H26.第三定例会高橋佳代子一般質問
「住み続けたい 魅力ある豊島をめざして」
平成26年9月24日登壇
私は公明党豊島区議団を代表致しまして「住み続けたい 魅力ある豊島をめざして」と題し、1.平成25年度決算について 2.まちづくりについて 3.住宅施策について 4.教育施策について 5.福祉施策について 一般質問を行います。
今年の夏は豪雨による土砂災害、河川の氾濫等、自然が猛威を振るう自然災害が続きました。亡くなられた方々のご冥福をお祈り致すとともに、被災された方々に心よりお見舞いを申し上げます。本区にとりましても決して他人事ではなく、「備えあれば 憂いなし」で、あらゆる災害から区民を守るための施策を講じていかなければなりません。セーフコミュニティ認証都市として、今後ますます安全・安心の取り組みを進めていく決意であります。
始めに1項目めとして、「平成25年度決算について」質問いたします。
第三回定例会初日の高野区長の招集挨拶をお聞きし、また、様々な決算関係資料を拝見いたしますと、25年度決算は非常に素晴らしい決算となっており、これまでの長年に渡る財政健全化に向けた努力の成果があらわれたものと、高野区長のリーダーシップを高く評価いたします。
平成26年度当初予算については、「積極型の予算」でありながら、財源対策を一切講じないうえに財政調整基金に9億円の積み立てを計上するなど「堅実で将来を見据えた予算」となったわけでありますし、今回の平成25年度決算についても、先ほど述べたとおり、非常に良い結果となったわけであります。大変に喜ばしいことではありますが、非常に心配な点もございますので、いくつか質問をさせていただきます。
まず、はじめに財政指標について質問いたします。
自治体財政の通信簿とも言える各種財政指標のうち、財政構造の弾力性を判断する「経常収支比率」に関しましては、景気回復に伴う特別区税や特別区交付金などの増収に加え、人件費や公債費の縮減により、前年度の82.2%から2.4ポイント改善し、適正水準範囲内の79.8%となりました。これは、23区の平均値である82.8%を3.0ポイントも下回り、23区中で6位という好結果となりました。
一方、財政健全化法に基づく4つの健全化判断比率のうち、「実質公債費比率」については、前年度から1.7ポイント改善して1.9%、ストックの状況を表す「将来負担比率」についても、前年度から11.1ポイント改善してマイナス75.9%と、これらの指標は着実に改善されつつありますが、23区の中においては、いまだ下位クラスの20位前後となっております。
このように、「経常収支比率」は23区の中で上位に位置している一方、「実質公債費比率」と「将来負担比率」はそれぞれ下位にとどまっているわけであります。なぜ、それぞれの指標が23区の中で上位・下位と極端に違うのか、その要因をお尋ねいたします。
次に、基金残高と起債残高について質問いたします。
基金残高は25年度末で236億円までに回復、起債残高は218億円にまで縮小し、平成2年度以来23年ぶりに貯金が借金を上回るまでに財務体質は改善されました。まさに快挙であります。とくに借金は、ピーク時の11年度には、土地開発公社や旧街づくり公社の借入金を含め872億円あったものが、現在ではその1/4にまで大幅に縮小し、将来の安定的な財政運営の確保に繋がっているものと認識しています。
しかしながら、この基金残高が起債残高を上回っている状況は、今後、長く続きそうにないことが想定されます。新庁舎の保留床購入経費の支払いに基金を活用する予定とのことでありますし、現庁舎地の周辺整備や学校改築をはじめとした大規模な施設建設事業が今後控えているわけであり、これらの需要に対応するために、今後、積極的に起債を活用していくことにならざるを得ないのであります。
こうしたことから、基金残高と起債残高のバランスは、再び崩れるのではないかと懸念いたします。今後、積極的に起債を活用することで残高が300億円台となっても、基金に可能な限り積み増しをしていくという決意は以前伺っていますが、バランスが崩れると、それを回復するには過去の経験から分かるように「建設は死闘、破壊は一瞬」であります。
そこで質問します。新庁舎の保留床購入の後、25年度末時点のように、基金残高が起債残高を再び上回るまでの期間をどのように計画しているのかお聞かせください。
次に、施設の再構築について質問いたします。
様々な施設の改築あるいは大規模改修に要する経費についても、基金と起債を有効に活用していく必要がありますので、それぞれの残高に大きな影響を与えることになります。
いただいた決算資料の「区財政の推移と現状」によれば、平成26年4月現在、本区が、大規模改修・耐震化・改築などの計画的な維持保全を検討すべき施設は198か所、床面積で約40万㎡にのぼるとのことであります。
また、昨年度出された「豊島区施設白書」によると、その時点での施設数等の条件下で、改築・改修経費は、今後60年間で1年あたり43億円と推計されています。
限られた財源の中でこれらの需要に対応するためには、あらためて中長期的な視点に立ち、集約と資産活用も含めた「施設の再構築」を積極的に進めていく必要があると、「区財政の推移と現状」では結んでおります。この「施設の再構築」に関して、現在行われている検討の進捗状況と今後の展望を伺います。
次に2項目めとして「まちづくりについて」伺います。
今日の豊島区の動向をみますと、明年5月には新庁舎のオープンを迎え、池袋駅東西を結ぶ南デッキ整備がいよいよ実現に向け動き出し、西口駅前街区街づくりや造幣局地区のまちづくりなど、本区の新たな魅力を生み出すプロジェクトが目白押しであります。
このような動向の中で池袋副都心に求められる役割は、環境先進都市を創造する、あるいは、経済力を高める中心拠点としての役割があると同時に、新たな交流を育み、住み続けたい、訪れたいと誰もが感じる街であることだと考えます。
以前も申し上げましたが、今後、人口減少傾向がどの自治体でも進む中、街の将来像を的確に描き、良質な住環境を形成するまちづくりの視点は非常に重要であります。
高野区長はこれまで、池袋副都心の再生に向けたグランドビジョンを示され、「安全・安心」「文化によるにぎわいの創出」「人と環境への優しさ」をコンセプトに、わかりやすくまちづくりの方向性を示されております。加えて、それぞれのリーディングプロジェクトも動き出し、現在、基本構想の点検と明年は新たな基本計画策定の作業が進められる予定となっております。
そこで伺いますが、本区を更なる成熟に導く都市づくりの基本方針について、改めて高野区長のお考えをお示し下さい。
一方で、明年5月の開庁に向け新庁舎の工事も着々と進んでおり、新たな豊島区のシンボルとして勇壮なその姿を示しております。新庁舎が建設されているA地区は街並み再生方針に基づき、第一種市街地再開発事業として展開されておりますが、同様の街づくり方針をもつB・C地区の動向が気になるところであります。
それぞれ準備組合が活動をされており、準備組合が中心となってまちづくりを進められる事は承知しておりますが、地権者の意向は区としてはどのように把握をされているのでしょうか。また、特にB地区ではこれまで区がワークショップを実施してきておりますが、今後はどのように取り組まれ、地域住民の意見をどのように反映されていくのか、お考えを伺います。
さらに、新庁舎が開庁すると、周辺の交通量も大きく変わって参ります。補助172号線の開通に伴い、かなりのスピードで車が東通りを走るようにもなっております。既に交通量調査もされていると思いますが、東通りには区立南池袋小学校やインターナショナルスクールがあり、子ども達が多く行き交う通学路でもあります。信号の件や交通安全対策については、既に目白警察署にも申し入れて頂きましたが、本区として新庁舎周辺の交通安全対策をどのようにお考えなのかお示し下さい。
また、造幣局地区まちづくりについては、その計画(案)及び造幣局地区防災公園基本計画(案)が示され、パブリックコメントが実施をされました。土地利用や基盤整備の街づくりルールも示され、今後詳細な検討が進められていくと期待をしております。一方で、造幣局周辺では、補助81号線整備と木密不燃化特区の取り組みが既に進められており、今後は造幣局の南地区のまちづくりが「造幣局南地区まちづくり協議会」において検討されていく予定になっております。こうした一見スタート時期も違うそれぞれのまちづくりでありますが、今後の東池袋の価値ある再生を図るためには、一体的なまちづくりとしてより相乗効果を得られるような、連携した取り組みが必要であると考えますが、本区のお考えを伺います。
また、東池袋の補助81号線については用地取得が98%まで進み、道路整備の工事が始まるのを待つ段階に入ってきました。計画では27年度に工事が終了するとされておりますが、都電線路を移設しての大規模な道路工事となるため、期間内に工事が終了するのか、甚だ疑問であります。
補助81号線は元々線路沿いに住宅が立ち並び、沿道の方々は行き来する事も不便でありました。現在は線路の横に道路用地が出来ましたが、工事のフェンス等が不規則に並び、沿道の方は相変わらず不便の中で生活をされております。暫定であっても通り抜けができる等、地域の方々の利便性が図れるよう東京都と検討されてはいかがでしょうか。お考えを伺います。
次に3項目めとして「住宅施策について」伺います。
現在全国の自治体で適正に管理されていない空き家対策が喫緊の課題となっており、本区でも条例制定をして取り組みが進められています。一方で、活用が可能でありながら、借り手がいない等の理由から空き家になってしまった物件もあり、本区の空き家は21,680戸・区内住宅全体の12.9%となっております。
一方で、オーナー側は「良い借り手がみつかれば」、「十分な利益が確保できれば」を合わせると7割と越え、できれば貸したいとお考えなのが現状です。
そうした中、本区では「リノベーションまちづくり」を掲げられました。今、全国で注目される、空き家と入居希望者のミスマッチを解消する方策であります。
区長の招集挨拶にもありましたように、全国の中でも北九州市の小倉家守構想が先進的でありますが、遊休不動産活用と質の高い雇用創出により、産業振興とコミュニティ再生を図るというものであります。官民が連携をし、今後本区の中でどのようにリノベーションまちづくりを推進されていくのか、そのお考えをお示し下さい。
また、区民からは賃貸住宅の家賃が高く住みづらいとのご相談がよくあります。その意味では、シェアによる家賃等の軽減や人との繋がりは、今後の住まい方に大きな可能性を示すものであると考えます。しかしながら、脱法ハウスのような安全性が問われる住宅は、今後も規制していかなければなりません。豊島区は交通の利便性も高く、今後カスタマイズ化で空き家の活用が進めば、十分に人口流出の歯止めの一助となると考えますが、お考えを伺います。
一方で、高齢者世帯やひとり親世帯等の住宅確保要配慮者の居住支援も大きな課題であります。住宅マスタープランの重点プロジェクトとして居住支援協議会が設置をされ、居住支援モデル事業が推進されておりますが、現在の進捗状況と今後の課題や取り組みについて伺います。
また、これまで民間から借り上げていました区民住宅は、27年度から順次契約期間が終了します。居住されている方へは、是非丁寧なご説明と家賃の激変緩和策を実施し、住み続けられる対策を推進して頂きたいと思います。
区民住宅は現在、借上料や使用料、補助金等を計算しますと、1億8千9百万円を超える一般財源が投入されている事業であります。民間の住宅ストックを活用し、今後はハードの整備ではなく、多様な家賃助成事業拡充等のソフト事業へと、大きく政策転換をする時を迎えていると考えます。
例えば板橋区では「新婚さん・子育てさんいらっしゃい」事業、北区では障がい者世帯やひとり親世帯の転居費用助成が実施されております。また、千代田区では「次世代育成住宅助成」と言われる親世帯と近居のために住み替える新婚世帯や、子育て世帯が子どもの成長等に伴い、より広い住宅に住むための区内転居時に助成事業を行っております。
今後、ファミリー世帯の定住化や転入促進を図る意味からも、大胆な住宅家賃助成事業の展開が求められますが、本区のお考えを伺います。
さらに、これからの地域包括ケアシステムを考えますと、高齢期になっても住み続けることのできるバリアフリーの高齢者住まいの整備は必要不可欠なものであります。高齢者住まい法の改正により創設された「サービス付き高齢者向け住宅」ですが、大阪府や品川区等は家賃助成を実施しております。国は中間所得者層向けとして「サービス付き高齢者向け住宅」を掲げておりますが、区内では家賃があまりにも高額であり、地域の方が現実的な住まいとしては考えにくいと言わざるをえません。
高齢者優良賃貸住宅には4万円を限度に家賃助成事業がありますが、今後の建設はなされない方針となっており、それに代わる事業としてサービス付き高齢者向け住宅の家賃助成を同様に実施し、供給促進を図るべきと考えますがいかがでしょうか。
次に、4項目めとして「教育施策について」伺います。
1点目として不登校児への支援について質問します。
8月7日に文部科学省が発表した学校基本調査によりますと、平成25年度学校を長期欠席した「不登校」の小中学生は計11万9617人に上り、前年度より約7000人増え、6年ぶりに増加に転じたことが明らかになりました。特に中学生の不登校比率が2.7%となり、37人に1人が不登校であるとの厳しい結果が示されました。
同時に実施された問題行動調査で詳しく分析をし、その結果を9月に公表するとしておりますが、今こそ学校現場でのきめ細かい対応が求められております。
そこで伺いますが、本区の区立小中学校における「不登校」の現状と、その分析について教育委員会のお考えをお示し下さい。
不登校の数の推移をみますと、卒業する児童生徒がいる中で、新たな不登校も毎年生まれている状況を読み取る事ができます。不登校を減らすためには、不登校になってしまった児童生徒に対するケアだけでは不十分であり、新たな不登校を生まないための取り組みが不可欠であります。教育長のお考えを伺います。
また、不登校と認識されるのは年間30日以上の欠席が見られた場合でありますが、一方で早期の初期対応が、その後の学校生活を握る大きなカギとなります。現在でも保健室登校や休みがちな子ども達がいる中で、早い段階で丁寧な対応が求められますが、教育委員会の御認識と取り組みについて伺います。
さらに、不登校や入院等により欠席が長期化すると、勉強が追いついていけず、益々登校しにくくなるという傾向にあります。特に中学生はその後の進路の問題もあり、不登校により十分な学習が行われていない為に、将来の選択肢を狭めてしまう結果となっているのが現状であります。
教育センターで適応指導教室も実施されておりますが、通学するのは不登校全体の約2割と伺っており、残りの約8割の児童生徒は自宅にいる為に直接の学習支援は行われていない状況にあります。
例えば町田市では、桜美林大学との協働で不登校の児童生徒へ「eラーニング教材」を提供し学習支援を行っており、その他にも、ITを使った一人ひとりに対する学習支援を実施する自治体も増えてきております。文部科学省は「不登校児童生徒が自宅においてIT等を活用した学習活動を行った場合の指導要録上の出欠の取り扱い等について」との通知を出しており、その中には「家庭に引きこもりがちな不登校児童生徒の学校復帰や社会的自立に向けた進路選択を支援するため、我が国の義務教育制度を前提としつつ、一定の要件を満たした上で、自宅において教育委員会、学校、学校外の公的機関又は民間事業者が提供するIT等を活用した学習活動を行った場合、校長は、指導要録上出席扱いとすること及びその成果を評価に反映させることができることとする」としています。
先日、独立行政法人の医療機関に伺ってきました。都内有数の大規模病院ですが、院内学級がなく、近隣の特別支援学校の教員が週に3日通いで学習支援を行っておりました。しかしながら、普通通学している児童生徒に対して圧倒的に学習時間が少なく、頑張って治療を続けて病気が治癒しても、学校へ戻れない子ども達が多くいる厳しい実態を伺いました。
家庭教師や民間の通信教育等、費用をかければ選択肢はあるのかもしれませんが、義務教育制度を前提とした学びの保障という点から考えると、教育委員会としてぜひITによる学習支援に取り組まれるよう提案致しますが、いかがでしょうか。お考えを伺います。
一方で、学校生活に起因する不登校の背景には、友人との人間関係は勿論、教員との人間関係によるものがあり、教職員の皆さんは児童生徒に与える影響力を常に自覚しなければならないと考えます。また、不登校は多様化・複合化してきており、初期対応の判断を誤らないようにするために、精神医学の基礎的な知識を身につけ、児童生徒や保護者に適切な情報提供をし、ニーズに応じて関係機関につないだりする能力も求められます。スクールソーシャルワーカーが事案に関わる事もありますが、教員のこうした能力の育成を図るための研修や、事例研究等のシステム化された研修体制の整備が必要であると考えますが、いかがでしょうか。
不登校への取り組みについては、魅力ある学校づくりは勿論の事、コーディネーター的な役割を誰が果たすのか、教育相談の充実、学習の支援・評価の工夫、教職員の資質・指導力の向上、未然防止のための教育活動の充実等、学校・家庭・地域・関係機関等が連携し一体となった不登校サポートシステムを構築する事が重要であると考えますが、教育委員会のお考えをお示し下さい。
次に教育施策の2点目として「特別支援教育」について伺います。
現在の特別支援教育は、「東京都特別支援教育推進第三次実施計画」に基づき推進されておりますが、4自治体で行われているモデル事業も本年で最終年度を迎えます。区内の特別支援教育、情緒障がい指導学級、特別支援教室については、これまで積極的な取り組みをされてこられた事は高く評価をしております。特に希望者が増加し続けている通級指導学級については、公明党の度重なる要望で増設を重ねてきて頂きました。そこで伺いますが、現在区内の特別支援教育の現状と傾向についてお示し下さい。
「東京都特別支援教育推進第三次実施計画」では、「子どもが動く」から「教員が動く」への転換が示されており、現在の都内で行われている4自治体のモデル事業をみますと、通級指導学級が巡回指導・相談の拠点となる役割を果たすとしております。しかしながら、区内の通級指導学級はどこも児童生徒数が増加の一方で、それだけの余力があるようには到底考えられません。モデル事業も最終年度となり、明年には評価検証を行いガイドラインが作成される予定となっております。一人ひとりのニーズに合わせた特別支援教育を実現させるためにも、今後の課題について教育委員会のご認識を伺います。
私ども公明党豊島区議団は7月、教育連携を行っている秋田県能代市へ視察に伺いました。
二ツ井小学校の授業を参観させて頂きましたが、教員と児童が一体となった素晴らしい中身の濃い授業に大変感動致しました。積極的に意見を述べる児童の姿、人の意見に懸命に耳を傾け自分の意見を述べる仲間達。その中で圧倒的な指導力で、児童を授業に集中させていく教員の姿。県レベル作られたで秋田スタンダードが、見事に教育現場に活かされている事を実感いたしました。その後、校長室でお話を伺うと、驚きを新たにしました。児童の集中力が素晴らしい事を校長先生に申し上げたところ、各クラスに特別な支援が必要な児童が在籍しているとの事でとても衝撃でした。補助となる教員もいない中で、担任が一人で誰にでも分かりやすい授業を展開し、子ども達を引き付けて放さない指導力に、改めて感動を覚えました。誰もが分かりやすい授業を行う事が、特別支援教育も含めたこれからの教育のカギとなります。教員の指導力向上について、本区のお考えをお示し下さい。
次に5項目めとして「福祉施策につて」伺います。
1点目は不妊治療についてです。
「消滅可能性都市緊急対策本部」から、「持続発展都市推進本部」に移行され、様々な対策が検討されてきておりますが、今後予想される人口減少の中で、選ばれる自治体としての取り組みは急務であります。
そうした中で、「鬼子母神プロジェクト」を掲げ、今後 妊孕力セミナー等が行われる予定となっております。妊娠力を知る事も大切であると考えますが、もっと深刻な問題が、「子どもが欲しい」と望みながらも、妊娠ができず不妊治療を受けていらっしゃる区民の実態です。
現在、体外受精や顕微授精の特定不妊治療を受けているご夫婦に対しては、国と都が一定の助成を行っており、国の制度変更により一部治療内容の上限額が引き下げられた為、都は独自で高額な治療内容へ助成の上乗せを行っております。今年からは治療を受ける人のステージによって1回ごとに7万5千~25万円を助成し、支給には夫婦の所得が730万円以下であることや、年間の助成回数に制限があるのに加え、平成28年からは43歳以上は助成が受けられないとの年齢制限も追加される予定となっております。この制度の周知も進み、申込みも年々増加傾向にあると報道されておりましたが、このような中で、都内10区が助成金の上乗せや独自の助成制度を設けております。千代田区、台東区、世田谷区、杉並区、練馬区は1回ごとに上限5万から10万円を上乗せし、中央区、文京区、葛飾区は1回ごとに上限10万から15万円を支給しております。さらに、品川区では23区で唯一、一般不妊治療への助成を行っております。タイミング法や人口受精など年間10万円を限度に、治療金額の2分の1を支給しており、この一般不妊治療助成についてのご要望は区民からも根強くあります。最も手厚い助成を行っているのは港区で、最大年間30万円の助成で、治療回数や所得制限もありません。こうしてみると、治療を受ける側からみれば各区の財政状況や政策判断により、かなりの差がうまれてきているのが実態です。
特定不妊治療は高額な費用がかかり、1回につき20万から60万円、医療機関によっては100万円近くの費用が掛かるケースもあると新聞報道されております。ぜひ本区としても、上乗せ助成や独自助成をご検討頂き、子どもを求めるご夫婦をサポートして頂きたいと考えますが、いかがでしょうか。積極的なご答弁を期待致します。
次に、2点目として父親の子育て参加について伺います。
最近は「イクメン」と言われる育児に積極的な父親が増えております。本区でもパパママ準備教室や両親学級が行われ、出産と育児に関する正しい知識を身に着けて頂く事業が実施されております。厚生労働省のホームページには、「妊娠・出産・子育て期の父親の役割」という小冊子が掲載されており、その中に「父子手帳を入手しましょう」との記載があります。妻の妊娠・出産と、子育てを考えるきっかけにしてほしいと、母子健康手帳とセットで父子手帳を交付する自治体が増えてきております。父親グループの協力を得て作成された自治体もあり、父子手帳による「父親教育」で、夫婦間の意識のずれや子どもへの虐待を防止する狙いもあると言われております。
和歌山市では『父子手帳~和歌山 男の子育て指南本』を母子健康手帳とセットで配布されており、市内の父親グループらの協力を得て作られ、「女性は体の変化などから少しずつ母親になる自覚を持ちますが、男性の場合、子どもが「パパ」と呼ぶようになるまで父親としての自覚がなかなか生まれない人もいる」との声もあります。
港区では、「港区父親手帳」「Minato Papa’s Life」が配布されております。内容は、出産前の基礎知識や出産の流れ、出生届などの諸届や出生の記録、赤ちゃんのお祝い行事や成長過程、怪我や事故予防、行政サービスに至るまで子育てに役立つ情報が掲載されております。
家庭の事情があるために、配布については配慮が必要である事は理解しておりますが、父親の積極的な育児参加は国としての流れでもあり、大いに取り組まなければならない事業であると考えます。本区としても、父親の子育て参加の一助として、父子手帳を配布されてはいかがでしょうか。お考えを伺います。
次に3点目として、認知症早期発見施策について伺います。
敬老の日に発表された総務省統計局のデータによりますと、65歳以上の高齢者は3296万人で、総人口に占める割合は25.9%と過去最高となり、8人に1人が75歳以上であることが報道されました。何らかの支援が必要な高齢者は全国で300万人を超えおり、都内でも現在23万人を超え、37年には38万人を超える事が予想されています。団塊の世代が後期高齢者となる2025年問題は深刻で、2025年には日本の高齢化率は30%を超え、5人に1人が後期高齢者という時代に突入します。そうした中で、現在特に増加している認知症の人と家族が地域で安心して生活できるよう、認知症の早期発見・診断・対応が重要な取り組みとなっています。
例えば国分寺市では本年5月から、認知症の早期発見につなげるため、市のホームページで家族や介護者、本人が簡単に検査できる「認知症チェッカー」を導入されました。二つのサイトから構成されており、「これって認知症?」は家族向けで、判断・理解力が衰えるなど20項目をチェックすると、認知症の危険度が1~3のレベルで判定されます。一方、「わたしも認知症?」は本人向けで、「同じ話を無意識の内に繰り返す」など10項目をチェックすることで、認知症の危険性が示されるようになっています。また、結果画面では相談先の連絡先や認知症が相談できる医療機関の名簿等が閲覧でき、早期発見する事で、在宅医療など住み慣れた地域で暮らせる可能性が出てきます。本区としても導入を検討されるよう求めますがいかがでしょうか。お考えを伺います。
以上で、私の一般質問を終わります。 ご清聴ありがとうございました。
高野区長答弁
ただいまの高橋佳代子議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。 平成25年度決算についてのご質問のうち、まず、「経常収支比率」が23区上位で「実質公債費比率」と「将来負担比率」が23区下位となる要因についてのご質問にお答えいたします。 財政指標は、「フロー」と「ストック」という概念に分けられます。フロー指標は一定期間内にやり取りされる経費の流れを表す指標で、ストック指標はフローとして流れる経費が蓄積 されたものをある一点の時期でとらえる指標であります。 ご質問の財政指標のうち、経常収支比率と実質公債費比率はフロー指標に区分され、将来負担比率はストック指標となり ます。まず、フロー指標のうち、経常収支比率でありますが、人件費と公債費が年々縮減していることに加え、扶助費の前年度からの伸び率が微増にとどまり、23区全体の伸び率を下回っていること、また、歳入に関しては、一般財源のうち構成比が最も高い特別区税が23区全体の伸び率を大きく上回っていることから、23区の中で上位に位置していると推察しております。 同じく、フロー指標の実質公債費比率でありますが、この比率は2年間遡って3年間の数値の平均値を当該年度の比率とするルールになっております。25年度決算の単年度の 数値はマイナス0.9%と大きく改善しておりますが、2年前の23年度決算時の数値が、多額の満期償還を行った影響で6.0%と非常に高い数値となっており、多額の満期償還、このときは三芳グランドの22億円、長崎四丁目のアトリエ村の9億円で、31億円という満期償還でありますが、その数値を含めて平均値を算出しているため、今回の数値は23区で下位となってしまいました。本区の公債費は年々縮減 しており、来年度の決算では、23年度決算時の高い数値が平均値の算出範囲から除かれるため、23区順位は大きく改善する見込みであります。 ストック指標である将来負担比率は、将来負担すべき実質的な負債を測る指標であり、基金や起債の残高が大きく影響します。今回の決算で、23年ぶりに基金残高が起債残高を上回りましたが、23区の中では、標準財政規模との比較でまだまだ基金の残高は少なく、また、起債の残高は多い状況であり、その差額も少額であることから、他区と比較すると必然的に将来負担は大きくなります。再三に渡り申し上げておりますように、ようやく借金と貯金のバランスがとれ、わずかながらでもその差がプラスに転じました。 このように、一定期間内、つまり年間の決算という観点では、本区の財政構造は改善傾向にあるため、フロー指標は23区で上位となりますが、基金や起債の残高などの蓄積を表すストック指標は、更なる改善に向けた途上段階であり、23区の中では下位になるものと捉えております。魔法の小槌を持っているわけではありませんので、これらの資金 計画をしっかりと持って見定めてまいります。
次に、新庁舎保留床購入後における基金残高が起債残高を再び上回る期間についてのご質問にお答えいたします。 ご指摘のとおり、新庁舎の保留床購入経費の支払いには、全額基金を充当することになります。本年の第4回定例会で補正予算を計上する予定でありますが、一時的とは言え、 基金の残高は大きく減少しますので、起債残高との差は再び大きく拡がることになります。 その基金残高が、起債残高を再び上回るまでの見通しを 立てるためには、現庁舎地の活用収入が大きく影響してまいります。この活用収入でありますが、どれくらいの金額が、いつ、どのような形で入ってくるのか、事業者が決定していない現時点においては、明確な見通しを立てることはできません。しかしながら、一括地代の目標額141億円が平成31年度末までには入ると予測しており、その時点では基金残高は200億円台に再び回復する見込みであります。 こうした状況を踏まえつつ、事業者と定期借地権設定契約を締結する27年度末を目途に基金残高の見通しを立て、再び起債残高とのバランスを回復させることを目指していく所存であります。
次に、「施設再構築」の現在の検討状況と今後の展望についてのご質問に、お答えします。 ご指摘のとおり、本区の施設の改築・改修経費の推計額は、総務省が、推奨しているソフトを活用した場合、24年度の試算で、平成85年までの60年間で約2,600億円、年平均43億万円となり、新庁舎や目白小学校などを入れた直近の試算でも、平成57年までの30年間で約1,240億円、年平均41億3千万円の経費が見込まれると推計されています。 この経費は、過去5年間の改修・改築経費の平均額34億円と比較いたしますと、7億円のかい離があります。 加えて、建物のみならず、道路や橋梁、公園などのインフラも含めた公共施設全体について、どのように維持管理していくかが今後の大きな課題となっています。 このため、総務省の通知に基づき、今年度、インフラも含めた管理方針を策定するため、「豊島区公共施設等総合管理方針検討委員会」を設置しました。 既に部会を開催し、素案の検討を始めております。今年度中に、公共施設等の管理方針をまとめ、来年度は、この方針を基に、財政計画も考慮しつつ、長期的な総合管理計画の策定を予定しております。 区といたしましては、安全・安心を最重要事項として、適切な維持管理、適時の改修改築により、区民サービスの基盤である公共施設等の保全を、図っていきたいと考えております。 また、公共施設等の維持管理や改築改修経費の縮減を図るためには、施設の再構築が重要な要素の一つとなります。単純に施設の総量を減らすということではなく、施設の更新に当たって集約化や多機能化を図る、民間活力を活用する、受益者負担の適正化を図るなど、様々な方策を検討・実施し、経費の縮減と平準化を進める必要があると考えています。 インフラも含めたすべての施設を対象とするため、幅が広く、また、長期に及ぶ計画であるため、策定に難しさがありますが、将来に向け、持続発展可能な豊島区を支える施設等の管理計画を策定したいと考えています。
次に、まちづくりについてのご質問のうち、まず、都市づくりの基本方針についてのご質問にお答えします。 私は、これまで、豊島区のまちづくりの基本方針として、多くの人に「住みたい」「訪れたい」と感じていただける “選ばれるまち”づくりを掲げ、安全・安心創造都市づくり、文化と品格を誇れる価値あるまちづくりを進めてきました。こうした安全・安心、文化を基軸としたまちづくりの基本方針は、今後も変更する考えはありません。 しかしながら、2020年の東京オリンピック・パラリンピック大会の決定、消滅可能性都市の発表や国家戦略特区に遅れをとったことなどを受けて、本区のまちづくりに「国際性」を加味してさらに魅力を向上させる必要があると判断いたしました。 そこで、この度、これまで取り組んできた文化創造都市づくりをさらにグレードアップさせ、世界に向けて豊島区ならではの魅力を積極的に発信する「国際アート・カルチャー都市」づくりに向けたプロジェクトを始動することといたしました。 先日の招集挨拶の中でも申し上げましたが、クールジャパンとして世界から注目される漫画・アニメやコスプレ、日本有数の国際演劇祭であるフェスティバル・トーキョーなど、世界に十分通用する文化資源が豊富にそろう豊島区の強みにさらに磨きをかけて、世界に発信してまいります。グリーン大通りでのオープンカフェを手始めとして、国家戦略特区や都市再生緊急整備地域による規制緩和を活用し、劇場等の建物内だけでなく、街路や広場など都市のあらゆる空間を民間開放し、世界から集まるパフォーマーやアーティストたちが新たな表現活動に自由にチャレンジできる都市、都市自体が舞台となる“劇場都市”づくりを目指します。 それが国際アート・カルチャー都市としまであります。 豊島区は、世界一の都市をめざす日本の首都東京の中にあっても、ひときわ個性と魅力を発揮し、世界から注目を集める都市へと新たなる飛躍を図ってまいります。
次に、地権者の意向の把握とB地区での今後の取り組みに ついてのご質問にお答えいたします。 地域との協働によるまちづくりを推進するため、B地区では平成19年度から、C地区では平成20年度から区が地元に入り、まちづくり懇談会などを通して、街並み再生方針の 説明やまちづくり制度の紹介などを継続して実施しています。 地区内の権利者を対象とした意見交換の場として、B地区では全体連絡会が、C地区では全体まちづくり検討会がそれぞれ組織されており、区はこうした場で地権者の皆さんの ご意向等を伺っております。また、全体会に参加しない方々もいらっしゃることから、窓口や電話などで全体連絡会等と同様の説明をするとともに、個別のお問い合わせについても対応しています。 現在、B地区、C地区ともに準備組合が中心となって、まちづくりを進めていますが、現段階では、今後のまちづくりの展開について、地区全体の合意形成には至っていない状況にあります。 ご質問のB地区につきましては、区はこれまでにまちづくり懇談会や地権者へのアンケート調査などを行ってまいりました。地権者の皆さんのご意見は、概ね「引き続き、まちづくりについての議論が必要」との意向であると受け止めています。 現在、B地区準備組合では地区内に敷地整序型土地区画 整理事業を組み入れようとするなど、具体的なまちづくりの検討が進められています。 区としては、引き続き、懇談会等を通じて地権者の皆さんのご意見を伺い、地権者の皆さんの合意形成を側面から支援するとともに、準備組合が現在、検討しているまちづくりの事業手法についてのご相談等に応じてまいります。 ご質問にもありますように、隣接するA地区においては、新庁舎が入るエコミューゼタウンが来春に竣工し、地区中央を走る環状5の1号線が平成31年度には整備が完了する予定であることから、B地区及びC地区の周辺環境も大きく変わることが見込まれます。 住民の方々にあっては、様々なお考えをお持ちになっておりますが、十分お話しして進めていかなければならないと思っていますが、この機会を逃すことなく、将来を見据えていかなければなりません。 こうした状況を街づくり推進の大きな好機と捉え、住民の方々との協働を一層拡大し、南池袋二丁目街並み再生地区の事業進捗に向け、積極的に取り組んでまいります。 次に、新庁舎周辺の交通安全対策についてのご質問にお答えいたします。 環状5の1号線および東通りなど周辺道路の交通量調査は毎年1月に第四建設事務所が実施しています。 調査結果は、区も十分に把握しております。今のところ、交通量に大きな変化はございませんが、注意深く状況を把握していきたいと考えています。 また、東通りに関しましては、これまでも通学路の安全確認調査に基づき、滑り止め舗装や通学路注意喚起看板の設置などの対策を区として講じてきました。 新庁舎周辺の道路につきましては、車道を蛇行させて車の速度が出せないように工夫したコミュニティ道路として整備を進めています。 今後も地元住民の希望、要望をお聞きするとともに、環状5の1号線の工事進捗状況を見据え、第四建設事務所、そして、新庁舎の管内にある目白警察署ともより連携し、新庁舎周辺地区の一層の交通安全対策を図っていきます。
次に、東池袋の価値ある再生を図る一体的な街づくりについてのご質問にお答えいたします。 東池袋エリアでは、昭和53年にサンシャインシティが竣工した後、しばらく街の動きがありませんでしたが、平成19年には、豊島区で初めての再開発事業としてライズシティが、平成21年にはアウルタワーが完成し、東池袋駅を中心として、拠点となる市街地が形成されたのであります。 その一方で、東池袋四・五丁目では、昭和58年から、全国に先駆けて木密地域の改善事業をスタートし、平成17年の補助81号線の事業化により、沿道街区の共同化等を含めて、街づくりの機運が急速に高まってまいりました。このため、沿道街区について、平成20年に決定した地区計画の内容を、より具体的に「まちづくりビジョン」としてお示しし、建築制限等の緩和規定を使う場合の誘導方針としています。 こうした街づくりの動きをさらに加速するのが、不燃化特区の指定であり、造幣局の移転であります。 2年前から継続してきた造幣局南地区の街づくり懇談会は、今年の6月には、地元の方々が主体となる街づくり協議会へと発展し、共同化を含めた様々な検討を進めており、今年度の目標として、まちづくり構想素案を作成することにしています。 造幣局地区街づくり計画に盛り込まれた、国の首都直下地震対策計画で位置付けている木密地域の連鎖的な解消策との連携を踏まえて、街づくりの大きな流れを創り出していかなければなりません。 副都心と木密地域との境界にあたる東池袋エリアは、池袋駅周辺と対(つい)になる副都心のもう一方の顔と、住宅地の両面を持つ街であり、この地域特性を活かしながら、新庁舎整備の進む南池袋地区との連動も含めて、街づくりの相乗効果をさらに高めていくことができるよう、鋭意努力してまいります。 次に、補助81号線の利便性を図るための検討についてのご質問にお答えいたします。 現在、地域の利便性を鑑み、水窪通りから東京メトロ東池袋駅への通路など、暫定利用が可能な所は通り抜けができるようになっています。しかしながら、ご指摘のように、ご不便をおかけしている点も十分に認識しておりますので、今後の東京都の道路事業の進捗による、仮線工事や下水道幹線工事の着手の時期を見ながら、道路用地の暫定利用が可能な箇所については、可能な限り地域の利便性が図れるように高橋佳代子議員のご指摘を十分に踏まえ、東京都に強く要請してまいります。 なお、私からの答弁は以上ですが、その他の質問につきましては、渡邉副区長並びに、関係部長から、教育委員会の所管に属する事項につきましては、教育長から答弁申し上げます。
次に、住宅施策についてのご質問のうち、まず、今後のリノベーションまちづくりの推進についてのご質問にお答えいたします。 本区のマンションの住宅供給は、分譲・賃貸を含めると年間平均3,000戸になりますが、一方で、空き家・空住戸が21,680戸存在し、その解消が喫緊の課題であると認識しています。 リノベーションまちづくりの先進事例としては、ご質問にもあるとおり、北九州市が有名ですが、北九州市は空き店舗や空きオフィスが中心です。本区は、空き家・空住戸を官民連携により、多様なニーズに対応した魅力ある賃貸住宅にリノベーションをすることを中心に行ってまいりたいと考えております。 具体的な進め方については、まず、区内全域と対象とする「リノベーションまちづくり構想」を策定し、基本的な方向性を定めることになります。この構想に基づき、年度内にリノベーションスクールを開催する計画をしていますが、スクール開催の前段として、まちのトレジャーハンティングを実施する予定です。参加者としては、不動産オーナーをはじめまちづくり関係者や一般区民等、幅広い参加を募り、ふだん街の人たちが気付いていない空間・人的資源や文化資源などのまちに存在する潜在的な資源をリノベーションの専門家などの外部からの目を交えて探索する試みを行います。 このようなイベントを通じ、リノベーションまちづくりの機運を高め、年度末に予定しているリノベーションスクール開催につなげます。 リノベーションスクールでは、参加者から意欲ある賃貸オーナーに対し、遊休不動産の活用についての企画提案がされることになります。今年度開催のスクールを是非成功させ、来年度以降は、年に2回の開催を目途に区内の他地区に水平展開したいと考えています。 事業化できるプロジェクトが数多く実現すれば、他の賃貸オーナーの意識啓発につながるとともに、パブリックマインドをもつ区民によるまちづくりを通じた地域活性化が広がると期待しているところであります。 次に、空き家の活用が人口流出の歯止めとなることについてのご質問にお答えいたします。 本区の人口動態を見ますと転出入が多く、大都市における特徴が顕著であります。とりわけ若年層については、結婚や出産を契機に他の広い住戸を求め郊外に転出する状況にあります。 その主な原因としては、賃貸住宅の家賃設定や形態が入居を希望する方たちのニーズに合っていないことが想定され、空き家・空住戸を生み出しているひとつの要因となっています。 本区には、既に民間の賃貸マンションでシェア居住やカスタマイズ賃貸住宅を実現し、若者たちの間で人気となり、空室率28パーセントであったマンションを1年で満室とした成功事例もあります。 したがいまして、空き家・空住戸を活用して、シェア居住や、カスタマイズ賃貸住宅など、多様なニーズに対応した魅力的な物件にリノベーションしていくことは、若い世代、特に子育て世代の定住化につながり、人口流失の一定の歯止めになることが期待できるものと考えています。 次に、居住支援モデル事業の進捗状況と今後の課題や取り組みについてのご質問にお答えいたします。 居住支援モデル事業につきましては、公募により事業主体を決定し、平成24、25年度の2カ年にわたり、タウンコレクティブ支援事業、障害者支援事業、シングルマザー支援事業の3つの事業を展開してきました。 平成26年度からは、これまでの取り組みを踏まえ、タウンコレクティブ支援事業、シングルマザー支援事業については、モデル期間を終了し、本格実施へと切り替わりました。ただし、障害者支援事業につきましては、入居者の保護者同意の難しさや物件改修等にかかる法的規制への対応が困難なことから、事業者より辞退したい旨の申し出があり、現在、新たに障害者支援または高齢者支援に係る事業者を募集し、10月中には新たな事業者が決定される予定となっております。 また、事業を進めるうえで「活用できる物件を確保する」ことが一番の課題であったため、今後は「としま居住支援バンク」への登録については、要件を緩和するなど、柔軟に対応できるよう検討してまいります。さらに、より多くの空き家オーナーに、都などにおける改修費用の助成制度や、住宅確保要配慮者への支援事業を知っていただくため、「オーナー向けの説明会」を実施する予定となっております。これからも、着実に課題を解決し、より実効性の高い事業となるよう、関係団体と連携を図りながら、積極的に取り組んでまいります。
次に、大胆な住宅助成事業の展開についてのご質問にお答えいたします。 今後の住宅政策の方向性については、ご指摘のとおり、多額の財源投入が必要となる直接的なハード整備ではなく、限られた財源をより多くの方に、広くかつ公平に配分されるとともに、住宅ストックを有効活用することができる家賃助成など、ソフト面での事業拡充にシフトしております。これまでも「子育てファミリー世帯家賃助成事業」については、対象児童の年齢要件の引き上げや所得要件の緩和など、事業の見直しを実施し、利用実績は着実に伸びてきております。本事業につきましては、子育てファミリー世帯の定住化対策として、有効な事業であると考えておりますので、次年度からは、助成期間を延長するなど、更なる拡充に努めてまいります。 また、子育て世帯の定住化や転入促進に向けては、総合的に施策展開を図っていく必要があるため、他区で実施している「転居費用の一部助成事業」や「親世帯との近居や同居に資する事業」の状況を把握し、より効果の高い、ニーズに適合した住宅助成事業を検討してまいります。 次に、サービス付き高齢者向け住宅の家賃助成の実施についてのご質問にお答えいたします。 現在、区内にあるサービス付き高齢者向け住宅については、椎名町で1棟着工し、東池袋で1棟が建設中で、いずれも家賃助成はございません。 近隣居住推進型のサービス付き高齢者向け住宅での家賃減額補助については、事業者が供給計画を区市町村に提出し、一定の要件を満たし、都における認定を受けた場合に、入居者の所得に応じて最大4万円の補助が受けられることとなっております。そのため区では、今年度から、区内で整備されるサービス付き高齢者向け住宅の募集の際には、供給計画の中で、先行して区民限定の募集を行うなど、同意基準を満たした場合に、家賃減額補助を受けられることとしました。2025年には、団塊の世代が後期高齢者となり、サービス付き高齢者向け住宅の需要は増加することが予想されますので、さらなる供給促進に努めてまいります。 私からの答弁は以上でございます。
福祉施策についてのご質問のうち、まず、特定不妊治療に対する上乗せ助成や独自助成についてのご質問にお答えいたします。 区の目指す「すべての人が安心して子供を産み育てるまち」の実現に向け、子どもを産みたいと願いながら、不妊治療を受けている方の精神的、金銭的なご負担は大きなものと考えています。 しかしながら、不妊治療は一定の年齢からは効果が出にくく、早い時期からのライフプランが望ましいといわれています。そのため、区ではまず鬼子母神プロジェクトにおいて、女性の健康相談を始め、女性のライフプランづくりの支援を開始しております。さらに「妊孕力セミナー」を開催し、妊娠する、させる力の正しい知識を広く普及させ、さらには、妊娠・出産・子育ては個人だけの責任ではなく、地域社会で支えていくという意識を醸成させ、地域の妊孕力を向上させていきたいと考えています。 区による不妊治療に対する手厚い助成とのご意見ですが、先進区の状況を参考に、今後、検討してまいります。 福祉政策についてのご質問のうち、「認知症チェッカー」の導入についてのご質問にお答えいたします。 認知症につきましては、早い段階で発見し治療すれば重症化を防げることから、早期の適切な診断や対応につなげていく仕組みづくりが極めて重要となります。 本区におきましては、医師会、歯科医師会、薬剤師会及び地域包括支援センター等と連携して検討会議を立ち上げ、早期対応の仕組みや区民に対するアプローチの方策等について検討してきました。 現在、認知症の程度に応じてどのような対応をしたらいいかをわかりやすく説明した、区民向けパンフレットの作成を進めており、その中で、本人や家族が簡単に検査できる認知症チェックリストの掲載も検討しています。 ご指摘のインターネットを活用した「認知症チェッカー」につきましても、今後、検討会議の中で検討の素材としていきたいと考えています。 私からの答弁は以上でございます。
次に、父親の子育て参加についてのご質問にお答えいたします。 委員ご指摘のとおり、最近では育児に積極的な父親が増えており、区で実施する両親学級(父親学級)へも多くの参加があります。これは、参加者の利便性を考慮して休日に実施しており、25年度には16回で860人の参加がありました。内容は、父親としての心構え、妊婦体験、沐浴実習等の指導を行っております。 ご提案いただいております父子手帳については、このような社会状況の中で、父親の育児参加を進めるツールのひとつだと考えます。本区では、本年9月より「としま育児サポート手帳」を作成し、母親に限らず育児をする方誰もが、育児に関わった記録を残し、かかりつけ医や事故予防等の育児情報を得ていただけるように工夫いたしました。あわせて、「とし見る知るモバイル」を開発して9月から運用を開始し、女性に限らず妊娠・出産・育児に関する情報を身近に入手できる体制を構築しつつあります。 今後も、女性だけが育児を行うのではなく、父親も含めた地域全体で支え合える社会を目指して、鬼子母神プロジェクト等の施策を進めて参ります。 私からの答弁は以上でございます。
引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問に対しましてお答え申し上げます。 教育施策についてのご質問のうち、まず、区立小中学校における「不登校」の現状とその分析についてのご質問にお答えいたします。 不登校は、子供の心に深い痛手を残すのみならず、進路や職業の選択、ひきこもりなど将来における社会的自立を阻み、人間の尊厳を脅かす重大な社会問題であると捉え、教育委員会は不登校根絶の取組を重視してまいりました。 本区の不登校の現状は、不登校児童・生徒の出現率が5年間で2.0%から3.5%と増減を繰り返し、平成25年度の中学校出現率は3.3%となっております。 本区の小・中学校における不登校の原因を分析しますと、小学校では、母子分離をはじめ親子関係をめぐる問題が最も多く、次いで、不安など情緒的混乱が挙げられます。中学校では、不安など情緒的混乱が最も多く、無気力や友人関係をめぐる問題が続いております。 こうした実態を分析して繰り返し感じることは、外的要因や内的要因が相互に、かつ複雑に絡み合い、もつれた糸をほぐすことの困難さが存在することです。また、不登校問題の解決には、不登校に至るまでに費やした時間の何倍もの時間と労力がかかるということです。不登校の早期発見・早期対応の重要性を改めて痛感しております。 教育委員会といたしましては、一つ一つの実態を直視し、子どもの心に寄り添った予防的で丁寧な対応を柱に据えて取り組んでおります。
次に新たな不登校を生まないための取り組みについてのご質問にお答えいたします。 ご指摘のとおり不登校の連鎖を断つためには、新たな不登校を生まない取組が極めて重要です。 本区におきましては、これまで、早期発見、早期対応を進めるために、登校支援シートや欠席調査から抽出される傾向や要因などのデータを迅速に学校に提供し、教育委員会と学校が一体となって組織的に指導にあたってまいりました。 例えば、登校しぶりが二日間以上連続して続いたので、担任と生活指導部、スクールカウンセラーが一堂に会してケース会議を開き、迅速に対応したところ不登校に至らなかったという事例が数多くみられるようになってまいりました。一方、担任の情報収集が遅れたり、不適切な対応のため、事態を悪化させたりする例もありました。 そこで、教育委員会では、調査データやアンケートなどから見られる外的要因のみならず、子どもたちの学校満足度や学級での承認認知度などの内的要因をクロスさせて正確な実態把握と対応を促進する有効な手立てとして、心理検査ハイパーQUを平成25年度より全校で実施してまいりました。各小・中学校では、全教員がハイパーQUの分析結果を活用して、必要な支援や組織的な対応を行うなど、学校の指導に大きな変化が見られるようになってまいりました。
次に、保健室登校や休みがちな子ども達に対する早い段階での丁寧な対応についてのご質問にお答えいたします。 「子どもの心理的な安定を図るためには、一定の時間や距離幅を保つことが重要である」という児童心理の学説がございます。 教室登校をしたいけれども教室に入れないという葛藤(かっとう)を迫られた子どもにとって、保健室登校は心理的な時間と距離を保ち、不安な心を安定させる上で極めて重要な手立てとなります。 本区では、病気による欠席や病欠で不登校の扱いと異なる子や保健室登校や教育相談室登校も認め、児童・生徒の気持ちを受け止め、親身になって対応し、周りの児童・生徒との関係を繋げていくよう教員を指導しております。とりわけ、教員が事態の早期発見によって、不登校が顕在化しない段階で教員が丁寧に声掛けし、家庭との協力体制をつくるなどの早期の対応によって、深刻な事態を回避したケースも生まれてきております。 次に、ITによる学習支援の取り組みについてのご質問にお答えいたします。 不登校を克服しようとしつつある子どもにとって、最も不安を抱くのは、中学校から高校への進路の選択を迫られる時期であります。まさに、不登校対策は進路指導に直結すると認識しております。 豊島区では、平成15年度より、不登校対策の一環として、当時のノートパソコンを活用した「マイスクールネット」を全国に先駆けて導入し、活用した時期がございました。マイスクールネットで支援を受けて学習に臨んだ実績は出席とみなし、子どもたちに学力を取り戻すことの重要性と将来に希望を繋げる先進的な取組みとして本区が当時の文部科学省に提案してきたツールであります。残念ながらIT環境の激変によってこの取組は中断されておりますが、ご提案のITを活用した学習支援の導入につきましては、豊島区がこれまで開発してきたシステムと軌を一にしたものであり、そのことから子どもの学力保障に寄与することから、前向きに検討してまいります。
次に、教員の能力育成や事例研究等の研修体制の整備についてのご質問にお答えいたします。 不登校の未然防止こそ最大の不登校対策であるという視点に立って、教員の資質・能力を高めていくことは、緊急焦眉の課題であります。「豊島教員ミニマム」では、①一言の重みを自覚し、子どもが抱える心の悩みを捉えよう、②子どもに裏切られても子どもを裏切らない指導をしよう、③子どもの心に向き合い、温かい人間関係を築こう、という基本姿勢を明確にし、子どもと相対する指導を重視しております。 教育委員会では、こうした教員ミニマムの視点に立って、生活指導主任研修や教育相談研修、養護教諭研修などを実施しております。また、各学校からの要請に応じて、不登校児童・生徒に関して、教育センターから派遣した臨床心理士やスクールソーシャルワーカー、子ども家庭支援センター職員など、関係者が一堂に会してケース会議を開催し、実践的研修の場としております。こうしたケース・スタディは、新たな知恵を生み、きめ細かなアセスメントに基づく対策につながっております。 したがいまして、ご提案の研修体制の整備は、受容と共感を旨とする教員にとって、必須の研修課題であると受け止めております。不登校対策は教員が中心的役割を果たして解決していかなければならない重い課題であるという認識に立って、研修に主体的に臨み、心理学的・教育学的専門性に学び、臨床的手法をもって実践に役立てていけるよう研修体系の充実を図ってまいります。
次に、不登校サポートシステムの構築についてのご質問にお答えいたします。 学校が不登校問題を解決できるか否かは、解決のキーステーションとなる不登校サポートシステムの確立に係っていると認識しております。 これまでも、各学校では、教育相談コーディネーターを必ず置き、校内委員会を確立して問題解決に当たっております。また、平成24年度からは、不登校サポートシステムの一層の充実を図るため、区内3校で「学校と家庭の連携推進事業」を実施しております。支援員が登校時に家庭を訪問し、子どもたちの登校を支援したり、スーパーバイザーが不登校などの未然防止にかかる取組に対して助言・支援したりするなど、学校内外の関係組織を繋ぎ、子どもたちを支える体制づくりに大きな役割を果たしております。この事業の成果を区内全校に普及させ、不登校の未然防止策に一層努力してまいります。
次に、特別支援教育の現状と傾向についてのご質問にお答えいたします。 9月1日現在、豊島区では小中学校合わせて102名の児童・生徒が固定学級に、179名の児童・生徒が情緒障害等通級指導学級に在籍しております。固定学級の児童・生徒数は、ほぼ横ばいであるのに対して、通級指導学級の児童・生徒数は前年度比で、約1.3倍となっております。 4月からは、目白小学校に「あおぞら学級」が開級いたしました。区内小学校5校にある通級指導学級は、いずれの学級も、すでに、ほぼ定員が埋まっている状況です。また、昨年度、特別支援教育巡回指導員・チームステップが指導にあたった児童・生徒数は、年間248人にのぼり、指導を要する児童・生徒数は今後も増加していくと思われます。
次に、一人ひとりのニーズに合わせた特別支援教育のための今後の課題についてのご質問にお答えいたします。 東京都特別支援教育推進計画第三次実施計画では、すべての小学校に特別支援教室を設置し、拠点校の教員による巡回指導が実施されることになっております。平成28年度から順次実施され、情緒障害等通級指導学級を編制し、教員を配置するこれまでの方式から、区に巡回指導を担当する教員を配置する方式に変更されることになっております。 今後の課題といたしましては、教員の専門性を向上させ、巡回指導の質を担保すること、特別支援教室における指導の開始・終了の判定システムを導入すること、巡回指導に必要な教室環境等を確保することが挙げられます。特に、これまで行ってきた通級指導学級における指導につきましては、従来どおりの教育機能を維持することは、現在の教員数では困難であると考えております。そこで、教育委員会事務局内に特別支援教育推進検討部会を設置し、今後の通級指導学級での指導の在り方につきまして、鋭意検討を進めております。教員の配置につきましてはご指摘の通り、現状の教員体制では厳しいことから、東京都教育委員会に配置教員の増員を働きかけてまいります。 次に、教員の指導力向上についてのご質問にお答えいたします。 平成24年度に公表された全国の通常学級における発達障害の可能性のある児童・生徒の出現率は、小中学校全体で6.5%、学年別では小学校第1学年で9.8%にのぼっており、本区におきましても、同様の傾向を呈しております。こうした現状の中にあって、どこの学級でも、どの先生でも、障害の有る無しに拘わらず、子どもたちのもっている資質・能力を引き出す指導力が求められています。 8月20日に実施した「としま教育フォーラム」では、「学力の二極化への対応」がテーマとなりました。私は、その中で学力の高い、低いに拘わらず、子どもが夢中になって授業に参画できる「授業のモデルチェンジ」を提案いたしました。この趣旨は、まさに障害の有る無しに拘わらず、授業での熱中体験こそ子どもの能力を引き出すことと同義であります。授業のモデルチェンジを図るためには、一人一人の教員が、子どもの発達特性や障害の実態に深い見識をもち、その子に応じた丁寧な個人指導ができるかどうかにかかっております。ご指摘の趣旨は、幅広い見識と豊かな実践力をもつ教員の育成を進めることにより、道を拓いていくことができると確信します。 本区は、教育ビジョンを作成した平成21年度を「人材育成元年」として、計画的に実践力の高い教員の育成に取組んでまいりました。今後とも、人と人とのつながりを重視し、子どもたちを引き付けて止まない授業を進める教員の育成に力を傾注してまいります。 以上をもちまして、高橋佳代子議員のご質問に対する答弁を終わります。