令和6年 第1回定例会一般質問「未来の絆を創出するまち・豊島」

公明党 島村高彦
令和6(2024)年2月21日登壇

私は公明党豊島区議団を代表して「未来の絆を創出するまち・豊島」と題し、第1に参加と協働について、第2に防災対策について、第3に住宅確保要配慮者支援について、第4に不登校対策について質問します。

最初にこの度の能登半島地震で被災された方々対し、心よりお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復旧・復興をお祈り申し上げます。大災害のたびに想定外と言われる被害が生じます。しかし振り返れば想定可能であった対策もあったのではないかと感ずるものです。今後、本区においても可能な限り想定を尽くし、あらゆる対策を講じていくべきと考えます。

それでは第1に参加と協働についてお尋ねします。

高際区長は就任早々「もっと身近な区役所改革」を掲げ、子どもの声を直接聞く「子どもレター」や「区民による事業提案制度」など、区長自ら区民の声に耳を傾ける姿勢を示しました。このことは区民の参加と協働を進めるうえで非常に大切な取組みであり高く評価するものです。私も平成16年の質問で、地方自治の本旨である住民自治の実現に必要な参加と協働を進展させるため、まずは区の職員自身が区民とともに、区民のためにあるという自覚と姿勢を示すことが重要であることを訴え、そのためにも、法令順守ではなく「人の期待、要望に応えること」を本来の語源とするコンプライアンス条例を制定し、職員側から改革の姿勢を示すことで、区民の参加と協働の意識を向上させることを提案いたしました。これに対し高野前区長からは「住民側、行政側の行動様式や思考パターンを変えるには、相互に覚悟と熱意が必要となるわけであります。そこで、今後は、職員が地域に積極的に出向き、様々な活動をされている方々と膝を詰めて話し合い、議論し、共通の認識と目的を持って、地域ごとの参加と協働による住民主体の区政が実現できるよう取り組んでまいります。」との力強い答弁をいただいたのが、今から約20年ほど前であります。そこでお尋ねですが、あれから現在に至るまでの参加と協働の進展度についてのご認識についてお聞かせください。

次に、本区では平成18年4月「自治推進基本条例」を施行し、同年11月、条例に基づく付属機関として自治推進委員会を設置しました。当時私も委員として参加しておりましたが、高際区長の積極的な取組みにより思い出されるのが、当委員会において参加と協働を推進するために検討された様々な施策です。たとえば、区政への新たな参加を掘り起こすための「政策eモニター制度」や「地域eモニター」の活用、また、現在の「区民による事業提案制度」によく似通っておりますが、協働事業の企画案を公募する「協働事業委託モデル事業」などです。これらは、区民の参加と協働に有効な取組みであったと考えますが、現在は行われてはおりません。これらの施策が、どのような経緯を得て、どのように検証され消滅したのか、お聞かせ願います。

次に委員会の最大の目玉であった条例第27条に基づく「地域協議会」です。

多様な区民が参画し、住民自ら地域の課題解決を担う地域協議会は、失われたコミュニティを復活し、自らのまちを自らの手でつくり上げるという点で今でも求められる理想であります。しかしながら、当時私は「町会をはじめとする既存の活動組織と協議会との連携は極めて難しいのでは」という発言をした記憶がございます。それでも本区は平成22年2月から5年間にわたり北池袋地域でモデル事業を実施しました。結果、一定のメリットはあったものの「委員のスケジュール調整が困難」「公募委員が定着しない」「所属団体との調整が困難」「自主運営は困難」「協議会独自の提案は困難」「課題解決の実施主体となるのは困難」等々の理由で常態的な運営は困難との結論に達し、以後現在に至るまで地域協議会が振り返られることはなくなりました。しかし、最終答申では今後の検証のあり方について、改めて区民参加による検証の場を設けることが提案されております。本区としてこの長期間にわたる事業をどのように検証し、その後にどう生かそうとしてきたのか、お聞かせください。

また、地域協議会の構成員は区長が選任することとなっております。したがって区長の判断で選任した、より多くの構成員に、その強い情熱と意思を伝え、区長自ら町会等、既存組織との連携を図ることができれば、町会を支援することにもつながり、その地域の参加と協働も増進するのではないでしょうか。一度は計画倒れとなった地域協議会構想ですが、困難な時代に真の住民自治を切り開くため、再度検討の必要性はないのか、高際区長のお考えをお聞かせください。

そして、参加と協働をさらに促進するための今後の取組み方針を、お示し願います。

第2に防災対策です。

まず、恒例の災害時要援護者対策です。長年にわたって進展が見られなかった同対策も、高際区長が副区長に就任された時から現在にいたるまで、対策の中核に保健福祉部を置き、大正大学との共同研究、介護・障害福祉サービス事業所との協定締結、高田地域における取組等、次々と具体的な取組みが始まりました。実に高く評価をいたします。ここで、新しい区長のもと、これまでの質問とその対応について、振り返ってみたいと思います。平成17年4定で、当時すでに地域関係機関にも要援護者名簿を配布し情報共有していた自治体もあった中で、本区も同様の取組みをとの訴えに対し、地域関係機関どころか防災課ですら保健福祉部の持つ要援護者情報を共有することは、個人情報保護条例により目的外利用となり、禁止されているとの驚くべき答弁をいただいたのが、最初であります。そこで、本来国民を危害から守るべき個人情報保護法が逆に国民の生命を危険にさらしていることを指摘させていただきました。その後、審議会の了承を得て、防災課のみが情報共有することとなり、これが一般紙に取り上げられ、その中で時の防災課長が、すでに中央区などで実施しているにもかかわらず「23区でも珍しい取組み」と発言していたのを記憶しております。このことを複数の区民に伝えたところ、「災害時に区民を支援する防災課が災害弱者の情報を共有するのは当然のこと。どこが珍しいのか」と一応に声を揃えて責め立てられました。いかに行政と区民の認識が食い違っていたか、この事実をどのように認識されていたか、改めてお聞かせください。

次に地域との情報共有ですが、すでに平成19年の段階で、東京都や国民生活審議会が本区も含め、各自治体に通知を行っていたように、人の生命、身体の保護の必要があれば、本人の同意を得ずに個人情報の第三者提供が可能であることを何度も訴えました。しかし本区はこれを受け入れることなく同意にこだわり、手上げ方式名簿という実効性の乏しい対策に終始しました。その後、平成24年2定で要配慮者の地域情報共有を条例化することを提案し、防災対策基本条例に位置付け、ようやく平成26年7月より名簿共有が実現しました。緊急の課題でありながら、最初の提案から9年近くもかかった理由について具体的にお示し願います。

次に現状の取組みについてお尋ねします。

まず、避難支援プラン全体計画策定について、令和4年度で積み残し課題とし、令和5年度もその策定に取組むとしておりますが、すでに14年前の平成22年1定の質問に対し「全体計画につきましては、豊島区においても、今年度」すなわち平成21年度「地域防災計画の中で定めた」と答弁しております。すでに定めたのに、積み残し課題として取組むのはなぜなのか。以前に定めた全体計画はどうなったのか、ご説明願います。

次に高田地域における個別避難計画のモデル作成ですが、支援を受ける要配慮者の意識、反応は現状どうであるのか、十分な理解が得られているか、お聞かせください。また、町会等への安否確認実地方法の説明を行っていますが、各町会員の反応、理解度、今後の協力度はどうような状況であるのかお聞かせ願います。

次に介護事業者との連携については、要配慮者の身近な存在であることから、同じく平成22年の質問で私自身が提案してはおりますが、日ごろ本来業務で多忙を極めている事業者の協力を得るにあたり、その反応も気にかかるところです。課題はなかったのか、今後他地域で進めて行く上でも状況についてお聞かせ願います。

次に高田地域の基礎調査の実施にあたり、その状況を回答した要配慮者は対象者151名うち約半数の77名であり、内69%もの人がケアマネ等がいない要配慮者となり、介護事業者以外の人の支援が多く求められることとなりますが、十分な避難支援プランが作成できるのかお答え願います。

また、残り半数の調査未回答者の内、単身の要配慮者は何名いるのか、未回答の方々の状況把握と避難支援はどうされるのかについてもお聞かせ願います。

次に今後の方針として令和6年度から8年度にかけて全地域で避難支援プラン作成を目指すとしております。しかし、これまでも述べてきたように、以前より行政の避難支援プラン作成を待たずに、独自の避難支援計画を立てている町会が複数あります。まずはこうした町会から手掛けていくことで、独自の避難支援計画も、より一層充実したものとなり、今後の他地域の展開にも資すると考えますが、取組み方針をお示しください、

次にやはり何度もお尋ねした救援センターの門扉・建物の開錠についてです。夜間休日等学校関係者不在時の緊急災害時、職員より早く住民が到着した場合、どのように救援センターに避難するのかがお尋の課題です。現に今回の能登半島地震でも元日であったことから、同様の事態が発生しております。ここで前提として、本区は分散避難を推奨しており、能登半島被災でも2次避難が推奨されております。生活環境面でも衛生面でも良好とはいえない施設で数日間であっても、避難生活を送ることは避けなければならず、あくまで初動一時避難という位置づけです。

さて最初の平成17年4定では、職員が駆け付けることができなかったらという前提でお尋ねしているにもかかわらず「安全が確認されない施設に入場するのは極めて危険なので、職員が開錠する」とのお答え。平成24年2定で地域の信頼できる方に鍵を預けるべきとの提案に対しては「有効な対策なので具体的な検討に入る」と答弁。しかし、平成28年4定では「施設開錠の重責をお願いするのは課題があるので、ガラス窓を破って施設に入る」と答弁。平成30年4定でいったい誰が、どこのガラス窓を破るのかの問いに対し「地域の方には開錠をお願いしていないが、事前に決めておいた窓や扉のガラスを破り、救援センターの開設を行っていただく。必要最低限の地域の方には周知しておくべきと認識しているので、より良い方法を検討する」との理解困難なお答えでした。その後も具体的進展が見られないので、これは議会質問ではなく個別にお聞きすると「何としても職員が先に駆け付ける」とのお答えです。元に戻ったわけですが、これら本区の答弁の推移と内容について、区長の率直なご感想をお聞かせください。

そして、最初の提案から約18年、昨年8月「救援センター鍵番号共有事業」が開始、先月には「救援センター解錠手段の多重化事業」とわかりづらい名称になっておりますが、現状、49町会ほどに、鍵番号カードをお渡ししているとのことです。まず、地域に施設開錠の重責を担わせる課題はどのように解消されたのか、お聞かせください。また、カードを受け取っていない町会に対し、今後どのように対応されるのか。「自分がどうなるかもわからないのに、そんな役は負いたくない」とはっきりおっしゃる町会長さんもいらっしゃいます。けして無理して持たせるべきではありませんが、以前から訴えているように、町会長だけでなく、その地域の住民の意向や特性も十分に掌握するよう努めるべきと考えますが、今後の方針をお示し願います。

次に関連して救援センター開設・運営訓練についてお尋ねです。

解錠し施設に入っても、何から手を付ければいいのか戸惑うようでは、解錠自体気後れしてしまいます。現状の訓練では、職員による開設運営キットの説明を聞いているだけであり、必要な資器材が各救援センターのどこに格納されているのか知っている人はほとんどおらず、防災指導員が全て準備しているので、設置・使用方法もわからないのが実態です。そこで今後の訓練については防災指導員の補助のもと住民自ら、解錠から始まり、実際に開設運営キットを用いた訓練に取組むべきですが、今後の訓練方針をお示し願います。

次に救援センターの、より円滑な運営に備え、可能な限り混乱が生じないよう、想定できる体制は整備しておくべきと、これまでも申し上げました。その中の一つにペット同行避難があります。従前よりペットと共に避難できることを区民に周知するよう要望してまいりましたが、未だこのことを知らない区民が多いのが実態です。昨年10月、ある区民が区に問い合わせた際、対応した職員からは「豊島区ではペット同行避難を行っていない」と言われたとの話をお聞きいたしました。これまでの災害時でも、ペットと同行できないと思い込み、避難をためらい被災してしまう人もいる中、区民に周知どころか、職員すら知らないということをどのように認識されていますでしょうか。

また、混乱防止には実際の災害時に備え、あらかじめ各救援センターのペットスペースが原則どこにあるか、ペットのいる住民が知っておくことが必要です。したがって全救援センターにおいて、ペット同行避難訓練も必要な訓練ですが、令和6年度新規事業として「ペット災害対策事業」が予定されております。実施内容についてお聞かせください。

さらに、ホームページではペットをケージに入れておくことが条件となっておりますが、ケージに入れられない大型ペットは、どのように対応するかが不明のままです。対応方法をご説明願うとともに、区民への周知をどのように行うのかお示し願います。

第3に住宅確保要配慮者支援についてです。

配慮者の内、高齢者に焦点を当て、過去2回質問いたしましたが、単身高齢者の増加、持ち家率の減少、老朽化による低廉賃貸住宅の取り壊し、低収入、低資産の高齢者の増加等により、今後ますます困窮する人が増えていくのは明白であります。国もようやく事態の緊迫性に気づき、令和4年度に厚生労働省、国土交通省、法務省が合同で「住まい支援における課題の把握に関するWG」を設置、構成員は3省の担当職員の他、不動産事業者、居住支援法人、地方行政機関、福祉関係者等で、令和5年には住宅要配慮者の実態を知る学識経験者を加えて「住宅確保要配慮者に対する居住支援機能等のあり方に関する検討会」を設置しました。複数回の検討会議を重ね、改めて当然のことが明確になりました。それは高齢者等に対する入居拒否感を抱える家主・大家が全体の約7割に及び、その理由として、内約9割が「居室内での死亡事故等に対する不安」を抱えているということです。検討会報告では、家主と共に、現場で苦労する不動産事業者の報告がその実態を表しております。「入居者の死後、賃借権は相続の対象となり、勝手に契約解除できず長期間にわたり、相続人を探し連絡を取るのに大変な苦労をした」「連絡が取れても、無関心、非協力的な親族も多く、処理が進まない」「家賃を滞納したまま亡くなり、保証人に連絡したら、すでに死亡しており、請求する先がない」「死後の発見が遅れ、腐臭とともに、隣、上下の部屋にも虫が湧き、特殊清掃しても長期間にわたり臭いが取れず、退居していく人もいる中、室内全面改装に多額の費用と期間を要した」「その後、事故物件となり、空き室も増え、家賃を下げざるを得ない」「死後、身寄りのない場合はもちろん、遺族がいても室内残置物の処理をしてもらえず、撤去するのにかなりの費用負担が生じた」等々、こうした苦い経験をした家主や不動産事業者が単身高齢者等の入居に強い拒否感を持つのは当然であります。彼らはけして慈善事業を行っているわけではないのです。しかしこれをこのまま放置すれば、住まいの確保に困窮する人がますます増え続けていくことになります。この緊急の課題に本区が、どう対処、解決していこうとしているのか、三度、お訊ねするものであります。

平成30年1定では、この問題を解決するには、京都市の取組事例を挙げ、行政、福祉関係者、不動産事業者が一体となって機動していく以外にないと訴えました。すなわち、高齢者等の一番身近にいる不動産事業者や家主の不安・拒否感を拭い去るには、入居支援だけでなく、その後に続く入居後の支援、さらには退居・死亡時の支援の三つの支援が継続的にかつ完全に見える形で行われていることが必要であります。まずは、この点に関するご認識をお聞かせください。

そして最初の入居支援においては、どうしても不動産事業者の協力が必要なことから、協力店舗加入を懇願していくよう訴えたところ、昨年1定の答弁では「すべての会員に対し、名簿登録意思の確認を行っております。」とのことでした。ところが、ある事業者の方からは、「わが社は協力店舗のつもりでいたが、知らないうちに名簿から名前がなくなっていた」との話を伺いました。登録率は未だ区内全店舗中4%に至っていない中、何故にこうした事態が生じるのか、お聞かせください。

また、保証人がいない入居者の対応についてもお尋ねしました。すなわち、不動産店と契約している保証会社の家賃債務保証に限定されることにより、緊急連絡先確保が条件となっていたり、別途、身元保証を求めたりするものも多く、本区の家賃債務保証、身元保証制度にたどり着かず、結果として入居を拒まれる問題です。長野県では社会福祉協議会が家主と入居保証契約を結び、滞納時の家賃や退去時の原状回復費用の保証を行っておりますが、本区答弁では「今後、地元不動産店の意見交換を行いながら、区としてどのような取り組みが可能なのか等、課題を整理してまいります。」とのことでした。喫緊の課題でありますが、進捗状況をお聞かせください。

さらに、本区居住支援協議会と区、不動産事業者との連携体制についてもお尋ねしました。今回は、支援協議会の支援法人の活動について、高齢者等の入居拒否感を持つ区内の家主からは、どのように認識・評価をされているのか、また、区内住宅要配慮者に対する住居確保のこれまでの実績についてお示し願います。

次に入居支援として住居確保策についてお尋ねです。

求められているのは、低廉な賃貸物件です。そこでまず、住宅確保要配慮者の入居促進を目的として制定された住宅セーフティネット制度の登録状況ですが、現状、全国的には要配慮者の需要対象となる30㎡未満の登録住宅は全体の約7%、家賃5万円未満は東京都では1%、全登録住宅の空室率は2.3%となっており、元々居住中の物件を登録するなど、対象となる空き室は非常に少ない状況であります。検討会では国土交通省自身が「現在の登録住宅のみでは、今後増加が見込まれる単身世帯の需要に対応できないおそれがある」と述べております。現状、この制度が住宅確保要配慮者対策として、十分に機能しているとは言い難い状況ですが、本区のセーフティネット住宅の現状と効果、そして検討会でも課題となりましたが、今後、制度として改善すべきと考える点があれば、お示しください。

一方、住居確保策として検討会でも効果的な手法とされたのが、認定居住支援法人等による一括借り上げです。空き室、空家をサブリース方式で居住支援付住宅とし、入居から死亡時に至るまで支援を行うことで、家主の不安を解消するものです。一例として、岩手県雫石町では養護老人ホームを運営する社会福祉法人が空家を借り上げることから、家主の安心感につながり、一日2回の安否確認、通院、買物支援等を行っていることから、孤独死に対する家主の不安は皆無となります。昨年9月末で指定された法人は全国で741法人、自治体によっては、社会福祉協議会が法人認定を受けて実施しております。しかしながら、現状では課題も多く、居住支援事業単体での収支は半数以上の法人が赤字であり、今後、国の支援等も想定はされますが、なんらかの公的支援も求められます。また、実施しているサービスも法人ごとに異なることから、家主側から見てわかりづらい面もあり、何より、一法人が単独で手掛けても住居確保数も限られ、効果は限定的なものとなります。とはいえ、現状ではこの方法が家主の不安解消には最も効果的であり、今後、本区としても国や都とも連携しながら、区内のより広域で、より多くの支援法人が活動できる体制整備が求められると考えます。お考えをお聞かせください。

次に入居後の支援として、家主の不安解消につながる相談先の整備であります。賃貸先が居住支援法人であれば対処できますが、そうでない場合、相談先の多くは仲介先の不動産事業者であり、十分な対応が困難な場合もあり、これがその後の入居拒否に繋がってしまいます。本区として家主や物件オーナーが困ったときに、すみやかに相談できる体制の整備とその役を担うコーディネーターとして「居住ケアマネージャー」のような人材も育成していくべきと考えますが、いかかでしょうか。

また、検討会では見守り・安否確認が有効になされることが必要であることが、挙げられており、居住支援法人による継続的な見守りが効果的であることが示されております。現状、本区において、高齢者総合相談センターや民生委員の見守り活動では、どうしても見過ごされてしまう事例が発生しております。さらに過去には単身高齢者が増加しているにもかかわらず、「見守りと支え合いのネットワーク事業」が登録世帯数、協力員ともに年々減少している実態も指摘しました。そこで私は、少しでも多くの単身高齢者等の状況掌握が行えるよう、隣近所や地域福祉に無関心な人でも、匿名で気軽に情報提供できる体制を整備すべきと訴えてきましたが、これは本区としては「やらない」とのことでした。ならば、先の家主の相談先整備と合わせ、家主から要望を受けた場合には、その入居者に絞り、見守り・安否確認を行う体制も整備すべきと考えますが、家主の不安解消を目的とした入居者の見守り・安否確認について取組み方針をお示しください。

次に入居者死亡時においては、相続人の有無や所在が不明な場合、賃貸借契約の解除や残置物の処理が困難となることが課題となっております。そこで新たに「残置物の処理等に関するモデル契約条項」や借地借家法の特例として「終身建物賃貸借契約」の制度が創設されました。いずれも相続手続き不要で契約解除可能となりますが、まだ認知度は低く、肝心の不動産事業者でさえ、半数近くがモデル契約条項の存在を知らず、終身建物賃貸借契約では84.6%もの事業者が「知らなかった」と回答しております。また、これらの制度は受任者の選定や知事の認可、バリアフリー改修が求められるなど、円滑に活用するには限定的なものとなっております。しかしながら、これまでの苦労を思えば格段に負担が軽減されるのは明らかです。本区として両制度の改善を求めるともに、不動産事業者や家主に対する徹底した周知と活用を促していくことが住居確保困窮者に対する支援につながることから、今後の取組み方針についてお聞かせ願います。

住宅確保要配慮者問題は、高齢者以外にも障がい者、ひとり親、刑務所出所者等の生活困窮者も含まれ、多くの課題を抱えております。まずは、単身高齢者率日本一、そして「高齢者にやさしいまちづくり」を掲げる本区としては全国に模範となる対策を講じるよう切に願うものです。

第4に不登校対策です。

これまで不登校児童・生徒への支援のあり方について質問を重ねてまいりましたが、今回は不登校生の親に対する支援についてお尋ねします。

NPO法人「登校拒否・不登校を考える全国ネットワーク」が昨年10月行ったアンケート結果によれば、「不登校の原因が自分にあり、自分を責めた」とする親が66.7%に及び、その悩みに応える支援として要望が高かったのは「学校以外で安心できる居場所・人とつながれる」ことが、80.5%にも及びました。そして、親が助けになったと感じた相談先は学校や行政の窓口でなく、民間の機関が設けた親同士の交流の場である「親の会」やフリースクールを挙げる回答がほとんどであったとのことです。この結果を受け同NPOの代表は「学校や行政の窓口に相談しても、求めている支援や情報提供が受けられていない」と分析しております。本区のこれまでの不登校生の親の精神的な実態掌握の取組み方法、それに対する支援の方策についてお聞かせください。

不登校自体が問題なのではなく、それによって子どもが生きる力をなくしてしまうことが問題であると、これまで何度も申し上げました。このことを親に十分、理解、納得してもらう取組みが必要です。もし学校や行政が効果的な支援が困難な場合、的確な支援を行っている「親の会」などの機関に導く等の対策も、未だ支援に繋がっていない親にとっては急務であると考えますが、今後の取組み方針をお示し願います。

次に経済的支援も求められております。

不登校をきっかけに家計の支出が増えた世帯は約9割に及び、収入を増やす必要があるにもかかわらず、逆に労働時間を減らし、休職・転職など働き方を変えざるを得ずに収入減となった世帯は3割に及びました。本区が不登校生の世帯の家計状況を掌握されているのかお聞かせください。滋賀県草津市はフリースクールを利用する不登校児童の世帯に補助を実施しておりますが、こうした支援の必要性はないのか、お考えをお聞かせください。

 

以上で私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。