第1回定例会一般質問「連携と協働により、躍進する豊島のまち」

令和5(2023)年2月15日
公明党 島村高彦

 私は公明党豊島区議団を代表して「連携と協働により、躍進する豊島のまち」と題し、第1にひきこもり支援、第2に不登校対策、第3に住宅確保要配慮者への居住支援、第4に福祉施策における組織体制、第5に浸水対策、第6に隣接区連携体制、最後に地元商店会の活性化について質問します。

はじめに、今月9日、逝去された高野之夫豊島区長に対し、謹んで哀悼の意を表します。区長就任以来、文化による街づくりを目指し、厳しい財政難を乗り越えた、その功績は今後も長らく顕彰されるに違いありません。もとより、その政策方針は、かつて文化芸術振興基本法の成立に尽力した公明党と方向性を同じくするものでありました。前日の招集あいさつでは、元気なお姿で戻ってこられるとのお言葉もあっただけに、まことに残念であります。心よりご冥福をお祈り申し上げます。

最初に、ひきこもり支援についてお尋ねします。

平成30年の1定で深刻な社会問題となっているひきこもりについて、早急に手を打つべく、区内ひきこもりの実態調査を提案させていただきました。答弁では「本区では、CSWを地域の区民ひろばに配置し、地域の情報を早期に把握できる体制を整え、地域関係者との連携を推進してきているので、他自治体と比べて自立支援の実績がかなり上がっている」ので「独自の調査は行わない」とのことでした。その後、約2年半にわたり、何の対策も見られなかったので令和2年2定において、全ての世代に対応できる支援体制の整備を訴えました。すると翌月7月に、「SDGs未来都市に選定され、だれひとり取り残さないまちを目指すので、ひきこもり支援を強化することにした」としております。そして1年後の令和3年7月以降「自立支援の実績がかなり上がっている」にもかかわらず、ひきこもり専用相談窓口、情報サイト、支援協議会等と矢継ぎ早に設置し、「行わない」とした実態調査も各課にすでに相談に来ている人を対象に行い、令和4年7月には町会、民生委員等に対し、10月には地域保健福祉計画改定のための区民意識・意向調査の中で、ひきこもりについてアンケートを行いました。SDGs未来都市に選定されたこと以外に平成30年2月からの方針転換の理由について、お聞かせ願います。

次に現状の相談窓口についてですが、案内板がくらし・しごと相談支援センターの入口、相談室の前に掲げられております。それとわかる受付窓口があるわけでもないことから、相談するためにはカウンターからかなり距離を置いた机で執務している不特定多数の職員に向かって、大きな声で呼びかけなければなりません。これでは、相談することを決心して、訪れる当事者の家族は別として、ひきこもり当事者がひとりで勇気を出して相談にきても引き返してしまう可能性があります。また、「ひきこもり」相談という言葉・看板自体が当事者にとって相談しづらいということもあるのではないかと感じますが、前回答弁では「気軽に相談できる環境を整え」るとのことでしたが、果たして、そうした環境になっていると認識されているのか、お聞かせください。

次に電話、メールも含め、自ら相談に訪れる人への対応については、それなりの成果が上がっているかと思いますが、前回質問で申し上げたようにひきこもり当時者の半数以上が相談する意思がないという実態がある中で、そのまま放置すれば、やがて行き詰ってしまうこともある相談に向かおうとしない、あるいは、ひきこもりの自覚がない当事者や家族に対する呼びかけや支援策についてお聞かせください。また、ひきこもり支援は当事者家族の支援が重要であることから、来年度も家族への支援に重点を置いていますが、気にかけてくれる家族や友人、地域の人たちがいない単身のひきこもり当事者を今後、どのように見つけ出し、支援していくのかについてもお示し願います。

次に支援協議会やネットワーク会議には実績のある民間支援団体に参加いただいております。それぞれ得意分野をお持ちの支援団体同士が効果的に連携されているかについて、お聞かせください。また、支援団体と行政や関係機関との連携状況についてもお聞かせ願います。

最後に令和3年以降の取組み状況についてお伺いします。現在に至るまで、支援を通して浮き彫りになった点や課題等あれば、お聞かせください。

第2に不登校対策についてお尋ねです。

2020年度、全国の小中学校の不登校児童生徒は8年連続で増加し、過去最多となりました。これに対し、文部科学省は、「多様な教育機会の確保」「社会的自立を目指した中長期的支援」が必要として、全国の教育委員会等に通知をしております。全く同感です。不登校自体が問題なのではなく、不登校により、その後の生きる力をなくしてしまうことが問題であると考えます。したがって、これまでの私の一般質問でも学校以外の学びの場を確保する必要性を訴えてまいりました。これに対し、教育長からも「学校以外の居場所づくりの実現に向けた検討を行い、一人ひとりの状況に応じた支援を充実して」いくとの答弁をいただいております。そこでまず、フリースクールの活用状況ですが、前回答弁では「スクールソーシャルワーカー等がフリースクールの実態把握に努め」「保護者、児童・生徒に対し情報提供できるよう努めて」いくとのことでしたが、現状の活用状況についてお聞かせください。

次に独自の学びの場を確保することについてお尋ねします。

長野県上田市では、映画館を活用し、平日の日中、不登校の子どもや、生きづらさを抱える若者らの居場所を作る事業「うえだ子どもシネマクラブ」を2020年から実施しており、約100名が登録しております。単に映画を見るだけでなく、不登校の若者らが協力しながら館内の清掃やポスターの貼り替えなどの軽作業に取り組み、生きづらさを抱える子どもらの創造力を引き出す契機として注目されております。こうした自治体独自の取組みは、不登校児童・生徒に対し、応援する側の気持ちが直接伝わり、効果的な支援のあり方として注目すべきと考えます。本区で実施するには課題も多いかと思いますが、独自の学びの場、居場所づくりについて、教育長のご見解をお聞かせください。

次に不登校特例校についてお尋ねします。

2016年、公明党の推進で成立した「教育機会確保法」に基づき、国が自治体に対して不登校特例校の設置を促しました。しかし、6年経過した昨年4月時点で特例校は全国で21校にとどまっており、教育委員会の担当者でも特例校について知らないケースがあるとして、文科省として手引を作成し、周知に努めております。不登校特例校は、誰一人取り残さない学校づくりを目標としており、学習スタイルも毎日登校、週、数日登校と在宅学習の組み合わせ、全てオンライン在宅学習等自由に選択でき、柔軟な教育課程を実施しております。その自由な体制により、結果的にはどの特例校でも登校する子供たちが増加しているとのことです。夜間中学校と併設している自治体もあり、不登校生徒の学びの場としての高い効果が示されております。今後、本区としても不登校特例校の設置について、検討すべきと考えますが、教育長のご見解をお聞かせください。

 

第3に住宅確保要配慮者に対する居住支援についてお尋ねします。

昨年、公明党は政府に対し、住まいを社会保障の柱に掲げるよう求めました。まさに住まいは、生活の最も基礎をなす部分です。したがって、入居支援も伴走型支援が強く求められております。

そこでまず、高齢者等入居支援事業協力店ですが、本区の居住支援につなげるためにも平成30年・1定でより多くの不動産業者に協力を仰ぐべきと要望しました。答弁では「当初の名簿作成から、随分と時間が経過しているので、すべての会員に対し、改めて名簿登載を促して」いくとのことでした。結果、当時、2店舗しかなかった区内の全日本不動産協会の不動産店は27店舗と増加しておりますが、45店舗あった宅建協会の不動産店は22店舗と半減してしまっております。合計で2店舗増えただけですが、現状、協力店舗は区内不動産店の何割であるのかお聞かせください。また、住居確保困窮者が一番先に訪れる街の不動産店の協力は必要不可欠と考えますが、これまで、どのように名簿登録を促してきたのか、また、協力を仰いできたのか、お聞かせください。

また、これら協力店と本区の連携体制についてお尋ねします。協力店で断られたという声は、ほとんど寄せられなくなったとのことですが、実際には協力店で断られることはなかったが、結局、物件を探すことができずに、私どもに相談に来る事例があります。こうした場合に、次なる支援のために、本区の住宅相談グループとすみやかに連携して支援する体制には、なっていないと感じますが、現状の協力店との連携体制についてお聞かせください。

さらに、そもそも住宅確保要配慮者には協力店の存在を知らない人も多く、協力店でない不動産店に向かった場合、どのように支援するのかお聞かせください。

次に本区の家賃等債務保証制度及び身元保証制度も、同じく区内すべての不動産店ですみやかに利用できる体制整備も要望しました。答弁では、これらの制度を不動産店に周知しており、全ての不動産店で利用できることになっているとのことでした。しかし、実際には各不動産店では独自の保証会社と契約しており、ほとんどが家賃等金銭債務専門の保証会社であり、金銭債務以外の身元保証については、別途、保証人を求められることもあり、保証人を立てることのできない高齢者等が困窮している実態があります。こうした本区の扱う保証代行支援にたどり着けない実態についてどのように認識されているかお聞かせください。

次に同行サービスです。本区の入居に関する相談ではきめ細かくアドバイスをしており、そのことは高く評価いたしますが、問題は認知能力が及ばない場合もあり、アドバイスどおりに行動することができない高齢者も存在することです。そこで、同行サービスが求められるわけですが、本区の同行サービスの令和3年度・4年度の実績はゼロであります。この理由と現状について、さらに、今後の取組み方針についてお示し願います。また、同行サービスについて、全ての区内不動産店で利用できる体制について、前回答弁では広報としまによるお知らせなど、周知に努めるとのことですが、他の周知もそうですが、広報誌やホームページだけで高齢者に伝えることは相当困難であることを知らねばなりません。そこで、同行サービスだけでなく、本区の入居支援サービスについて、協力店にかかわらず、立ち寄った不動産店で知ることができる体制を整備すべきでありますが、お考えをお聞かせください。

次に単身高齢者の入居については、孤独死をはじめとする高齢による様々な問題に対し、家主が不安を抱くことが課題となっていることから、それを解消することが必要であることは論を待ちません。その解消につながる身元保証代行制度や緊急連絡先の提供、見守りサービスも家主の十分な理解と納得を得ることができなければ、サービスの提供自体困難となります。以前質問の事例に挙げた京都市のように福祉担当者が不動産業者と共に家主と面談し、理解を求める取組みがない本区においては、不動産業者にその役をお願いする他、方法がないこととなります。ならば、不動産業者との連携・協力を強化するためには、何らかのメリットを与えることも効果的な体制を構築するのに必要と考えますが、ご見解をお示しください。

次に豊島区居住支援協議会は住まい探しや連帯保証代行、緊急連絡先の提供、そして安否確認等々、入居者、家主双方にとって安心できるサービスを提供することとなっております。したがって、先に述べた入居を阻む要因がほぼ解消されるはずですが、現実はそのようになっておりません。そこで、本区の入居支援グループと居住支援協議会の連携状況についてお聞かせ下さい。また協議会は、宅建協会や全日本不動産協会の役員も会員となっておりますが、区内不動産業者と居住支援協議会の連携状況についても、その実態をお聞かせください。

最後に本区の居住支援協議会をはじめ、全国的にも住宅確保要配慮者の入居を支援する多くのNPOや団体があります。こうした各種支援を有効に活用し、家主や管理者の不安を解消していくことが求められます。それを進めるためには、家主・管理者に対し、目に見えるメリットを与えることも必要であると考えます。たとえば、文京区では入居を拒まない賃貸住宅として登録し、高齢者等が入居した場合には、家主に対し謝礼の支払いを実施しております。家主や管理者の不安払拭について今後の対策をお示し願います。そして、住宅確保要配慮者に対し、様々な支援が存在することを知ってもらうには、広報誌やホームページではなく、要配慮者の身近にいる人たちに知ってもらうことが最も効果があると考えますが、その対策についてもお聞かせください。

 

第4に福祉施策における組織体制についてお尋ねします。

長らく続いた縦割り行政による弊害の課題も、時代の要請により分野横断的に対応せざるを得なくなり、変革の時を迎えました。社会福祉法の改正により、各自治体は重層的支援体制整備事業の取組みを開始しました。本区も断らない相談支援体制を整備するため、12課1機関に福祉包括化推進員を配置、この4月には、15の課・機関に配置するとしております。各課とも自所属の対象でない相談内容でも適切に聞き取り、対応できる支援機関につなぐとしておりますが、これまでの職務習慣から、あるいはまた、窓口職員の対応能力も様々な中、自分の専門外の相談について、適切に聞き取り、対応できる機関につなぐこと自体、容易ではない気がいたします。すなわち見逃し、取り残し、不適切な機関へのたらい回し等がなく、どのようにして適切に対応できる体制になっているかについてお聞かせください。

次に重層的支援体制整備事業を中心的に所管する自立促進担当課については、成年後見制度や生活困窮者支援、入居相談や給付金まで担当するなど、困難な事業が集中しているようですが、保健福祉部内でどのような役割を本来担うべきなのか、また、他の連携すべき課の役割がそれぞれ明確なものとなっているのかについてお聞かせください。そして今後の体制として、重層的支援体制整備という考え方を行政組織内に定着させるため、組織を見直しする考えはあるのかについてもお示し願います。

次に、一昨年の決算委員会でもお尋ねしましたが、重層的支援の重要な役割を担う社会福祉協議会の体制についてお尋ねします。これまでも数多くの福祉事業を行ってきた社会福祉協議会は、成年後見制度利用促進に向け、新たに中核機関の重役も担うこととなりました。社会貢献型後見人の育成も急がれる中、限られた人員でどのように取組んでいく方針なのか。決算委員会の答弁では「事業の精査をする。全部スクラップする」とのことでしたが、各事業の見直しも含め、具体的にどのような体制を構築していくのかお聞かせください。

 

第5に浸水対策です。

局地的な豪雨により、短時間に多量の雨水が下水道に流れ込むことにより、排水が追い付かず、浸水被害が発生する内水氾濫は、河川や堤防の決壊により生ずる外水氾濫よりも多くの被害をもたらすとされております。根本的には、昨年暮に、防災震災対策調査特別委員会で視察させていただいたような雨水調整池の整備が求められますが、それでも瞬間的に下水道が受けきれない場合や排水溝の詰まりによって被害は発生します。これまで内水氾濫による浸水被害が発生している本区としても、できるだけ下水に流れ込む雨量を減らす対策が必要であると考えます。そこで、平成20年3定において、墨田区の雨水利用促進助成制度を提案いたしました。16年前の当時でも、墨田区内の雨水貯水槽はすでに300基を超え、総貯水量11,000t、区民一人あたり50ℓの雨水が一挙に下水に流れ込むのを防いでおりました。それ以外にも、区の取組みにより設置された、両国国技館の1,000tの地下貯水槽も含め、まち全体がダムの役割を果たすことで、かつて浸水被害に悩まされた墨田区の被害も激減したとの報告もお聞きしました。私が提案した翌年から本区もエコ住宅普及促進事業として、雨水貯水槽設置助成を開始しました。しかし、墨田区と異なり、その実績は微々たるものであり、特にゲリラ豪雨がより発生しやすくなった近年ほど減少傾向となっております。これまで、どのような周知活動に取り組んできたのか、また、本区の場合、戸建て住宅のみの助成であり、より効果が見込まれる集合住宅への設置助成を行わない理由についてもお聞かせ願います。

次に雨水貯水槽設置推進が見込めない状況下、さらなる対策が求められます。東京都下水道局が促進している雨水浸透施設であります。敷地内に浸透ますを設置、また、設置スペースの確保が難しい狭小な敷地には浸透管を設置し、雨水の一部が地中に浸透することにより、貯水槽と同じく、下水道への雨水流入を抑制することが可能となります。現状、23区では9区が、この雨水浸透施設設置に対して助成制度を実施しておりますが、本区も浸水被害防止のため、実施すべきと考えますが、ご見解をお聞かせください。また、下水道局では公道の場合は、無償で浸透マスを設置する公共雨水浸透ます事業を行っております。無償であることから財政負担はありませんが、本区道での活用状況と今後の方針についてお聞かせください。

次に透水性舗装については、耐久性に乏しいことから、車道には不向きなので、歩道等には活用しているとのことですが、水がたまりやすい、すなわち、雨水流出抑制を必要とする車道には、部分的でも透水性舗装を施すべきと考えますが、いかかでしょうか。

最後に本区の公共施設における、これまでの雨水流出抑制策と今後の取組みについてお示し願います。

第6に隣接区連携体制についてお尋ねします。

隣接区連携についてはこれまで災害時に向けての防災対策に焦点を当て質問してまいりました。すなわち、隣接区に居住する住民やあるいは働く人たちにとっては本区のみならず隣接区の避難先やその支援も大いに関係してくることから、隣接区住民や事業者同士の合同防災訓練、また「特別区災害時相互協力及び相互支援に関する協定」とは別箇に隣接区行政間の連携による具体的、効果的な支援体制の整備を訴えてまいりました。「隣接区と協議を進めていきたい」との答弁もいただいておりますが、「協議したが、施策の方向性の違いなどから実現には至らない」とのことでした。しかしながら、行政の区割りを除き、同じ地域に暮らす住民にとって、そもそも災害時に両区の「施策の方向性が違う」こと自体、大きな混乱をもたらすと考えますが、ご認識をお聞かせください。

次に防災対策以外の隣接区連携の重要性についてお尋ねします。たとえば、先のひきこもり支援においても地元自治体に相談しづらいケースもあり、居場所の提供も隣接区や広域の連携が求められ、同時に支援に必要な情報も連携共有すべきではないでしょうか。同じく、住宅確保要配慮者の居住支援についても、隣接区の相互支援により、入居対象物件も拡充され効果が上がるのではないでしょうか。また、保育園や高齢者施設も、隣接区連携により、現状より簡易に利用可能とすることで、生活の利便性は大いに高まるのではないでしょうか。さらに、敬老入浴事業のとしまおたっしゃカードの隣接区利用は、区民からの要望もきわめて高いものとなっております。そして、隣接区にマンションを建てる際、各区で異なった、一律な規制であることから、高度地区の制限がある・なしで、各階層の一部屋だけ、バルコニーがいびつな形となり、資産価値を低下させております。それぞれ、ご認識、ご見解をお聞かせください。

少し趣旨は異なりますが、本区同様、アニメ文化を掲げる杉並区と中野区は、隣接区同士であります。両区が持つ共通の特性を最大限活かし、区の枠組みを超えて共通する特性をブランド化し、より大きく、より広く、地域の特性として発信することをめざして「中野区・杉並区アニメ・サブカル地域ブランディング事業」に取り組み、「にぎわい・商機」の創出につなげようとしております。

このように隣接区連携は福祉、子育て、文化、産業、まちづくりとあらゆる分野で隣接区住民の生活向上や区民活動の活性化に結び付いていくと考えます。本区は秩父市との連携など広域連携においては、きわめて高い評価を受けていることは承知しておりますが、隣接区連携こそ住民生活に直接影響するものと考えます。そこで、これまで職務に当たる中で、特に担当者レベルで、隣接区の連携が求められると感じたことがあれば、事例も含めお聞かせください。

地方自治法第252条の2には、近隣市町村との有機的な連携による活性化を目的とした「連携協約」について定めがあります。これまで地方都市では連携協約を締結している事例がありますが、東京23区では未だ活用されてはいないとのことです。隣接区において対応にあたる内部組織を共同設置することができ、一人の職員を複数の区に従事させることも、あるいは専門人材を共同活用することも可能になります。今後、災害対応や公共施設の共同利用など区民・住民にとって迅速・効果的な支援が求められる対策について、この連携協約を活用することも検討に値すると考えますが、ご見解をお示し願います。

 

最後に地元商店会の活性化についてお尋ねです。

私の地元、巣一商店会は文京区に隣接しており、以前より隣接地点にある文京区の巣鴨大鳥神社を集客のスポットとして活用できないか模索を続けてまいりました。まさに隣接区連携が求められる地域です。大変な賑わいを見せる酉の市や節分祭などの行事には、私も参加させていただき、当然、文京区長も欠かさず参加されております。これまで私どもは両区に対し、連携の取組みもお願いしてきたところではありますが、この度、商店会長の強い働きかけにより、豊島区も含まれる文京区管轄の大鳥商店会と豊島区の巣一商店会が合併することとなり、商店会の名称も変更し、新たな賑わいの創出をめざすこととなりました。元より、巣一商店会は大鳥神社の参道としての価値を創出するために、それにマッチした商店会街路灯を新設しており、今後、街全体の連続性をかもし出すため、大鳥商店会の街路灯も同様に改装していくこととなります。現状、他にも、両区を跨いだ、まちづくり協議会や新たなアンテナショップの創設など活性化の方策を検討中ですが、異なる行政区を抱えた商店会に対する今後の本区の支援策についてお聞かせください。

以上で、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

 

島村高彦議員 令和5年第1回定例会 一般質問答弁

 

ただいまの、島村高彦議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。

浸水対策についてのご質問のうち、まず、雨水浸透施設設置に対する助成制度を実施することについてのご質問にお答えいたします。

助成制度を実施している9区では、一件当たり40万円程度を上限に助成を行っています。しかしながら、上限額以上の工事や助成対象外の工事が発生する場合もあり、期待するほど実績が伸びないと聞いています。

今後、他区の状況や区民の皆様のニーズなどを勘案して、区としての助成制度の取り扱いを検討したいと考えております。

 

次に、区道での公共雨水浸透桝事業の活用状況及び今後の方針についてのご質問にお答えいたします。

下水道局に確認したところ、公共雨水浸透桝は豊島区内で平成19年から平成29年の間に60か所設置されておりますが、最近5年間での実績はないとのことです。

実績が減少している理由は特定できませんが、住宅敷地内の浸透施設の整備が減少していることが原因であると考えております。

そのため、公共雨水浸透桝事業の活用を推進するためには、浸水対策に対する区民の皆様の理解が必要となりますので、今後、下水道局と連携して事業の普及啓発に努めてまいります。

 

次に、雨水流出抑制を必要とする車道への透水性舗装についてのご質問にお答えいたします。

豊島区内で透水性舗装を整備している道路の面積は、全体の約4%で、主に歩道で行っています。

車道に透水性舗装を適用していない理由は、耐久性が低いことに加えて、雨水の浸透によって地盤の支持力が低下することや、空洞が発生することが懸念されるためです。

しかしながら、透水性舗装は雨水流出抑制や、ヒートアイランド現象の緩和などが期待できることから、国土交通省や東京都は、車道への使用を前提として、様々、技術的な試験を行っています。

今後、これらの試験結果を十分に検証し、安全性を確認しながら、透水性舗装を積極的に取り入れていきたいと考えております。

 

次に、公共施設におけるこれまでの雨水流出抑制策及び今後の取組についてのご質問にお答えいたします。

区では、学校など一定規模以上の施設を新築する場合には、周辺の下水道の能力に応じて雨水貯留槽を設置しています。また、道路では、透水性舗装や雨水浸透桝の設置等を行ってきました。

今後とも、地球温暖化によって、近年増加傾向にあるゲリラ豪雨に備え、下水道整備の促進とともに、公共施設内での雨水貯留槽の設置、浸透桝・浸透管の設置、透水性舗装、緑地の整備など、雨水流出抑制に効果のある対策を積極的に取り入れるよう努めてまいります。

 

次に、隣接区連携体制についてのご質問のうち、まず、高度地区の制限における隣接区連携についてのご質問にお答えいたします。

区で決定できる高度地区のうち、主に居住環境の保全を図る、「斜線制限型 高度地区」については、東京都が策定した「用途地域等に関する指定方針及び指定基準」に基準が示されており、各区が共通した認識をもって指定を行っております。

また、主に街並み景観の形成を図る、「絶対高さを定める高度地区」については、これまで具体的な基準がなかったため、特に敷地内に区境が設定されている場合等には、都市計画の制度上、連携が困難な状況となっております。

新たに高さ制限を指定する場合は、隣接区の高さ制限の有無や、周辺の土地利用について、両区で連携し情報を共有するなど、より一層良好なまちなみ景観づくりに結び付けるよう努力してまいります。

 

次に、担当者レベルで隣接区の連携が求められると感じたことについてのご質問にお答えいたします。

身近な区民サービスを提供するうえでは、隣接区との連携を意識した事業展開が必要であると考えています。

このため、区境付近に区の施設を整備する際には、隣接区の皆さまにも説明会にご参加いただいたり、図書館の貸し出しや区民ひろばの利用を隣接区の方にも開放するなど、施策の様々な分野において、相互連携に努めております。

こうした、区施設の相互利用や、区をまたぐ商店街への支援、駐輪場や道路整備など、サービスの受益者が隣接区と重なる事業には、特に連携が必要であると考えております。

 

次に、区民・住民にとって迅速・効果的な支援が求められる対策に連携協約を活用することについてのご質問にお答えいたします。

ご質問の「連携協約」は、平成26年5月の地方自治法改正により創設された、比較的新しい制度であります。平成30年7月1日時点での活用実績は、全国で319件あり、そのうち240件は、人口減少が顕著な地方都市において、連携中枢都市圏を形成するための活用となっています。

市街地が連携し、人口が密集する特別区のエリアでは、「連携協約」の活用事例は、まだありませんが、専門性の高い事務について、地方自治法が定める一部事務組合などの連携手法を用い、スケールメリットを活かした工夫を行っております。

今後も、広域的に連携する必要のある事業等については、目的や性格、メリット等を総合的に判断しながら、適切な手法を検討してまいります。

なお、私からの答弁は以上ですが、その他の質問につきましては高際副区長並びに危機管理監から、教育委員会の所管に属する事項につきましては、教育長から答弁申し上げます。

 

ひきこもり支援についてのご質問のうち、まず、区内ひきこもりの実態調査に関する方針転換の理由についてのご質問にお答えいたします。

本区においては、以前より、くらし・しごと相談支援センターやアシスとしまなど様々な窓口において、ひきこもりに関する相談をお受けし、個々の状況に合わせ、複数の窓口が連携し、支援に取り組んでまいりました。令和元年度に開始した福祉包括化推進会議を重ねていく中で、ひきこもり相談は長期的で複合的な生活課題を抱えたケースが多く、そうした世帯への支援を強化していく必要があるという認識が強まり、まずは出来るところから始めるため、既に庁内窓口につながっている相談者の実態調査を行いました。ひきこもり専用相談窓口は、この調査結果や相談者から「ひきこもり相談」と明確に看板を掲げた方が相談しやすいとのお声から設置を決めたものです。

また、民生委員の方などから、「地域にひきこもりと思われる人がいるがどうしたらいいか」とのご相談をお受けしました。そこで、昨年は、地域の理解者や協力者を増やし、支援を必要とする方を一人でも多く相談窓口につなぐため、日頃ひきこもりの方やご家族に接する可能性の高い、民生委員・児童委員等を対象に地域でどのような情報を把握し、どのように対応されているのかを調査いたしました。直近で行った、地域保健福祉計画改定にかかる区民意識・意向調査においても、次期計画にひきこもり支援について取り上げるために、ひきこもりに関する数項目を追加することとしたものです。

 

次に、ひきこもり相談窓口が気軽に相談できる環境であるかについてのご質問にお答えいたします。

令和5年1月末までの10か月間で、78件の新規相談が寄せられています。そのうち4割は来所相談となっております。

勇気を出して相談窓口に来られた方が、ストレスなく相談できるよう、窓口には発券機を設置しております。しかしながら、来庁された方が、発券機があることに気が付かず、直接職員に声を掛けなければ相談できないと考え、相談を諦めてしまうことも想定されますので、ひきこもり相談窓口を表示したサインスタンドなど、庁内案内を工夫してまいります。

 

次に、相談に向かおうとしない、あるいは、ひきこもりの自覚がない当事者や家族に対する呼びかけ及び支援策についてのご質問にお答えいたします。

例えば、ひきこもりとは思わないけれど生きづらさを感じている方に対し、すぐに相談には至らなくても繋がるきっかけを作り続けたいと考えております。

具体的には、どのような状況で相談に来られ、どのように支援を受け、自身が変わっていったか、そうした事例を目にした方が、私も相談してみようかと思っていただけるよう、ホームページや広報誌に継続して事例を掲載するなど、取り組みを進めてまいります。

 

次に、気にかけてくれる人がいない単身のひきこもり当時者を今後どのように見つけだし、支援していくのかについてのご質問にお答えいたします。

気にかけてくれる人がいない単身のひきこもり当事者を支援につなぐためには、地域の中の気づきと見守りが必要であると考えております。こうしたことから、地域で活動する民生委員・児童委員などに調査を実施するとともに、当事者の方に対し、さりげなく見守り、機会があれば地域行事などにお誘いしたり、相談窓口の情報をお知らせいただくなどしていただきたいとご案内いたしました。

また、相談窓口の情報が目に留まるよう、今年度より、ひきこもりの方が利用される可能性の高い、コンビニエンスストアにご協力いただき、相談窓口を記載したチラシの設置を開始しました。今後は、スーパーや薬局など、新たな設置場所の開拓にも努めてまいります。

 

次に、支援団体同士が効果的に連携されているか及び支援団体と行政や関係機関との連携状況についてのご質問にお答えいたします。

現在、家族会、当事者会、就労の場を提供する民間企業など7団体で、年2回ネットワーク会議を開催し、現状や課題を共有し連携支援を強化するため、居場所のあり方や家族支援等をテーマとした意見交換を行っております。次年度は、こうした取り組みを継続しつつ、各団体の支援事例や具体的な支援方法などの共有を図ることで、団体間の日常的な連携がより活性化されるよう取り組んでまいります。

行政を含めた連携状況としては、ひきこもり相談窓口で受けたご相談は、一人ひとりの状況や要望に応じて、随時、NPO法人や民間企業、コミュニティソーシャルワーカー等と連携し、支援にあたっています。具体的には、外出することや人と接することへ不安のある方などはまず、短時間でのボランティア活動への参加を勧めたり、長期間就労していないためすぐに就職活動は難しい方などの場合は、就労体験の場を提供するなど、連携の中できめ細やかなフォローをしながら支援を行っています。

 

次に、令和3年以降の支援を通して浮き彫りになった点や課題等についてのご質問にお答えいたします。

アンケート調査の結果より、民生委員・児童委員等地域で活動する方々が、どこまで踏み込んでいいかわからないと思いながらも、手探りの状態で支援をされていることがわかりました。来月には、家族会のご協力を得て、アンケートにご協力いただいた民生委員・児童委員等の皆様を対象に、相談を受けた際の対応をテーマとした研修会を予定しております。こうした取り組みにより、地域での理解者や協力者を増やすことで、ひきこもり状態にあるご本人やそのご家族が安心して支援に繋がる環境を整えていきたいと考えています。

また、相談窓口への初回相談の約7割は、本人のご家族からの相談です。お話を伺いながら、一緒に状況を整理していく中で、ご家族の気持ちのゆとりができ、自然とご本人との関係性がよくなって家庭環境に改善がみられることもあることから、課題の解決にはご家族への支援が有効であると感じております。

こうしたことから、来年度は、家族に向けた合同相談会や交流会を開催したり、休日に相談を受け付けることなどにより、さらに相談しやすい環境を整え、ご家族への支援を充実させてまいります。

 

次に、住宅確保要配慮者への居住支援についてのご質問のうち、まず、高齢者等入居支援事業協力店舗が区内不動産店の何割であるかについてのご質問にお答えいたします。

協力不動産店は、宅建協会及び全日不動産協会の1月末現在の区内会員1,333店舗のうち49店舗、約4%となっております。

 

次に、これまでどのように不動産店に名簿登録を促し、協力を仰いできたのかについてのご質問にお答えいたします。

区はこれまで、宅建協会豊島区支部と全日不動産協会豊島文京支部を通じ、取組みの主旨とその重要性をご理解いただいたうえで、すべての会員に対し、名簿登録意思の確認を行っております。また、高齢者等住宅確保要配慮者の入居にあたり、不動産店や家主が抱く入居者の孤独死などの心配事を解消する高齢者救急通報システム事業などの制度周知も合わせてご案内し、登録を促しております。

 

次に、現状の協力店と区との連携体制についてのご質問にお答えいたします。

入居相談窓口では、ご相談者がスムーズに協力不動産店で物件の相談に入れるよう、協力不動産店リストを提供する際に、相談者の同意を得たうえで、協力店に年齢やお住まいになりたい地域、希望の家賃等をお伝えし、相談が可能な協力不動産店をご紹介しています。また、物件の状況は刻一刻と変わるため、見つからなかった場合には、改めて区の窓口にお越しいただけるようご案内しております。

しかしながら、ご紹介先の協力店に行かれた際に、希望に合う物件がなかったことにより、それ以降区への相談を諦めてしまうことも考えられますので、協力店には、そうした際には再度入居相談窓口をご案内いただけるよう、お伝えしてまいります。

 

次に、住宅確保要配慮者が協力店でない不動産店に向かった場合の支援方法についてのご質問にお答えいたします。

現在、どちらの不動産店からも、住宅確保にお困りの方が、サポートに結びつくよう宅建協会等を通じ、協力店でない不動産店も含めすべての会員に、入居相談窓口と高齢者世帯等住み替え家賃助成などの制度の周知を図っていただいております。今後も、各協会と連携し、住宅確保要配慮者の方が確実に支援につながるよう取り組んでまいります。

 

次に、区の保証代行支援にたどり着けない実態に対する認識についてのご質問にお答えいたします。

区はこれまで、各協会のご協力のもと、すべての会員に、家賃債務保証制度などの周知を図ってまいりました。しかし、地元不動産店からは、「利用者から家賃債務保証制度を使いたいと言われたが、管理会社や物件オーナーが指定する保証会社があるため、利用できない」との声も寄せられております。利用が進まない背景にはこうした現状があることは認識しており、今後、地元不動産店の意見交換を行いながら、区としてどのような取り組みが可能なのか等、課題を整理してまいります。

 

次に、同行サービスの令和3年度、4年度の実績がゼロである理由及び現状並びに今後の取組方針についてのご質問にお答えいたします。

同行サービスを開始した平成28年度に比べると、現在は複数の不動産店や居住支援法人などが類似のサービスを行うようになり、そちらを利用するケースが増えております。過去の実績からみても同行サービスの必要性が高いことは理解しておりますが、ご指摘の令和3年度以降については、残念ながら利用者とのマッチングがうまくいかず、実績がゼロとなりました。今後、同行サービスを行う一般社団法人全国保証機構と、現状と課題について共有、検討し、希望する方が利用につながるよう努めてまいります。

 

次に、区の入居支援サービスに関して、協力店であるかに関わらず、立ち寄った不動店で知ることができる体制を整備することについてのご質問にお答えいたします。

入居支援サービスを利用していただくためには、まずは入居相談窓口でお話をお聞きし、その方にあった家賃助成制度や同行サービス、公営住宅に関する情報などをご案内する必要があるため、来年度は、入居相談窓口及びサービスの内容をわかりやすくお示しするチラシを制作します。各協会の総会など多くの会員の皆様が集まる場等でチラシを配付し、直接協力を呼びかけることで、住宅要配慮者が身近な不動産店で必要な情報が手に入るよう取り組んでまいります。

 

次に、単身高齢者の入居に対する家主の理解を求めるにあたり、不動産業者に何らかのメリットを与えることの必要性についてのご質問にお答えいたします。

ご指摘のとおり、地元不動産店からは、「入居者の住宅斡旋にあたっては、家主に対して、入居者の孤独死など家主の不安を解消するための説明や調整を行うことに非常に労力と時間がかかる」とのお声を聞くことがあります。

今後、住宅部門と福祉部門が連携し、地元不動産店から住居斡旋に係る課題や対応状況をお聞きするとともに、他自治体の取り組みなども参考に、効果的な方策について検討してまいります。

 

次に、居住支援協議会と区の入居支援グループ及び区内不動産業者との連携状況についてのご質問にお答えいたします。

本区の居住支援協議会は、行政、不動産関係団体、NPO法人、社会福祉協議会などで構成され、様々な立場から住まいにお困りの方への支援を行っております。区の入居相談窓口は、居住支援協議会の実質的な相談窓口となっています。令和3年度より、構成員がそれぞれの取組内容や、支援に対する考え方を共有し、スムーズな連携支援ができるよう、入居相談窓口の職員と居住支援協議会の登録団体との意見交換会を実施しております。

これまで、居住支援協議会が運営する居住支援バンクには、宅建協会と全日不動産協会から直接、物件登録ができる仕組みとなっておりませんでした。そこで、昨年システム改修を行い、各不動産協会からも直接物件を登録することが可能となり、それと合わせ昨年10月に協議会と各協会とで居住支援バンクの利用促進に関する覚書を締結いたしました。さらに、今月、居住支援協議会登録団体と全日不動産協会において、居住支援に関する具体的な課題について、意見交換を行ったところです。

また、物件オーナーにも居住支援協議会との意見交換会などに参加いただくことで、居住支援についての理解を深めていただけるものと存じます。そのため今後、今後は不動産協会からオーナーの皆様へ参加を呼びかけていただけるよう、各不動産協会と更なる連携を図って参ります。

 

次に、家主や管理者の不安払拭に関する今後の対策についてのご質問にお答えいたします。

居住支援協議会においては、登録団体であるNPOなどと連携し、住宅確保要配慮者の入居までの支援、入居した後の支援を行っていることなどについて、家主や管理者に対してご説明し、不安払拭に努めてきたところです。

また、区では令和3年度から、自動通報システムを部分的に導入し、見守りを行っております。さらに来年度より、仲介手数料等が必要な物件も確実に借り上げられるよう、拡充予算の確保に努めております。

一方、先ほど、ご答弁しましたように、一人暮らしの高齢者などの居住支援をさらに進めるには、家主や管理者などに対して何らかのメリットが必要であると認識しており、今後、居住支援協議会の取組の周知、ご理解を促す取組と合わせ、他区の事例を参考に検討してまいります。

 

次に要配慮者の身近にいる人たちに居住支援に関して知っていただくための対策についてのご質問にお答えいたします。

現在、社会福祉協議会が開催する「暮らしの出張相談会」に居住支援協議会の構成員にも参加いただき、要配慮者の方々に接する機会の多い、コミュニティーソーシャルワーカーに対し、居住支援についての周知を行っております。今後は、民生委員に対しても周知を図り、要配慮者へのさらなる居住支援を図ってまいります。

 

次に、福祉施策における組織体制についてのご質問のうち、まず、断らない相談支援体制を整備するため、福祉包括化推進員を配置した上で、どのようにして適切に対応できる体制になっているかについてのご質問にお答えいたします。

現在、12課1機関に配置している福祉包括化推進員は、課題が複雑化・複合化し、自分の所属の窓口だけでは対応が完結しない事例について多角的視点から検討を行い、支援方針を共有し、相互に連携しながら支援を行っています。

各部署や関係機関がそれぞれの特徴や強みについて理解をしたうえで、ひとつの事例に対して、複数の機関が共通の認識のもと一体となって連携し、適切な機関につなげられるよう取り組んでいます。また、こうした事例検討や共同の職員研修を通じ、対応する職員のスキルアップを図るとともに、専門的な視点が必要な場合には、弁護士、精神科医師などに、助言を仰ぐなどしています。

今後も各部門での連携を図り、体制を強化してまいります。

次に、自立促進担当課が保健福祉部内で本来担うべき役割及び連携すべき課の役割がそれぞれ明確になっているかについてのご質問にお答えいたします。

自立促進担当課長は、成年後見制度や生活困窮者支援、入居相談など、属性に関わらず分野を横断する事業を主に担当しています。また、部局を超えた重層的支援体制を束ね、全体調整を行う役目もはたしております。

他の連携すべき課は、それぞれの担当分野の専門的な知見をもとに、相談者に対し直接的な支援を担うとともに、関係部署間で知識やスキルを相互に還元するなど、自立促進担当課長を中心とした連携体制を構築しています。

 

次に、重層的支援体制整備という考え方を行政組織内に定着させるため、組織を見直しする考えがあるのかについてのご質問にお答えいたします。

本区は、国に先駆け、包括的な相談支援体制の構築のため福祉包括化推進員を設置し、分野横断的な取り組みを進めてまいりました。また、令和5年度の重層的支援体制整備事業本格実施に向け、関係部署の職員向け研修も実施したところです。そうしたことから、現時点で、組織の見直しについては予定しておりません。

 

次に、社会福祉協議会に関して、各事業の見直しも含め、具体的にどのような体制を構築していくのかについてのご質問にお答えいたします。

社会福祉協議会には、ご指摘の成年後見制度利用促進を始め、CSW(コミュニティーソーシャルワーク)事業、生活困窮者自立相談支援、終活安心センターなどの各種事業を委託しており、区は、社会福祉協議会の担当部署と常に連携しながら、効果的に事業を推進しています。

社会福祉協議会は、限られた人員体制の中、自律性の高い組織運営をしていくため、区職員も加わって、「経営改善計画」を令和3年3月に策定し、事務事業評価を行ったうえで、今年度より、リボンサービスや、困りごと援助サービス等、類似事業の再編成や、利用手続きの簡素化に取り組んでおります。また、令和3年4月から、事業開発担当セクションを新設し、職員参画提案による新規事業の開拓やファンドレイジングの取り組みを開始し、自主財源の拡大を目指すとともに職員のスキルアップを図り、持続可能な社会福祉協議会を目指すべく検討を重ねております。

ご指摘の成年後見制度の中核機関の運営や区民後見人の 育成を進めていくためには、法律専門家との密接な連携のもと、社会福祉協議会がより専門性の高い組織へと進化していく必要があると考えております。社会福祉協議会は、平成15年より、権利擁護制度の推進機関としてサポートとしまの運営実績を有しており、成年後見制度の利用促進の中核機関等としての専門性の土壌は十分にあると考えております。

区としても成年後見制度の中核機関運営の委託初年度の状況と成果を注意深く見守り、体制の強化を図ってまいりたいと思います。

 

次に、浸水対策についてのご質問のうち、雨水貯水槽設置助成に関するこれまでの周知活動及び集合住宅への設置助成を行わない理由についてのご質問にお答えいたします。

雨水貯水槽の設置助成は、「エコ住宅普及促進助成事業」の項目の一つとして、平成21年度から実施しております。

周知につきましては、毎年、年度当初の「広報としま」に事業の特集記事を掲載し、また、環境月間となる6月には、区民の皆様の環境への意識啓発を促進するための「広報としま特集版」を発行しております。この他、環境情報誌「エコのわ」特集号なども発行し、周知に努めてまいりました。

これに加え、昨年度からは、産業協会や建築士協会等の会合で個別説明も行なうなど、周知の取組み強化を図っております。

その結果、事業全体の助成総件数は、昨年度125件に対し、今年度は149件と増加しております。

一方、雨水貯水槽につきましては、助成制度開始の平成21年度以降、本年度までの13年間の総件数は31件、年平均2件であり、直近では、昨年度1件、本年度2件という状況です。

「エコ住宅普及促進助成事業」は住宅における環境政策の重要な柱であり、雨水貯水槽の設置助成も含め、より多くの方に制度を利用していただけるよう、今後、ファーマーズマーケットや防災イベント等、様々な機会を通じて周知を図ってまいります。

また、集合住宅を雨水貯水槽の助成対象外としている理由につきましては、「エコ住宅普及促進助成事業」が、制度開始当初、戸建て住宅のみを対象としていたことがあります。

その後、平成23年度に、CO2削減に有効である太陽光パネルの設置助成を、それまでの一般住宅に加え、集合住宅も対象とする際、雨水貯水槽の設置助成につきましても、集合住宅への対象拡大を検討いたしましたが、他区における利用状況から需要が少ないことが予測できたため、導入を見送った経緯があります。

直近3年間におきましても、23区のうち、集合住宅を助成対象としている5区のいずれにおいても実績が全く無いこと、これまでに担当窓口に要望や問合せが寄せられていないことなどから、本区では、現在も助成制度を設けるに至っておりません。

 

次に、隣接区連携体制についてのご質問のうち、まず、ひきこもり支援及び住宅確保要配慮者の居住支援における隣接区連携についてのご質問にお答えいたします。

東京都ひきこもりに係る支援協議会では、「地元の窓口には周囲の目が気になるため相談しづらい」という声や、当事者と家族の居住地が異なる場合などに配慮した広域連携の視点も必要であり、ひきこもりに係る支援の地域資源を相互に利用できるようにする自治体間の連携も有効である」との意見が出されています。

広域連携については、昨年9月、文京区や、清瀬市、国立市、武蔵野市、調布市社会福祉協議会と協働して、ひきこもり女子会を開催しました。コロナ禍にもかかわらず51名の方にご参加いただいき、そのうち9割を超える方が区外からの参加でした。参加者からは「地元ではない離れた場所での参加は安心できる」と大変好評の声をいただいております。来年度は、引き続きこうした取り組みに加え、相談員同士の交流や各自治体の相談窓口や居場所等支援に必要な情報の共有を図り、地域間連携による支援の充実を目指してまいります。

また、住宅確保要配慮者の居住支援を進めるにあたっては、他区と連携することが重要であると認識しております。そのため、居住支援協議会では、全日不動産協会第四ブロック会議に参加し、区外の不動産事業者が所有する区内物件を居住支援バンクへ登録いただくよう促すなど、住宅確保要配慮者が入居可能な物件の拡充を図っております。

今後は、さらに他区の不動産事業者にも居住支援バンクに登録いただけるよう、不動産協会とさらなる連携を図ってまいります。

次に、保育園や高齢者施設の隣接区連携についてのご質問にお答えいたします。

まず、保育園につきましては、待機児童等の状況により、受入時期、受け入れ可能な年齢など各区の受入条件は異なるものの、自治体間で連携を図りながら、区外からの子どもの受入を行っております。本年1月1日現在、区外から本区に68名、本区から67名が区外に通園しております。

また、今年度、初めて近隣自治体の保育担当者間で、区外の保育園を利用する場合の保護者の申請方法等について意見交換をいたしました。情報の把握方法や自治体間の申請手続きのルールの違いなど、課題も多くございますので、近隣区と連携を図りながら、保護者の利便性向上について、引き続き検討してまいります。

次に、高齢者施設につきましては、通常の介護保険サービスでは利用者の住所要件がないため、他自治体の施設でも豊島区同様に利用することができますが、利用定員が19人未満のデイサービスや、認知症高齢者グループホームなどの地域密着型サービスについては、住み慣れた地域での生活を支える施設であるため、原則として区外利用はできません。

しかしながら、やむを得ない事情がある場合には、自治体間での協議により、他自治体の地域密着型サービスを利用することが可能となっておりますので、他区の施設利用を希望する方に対しては、今後も適切に対応してまいります。

次に、としま おたっしゃカードの隣接区利用についてのご質問にお答えいたします。

本区の敬老入浴事業においては、ICカードにより利用回数を管理しており、隣接区で利用できるようにするためには、通信機器の導入か、入浴券との併用、相互利用など、新たな仕組みをつくることが必要になります。また、区の浴場組合や近隣区の意向などについても十分に確認することが必要不可欠です。

区は先月、浴場組合の皆様と、区内浴場の空白地帯や、区界の他区の浴場の位置、区民の皆様からの要望など、直近の情報を共有し、様々なご意見をいただいたところです。

現時点において、23区では、既に10区が隣接区の浴場利用を実施していますので、今後、他区と情報交換し、課題を共有するとともに、区の浴場組合の皆様のご意見を十分踏まえながら、相互利用のあり方について、検討してまいります。

 

次に、地元商店会の活性化についてのご質問のうち、異なる行政区を抱えた商店会に対する今後の支援策についてのご質問にお答えいたします。

巣一商店会と文京区の大鳥商店会は、これからの商店会のあり方について、長い年月をかけて意見交換を重ねてこられました。そして、今回、巣一商店会が大鳥商店会を吸収合併する形で、4月から「巣鴨大鳥神社商店街」と名称も変更し、新たなスタートを踏み出されます。これまで、合併に向けて協議を重ねてこられた双方の商店会長はじめ、会員の皆様のご尽力に敬意を表します。

これまでも、商店会同士の話し合いの中で、お互いの状況や課題などを理解しあわれていると存じますが、合併後に商店会としての運営の仕方や、両区の支援制度の違いなどによって、課題が生じることもあるかもしれません。また、新たな商店会が目指す将来像に向けて、今後、まちづくり協議会やアンテナショップの創設など、具体的な活性化の方策について検討していかれると伺っており、その中でさらに検討する必要のあるテーマが出てくる場合もあろうかと存じます。

区としましては、今後とも商店会長を中心とする会員の皆様の「地域を盛り上げていきたい」との思いを十分に受け止め、巣鴨の新たな街づくりが進んでいくよう、活用できる補助メニュー等を積極的にご案内する他、両商店会の連携がより深まるよう、文京区とも情報共有しながら、必要なご助言や支援を行ってまいります。

私からの答弁は以上でございます。

 

隣接区連携体制についてのご質問のうち、災害時において隣接区と施策の方向性が違うことが大きな混乱をもたらすことについてのご質問にお答えいたします。

各区の防災対策は、災害対策基本法に基づき、それぞれの区が住民の生命・身体・財産を守ることを目的として行っています。

一方、区界付近にお住まいの方にとって、災害時に隣接区の連携がとれず必要な支援が受けられないなどの状況があるとしたら、問題であることはご指摘のとおりです。

過去には、被災者の受入れ体制などの違いにより、災害時における隣接区の連携に関して不安を感じる状況があったかもしれませんが、各区とも防災対策の目的は一致しており、23区の防災担当課長が集まる「特別区防災担当課長会」などの場を利用して、特に隣接区との連携の強化を図ってまいりました。

現在本区では、担当者が、隣接区の防災担当課の職員と、必要に応じていつでも連絡を取り合い、各区の地域防災計画やマニュアルの細部まで情報交換ができております。

したがいまして、現在は、隣接区との関係において「災害時における施策の方向性が違う」という状況は無いと認識をしており、今後も、発災時の連携が円滑に行えるように隣接区との関係を強化してまいります。

私からの答弁は以上でございます。

 

引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問に対しまして、お答え申し上げます。

不登校対策についてのご質問のうち、まず、現状のフリースクールの活用状況についてのご質問にお答えいたします。

不登校児童生徒につきましては、スクールソーシャルワーカーが関わることが多いことから、これまでスクールソーシャルワーカーが近隣の複数のフリースクールを直接訪問し、実態把握に努めるとともに、いつでも情報交換ができる体制を整えてまいりました。

ご家庭の判断でフリースクールを利用している児童生徒は 昨年の1学期末の時点で既に20人程度おりましたが、令和4年度中に、さらに7人の児童生徒のご家庭に、スクールソーシャルワーカーからフリースクールについてご紹介いたしました。

今後は、スクールソーシャルワーカーがフリースクールの見学に同行するなど、より児童生徒に寄り添った取り組みを進めるとともに、フリースクールの運営者と様々な協議ができる場を設置するなどにより、フリースクールとの連携をさらに強めてまいります。

次に、区独自の学びの場、居場所づくりに関する教育長の見解についてのご質問にお答えいたします。

教育委員会では、令和3年4月より「不登校対策委員会」を設置し、不登校の未然防止・早期支援のための方策を検討してまいりました。また、すでに不登校の状態にある児童生徒に対しては、学校以外の居場所として、教育センターの適応指導教室における支援を行ってまいりましたが、さらなる「居場所づくり」に向けた検討も進めております。

まず、現在4月を目途に、不登校の未然防止・早期支援の取組として、地域NPOと連携し、生徒と地域NPOのスタッフが自由に語り合える「学校内の居場所」を中学校1校で設置する予定です。

また、それとは別に、「学校外の居場所」として、子ども家庭部との連携の下、「ジャンプ長崎」と共同して、平日の午前中を中心にした不登校児童生徒の居場所づくりにも取り組んでまいります。

今後も、多様な不登校児童生徒に寄り添うため、関係機関やNPOなど様々な諸団体の力を結集し、地域全体で支援していくことのできる居場所づくりの拡充を引き続き検討してまいります。

 

次に「不登校特例校」の設置を検討することについてのご質問にお答えいたします。

「不登校特例校」につきましては、これまで、設置自治体から情報を集め、その成果と課題を把握してまいりましたが、今後は「不登校対策委員会」においてもご意見を伺いながら、本区での具体的な設置について検討を進めてまいります。

全ての学校ですべての児童生徒の個別最適な学びを目指してまいりますが、ご指摘のとおり、不登校自体が問題なのではありません。この特例校に限らず、多様な児童生徒が心から安心できる学び場や居場所をつくることを幅広く検討してまいります。

以上をもちまして、島村高彦議員のご質問に対する答弁を終わります。