R6年決算特別委員会10/8 総括質疑
ふるさと納税制度・不合理な税制改正の令和5年度の影響額
○辻薫委員 公明党の辻薫でございます。
まずは、能登地域の豪雨災害でお亡くなりになった皆様の御冥福を心からお祈り申し上げるとともに、被災されました方々に衷心よりお見舞いを申し上げます。公明党は、石井新代表の下、被災地の一日も早い復旧・復興に全力で取り組んでまいります。
さて、今日からの決算特別委員会に私ども公明党からは島村高彦委員長、ふまミチ副議長、そして私の3名で審議に臨んでまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
最初に、令和5年度予算について振り返ります。私は、予算特別委員会の総括質疑の際に、その特徴を確認したところ、区政100周年に向け、本区がこれまでに進めてきた文化による経済の好循環を生み出すまちづくりにより税収増を達成し、その財源を福祉・健康・教育といった区民の暮らしを守っていく施策に充てることで、区民サービスの充実を図っていくことを意図して編成してるとの答弁をいただきました。そして、令和5年度決算歳入のうち特別区税、特別区財政調整交付金を見てみますと、ともに過去最大を更新し、一般財源歳入総額では前年度に比べ36億円の増、4.0%のプラスとなる947億円となりました。まさに税収増を達成しているところですが、その要因についてお聞かせください。
あわせて、決算資料、区財政の推移と現状には、この二大基幹歳入は景気の動向に左右されやすく不安定であり、今後の需要等を踏まえると、標準財政規模の2割以上の財政調整基金残高を確保することが大切であると、このようにあります。この2割とする、この理由をまずお聞かせいただきたいと思います。
○ぬで島税務課長 まず、区税収入のうち大部分を占める特別区民税の歳入額、こちらが増加している理由でございますけれども、賃金上昇を背景といたしまして、給与所得者を中心に課税所得が増加してございます。こういったことから、納税義務者数と一人当たり課税額、こちらがどちらも増加してることが要因でございます。
○坂本財政課長 財政調整交付金の増加につきましては、市町村民税法人分や固定資産税などの調整税が堅調に推移したことが影響していると考えております。
また、標準財政規模の2割以上、財政調整基金残高を確保する理由でございますが、平成20年におきましては、リーマンショックによりまして特別区民税と特別区財政調整交付金が大きく減額し、その影響は複数年続きました。このとき、この減額の幅というのが標準財政規模の2割ぐらいというようなところでございます。過去の財政危機の経験を踏まえて、リーマンショック級の急激な歳入環境の変化に対しましても複数年耐え得る積立額として、財調基金残高の目標を標準財政規模の2割とさせていただいております。
○辻薫委員 過去の経緯もあってということでの2割ということが確認できました。このように特別区税は過去最大を更新したものの、ふるさと納税制度による特別区民税課税額への影響額は増加の一途であり、5年度は25億円と、看過できない状況です。ふるさと納税をしている若い世代の方々に伺ったところ、お米など食品の返礼品を目当てにふるさと納税をしていて、生活費の一部となっているということで話をしておりました。本区は過度の返礼品競争は反対の立場ですが、5年度より返礼品を活用したふるさと納税の寄附募集を開始しました。まずは、5年度の本区へのふるさと納税額と6年度の推計額とともに、返礼品の取組についてお聞かせください。
また、改めて、本区におけるふるさと納税制度に対する基本的な考え方につきましてもお聞かせいただきたいと思います。
○大根原生活産業課長 それでは、私からは、5年度のふるさと納税額と6年度推計額ともに返礼品の取組についてお答え申し上げます。
まず、返礼品を活用したふるさと納税は、令和5年度は72件、275万8,000円、6年度は9月末までで463件、2,028万3,000円となっております。今後、年末の駆け込み需要が見込めるものの、年明けは反動減があるため、推計は大変難しいんですけれども、下半期が上半期と同等と見込めば、年間で4,050万円程度を見込んでおるところです。また、今年度はふるさと納税ポータルサイトを追加しまして、現在7社のサイトでコスプレ体験や伝統工芸など63事業者、310品を登録しております。今後も体験型など、豊島区の魅力や施策にマッチした返礼品を開拓していきたいと考えております。
○澤田企画課長 私からは、ふるさと納税制度に対する基本的な考え方についてお答えいたします。
このふるさと納税制度につきましては、当初、華美な返礼品で寄附を集めるというような形でふるさと納税制度を活用することにつきましては、本区といたしましても反対の立場を取っておりまして、これまでも特別区長会を通じて国に対し抜本的な制度の見直しを求めてまいりました。一方、流出額が増大したことから、苦肉の策といたしまして、昨年度から、ただいま申し上げたとおり生活産業課に担当係長を設置いたしまして返礼品の拡大、さらにふるさと納税サイトの充実に取り組んで、進めているところでございます。
○辻薫委員 様々、今、取り組んでいただいてると思いますけど、やはり影響額が大きいということで、その取組も今、確認できたところでございます。
また、ふるさと納税とともに歳入環境に依然として大きな影響を及ぼしてるのが、法人住民税の一部国税化と地方消費税の清算基準の見直しの3つの不合理な税制改正です。まずは、令和5年度の豊島区における影響額についてお示しください。特別区は、持続可能な都市の発展のために取り組む喫緊の課題や将来的な課題が山積しております。備えとしての基金残高や税収の多寡という側面のみ焦点を当てて、あたかも財源に余裕があるとする議論は容認できません。豊島区は23区、東京都と共に地方創生への推進と税源偏在是正の名の下に進められた、これら税制改正の不合理性を強く表明し、引き続き国に是正を求めるべきと要望いたしますが、この点につきましてお考えをお聞かせください。
○坂本財政課長 まず、不合理な税制改正の令和5年度の影響額でございます。法人住民税の一部国税化で61億円、地方消費税清算基準の見直しで13億円、ふるさと納税で25億円、合計で99億円でございます。その影響額は年々増加傾向にございます。
続きまして、税制改正の不合理性につきましてですが、国は大都市と地方の財源偏在の是正という名目の下、特別区と東京都から一方的に財源を吸い上げております。地方財源の不足や地域間の税収格差の是正は、特別区をはじめとした大都市の財源を吸い上げるのではなく、国の責任において地方交付税財源の引上げにより調整するものであり、自治体間での対立を生むような措置は直ちに見直すべきものと考えております。特にふるさと納税の影響額は特別区全体で830億円、累計で3,600億円を超えております。様々な課題を抱えるふるさと納税制度は、廃止を含めた抜本的な見直しを行うべきではないかと考えております。
今後も特別区が連携し、東京都とも協力しながら国に対して特別区の声をしっかりと上げ、不合理な税制が是正されるように取り組んでまいります。
○天貝副区長 今の区のふるさと納税に対する考え方でございますが、先週、特別区の副区長会行いまして、今週は区長会が、その中でふるさと納税制度については一貫して23区統一して、ふるさと納税制度の不合理な税制によって特別区は貴重な税源を奪われ続けてるといった一貫した考え方でございます。また、国のほうは抜本的な改正を行わず、来年度ですか、ポイント等を付与するポータルサイトを通じた寄附募集の禁止を予定してるだけでございます。こういった中で、ふるさと納税制度は地方自治体の行政サービスに要する経費を地方住民が負担するという住民税の在り方を逸脱して地方自治の根幹を破壊するものであるということで、今後23区一体となって、23区区民全体に周知して理解をいただくという形を取っていきたいというふうに考えてございます。
不安定な国際情勢による原油価格、物価高騰、貯金と借金のバランス
○辻薫委員 ぜひしっかり取り組んでいただくよう、よろしくお願いしたいと思います。
また、予算時の総括質疑に戻りますけれども、私は既に、ウクライナ情勢の長期化に伴い、原油価格や物価の高騰など、区財政を取り巻く社会経済状況をどう捉えているのか確認の上、必要に応じて補正予算を組み、区民の生活を支援していくよう要望いたしました。そして、令和5年度は補正予算を第9号まで編成し、区独自の支援策を含めた、先ほども出ましたけども、物価高騰対策や学校給食の無償化、高齢者のフレイル対策の充実など、区民生活支援に積極的に取り組んでいただいたことを高く評価するところでございます。
しかし、先日、給与所得者ではない所得の低い方から、依然として続いてる物価高に生活が成り立たないとの声が私にも寄せられたところでございます。引き続きの物価高騰対策として、新政権発足後、早速、国においては低所得者向け給付を検討しており、先日、定例会が閉会した都議会においても対策が打ち出されたところでございます。豊島区としても物価高騰に対する新たな対策が必要であると考えますが、御所見を伺いたいと思います。
○澤田企画課長 不安定な国際情勢による原油価格、物価高騰、これは今後も継続することが見込まれております。東京都区部の消費者物価指数でございますが、生鮮食品を除く総合指数が前年度同月に比べ2.0%上昇しているところでございます。また、一人当たりの現金給与でございますが、7月の統計では31か月連続のプラスとなりまして、物価を反映した実質賃金、こちら2か月連続でプラスとなっているところでございます。先ほどもございましたが、石破首相の所信表明演説では、賃上げと投資が牽引する成長型の経済を実現するため、早急に経済対策を策定し、当面の対応として物価高の影響を特に受ける低所得世帯、こちらへの支援などを進めるという表明がございました。物価高対策は、まず国のほうで行うべきものであると区としては認識しているところでございます。しかしながら、区としても国や東京都の対策と併せまして、区民の皆様の生活を支えるため、区民の皆様の声を聞き、やるべきことを考え抜いた区民目線の予算を執行してまいりました。今後も引き続き社会経済状況、さらに国や都の動向、そして区民の皆様の声を踏まえ、しっかりと考え、必要な対策を行ってまいりたいと考えております。
○辻薫委員 ありがとうございます。もう常に区民目線という言葉もいただいておりますけれども、第2回定例会では東部地域における新たな学校改築方針について発表がありました。民間所有地を仮校舎地として20年間の期限付で、その間に仮校舎の整備から3校の改築、そして用地返還まで行うというものです。一方で、西部地域でも、現在改築中の千川中学校の次の要小学校まで改築計画が発表されております。現行では改築は1校ずつ行われておりますけれども、今後は計画期間内に複数校が重なることも予想されます。区財政の推移と現状によると、今後15年間で地区60年以上となる建物は、小・中学校、一般施設合わせて196施設中77施設に上るとしています。さきの新たな学校改築方針を含めた区施設全体の改築、改修計画を6年度末に策定する予定とのことですが、今後とも予想される建築費や人件費の高騰も踏まえて、中長期的な計画をどのように策定されるのか、区の考えをお聞かせください。
○宮本施設計画担当課長 学校を含めた区施設の改築、改修計画でございますが、今年度末に作成するため、検討を進めておりますが、施設の改築・改修事業、いわゆる投資事業でございますが、多額の経費が継続的に必要となるため、今後の財政運営に大きな影響を与えると認識しております。
また、現状の工事費の高騰を踏まえますと、これまで以上に計画的な財政運営が重要となりますが、計画に位置づける投資事業を着実に実施していくためには、将来世代との負担の公平性を考慮しながら、計画的な資金管理、金利の動向を踏まえた起債の活用など、中長期的視点に立った財源確保策を計画することが必要と考えております。こういった考えの下、学校を含めた区施設の改築、改修計画では、対象施設について財政フレームを示したいと考えているところでございます。
○辻薫委員 大変に難しいところだと思いますけども、しっかり中長期的な計画を立てて、また発表していただきたいと思っております。
財政指標の一つである公債費負担比率については、私が初当選した平成19年からしばらく9%前後で推移し、財政の硬直が続いておりました。24年度以降は特別区債の発行を抑制してきた効果が現れ、26年度には22年ぶりに23区平均値を下回ったものの、28年度以降は再び23区平均を上回る状況が続いております。令和5年度は、元金と利子を合わせて26億円を償還した結果、公債費負担比率は2.6%となり、23区平均の1.8%と比べ0.8%上回っております。これは、新たな借金は極力抑制するという高野区長の基本的な考えの下、起債額は対前年比で約半分となる22億円を計上し、財政調整基金19億円を活用することで貯金と借金のバランスを考慮したと伺ったところでございます。
改めて、本区におきます貯金と借金のバランスに対する考え方について、御所見をお聞かせいただきたいと思います。
○坂本財政課長 貯金と借金のバランスでございますが、まず他区の状況でございますが、区によって積極的に区債を活用して貯金、借金ともに多い、高いところでバランスを取るというような区もあれば、区債を活用しない分、貯金、借金ともに少ないというような区もございまして、そこは財政運営上の考え方の違いが出ているのかなというふうに思っております。考え方のポイントとなるのは後年度の負担、公債費をどう捉えていくかというところでございます。本区の場合、かつて公債費の返還に苦しめられた経験から、借金はなるべくしないというような形で財政運営をしてまいりました。また、金利が上昇局面を示す中では、積極的に借金をしていくというような姿勢もなかなか取りづらいというような状況になっております。一方で、多額の経費が継続的にかかる、学校をはじめとした区施設の改築・改修事業が控えておりまして、これまでのとおり借金はあまりしないで事業を実施するということは難しいと考えております。今後は、学校などその特性上、将来世代との負担の公平性の考えから起債しやすい施設や、起債の種類によって条件が変わってまいりますので、財政的に有利な条件で借り入れられる事業を優先しまして、起債借入額に合わせた基金の積立額を決定していくなど、社会経済状況の変化に柔軟に対応しながら、計画的な財政運営に努めてまいりたいと考えております。
○辻薫委員 今もう財政課長がおっしゃったとおり、豊島区は過去に起債に頼った財政運営の結果、財政危機を招いた苦い経験をしております。貯金が借金を上回るのに23年という長い期間を要してるところでございます。先ほど取り上げた新たな学校改築方針を含めた区施設全体の改築、改修計画や、市街地再開発事業に加えて、区民サービスの提供を着実に進めていくには、今後ますます中長期的視点に立った財政運営が求められます。
最後に、今後の財政運営について、高際区長の御所見を伺いまして、私からの質問を終了させていただきます。
○高際区長 現在、物価や工事費の高騰もございますし、賃金の上昇、利上げ、また、区民のニーズの複雑化、多様化と、本当にいろんな環境が変わっているところであります。私たち行政としては、まずもってその区民のお声、区民のニーズにしっかり応えていくというのが最大の課題でございますので、そのためにはソフト、ハードしっかりできるように財政基盤の確保というのが何より重要でございます。委員からのお話にもございましたとおり、過去の起債に頼った財政運営で財政危機を招いて、取り戻すまでに23年という大きなことがございました。財政課長申し上げましたとおり、区政運営に伴うその財政出動について、区債を積極活用する、あるいは活用せずに借金しないでやっていく、それぞれ首長、そして区議会、各区の判断になりますが、過去のその財政危機のことを思いますと、当時もいろんなお考えの中で決められてきたとは思いますけれども、後年度負担の観点ですとか、いつ何があるか分からない、その区民のニーズへどう応えていくという観点など財政基盤の考えなどについて、私は十分であったのかというところについては疑問を持ちます。
そうした事態を二度と繰り返さないという点からいたしますと、目の前の課題対応には迅速に対応しなきゃいけないとともに、これまで以上に中長期的視点というのを全ての部署で常に強く持っていかなければならないと、これを一番思っております。特に学校整備は、先ほども答弁申し上げましたけれども莫大な金がかかりますんで、基金の取崩しとともに区債の活用というのも必要になってまいります。それをいかに、金利のことも考えながら、幾ら、いつやるのかといったことも慎重に考えていかなければいけないと思っております。
かつての危機がありまして、それを乗り越えてきた、そうした教訓をしっかり受け止めながら、とにかく中長期的な視点、目の前の課題とともに中長期的な視点、これを全部署で共有して進めてまいりたいと思っております。