令和5年予算特別委員会(3月14日) 意見開陳 公明党 辻 薫

 

公明党の辻薫でございます。私は、公明党豊島区議団を代表して、予算特別委員会に付託されました5議案、すなわち令和5年度一般会計予算及び3特別会計予算、並びに令和5年度一般会計補正予算第1号に対し、可決することに賛成する立場から意見開陳をいたします。

先ずは、感染防止対策に万全を期し、円滑公平な運営に努められました西山委員長、磯副委員長の労に、深く感謝申し上げます。また、理事者の皆様には、資料要求を初め、事前調査に快く応じていただき、丁寧にご答弁頂きましたことに、心から御礼を申し上げます。

予算審議に当たり、私ども公明党は、1.区民目線に立った行政運営となっているか、2.安定的・持続可能な財政運営がなされているか、3.時代の変化に的確に対応した事業展開となっているか、4.SDGsの基本理念である誰一人取り残さない取り組みがなされているか、との視点から、慎重かつ厳正に審査に臨みました。

初めに、一般会計予算案全般について、述べさせて頂きます。

令和5年度一般会計の予算は、前年度当初予算比で、4億円増の1,362億円となり、令和元年度当初予算に次ぐ、過去2番目の予算規模となっています。

令和4年度当初予算においては、新型コロナウイルスワクチン接種経費26億円を計上していましたが、予算編成の段階で、国の方針が決定していなかったため、令和5年度予算に計上していない点を踏まえると、実質的な対前年度比較では、29億円の増となり、区民サービスの拡充を図った積極的な予算であると理解致しました。

歳入については、対前年度当初予算比で、特別区民税30憶円、特別区財政調整交付金19億円、地方消費税交付金6億円の増を見込む一方で、対前年度当初予算比29億円の減となる19億円の財政調整基金繰入金を計上しています。これは、先程の区民サービス拡充のため、実質29億円の増となる積極的な予算を組んだことや、文化による価値あるまちづくりを継続していくために、3年連続で財政調整基金を活用する予算編成となったことを確認しました。

歳出面では、扶助費が過去最大であった令和4年度当初から、さらに8億円増の420億円を計上していますが、これは、待機児童対策による私立保育所運営経費や、児童相談所の設置に伴う児童福祉施設設置等支弁経費の増が主な要因であることを確認しました。

初日の総括質疑では、持続可能な財政運営を堅持していくためとして、区財政を取り巻く課題を取り上げさせて頂きました。

そのうち、昨今の原油価格や物価の高騰など区財政を取り巻く社会状況への区の認識を確認するとともに、今回補正予算第1号に計上して頂いた「としまの子ども応援給付金支給経費」のように、今後とも必要に応じて補正予算を組み、区民の生活を支援していくよう要望しました。

また、不合理な税制改正による区財政への影響額が年々増加していることから、引き続き国に是正を強く求めるよう要望しました。一方で、ふるさと納税制度の返礼品は、区のPRやイメージづくり、産業振興としての役割が期待できるとの認識を確認しました。この点については、歳入の中で再度触れさせて頂きます。

以下款別ごとに、具体的な提案も含め、特筆すべきことを述べさせて頂きます。最初に、議会費・政策経営費・総務費について申し上げます。

  • SDGs未来都市推進費では、企業認証制度を早期に導入し、企業のSDGs活動を通じて地域課題を解決する取り組みを強く要望いたします。
  • 防犯カメラの設置補助事業の予算拡充を高く評価するとともに、補助事業を受けずに取り付けた防犯カメラの電気使用量も対象とするよう引き続き要望します。

また、防犯カメラの警察への画像提供における町会等の負担軽減と事件の早期解決へ向けて、公園緑地課で導入する公園内防犯カメラ管理システムと同様の取り組みを要望いたします。

  • 首都直下地震等によるエレベーター閉じ込め対策として、区有施設に防災キャビネットを設置する取り組みを評価するとともに、民間マンションなどにも設置が進むようお願いいたします。
  • 一般質問で提案させて頂いた図上訓練「帰宅困難者対策支援施設運営ゲーム(KUG)」の早期導入に感謝するとともに、さらに事業者が帰宅困難者を受け入れやすくなるよう要望いたします。
  • 防災士資格取得後の対策として、防災士の活躍を図るための防災士協議会の立ち上げの検討を要望いたします。
  • 投票率をアップさせる取り組みとして、若年層への啓発とともに、有権者に一人でも多くの候補者の訴えを聞いてもらえるよう、駅頭などで長時間占拠しての街頭演説が行われることが無いよう周知願います。
  • 期日前投票所などの変更が決定した際には、私たち議員にも速やかにご報告下さいますよう強く要望いたします。また、今後とも期日前投票所の増設を検討願います。

次に、区民費・福祉費・衛生費です。

  • マイナンバーカードについて、寝たきりの方など申請が困難な方には、区職員が自宅まで出向くなどの方法を検討するよう要望いたします。
  • 以前より要望しておりました区民交通傷害保険の途中加入を可能とするWEBによる加入については、課題を解決し、令和6年度の導入を望みます。
  • 成年後見制度の利用促進においては、成年後見制度を利用する以前より、「サポートとしま」を利用しておくことで、成年後見制度に移行した時に、本人のこれまでの生き方を尊重した支援につながることを確認しました。引き続き豊島区民社会福祉協議会と連携し取り組むよう要望いたします。
  • 重層的支援体制整備事業は、社会福祉法を根拠に予算編成したことを確認しました。いよいよ本格実施する令和5年度より、「断らない相談支援」「参加支援」「地域づくりに向けた支援」を実行し、誰一人取り残さない区政を要望いたします。
  • 災害時要配慮者対策については、大正大学地域構想研究所との連携による個別避難計画策定の際、家具転倒防止対策や、感震ブレーカーの

設置を推進するよう望みます。また、福祉救援センターの受け入れ体制の整備も要望いたします。

  • 入浴時特化型デイサービスモデル事業は、本格実施の際、区内全域への拡大を望みます。さらに、浴場空白地域の元気高齢者のための浴場までの送迎対策の推進とともに、おたっしゃカードの隣接区利用の早期実現を強く要望いたします。
  • ヒアリングフレイル対策としては、補聴器購入費助成の拡充を高く評価します。併せて、難聴の早期発見や相談体制の整備を要望いたします。
  • 高齢者訪問歯科健診事業においては、あぜりあ歯科医師による訪問診断後、必要な治療が行われるよう、かかりつけ歯科医との連携を望みます。
  • 帯状疱疹ワクチン費用助成の新年度への予算化を高く評価致します。

今後、利用者が多い場合は補正予算を組むなどの対応を要望いたします。

  • がん患者のウィッグ・胸部補正具等購入費助成については、令和5年度の東京都の予算案の新規事業である「がん患者へのアピアランスケア支援事業」を活用し、区の助成額の拡充を強く要望します。

次に、環境清掃費・都市整備費についてです。

  • プラスチック資源回収事業の本格実施移行に向けて、今後実施する出前説明会を区の集会室などで開催する場合の会場使用料については、区が負担するよう要望いたします。
  • クールスポット・給水スポット事業は、我が会派から要望していたものであり高く評価致します。今後とも設置箇所を増やして、マイボトルの普及促進と熱中症予防を図るよう要望いたします。
  • 「池袋ウォーカブル基本方針」の位置づけとして、本区が進める「国際アート・カルチャー都市」「SDGs未来都市」を池袋というフィールドにおいて、先導的に実現していくものであることを確認しました。そのことをご理解頂くためにも、3月21日に開催する「ウォーカブルなまち体験イベント」には多くの区民の皆様が参加出来るよう周知をお願いいたします。
  • 池袋駅西口地区市街地再開発事業については、高野区長のご尽力により、昨年10月国家戦略特区にエントリーされたことを確認しました。これに加えて、「池袋駅コア整備方針」の策定により、再開発準備組合の取り組みが大きく進展することを期待しております。
  • 住宅セーフティネット事業については、引き続き、一人暮らし高齢者などへの入居拒否がないよう、住宅オーナーさんにも配慮したさらなる施策の展開とともに、見守りやマッチング等の支援を行う居住支援法人との連携強化を要望いたします。
  • 自転車駐輪場等の整備について、先ず池袋西口駅前は再開発に伴う再編検討とともに、丸井跡地の商業施設などより利用しやすい附置義務自転車駐輪場とするようお願いいたします。また、要町駅、千川駅の駐輪施設の課題解決と併せて、コイン駐車場のICカード決済が可能となるよう強く要望致します。
  • エコ街路灯への改修事業は、SDGs先進度調査でも省エネ対策の取り組みとして評価されており、新年度において着実に推進するようお願いいたします。

 

次に、文化商工費・子ども家庭費・教育費です。

  • ナイトライフ観光推進事業の「街なかクラシックプロジェクト」として、東京メトロ要町駅に駅ピアノを常設して頂き感謝申し上げます。今後は、植田志保さん描画の「青のふるまい」の池袋駅設置など、引き続きの取り組みを要望いたします。
  • 今年度実施したキャッシュレス決済ポイント還元事業は、大規模事業者などを対象外にしたことにより、中小規模店舗への効果があったことを確認しました。今後は、還元率をアップして実施するよう強く要望いたします。
  • 「としまの子ども応援給付金支給」については、公明党初め3会派の緊急要望を受けての予算計上であり、迅速な対応に感謝申し上げます。支給対象となる世帯には、確実に支給出来るよう宜しくお願い致します。
  • バースデイ訪問事業については、新年度から、「とうきょうママパパ応援事業」のバースデーサポート事業を活用することで拡充されます。本来の目的である面談による状況把握や必要な情報提供も確実に実施するよう要望いたします。
  • 自閉症・情緒障害特別支援学級の増設については、令和3年8月に私ども会派より要望していたものであり、高く評価致します。引き続き、特別な支援を要する子どもたちに寄り添った取り組みとともに、通常学級との交流及び共同学習も推進するようお願いいたします。
  • 子どもスキップの図書遊具購入予算の増額を高く評価致します。予算の執行においては、子どもたちの意見を取り入れるよう要望いたします。また、安定的な子どもスキップの運営のために、新たな人員の確保とともに現在働いている職員の働きやすい環境づくりを要望致します。
  • SDGs達成の担い手育成事業は、この2年で地域とのつながりが深まり、各学校で特色ある取り組みが進んでいることを確認しました。今後とも児童・生徒の育成とともに、その取り組みを発信することにより、区民の皆様のSDGsの機運の醸成となることを期待するところです。
  • 移動教室と修学旅行は、実地学習としての意義があることから、また、昨今の物価高対策としても、保護者の費用負担を軽減するよう検討をお願いいたします。
  • 学校・通学路の安全事業では、直近の学校施設への侵入事件を受けて、全ての出入り口をオートロックにするなど具体的に取り組むよう要望いたします。
  • 小学校入退出管理システムは、希望する高学年についても保護者負担がなく利用出来るようお願いいたします。

次に、公債費について申し上げます。

本区の公債費比率については、特別区の中ではまだ、高い状況にあることを確認しました。

区有施設の更新のための財源の調達手段として、起債をすることは将来世代との負担の公平性という意味で、有効な手段であるとも考えます。

その一方で、現在の物価高騰の状況がどうなるのか。先行きを見通すことが困難な中、区債の発行については慎重に検討を重ねた上で、実行するよう要望いたします。

次に、一般会計歳入について申し上げます。

総括質疑に続いて、ふるさと納税について確認しました。令和5年度は、生活産業課に専属の職員を配置し、伝統工芸品など、本区の特性を活かした返礼品の導入を検討し、全庁的に取り組んでいく予定であることを確認しました。併せて、高野区長が言及していた民間企業を巻き込んでの取り組みも要望致します。

次に、特別会計のうち国民健康保険会計について申し上げます。

医療費適正化の取り組みを確認しました。糖尿病性腎症重症化予防プログラムの中で、早期腎症期と判定された方へ区直営での保健指導が受診者から好評を得ていることを評価します。また、マイナ保険証を使用した際のメリットについては、区民への周知をお願い致します。

以上、これら質疑を通じて、昨年の決算特別委員会で要望していた点や、令和5年度の会派からの予算要望のうち、とりわけ重点要望を中心に、予算上どのように反映されているかを確認させて頂きました。

また、令和5年度予算は、高野区政の集大成とも言える予算であり、区制100周年に向け、これまで進めてきた「文化による経済の好循環を生み出すまちづくり」により税収増を達成し、区民サービスの充実を図り、豊島区をさらに躍進させる予算であることも確認致しました。

可決成立後には、速やかに、また、確実に執行されますようお願い申し上げ、令和5年度豊島区予算4議案、並びに一般会計補正予算(第1号)の5議案に対し、可決すべきと意見開陳致します。

最後の最後になりましたが、この3月に退職されます理事者の方々、職員の皆様に長年の区政に対する御尽力に敬意を表し、衷心より感謝を申し上げます。今後とも愛する豊島区を大所・高所から見守っていただけますようお願い申し上げます。

御清聴ありがとうございました。