令和6年 第1回定例会一般質問「未来の絆を創出するまち・豊島」
公明党 島村高彦
令和6(2024)年2月21日登壇
私は公明党豊島区議団を代表して「未来の絆を創出するまち・豊島」と題し、第1に参加と協働について、第2に防災対策について、第3に住宅確保要配慮者支援について、第4に不登校対策について質問します。
最初にこの度の能登半島地震で被災された方々対し、心よりお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。大災害のたびに想定外と言われる被害が生じます。しかし振り返れば想定可能であった対策もあったのではないかと感ずるものです。今後、本区においても可能な限り想定を尽くし、あらゆる対策を講じていくべきと考えます。
それでは第1に参加と協働についてお尋ねします。
高際区長は就任早々「もっと身近な区役所改革」を掲げ、子どもの声を直接聞く「子どもレター」や「区民による事業提案制度」など、区長自ら区民の声に耳を傾ける姿勢を示しました。このことは区民の参加と協働を進めるうえで非常に大切な取組みであり高く評価するものです。私も平成16年の質問で、地方自治の本旨である住民自治の実現に必要な参加と協働を進展させるため、まずは区の職員自身が区民とともに、区民のためにあるという自覚と姿勢を示すことが重要であることを訴え、そのためにも、法令順守ではなく「人の期待、要望に応えること」を本来の語源とするコンプライアンス条例を制定し、職員側から改革の姿勢を示すことで、区民の参加と協働の意識を向上させることを提案いたしました。これに対し高野前区長からは「住民側、行政側の行動様式や思考パターンを変えるには、相互に覚悟と熱意が必要となるわけであります。そこで、今後は、職員が地域に積極的に出向き、様々な活動をされている方々と膝を詰めて話し合い、議論し、共通の認識と目的を持って、地域ごとの参加と協働による住民主体の区政が実現できるよう取り組んでまいります。」との力強い答弁をいただいたのが、今から約20年ほど前であります。そこでお尋ねですが、あれから現在に至るまでの参加と協働の進展度についてのご認識についてお聞かせください。
次に、本区では平成18年4月「自治推進基本条例」を施行し、同年11月、条例に基づく付属機関として自治推進委員会を設置しました。当時私も委員として参加しておりましたが、高際区長の積極的な取組みにより思い出されるのが、当委員会において参加と協働を推進するために検討された様々な施策です。たとえば、区政への新たな参加を掘り起こすための「政策eモニター制度」や「地域eモニター」の活用、また、現在の「区民による事業提案制度」によく似通っておりますが、協働事業の企画案を公募する「協働事業委託モデル事業」などです。これらは、区民の参加と協働に有効な取組みであったと考えますが、現在は行われてはおりません。これらの施策が、どのような経緯を得て、どのように検証され消滅したのか、お聞かせ願います。
次に委員会の最大の目玉であった条例第27条に基づく「地域協議会」です。
多様な区民が参画し、住民自ら地域の課題解決を担う地域協議会は、失われたコミュニティを復活し、自らのまちを自らの手でつくり上げるという点で今でも求められる理想であります。しかしながら、当時私は「町会をはじめとする既存の活動組織と協議会との連携は極めて難しいのでは」という発言をした記憶がございます。それでも本区は平成22年2月から5年間にわたり北池袋地域でモデル事業を実施しました。結果、一定のメリットはあったものの「委員のスケジュール調整が困難」「公募委員が定着しない」「所属団体との調整が困難」「自主運営は困難」「協議会独自の提案は困難」「課題解決の実施主体となるのは困難」等々の理由で常態的な運営は困難との結論に達し、以後現在に至るまで地域協議会が振り返られることはなくなりました。しかし、最終答申では今後の検証のあり方について、改めて区民参加による検証の場を設けることが提案されております。本区としてこの長期間にわたる事業をどのように検証し、その後にどう生かそうとしてきたのか、お聞かせください。
また、地域協議会の構成員は区長が選任することとなっております。したがって区長の判断で選任した、より多くの構成員に、その強い情熱と意思を伝え、区長自ら町会等、既存組織との連携を図ることができれば、町会を支援することにもつながり、その地域の参加と協働も増進するのではないでしょうか。一度は計画倒れとなった地域協議会構想ですが、困難な時代に真の住民自治を切り開くため、再度検討の必要性はないのか、高際区長のお考えをお聞かせください。
そして、参加と協働をさらに促進するための今後の取組み方針を、お示し願います。
第2に防災対策です。
まず、恒例の災害時要援護者対策です。長年にわたって進展が見られなかった同対策も、高際区長が副区長に就任された時から現在にいたるまで、対策の中核に保健福祉部を置き、大正大学との共同研究、介護・障害福祉サービス事業所との協定締結、高田地域における取組等、次々と具体的な取組みが始まりました。実に高く評価をいたします。ここで、新しい区長のもと、これまでの質問とその対応について、振り返ってみたいと思います。平成17年4定で、当時すでに地域関係機関にも要援護者名簿を配布し情報共有していた自治体もあった中で、本区も同様の取組みをとの訴えに対し、地域関係機関どころか防災課ですら保健福祉部の持つ要援護者情報を共有することは、個人情報保護条例により目的外利用となり、禁止されているとの驚くべき答弁をいただいたのが、最初であります。そこで、本来国民を危害から守るべき個人情報保護法が逆に国民の生命を危険にさらしていることを指摘させていただきました。その後、審議会の了承を得て、防災課のみが情報共有することとなり、これが一般紙に取り上げられ、その中で時の防災課長が、すでに中央区などで実施しているにもかかわらず「23区でも珍しい取組み」と発言していたのを記憶しております。このことを複数の区民に伝えたところ、「災害時に区民を支援する防災課が災害弱者の情報を共有するのは当然のこと。どこが珍しいのか」と一応に声を揃えて責め立てられました。いかに行政と区民の認識が食い違っていたか、この事実をどのように認識されていたか、改めてお聞かせください。
次に地域との情報共有ですが、すでに平成19年の段階で、東京都や国民生活審議会が本区も含め、各自治体に通知を行っていたように、人の生命、身体の保護の必要があれば、本人の同意を得ずに個人情報の第三者提供が可能であることを何度も訴えました。しかし本区はこれを受け入れることなく同意にこだわり、手上げ方式名簿という実効性の乏しい対策に終始しました。その後、平成24年2定で要配慮者の地域情報共有を条例化することを提案し、防災対策基本条例に位置付け、ようやく平成26年7月より名簿共有が実現しました。緊急の課題でありながら、最初の提案から9年近くもかかった理由について具体的にお示し願います。
次に現状の取組みについてお尋ねします。
まず、避難支援プラン全体計画策定について、令和4年度で積み残し課題とし、令和5年度もその策定に取組むとしておりますが、すでに14年前の平成22年1定の質問に対し「全体計画につきましては、豊島区においても、今年度」すなわち平成21年度「地域防災計画の中で定めた」と答弁しております。すでに定めたのに、積み残し課題として取組むのはなぜなのか。以前に定めた全体計画はどうなったのか、ご説明願います。
次に高田地域における個別避難計画のモデル作成ですが、支援を受ける要配慮者の意識、反応は現状どうであるのか、十分な理解が得られているか、お聞かせください。また、町会等への安否確認実地方法の説明を行っていますが、各町会員の反応、理解度、今後の協力度はどうような状況であるのかお聞かせ願います。
次に介護事業者との連携については、要配慮者の身近な存在であることから、同じく平成22年の質問で私自身が提案してはおりますが、日ごろ本来業務で多忙を極めている事業者の協力を得るにあたり、その反応も気にかかるところです。課題はなかったのか、今後他地域で進めて行く上でも状況についてお聞かせ願います。
次に高田地域の基礎調査の実施にあたり、その状況を回答した要配慮者は対象者151名うち約半数の77名であり、内69%もの人がケアマネ等がいない要配慮者となり、介護事業者以外の人の支援が多く求められることとなりますが、十分な避難支援プランが作成できるのかお答え願います。
また、残り半数の調査未回答者の内、単身の要配慮者は何名いるのか、未回答の方々の状況把握と避難支援はどうされるのかについてもお聞かせ願います。
次に今後の方針として令和6年度から8年度にかけて全地域で避難支援プラン作成を目指すとしております。しかし、これまでも述べてきたように、以前より行政の避難支援プラン作成を待たずに、独自の避難支援計画を立てている町会が複数あります。まずはこうした町会から手掛けていくことで、独自の避難支援計画も、より一層充実したものとなり、今後の他地域の展開にも資すると考えますが、取組み方針をお示しください、
次にやはり何度もお尋ねした救援センターの門扉・建物の開錠についてです。夜間休日等学校関係者不在時の緊急災害時、職員より早く住民が到着した場合、どのように救援センターに避難するのかがお尋の課題です。現に今回の能登半島地震でも元日であったことから、同様の事態が発生しております。ここで前提として、本区は分散避難を推奨しており、能登半島被災でも2次避難が推奨されております。生活環境面でも衛生面でも良好とはいえない施設で数日間であっても、避難生活を送ることは避けなければならず、あくまで初動一時避難という位置づけです。
さて最初の平成17年4定では、職員が駆け付けることができなかったらという前提でお尋ねしているにもかかわらず「安全が確認されない施設に入場するのは極めて危険なので、職員が開錠する」とのお答え。平成24年2定で地域の信頼できる方に鍵を預けるべきとの提案に対しては「有効な対策なので具体的な検討に入る」と答弁。しかし、平成28年4定では「施設開錠の重責をお願いするのは課題があるので、ガラス窓を破って施設に入る」と答弁。平成30年4定でいったい誰が、どこのガラス窓を破るのかの問いに対し「地域の方には開錠をお願いしていないが、事前に決めておいた窓や扉のガラスを破り、救援センターの開設を行っていただく。必要最低限の地域の方には周知しておくべきと認識しているので、より良い方法を検討する」との理解困難なお答えでした。その後も具体的進展が見られないので、これは議会質問ではなく個別にお聞きすると「何としても職員が先に駆け付ける」とのお答えです。元に戻ったわけですが、これら本区の答弁の推移と内容について、区長の率直なご感想をお聞かせください。
そして、最初の提案から約18年、昨年8月「救援センター鍵番号共有事業」が開始、先月には「救援センター解錠手段の多重化事業」とわかりづらい名称になっておりますが、現状、49町会ほどに、鍵番号カードをお渡ししているとのことです。まず、地域に施設開錠の重責を担わせる課題はどのように解消されたのか、お聞かせください。また、カードを受け取っていない町会に対し、今後どのように対応されるのか。「自分がどうなるかもわからないのに、そんな役は負いたくない」とはっきりおっしゃる町会長さんもいらっしゃいます。けして無理して持たせるべきではありませんが、以前から訴えているように、町会長だけでなく、その地域の住民の意向や特性も十分に掌握するよう努めるべきと考えますが、今後の方針をお示し願います。
次に関連して救援センター開設・運営訓練についてお尋ねです。
解錠し施設に入っても、何から手を付ければいいのか戸惑うようでは、解錠自体気後れしてしまいます。現状の訓練では、職員による開設運営キットの説明を聞いているだけであり、必要な資器材が各救援センターのどこに格納されているのか知っている人はほとんどおらず、防災指導員が全て準備しているので、設置・使用方法もわからないのが実態です。そこで今後の訓練については防災指導員の補助のもと住民自ら、解錠から始まり、実際に開設運営キットを用いた訓練に取組むべきですが、今後の訓練方針をお示し願います。
次に救援センターの、より円滑な運営に備え、可能な限り混乱が生じないよう、想定できる体制は整備しておくべきと、これまでも申し上げました。その中の一つにペット同行避難があります。従前よりペットと共に避難できることを区民に周知するよう要望してまいりましたが、未だこのことを知らない区民が多いのが実態です。昨年10月、ある区民が区に問い合わせた際、対応した職員からは「豊島区ではペット同行避難を行っていない」と言われたとの話をお聞きいたしました。これまでの災害時でも、ペットと同行できないと思い込み、避難をためらい被災してしまう人もいる中、区民に周知どころか、職員すら知らないということをどのように認識されていますでしょうか。
また、混乱防止には実際の災害時に備え、あらかじめ各救援センターのペットスペースが原則どこにあるか、ペットのいる住民が知っておくことが必要です。したがって全救援センターにおいて、ペット同行避難訓練も必要な訓練ですが、令和6年度新規事業として「ペット災害対策事業」が予定されております。実施内容についてお聞かせください。
さらに、ホームページではペットをケージに入れておくことが条件となっておりますが、ケージに入れられない大型ペットは、どのように対応するかが不明のままです。対応方法をご説明願うとともに、区民への周知をどのように行うのかお示し願います。
第3に住宅確保要配慮者支援についてです。
配慮者の内、高齢者に焦点を当て、過去2回質問いたしましたが、単身高齢者の増加、持ち家率の減少、老朽化による低廉賃貸住宅の取り壊し、低収入、低資産の高齢者の増加等により、今後ますます困窮する人が増えていくのは明白であります。国もようやく事態の緊迫性に気づき、令和4年度に厚生労働省、国土交通省、法務省が合同で「住まい支援における課題の把握に関するWG」を設置、構成員は3省の担当職員の他、不動産事業者、居住支援法人、地方行政機関、福祉関係者等で、令和5年には住宅要配慮者の実態を知る学識経験者を加えて「住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会」を設置しました。複数回の検討会議を重ね、改めて当然のことが明確になりました。それは高齢者等に対する入居拒否感を抱える家主・大家が全体の約7割に及び、その理由として、内約9割が「居室内での死亡事故等に対する不安」を抱えているということです。検討会報告では、家主と共に、現場で苦労する不動産事業者の報告がその実態を表しております。「入居者の死後、賃借権は相続の対象となり、勝手に契約解除できず長期間にわたり、相続人を探し連絡を取るのに大変な苦労をした」「連絡が取れても、無関心、非協力的な親族も多く、処理が進まない」「家賃を滞納したまま亡くなり、保証人に連絡したら、すでに死亡しており、請求する先がない」「死後の発見が遅れ、腐臭とともに、隣、上下の部屋にも虫が湧き、特殊清掃しても長期間にわたり臭いが取れず、退居していく人もいる中、室内全面改装に多額の費用と期間を要した」「その後、事故物件となり、空き室も増え、家賃を下げざるを得ない」「死後、身寄りのない場合はもちろん、遺族がいても室内残置物の処理をしてもらえず、撤去するのにかなりの費用負担が生じた」等々、こうした苦い経験をした家主や不動産事業者が単身高齢者等の入居に強い拒否感を持つのは当然であります。彼らはけして慈善事業を行っているわけではないのです。しかしこれをこのまま放置すれば、住まいの確保に困窮する人がますます増え続けていくことになります。この緊急の課題に本区が、どう対処、解決していこうとしているのか、三度、お訊ねするものであります。
平成30年1定では、この問題を解決するには、京都市の取組事例を挙げ、行政、福祉関係者、不動産事業者が一体となって機動していく以外にないと訴えました。すなわち、高齢者等の一番身近にいる不動産事業者や家主の不安・拒否感を拭い去るには、入居支援だけでなく、その後に続く入居後の支援、さらには退居・死亡時の支援の三つの支援が継続的にかつ完全に見える形で行われていることが必要であります。まずは、この点に関するご認識をお聞かせください。
そして最初の入居支援においては、どうしても不動産事業者の協力が必要なことから、協力店舗加入を懇願していくよう訴えたところ、昨年1定の答弁では「すべての会員に対し、名簿登録意思の確認を行っております。」とのことでした。ところが、ある事業者の方からは、「わが社は協力店舗のつもりでいたが、知らないうちに名簿から名前がなくなっていた」との話を伺いました。登録率は未だ区内全店舗中4%に至っていない中、何故にこうした事態が生じるのか、お聞かせください。
また、保証人がいない入居者の対応についてもお尋ねしました。すなわち、不動産店と契約している保証会社の家賃債務保証に限定されることにより、緊急連絡先確保が条件となっていたり、別途、身元保証を求めたりするものも多く、本区の家賃債務保証、身元保証制度にたどり着かず、結果として入居を拒まれる問題です。長野県では社会福祉協議会が家主と入居保証契約を結び、滞納時の家賃や退去時の原状回復費用の保証を行っておりますが、本区答弁では「今後、地元不動産店の意見交換を行いながら、区としてどのような取り組みが可能なのか等、課題を整理してまいります。」とのことでした。喫緊の課題でありますが、進捗状況をお聞かせください。
さらに、本区居住支援協議会と区、不動産事業者との連携体制についてもお尋ねしました。今回は、支援協議会の支援法人の活動について、高齢者等の入居拒否感を持つ区内の家主からは、どのように認識・評価をされているのか、また、区内住宅要配慮者に対する住居確保のこれまでの実績についてお示し願います。
次に入居支援として住居確保策についてお尋ねです。
求められているのは、低廉な賃貸物件です。そこでまず、住宅確保要配慮者の入居促進を目的として制定された住宅セーフティネット制度の登録状況ですが、現状、全国的には要配慮者の需要対象となる30㎡未満の登録住宅は全体の約7%、家賃5万円未満は東京都では1%、全登録住宅の空室率は2.3%となっており、元々居住中の物件を登録するなど、対象となる空き室は非常に少ない状況であります。検討会では国土交通省自身が「現在の登録住宅のみでは、今後増加が見込まれる単身世帯の需要に対応できないおそれがある」と述べております。現状、この制度が住宅確保要配慮者対策として、十分に機能しているとは言い難い状況ですが、本区のセーフティネット住宅の現状と効果、そして検討会でも課題となりましたが、今後、制度として改善すべきと考える点があれば、お示しください。
一方、住居確保策として検討会でも効果的な手法とされたのが、認定居住支援法人等による一括借り上げです。空き室、空家をサブリース方式で居住支援付住宅とし、入居から死亡時に至るまで支援を行うことで、家主の不安を解消するものです。一例として、岩手県雫石町では養護老人ホームを運営する社会福祉法人が空家を借り上げることから、家主の安心感につながり、一日2回の安否確認、通院、買物支援等を行っていることから、孤独死に対する家主の不安は皆無となります。昨年9月末で指定された法人は全国で741法人、自治体によっては、社会福祉協議会が法人認定を受けて実施しております。しかしながら、現状では課題も多く、居住支援事業単体での収支は半数以上の法人が赤字であり、今後、国の支援等も想定はされますが、なんらかの公的支援も求められます。また、実施しているサービスも法人ごとに異なることから、家主側から見てわかりづらい面もあり、何より、一法人が単独で手掛けても住居確保数も限られ、効果は限定的なものとなります。とはいえ、現状ではこの方法が家主の不安解消には最も効果的であり、今後、本区としても国や都とも連携しながら、区内のより広域で、より多くの支援法人が活動できる体制整備が求められると考えます。お考えをお聞かせください。
次に入居後の支援として、家主の不安解消につながる相談先の整備であります。賃貸先が居住支援法人であれば対処できますが、そうでない場合、相談先の多くは仲介先の不動産事業者であり、十分な対応が困難な場合もあり、これがその後の入居拒否に繋がってしまいます。本区として家主や物件オーナーが困ったときに、すみやかに相談できる体制の整備とその役を担うコーディネーターとして「居住ケアマネージャー」のような人材も育成していくべきと考えますが、いかかでしょうか。
また、検討会では見守り・安否確認が有効になされることが必要であることが、挙げられており、居住支援法人による継続的な見守りが効果的であることが示されております。現状、本区において、高齢者総合相談センターや民生委員の見守り活動では、どうしても見過ごされてしまう事例が発生しております。さらに過去には単身高齢者が増加しているにもかかわらず、「見守りと支え合いのネットワーク事業」が登録世帯数、協力員ともに年々減少している実態も指摘しました。そこで私は、少しでも多くの単身高齢者等の状況掌握が行えるよう、隣近所や地域福祉に無関心な人でも、匿名で気軽に情報提供できる体制を整備すべきと訴えてきましたが、これは本区としては「やらない」とのことでした。ならば、先の家主の相談先整備と合わせ、家主から要望を受けた場合には、その入居者に絞り、見守り・安否確認を行う体制も整備すべきと考えますが、家主の不安解消を目的とした入居者の見守り・安否確認について取組み方針をお示しください。
次に入居者死亡時においては、相続人の有無や所在が不明な場合、賃貸借契約の解除や残置物の処理が困難となることが課題となっております。そこで新たに「残置物の処理等に関するモデル契約条項」や借地借家法の特例として「終身建物賃貸借契約」の制度が創設されました。いずれも相続手続き不要で契約解除可能となりますが、まだ認知度は低く、肝心の不動産事業者でさえ、半数近くがモデル契約条項の存在を知らず、終身建物賃貸借契約では84.6%もの事業者が「知らなかった」と回答しております。また、これらの制度は受任者の選定や知事の認可、バリアフリー改修が求められるなど、円滑に活用するには限定的なものとなっております。しかしながら、これまでの苦労を思えば格段に負担が軽減されるのは明らかです。本区として両制度の改善を求めるともに、不動産事業者や家主に対する徹底した周知と活用を促していくことが住居確保困窮者に対する支援につながることから、今後の取組み方針についてお聞かせ願います。
住宅確保要配慮者問題は、高齢者以外にも障がい者、ひとり親、刑務所出所者等の生活困窮者も含まれ、多くの課題を抱えております。まずは、単身高齢者率日本一、そして「高齢者にやさしいまちづくり」を掲げる本区としては全国に模範となる対策を講じるよう切に願うものです。
第4に不登校対策です。
これまで不登校児童・生徒への支援のあり方について質問を重ねてまいりましたが、今回は不登校生の親に対する支援についてお尋ねします。
NPO法人「登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク」が昨年10月行ったアンケート結果によれば、「不登校の原因が自分にあり、自分を責めた」とする親が66.7%に及び、その悩みに応える支援として要望が高かったのは「学校以外で安心できる居場所・人とつながれる」ことが、80.5%にも及びました。そして、親が助けになったと感じた相談先は学校や行政の窓口でなく、民間の機関が設けた親同士の交流の場である「親の会」やフリースクールを挙げる回答がほとんどであったとのことです。この結果を受け同NPOの代表は「学校や行政の窓口に相談しても、求めている支援や情報提供が受けられていない」と分析しております。本区のこれまでの不登校生の親の精神的な実態掌握の取組み方法、それに対する支援の方策についてお聞かせください。
不登校自体が問題なのではなく、それによって子どもが生きる力をなくしてしまうことが問題であると、これまで何度も申し上げました。このことを親に十分、理解、納得してもらう取組みが必要です。もし学校や行政が効果的な支援が困難な場合、的確な支援を行っている「親の会」などの機関に導く等の対策も、未だ支援に繋がっていない親にとっては急務であると考えますが、今後の取組み方針をお示し願います。
次に経済的支援も求められております。
不登校をきっかけに家計の支出が増えた世帯は約9割に及び、収入を増やす必要があるにもかかわらず、逆に労働時間を減らし、休職・転職など働き方を変えざるを得ずに収入減となった世帯は3割に及びました。本区が不登校生の世帯の家計状況を掌握されているのかお聞かせください。滋賀県草津市はフリースクールを利用する不登校児童の世帯に補助を実施しておりますが、こうした支援の必要性はないのか、お考えをお聞かせください。
以上で私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
令和 6年第1回定例会島村高彦議員への答弁
○区長(高際みゆき) ただいまの島村高彦議員の御質問にお答えいたします。
初めに、本区における区民参加と協働がどれほど進んできたか、その認識についてです。
区が地域社会に関わる多様な主体と共に実施するイベントなどの協働事業は、18年前の平成17年度に、22課で64件であったものが、令和4年度には49課212件まで増えております。
例えば、区内8大学との連携・協働に包括協定、セーフコミュニティ活動、区制施行90周年事業、地域区民ひろばの運営、としまMONOづくりメッセ、としまコミュニティ大学、ごみゼロデー事業、認知症カフェ、公園等みどりの協定など、各分野で様々な協働事業を展開しております。
一方、令和4年度の協働のまちづくりに関する区民意識調査では、「様々な地域活動団体やNPO、企業、大学、行政等の連携によるまちづくりが進んでいる」と回答した区民の割合は、30%にとどまっており、私が理想とする、区民の参加、区民との協働によるまちづくりとしては、まだ道半ばという認識であります。
次に、政策eモニターなどの参加と協働推進のための施策がどのような経緯と検証を経て、実施されなくなったかについてです。
平成18年4月1日施行の豊島区自治の推進に関する基本条例に基づき設置された自治推進委員会で、新たな区民参加手法が検討され、その中で、政策eモニター制度などが挙げられました。
まず、政策eモニター制度についてですが、これは、従来の区民参加手法では参加者が限定される傾向にあり、結果として応募者が少なく、参加者が広がらなかったこと、一方、区民意識調査では約3割が「きっかけがあれば参加したいと思っている」と回答していることから、潜在的な参加者の掘り起こしを目的に、無作為に抽出した区民に参加を呼びかけたものです。平成19年度、20年度の2年間にわたってモデル実施され、参加者には、郵便、ファクス、メールで区政に関するアンケートに回答いただきました。
モデル実施の終了に当たり、自治推進委員会が平成21年2月にとりまとめた最終答申では、政策eモニター制度の課題と今後の活用の在り方として、それまで区政に関心の薄かった層の掘り起こしに一定の効果があることを踏まえ、新たな区民参加手法の具体的な活用策として、より地域に密着した、まちづくりをテーマに情報を提供し意見を伺う「地域eモニターとして導入を図られたい」とされました。
この答申を受け、平成22年2月に設置された北池袋モデル地域協議会の活動に先立ち、平成21年3月より、地域eモニター制度が実施されました。地域eモニターの取組みとして、参加者に地域情報をメールマガジンで配信し、アンケート調査を実施しましたが、参加者からの反応が少なく、また、それに加え、当初応募者が84名だったところ、メールアドレスの変更等により送信不能が増えたことなどから、平成23年3月に事業が終了となっております。
また、協働事業委託モデル事業は、公益的組織の活動の活性化と、区職員の協働に対する意識変革を目的として、自治推進委員会が平成20年10月に提出した中間報告で提起されました。行政の側から委託対象事業を提示し、それに対する企画提案を公募する行政提案型の事業委託方式を導入しようとしたものです。
しかし、平成21年度の実施に向け、庁内で調査した結果、本区において、既に124件の協働事業の取組み事例があったため、残念ながら、新たに協働事業として公募する事業の候補が見つからず、このような状況を踏まえ、本事業を実施する余地は乏しいと判断され、終了に至っております。
次に、北池袋モデル地域協議会の5年間の事業の検証と、その後にどう生かそうとしてきたのかについてです。
地域協議会は、豊島区自治の推進に関する基本条例第28条において、一定の地域内で区と区民の協働によるまちづくりを推進するために設置することができるとされています。
先ほど申し上げましたとおり、平成21年2月に自治推進委員会の最終答申を受け、平成22年2月から北池袋モデル地域協議会の活動がスタートしました。事業実施した5年間の活動をとりまとめた報告書では、「様々な課題について地域協議会という組織で協議することは、地域住民と行政の相互に有益である」ものの、「常態的な運営は困難である」こと、「今後は、『防災・治安』等、課題ごとの必要に応じた地域協議会を時限的に設置し、課題への関わりが深い地域住民の参画ができるようにし、効率・効果的な運営をすることが望ましい」と総括されております。
本区では、地域住民と行政が密接に関わり合い、地域の課題について共に考えた、この貴重な経験を踏まえ、学校改築を行う際の建て替え等を考える会や、としまみどりの防災公園、南池袋公園などの公園をよくする会、高齢社会に向けた総合高齢社会対策推進協議会など、時限的あるいはテーマ別に地域と行う協議の場を設けることなどを通じ、政策の実施過程において、区民ニーズや、直接のお声を生かす取組みを進めてまいりました。
次に、地域協議会構想の再検討の必要性についてです。
私は、まちづくりに多様な住民が参画し、その意見を尊重することは、住民自治の観点からも非常に重要なことと考えております。そうしたことから、子どもレターや区民による事業提案制度、未来としまミーティングなど、多様な区民の意見をお聴きする取組みを進めるとともに、池袋エリアプラットフォームや、TEAMとしまなど、企業、NPOなど様々な主体と連携しながら、ハード・ソフトの両面で、誰一人取り残さないまちの実現に向け、取り組んでおります。また、地域のコミュニティを支える町会や商店街との連携も大事にし、様々な場面で意見交換等を行っております。
一方、先ほど申し上げましたとおり、区民意識調査において、公民連携のまちづくりが進んでいるとの回答は30%と、いまだ低い状況であり、今後、区民や企業等との協働・連携をさらにどう進めていくかについて、幅広い観点から検討する必要があると考えております。お話の地域協議会についても、そうした検討の中で、当時、なぜ実施が困難との総括に至ったのか、その際の課題をアップデートすることで、今進めている取組みに生かせることはないかなど、考える意義はあると考えております。
次に、参加と協働をさらに促進するための今後の取組み方針についてです。
私は、区長就任以来「3つのつながる」を示し、これまで区政につながりづらかった子ども・若者・女性とのつながり、そして、企業や団体、地域の皆様とのつながりをさらに強固なものとすべく、区民目線で考え抜くことを第一に、区政運営を進めております。
今後、高齢者や障害者など、いざというときに支援が必要となる災害弱者の安全確保や、生活に様々な困難な生きづらさを抱える方々への支援、言葉や文化の違いを有する外国人との共生等々、区が直面する様々な課題に向き合い、誰もが安心して暮らし、活躍できるまちをつくっていくには、地域コミュニティの強化が欠かせないと考えております。そしてそのためには、区民の皆様の様々な声を聴き、生かす取組みとともに、区民自ら、地域の課題解決に参画いただくことが重要と考えます。
区といたしましては、まずは、区の情報を時期を逸することなく公表することで、区民や企業・団体の皆様に区政に参画いただく前提となる土壌を整えてまいります。決まったことの情報発信を迅速かつ正確に行うことは当然として、区が何を必要と考え、何を検討しようとしているか、どんな課題を抱え、どういう観点から意見や提案を求めているか、あるいは、どんな分野で協働を求めているかなど、分かりやすく発信できるよう取り組んでいきたいと考えています。私たちのことを知ってもらえなければ、区民参加や協働は進まない。そのことを肝に銘じ、まずは情報提供、発信に力を入れてまいります。その上で、それぞれの分野における課題の検討や事業の推進に当たり、どのタイミングでどのように区民の皆様の声を伺うか、常に念頭に置いて考える体制を構築し、区政運営に臨んでまいります。
次に、防災対策についてお答えをいたします。
初めに、災害時要援護者の情報の取扱いにおける認識についてです。
お話の平成17年第4回定例会での、島村議員からの災害弱者対策と個人情報保護条例の在り方についての御質問に対しましては、高野前区長が答弁をしています。内容としましては、災害時に援護を必要とする高齢者や障害者への対応は基礎的自治体の最重要課題の一つであること、その当時の条例では個人情報の目的外利用が禁止されていること、そして区としては個人のプライバシー保護に十分配慮することはもちろんであるが、その方の命を守るためには平常時から防災セクションなどでも高齢者等の個人情報を活用することが必要であると考えていること、そのため平成18年1月開催予定の豊島区行政情報公開・個人情報保護審議会に諮問をすべく、関係8課による災害要援護者対策検討委員会で鋭意作業を進めているとの答弁でした。
本区では、災害時要援護者に対する課題認識の下、平成17年第4回定例会で御質問をいただく前の6月から災害時要援護者対策検討委員会において要援護者情報の行政内部における共有について協議を続けており、7カ月後の平成18年1月20日、個人情報保護審議会に諮問をし、同日、内部共有が可能との承認を得て要援護者名簿を作成するに至っております。
そして、こうした取組みが平成19年3月内閣府の「災害時要援護者の避難支援における福祉と防災との連携に関する検討会」が作成した「災害時要援護者対策の進め方について」という資料の中で、避難支援ガイドラインのポイントと先進的取組事例として取り上げられたほか、一般紙にも掲載されました。
このことについては、平成19年2月26日の予算特別委員会において島村議員から、「豊島区はそういう意味では先駆的に安心・安全ということに関しては非常に私は優れている区だと考えている。これからもそういった点で先駆を切って安心・安全を図っていただきたい」と大変心強いお褒めの言葉をいただきました。
本区では、当時島村議員からお褒めいただきましたように、当時の条例により内部の情報共有が困難であった中においても解決に向けて取り組んでまいりました。それは先ほど申し上げたとおり、平成17年第4回定例会で高野前区長が「災害時に援護を必要とする高齢者や障害者への対応については基礎的自治体の最重要課題の一つと認識している」と答弁しているように、本区では災害時要援護者対策を防災上の重要課題と位置付けていたからであり、その考え方は現在も全く変わっておりません。
したがいまして、当時から今に至る区の考え方は、本日御質問にありました「災害時に区民を支援する防災課が災害弱者の情報を共有するのは当然のこと」という、当時島村議員に対し区民の方がおっしゃったという御発言と何ら異なる点、食い違う点はないものと認識をしております。
次に、災害時要援護者名簿の地域との情報共有に最初の提案から9年近く要した理由についてです。
名簿の共有につきましては、先ほど申し上げましたとおり、平成18年1月20日に個人情報保護審議会に災害時要援護者情報の内部共有について諮問を行い、同日に答申をいただき、了承を得ました。その後、平成19年7月から、名簿への登録は本人の申請を前提とするいわゆる手挙げ方式により町会等外部へ提供することを目的とした災害時要援護者の登録事業を開始しましたが、当該年度の登載率は5%程度にとどまっていたという状況がありました。
登載率が上がらない理由の中には、要援護者御本人が個人情報を提供されることへの不安感があるということも考えられたことから、翌平成20年度にはそれを解消するために町会の個人情報保護に関するルールづくりや守秘義務を担保する仕組みの整備等についての検討を行い、登載率を上げる方策を模索をいたしました。
さらに、平成22年度には、災害時要援護者名簿への登載の必要性を理解していただくため、庁舎窓口や防災訓練において災害時要援護者名簿への登録を促すチラシを配布したほか、介護事業者によるPR活動の実施、また広報としまに申請書を掲載し、ファクスなどで申請いただく方法なども試みました。
その後も、登載率が格段に上がる状況が見られなかったことから、平成24年度に名簿の登録を手挙げ方式から、不同意の場合を除き、原則として名簿に掲載するいわゆる手下げ方式への変更について検討し、平成25年3月施行の防災対策基本条例の中でその規定を設けました。
その後、対象者となる要援護者約9,000人に対して、郵送にて、掲載を希望しない方は同封の用紙を区に返送をお願いしたいとの御連絡をし、複数回にわたり意思確認を行ってまいりました。
そして、御返信に基づき、登載を希望しない方を抽出し、町会にお渡しする災害時要援護者名簿の作成を行いました。それにあわせて、町会に名簿をお渡しするに当たり、各町会にお願いする内容を記載したマニュアルを作成しました。マニュアルについては、町会連合会に御説明、意見交換の上、平成25年秋頃から各地域の区政連絡会で御説明をし、加えて個別にお問い合わせいただいた町会に対して個々に御説明をし、平成26年7月から名簿の共有に至っております。
このような経過から、平成17年度に個人情報保護審議会での要援護者情報の共有の承認を得て以降、実際の名簿の共有まで8年半を要したものであります。
次に、避難支援プラン全体計画策定について、平成21年度の地域防災計画の中で定めたとしながら、令和4年度以降に取り組む理由及び以前定めた全体計画の現状についてです。
総務省消防庁は、令和4年4月、災害対策基本法の成立から現在までの主な改正の経緯について、「我が国の災害対応の歴史をたどると、幾多の災害の経験を踏まえて、その都度災害対応のあり方を見直し、災害対策基本法等に反映させることの繰り返しであった」と総括しています。
近年の主な制度改正としては、台風の上陸が観測史上最多となった平成16年風水害では避難支援ガイドラインが、19年には避難支援プランの全体計画のモデル計画が示されました。これを受けて、当時の豊島区地域防災計画に避難支援プラン全体計画を定めました。その後、平成23年の東日本大震災での教訓を踏まえ、避難行動支援に関する取組指針が定められ、さらに令和元年の台風19号及び翌2年7月の豪雨における被害を教訓に、高齢者等の避難の実効性の確保や個別避難計画の作成などを盛り込む災害対策基本法の大規模な改正が令和3年に行われました。
現在、防災危機管理課による避難支援プランを含む地域防災計画の改定と保健福祉部を中心とする災害時要援護者対策は、この法改正を受けて検討を進めているものです。区としましては、法改正に伴う国や都の災害対策の見直し、それに伴い基礎的自治体に求められていることについては、庁内横断、そして地域、介護事業者等との連携の下、できる限り迅速な対応に努める考えであります。
令和3年の災害対策基本法改正を受け現在進めております検討についても、令和6年度一層力を入れ、いつ起きてもおかしくない大規模災害への即応力の強化に努めてまいります。
次に、救援センターの門扉等の開錠における区の答弁の推移と内容に対する感想についてです。
平成17年第4回定例会での島村議員への御質問に対しては、高野前区長が、「災害時における学校の開錠については、安全が確認されない施設に入場することは極めて危険を伴うので、まず、一時避難場所として校庭を活用することとし、区・学校職員が地域住民と共に施設の安全確認を行い、その後、職員が開錠することとしている」とお答えをしております。
その後、平成24年第2回定例会において、同じく高野前区長が、夜間、休日においては、災害対策要員及び救援センターの配備職員が開錠することになっているが、職員よりも地域の方々のほうが早く救援センターに到着する場合もあるので、今後学校側と調整し、地域で鍵の管理をお任せする方向で具体的に検討する旨を答弁。
そして、平成28年第4回定例会では、当時の危機管理監が、救援センターの鍵の管理については、これまでも長く懸案であった。救援センターには区立小中学校及び区立施設を指定していることもあり、セキュリティ上の課題のほか、大災害の混乱の中で、災害対策要員同様の施設開錠の重責を町会の中の特定の方にお願いすることが果たして妥当なのかなどを改めて検討した結果、課題が少なからずあるとの結論に達した。よって、災害時に万が一災害対策要員が救援センターに到着できない場合には、事前に決めておいた窓や扉のガラスなどを破り、当該施設に入った後、救援センターの開設を行っていただくこととしている旨を、さらには平成30年第4回定例会において、救援センター開設標準マニュアルでは、救援センターにおいて緊急を要する場合には地域防災組織で区が指定した者が開錠を行うこととなっている。しかし、現実には、セキュリティ上の課題や区の災害対策要員以外の町会などの特定の方に開錠という重責をお願いすることが妥当なのかという議論もあり、現時点で指定を行っている施設はない。あらかじめ地域防災組織内で担当者が指定された場合には、施設側と事前に決めておいた窓、扉のガラスを割り、当該施設に入っていただく旨を答弁しております。
本区といたしましては、救援センターの開錠については、まずは区の責任として職員が行うべきであるというのが基本であると考えます。一方、いざというとき、救援センターを速やかに開設することが重要であり、また地域の方からも、「職員到着までに時間を要する場合があるので我々に開錠方法を共有してもらいたい」という御要望もいただいております。
平成17年からの答弁を振り返りますと、地域の方に救援センターを開錠するという役割を担っていただくことの是非や、その際、具体的に鍵をどなたに管理いただくのかといった様々な課題があり、それらについて区も地域の方々も様々な考えがある中で、一つ一つ検討を重ね、最も合理的な方法を模索してきたものと存じます。これまでの経過や地域の皆様からいただいた御意見を基に、よりよい方法について検討を重ねるとともに、この間、教育委員会や校長会等との調整も進めてきております。
そして、昨年1月に町会連合会の防災部会、3月に町会連合会正副会長会、7月に区政連絡会での御説明を経て、町会と鍵開錠方法を共有することについて御理解いただくことができました。
そして、私が区長に就任して以降、8月25日に豊島区、豊島区町会連合会、豊島区教育委員会の三者で救援センターの鍵開錠に関する覚書の締結に至り、大変ありがたく思っております。
次に、地域に救援センター施設開錠の重責を担わせる課題をどのように解消したかについてです。
これまで複数の町会から、「救援センター門扉の鍵の開錠について、職員の到着を待って門扉の開錠をするのではなく、私たち地域の者が開錠できるように鍵番号を共有させてもらいたい」との御要望をいただいていたことから、令和3年度末、千登世橋中学校で5つの町会に対し、開錠方法共有の試行訓練を実施いたしました。参加した町会員の皆様からは、「開錠方法がそれほど難しくなく理解できた」「鍵番号が変更された場合の周知を確実に実施してほしい」などの御意見をいただきました。
こうして得られた様々な御意見を基に、さらによりよい方法を検討し、先ほど申し上げたとおり、令和5年1月以降、町会連合会の防災部会をはじめ、町会連合会正副会長会、区政連絡会で地域の方に救援センター施設を開錠いただくことを御説明し、町会の皆様方の御理解と合意をいただきました。
なお、令和6年2月19日現在、実際に鍵番号が記載されているカードを保管いただくことについては、53の町会に同意をいただいております。
次に、救援センター施設の開錠において、地域住民の意向や特性を把握すること及び今後の方針についてです。
今回町会と共有するカードにつきましては、門扉を開錠する際の暗証番号が記載され、防犯上の観点から番号に目隠しのスクラッチシールを貼付したもので、必要時にスクラッチシールを削ると開錠のための暗証番号が確認できます。カードをお渡しすることに関し、地域の皆様の御意向を把握するため、昨年9月、全町会を対象にカードの共有について意向調査を実施しました。その上で、カードの受け取りを希望された町会に対してのみ今月からお渡しをいたします。希望されなかった町会に無理にお渡しすることはございません。
希望されない町会にはお渡しはいたしませんが、救援センター開設・運営訓練に参加された皆様に対しては、カードを使用した開錠方法をお伝えし、学校などが休日や夜間等の閉庁時においても、発災時には職員の参集を待たず、救援センターの開設・運営を進められることについて丁寧に御説明する予定でおります。
また、カードのお渡しに当たっては、町会長お一人でなく、町会員の皆様の御意向や、また救援センターと町会との距離といった地域の特性も十分に把握し、カードの共有についての御不安や御心配を持たれることのないよう、十分な配慮と十分な御説明の上、進めてまいります。 私からの答弁は以上でございます。
〔金子智雄教育長登壇〕
○教育長(金子智雄) 私からは、不登校対策についてお答えをいたします。
初めに、これまでの不登校児童・生徒の保護者の精神面の実態把握の取組みと支援の方策についてです。
本区におきましては、教育センターにおいて教育相談員が相談を受けたり、スクールソーシャルワーカーが家庭に赴いたりして、「なぜ登校できないのか理解できない」「家庭内にほかの問題もあり精神的にきつい」など、様々なお悩みを多くの保護者の方々から日々伺っております。今後も、早い段階で保護者の方が自分を追い詰めないよう、悩みを傾聴し、学校以外の相談の場や居場所を紹介することを含め、伴走的支援の充実を図ることで誰ともつながっていない方をなくす努力をより積極的にしてまいります。
しかしながら、現在、様々な理由から学校とも行政ともつながっていない保護者の方々もおられますので、そのような方々の精神的な実態把握も含め、どのようにつながることができるか、専門家の助言も得ながら検討してまいりたいと思います。
次に、学校や行政から効果的支援が困難な場合の、親に十分に理解と納得してもらうための今後の取組み方針についてです。
御指摘のとおり、不登校対策は子どものよりよき成長を支援することが最も大切であり、学校や行政だけでは対応が困難な場合は、他の機関や地域の方などに協力をお願いすることが重要であると考えております。
そのため、これまでも教育センターやスクールソーシャルワーカーにより相談先や居場所などの情報を提供し、フリースクールなど、行政機関以外の機関につなげることも含めた支援を行ってまいりました。今後も親の会など、様々な行政機関以外の機関を含め、より早期に、より積極的に情報提供し、効果的な支援に努めてまいります。
次に、不登校世帯の家計状況の把握についてです。
これまで不登校世帯に対象を絞った家計状況の把握は行っておりませんが、スクールソーシャルワーカーが複数の保護者の方より、「子どもが家にいるのでフルタイムで働くことは難しい」などの話とともに、「登校できるようになったので働く時間を増やす予定である」などの話も伺っており、子どもが不登校状態か否かによって家計にも大きな影響があるものと認識をしております。今後、家計状況の把握についても検討してまいりたいと思います。
次に、フリースクール利用の不登校児童世帯に対する補助などの支援の必要性についてです。
国の調査によりますと、フリースクールの月会費の平均は3万3,000円ほどであり、保護者の負担は大きいものと認識しております。
東京都では、令和6年度よりフリースクールなどの利用者の経済的負担軽減を目的に、利用者の実負担額に対して毎月2万円を上限とした助成金を支給することとなりました。
本区におきましても、支援の必要性については認識しておりますので、今後、家計面の実態把握を進めながら、東京都の施策による推移を注視してまいります。 私からの答弁は以上でございます。
〔岡谷晃治危機管理監登壇〕
○危機管理監(岡谷晃治) 私からは、救援センター開設・運営訓練における今後の訓練方針についてお答えいたします。
現在実施している救援センター開設・運営訓練は、コロナ禍において避難所運営が感染症対策を盛り込んだものとなり、受付の仕方や間仕切りの使用など、以前と大きく変更になったことから、まずは基本を習得していただくことを目的として実施しています。
訓練の最初に、令和2年度末に導入した救援センター開設キットについてパワーポイントを使用して説明をし、その後、居住スペースにおける間仕切りや段ボールベッドの設置体験、そして展示場所に移動して応急給水栓やマンホールトイレの設営や使用方法など、救援センター開設・運営において入門的な訓練を行っているところです。
最初に、パワーポイントで開設キットの説明をしておりますが、その中で、キットが主事室内にあることを、パワーポイント上で当該救援センターの実際の主事室内の写真をお示しし、その写真と配置図で丁寧に説明しております。
また、応急給水栓やトイレ設置に必要な資機材については、開設キットの説明後に町会ごとに分かれて、それぞれの展示場所で応急給水栓や災害トイレの設置方法と使用方法を説明する際に、これらを組み立てるための資機材がどこに格納しているかについては、間違いなく説明しています。訓練終了後のアンケートでは、様々な御意見をいただいている中で、「資機材の格納場所は分からない」という御意見は今までに1件もいただいたことはありません。
武道の世界では、見取り稽古といって、優れた指導者の優れた技を見てその技を習得するという稽古法があります。私自身の経験からも初心者が初めて技を身につけるために見取り稽古は必要な稽古の一つと認識しております。そして、基本が身に付けていない者にその後の技の上達は絶対にあり得ません。高齢者を含む地域の方々に基本を習得していただくためには、この見取り稽古も必要であることから、まずは経験豊富な東京消防庁出身の防災指導員が実際に皆様の前でやって見せた上で、何人かの方に実際に御自身で組立てや操作をしていただき、基本を身に付けていただいているところです。
来年度以降は、救援センター開設キットを御自身で実際に使用して、門扉や校舎の開錠、建物の安全確認、受付所の設置と模擬避難者の受入れなどの実践的訓練を実施する計画を既に立てており、今月の区政連絡会においてもその旨の御説明も終えております。
来年度からは、今年度までの訓練で習得していただいた基本に基づいて、さらに実践的な応用訓練を実施いたします。
私からの答弁は以上でございます。
〔田中真理子保健福祉部長登壇〕
○保健福祉部長(田中真理子) 私からは、防災対策に関し、初めに、高田地域の個別避難計画モデル作成において、要援護者の意識と反応及び理解が得られているかについてお答えいたします。
昨年9月、高田地域にお住まいの避難行動要支援者151名にアンケート調査を送付したところ、77名、約50%の方から回答がありました。そのうち、施設に入所していない在宅避難可能な方55名の回答結果を集約したところ、「災害時に助けてくれる親族が近隣にいない」が51%、「災害時の支援者が決まっていない」が45%、「風水害のリスクが分からない・未回答」が85%などとなっております。
アンケートに御回答いただいた方の多くは、いざというときの避難について意識や関心が高い方が多いのではと想定されますが、そうした方々においても災害時の備えに対し、不安を感じていることが浮彫りになったと認識しております。
また、アンケートを送付した半数の方から回答がなかったという結果からも、要支援者における避難行動の重要性が十分に浸透、理解されていない可能性があると考えております。
次に、町会等への安否確認実施方法の説明に対する町会員の反応と理解度及び今後の協力度についてです。
今年度は、台風等による水害被害が想定される高田地域において、大正大学の地域構想研究所と共に、個別避難計画のモデル作成や地域住民が参加する防災講習会を実施しています。昨年8月には豊島区の災害リスクを知る講習会を、9月には御自身と家庭を守るマイタイムラインの作成実習を実施しました。本年1月には、第三弾として自宅から避難所までどのぐらいの時間がかかるかを確かめる「逃げ地図」の作成を行い、参加者からは「楽しく分かりやすい」「実際に役立つ訓練」と好評をいただいております。
本講習会は、毎回高田地域の町会の方々をはじめ、福祉サービス事業者の方にも御参加いただき、地域における防災上の課題や新たに気づいた視点や提案などを相互に共有することで、回を追うごとに参加者の理解度が高まっていると感じております。
今後も地域における安否確認の方法など、より具体的なテーマを取り上げて、役立つ、ためになる企画とすることで、町会をはじめとする地域の皆様の参加を促し、協力度を上げていくことが必要であると考えております。
次に、介護事業者との連携における課題についてです。
昨年4月に設立した豊島区介護事業者災害対策連絡協議会との間で締結した協定では、平時から事業者間や行政との連携を密にし、共同での災害対策の研修や訓練などを通じて全体の災害対策力の向上を図り、介護サービス利用者の安全・安心の確保を図ることを趣旨としています。日頃から安心・安全なサービス提供に努めている事業者の皆様との方向性が一致することから、積極的に参加協力をいただくことができました。
その背景として、介護や障害福祉サービス事業所等にあっては、大地震や水害等の自然災害に備えて、業務継続に向けた計画の策定や研修・訓練を実施することが令和6年度から義務化されたこともあり、事業者との協力関係の構築がスムーズに進んでおります。
今後は未加入の事業者に対して、個別に加入促進を図るとともに、来年度には区の災害時要援護者対策部会の検討チームに同連絡協議会も参画していただくことで、災害時における要援護者の安否確認や移送手段など、事業者の協力抜きでは実現が困難な課題についても協議を進めていくことを予定しております。
次に、介護事業者以外の多くの支援が必要な状況下で、十分な避難支援プランが作成できるかについてです。
今回のアンケート調査では、施設に入所していない55名のうち、「担当のケアマネジャー、相談支援専門員等がいる」と答えた方が17名、31%、「いない」と答えた方が15名、27%、「未回答」の方が23名、42%となっております。
個別避難計画の作成については、対象者が多く、かつ個々の状況に合わせた内容にすることが求められることから、要支援者に関わる身近な方々の御協力をいただきながら作成することを想定しています。具体的には、ケアマネジャーのみならず、御家族、近隣の友人のほか、町会、民生委員、高齢者総合相談センターや介護事業所、区職員などが挙げられます。こうした中で最もふさわしい人が要支援者の状況、要望などをきめ細かに聴き取り、その方に合った避難支援計画を作成していくことを予定しております。
次に、調査未回答者のうち、単身要配慮者の人数及び調査未回答者の状況把握と避難支援についてです。
調査に未回答だった方で単身でお住まいの方が何名いるかについては、アンケートの回収ができていないため、把握できておりません。
現在、回答のあった方について個別避難計画のモデル作成に着手しており、要支援者へのアプローチ方法や聴取りに要する作業量の確認のほか、要支援者とのやり取りに基づいた個別避難計画書の改善といった作成のプロセスの検証を行っております。
こうした一連の作業を踏まえ、今後、未回答だった方に対して個別避難計画作成の意思を確認する郵便物を送付するなどの再度のアプローチを図ることを予定しております。
次に、全地域での避難支援プラン作成についての今後の取組み方針についてです。
避難行動要支援者個々の状況に応じた個別避難計画の策定は、量・質ともに膨大な作業となるため、様々な関係者の協力が必要となると想定しております。そうした中、いち早く独自の避難支援計画に取り組んでいる町会がいくつもあることは、大変心強いと思っております。既にこうした町会から災害時の対応に当たって「町会や町会連合会の期待や役割、なすべきことを明確にしてほしい」といった御意見や、「災害対策に係る専門家がいる町会もあるが、人材のいない町会もある。全町会で同様の取組みを進めるより、まずは積極的な町会でモデル的な取組みを進めるのも一つの方法ではないか」といった御提案もいただいているところです。
御指摘のとおり、大規模な災害が発生した際の対応は、行政のみならず、地域全体で取り組む必要があることから、まず、こうした先進的町会と手を携えながら取り組んでまいります。 私からの答弁は以上でございます。
〔植原昭治池袋保健所長登壇〕
○池袋保健所長(植原昭治) 私からは、防災対策について、初めに、救援センターへのペット同行避難の周知についてお答えいたします。
ペットの同行避難ができることについては、区のホームページや昨年9月の広報としま特別号「としまPlus」に掲載したほか、防災フェス、救援センター開設訓練などの開催に合わせて周知を行っていますが、令和4年度の防災フェスで行ったアンケートで、同行避難できることを知っていた人の割合が39%であったことなどから、区としてはさらなる周知が必要だと認識しています。
区は、昨年度から、飼い主向けのペット同行避難の手引きの作成に着手し、防災フェスなどで同行避難のPRを行ってまいりました。今後も丁寧に周知を進めてまいります。
次に、令和6年度新規事業「ペット災害対策事業」の内容についてです。
ケージやペット用トイレシーツ、消臭スプレー、動物避難所運営マニュアルなどをまとめた動物避難所開設BOXを各救援センターに配備するとともに、実際にペットを連れて避難し、動物避難所の開設・運営を行うペット同行避難訓練を実施します。この訓練を通じて救援センターのペットスペースを確認するほか、実際にペットを受け入れる際の課題を抽出し、改善を重ねることで体制の整備を図ってまいります。
次に、ケージに入れられない大型ペットの対応方法及び区民の皆様への周知についてです。
区は、受入れ可能な動物として、原則ケージに入れられる大きさの犬や猫など哺乳類や鳥類を想定しており、人に危害を加えるおそれのある特定動物や特定外来生物は対象外としています。ケージに入れられない大型ペットの場合はリードで係留する予定ですが、ケージに入った動物とは別にスペースを確保する必要があり、救援センターの状況などによっては受入れが難しい可能性があることから、飼い主はあらかじめ一時預かり先を探しておくようにお願いしています。
これらについては、現在作成中であるペット同行避難の手引きに記載するほか、来年度実施予定のペット同行避難訓練などを通じて周知を行ってまいります。 私からの答弁は以上でございます。
〔近藤正仁都市整備部長登壇〕
○都市整備部長(近藤正仁) 私からは、住宅確保要配慮者支援についてお答えいたします。
初めに、入居・入居後及び退去・死亡時の3つの支援の必要性に対する認識についてです。
本区では、既に入居支援としての家賃債務保証助成制度を導入するとともに、入居後の支援としての、照明器具を活用した見守りサービス等を安心住まい提供事業等で実施しております。しかし、周知不足や制度の使いづらさもあり、不動産事業者や家主の不安・拒否感を解消していただくまでには至ってないことから、これらの支援策を充実させていく必要があると考えております。
また、今後、退去・死亡時の支援策については、残置物処理の実施に向けて不動産協会と協議を行っておりますが、その他の様々な課題への対応策についても検討していく必要があると考えております。
次に、入居支援の協力店舗加入名簿から、ある不動産事業者の名前がなくなる事態が生じた原因についてです。
お尋ねの件について、不動産団体からは名簿の更新の際に店舗側の申請に漏れがあり、登録がされなかったことが原因であったと聞いております。その際の防止策としては、今後はこの制度に関して協力を要請している立場から、区としても更新前後のリストを比較し、異動がある場合には当該店舗に対し個別に連絡を行い、確認してまいります。
次に、保証人がいない入居者への対応の進捗状況についてです。
保証人のいない高齢者向けの民間の身元保証等を行うサポート事業がありますが、それについては契約をめぐるトラブルの相談事例があることから、国はこの事業を活用して入居者支援が行えるよう、今年度内にもガイドラインを策定する考えです。区としても、国の動向を注視しながら、保証人がいない高齢者への支援の在り方について、引き続き検討を進めてまいります。
次に、居住支援協議会の支援法人の活動に対する家主の認識・評価及び住居確保のこれまでの実績についてです。
区内の支援法人によれば、支援法人が住宅確保要配慮者向けに借り上げて入居いただいている物件があり、その家主は支援法人の活動主旨について認識をいただいているとのことです。また、同様に評価については「借り上げていることで家賃滞納がない」「高齢者が倒れた場合でも支援法人が社会福祉協議会、高齢者総合相談センターや病院と連携しているため、安心して任せられる」とのことです。
一方、不動産団体によれば、「居住支援法人と関わりのある家主はまだまだ少ない状況であり、多くの家主は支援法人の活動に対する認識が不足していると考えられる」とのことです。
区内住宅要配慮者に対する住居確保のこれまでの実績についてですが、近年、入居支援を依頼できる事業所が徐々に増えてきたことから、入居支援に携わる事業者等への入居支援を依頼した方は、令和3年度は100件、令和4年度は399件、今年度は12月末時点で463件となっております。
次に、セーフティネット住宅の現状と効果及び制度として改善すべき点についてです。
まず、現状については、本区のセーフティネット専用住宅は、2月10日現在31戸です。この住宅は、一定の条件の下、月額4万円の家賃低廉化補助が可能です。補助件数は、令和3年度と令和4年度が各8件、令和5年度が現時点で16件です。
効果については、その中で家賃低廉化補助を活用して5万円以下の家賃となった物件も令和3年度及び令和4年度が各7件、令和5年度が13件と増加していることから、このセーフティネット住宅制度の効果が大きくなってきていると受け止めております。
また、改善点については、国の検討会では、改修費補助を利用した場合、10年間は専用住宅として管理しなければならないことや、登録に際して免責要件や耐震基準要件を満足できないものがあることなどが課題として挙げられています。それらに加え、不動産事業者や家主にとっては専用住宅として登録するメリットがないことが課題であると区は認識しております。
次に、区内の広域でより多くの支援法人が活動できる体制整備についてです。
孤独死に対する家主の不安を解消するための有効な手法として、居住支援法人によるサブリース方式の一括借り上げがあると考えられています。
現状、居住支援法人が単独で借り上げても、資本や人材などの面から受皿住宅を十分に確保することは難しい状況にあり、この課題に対応することが居住支援事業による効果を高める条件の一つとして重要となります。この課題に対応する一方策として、居住支援法人が複数で連携協調し、物件の一括借り上げを行い、数多くの受皿住宅を安定的に供給する体制整備が考えられます。
このため、今後協調して様々なサービス内容を提供することを含め、多くの居住支援法人同士が連携して、区内全域で一括借り上げによる受皿住宅を十分提供する体制整備に区は取り組んでまいります。具体的には、都とも連携して新たな公的支援策の創設などを国に求めながら、居住支援協議会に登録済みの居住支援法人に加え、区内を業務区域に含む未登録の居住支援法人に対しても幅広く協力を働きかけ、広域でより多くの支援法人が活動できる体制を整備し、住宅確保要配慮者支援の実効性を高め、家主の不安解消などをさらに図ってまいります。
次に、家主が困ったときに速やかに相談できる体制整備とその役を担う人材の育成についてです。
現在、家主からの相談のうち、住宅不動産に関連する契約、入居者管理に関することなどについては、本庁舎1階で週一回実施している専門家による住宅相談で受け付けています。
また、入居者に関することについては、高齢者総合相談センターにおいて、家主も含め、入居高齢者本人やその家族からも相談を受け、対応を行っています。
家主の困り事に対応するためには、住宅不動産管理に関すること、入居者に関することなど、専門性が異なる相談への対応が求められます。そうした幅広いスキルを持つ人材を新たに育成するよりも、高齢者の入居に関する相談は、心身機能の低下に伴い、福祉的な支援が必要となっているケースであると想定されることから、家主からの相談もまずは高齢者総合相談センター等の相談窓口で受け止め、必要に応じて関係機関、専門職団体、民間事業者等の連携により家主、入居者を総合的に支援していきたいと考えております。
次に、家主の不安解消を目的とした入居者の見守り・安否確認の取組み方針についてです。
現在、本区では高齢者の見守りを、民生委員をはじめとする地域住民、民間事業者、専門職など多様な視点による重層的な体制整備を進めております。
一方で、昨年11月に居住支援団体と高齢者総合相談センターの職員、社会福祉協議会のコミュニティソーシャルワーカー等が意見交換を行ったところ、本区の見守りの体制は不動産事業者や居住支援団体へ十分浸透しているとは言えませんでした。あわせて、見守りや安否確認の方策やそうしたことも含めて相談できる先を情報共有することが、家主の不安を軽減することにつながることを把握できました。
今後は、居住支援協議会等を通じて見守り体制を周知するとともに、単身高齢者が居住する家屋の家主からの相談先として高齢者総合相談センターが窓口となり、必要に応じて関係機関と連携しながら、不安や課題に対応しつつ、入居高齢者の尊厳にも配慮し、見守り等の対応をしてまいります。
また、こうした人による見守りに加え、ライトやセンサー等の機器やICTを活用した見守り・安否確認の仕組み等、効果的な方法について調査・研究を行い、居室内での死亡事故など、家主の方の不安解消を図ってまいります。
次に、残置物の処理等に関するモデル契約条項と終身建物賃貸借契約、両制度の改善を区として求めること及び周知・活用を促すための今後の取組み方針についてです。
住宅確保要配慮者への支援を推進するためには、死亡時の支援策を充実させていくことが極めて重要です。
お話の受任者への選定や知事の認可、バリアフリー改修などに関する点については、例えば、現行制度がサービス付き高齢者向け住宅向けに創設されたため、面積要件を一戸当たり25平米以上としているなど、制度を円滑に活用する上で制約があることから、モデル契約条項については柔軟な運用ができるようにすること。また、終身建物賃貸借契約については要件を緩和することを、国に対し特別区住宅担当課長会などを通じて要望してまいります。
同時に、住宅確保要配慮者支援の要となる不動産事業者や家主の協力を得て、受皿となる住宅の供給を増やしていくことが必要であり、様々な課題があるにせよ、現行制度について周知を図っていくことも重要です。
このため、不動産団体の加盟不動産事業者には、両制度についてチラシなどで周知していただくとともに、団体が主催する研修会等に区が参加し、制度の趣旨を御理解、御活用いただけるよう努めてまいります。
さらに、家主に対しては、居住支援協議会で実施するセミナーにおいて両制度の理解を深めていただけるよう、周知してまいります。
現状、居住支援協議会に係る先進的な取組みを行っている本区としては、入居前、入居後、死亡時の各段階にわたり、引き続き施策の充実強化をしながら、住宅確保要配慮者への支援策に取り組んでまいります。
以上をもちまして、島村高彦議員の質問に対する答弁を終わります。
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