令和6年豊島区議会第1回定例会 一般質問・答弁 公明党 辻薫
「誰もが安全で安心して暮らせる豊島区に!」

 令和6年2月20日登壇

公明党の辻薫でございます。私は公明党豊島区議団を代表しまして、

「誰もが安全で安心して暮らせる豊島区に!」と題し、1.令和6年度予算について、2.防災・減災対策について、3.多文化共生の取り組みについて、4.子ども・子育て施策について、5.児童発達支援について、6.その他として、千川中学校複合施設に関して、一般質問を行います。

年が明けた元旦の夕刻、令和6年能登半島地震が発生しました。改めて、震災でお亡くなりになられた方々に対し、衷心より哀悼の意を表しますとともに、被災された方々に、心からお見舞いを申し上げます。

また、一日も早い復旧と復興をお祈り申し上げます。それでは、誰もが安全で安心であることを強く願って質問させて頂きます。

1.令和6年度予算について        

【質問】

最初に、令和6年度予算について伺います。

一般会計予算規模は、前年度予算比で167億8,400万円の増、12.3%のプラスとなる1,529億3,500万円となり、これまで最大規模であった令和元年度を越え、過去最大規模となりました。

また、3特別会計と合わせても、前年度に比べ158億8,300万円の増、8.1%のプラスとなる2,120億5,000万円となり、これも令和元年度を越え、過去最大の予算規模となっております。

令和6年度予算は、高際区長となって初めての予算編成です。定例会初日の招集あいさつ・所信表明で高際区長は、「区民生活を支えるため、区民の皆さまの声を聴き、区がやるべきことを考え抜いた、まさに区民目線の予算案」と明言されています。私ども公明党が重点要望としていた豊島区独自の出産費用の実質無償化もその一つとして大変に評価しているところです。

6年度予算の特徴の一つとして「さらに区民視点を重視した予算」と掲げられていますが、改めて高際区長の区民目線の予算への思いについてお聞かせください。

私ども公明党は、昨年の決算特別委員会において、先行き不透明な経済情勢の中で、増分主義ではなく、景気の悪化にも対応できる柔軟な財政運営を訴えておりました。その後の「令和6年度予算編成について(依命通達)」においても、「各部の枠配分予算が年々膨張する現状において、将来の歳入減や老朽化した施設の改修などを視野に入れながら、区政の未来を見据え、持続可能な財政構造を堅持するため、引き続き『身の丈に合った』予算編成に臨む必要がある。」と示されています。

そこで、令和6年度予算のもう一つの特徴である「積極的な編成による過去最大規模の予算」における、『身の丈に合った』予算編成の取り組み状況ついてお聞かせください。

決算特別委員会では、さらに公共施設について、区立小・中学校において今後10年間で建築後60年を経過する学校が全30校中20校になり、一般の公共施設でも今後10年間で建築後60年以上となる建物は、163施設中36施設であることを確認しました。

そして、今後も定期的に改築・改修を行うための中長期的な計画策定が必要であり、そのための財政の見通しもしっかり行っていくよう要望していたところ、令和6年度豊島区当初予算(案)の概要において、今後5年間の財政見通しが示されことを評価するところす。                       そこで、さらにその先の10年後を見据えて、中長期的に歳出と歳入のバランスのとれた安定的な財政運営を堅持するために、どのように取り組んでいかれるのか、最後にお聞かせ下さい。

【答弁・高際区長】

ただいまの、辻薫議員のご質問にお答えいたします。

初めに、令和6年度予算について、まず、私の区民目線の予算への思いについてです。私自身、副区長として3回の予算編成に携わりましたが、区長として初めて臨んだ令和6年度予算編成にあたっては、これまで以上に、区民の皆様の声を大切にし、区民目線に立って考え抜くことを、改めて強く決意して臨みました。

これを具現化したのが、区民提案制度により選定された「公園の日陰化」などの6つの事業や、子どもレターを受けての「公園アドバイザーの活用」による公園全体のプランづくりです。また障害者支援など、一つひとつの予算規模は小さくてもきめ細かな区民サービスを提供することで、これまでお声をいただきながらも十分に対応できてこなかった分野にこそ、力を入れております。

さらに、来年度の区政運営の方針を示す新規・拡充事業においては、本区の最重要課題のひとつである少子化対策・子育て支援について、今がまさに力の入れ時であるとの判断から、国や東京都が力を入れているタイミングも考慮した上で、子育て分野への充当を強化するなど、やるべき時に、しっかりと実施するという強い信念をもって、令和6年度予算を編成しております。

 

次に、「過去最大規模の予算」における身の丈に合った予算編成の取組状況についてです。

今回の予算編成は、区民の皆様の声をしっかりと聞き、区民目線から必要と考える予算の拡充を図りました。一方、身の丈に合った予算編成を継続していくためには、既存事業の不断なる見直しが不可欠です。予算編成にあたっては、再三にわたってのスクラップ・アンド・ビルドの検討、行政評価の予算編成への活用、枠配分予算の縮小による査定の強化などを実施しました。

既存事業の見直しは、事業廃止だけが目的ではありません。職員が事業の成果や区民の皆様からのご要望を踏まえ、事業のあり方を考え抜くことで、目的や対象が類似する事業の統合、あるいは実施方法の効率化などにより、コストを削減しながらもよりよい区民サービスを提供していくことが重要です。既存事業の検証、事業廃止や統合等の見直しは、今回の予算編成においては道半ばであると思っており、今後私自らが先頭に立って継続していくことで、来年度以降も身の丈に合った予算編成を行ってまいります。

 

次に、安定的な財政運営を堅持するための取組についてです。

安定した財政運営のためには、今後の歳入状況を適切に見通し、その歳入に見合った歳出規模を堅持することを基本に、臨時的な歳入・歳出の増減には、基金と起債による対応を図ることが肝要であると考えております。

今回お示しした今後5年間の財政見通しにおいて、特別区民税や特別区財政調整交付金などの基幹歳入は、昨今の社会経済情勢に鑑み、緩やかではありますが増加していくものと見込みました。しかし、これらの基幹歳入は、景気の動向に大きく左右される側面があることから、歳入環境には常に注視していく必要があります。

歳出は、適切に推計した歳入の範囲内での歳出規模、つまりは「身の丈に合った」歳出を継続していくことが必要であり、先ほど申し上げた既存事業の見直しを進めつつ、その見直しの効果を、さらなる区民目線による事業の展開につなげていく取り組みを今後も継続、強化していかなければならないと考えております。

基金と起債については、安定的な区民サービスの提供とともに、区民生活に密着した区有施設の計画的かつ着実な更新のため、戦略的に活用してまいります。将来の投資的経費の動向を踏まえた計画的な基金積立とともに、将来の区債の償還経費が財政の硬直化を招かないよう、経常収支比率などの財政指標や、貯金と借金のバランスに留意した中長期的な視点に立った財政運営を行ってまいります。

 

2.防災・減災対策について                

【質問】 

 2項目目に、防災・減災対策について質問します。

最大震度7、マグニチュード7.6を観測した能登半島地震から、50日が経過しました。石川県では、2月8日現在、亡くなられた方は241名でそのうち災害関連死は、15名になります。また、家屋被害は58,866棟に及んでいます。

家屋被害がこれほど甚大になった原因について、地震工学や地域防災の専門家である名古屋大学の福和伸夫名誉教授は、現行の耐震基準を満たさない古い木造家屋が多い地域で、極めて強い揺れが長時間続いたことが主な原因としています。

被害の大きかった奥能登地域は高齢化した過疎地であり、家屋の耐震化率は5割程度にとどまっています。施工業者が少ないため、昨年5月に発生したマグニチュード6.5の地震で受けた被害の修復ができていない建物もあったとのことです。

 

そうした状況で、木造住宅が苦手とする1~2秒周期の揺れを観測する所もあり、多くの建物が倒壊。また、震源地が陸地に近かったため、逃げる時間もないほどの早さで津波が襲来したことや、木造住宅密集地域で大規模火災が発生したことで被害が拡大しました。

そして、福和名誉教授は、地震被害を軽減するために必要なこととして、建物の耐震化を進めるべきだと主張しています。

 

そこで先ず、本区における耐震化の取り組みについて伺います。私は、令和4年第2回定例会で、首都直下地震等による被害想定を10年ぶりに見直したことを受けて、本区における耐震化率の向上の取り組みを質問したところ、令和7年度末までに「耐震性が不十分な住宅をおおむね解消する」ことを目標に掲げていると伺いました。

 

この目標を達成するには、建て替えによる自然更新だけでは難しい状況にあるため、「豊島区住宅耐震化緊急促進アクションプログラム」に基づき、令和4年度から4年をかけて耐震性が十分でない区内の約5,500戸の木造戸建て住宅の所有者に対し、職員が直接訪問したうえで、パンフレット等を活用して助成事業の説明を行うと答弁を頂きました。

 

その後の進捗状況をお聞かせ下さい。また、令和6年度予算では、新耐震木造住宅の耐震診断及び、耐震改修助成事業を拡充するとしていますが、その内容もお聞かせ下さい。

福和名誉教授は、併せて、「『家具を固定していないなんて非常識だ』と言われてしまう雰囲気を醸成したい。」として、個人ができる最優先対策として家具の固定を掲げています。この点についても、令和4年第2回定例会で、私は、首都直下地震等により被害が想定される死者数の内、約6割が家具等の転倒を回避できない、寝たきり等により避難できない、災害時要援護者とされていることから、感震ブレーカーの設置とともに、災害時要援護者への特段の配慮を要望しました。

 

その際、「『保健福祉部 災害時要援護者対策会議』において、現在、災害時要援護者名簿の作成及び更新、名簿に基づいた安否確認の方法や支援体制の構築、福祉救援センターの開設・運営などを検討しており、その検討の中で、必要な対策を講じてまいりたいと考えております。」との答弁がありました。その後の検討状況を確認するとともに、能登半島地震を受けて改めて対策の強化を求めますが、ご見解をお聞かせください。

 

能登半島地震では、液状化による被害も発生しています。2011年3月11日に発生した東日本大震災では、震源から遠く離れた東京都内でも、液状化が発生し、区部東部の5区で木造住宅が傾くなどの被害が生じました。

そこで、液状化による建物被害に関する周知についてお伺いします。

 

2月4日、池袋小学校で行われた救援センター開設・運営訓練に参加しました。能登半島地震後でもあり、当日は雨天にもかかわらず、多くの方が最後まで熱心に訓練に参加されていました。その際、町会役員の方から、簡易トイレについて要望がありました。

 

それは、「能登半島地震の被災地では、断水で避難所では簡易トイレを使用する際の衛生管理がうまくいかず、感染症が広がっている。その解決策として、水を使わずに排せつ物を密封出来る自動ラップ式トイレが設置され改善された。是非豊島区でも用意してほしい。」とのことでした。

 

トイレは、特に、災害弱者と言われる障がい者、女性や高齢者、子どものためにも配慮が必要であり、さらに、不特定多数の避難者とトイレを共有することでの、感染リスク対策としても、自動密封式の災害用トイレの導入を要望しますが、ご見解をお聞かせ下さい。

 

私が相談役を務める第9地区では、町会長7名のうち、3名が消防団員として活躍されています。先日も防災リーダーの育成について話題となり、現在区が推進している女性防災リーダーだけではなく、男女問わず防災リーダーの育成が必要であるとのことでした。

具体的には、防災士資格取得助成をもっと拡充してほしいとの要望がありましたが、区のご所見をお聞かせ下さい。

 

この項目の最後に、防災備蓄品について伺います。能登半島地震発生後、被災地のニーズに応じて区の備蓄品等を被災地に届けるなど、本区の被災地支援の取り組みに、改めて敬意を表する次第です。そこで先ず、防災備蓄品のうち、賞味期限が近づく備蓄食品類については、どのようにされているのか、お聞かせ下さい。

 

多摩市では、防災備蓄用食料品を活用して、障がい者就労支援施設が、お弁当にリメイクし、販売を行っています。リメイクしたお弁当の販売により、破棄されてしまう予定だった食料品の「フードロス解消」となるだけではなく、販売収益が施設の障がい者に工賃として還元され、「障がい者就労支援」にもつながっています。

 

こうした取り組みを推進しているのが、公益社団法人日本非常食推進機構です。同機構では、他にも賞味期限が近づいた大量のペットボトルの水を農作物などに使用するため、その作業をやはり障がい者就労支援として有効活用していると伺いました。

本区においても是非防災備蓄品の有効活用により、フードロス削減や障がい者就労支援の取り組みを実施するよう要望しますが、ご見解をお聞かせ下さい。

 

【答弁・野島建築担当部長】

私からは、防災・減災対策に関し、初めに、「豊島区住宅耐震化緊急促進アクションプログラム」の進捗状況と新耐震木造住宅についてお答えいたします。

アクションプログラムを策定した令和4年度は、南池袋、池袋本町、長崎二丁目を対象として耐震性確保の必要性の周知のための戸別訪問の目標値を550件、訪問実績は575件でした。

令和五年度は、南長崎、要町、残りの長崎地域を対象として戸別訪問の目標値を2000件、訪問実績は令和6年1月末時点で1268件です。本年度はまだ目標は達成していませんが、能登半島地震をふまえ、今後加速して戸別訪問を実施します。

新耐震木造住宅の耐震改修助成事業の拡充については、本区は長年、大地震時に倒壊する可能性が高い、昭和56年以前に建築された旧耐震基準の住宅の耐震改修工事費の一部を補助してきたこともあり、住宅の耐震化率は92%と全国平均を上回る状況にあります。一方、東京都は新たな被害想定で、平成12年以前に建築された新耐震基準の住宅を耐震化することで、更に人的、建物被害を低減できるとして、令和5年度より耐震化に取り組む区に対する補助制度を創設しました。このため、旧耐震基準の木造住宅の耐震化に加え、新たに、平成12年以前に建築された新耐震基準の木造住宅に対する耐震化助成制度を創設したいと考えています。

 

【答弁・田中保健福祉部長】

私からは、防災・減災対策に関し、災害時要援護者名簿の作成・更新など、能登半島地震を受けた対策の強化についてお答えいたします。

災害時要援護者名簿については、令和6年度中に新名簿システムを導入する予定です。これまで、名簿の更新は不定期でしたが、新名簿システムでは、2年に1度の更新を予定しております。また、発災直後、最も重要となる安否確認については、短時間により多くの安否確認ができるよう、あらかじめ登録された電話番号に一斉に発信できるオートコールと、AIを組み合わせたシステムの導入を検討しております。

福祉救援センターの開設・運営については、本年度、区内  介護事業者と災害対策連絡協議会の協定を締結し、福祉救援 センターの初動訓練や安否確認にかかる連絡訓練を実施したところです。また、近年頻発する台風等による風水害を念頭に、過去に浸水被害があった高田地域を対象とした個別避難計画のモデル作成にも着手しました。

なお、能登半島地震では、亡くなられた方のうち、家屋の倒壊や家具の転倒などによる圧死が全体の約4割を占め、建物が倒壊していなくても家具があちこちに散在し、けがや逃げ遅れたケースもあったと報道されているところです。こうした事例を受け、今後、作成する個別避難計画では、要支援者宅を職員などが訪問する際に、家具転倒防止器具設置の重要性をご本人に直接説明するなどの取り組みを行う予定です。また、器具の取り付けにあたっては、社会福祉協議会の「困りごと援助サービス」を紹介することで、普段の生活のちょっとした困りごとを地域の協力員に気軽に聞けるきっかけづくりにもなるよう、創意工夫しながら進めてまいります。私からの答弁は以上でございます。

【答弁・野島建築担当部長】

次に、液状化による建物被害に関する周知についてです。

武蔵野台地に位置する豊島区は比較的地盤が良好といわれていますが、東京都の「東京都建物における液状化対策ポータルサイト」によれば、液状化の可能性がある地域が区内に若干ですが存在します。このため、このサイトを参照して気になる方は、専門的な知識を持つ建築士を無料で派遣する事業を活用していただければと考えております。

区としましては、現状では窓口で東京都が作成したこのサイトを紹介するパンフレットを配布しているだけですが、今後は区のホームページに液状化被害に関するページを作成し、その中で東京都のサイトも周知したいと考えております。私からの答弁は以上でございます。

【答弁・岡谷危機管理監】

私からは、防災・減災対策について、初めに、災害弱者への配慮及び自動密封式の災害用トイレの導入についてお答えいたします。

本区では、令和7年度の富士見台小学校の大規模改修工事終了をもってすべての救援センターの敷地内に、1救援センターあたり5か所のマンホールトイレが設置できるようになります。この5か所には、男性用2か所、内一か所は男性4人が使用できるクワトロトイレ、そして、女性用2か所、車椅子が使用できる障がい者向けトイレ1か所を設置し使用する予定で、障がい者や女性にも配慮した設置ができます。

また、衛生管理や感染症対策として、「自動密封式災害用トイレ」導入のご要望もあるとのことから、調査しましたところ、特別区の中にも「自動密封式トイレ」を備蓄している区が複数あることがわかりましたので、先行して取り入れている自治体の状況等を調査し、導入について検討し、衛生面にも配慮したトイレ対策を進めてまいります。

次に、防災士資格取得助成の拡充についてです。

本区の計画では、令和4年度から5年間ですべての救援センターに1人ずつ防災士を配置できることを目標に、年間7名の方に対する防災士資格取得の助成を行うこととしておりました。

しかし、応募人数が7名を越えたことから、令和4年度は 10名、令和5年度は8名に対し、当初予算を上回る助成を行ってまいりました。

令和6年度についても募集人数を7名としておりますが、区の助成により防災士資格を取得した方には、区で行っている防災士資格取得者を対象とした勉強会に参加していただき、発災時には救援センター開設・運営の中心となるなど、地域の防災リーダーとして活動していただくことを期待しているので、状況をみながら資格取得助成の拡張を検討してまいります。

 

次に、備蓄食品類の取り扱いについてです。

備蓄しているすべての飲食料は賞味期限5年であることから、購入後4年を経過した時点で入れ替えを行っております。

 

次に、防災備蓄品の有効活用と障がい者就労支援の取組についてです。

入れ替える飲食料は、救援センター開設・運営訓練などの各種防災訓練に参加される方々や、防災フェスに来られた方々をはじめ、他課や区民ひろば、町会等地域の方々が開催する各種イベントの参加者、更には、自立促進担当課を通じて生活困窮者に提供することで、現在はフードロスは生じていません。

防災備蓄物資の有効活用のために、備蓄物資の適切な把握・管理を行うとともに、今後もフードロスを生じさせない状態を継続させていくために、障害福祉課と連携して障がい者就労支援事業者への提供等についても検討してまいりたいと思います。

私からの答弁は以上でございます。

 

3.多文化共生の取り組みについて

 質問】

3項目目に、多文化共生の取り組みについて伺います。

昨年9月、区内建設業者の代表が深刻な面持ちで、私の元に相談に来られました。建設業界では、人手不足が深刻化しており、さらに2024年問題で、今後事業を続けていけるかどうか、先が見通せないとのことでした。こうした中でも、期待を寄せておられるのが、増加傾向にある外国人労働者であり、外国人技能実習制度の拡充でした。

 

さらに、外国人労働者を受け入れる際の課題として、住宅確保に苦労されていることがわかりました。外国人というだけで大家さんから断られてしまうというのです。外国人は、ゴミ出しなどのルールを守らず、さらに日本語が通じないことから他の住民とのコミュニケーションがはかれないなどの理由からか、結果的に住まいが容易に確保できないと訴えておられました。

 

こうした相談の直後、丁度、多文化としまネットワークと公益社団法人シャンティ国際ボランティア会が主催する、「外国人支援ワークショップ」に参加する機会を頂きました。講師のNPO法人国際活動市民中心の新居みどり氏からは、外国人が日本で生活する上での3つの壁について指摘がありました。それは、在留資格による制限である「法律・制度の壁」、日常会話は大丈夫でも読み書きが出来ない「ことばの壁」、そして、異国で暮らすことによって生まれる異文化ストレスや、日本で感じる差別、疎外感などが起因する「こころの壁」の3つです。

 

このワークショップを通して、私は、働き手としての外国人人材に期待するのであれば、同時に生活者としての外国人住民との共生を考えることが必要であること。また、日本とは異なる文化や生活習慣、言語を使う外国人住民の受け入れについて、生活の様々な場面でのニーズを踏まえた、行政サービスの提供体制を整えることの、重要性を認識させられました。

 

そこで、講師の新居氏には、その後も、公明党区議団による「外国人在留支援センター(FRESC)」や新宿区の「外国人総合相談支援センター」の視察にもご同行頂き、様々なご指導を頂いてきたところです。

そして、この度、令和6年度予算の新規事業に「区民提案」として外国人支援体制の強化が事業化されたことは、私も大変に嬉しく感じている次第です。

 

そこで、何点か質問致します。

最初に、直近の豊島区の人口と外国人住民人口、併せてその比率をお示し下さい。また、厚生労働省は、1月26日、2023年10月末時点の外国人労働者が、過去最多の204万8675人であり、初めて200万人を超えたと発表しました。国内の人手不足を背景に受け入れが加速しており、新型コロナ禍で減少していた技能実習生が増加に転じたことも、全体の人数を押し上げているとしています。

併せて、豊島区における外国人労働者数をお聞かせ下さい。

 

次に、昨年、政府有識者会議において外国人技能実習制度の見直しが行われ、現行制度を廃止し、人材確保・育成を目指す「育成就労制度」を新たに創設することが柱であると伺いました。今後、様々な産業分野で外国人の就労に対する受入れが拡大すると予想されます。人口減少とともに労働人口減が進む中、労働力確保は待ったなしです。

豊島区においても基本構想や基本計画の策定の中で、外国人住民の受け入れについて、出入国管理政策の状況を見据えつつ、戦略的な対応を図る必要があると考えますが、区のご所見をお聞かせ下さい。

3点目に、本区では、既に1988年に「外国人の相談窓口」を設置していると認識しておりますが、これまでの実施内容についてご説明下さい。また、2019年には、「多文化共生推進に関する基本方針」を策定しています。その概要とともに、それに基づいた取り組み状況をお聞かせ下さい。

 

4点目として、今回、令和6年度の新規事業として「外国人のための相談窓口の開設」を掲げられました。新規事業に位置付けた理由とともに、事業概要についてお聞かせ下さい。

 

先月視察を行った「しんじゅくく多文化共生プラザ内」の相談窓口は、東京出入国在留管理局が主管する「外国人のためのワンストップ型相談センター」と新宿区が主管する「外国人総合相談支援センター」の2つの組織が、一体となって、在留資格の問題初め、生活の中で起こるいろいろな問題に、日本語の他、7言語で相談対応をしていました。

 

そこで5点目に、本区においても、外国人の困りごとのなんでも相談窓口となるよう要望しますが、いかがでしょうか。また、在留資格や労働問題に詳しい専門家による相談などは、他機関との連携を図っていくなどの工夫とともに、そのためのコーディネーターの配置が必要であると考えますが、区のご所見を伺います。

 

相談窓口では、多言語支援として、通訳者の配置とともに、多言語の電話通訳サービスや通訳機器を使用することが考えられますが、元となる日本語が「やさしい日本語」であれば、より適切な翻訳・通訳が可能となります。支援する側にとっても、「やさしい日本語」を使いこなせることが、いざというときのために役立ち、安心につながると考えます。

 

2020年の新型コロナウィルス感染症の爆発的な感染拡大の時期、東京都は「外国人新型コロナウィルス生活相談センター」を立ち上げ、常時14言語の相談員や通訳者を揃えて外国人対応をしました。1年間で一番使った言語は、実は「やさしい日本語」で、全体の35.2%でした。なぜ、「やさしい日本語」が一番多く使われたのか。この当時、東京には160を超える国と地域出身の外国人がくらしていました。そのセンターに電話した外国人住民が、自分の母語では相談できないとわかったとき、次に何語を選ぶかと言えば、それは「英語」ではなく「やさしいい日本語」だったのです。

 

このことは、日本図書館協会発行の「図書館員のための『やさしい日本語』」に掲載されています。そして、その著者の一人は、本区図書館課の職員であり、「やさしい日本語」を先駆的に取り組んでいることがわかりました。そこで6点目として、123か国の外国人がくらす豊島区の「外国人のための相談窓口」でも「やさしい日本語」を積極的に活用すべきと考えますが、ご所見を伺います。

 

「外国人のための相談窓口の開設」は、外国人のためだけのものではなく、日本人も外国人に関する困りごとがあった場合に、相談が出来る窓口でもあるべきと考えます。7点目として、「外国人のための相談窓口」の名称については、より広がりを持たせて「多文化共生センター」のような名称とするよう提案しますが、ご所見をお聞かせ下さい。

 

この項目の最後に、外国人の「ことばの壁」の関連として、外国人児童・生徒についての日本語指導について伺います。現在、教育センターで行われている日本語学習では、最長1年間で毎週2時間の日本語指導が行われていると伺っています。

 

現状の課題についてお聞かせください。また、NPO法人国際活動市民中心の新居みどり氏は、短期集中型の日本語指導を行って、早期に各学校での授業を理解できるようにすることを提案しています。この点についてもご見解をお聞かせください。

 

今後は、さらに外国人の増加とともに、児童・生徒も増加が見込まれます。そうした予測の下、今後の日本語指導体制の拡充についてご所見をお聞かせ下さい。

 

【答弁・山野邊政策経営部長】

 

私からは、多文化共生の取組みについて、初めに、区の外国人住民人口とその比率についてお答えいたします。

今年2月1日現在、区の人口29万1,556人のうち、外国人人口は3万2,908人、全体の11.3%を占め、過去最高となっております。

 

次に、区内に住む外国人労働者数は、令和2年国勢調査によると4,868人で、区内在住の就業者に占める割合はおよそ4%となっています。

 

次に、外国人住民の受け入れの戦略的な対応についてです。

国は、「育成就労制度創設の方針」を示すなど、外国人材の育成や労働力としての確保を進めており、今後も区内の外国人数は増加すると見込まれます。次期の「基本構想・基本計画」においては、国の出入国管理の動向を注視しつつ、約1割を占める外国人の生活スタイルや言語レベルなどを念頭に置きながら、「誰もが主役」であり続けられることを大前提として、策定してまいります。

 

次に、外国人相談窓口の実施内容と「多文化共生推進に関する基本方針」の概要と取組み状況についてです。

平成31年3月に策定された「豊島区多文化共生推進基本方針」では、「外国籍等区民の暮らしへの支援」「共生意識の醸成と交流の推進」「外国籍等区民の活躍の支援」を3つの基本施策としております。

この具体的な取組として、日本語教室における指導、多言語での生活情報の提供、外国人支援団体との連携など、現在、32課において81事業を展開しております。

本庁舎4階の区民相談コーナーでは、外国人相談を毎日開設しており、とくにそれぞれ週2回、英語・中国語の通訳配置し、対応しております。令和4年度は523件の相談を受け付けており、国民健康保険や国民年金などの制度、出産や子育てに関する手当、学校に関する支援にかかる相談等が多くなっています

 

次に、「外国人のための相談窓口の開設」を令和6年度新規事業に位置付けたことについてです。

「区民による事業提案制度」において、外国人の区民の皆様への支援にかかる提案が選定されたことを契機に、このたび事業化をいたしました。窓口では主な取組として、英語・中国語以外の言語にも毎日対応できる相談体制の強化、外国人向け情報発信の一元化、日本における生活オリエンテーション動画の作成・配信を行ってまいります。

 

次に、外国人の困りごとなんでも相談窓口及び専門家による相談についてです。外国人の困りごとに対しましては、外国人相談窓口において一元的に対応するとともに、専門的な対応が必要な場合には、関係部署をはじめ、「外国人在留支援センター」や「東京都つながり創生財団」、さらには外国人支援を積極的に行っている団体・大学・日本語学校等と連携することにより対応してまいります。

また、開設後の相談内容や件数等を踏まえたうえで、より相談体制を強化する視点から、専門性・対応力向上を目的としたコーディネーターの必要性についても検討いたします。

 

次に、「やさしい日本語」の活用についてです。現在、税務課や国民健康保険課など、外国人の来庁が多い窓口においては、17か国語での通訳が可能なタブレット端末を使用しております。さらに制度や手続を説明する際には、「やさしい日本語」の活用が有効であることから、区は令和2年度から、職員を対象に「やさしい日本語研修」を実施しており、これまで225人が参加しております。すでに保健・子育て関連事業に係る区民向けチラシなどにも生かされており、外国人相談窓口におきましても、「やさしい日本語」を積極的に活用してまいります。

 

次に、「外国人のための相談窓口」の名称についてです。

「外国人のための相談窓口」については、まず、今回の役割や機能強化にかかる内容を、外国人を含む区民の皆様にしっかりと周知し、多くの方にご利用いただくことが重要であると考えております。

新たな名称につきましては、区民の皆様にとっての分かり易さや、外国人の利用が促進されるかなどの視点に立って、現在の「区民相談コーナー」とは別に設定すべきかも含め、検討してまいります。

私からの答弁は以上でございます。

 

【答弁・金子教育長】

 

私からは、多文化共生の取組みに関し、まず、外国人児童・生徒の日本語指導についてお答えいたします。

現在、5校の小・中学校につきましては、日本語指導担当教員が配置されておりますが、それ以外の25の小・中学校の児童・生徒につきましては、教育センターにおいて日本語指導を行っております。

現状の課題の一つとして、センターに通う小学生につきましては、安全上の理由から、保護者に送迎をお願いしておりますが、複数の保護者の方から負担であるとの声が挙がっており、主任児童委員等の方々に送迎を支援していただいているケースもございました。

そこで、令和6年度からは、教育センターの日本語指導担当職員を増員し、担当教員の配置されている5校を除いて、小学校を巡回して指導する形をとりたいと考えており、新たな巡回型の指導につきましては、1回の指導時間を2倍に増やし、指導期間を最長5カ月程度に短縮する予定です。

今後も、巡回型の指導の効果検証と共に、より外国人児童・生徒に寄り添った日本語指導のあり方について、短期集中型の指導の効果も含め検討してまいります。

次に、外国人児童・生徒への日本語指導体制の拡充についてです。

外国人児童・生徒の増加に伴い、日本語指導体制の拡充は当然必要となります。さらに来年度は、区民提案制度で選定・予算化された、外国人相談・情報発信の一元化や、日本の生活ルールに関する多言語動画の作成など、外国人支援施策がさらに進むところであり、全ての子どもたちが楽しく学校生活を送れるよう、今後も専門家や地域の方々のご協力を得ながら、区長部局とも十分連携して、日本語指導の在り方を検討してまいります。

 

4.子ども・子育て施策について

 【質問】

 4項目目として、子ども・子育て施策について伺います。

2022年に生まれた子どもは77万759人で過去最低となり、1949年に生まれた子どもが約270万人だったことを考えると、子どもの数はピーク時の3分の1まで減少しております。このような少子化のスピードが加速する中で、国は少子化を反転させる「日本のラストチャンス」として、令和5年12月22日に「こども未来戦略」を閣議決定し、異次元の少子化対策を実施するとしております。

これには、公明党の主張が大きく反映されており、児童手当の拡充や高等教育無償化の対象拡大など、子育て支援を充実させる施策が数多く盛り込まれました。

 

また、こども基本法に基づく、子ども施策の基本方針となる初の「こども大綱」が閣議決定され、こどもまんなか社会を実現するとしております。さらに、こども大綱を勘案して市町村の子ども計画の策定に努めるものとされており、子ども・若者計画を一体のものとして作成することができるとしております。

本区においても、子ども若者総合計画が策定されておりますが、国の大きな流れを受けた本区の計画改定について、区のご見解を伺います。

 

また、計画を改定するための子どもや子育て当事者等からの意見聴取やニーズ調査、地域住民の意向把握などは、どのようにお考えでしょうか。お聞かせください。

 

国はこども未来戦略方針を具体化し、3.6兆円に及ぶ「こども・子育て支援加速化プラン」を示しております。若い世代の所得向上に向けた取り組みや、全ての子ども・子育て世帯を対象とする支援の拡充、共働き・共育てを推進するとしています。

また、妊娠・出産時からの支援の強化が示されておりますが、本区の新年度予算にも、公明党が要望した産後ケアの拡充が示されております。ショートステイやデイケア等、具体的施策についてお示しください。また、産後ドゥーラの育成と活用についてもお聞かせ下さい。

 

さらに、保育所の量の拡大から質の向上として、76年ぶりの保育士の配置基準の改善が示されております。日本の基準は欧米に比べ、保育士1人当たりの負担が重く、私ども公明党も人材確保には配置基準の改善と、処遇改善を国に求めて参りました。

保育士の配置基準の改善については経過措置もありますが、区立園においてどの程度の影響が出てくるとお考えなのか。また、私立園も含めた今後の取り組みについてお伺い致します

また、声をあげにくい子どもや若者からの意見聴取のあり方については、国でもこれまで調査研究が行われてきましたが、更なる深掘りが求められることを踏まえ、「多様な子ども・若者の意見反映プロセスのあり方に関する調査研究」が実施されます。そこで得られた内容等を基に、ガイドラインを作成するとの事です。

 

さらに、子どもや若者の声を引き出すために必要となる、ファシリテーターを養成するためのモデルプログラムが作成される事になり、国による活用のほか地方自治体にも共有されるとの事です。私ども区議団としても、子ども等の意見表明の代弁者養成と配置を要望して参りましたが、これらの国の動きを受け、区のご見解をお示しください。

 

さらに、本区では子ども会議が実施されておりますが、中学生や高校生、大学生をはじめとする若者等の意見表明を保障し、意見反映の取り組みについて、本区のご見解を伺います。

 

国では、こどもたちのために何がもっともよいことかを常に考え、こどもたちが健やかで幸せに成長できる社会を実現するという「こどもまんなか宣言」の趣旨に賛同し、自らもアクションに取り組んでいただける個人、団体・企業、自治体等を、「こどもまんなか応援サポーター」と呼んでいます。

 

本区も令和5年8月20日に実施されたこども会議で、高際区長から「こどもまんなか応援サポーター宣言」が行われました。ぜひこのような社会の意識づくりを、本区の区民や企業・団体など地域ぐるみで広げていかれるよう求めますが、本区のお考えを伺います。

 

【答弁・副島子ども家庭部長】

私からは、初めに、子ども・子育て施策に関し、まず、子ども若者総合計画の改定についてお答えいたします。

本区は、令和2年に、次世代育成支援対策推進法や子ども若者育成支援推進法、また子どもの貧困対策の推進に関する法律など、既存の法令に基づく計画を一体のものとして「子ども若者総合計画」を策定し、子ども・若者施策を総合的に展開してまいりました。とりわけ、豊島区の総合計画の特徴は、「豊島区子どもの権利に関する条例」に基づく「子どもの権利推進計画」をすべての施策のベースにしているところにあります。

令和5年4月に施行されたこども基本法に基づく「子ども大綱」と東京都の子ども計画を勘案して区市町村の子ども計画を策定することが努力義務になりましたが、すでに本区においては、子ども大綱の趣旨を先取りする形で総合計画を策定しております。

令和6年度に行う「子ども・若者総合計画」の改定においては、国の「こども未来戦略」や、令和6年度から3年間に集中的に取り組む「加速化プラン」などの流れを受け、「こどもまんなか社会」をより強く打ち出した計画にするとともに、今まで以上に子どもや若者、子育て家庭の状況やニーズを的確にとらえ、意見を反映させた実効性のある計画にしてまいります。

 

次に、子ども若者総合計画を改定するための、子どもや子育て当事者等からのニーズ調査や、意向把握についてです。

本区においては、子どものアンケートとニーズ調査を、すでに平成17年の「豊島区子どもプラン」策定時より実施し、平成27年の計画改定時からは、アンケート調査では把握しきれなかった、困難を抱え配慮が必要な子ども・若者に対してヒアリング調査を実施しております。今回の総合計画改定に向けては、昨年11月から小中学生、高校生とその保護者、また若者や地域団体等に、郵送で8,900件のアンケートとニーズ調査を実施し、これまで11か所の団体で困難を抱え配慮が必要な子ども・若者にヒアリング調査を行いました。今後これらの結果を踏まえて、青少年問題協議会、子どもの権利委員会、子ども子育て会議で審議してまいります。

新たな取り組みとして、「子ども若者総合計画」の素案に対して、子どもスキップや中高センタージャンプ、若者の居場所や大学などに出向いて直接意見を聴取したり、子どもレターを活用するなど、子ども若者向けパブリックコメントを実施いたします。また、子どもが見たくなるような「子ども版子ども若者総合計画」を子どもの意見を取り入れて作成し、子どもたちが計画に興味を持って、参画し、意見を言える環境づくりを進めてまいります。

 

【答弁・植原池袋保健所長】

 

私からは、初めに、子ども・子育て施策に関し、産後ケア事業の拡充における具体的施策についてお答えいたします。

宿泊型産後ケアであるショートステイについては、現在、近隣区の7か所の施設で実施していますが、来年度から区内1か所を含む2か所を増やし、9か所で実施します。また、利用者の自己負担額についても1日につき3,300円から、23区でも最も低額となる2,500円へ減額いたします。

また、新規事業として、通所のデイサービス型産後ケアを区内2か所の施設で開始します。デイサービスは、個別、または少人数グループのいずれかを選択でき、利用者の自己負担額は、1回あたり、それぞれ1,500円と500円とします。

デイサービスを導入することで、宿泊を伴う産後ケアの利用が難しい方もサービスを利用できるようになり、選択肢が増えることで、利用者の利便性も高まるものと考えております。

 

答弁・副島子ども家庭部長

 

次に、産後ドゥーラの育成と活用についてです。

これまで、産後うつや強い育児不安のある方など、特に支援を要する家庭に対し、母親の心身について専門の知識がある「産後ドゥーラ」を派遣してまいりましたが、令和6年度より、ひとり親家庭と多胎児を育てる家庭に対象者を拡大いたします。妊娠中から生後6か月までの間に育児支援ヘルパー事業を利用できる70時間のうち、12時間まで、産後ドゥーラを利用可能とします。

また、区民の方でファミリー・サポート・センター事業など、区の事業で3年間活動する目的を持った方を対象に、20万円を上限に受講費用の半額を助成することにいたしました。

本区で活動できる産後ドゥーラを育成し、産前産後の子育て家庭にきめ細かな支援をお届けできるよう、取り組んでまいります。

次に、保育士の配置基準改善による区立園への影響及び今後の取り組みについてです。

国は、保育現場での子どもの事故や不適切な対応事案などを受けて、子育て世帯が安心して子どもを預けられる体制の整備に向け、昨年12月に保育士の配置基準の見直しを決定しました。

具体的には、3歳児が園児20名に対して保育士1名の配置から、15名に対して保育士1名の配置に見直されました。また、4・5歳児は30名に対して保育士1名の配置から、25名に対して保育士1名の配置となります。今回の見直しは、令和6年4月1日からの施行となりますが、4・5歳児の配置基準への対応を促す加算措置と当面の間の経過措置が設けられております。

区では、昨年6月の国の「こども未来戦略方針」において、配置基準の見直しについて言及があったことから、新しい基準を見込んだ保育士の需要数を算出しており、区立保育園では、すでに14園が新しい基準を満たしております。基準を満たしていない2園については、令和6年4月から1名ずつ追加で配置いたします。

また、私立認可保育園では、平成27年度より国は3歳児 15名に対して保育士1名を配置した場合の「3歳児配置改善加算」を設けており、すでに全ての園において新しい配置基準が実現しております。一方、4・5歳児につきましては、現時点での定員で試算した場合、9園において保育士1名の増員が必要と見込まれます。

区では、私立認可保育園に対する運営費の支払いにあたって、毎月、在園児数及び必要な保育士数を確認していることから、今後、新しい配置基準に満たない園については、早期に対応していただけるよう促してまいります。

【答弁・高際区長】

次に、子ども・子育て施策について、初めに子どもや若者の声を引き出すためのファシリテーターの養成と配置についてです。

こども基本法の制定により、これまで大人が決めていた政策を、これからは子どもや若者が参画し、大人とともに決める社会を目指していくこととされました。こうした中で、子どもや若者が意見を言いやすい環境づくりに携わるファシリテーターは、今後ますます重要な役割を担うものと考えております。

中高生センタージャンプや子どもスキップなどの施設では、定期的に子どもの意見を聞く利用者会議を実施しておりますが、こうしたファシリテーションは、各人が現場の経験から体得したものであり、マニュアル化や研修により、その他の方々に広く伝えることは難しい状況でした。

国は、自治体職員等を対象にした「子ども若者の意見の政策反映に向けたガイドライン」を3月を目途に策定するとしています。ガイドライン案には、ファシリテーションのプロセスと進め方、事前準備や体制づくりなどがわかりやすく記載されており、この活用によって、自治体職員が子どもや若者の意見を聞き、政策に反映することについての理解を深め、実践の際の留意点や工夫等を学ぶことができます。

区としましては、積極的にガイドラインを活用し、まずは職員ファシリテーターを育成してまいります。そして、職員が出前講座のような形で、地域で子どもや若者に関わる活動をしている青少年育成委員会や主任児童委員の皆様向けの研修を開催するなど、ファシリテーターのノウハウを広くお伝えできるよう、取り組んでまいります。

 

次に、若者等の意見表明を保障し、意見反映に取り組むことについてです。

現在、政策決定過程に子ども・若者の意見を反映する仕組みとして、小学校4年生から18歳までの子どもを対象にした「としま子ども会議」を実施しております。国の「こども大綱」においては、年齢や発達の程度に応じた意見聴取の尊重が規定されていますが、現在の「としま子ども会議」の参加者の多くは小学生となっており、中学生、高校生、大学生をはじめとする若者の意見表明と意見を反映する機会が少ないことが課題となっております。

そこで、令和6年度は、まずは民間団体等が運営する若者の居場所や、すずらんスマイルプロジェクト等を通じて連携している大学などに協力をいただき、私や職員が出向いて、若者たちの意見を聞くことから始めてまいります。また、中学生・高校生年代を対象とした「未来としまミーティング」で、「意見を言いやすい環境づくり」などについて、意見をいただく機会も持ちたいと考えております。

こうした機会などを通じて寄せられた子ども・若者の意見については、その後、ともに考え、区政に反映していけるよう取り組んでまいります。

 

次に、「こどもまんなか応援サポーター宣言」の趣旨を踏まえた社会の意識づくりを地域ぐるみで広げていくことについてです。

本区では、昨年8月、としま子ども会議において、国の「こどもまんなか」の趣旨に賛同し「こどもまんなか応援サポーター」を宣言いたしました。

区長就任以来、私は子育て支援と子ども施策に力を入れるとともに、「子ども・若者・女性の声を区政につなぐ」との思いから、子どもレターや「としま子ども会議」で子どもの声を直接聞き、様々なイベントを通じて若者たちの声に耳を傾けてまいりました。また、区民の皆様に、「児童相談所」の一時保護所に入所している子どもたちのことや、児童相談所や子ども家庭支援センターなど子どもと向き合う最前線の現場で日夜奮闘する職員の姿をお伝えしてきました。私だけでなく、区職員全員が「こどもまんなか応援サポーター」であります。

子どもたちが希望をもって元気に育っていけるよう、今後も、当事者である子どもたちの声を聞く、そして子どもたちのことを発信する、そうした姿勢で臨んでまいります。

令和3年7月に創設した、子どもたちを支援したい方と、支援を必要とする子どもと家庭とをつなぐ「子ども若者応援プロジェクト」には、これまで個人も含め、多くの企業・団体に賛同を頂いております。今年度は1月末現在で91件のご寄附をいただき、区内において子どもを応援する気運が高まっていると感じております。多くの皆様からお預かりした寄附金は、物価高騰で食品の確保に不安を抱える子ども・若者、子育て家庭への食糧支援や、児童養護施設退所者等が自立する際の支度金と給付型の奨学金等に活用させていただいております。

今後も、子ども家庭部が中心となって地域の団体や企業への呼びかけを行い、SNSなどを通して発信していくとともに、豊島区内の企業・団体が参加する「チームとしま」など、あらゆる機会を捉えて、「こどもまんなか応援サポーター」への賛同を呼びかけ、地域を挙げた機運醸成に取り組んでまいります。私からの答弁は以上でございます。


5.児童発達支援について

 【質問】

 5項目目として、児童発達支援について伺います。

先月、私の地元要町にある放課後等児童デイサービス事業所が、近くに新たな施設を開設しました。同事業所による就学児童・生徒(小学校1年生~高校3年生)の、発達に困難を抱える子どもたちへの放課後等デイサービスは、利用者が増加傾向にあり、今回の開設に至ったようです。本区では増加する就学前の発達相談に対して、相談待機期間の短縮に取り組んでこられたことを高く評価致します。

そこで先ず、就学前の発達相談の件数の推移とともに、相談待機期間の短縮に向けた取り組みについて、お聞かせ下さい。

 

そして、令和5年9月、西部子ども家庭支援センターを改修し、児童発達支援センターを設置することが決定され、本定例会では条例の制定が行われることになりました。さらに、千川中学校複合施設完成後には、児童発達支援センターとして運営を移行することになりました。

 

先程の放課後等デイサービス事業所では、今後近接にもなることから、より連携しての児童発達支援を希望されています。そこで、こうした放課後等デイサービス事業所との連携についてご所見を伺います。

 

次に、発達障がいなどを早く発見し、安心の就学(小学校入学)につなげることをめざす「5歳児健診」について伺います。私は、以前、特別支援学級への入学を躊躇する発達の特性を持つ子どもの保護者からの相談を受けて、「5歳児健診」と発達相談を中心に先駆的な発達支援の取り組みをしている鳥取県を視察。

 

その事例をもとに、今から15年も前になりますが、平成20年第3回定例会で、「5歳児健診」の導入を提案・要望させて頂きました。その際、区からは、「今後、区民に対する発達障がいの理解を深める普及啓発活動を進めるとともに、診断後のケア体制の整備を含め、都市部である本区に相応しい早期発見システムの構築に向けて検討していく」との答弁がありましたが、現在も導入には至っておりません。

国立成育医療研究センターの小枝達也副院長は、「落ち着きがない、周囲とうまく関われないなどの発達の特性を持つ子どもたちは、小学校への就学後に、環境に適応できず、不登校になったり、問題行動をおこしてしまったりすることが少なくない。5歳児健診によって、そうした特性に気付き、適切な療育につなげることができれば、多くの子どもたちが通常学級でも問題なく学べるようになる。」と指摘しています。

 

公明党の推進により、「5歳児健診」と「1か月健診」を実施する市区町村への国の助成事業が今年からはじまりました。本区においても、児童発達支援センターの条例制定を機に、「5歳児健診」を導入し、安心の就学が図られるよう改めて要望致します。ご所見をお聞かせください。

 

答弁・副島子ども家庭部長

 

続きまして、児童発達支援に関し、就学前の発達相談件数の推移及び相談待期期間の短縮に向けた取組についてです。

西部子ども家庭支援センターにおける就学前の発達相談の総数は、令和4年度は4,679件で、平成24年度の1,800件と比較し、約2.6倍に増加しました。こうした中で、専門相談のうち、言語指導と作業療法は初回相談、継続相談ともに3か月から4か月待ちとなっておりました。

令和4年9月から、区民ひろば千早と区民ひろばさくら第二の2か所をサテライト会場として活用することで、初回専門相談枠を月40件増やすことができ、現在、待機は解消しています。

令和5年4月からは、2か所のサテライト会場で、さらに月54件の継続相談枠を増やしたことで、1か月程度まで待機期間は短縮しております。

年々、対象者が増加しておりますので、引き続き、待期期間の短縮に向けた改善策を検討し、取り組んでまいります。

次に、児童発達支援センターと放課後等デイサービス事業所との連携についてです。

令和6年4月に開設する児童発達支援センターは、地域の中核施設として障害児とその家族への支援のほか、指定障害児通所支援事業者などに対し、相談や専門的な助言、必要な援助を行うことなどが新たな役割となります。

現在、区内には16か所の児童発達支援事業所と19か所の放課後等デイサービス事業所があり、これらの事業所に対しても助言、援助を行うことが求められます。そのため、先ずは、事業所との定例的な連携会議を立ち上げ、それぞれの事業所の特徴や支援の状況、課題などを共有し、相互理解を深めてまいりたいと考えております。また、事例検討や専門研修の機会を設け、区内事業所全体の対応力を強化し、障害児支援の充実を図ってまいります。

令和9年度の千川中学校複合施設への移転により、児童発達支援センターは、相談室の拡充、給食室の整備などにより十分な機能を備えた施設となります。それまでの3年間で、地域の児童発達支援に関する中核施設としての機能を充実させ、新たな役割を十分に担えるよう進めてまいります。

私からの答弁は以上でございます。

 

【答弁・池袋保健所長

 

次に、児童発達支援センター条例を機に、5歳児健診を導入することについてお答えします。

国は、5歳児健診を「こども未来戦略方針」に基づく施策の一つに位置付け、今年度の補正予算で費用助成を開始しました。

5歳児は言語の理解能力や社会性が高まり、集団生活の場面で発達障害が認知されやすい時期であり、早期に障害を発見し適切な支援や療育につなぐことで、就学への不安を軽減できること等から、区としても5歳児健診は、子どもの発達支援につながる重要な取組の一つと認識しています。

健診を実施するにあたっては、児童精神に詳しい医師や専門職の確保、専門医療機関や療育医療機関との連携等によるフォローアップ体制の整備、健診結果に不安を持つ保護者への対応等の課題があります。

国は5歳児健診の円滑な実施に向け、審議会で議論を行い、実施マニュアルを示す予定であることから、区としては国のマニュアルや先行自治体の例を参考にするとともに、児童発達支援センターや障害福祉課、教育センター、保健所等関連部署で連携、協議を行い、本区にふさわしい健診システムの構築について検討を行ってまいります。

私からの答弁は以上でございます。

 

6.その他、千川中学校複合施設に関して

【質問】

 その他として、千川中学校複合施設に関して伺います。昨年12月、教育委員会より、令和6年度の千川中学校の新入生は、入学から卒業までの3年間、「学び舎ぴいす」に通学することになった、との報告を受けました。理由としては、設計内容の調整や、昨今の建設業を取り巻く状況などの影響により、工期が想定以上に延びたため、とのことでした。

 

しかし、昨年6月の議員協議会資料の基本設計には、既に当初の令和8年2学期開設の記載はなく、竣工時期が令和8年度中と示されていました。従って、この時点で令和8年2学期開設は困難であると、予想されたのではないかと推察されます。12月まで延ばすことなく、もっと早い段階で、3年間一度も本校舎に通学することなく、卒業せざるを得ない状況がわかれば、他校を選択する児童・保護者もおられたのではないかと考えます。そこで、令和8年度中の開校が困難であるとの判断が、12月上旬になった経緯について、お聞かせ下さい。

 

その後、開校時期については、変更前の1年後となる令和9年2学期であることが、令和6年度新規・拡充事業・政策一覧でわかりました。この開校時期については、今後、保護者説明会で周知すると伺いましたが、

その際、「学び舎ぴいす」の設備や機能、さらに通学路も丁寧に説明するよう要望しますが、お考えをお聞かせ下さい。

 

次に、1月31日に行われた千川中学校解体工事説明会で、参加者からは、工事車両の安全運行などの要望がありました。その他、アスベスト対策など解体工事には万全を期して実施するよう要望致しますが、いかがでしょうか。

一方、4月からは、「学び舎ぴいす」での学校生活が始まります。隣接の要町二丁目町会からは、付近の交差点での接触事故が心配されることから、交通安全対策の要望がありました。既に所管課にお願いしているところですが、進捗状況をお聞かせ下さい。

以上で、私の一般質問の全部を終了致します。ご清聴、誠にありがとうございました。

 

【答弁・金子教育長】

 

続きまして、令和8年度中の千川中学校新校舎開校が困難であるとの判断が12月上旬になった経緯についてですが、令和5年6月の第二回定例会で基本設計について報告した際、近隣要望との調整を行った結果、地下階を設置したことなどから、相応の施工期間が必要になる可能性がございました。

実施設計を進めていく中で、可能な限り当初の計画通りの開校を目指し、工期短縮のための工法や工事車両の動線の見直し、設計者等との協議、国土交通省へのヒアリング、児童や学校現場での影響などを慎重に検討を重ねてまいりましたが、12月中旬の入学決定通知を送付する時期を踏まえ、12月上旬に4か月程度の工期延長がやむをえないと判断し、令和6年度入学予定の保護者に対し、入学から卒業までの3年間、学び舎ぴいすに通学となる旨を周知いたしました。

 

次に、学び舎ぴいすの設備や機能、通学路の説明についてですが、千川中学校の学区となる高松小学校では2月17日に保護者説明会を実施し、「学び舎ぴいす」の校内のイメージや人工芝の校庭などの設備や南長崎スポーツセンターの温水プールを活用した水泳指導の実施、また通学が想定される道路における地域安全マップづくりの取り組みなどについて説明してまいりました。なお、地域の方々のご協力をいただいて、1月9日に学び舎ぴいすからの下校訓練を行いました。3月2日に説明会を予定している要小学校においても、「学び舎ぴいす」の設備や機能、さらに通学路について丁寧に説明をしてまいります。

私からの答弁は以上でございます。

 

【答弁・施設整備担当部長】

 

私からは、千川中学校解体工事についてお答えいたします。

東京都との協議が整い、解体工事の重機や車両の主要な搬出入口が山手通り側から確保できたため、学校周囲の道路への車両の流出入が減り、安全面の向上と近隣への負担軽減を図ることができました。さらに、周囲の適切な場所に安全誘導員を常時配置し徹底した安全対策を講じてまいります。

アスベストについては成分分析の結果、外壁や内装材に飛散の恐れが最も低いレベルで含有しており、解体工事に先立ち除去いたします。近隣の方々には事前に、確実な飛散防止措置を講じ、大気濃度の計測等、万全を期して作業する旨について、不安を抱くことのないよう丁寧な説明と対応を心がけてまいります。

私からの答弁は以上でございます。

 

【答弁・土木担当部長】

 

私からは、学び舎ぴいす付近交差点の交通安全対策についてお答えいたします。ご相談があった交差点については、昨年10月の要町小学校の通学路点検で、地元町会から「スピードを出して通過する車両が多く危険」とのご意見がありました。そのため、目白警察署が「おとせスピード」と記載した看板を昨年12月に設置しています。また、本年1月に、さらに安全対策をしてほしいとの要望がありましたので、設置してあるカーブミラー2基を新しいものに取り換え、併せて、優先道路に直行する路面に自転車ストップマークを2か所設置いたしました。今後も必要に応じて安全対策を行ってまいります。

以上をもちまして、辻薫議員のご質問に対する答弁を終わります。