平成26年9月25日登壇

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平成26年 第三回定例会 一般質問

公明党  西山 陽介

 

私は公明党区議団を代表して「住みやすい豊島に向けて」と題し、1.地域包括ケアシステム構築について、2.子ども・子育て支援新制度について、3.街づくりと公共交通について、4.その他として、学校外における安全確保について、一般質問をさせていただきます。

 

はじめに、超高齢社会に突入する日本において、安心して暮らし続けられる地域を目指して、様々な生活支援サービスの提供、施設サービスの方向性、新たな介護予防の取り組み、医療と介護の連携、そして認知症施策の推進などを総合的に進めるための、地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みについて質問します。

さきの第2回定例会では、我が公明党の此島議員より「地域包括の展開に向けて」と一般質問をされておりますので、私の方からは第2弾として、次期介護保険事業(支援)計画を視野に入れて伺います。

 【介護保険事業(支援)計画について】

内閣府が発表した2013年版「高齢社会白書」では、2012年の総人口に対する75歳以上の割合が11.9%であるのに対し、2025年では、18.0%になると予想されています。

豊島区においては、区統計資料によりますと、今年4月1日現在で、75歳以上の方は、26,993人、9.9%。近年は人口増もあいまって比率の上昇は顕著に表れませんが、人数は確実に増加しています。

高齢化の問題は、「高齢化率」だけで捉えるのではなく、「高齢者の絶対数の増加」に注目すべきであり、医療、介護等の二ーズは、高齢者の絶対数に連動するからです。

また、社会保障関係費は年々増大する中、その財源の確保が課題です。そして地域においては、安心して暮らせる地域の医療と介護の整備、支え合いによる生活支援サービスの拡充、さらに安定した住まいの提供と、課題は山積みであります。

目指すべき「地域包括ケアシステムの構築」とは、地域の医療・介護などの公助、共助の体制整備とともに、自助、互助の体制強化を含めたシステムの構築に向け、全区民運動として展開していく必要があると考えます。言葉を換えれば、支え合いと共生社会の実現であり、地域の絆を再構築することであります。

医療、介護、予防、住まい、生活支援などを切れ目なく提供できる体制として、地域に合ったシステムをいかに築くか、区のリーダーシップのもと、地域住民や関係諸団体等の取り組みにかかっているといえます。

2025年を見据えた介護保険事業(支援)計画は第5期を今年度で終了し、現在第6期計画策定に向けて、鋭意取り組まれていることと存じます。

そこで総括として5期計画の実施状況と、2025年度に向けた推計及び6期計画の目標をお聞かせください。

 

【生活支援サービスの基盤整備について】

単身高齢者が増加する中、介護保険のサービスのほか、サロンの開催、見守り、配食、ごみ出しなど、介護保険対象外のサービスについても、多様な主体による多様な生活支援サービスの充実が必要とされています。

 昨今、介護人材不足が指摘されていますが、介護の専門職には専門的でより高度なサービスを担っていただき、身近な生活支援サービスは新たな担い手に期待したいものです。そのためにはボランティア、NPO、協同組合、社会福祉法人、民間企業などの多様な主体によりサービスが提供されることが求められます。このことを充実させていくためには、生活支援サービス全体のマネジメントについて、区が主体的に取り組むことが必要であります。

新たな取り組みとなる日常生活を支援する体制整備に向けて、生活支援コーディネーターの配置・活用など、区の取り組みについてお考えを伺います

 【施設サービスの方向性について】

要介護高齢者自身の状況、家庭環境、地域コミュニティとの関係などは高齢者によって様々であることから、在宅での自立生活が困難な場合の施設ヘの入所二ーズにも適切に対応していく必要があります。この点、本区においては、用地の確保が課題となっており、大規模な施設を建設することが困難であることや、多くの人が密集していること等を踏まえると、まずは、地域密着型の施設整備を促進するとともに、多様な整備手法の活用を積極的に図るべきであります。

重度の要介護度となったとしても、住み慣れた地域で最後まで生活することを実現するという観点から、地域に根ざした小規模の特別養護老人ホームの整備を弾力的に進めるとともに、小規模多機能型居宅介護や在宅サービスを併設する等の工夫も行うことで、地域包括ケアの担い手となるような複合型の施設整備が必要と考えます。

限られた用地を有効活用するとの観点では、例えば、民間事業者が高層マンションやオフィスビルを建設する際に一部フロアを特別養護老人ホームとして整備し、社会福祉法人が当該部分を買い取るといった手法が有効であると考えられます。

こうした手法を普及促進させるための方策について、十分に検討を進め、あらかじめ方針を明らかにするべきであります。

さらに今後、特別養護老人ホームなど既存施設の建て替えが必要になることにも留意が必要です。

例えば、私の地元にある特別養護老人ホームの養浩荘も、経年による建屋などの劣化が始まっており、利用者はもとより職員の方も苦慮されている声を耳にします。養浩荘は1981年に開設し、区内初の特養ホームとして、区の福祉を支えてきました。現在の入所定員は50名、福祉需要の観点からも、もっと多くの定員があればと、利用を希望されている方々は、切に感じているのではないでしょうか。

しかし、建築関係法令・福祉関係の基準などにより、同じ場所で建て替えとなると、現在の50名も確保することが難しく、定員減の事態も想定されます。法人にとって建て替えが困難であれば、撤退や他自治体への移転も視野に入れざるを得ない、などということになれば、本区の損失は計り知れないものになります。

仮にそのような事態になれば、併設している、いけよんの郷高齢者総合相談センターも維持が難しく、地域の方にとっても影響が大きいものと心配されます。

こうした建て替えがスムースに進むよう、都市計画、建築等の関係部局との連携の下、容積率緩和制度の活用など、改築の際は定員増も視野に入れ、検討していく必要があります。

一般的に、特別養護老人ホームの整備には、選定から建設、開所まで少なくとも3年間の期間が必要です。特に多様な施設整備の手法を実践する上では、区と事業者の想定する期間の長さの相違が障害となるため、介護保険事業(支援)計画の策定において、必要に応じて長期スパンでの整備見込み量を示していくことも検討していくべきであります。

地域包括ケア計画として、多様な施設サービスの必要数や、特養整備に向けた区の考えなど、今後の方向性についてご所見を伺います。

また既存施設の建て替えについて、区のお考えをお示しください。

【介護予防の取り組みについて】

長寿を全うすることは私たちの願いです。介護が必要な状態を遅らせること、たとえ介護が必要となっても最後まで自分らしく生きることができる社会を実現することは、長寿国としての使命であります。

介護予防は、単に高齢者の運動機能や栄養状態といった心身機能の改善だけを目指すものではなく、日常生活の活動を高め、家庭や社会ヘの参加を促し、それによって一人ひとりの生きがいや自己実現のための取組を支援して、 クオリティー・オブ・ライフ(QOL)の向上を目指すものであります。そのためには、高齢者本人ヘのアプローチだけではなく、地域の中に生きがい、役割をもって生活できるような居場所と出番づくり等、高齢者本人を取り巻く環境ヘのアプローチ、すなわち「ポピュレーションアプローチ」こそが重要となります。

そのためには高齢者自身がセルフケアに努めることはもとより、こうした高齢者を支える地域の多様な主体による情報提供をはじめ、介護・予防サービスの提供体制を計画的に整備していかなければなりません。

そこで伺います。これからの介護予防の考え方について、ご見解をお示しください。

そこで高齢者のセルフマネジメントを推進するため、高齢者健康手帳を参考に「(仮称)介護予防手帳-セルフケアファイル」を導入しては如何でしょうか?

介護予防手帳とは、心身の状況や状態を維持・改善するための、アドバイス・必要な支援・サービス、到達すべき短期・長期目標等を記入するというものです。

そのうえで、本人がいつでも手帳の記載内容を確認することで、本人のセルフケアマネジメントを促すとしています。また、サービス提供者が手帳内容を確認しながらサービスを実施し、その内容を記録することにより、サービスにかかわる支援者間、本人・家族の間での情報共有を図るという狙いもあります。

さらには、セルフケアの記載欄などを設けることで、サービスを受けていなくても、本人自身のセルフマネジメントによって介護予防を継続するツールにもなるわけです。

この介護予防手帳の導入を提案しますが、ご見解をお聞かせください。

 一人一人が安心して暮らしていけるように、前向きな試みが各地で行われています。「介護卒業」もその一つです。一度は介護保険サービスを受けていた高齢者が、専門家や地域のサポートを得ながら、サービスなしでも自立した生活を送っています。

地域でも嬉しい声が寄せられています。

 当時70代半ばの女性Aさんは、ひざ関節症がひどく、杖なしでは外出もできず、苦痛の毎日を送っていました。それでも当時の介護認定は要支援2。かかりつけ医のすすめで、6年前、両ひざ同時に人工関節置換手術を行いました。その後適切なリハビリ指導を受け、今では、痛みもなく、杖も使わず、家事をこなし、地域行事へ楽しそうに外出しています。介護認定もその後非該当になり5年目を迎え、現在84歳を迎えました。

 2年前神経系を患った女性Bさんは、半年間の入院治療、この時点で要介護4の判定でした。その後のリハビリ専門病院では、いわゆる「痛い、つらい」というものが無く、自発的に取り組めるメニューにより、現在は要支援2まで回復しました。毎日体のケアに努められ、現在は週2回のデイサービスを楽しみにしているBさんは、現在86歳になります。

事業所の例ですが、埼玉県富士見市にあるデイサービスセンターは、理学療法士、作業療法士、言語療法士などリハビリの専門家をそろえ、基本生活の回復トレーニングをはじめ、買い物や旅行に行きたいという、利用者の意思を優先して、個々の目標の達成に向けてプログラムを作り、効果を測っています。利用者にとって、生きていることへの自信がつき、デイサービスを必要としない方も出るほど、とのことです。

このように地域包括ケアシステムを支える人材として、リハビリ専門職の役割が重要であり、地域リハビリテーション活動などにあっては、これまでの専門機関に加え、現に介護、予防現場でサービスに従事している多様な人材の活用を進めることが望まれます。

 そこでリハビリ専門職の区への配置を導入するなど、今後の介護予防事業について、どのように取り組まれるのかお示しください。

豊島区が“健康・リハビリのまちづくり”として大いに前進されるよう、期待するものであります。

 【医療・介護連携について】

また今後は、在宅医療の必要量を示し、地域における在宅医療・介護サービスの提供体制を整備することとなります。その際、医療と介護の共通用語の整理など、情報連携環境の整備にも取り組むことも必要となります。

そして人口の減少と高齢者の増加を背景に今後の街づくりを進めるに当たっては、医療や介護の拠点が、どのような考え方で、どこに配置されているのが望ましいかを検討するなど、都市整備部局と福祉部局の連携も大切です。

そこで伺います。今後の医療・介護連携の機能と体制整備について、また医療・介護の人的交流、情報連携についてお考えを伺います。

【認知症施策の推進について】

地域で取り組む包括ケアシステムでは、認知症対策が大きな柱のひとつとなります。

 これまでの基本的な考え方は、認知症の方が行動・心理症状等により「危機」が発生してからの「事後的な対応」を主眼としてきましたが、今後目指すべきケアの考え方として、「危機」の発生を防ぐ「早期・事前的な対応」に基本を置くとしています。

 本人や家族への支援については、保健師や介護福祉士などの専門職が家庭訪問して初期の支援を包括的・集中的に行い、自立生活をサポートする「認知症初期集中支援チーム」や、各地域で関係機関との連携支援や相談業務を担う「認知症地域支援推進員」が求められます。

そこで伺います。認知症対策のカギは「早期からの適切な診断と対応」であることを主眼に、「認知症初期集中支援チーム」と「認知症地域支援推進員」の配置・運営など、今後の必要な体制整備について、お考えをお聞かせください。

認知症の方の事故訴訟として、徘徊していた91歳の男性が列車にひかれ死亡し、鉄道会社が遺族に損害賠償を求めていた裁判の判決がありました。判決では遺族である81歳になる妻に賠償責任があるとしたものでした。

本区でもまだまだ踏切がありますし、交通量の多い都市部であります。いつ何時、事故に遭うとも限りません。徘徊してしまうことは、家族の心配は相当なものですし、また家族だけで本人を探すことは困難なこともあります。

早期の発見や見守り支援のためにも、徘徊SOSネットワークなど住民のネットワークづくりに取り組むべきと考えますが、ご所見を伺います。

高齢化問題を乗り切る”糸口”は、地域包括ケアシステムの構築であり、第6期介護保険事業(支援)計画の策定にあたっては、課題をーつーつ着実に克服するとともに、施策・地域資源を総動員して取り組んでいかれるよう、部局横断的な取り組みと共に、庁内一丸となって推進されるよう望むものであります。

 2番目に、子ども・子育て支援新制度について質問します。

来年4月から施行予定の子ども・子育て支援新制度は、全ての子育て家庭への支援を行うことにより、一人一人の子どもの健やかな成長を支援するための重要な施策であり、子どもや保護者の置かれている環境に応じ、保護者のニーズ等に基づいて、幼稚園・保育所・認定こども園などの多様な施設・事業者から、それぞれの特性を生かした良質かつ適切な教育・保育、子育て支援を総合的に提供することを目的としています。

【待機児童解消に向けて】

新たな子育て支援制度で、認可保育所の利用要件が緩和され、パートタイムで働く人や求職活動中の人も利用できるようになるとしています。区は今後の需要の増加に見合う体制を整備するために、潜在的な利用ニーズが、どの程度あるのか調査されました。

これらニーズ調査をもとに、新制度に関わる「子ども・子育て支援事業計画」における本区の目標を伺います。

新制度ではパートのほか、夜間の就労、在宅勤務、求職活動など、全ての就労状態をもって保育を必要とする事由になり、現在は保育サービスの申請をあきらめている人が、この要件緩和に伴い、保育所への入所希望者は一段と増えると思われます。

受け入れ体制を着実に進めていくためにも、保護者の希望が最も多い、認可保育所の新規設置が望まれます。本区ではすでに私立認可保育所5園の設置を表明しておりますが、利用ニーズ次第では、認可保育所の増設がまだまだ必要ではないでしょうか。

今後の確保策とともに、待機児童解消に向けての決意を頂きたいと存じます。

小規模保育所などの地域型保育施設の設置に関し、例えば二方向避難経路の確保を要件としていますが、その他にもバリアフリー法との関係などが今後の施設設置に対して、影響することが心配されます。

バリアフリー法は、「不特定多数」の利用者向けに設備設置を求めていますが、保育所は保育事業における「特定者」向け施設であると解されます。今、喫緊の課題は豊島区がより住みやすく、安心して子育てができる環境整備であり、その一つとして待機児童の解消に全庁挙げて工夫を果たすべきではないでしょうか。

地域型保育施設設置については、バリアフリー法適用を除外するなど、柔軟な方針を望みますが、区のお考えをお示しください。

地域型保育施設は2歳児クラスで終了となります。3歳児以降の受け皿として大きな課題が残ります。新制度では連携施設を定めるなど、子どもの預け先に苦慮しないよう体制整備が必要です。本区の方向性をお聞かせください。

 【保育の必要性の認定について】

子ども・子育て支援法では、保護者の申請を受けた市区町村が客観的基準に基づき、保育の必要性を認定した上で給付を支給する仕組みとなります。保護者にとって、制度の変更で、「保育所に入所する条件はどうなるのか?」ということが大いに気になります。

現行制度の区の「保育に欠ける」という選考から、新制度では、支給認定基準は、「保育の必要性の認定」すなわち「保育を必要とする事由」が必要になります。この事由の中に、虐待やDVのおそれがある場合も盛り込まれました。

また育休中に既に保育を利用している子どもがいて、継続利用が必要な場合など、新たに認定することに対する仕組みや、利用手続きの流れについて、制度移行に対する区の考えをお聞かせ下さい。

新制度には改めて優先利用要件が盛り込まれますが、どのような場合に適用になるのか、ご見解を伺います。

 【就労時間の設定について】

新制度では、パート就労の人が認可保育所などを利用するための最低限必要な就労時間が「月48〜64時間」と決まりました。本区では現在、月最低80時間以上の就労をもって「保育に欠ける」基準を設けており、少なくとも64時間以下に見直さなければなりません。

 パートタイムなどで働く保護者に対して、新制度による就労時間と日数の下限についてどのようにお考えか、お聞かせ下さい。

 【認定こども園について】

新制度では、市区町村が制度開始から5年間の事業計画を定め、地域の実情に応じて認定こども園の普及に取り組むこととなっています。今後、認定こども園がスムースに広がるためには、新制度の理念を基として、健全運営ができるかどうかがカギであります。

一方、新制度については、未だ不明確な点も多いため、幼児教育・保育の現場から、不安や懸念の声があがっています。特に私立幼稚園は、新制度に移行するか否かの厳しい経営判断が迫られています。

認定こども園は、就労の有無にかかわらない施設利用が可能であることから、保護者等の評価が高く、ニーズも多いと伺っています。

本区において、認定こども園設置に対する取り組みについて、ご所見をお聞かせください。

 【一時預かり事業について】

新制度には、保護者の病気など、子どもを一時的に預かる支援制度が市区町村事業として盛り込まれています。保護者が安心して子どもを預けられる仕組み作りを一層進めていただきたいと考えますが、新制度における一時預かり事業と病児・病後児保育の今後の展開について、ご所見を伺います。

 【子どもの放課後支援について】

本区では子どもスキップ事業を展開され、放課後の子どもの健全育成に、先進的に取り組んでこられました。新制度では改めて放課後児童クラブの基準について、条例制定が求められています。

質の確保と量の確保について、今後の見通しと方向性をお示しください。

安心して子どもを産み育てられる社会の構築に一貫して取り組んでいくためにも、就学後の子どもの居場所がなくなる「小1の壁」の解消も急がれます

本区は現在「新1年生応援保育」を実施しています。19時まで預かってもらえるため、保護者からは喜びの声が寄せられています。ただ残念なのは4か所に限定されており、設置されていない地域へも是非拡大していただきたいものです。

女性の活躍推進のためにも、「新1年生応援保育」の設置拡大を求めますが、ご見解をお聞かせください。

 3番目の街づくりと公共交通について質問します。

豊島区は日本一人口密度が高い地域であり、鉄道や路線バスも数多くあり公共交通が発達しています。しかしながら、路線バスが走行できないような狭い道路も多いことから、地域内をきめ細やかに移動するための公共交通は必ずしも十分ではなく、一部の地域では公共交通不便地域も見られるなど、誰もが使いやすい公共交通サービスが実現されているとは言い難い状態です。

近年、高齢者の引きこもりや孤独死等は、社会問題として取り上げられています。今後、高齢者の外出機会や社会との接点をどのように創出するか、高齢者がいきいきと暮らせる街づくりのためにも公共交通サービスを充実させる事は重要なテーマであります。

【池07系統と交通不便地域について】

このような背景のもと、私ども公明党はコミュニティバス、あるいはデマンド型タクシーの導入を提案してきました。これに応える形で、区は2008年12月「地域公共交通会議」を立ち上げ、コミュニティバス導入に向けての調査検討を開始していただきました。

一方で、2010年、「池07系統」を運行する国際興業バスから同路線を廃止する旨の通知を区は受け、存続に向けて国際興業バスと協議されました。

そして区民アンケートで要望のある「池袋の東西をつなぐ路線」の運行実現のために、「池07系統」を東側に延伸させ、社会実験を2011年3月16日にスタートさせました。

そこで伺いますが、この社会実験は5年間という期限つきであり、2016年3月には結果を明らかにしなければいけません。残すところ、1年半となり社会実験で終わらせるか、本格運行とするのか、存廃の基準となる指標等お示しください。

また区全体での公共交通不便地域での導入の必要性についても伺います。

補助172号線西池袋通りの開通に伴い2013年3月「池07系統」のルート変更をしました。利用者の推移と効果をお聞かせください。

 【将来の公共交通のあり方について】

交通不便地域の住民にとってコミュニティバスを運行してほしいという願いは誰しも持っています。しかし本区の道路事情は厳しく、その願いを実現するためには道路事情を改良していく街づくりが必要です。とりわけ本区の抱えている特定整備路線の整備地域は公共交通不便地域が大半であり、事業が予定通り進めば6年後にはバスが走れるような広い道路が開通します。

これら将来の街づくりを見越して、コミュニティバスか、または既存路線バスを活用するか、公共交通のあり方をより具体的に検討する必要があります。区のお考えをお聞きします。

 【都02系統延伸の協議について】

高齢化が進む中、交通不便地域での交通弱者の足を確保することは、今後の重要なテーマであります。

現在進めている特定整備路線である補助73号線とともに、補助82号線が池袋本町方面に通じ、東西をつなぐ道路になりますが、将来を見越したうえで現時点の対応策を模索すべきと考えます。

例えば上池袋方面から、大塚を経由して春日通りへ抜ける経路について、地域から要望の声も届いています。

現在、都バスの「都02系統」の路線は錦糸町駅前から大塚駅前まできており、上池袋経由の池袋駅まで延伸できないものか、東京都と協議すべきと考えます。ご見解を伺います。

【北池袋駅周辺の街づくりなどについて】

また補助82号線の整備が進められており、北池袋駅周辺の街づくり、駅へのアクセスが課題であります。そして現在は池袋本町側には自転車駐車場もありません。これらの整備をどのようにするのか、お聞かせください。

 【鉄道敷地の活用について】

さらに雲雀が谷(ひばりがや)踏切の上池袋側には旧住友セメントへの引込み線としての鉄道敷地がありますが、現在は使われておりません。以前から区で購入できないか地域から要望があります。今回の整備にあわせて、区で当該地を購入し、遊歩道など地域で喜ばれるような活用方法を是非検討していただきたいと提案しますが、ご見解を伺います。

 最後にその他として、学校外における安全確保について質問します。

昨年、練馬区の小学校正門前で、児童が刃物を持った男に切り付けられる事件や、武蔵野市では小学生連れ去り未遂事件など、登下校中の子どもを狙った犯罪が相次いで起きました。

今月17日には世田谷区内で軽トラックが下校中の小学生に突っ込むという痛ましい事故も記憶に新しいところであります。

子どもを送り出す保護者にとって、学校外での犯罪や事故に巻き込まれないかと、心配の一つであります。

教育委員会では、通学案内員を配置していただくなど、事故防止とともに児童への挨拶や声掛けを通じて、一定の安全確保を講じていただいております。

しかしながら、事故や事件は突発的に起きることも十分考えられます。

東京都並びに本区はこれまで、町会や商店街が、安全を重視する住民や来街者の声を背景に、各地域では防犯カメラの設置が進んでおり、設置する際に整備費用の助成を行ってきました。その結果、住宅街の死角になりやすい場所や人通りの多い駅周辺、商店街などを中心に設置が進んでおります。

一方、学校周辺の通学路は設置に対して考慮されない場合もありました。セーフコミュニティ認証都市として、安全・安心の向上のため、出来得る限りの安全策を果たしていただきたいと切望します。

そのためにも子どもたちが犯罪や事故に巻き込まれるのを防ぐ一助として、通学路をカバーできるよう防犯カメラの設置は要望も強く、必要な事業であります。

 もちろん、PTAや地域の方々の目は必要ですし、現時点においても見守りをしていただいています。カメラの設置は、抑止とともに、もしもの場合の解決策のひとつであります。

また通学路への設置を検討される際は、各校のPTAや地域住民らの合意を前提に、交通事故の多発地帯や人通りの少ない場所など、十分に協議を重ねていただきたいと思います。

 そこで伺います。これまでの学校外における安全確保の取り組みについて、実施の状況、効果と課題をお聞かせください。

次に通学路における防犯カメラ設置に対する区の考えをお示しください。

最後に学校教育において、校外で身を守ることの指導の取り組みについて、ご所見を伺います。

 学校でのご指導をもとに、地域の見守り活動と防犯カメラで、子どもの安全を守りぬく決意を新たにしたいと願うものです。

 以上で私の一般質問全部を終わります。ご清聴ありがとうございました。

 

高野区長・教育長・関係部長答弁

ただいまの、西山陽介議員のご質問に対して、お答え申し上げます。地域包括ケアシステムの構築についてのご質問のうち、まず、介護保険事業計画における第5期計画の実施状況と、2025年度に向けた推計及び第6期計画の目標についてのご質問にお答えいたします。
平成24年度を開始年とした「第5期介護保険事業計画」で重点課題として掲げられた認知症支援策の充実、介護予防の推進、地域での在宅生活の支援強化、地域支援サービスの向上に取り組んできた結果、それぞれの領域で一定の成果を上げるに至っております。
特に、地域密着型サービスとして24年度から他の自治体に先駆け、一早く取り組んだ「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」事業では、住み慣れた地域で24時間365日の介護、看護を受けられ、在宅生活を継続することが可能になりました。訪問看護との連携等の課題もございますが、26年8月末現在、3事業所で50人の方がサービスを利用されている状況であります。
現在策定中の「第6期計画」は、本年6月に成立した、いわゆる「医療介護総合確保推進法」の規定に基づき示された基本方針をもとに、第5期の取り組みをさらにおし進め、医療と介護の連携や、様々な生活支援の担い手による多様なサービスの提供を目指す「地域包括ケア計画」として位置づけられるものであります。
本年1月には「介護保険アンケート調査」を行い、区内の一般の高齢者、介護サービス利用者等5,000名に対し、介護に関する意向や生活状況、また、ケアマネージャーには感じている課題などを伺いました。これらの貴重な意見も計画に生かしてまいりたいと考えています。
また、この計画の中では、2025年度(平成37年度)までの中長期的なサービス・給付・保険料の水準を推計し記載することを求められています。
現在、今後の高齢者人口の増加や、要介護者の増加割合の推計を始めたところでありますが、10年後の水準をできるだけ正しく捉えるためには、介護報酬の改定率や介護職員の処遇改善に係る財源など、今後示される国の政省令の情報を織り込んでいくことが重要になります。
2025年度における人口動態の状況等を可能な限り把握し、保険給付の在宅・施設サービスだけではなく、多様な主体による生活支援サービスの提供、高齢者もサービスの担い手として参加できる制度設計など、高齢者が要介護の状態になっても住み慣れた地域で生活していくことが可能となるような目標値をお示しできるよう、鋭意取り組んでまいります。

次に、生活支援コーディネーターの配置・活用などの取り組みについてのご質問にお答えいたします。
新しい生活支援サービスでは、これまでの専門職によるサービスに加え、ボランティア、NPO、民間企業や社会福祉法人等の多様な主体によるサービスの提供が必要となってきます。
サービス提供体制の構築に向けて、生活支援の担い手の養成やサービスの開発、関係者のネットワーク化等を進めていく必要がありますが、この役割を担うのは、本区が先駆的に導入し、これまで地域で同様の機能を果たしてきたコミュニティソーシャルワーカー(CSW)が最も相応しいと考えています。
このコミュニティソーシャルワーカーは、現在は8つの地域包括支援センターの圏域のうち6圏域に、社会福祉士又は精神保健福祉士を1圏域に2名ずつ、合計12名を配置していますが、来年度には区内すべての圏域、8圏域に展開し、地域包括ケアシステムを強力に推進する体制整備が完了いたします。
本区におきましては、コミュニティソーシャルワーカーが地域で果たしてきた機能をさらに発展させる形で、平成27年度から、区全体を統括する第1層のコーディネーター、及び地域単位の第2層のコーディネーターを配置し、多様な主体による充実したサービス提供体制の構築を進めていきます。
また、地域ごとのサービス提供主体等が参画した「協議体」についても27年度から設置し、「生活支援コーディネーター」を組織的に補完するとともに、多様な主体間の定期的な情報共有や連携強化を図っていきます。
次に、多様な施設サービスの必要数や特養整備の今後の方向性と、既存施設の建て替えについてのご質問にお答えいたします。
「養浩荘」は、区内初となる特別養護老人ホームであり、本区の福祉を支える存在であることは、私もそのように考えております。開設から30年以上が経過し、近年、老朽化が目立ってきております。現在地での建て替えにはいくつかの法制度上の課題を抱えているうえ、その工事期間中は入居者に別の施設等に移っていただく必要も生じます。こうした苦しい思いについては、かねてより法人から耳にしているところであり、区といたしましても入所定員数確保の観点から、可能な限りの支援をしてまいります。
ご指摘にもありますように、既に施設は地域に深く根差したものとなっており、可能な限り現在地に近い立地が望ましいと考えています。区内で建て替える場所を考えますと、防災目的で確保している約2000㎡の用地が、候補の一つとして挙げられます。もちろん、取得に至った経過や近隣との調整など解決していかなければならない困難な課題もございますが、課題を乗り越えて特別養護老人ホームの用地として活用するために知恵を絞るように担当課に指示をしたところです。
今後も、既存施設の老朽化については、個々の状況を把握するとともに、区として果たすべき責任の範囲を見極めながら、法人と協議をしていく必要があると考えております。
こうした特別養護老人ホームをはじめ、認知症対応のグループホームや小規模多機能型施設などの必要数については、今年度末に策定予定の介護保険事業計画に明記してまいります。一方、特養ホームの整備につきましては、基本的に、広域施設を所管する東京都の役割でもありますし、また、国においてもさまざまな議論が展開されておりますので、長期的にはこうした動向も踏まえる必要があると考えます。あわせて、こうした動向を区民の皆さんにお伝えすることも含めて、わかりやすい表現に努めてまいります。

次に、これからの介護予防の考え方についてのご質問にお答えいたします。
介護予防はこれまで、心身機能を改善することを目的とした機能回復訓練は充実していたものの、一人ひとりの生きがいや、自己実現の視点については必ずしも十分とは言えませんでした。
現在検討中の新しい総合事業では、高齢者もサービスの担い手となることにより、支援を必要とする方のニーズが満たされるだけではなく、担い手自身も新たな役割を果たすことになり、結果的に介護予防につながっていくことが期待されます。
このように、今後の介護予防では、機能回復訓練などの心身機能へのアプローチを充実する一方、地域の中で生きがいや役割を持って生活できるような居場所づくりや出番づくりを進めていくことが、大変重要であると考えています。

次に、介護予防手帳の導入についてのご質問にお答えいたします。
介護予防につきましては、急性期・回復期の機能回復訓練だけでは効果は一時的なものにとどまり、日頃から予防の取り組みを継続することこそが大きな意味を持ちます。
高齢者が、必要な支援やサービスを選択、利用しながら、自らの機能を維持向上するよう努力し続けるためには、本人や周囲の支援者が心身の状況等を把握し、支援の方針や目標を共有できるツールが必要であります。
そのツールとして、健康診断の結果やサービスの記録等を1か所にまとめられる「介護予防手帳」は大変有効であると考えられ、新しい介護予防事業の検討と併せ、導入に向け検討を進めていきます。

次に、今後の介護予防事業への取り組みについてのご質問にお答えいたします。
区民が主体となる体操教室などの通いの場は、高齢者自身が一定の知識を取得し指導役を担うことにより、役割や生きがいを認識できるとともに、高齢者同士の助け合いや学びの機会としても魅力的な場となります。生活支援コーディネーター等の活動を通じ、区民ひろばなどを中心に、地域ごとに区民が主体となる通いの場を増やせるよう積極的に取り組んでいきます。
また、リハビリテーション専門職が、参加者に合わせた安全な運動方法等について適切な助言を行うことにより、活動の質が高まるとともに、生活機能の低下した高齢者などの参加にもつながっていきます。
しかし、リハビリテーション専門職の必要性が高まる中で、人材不足が懸念され、十分な人数を確保していくことは今後の課題となってきます。
そこで、大学や専門機関などとの協議を進めるなど、専門職確保策を探るとともに、効果的な活用方法等についても検討していきます。

次に、今後の医療・介護連携の機能と体制整備についてのご質問にお答えします。
「医療介護総合確保推進法」の第3条に基づく「総合確保方針」では、基本的な考え方の中で、「効率的で質の高い医療提供体制と地域包括ケアシステムの構築」を車の両輪と位置づけ、急性期の医療から在宅医療・介護までのサービス整備を進めていくことが求められています。
目標達成に向けては、区が定める介護保険事業計画と、都が定める介護保険事業支援計画及び医療計画との整合性を確保しつつも、保健福祉の分野に限らず、高齢者が住み続けられる「施設」や「まちづくり」の視点から、体制の整備を図っていくことが必要です。
他地域の事例ではありますが、東京大学なども参画し、要介護になっても介護サービスを受けながら住み続けられる「サービス付き高齢者住宅」に、在宅医療診療所や介護サービス事業所、地域包括支援センターなどを併設した取り組みの報告も見受けられます。
本区におきましても、有料老人ホームに関心を示す事業者からの問い合わせに対し、訪問看護ステーションの併設などを提案しているところです。
今後、木造密集地域などの不燃化に伴い、地権者によるまちづくりの機運が高まりますので、関連部局と情報共有等の連携強化を図り、地域福祉の拠点となる機能や体制整備について検討していく必要があると考えています。

次に、医療・介護の人的交流や情報連携についてのご質問にお答えいたします。
「地域包括ケアシステム」の実現のためには、医療分野と介護分野の密接な連携が最も重要です。
本区では医療・介護の連携を推進するため、「在宅医療連携推進会議」を設置し、在宅医療に関する課題の検討や情報交換を通じ、医療及び介護関係者が相互理解と交流を深めております。
さらに、在宅医療に関わる介護職員の医療知識と医療関係者とのコミュニケーション能力の向上を目的とした「在宅医療コーディネーター研修」を実施しております。連携を深めるため、研修の修了者を講師として活用した講座の開催や、医療・介護連携のリーダーの育成を進める必要があると考えています。
情報連携につきましては、平成24年10月に医師会館に設置された「在宅医療相談窓口」が医療機関に関する情報を集積し、高齢者総合相談センターとも密接な連携を取りながら、医療・介護関係者の問い合わせに対応し、両分野の架け橋とも言うべき役割を果たしています。
今後、さらに効率的な情報連携を図るため、現在医師会が中心となって試行実施している「SNSを活用した多職種連携による患者情報の共有システム」への参画についても検討してまいります。

次に、今後の認知症対策に必要な体制整備についてのご質問にお答えいたします。
認知症につきましては、本人や家族への支援を包括的・継続的に実施する体制を構築するとともに、早期からの適切な診断や対応につなげていく仕組みづくりが大変重要となります。
ご指摘のオレンジプランに掲げられている「認知症初期集中支援チーム」は、複数の専門職が認知症の疑いがある人を訪問し、専門医による診断を踏まえ、本人や家族に対する初期支援を包括的・集中的に行おうとするものであります。
本区におきましては、前段階として今年8月から東京都の補助対象となる「認知症早期発見・早期診断事業」を実施しており、その成果を検証する中で今後支援体制を整備し、国が計画している事業への移行を進めていきます。
また、「認知症地域支援推進員」は、認知症の人ができる限り住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう、地域の医療機関、介護サービス事業所や地域包括支援センターなどの間の連携を支援することを役割としています。
これからの認知症対策の中心的な役割を果たしていく存在とも言え、来年度からの設置に向け検討していきます。

次に、住民のネットワークづくりの取り組みについてのご質問にお答えいたします。
認知症又は認知症の疑いなどによる行方不明者は、一昨年1年間で全国で1万人を超えるなど、徘徊など高齢者の問題行動が大きな社会問題となっています。
「徘徊SOSネットワーク」は釧路市が最初に立ち上げたもので、警察や協力機関の連携により、徘徊高齢者を発見しようとする仕組みであります。
本区におきましては、「見守りと支えあいネットワーク事業」を実施し、民生委員、ボランティアや配達事業者等の協力のもとに、平常時の見守りを重視してきています。
認知症高齢者の徘徊等につきましては、このネットワークのほかにも様々な対策を講じてきていますが、今後、一人暮らし高齢者や認知症高齢者が増える状況において、ネットワークの一層の強化が求められています。
そこで、地域の関係者が集まって地域の課題について話し合う「地域ケア会議」において、現状を踏まえた徘徊高齢者対策について研究を進め、地域の実態に合った、より効果的なネットワークづくりにさらに取り組んでいきます。

次に、街づくりと公共交通についてのご質問のうち、北池袋駅周辺の整備についてのご質問に、お答えいたします。
補助82号線は、東武東上線とのアンダーパスによる立体交差化が計画されています。このため、北池袋駅へは、補助82号線の側道と既存の区道を介して接続することになり、駅前空間や駐輪場などの確保とともに、駅へのアクセスなど様々な課題が生じるものと認識しています。
今年の6月に、東京都による地元説明会で、この立体交差化が明確に示されましたので、区としては、8月から、東武鉄道との協議を含めた駅周辺の街づくりについて、調査及び検討をスタートさせたところです。
具体的な解決策となる街づくり手法について、今年度内に整理した上で、地元の皆さんとの検討会など協議の場を立ち上げ、課題解決に向け積極的に取組みたいと考えています。
なお、私からの答弁は以上ですが、その他の質問につきましては、両副区長から、教育委員会の所管に属する事項につきましては、教育長から答弁申し上げます。
子ども・子育て支援新制度についてのご質問のうち、まず、今後の認可保育所の確保策と待機児童解消に向けての決意についてのご質問にお答えいたします。
待機児童を解消するための受入枠数は、昨年度、区内の子育て世帯を対象に実施したニーズ調査の結果をもとに、子ども・子育て会議にて議論してきました。
区は、遅くとも平成29年度当初までに待機児童数をゼロにする方針でありますが、そのためには、今後2年半で約1000人分の受入枠の拡大が必要になります。それだけの拡大をするためには、認可保育所を10園ほど、小規模保育所を18園ほど誘致せねばなりません。
これだけの数の保育施設を、しかも2年半という短期間で誘致するためには、これまで以上に全庁が一丸となって取り組むことが必要になります。そこで、子ども家庭部長が委員長の子ども・子育て支援検討会議を発展的に解消し、私が本部長となる子ども・子育て支援対策本部を設置することといたしました。本部がリーダーシップを発揮することにより、子ども子育て支援新制度への対応とともに、待機児童対策に万全を期したいと考えております。
これらの保育施設を出来るだけ早く誘致することで、待機児童をゼロにし、住みたいまち、住み続けたいまち、子育てしやすいまちを目指す決意であります。

次に、地域型保育施設設置については柔軟な方針を望むことについてのご質問にお答えいたします。
地域型保育施設については、もともと100平方メートル未満の小規模なスペースで保育が行われることが多く、小規模なスペースゆえに、誰でもトイレの設置などバリアフリー法を適用してしまうと、その分定員が減ってしまい、地域型保育事業の運営に深刻な影響が出るケースも想定されます。
また既に、小規模保育事業を区内で実施したい複数の事業者からも法の適用の有無について相談を受けております。このため、厚生労働省に法の適用について確認したところ、「法適用の対象にするか否かは各々の自治体の判断になる」との回答でした。
したがいまして、この件については現在、保育部門と建築部門で協議を重ねており、待機児童解消のため、早急に答えを出したいと考えております。

次に、新制度における地域型保育施設の方向性についてのご質問にお答えいたします。
地域型保育施設は2歳児までが対象であり、卒園後の受け皿が問題となることは、ご指摘のとおりです。
新制度では、連携する保育所に、地域型保育施設の卒園時の受入枠を設定することが求められておりますが、この受入枠の確保が困難な場合には、必要な支援を適切に行う取扱いにより、5年間の経過措置が認められます。
この適切な取扱いには、保育所等の利用調整において、地域型保育施設の卒園児が継続して保育を受けられるよう優先度を高めることも該当しますので、本区といたしましては、この経過措置の規定を適用し、保育所入所基準指数に係る調整において加点対象とし、優先度を高めることで、預け先で苦慮しないようにしたいと考えております。

次に、新制度移行に対する区の考え方についてのご質問にお答えいたします。
保育の必要性の事由につきましては、国の基準を準用することとしており、子ども子育て会議においても了承を得ています。
また、新制度では、新たに認定申請の手続きが必要となりますが、区民の負担感を考慮し、利用申込みと同時に認定申請を受け付けるなど、これまでの制度と比較し、取扱いが大きく変わることがないようにしてまいります。

次に、優先利用要件が適用される場合についてのご質問にお答えいたします。
国は、自治体が保育所等の利用調整を行うにあたって、虐待又は DVのおそれがあり社会的擁護が必要な場合、子どもが障害を有する場合、育児休業を終了した場合、小規模保育事業など地域型保育事業の卒園児童の場合などの項目を優先利用要件とする考え方を示しています。
本区におきましても、国の考え方に基づき、これらの項目を保育所入所基準指数に係る調整指数とすることにしたいと考えております。

次に、パート就労者の就労時間と日数の下限についてのご質問にお答えいたします。
就労時間の下限については、月48時間から64時間までの範囲内で各自治体が定めることができますが、多様な就労形態や保育ニーズに対応するため、本区においては、最下限を48時間に設定することにいたします。
また、就労日数の下限については、月12日、週3日を原則とすることを考えています。

次に、認定こども園設置に対する取り組みについてのご質問にお答えいたします。
認定こども園は、昨年行ったニーズ調査の結果を見ても、
一定の需要があります。新制度においては、事業者から認定こども園の設置について提案があって、設置基準を満たしていれば、ニーズがある限り、認可を拒めない仕組みとなります。
区内の私立幼稚園の中には、認定こども園への移行を考えている法人もあるようですので、設置の提案があれば、積極的に対応してまいります。また、区には認定こども園がありませんので、認定こども園の普及には一層力を注いで参りたいと考えております。

次に、一時預かり事業と病児・病後児保育の今後の展開についてのご質問にお答えいたします。
新制度では、一時預かり事業と病児・病後児保育についても、ニーズ調査の結果をもとに平成27年度から31年度までの5年間の供給計画を作成することになっています。
一時預かり事業については、既存の幼稚園や保育園、東西子ども家庭支援センター、ファミリーサポートセンター事業に加え、来年度には私立認可保育園2園で新たに一時保育を開始することで対応の強化をしてまいります。
また、病児・病後児保育については、来年度に病後児保育施設を1か所増設して4か所とするほか、平成28年度からは訪問型病児保育サービスを利用する場合の利用料の助成制度を始める予定でおりますが、こうした事業の拡充をベースに一時預かり、病児・病後児保育の供給計画を策定して参りたいと考えております。

次に、放課後児童クラブの質と量の確保における今後の見通しと方向性についてのご質問にお答えいたします。
本定例会に上程し、ご審議いただく条例の内容は、国の基準に準拠するもので、区の放課後児童クラブは、すでにその国の基準を満たしておりますが、研修体制の充実による放課後児童支援員のレベルアップを図り、より一層の質の向上に努めてまいります。
また、量の確保につきましては、平成27年度に約2,100人を確保できる見込みで、ニーズ調査に基づく平成31年度の必要量をすでに上回っています。しかし、各クラブ個別・固有の対応が必要な場合もありますので、学校と連携を図りながら、量の確保に努めてまいります。

次に、「新1年生応援保育」の設置拡大についてのご質問にお答えいたします。
今年度、新1年生応援保育を利用された保護者へのアンケート結果によると、「子どもの放課後に対する不安の解消に役立った」と答えた保護者の割合が約94%となり、本事業が利用者から大変評価されていることが改めてわかりました。
こうしたことを踏まえ、来年度につきましては、現在の4か所から8か所に倍増いたします。
今後も保護者のニーズを取り入れながら、「新1年生応援保育」を充実させてまいります。
街づくりと公共交通についてのご質問のうち、まず、「池07系統」の存廃の基準となる指標についてのご質問にお答えいたします。
地域公共バスである「池07系統」の社会実験は、区西部地域と東池袋地域をダイレクトに結び、池袋副都心地域を回遊するバス路線の実現により、特に、高齢者等の交通弱者の移動手段の充実並びに、地域の活性化を図ることを目的に、平成23年度に始まり現在4年目に入っております。
社会実験を終了するのか、運行を継続するのかの存廃の基準つきましては、地域公共交通会議の場で協議を重ねてまいりました。その結果、運行継続の基準について、2つの指標を用いて判断をいたします。まず、第1に、「池07系統」が「利用されているのか」を視点に評価指標を「収支率」とし、収支率が40%を下回らないこと。第2に、「池07系統」が「事業目的を果たしているのか」を視点に、評価指標を「利用者の主要施設への行きやすさに対する満足度」とし、満足度が50%を下回らないことといたしました。これら2つの評価指標が2年続けて下回った場合には、地域公共交通会議で協議し、最終的には区が存廃の判断をいたします。なお、社会実験の期間中、いずれの評価指標も基準を下回った年はございません。

次に、公共交通不便地域でのコミュニティバス導入の必要性についてのご質問にお答えいたします。
豊島区は、鉄道や地下鉄、バスなどの公共交通機関がいくつも乗り入れしており、23区のなかでも公共交通を利用するには大変便利な地域であると考えております。しかしながら、駅やバス停から少し離れている公共交通不便地域もあることから、移動制約解消の必要性については、理解しております。コミュニティバス導入の可能性については、地域公共交通会議の場で、導入の可能性について検討しておりますが、道路の幅が狭く物理的に運行が困難な場所や、既存のバス路線との競合など技術的にクリアしなければならない課題がございます。今後も、移動の制約解消の方法につきましては、地域の声を把握し、地域特性や需要に応じて何ができるのか、引き続き検討してまいります。

次に「池07系統」ルート変更による利用者の推移と効果についてのご質問にお答えいたします。
補助172号線西池袋通りへのルート変更に伴い、「池07系統」は新たに3つのバス停を経由することとなりました。毎年実施している乗降客調査において、江古田二又発サンシャインシティ南行きを例にとりますと、3つのバス停の利用者は、平成25年度88名から平成26年度164名と増加しており、ルート変更により公共交通不便地域解消に寄与したと理解しております。

次に、将来の街づくりを見越した公共交通のあり方の具体的検討についてお答えいたします。
公共交通は、基本的には運送事業者が、利用者の需要を見越して運行していくものと考えており、行政によるコミュニティバスの運行は運送事業者の経営に不利にならないよう配慮が必要であると考えております。しかしながら、交通不便地域においては、運送事業者に任せるだけでなく、必要に応じて区が積極的に関与し、移動制約解消に何ができるか検討してまいります。
特定整備路線の整備によりバスの走行が可能な道路が開通した際は、運送事業者に新たな路線の開業や既存経路の変更を働きかけてまいります。併せて、移動制限地域解消のため必要に応じて、「池07系統」存廃の基準に用いた2つの評価指標を見極めながら、コミュニティバス運行の可能性を検討いたします。

次に、「都02系統」を上池袋経由の池袋駅延伸とするための東京都との協議についてのご質問にお答えいたします。
かつて、池袋東口から明治通りを北上し、宮中公園通りに右折し、大塚駅を経由して御茶ノ水方面に向かう「茶60系統」が運行されていましたが、昭和54年に経路変更により池袋駅東口、大塚駅間が廃止になった経緯がございます。上池袋方面から大塚駅方面へのアクセスの向上について、地域からの要望があることは理解しております。どのようなバス路線においても、どれだけの利用者がいるのか、需要がどの程度見込めるのかが重要になってまいります。「都02系統」の延伸につきましては、地域の皆さんの声を伺いながら、解決すべき問題は何かを検討しつつ、必要に応じて東京都と協議してまいります。

次に、雲雀が谷踏切の上池袋側の鉄道敷地の購入についてのご質問にお答えいたします。
ご質問にありました鉄道敷地は、約9,600平方メートルの規模で、平成19年頃にJR貨物からJR東日本が取得していますが、現在は埼京線に隣接する未利用地となっています。
将来の活用について、改めてJR東日本に確認したところ、列車運行のための維持管理など、鉄道事業用地として管理をしていくとのことです。
したがいまして、遊歩道としての購入は大変難しい状況だと考えております。
しかしながら、特定整備路線の整備を契機とした街づくりを実践していく区としては、地元の皆様のご意見をうかがいながら、一つでも多くの地域の課題を解決できるよう取り組んでまいります。
引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問に対しまして、お答え申し上げます。
学校外における安全確保についてのご質問のうち、まず、学校外における安全確保の取り組みに対する実施の状況や効果及び課題についてのご質問にお答えいたします。
登下校は保護者にとりましては、我が子が犯罪に巻き込まれないか大変心配ですし、学校にとっても学校管理下にあることから、交通安全や危険な場所の危機管理は大変重要な課題であります。したがいまして、通学路には、従来から通学案内員を配置したり、各学校で作成する通学路の安全マップを基に学校と教育委員会とが通学路の安全点検を実施したりしております。
ところが、京都府亀岡市で発生した通学路における悲惨な交通事故がきっかけとなり、平成24年度、全小学校区において、関係する学校、PTA、地域、道路管理者、警察、教育委員会が合同で、通学路の大規模な安全点検を実施いたしました。さらに、平成25年度からは、3年毎に、全小学校が一巡するよう、合同点検を継続して実施し、安全確保に努めております。
その効果といたしましては、学校や教育委員会だけでは解決できなかったカーブミラーの未設置カ所や自転車ストップマークの未設置という問題が、所管間のスムーズな連携によって、迅速かつ適切に解決されてまいりました。
残された課題としては、スクールゾーンへの車両進入や違法駐車、不審者の度重なる出没などの問題があります。今後とも、警察との連携を図り、スクールゾーン時間の徹底や取締りの強化パトロールなど、事故の未然防止に努めてまいります。

次に、通学路における防犯カメラ設置についてのご質問にお答えいたします。
通学路における防犯カメラの設置は、子どもを犯罪から守る抑止力となり、児童・生徒の安全確保をより一層有効にするものと認識しております。従いまして、来年度より、通学路防犯設備整備事業を活用して、防犯カメラを計画的に設置してまいります。また、町会単位で進めている豊島区地域見守り活動事業等の防犯カメラ設置助成制度を活用した防犯カメラ設置事業とも調整を図ってまいります。

次に、学校教育における校外で身を守ることの指導の取り組みについてのご質問にお答えいたします。
校外で身を守ることの重要なポイントは、子ども自ら危険を予知し、回避する安全行動力を身に付けていくことにあります。
そこで、各学校におきましては、年間指導計画にセーフティ教室を位置付け、不審者から身を守るロールプレイやスクールサポーターからの講話等、具体的な場面に応じた行動の仕方を学んでおります。これらの実践は、安全・安心メールで活用され、犯罪から子どもの事故の未然防止に役立っております。また、危険な場所や交通量の多い場所など、注意を払うべき場所の情報を共有し、子どもや保護者、学校が協働して「地域安全マップ」を有効に活用しております。また、インターナショナルセーフスクールに学んで、不慮の事故に巻き込まれないように合同ルールを定め、事故やけがの未然防止に努めております。
以上をもちまして、西山陽介議員のご質問に対する答弁を終わります。