかがでしょうか。

さらに、このSDGs企業認証制度については、総合評価方式による入札の際は、加点となるよう制度構築を求めますが、お考えを伺います。

このSDGs先進度調査で全国9位との評価を受け、高野区長は3位以内に入ることを目指すと言われました。あらゆる自治体がSDGsの取り組みを広げ、その評価基準についても変化している中で、SDGsを総合的にどのように推進されていかれるのか、区のお考えをお示し下さい。

 

次に第4.として「子ども施策について」伺います。

日本の少子化は想定より7年早く進んでいると言われており、国では加速する少子化を克服するため、異次元の少子化対策について、議論が進んでいるところであります。

私ども公明党は、昨年11月に「子育て応援トータルプラン」を発表。結婚・妊娠・出産から子どもが社会に巣立つまでの一貫した支援を示しました。コロナ禍で急速に加速する少子化の中で、核家族化が進み孤立・不安感を抱く妊婦と子育て家庭に対する支援の重要性を指摘しております。その一部である「出産・子育て応援給付金」の支給が、経済対策として開始されます。新年度からは、出産育児一時金の50万円への増額も予定されておりますが、10万円相当の給付など、これらの国の支援策について、区ではどのように実施されていくのかを伺います

また、東京都の妊娠・出産・産後にわたるクーポン配布も含めた応援事業が拡充して行われますが、どのような体制になるのか、分かる範囲でお答えください。

さらに、東京都はさらに1歳バースデイサポート事業に力を入れていくと伺っておりますが、どのような支援策になるのかをお聞かせください。

国は、今回の支援拡充を妊娠期からの切れ目ない支援とし、伴走型支援を行うとされております。面談や新年度の予算に盛り込まれております「ゆりかご面接」のオンライン等を駆使し、どのように妊婦と子育て家庭に寄り添った支援体制が構築されていくのか、伴走型の中身について区のお考えを伺います。

全体的に、どの時期にどのような支援があるのかが、非常に分かりにくくなっておりますが、どのように整理され、区民に周知されていかれるのかを伺います。

次に子ども施策の2点目として、子どもスキップについて伺います。

子どもスキップについては、校長会が反対を表明していた時代から、公明党として一貫して推進して参りましたので、特別な思い入れがあります。特に昨年の決算特別委員会で議論になりましたスキップの図書・遊具の経費については、児童ひとりあたりの金額が、約1500円から新年度は3500円に増額される事になりました。詳しくは、予算特別委員会で区議団として取り上げます。

昨年の第4回定例会で、工事中の借り施設であっても、スキップ専用のコアとセカンドスペースは確保するよう質問で取り上げました。その時、教育長からは「スキップの専用スペースとしてコアとセカンドを計画的に確保することは、学校運営の大前提であります」との答弁を頂きました。しかしながら、高南小の児童数増加は、現在ある教室の限界値まで伸びようとしており、新年度からのスキップ運営も、どのようになるのかが見通せない状況であります。教育委員会としてどのようにお考えになり、対応されていくのかをお聞かせください。

 

また、子どもスキップの人的確保は常に課題となってきました。スクールスキップサポーターの増員も示されておりますが、それだけでは不足する人員を十分に補う事ができないと考えます。スキップを担われている職員は、殆どが会計年度任用職員であります。ご案内の通り、学童指導は有資格者で月20日、6時間30分勤務。その他、社会教育指導員や学童指導専門員もありますが、最も人数の多い学童指導補助は14時15分から19時15分の内指定する時間が基本とされ、日数も時間も様々なパターンがありますが、最大で1日4時間で月16日とされております。人員不足を補うため新たに募集をする事も当然ですが、現在学童補助をされている会年度任用職員の勤務体系をもう少し拡充する事ができれば、子どもたちが安心して、楽しい時間を過ごせる環境が更につくれるのではないかと考えますが、区のお考えを伺います。

次に、子ども施策の3点目として、子どもの権利擁護センターについて伺います。

私ども公明党が重点要望していた「としま子どもの権利擁護センター」設置が新年度予算に計上されました。要望通り第三者機関として中立性と独立性を担保するとされております。計画にしめされている子どもの権利相談員は、どのような人を配置されるのか。また、子どもの権利擁護委員との関係性について、お聞かせください。

また、権利相談員が区民ひろばやジャンプ、子どもスキップへの定期巡回・出張相談を行うとされておりますが、最も大切な事は子どもたちが相談しやすい時に、いつでも声を受け止める事ができる体制整備であると考えます。フリーダイヤルの設置やメール、ハガキ、学校タブレットにあるアシスとしまの相談機能等の活用などが考えられますが、多様なアクセス方法の確保として本区のお考えを伺います。

次に、保育園における不適切な保育について伺います。昨年から保育園における虐待事案がマスコミで取り上げられ、国では全国の保育園を対象に「保育園における虐待等の不適切な保育への対応等に関する実態調査」が実施されました。

そこで伺いますが、区内の保育園において、虐待等の不適切な保育など子どもの人権侵害を起こさせないよう、その兆候を見逃さない取り組みについて、どのような事が行われているのかお聞かせください。

また、保育園で、子どもの権利侵害を発見した場合の対応マニュアルについては、どのように整備され、機動的に対応していくようになっているのか。明確に定まっていない場合は、保育の質ガイドラインに追記しても良いと考えますが、いかがでしょうか。

次に、障がい児が外食できる環境整備について伺います。

お隣の北区では、重度の子どもたちが家族と外食が楽しめるよう、共生のまちづくりを推進されております。昨年、その政策提案をされ協働事業として取り組まれおられるNPO法人スマイリーサンの高橋育恵代表理事からお話を伺いました。

外出しても、家族で食事を楽しむ事ができないとの切実なお声があり、嚥下障がいのある子どもたちは、舌や歯茎でつぶせるように、食べやすく、飲み込みやすい食事をご家族が毎日作られていらっしゃいます。それを持ち込める飲食店もあまりないため、外食の機会が少なく、ご家族も外食することは難しいのが現状であります。

北区では、重度障がい児の外出支援として、お店の人気メニューがきざみやペースト状の形態食になるメニューを提供する協力店を推進されております。本区のカフェふれあいも、そのノウハウをお持ちであると伺っておりますので、ぜひ本区でもこのような事業に取り組まれるよう望みますが、いかがでしょうか。お考えを伺います、

次に5.として「成年後見制度について」伺います。

区は来年度、成年後見制度の利用促進を図るための取り組みを積極的に行う

としておりますので、改めてお聞きします。

区は令和3年度に成年後見制度の利用促進の条例制定及び計画策定を行いました。その前提となるのが、平成28年制定された「成年後見制度の利用の促進に関する法律」であり、第12条第1項に基づき、国は「第一期 成年後見制度利用促進基本計画」を策定しました。区は、同法第14条の区市町村の成年後見制度の利用促進に関する施設についての基本計画を定める努力規定に基づき、5年後にようやく計画を策定されました。

ところが、区の計画策定後の3か月後の令和4年3が月、国は「第二期 成年後見制度利用促進基本計画」を策定しました。そこでは「成年後見制度の利用の促進とは、単に利用者の増加を目的とするものではなく、全国どの地域においても、制度の利用を必要とする人が尊厳ある本人らしい生活を継続することができる体制の整備を目指すものでなければならない。」とされ、総合的な権利擁護支援策を講じる必要があるとしています。

そこで伺いますが、区の成年後見利用促進基本計画に国の第二期の計画の柱である「総合的な権利擁護支援策」について、区の成年後見制度の利用促進基本計画を修正すべき点があれば、それはどこなのか。また、どのタイミングで修正・加筆を行うのかも含めてお聞かせください。

 

また権利擁護支援策が成年後見制度の利用促進基本計画上、非常にわかりにくく感じております。理由として、権利擁護に関わる実施主体が区であったり、社会福祉協議会であったりとしているためなのか、成年後見制度の具体的な取り組みほど明確になっていないように感じますが、いかがでしょうか。お考えをお示しください。

 

さらに、区民が成年後見制度を利用する以前より、判断力が低下してきている状況の下で、支援策を整備する重要性を区はどのように認識しているのでしょうか。

 

次に、権利擁護支援策の1つである、成年後見制度の利用促進について伺います。区は、どの程度の利用数を目指すのか、いわゆる「成果指標」を打ち出しているのでしょうか。打ち出しているのであれば、親族、専門職、法人、社会貢献型後見人の数値目標をお示し下さい。

成年後見制度の利用促進とは、単に利用者の増加を目的とするものではなく、制度の利用を必要とする人が、尊厳ある本人らしい生活を継続することができる体制の整備を目指すものとして、推進してほしいと願う一方で、現在の成年後見制度の利用数も適正な目標数値に向けて取り組んでいく必要があるのではないかと考えますが、区のご認識についてお聞かせください。

次に6.その他として「帯状疱疹ワクチンの費用助成」について伺います。

かねてより、私ども公明党が議会質問等で要望して参りました帯状疱疹ワクチンの費用助成が令和5年度予算に初めて盛り込まれました。期待されている区民が多い事業でありますので、改めて伺います。

帯状疱疹はご案内の通り、80歳までに3人に1人が発症すると言われており、強い痛みを伴う事が多く、ワクチン接種は発症予防や症状の軽減に効果があるとされております。ワクチンは2種類ありますが、新年度の事業概要についてお聞かせください。

また、6月から開始予定とされておりますが、その広報をどのようにされるのか。費用助成を受けたい区民はどのような手続きをすればよいのか。また、接種できる区内医療機関についてのお考えをお示しください。

以上で私の一般質問を終わります。ご清聴、ありがとうございました。

 

公明党 高橋佳代子議員 令和5年第1回定例会 一般質問答弁

 

ご質問にお答えするまでに、一言申し上げます。

この度の一般質問では、高野区長に対するご質問を多くいただいております。できる限り、生前の高野区長の意を汲んだ形での答弁に努めてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、高橋佳代子議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。

令和5年度予算についてのご質問のうち、まず、区民生活を支えながら、価値あるまちづくりを推進する舵取りのバランスについてのご質問にお答えいたします。

令和5年度予算は、新型コロナウイルス感染症対策や、原油価格・物価高騰への対応に加え、福祉・教育・子育て・防災の充実を図るとともに、池袋の都市再生や地域のまちづくりなど、「国際アート・カルチャー都市」の実現に向けた価値あるまちづくりを着実に進めるという方針のもと、編成に取り組みました。

区民生活を支える施策を充実させることと、価値あるまちづくりを推進することは、それぞれを相互に連携させることで、相乗効果を高めることができるものであり、それが高野区長が目指した「文化による経済の好循環を生み出すまちづくり」であります。

令和5年度予算は、高野区長にとって最後の予算編成となりました。高野区長がこの予算に込めた思いを受け止め、区民生活を支える施策展開と価値あるまちづくりを両立させる財政運営を今後も継続してまいります。

次に、納税義務者数が減少している一方で特別区民税が増加していることの分析と今後の見通しについてのご質問にお答えいたします。

納税義務者については、コロナ禍による外国人の転出により、令和3、4年は2年連続の減少となりましたが、令和5年は、入国規制の緩和などに伴い、賦課期日である1月1日の人口は増加に転じており、納税義務者数についても3年ぶりに増加に転ずると見込んでおります。

コロナ禍における経済は、人の動きは停滞したものの、モノや情報、お金の流れは、国や自治体の支援などもあり、停止するまでには至りませんでした。

そのため、大きなダメージを受けた業種もありましたが、中高所得層への影響は比較的小さく、令和4年度の特別区民税は、前年度決算比で11億円の増となる見込みであります。

令和5年度の特別区民税については、経済活動の一層の好転を見込むとともに、賃金上昇を背景とした個人所得の増加と納税義務者数の増加等により、さらに増加するものと見込んでおります。

また、今後の納税義務者数の推移については、経済情勢や人口の都心回帰、区内での大型マンションの供給などを勘案いたしますと、今後数年間は増加傾向が続くものと見込んでおります。

 

次に、令和5年度予算においてどのように区民の皆様の暮らしを守っていくか及び今後の取組についてのご質問にお答えいたします。

令和5年度予算は、新型コロナウイルスワクチン接種経費を計上していない点を考慮いたしますと、実質的な対前年度比較で29億円の増となり、区民サービスの充実を図った積極的な予算であると考えております。

令和5年度予算の重点テーマの一つに「福祉・健康・教育の充実」を掲げ、新規・拡充事業のうち一般事業は、約240事業、41億円で、そのうちの約半分となる21億円を、福祉・健康・教育の充実のために計上しております。

本区がこれまでに進めてきた「文化による経済の好循環を生み出すまちづくり」により、税収増を達成し、その財源を福祉・健康・教育といった区民の皆様の暮らしを守っていく施策に充てることで、区民サービスの充実を図っているところであります。

令和5年度予算では、帯状疱疹ワクチン接種費用の助成や、補聴器購入費の助成の拡充、子どもの権利擁護センターの設置などの経費を新たに計上しております。

今後も、区議会をはじめ地域の皆様の声をお伺いしながら、区民サービスの充実に努めてまいります。

なお、去る2月9日、公明党豊島区議団、自由民主党豊島区議団、都民ファーストの会豊島区議団・民主の会の3会派から、「コロナ禍における物価高騰に対する子どもへの支援に向けた緊急要望」をいただきました。

区といたしましても、今般の長引く物価高騰特は、子育て世帯への影響が大きいと考えておりますので、早急に区独自の支援策を検討し、迅速に実行したいと考えております。

次に、物価高騰や先行き不透明な社会情勢の中で貯金と借金のバランスをどのように考え、対応していくかについてのご質問にお答えいたします。

平成11年当時の危機的な財政状況を教訓として、高野区長は、これまでの24年間、貯金と借金のバランスの改善を特に重視しながら、財政運営を行ってまいりました。

今日までの道のりは、決して平たんなものではありませんでしたが、これまでの努力が実を結び、コロナ禍の影響があるなかでも、令和3年度決算において、過去最高の貯金超過額218億円という健全な財政基盤を生み出すことができました。

街の価値を高めるために、令和元年度において「東アジア文化都市記念事業」に投じた450億円のように、中長期的な視点から投資を行うべき時期を見極め、メリハリのある予算執行を行うことが、将来を見据えた行政の役割だと考えております。

今後も、貯金と借金のバランスに留意する一方で、ただ単に貯金超過を増やすことを目的とするのではなく、区民施設の更新や安定的な区民サービスの向上を第一に考えつつ、計画的に基金を積み立てるとともに、できる限り借金は増やさないという方針のもと、財政運営を行ってまいります。

次に、公共施設の適正管理についてのご質問のうち、教育センターの跡地活用を含めた千登世橋教育文化センター敷地の有効活用についてのご質問にお答えいたします。

既に築30年を経過している「千登世橋教育文化センター」については、膜屋根の取り換えを含めた多額の改修経費が想定されること、現在施設が抱えている使い勝手の悪さや体育館の防音対策など、大規模改修を実施するうえで多くの課題があることから、検討に時間がかかっております。

この間、専門事業者へのヒアリングも含めて、様々なシミュレーションを行ってまいりましたが、大規模改修というかたちでは、効果的な課題解決が難しいことが判明してまいりました。

このため、新たに施設を改築することも、重要な選択肢として検討したいと考えております。

ご指摘のとおり、千川中学校を改築して複合化するにあたり、令和8年度には「教育センター」の一部機能が移転することとなります。この時期を目途として、周辺の施設再構築を含めた施設のあり方及び改築を中心とした検討を進めてまいりたいと考えております。

次に、SDGsの取組みについてのご質問のうち、まず、日経グローカルの「第3回SDGs先進度調査」において、9位の評価を得たことに対する総合的な分析及びどのように推進していくのかについてのご質問にお答えいたします。

経済、社会、環境の各分野の評価項目を分析いたしますと、経済分野では、課税所得や実質公債費率、将来負担比率などの公表データやスタートアップ支援等が評価につながっており、今後は、後継者不在企業の支援等に取り組むことで、更なる高評価に繋げたいと考えております。

社会分野では、待機児童数やパートナーシップ制度の導入等の項目が評価されました。今後は、SDGsの見える化、認証制度の構築等に取り組むことで、更なる高評価に繋げていきます。

環境分野では、街灯のLED化やゼロカーボン戦略の策定などの調査項目が評価されました。今後は、気候変動対策に取り組む組織への加入等により、更なる高評価に繋げていきます。

今後とも、経済、社会、環境の各分野において、どの項目を重点的に取組むのかを具体的に可視化しながら取り組む必要があると考えています。

そこで、SDGsの17のゴールに即したヒアリングシートを作成し、各部局の取組みの現状の見える化を図りたいと考えております。そこで見える化した課題を一つひとつ着実に解決していくことで、さらなる高評価をいただけるよう努力してまいります。

次に、SDGs企業認証制度の導入についてのご質問にお答えいたします。

今年度は、90周年の企業実行委員会が主体となり、「企業のためのSDGs推進支援セミナー」を開催しました。

SDGsを通じて、企業がまちづくりに参画することで、どのように企業価値を高めていくのかをテーマに、計10回、約300名の参加をいただきました。

また、先月には、参加企業のうち約50社が、さらなるSDGsの推進を図るため「SDGs行動宣言」を行いました。

区制施行90周年実行委員会の渡邊実行委員長からは、SDGs行動宣言はゴールではなく、今後も継続していくことが重要であり、そのスタートとなる豊島区ならではのSDGs企業認証制度を検討してもらいたいとのご提案をいただきました。

企業実行委員会に参加している企業のSDGs推進に関する機運は今、非常に高まっています。この機を逃さず、区独自の認証制度の導入に向けて、積極的に検討を進めてまいります。

 

次に、認証企業への専門家派遣や資金融資などの支援及び総合評価方式による入札の際に加点となる制度構築を行うことについてのご質問にお答えいたします。

認証制度は、企業の持続可能な経営を支援することで、企業が地域と一体となってSDGsを推進する体制を築くことが目的のひとつとなります。

その一方で本区には、中小企業が多く、経営資源に余力がないため、SDGsに積極的に取組めない実情があります。

こうした課題にどのようにアプローチしていくのか、議員ご指摘の支援策や先進自治体の事例なども参考にしながら、検討を進めてまいります。

また、総合評価方式については、既に導入されている豊島区ワーク・ライフ・バランス企業認定制度の仕組みを参考にしながら検討してまいります。

なお、私からの答弁は以上ですが、その他の質問につきましては高際副区長から、教育委員会の所管に属する事項につきましては、教育長から答弁申し上げます。

子ども施策についてのご質問のうち、まず、「出産・子育て応援給付金」などの国の支援策を区でどのように実施していくかについてのご質問にお答えいたします。

国の令和4年度第2次補正予算が成立し、妊娠期から出産・子育て期まで一貫して身近で相談に応じる「伴走型相談支援」と「経済的支援」を一体的に実施する「出産・子育て応援交付金」が創設されました。

このうち、「経済的支援」については、妊娠届出時と出生届出時にそれぞれ5万円相当、合わせて10万円相当を支給することとされています。

区は、本交付金を活用した事業を3月より開始する予定であり、妊娠時の「ゆりかご面接」と、出産後の「こんにちは赤ちゃん訪問事業」による面接を受けた方に対し、それぞれ5万円相当の「出産・子育て応援ギフト」を支給します。

また、昨年4月から今年の2月までの間に出産された方、妊娠届出書を提出された方には、出産後や妊娠中の体調やご心配なことなどについてのアンケートをお送りし、回答いただいた方に、それぞれ10万円、5万円相当の「出産子育て応援ギフト」を支給します。

この「出産子育て応援ギフト」については、出産育児関連用品、家事代行サービス、家電用品等との交換が可能な、東京都が発行する電子クーポン券のご利用を予定しています。

次に、都の妊娠・出産・産後にわたる応援事業の拡充に関して、どのような体制となるのかについてのご質問にお答えいたします。

都は、出生時に10万円相当の電子クーポンを支給する現在の「出産応援事業」を、令和5年度より「出産・子育て応援事業」として再構築し、国の「子育て応援ギフト」とあわせ、10万円分の電子クーポンを支給することとなりました。また、「とうきょうママパパ応援事業」のひとつである「バースデーサポート事業」においても、5万円分の拡充を図るなど、子育て家庭への支援を充実することとしております。

本区におきましては、都が拡充する事業を活用し、池袋保健所および長崎健康相談所で行っている「こんにちは赤ちゃん訪問事業」の面接で、産後の体調や子育てなどの相談をお受けするとともに、10万円分の電子クーポンを支給いたします。

また、子ども家庭支援センターで実施している1歳の「バースデイ訪問事業」につきましても、東京都の「バースデーサポート事業」を活用した拡充を検討しております。

区は平成26年の消滅可能性都市の指摘以降、池袋保健所、長崎健康相談所、子ども家庭支援センター、子育て支援課において、「ゆりかご・としま事業」など関係機関が連携し、妊娠期から子育て家庭への切れ目のない支援に取り組んでまいりました。

「伴走型相談支援」をより充実させるためには、これまで以上の連携が必要となることから、先月に関係部署が集まり今後の支援のあり方について検討を開始いたしました。新たな事業がスタートする3月に向け、妊娠期から出産・子育てまで一貫したよりきめ細やかな相談支援体制を構築してまいります。

 

次に、都がさらに力を入れるバースデーサポート事業の支援策についてのご質問にお答えいたします。

先程答弁申しあげましたとおり、都は令和2年度に開始した「バースデーサポート事業」を拡充する方針を発表しました。子どもが1歳または2歳になる前後に、第1子には1万円、第2子には2万円、第3子以上には3万円分の商品券、またはカタログなどの配布と、子育て支援の情報を提供する事業について、来年度以降に出生した子どもには、それぞれ5万円を上乗せするとのことです。

本区では、平成23年度以降、独自事業として、1歳の誕生日を目安に、絵本のプレゼントと共に、育児相談や子育てサービスをご案内する「バースデイ訪問事業」を行っており、年間約1,000世帯を訪問し、好評をいただいております。

現在、都が拡充する事業を活用した「バースデイ訪問事業」の充実を検討しており、これにより、子育て家庭への支援の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。

 

次に、伴走型支援の中身に関して、「ゆりかご面接」のオンライン等を駆使し、どのように妊婦と子育て家庭に寄り添った支援体制を構築するのかについてのご質問にお答えいたします。

国の「出産・子育て応援交付金」による「伴走型相談支援」では、出産・育児の見通しを立てるための面接を、妊娠届出時、妊娠8か月時、出生届の提出時から乳幼児全戸訪問までの間に実施することとされています。

区では現在、妊娠時には「ゆりかご面接」、出産後には「こんにちは赤ちゃん訪問事業」による面接を行っておりますが、3月からは新たに、妊娠8か月時の妊婦の方にアンケートを送付し、希望者に対して面接を実施します。面接では、妊娠・出産・子育てに必要な情報提供を行うとともに、必要な支援、サービスにおつなぎします。また、面接の結果、継続支援が必要な方には、定期的に連絡し、ご相談をお受けするなど、寄り添った対応に努めてまいります。

さらに、来年度からオンラインによる「ゆりかご面接」を開始します。これまで、体調不良やコロナ禍で外出を控えたいなどの理由で来所できない方もおられましたが、オンライン面接の導入により、より多くの方に面接を実施し、必要な支援につなげられるものと考えております。

次に、妊娠期からの出産・子育て支援に関し、どのように整理し、区民の皆さまに周知していくのかについてのご質問にお答えいたします。

区では、妊娠期から出産・子育てに関する支援情報を集めた「子育て情報ハンドブック」を発行し、出生届出時や転入時等に配付するほか、デジタルブック版としてパソコンやスマートフォンでもご覧いただけるようにしております。

令和5年7月に改訂版の発行を予定しておりますので、今回拡充する支援内容についても分かりやすくハンドブックに掲載いたします。改訂までの間は、新たな内容についてリーフレットを作成し、ハンドブックとともに配付をしてまいります。

また、ハンドブックを妊娠期からご活用いただけるよう、配付の時期を現在の出生届出時から、妊娠届出時とし、情報の周知を早い段階から図ってまいります。

次に、子どもの権利相談員にどのような人を配置するのか及び子どもの権利擁護委員との関係性についてのご質問にお答えいたします。

区は来年度、区の相談機関に対しても中立及び独立した立場で、子どもの権利を擁護する第三者機関として「(仮称)としま子どもの権利擁護センター」を設置いたします。当センターには、子どもからの相談を受け、子どもの権利擁護委員の補佐等をする「子どもの権利相談員」を2名配置します。

子どもの権利相談員は、当センターに入る子どもからの相談を最初に受けとめる役割を担います。社会福祉士、臨床心理士等を資格要件とし、子どもの気持ちにしっかり向き合い、自分の気持ちをうまく表現できない子どもの思いを代弁できる人材を配置したいと考えております。

子どもの権利擁護委員は、相談を受けるだけではなく、権利侵害にかかわる事案について、関係する団体や個人に対して是正要請をする権限をもち、子どもの権利救済・回復を実現する役割を担っております。

現在、権利擁護委員自らが、初回の相談から子どもに関わっているため、対応できる人数が限られる状況にあります。今後は、子どもの権利相談員が子どもたちの相談を受け、権利侵害が疑われる事案を早期に発見し、権利擁護委員につなぐ体制を強化することにより、より多くの子どもの権利救済に取り組んでまいります。

次に、子どもたちが相談しやすい時にいつでも声を受け止めるための、多様なアクセス方法の確保についてのご質問にお答えいたします。

先ほど申し上げました「(仮称)としま子どもの権利擁護センター」では、広く子どもの声を受けとめるために、一時保護所への定期訪問、子どもスキップや中高生センタージャンプでの出張相談を行うとともに、来所やメールによる相談、フリーダイヤルの設置による電話相談を予定しております。

これまで、子どもからの相談は「子ども若者総合相談 アシスとしま」や子ども家庭支援センターにて受けてきており、そこに本年2月1日より、豊島区児童相談所が加わりました。この中で特に、「アシスとしま」が取り組んでいる、学校タブレットを活用した相談窓口は、子どもたちの思いを受けとめる重要な役割を担っております。

相談窓口に入る相談の中には、権利侵害が疑われるケースも含まれており、子どもの同意を得たうえで、子どもの権利擁護センターで共有できる仕組みについて、現在、検討を進めております。

子どもがどこに相談しても、安心して自分の気持ちを話すことができ、必要な際には、子どもに負担をかけることなく、新たなセンターで対応を引き継げる体制を構築してまいります。

次に、保育園において、子どもの人権侵害を起こさせないよう、その兆候を見逃さないために行っている取組についてのご質問にお答えいたします。

区では、平成31年3月に「豊島区保育の質ガイドライン」を作成し、豊島区の保育理念として、「子どもの権利を踏まえ、子どもの最善の利益を守ること」などを掲げ、公立保育園と同じく、私立認可保育所や小規模保育園などと共有を図ってまいりました。

平成31年度からは、一定の保育水準の確保と区全体の保育の質の向上を図るため、「子どもの権利を踏まえた丁寧な保育を目指して」や「保育の質とは」などをテーマにした「保育の質向上研修」を開催しており、一人ひとりの保育士が子どもの人権侵害を起こさないための保育の実践を学べるように取り組んでおります。

また、区では、巡回訪問を実施しており、区立保育園の園長経験者が2名1組となって、全ての私立認可保育所や小規模保育園を訪問しております。令和4年度は、1月末時点で270回実施いたしました。この巡回訪問は、事前連絡をしないで実施するため、保育士の子どもへの接し方など保育の実情を把握することができ、子どもの人権侵害につながる可能性がある場合には、適切な助言・指導を継続的に行っております。

コロナ禍によって、保育園は閉鎖的な空間となりやすく、外部からの目が届きにくくなっております。子どもの人権侵害を未然に防ぎ、早期に発見していくためには、区による巡回訪問に加えて、保護者や地域の皆様による見守りも必要であると考えております。今後、コロナ前には実施されていた公開保育の再開や地域との交流など、保育園が開かれた施設となる方策について検討し、より良い保育の実践につなげてまいります。

次に、保育園で子どもの権利侵害を発見した場合の対応マニュアルの整備及び機動的な対応方法並びに保育の質ガイドラインへの追記についてのご質問にお答えいたします。

区では、令和3年3月に国が作成した「不適切な保育の未然防止及び発生時の対応についての手引き」に沿って対応しております。この手引きは、子どもの権利侵害を発見した場合に、保育園と自治体の担当者の参考となるよう、それぞれの役割分担や連携のあり方、具体的な事例などが示されております。

昨年12月には、全国各地での不適切な保育の発生を受けて、私立認可保育所や小規模保育園、認証保育所を対象にした緊急の臨時園長会を開催し、全ての保育園に国の手引きの内容を周知徹底いたしました。臨時園長会では、手引きや「保育所保育指針」などを読み合わせしながら、未然防止の取組や発生した場合の報告体制、区の相談窓口などを共有したところ、「今後も不適切な保育について、膝を突き合わせて話し合う場を設けて欲しい」とのご要望をいただきました。

国の手引き等に基づき、各保育園において権利侵害の早期発見や区への速やかな報告など機動的な対応が図られるよう、今後も園長会などの機会を通じて、継続的に国の手引き等の周知徹底を図るとともに、現場の声をお伺いし、意見交換する場を設けてまいりたいと考えております。

また、先ほど答弁申し上げましたとおり、「保育の質ガイドライン」は、豊島区の保育の基本的な指針であり、保育の質を高めるポイントや取組事例を盛り込んでおります。今後は、このガイドラインに子どもの権利侵害を発見した際の現場の対応策などについても組み入れ、保育士の皆様に一層ご活用いただけるよう取り組んでまいります。

次に、重度障がい児の外出支援として、きざみやペースト状の形態食になるメニューを提供する協力店を推進することについてのご質問にお答えいたします。

ご提案の北区の「障害児・者の外出、外食を支援する共生のまちづくり事業」は、飲食店に対し、食べやすい形態食を提供するよう協力を求め、協力店を増やすことで、障害のある方もそのご家族も共に外食を楽しみ、外出しやすい街づくりを目指すというものです。

この事業は、障害のあるなしにかかわらず、共生社会の実現に貢献する大変意義の深い事業であると考えます。

本庁舎4階のカフェふれあいもこの事業の協力店となっておりますので、そのノウハウをどのように活かしていけるのか、また、区としましても食に困難を抱える方の理解をどのように地域社会に啓発し事業展開ができるのかについても検討を進めて参ります。

次に、成年後見制度についてのご質問のうち、まず、国の第二期計画の柱である「総合的な権利擁護支援策」に関して、区の利用促進基本計画を修正すべき点及びタイミングについてのご質問にお答えいたします。

国の第二期計画では、地域共生社会の実現という目的に向け、ご本人を中心とした支援活動における共通基盤となる考え方として「権利擁護支援」を位置付けた上で、地域連携ネットワークの一層の充実などの成年後見制度利用促進の取り組みをさらに進めていくことが明記されています。

そのため、区の次期計画には総合的な権利擁護支援の充実を図る上での、地域福祉権利擁護事業や意思決定支援の充実など、成年後見制度以外の権利擁護支援策との連携の推進について盛り込む必要があると考えております。現在の区の計画は令和5年度までの計画期間であり、令和6年度からは地域保健福祉計画に統合するため、そのタイミングで改定を行う予定です。

次に、権利擁護支援策が成年後見制度の具体的取組ほど明確になっておらず、わかりにくいことについてのご質問にお答えいたします。

現在の区の計画は国の第一期基本計画に基づき作成をしており、権利擁護支援については簡単に触れておりますが、ご指摘のとおり具体的な施策等が明確に記載されておりません。それらも含めまして、次期地域保健福祉計画改定の際に合わせ、反映してまいります。

次に、成年後見制度を利用する以前より判断力が低下している状況下で、支援策を整備する重要性についてのご質問にお答えいたします。

区民の皆様が、判断能力が低下しても、安心して暮らし続けられるためには、成年後見だけでなく、元気なうちに将来に備えるための「任意後見制度の利用促進」や身の回りのことはできるけれど事務手続きや金銭管理が不安になってきたときの「地域福祉権利擁護事業の利用支援」を含め、判断能力の段階に応じた適切な制度利用へ、いかにスムーズに移行できるようにするかが重要であると考えております。

今後も、社会福祉協議会や関係機関との連携を深め支援策の充実と、切れ目のない支援体制の構築に努めてまいります。

次に、成年後見制度の利用促進における、親族、専門職、法人、社会貢献型後見人の数値目標についてのご質問にお答えいたします。

後見人候補者の成果指標については、現時点では設定しておりませんが、被後見人の課題に適切に対応し、後見人候補者を選任・交代できる体制を構築するという意味で候補者の数値目標を設定する必要があると考えております。今後、後見人候補者の選定状況や受任する側の各団体等の受け入れ体制などをもとに、検討してまいります。

次に、成年後見制度の利用数に関して、適正な数値目標に向けて取り組んでいく必要性についてのご質問にお答えいたします。

成年後見制度の利用者数について、その推移は、利用促進を図っていくうえで注視しなければならないと考えておりますが、ご指摘のとおり、制度が利用数者の増加を目的とするものではないため、現時点で、利用者数に目標数値を定めておりません。しかしながら、先進自治体の中にも、利用者数に目標値を定めているところもあることから、来年度から設置される「(仮称)豊島区成年後見制度利用促進協議会」において、数値目標の設定の必要性について検討をしてまいります。

次に、その他のご質問のうち、まず、帯状疱疹ワクチン費用助成の令和5年度の事業の概要についてのご質問にお答えいたします。

帯状疱疹は80歳までに3人に1人が発症すると言われています。帯状疱疹の発症を予防するとともに、区民の皆様の経済的負担を軽減するため、50歳以上の区民を対象とした帯状疱疹ワクチンの接種費用の助成を6月より開始します。

帯状疱疹ワクチンには、生ワクチンと不活化ワクチンの2種類があり、それぞれ接種回数や接種費用、予防効果が異なっています。助成額については、生ワクチンについては5,000円、不活化ワクチンについては11,000円を2回としており、実際の接種費用の2分の1程度の助成を行います。

 

次に、帯状疱疹ワクチン費用助成に関する広報及び必要な手続き並びに接種できる区内医療機関についてのご質問にお答えいたします。

6月の事業実施に向け、5月の広報としまに助成開始のご案内と手続きの方法等を掲載いたします。また、ホームページにより詳細な情報を掲載するとともに、接種医療機関に、ワクチンの費用助成をご案内するポスターを配布し、院内に掲示していただくことで事業の周知を図ってまいります。

必要な手続きとしては、保健所のワクチン担当に電話などにより申込みをいただければ、帯状疱疹ワクチンの予診票を送付いたします。この予診票を指定医療機関へ持参すれば、助成額分が減額された費用で接種を受けることができるようになる予定です。

区の予診票が利用可能な医療機関については、医師会を通じて募集する予定であり、決定次第、区ホームページに掲載するとともに、予診票の送付時に医療機関の一覧を同封いたします。

私からの答弁は以上でございます。

引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問に対しまして、お答え申し上げます。

公共施設の適正管理についてのご質問のうち、まず、高南小学校の別棟建設により今後の児童数増加を受けきれるか及び35人学級の導入による影響についてのご質問にお答えいたします。

高南小学校においては、既に別棟建設に着手し、10月には竣工を迎えます。校舎内の転用可能な諸室の改修に加えて、保育園仮園舎使用後の別棟を活用することで、児童数増加にも対応できる普通教室数を確保することが可能であると考えております。

令和7年度には小学校全学年に35人学級が適用されますが、教室数の需要予測は35人学級の適用を見据えて行っており、影響が見込まれる学校については既に改修計画を立てております。

次に、南池袋小学校の改築・増築の規模についてのご質問にお答えいたします。

南池袋小学校の体育館棟は、学校統合時に改築せず、そのまま活用してまいりました。このたび、体育館だけでなく特別教室や子どもスキップを含めた「体育館棟」として改築し、併せて校舎内の特別教室を普通教室として改修することにより、必要な普通教室の確保とともに、現在離れた配置となっている子どもスキップのスペースの集約と面積増にも対応してまいりたいと考えております。

必要なスペース確保のため、新たな体育館棟につきましては、現時点では鉄骨造3階建てで延床面積2,300平方メートル程度の規模を想定しております。

次に、朋有小学校の別棟建設と児童数及び西巣鴨中学校の改築も視野に入れた検討についてのご質問にお答えいたします。

朋有小学校は、直近5年間で80名、児童数が増加し、普通教室および子どもスキップのスペース確保が課題となっております。これに対応するために、別棟整備を検討しておりますが、別棟の配置につきましては、ご指摘のように、校庭の広さの確保が大きな課題であると考えております。

一方、朋有小学校、西巣鴨中学校ともに改築時に活用できる仮校舎用地が近隣にないため、昨年度策定した「学校施設等長寿命化計画」におきましても、改築が困難な学校としております。

将来的な改築の検討を進めるためには、ともに仮校舎が必要不可欠でありますので、先ほどの別棟整備が当面する教室数の確保にとどまらず、将来的な仮校舎の確保に繋がるような手法の検討を鋭意進めてまいります。

次に、子ども施策についてのご質問のうち、まず、高南小学校における、児童数増加により新年度からのスキップ運営が見通せない状況に対する教育委員会の考え及び対応についてのご質問にお答えいたします。

新年度からの高南小学校の子どもスキップについては、既存のコアスペースに加え、放課後の空き教室を活用して専用スペースを確保し、運営していく考えでおります。その際、子供たちの安全確保は何より重要でありますので、職員配置を手厚くして見守りを充実したいと考えています。

現在、建設中の別棟が全て学校として利用できるようになるまでの間は、厳しい状況が続くことも認識しておりますので、子供たちが楽しく安全に過ごせるスペースをさらに少しでも増やす方策につきましては、今後も引き続き検討を続けてまいります。

次に、子どもスキップの人的確保のため、学童補助をしている会計年度任用職員の勤務体系を拡充することについてのご質問にお答えいたします。

学童指導補助の職員は放課後の子供たちの見守りが必要な時間帯を担う重要な役割の職であります。

その勤務体系は1日の勤務時間数や月の勤務日数の組み合わせにより現在は8パターンありますが、ご指摘の通り、月の上限を変更し勤務日数を増加させることで、人員をより確保することが可能となると考えられます。その場合、社会保険加入義務が発生するなどの課題も含め、働く方が働き易い勤務体系への変更を早急に検討いたします。

以上をもちまして、高橋佳代子議員のご質問に対する答弁を終わります。