令和 5年予算委員会 2月27日 公明党総括質疑

【故高野之夫区長の葬儀】

○辻薫委員  公明党の辻でございます。

まずは、故高野之夫区長の豊島区政における語り尽くすことのできないまでの御尽力と御功労に対しまして、深く感謝申し上げますとともに、改めて心より御冥福をお祈り申し上げます。

総括質疑に入ります前に、何分、現職の区長がお亡くなりになるという事態は前例のないことであり、過日の故高野之夫区長の葬儀の状況及び本庁舎1階などで行われています献花の模様につきまして、私ども議員はもとより、本日中継を御覧になられている区民の皆様もお知りになりたい方が多くいらっしゃると思いますので、冒頭に御報告賜りたく、よろしくお願い申し上げます。

○能登総務課長  それでは、私のほうから、御説明させていただきます。

まず、お亡くなりになられた状況でございますけれども、令和5年2月9日午後6時43分、御自宅で御家族に見守られながら亡くなったというふうに聞いております。

また、御葬儀ですけれども、こちらは高野家が葬儀を執り行っておりますので、行政では詳細を把握しておらない部分もございますが、簡単にではございますが御説明させていただきます。

まず、お通夜、告別式に弔問された御来賓でございますけれども、名誉区民であります野村萬様はじめとしまして、近藤誠一様などにもお越しいただいております。また、国会議員では多くの皆様にお越しいただいてございまして、特に公明党では山口代表にもお越しをいただきました。

弔問いただいたお客様の数なんですけれども、両日合わせて約1,600名というふうに伺ってございます。弔辞につきましては、小池都知事から弔辞をいただいておりますほか、齊藤区長職務代理者、木下議長、元小学校の校長先生などから弔辞のほうをいただいてございます。

その後ですね、告別式が終了した後、御遺族の御意向によりまして、区長の思い入れの強い区内の関連施設のほう、立教大学、グローバルリング、Hareza池袋、イケ・サンパーク、区庁舎などを回って落合斎場のほうへ向かわれました。区庁舎では、庁舎を取り囲むように職員が整列をいたしまして、お見送りをさせていただきました。

最後、献花台の弔問客数や模様についてでございますが、区長がお亡くなりになった2月9日の翌日、2月10日から今月いっぱい、献花台のほうを設置してございます。時間は8時半から19時までの間を行ってございまして、区役所のセンタースクエアのほか、東西区民事務所のほうでも献花台のほうを設けております。お越しいただいた方の数は把握はできていないんですけれども、お名前のほうを御記帳いただいた皆様の数としましては、約1,530名程度というような状況でございます。 私からは以上でございます。

○辻薫委員  貴重な冒頭の時間、大変にありがとうございました。

さて、公明党の令和5年度予算特別委員は、木下広議長、西山陽介委員長、そして私の3名になります。したがいまして、発言は全て私一人となりますが、当然質問は会派を代表しての内容になりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

それでは、公明党を代表しまして、総括質疑をさせていただきます。

令和5年度予算案につきましては、我が会派の高橋幹事長がさきの一般質問において、3つの特徴に関して、区民生活を支えながら価値あるまちづくりを推進するかじ取りのバランスや、新年度予算においてどのように区民の暮らしを守っていくかなど、区の認識と今後の行財政運営について伺ったところでございます。

私からは、さらなる持続可能な財政運営を堅持していくために、区財政を取り巻く課題などを取り上げさせていただきます。

そこで、まず、改めて令和5年度予算の特徴についてお聞かせください。

○木村財政課長  令和5年度予算につきましては、新型コロナウイルスワクチン接種経費について未計上である点を考慮いたしますと、実質的な対前年度比較では29億円の増となってございまして、区民サービスの拡充を図った積極的な予算であることが特徴の一つであると考えてございます。

令和5年度予算の重点テーマの一つに福祉・健康・教育の充実を掲げまして、新規・拡充事業のうち、一般事業は約240事業、41億円でございまして、そのうちの約半分となる21億円を福祉・健康・教育の充実のために計上しているところでございます。

区制100周年に向けまして、本区がこれまでに進めてきた文化による経済の好循環を生み出すまちづくりにより税収増を達成し、その財源を福祉・健康・教育といった区民の暮らしを守っていく施策に充てることで、区民サービスの充実を図っていくことを意図して編成してございます。

令和5年度予算は、これまでに高野区長が進めてきた区政の集大成とも言える予算でございまして、次なる区制100周年に向けた新たな第一歩を着実に進め、文化と経済の好循環を創造する豊島区をさらに躍進させる予算であることが特徴であるというふうに考えてございます。

【区制100周年へ向けて】

○辻薫委員  令和5年度の予算は、今財政課長がおっしゃっていたとおり、高野区長の集大成と言える予算であり、区制100周年へ向けて、これまで進めてきた文化による経済の好循環を生み出すまちづくりにより税収増を達成し、そして区民サービスの充実を図っていき、豊島区をさらに躍進させる予算であるということを、特徴を確認させていただいたところでございます。

その上で、歳入面では、対前年度当初予算比で特別区民税30億円、特別区財政調整交付金19億円、地方消費税交付金6億円の増が見込まれております。こうして基幹歳入の増収を見込む一方で、3年連続で財政調整基金を活用する予算編成とした理由についてはいかがでしょうか。

○木村財政課長  区政運営の基本的な考え方といたしましては、いわゆる入りを量りていずるを制すと言われるように、歳入に見合った歳出額となるようにすることが財政運営の基本であると、原則であるというふうに考えてございます。

しかしながら、コロナ禍に加えまして昨今の物価高騰という社会経済情勢であることから、区民生活に必要な経費は確実に予算に計上しているところでございます。

新たな借金は極力抑制するという高野区長の基本的な方針の下、起債額については対前年度比で半分となる21億円の計上をしたところでございます。ただ、その一方で、起債額をより増やすことで、財政調整基金の繰入れをもっと減らす予算編成も可能であったところでございますが、高野区長がこれまでずっと気にされてきました貯金と借金のバランスを維持していくという、その貯金と借金のバランスを考慮した上で財政調整基金の繰入れ、結果3年連続となりましたが、11億円を活用する予算編成としたところでございます。

○辻薫委員  そうですね、やっぱり高野区長がいつもおっしゃっていた貯金と借金のバランス、このことは一般質問でも高橋幹事長から確認させていただいたところでございます。

一方で、国際情勢に目を転じますと、ロシアがウクライナに侵攻してから、24日で1年が経過いたしました。戦争が終わる見通しは全く立っていない状況です。ロシアの一方的なウクライナへの侵略により、国際法に違反していない罪のない多くの人の命を奪い、傷つけ、両国の兵士のみならず一般市民の犠牲も数多く出ていることは、許し難い暴挙と言わざるを得ません。

人口4,000万人規模のウクライナから欧州に逃れた難民は800万人以上とも言われ、日本へのウクライナ避難民は、15日現在、2,185人との報道があり、引き続きの支援が求められているところでございます。

こうしたウクライナ情勢の長期化などに伴いまして、エネルギー資源などの国際価格が跳ね上がったことにより、日本においても電気代、ガス代などの値上げが区民への生活に影響を及ぼしております。国においては、公明党の強い訴えで実現した電気、都市ガス料金の負担軽減策が、この2月請求分から始まっているところでございます。

そこで、区としては原油価格や物価の高騰など区財政を取り巻く社会経済状況をどのように捉えているのか、お考えをお聞かせください。

○木村財政課長  令和5年度予算を編成するに当たっての基本的な考え方でございます。予算編成方針におきましては、ウクライナ情勢の長期化などに伴う原油価格や物価の高騰、急速に進行している円安、新型コロナウイルス感染症への対応など、区政を取り巻く社会経済動向を引き続き厳しく注視していく必要があると、全部局に予算編成方針において通知をしたところでございます。

令和5年度当初予算におきまして、物価高騰による予算への影響という意味では、まず区有施設のランニングコスト、こちらが高騰してございまして、この合計は約5億円というふうに見込んでいるところでございます。

委員おっしゃるとおり、ウクライナ情勢が今後長期化していきますと、例えば区有施設のランニングコストの5億円が今後も継続、あるいはさらに跳ね上がっていくこととなり、これはやはり区財政の硬直化等につながるものというふうに考えてございます。

今後、不安定な国際情勢というのは当面継続していくものというふうに区としても想定してございまして、物価高騰対応の経費は今後の財政運営に少なからず影響を及ぼしていくものというふうに考えてございます。

○辻薫委員  やっぱり影響は大きいと思います。

こうした状況の中で、2月9日には公明党豊島区議団、自由民主党豊島区議団、都民ファーストの会豊島区議団・民主の会の3会派共同で、区に対しまして、コロナ禍における物価高騰に対する子どもへの支援に向けた緊急要望を行いました。その結果、子育て世代の負担を軽減し、子育て支援のさらなる充実を図る目的として、ゼロ歳から18歳までの子どもを養育する子育て世帯に対し、所得制限を設けずに区独自の給付金、子ども1人当たり2万円を支給するための、名称としては、としまの子ども応援給付金支給経費の補正予算が計上され、本委員会にて審議されることになりました。新年度開始時期は学用品の準備等により経済的負担がより大きくなることから、早期の支給を実施するためとして補正予算第1号に計上していただき、区のスピード感を持っての対応に深く敬意をするところでございます。

このように、今後とも必要に応じて補正予算を組み、区民の生活を支援していくよう強く要望いたしますが、この点についても伺いたいと思います。

○木村財政課長  令和4年度の予算におきましては、その前の年度、3年度の補正予算の号数をさらに上回る号数となりまして、4年度は補正予算第10号まで編成したところでございます。これは、必要なタイミングで区民生活を支える施策を展開したためというふうに認識してございます。

委員の御指摘のとおり、令和5年度補正予算第1号におきましては、としまの子ども応援給付金支給経費といたしまして約6億7,000万円を計上しているところでございます。

令和5年度の物価高騰の状況につきましては、まだ先行きが見通せていないところではありますが、今年度と同様に補正予算をしっかりと編成し、必要なタイミングで必要な施策を展開していくことが大事であるというふうに考えてございますので、令和5年度においても4年度と同様に、適宜その時点で必要な予算を計上してまいります。

【不合理な税制改正です。区財政への影響】

○辻薫委員  令和4年度は10度にわたる補正ということで、ぜひまた今後ともよろしくお願いしたいと思います。

さきの答弁で、新年度予算では物価高騰による区施設のランニングコスト増を想定していることも確認をさせていただきましたけれども、いずれにしても不安定な国際情勢を注視しつつ、適宜適切な施策をお願い申し上げたいと思います。

ところで、歳入環境に依然として大きな影響を及ぼしているのが、不合理な税制改正です。区財政への影響についてお示しください。

○木村財政課長  法人住民税の一部国税化、地方消費税の清算基準の見直し、そしてふるさと納税、この3つがいわゆる不合理な税制改正の内容でございますが、今年度、令和4年度における本区のこの3つの影響額の合計は79億円というふうに推計しているところでございます。

この3つの不合理な税制改正あるわけでございますが、その中でも毎年その影響額が年々大きく増加してきておりますのがふるさと納税で、やはり非常に問題意識を持っているところでございます。

ふるさと納税による影響額というのは、4年度の19億円から来年度はさらに拡大いたしまして、25億円もの減収になることを見込んでおります。このように、不合理な税制改正というのを区財政に多大なる影響を及ぼしているというふうに認識してございます。

○辻薫委員  今、令和4年度の区財政への影響額は79億円ということでしたけれども、先日配付していただきました「としまのお財布」の令和5年度の予算版によりますと、5年度以降は99億2,000万円、さらに減収になるという見込みでございます。そして、これまでの累計影響額は441億5,000万円ということで、小学校を建て替える場合の約9校分の経費が賄える額であるということで、大変に驚いたところでございます。

特別区では、都外の方々も様々なサービスを利用しており、また災害時の対策も昼間人口増を想定して行われております。備えとしての基金残高や税収の多寡という側面のみを見て余裕があるという指摘は容認できません。豊島区も23区、東京都とともに、不合理な税制改正について引き続き国に是正するよう強く求めていただきたいと改めて要望いたしますが、この点につきましてはいかがでしょうか。

○木村財政課長  委員御指摘のとおり、豊島区をはじめとしました特別区においては、例えば昼間人口が多いとか、そういった大都市特有の行政需要がありまして、このようなことからも、決して特別区が、国が主張するように財政的に余裕があるというような状況にあるということは到底言えないというふうに考えてございます。

ふるさと納税をはじめとした不合理な税制改正を是正していくためには、本区1区だけの努力、あるいは23区それぞれがやはり今後連携していかなければなりません。改正するためには国での法改正が必要でありまして、決してハードルは低くないというふうには認識してございますが、やはり23の特別区及び東京都も一緒に連携した上、国にしっかりと働きかけていくことが大事であるというふうに考えております。

○辻薫委員  また、ふるさと納税については、令和5年度は4年度よりも6億円増の25億円もの減収ということで今話がございましたけれども、令和4年決算特別委員会で、我が会派の西山、今日は委員長でございますけども、区民税への影響や産業振興の観点から、例えば区の伝統工芸を広めていく視点や環境配慮先進IKEBUS、そしてマンガ文化の拠点となっているトキワ荘など、区の資源を活用したふるさと納税制度の取組を提案させていただいたところでございます。その際、高野区長からは、豊島区の英知を絞れば、本当に他の自治体にはない豊島区のよさが出てくるのではないか、ぜひ期待をいただき、さらには民間にも広めていくとの答弁をいただいたところでございます。令和5年度におけるふるさと納税制度の取組についてお聞かせください。

○山野邊企画課長  御指摘のとおり、来年度の減収の見込みが25億円ということで、区といたしましても看過できないという状況になってございます。また、ふるさと納税の返戻金につきましては、区のPRやイメージの促進、また産業振興というような役割が担えるまで成長してきているというふうに認識してございます。こうしたことから、既にトキワ荘マンガミュージアムの入場券、あるいはIKEBUSの乗車券といった豊島区のPRにつながる返戻金につきましては、国に申請を終えているというような状況になってございます。

また、世田谷区、あるいは渋谷区といった今頑張っている自治体の視察を行ってございまして、実施における課題、あるいは手続の方法等について検討を進めているところでございます。

御依頼の5年度でございますが、まず専任の担当を設置いたしまして、体制を強化していくということでございます。その上で、伝統工芸品、あるいは民間の商品や、それから体験イベント、そういったことを含めて、本区の特性を生かしたような返戻金というものをしっかり検証して、令和5年度内には実施してまいりたい、そうできるように努力してまいりたいと思います。

○辻薫委員  ありがとうございます。高野区長がおっしゃっていた豊島区らしさというのが出せればいいなというふうに感じております。

高野区長は、令和5年、豊島区新年の集い、区長メッセージの最後に、今年は次なる100周年に向けた第一歩の年であります。誰一人取り残さない、誰もが主役になれるまち、文化による経済の好循環を生む価値あるまちを目指して、皆様とともに未来を切り開いてまいりましょうと呼びかけられたところでございます。代読されたのは齊藤副区長でございました。

最後に、今後の財政運営に対する区長職務代理者である齊藤副区長のお考えを伺って、私からの質問を終了させていただきます。

【100周年に向けて高野区長の志を引き継ぐ】

○齊藤区長職務代理者  本当に、本日ここに高野区長がいらっしゃらないことが本当に信じられないということで、気持ちでいっぱいでございます。

令和5年度予算は高野区長にとって最後の予算編成となりましたので、改めて就任当初の危機的な財政状況を振り返ってみたところでございます。高野区長就任直後の平成11年の第2回定例会の招集挨拶の中で高野区長は、財政は区が実施する施策の基盤であり、早急な財政状況の改善なくしては施策の充実もなし得ません。現在の危機的な財政状況を何としても克服し、財政の再建を図ることが私に課せられた最大の使命であると自覚しておりますと述べております。

財政は区が実施する施策の基盤であるという言葉は、今日まで高野区長の中で決してぶれることのない規範であり続けたと思います。その後の徹底した行財政改革や文化を基軸とした価値あるまちづくりなどによりまして、借金は約650億円減少し、貯金は約400億円積み増すことができました。トータルでは1,000億円以上の成果を成し遂げ、令和3年度決算では過去最大規模の貯金超過、218億円となるV字回復を成し遂げたわけでございます。

高野区長は、2月8日の区議会の招集挨拶に、登壇して24年間の御自分の全ての思いを議員の皆様、区民の皆様にどんなにか伝えたかったと思います。代読をさせていただく中で、過去から学び、今日を生き、未来への希望をつなぐことが、私、今を生きる中継ランナーとしての私の役割でしたという言葉が、今も深く深く心に残っているところでございます。

100周年となる2032年に向けましても、高野区長の志を引き継ぎまして、現在の健全な財政状況を維持するとともに、国際アート・カルチャー都市、SDGs未来都市、そして人が主役のウオーカブル都市を着実に進めるとともに、さらに強固な財政基盤の充実に努めることで高野区長の御期待に応えるよう取り組みたいと、そのように考えております。