令和2年第4回定例会 一般質問 公明党豊島区議団 辻薫
「2030年 誰もが笑顔あふれる豊島区に!」
11月25日登壇
公明党の辻薫でございます。私は公明党豊島区議団を代表しまして、「2030年 誰もが笑顔あふれる豊島区に!」と題し、1.SDGs目標達成に向けての取り組みについて、2.住まいと暮らしを確保する居住支援の強化について、3.フレイル対策について、4.GIGAスクール構想の推進について、5.高松地区の浸水対策について、6.「お悔やみ案内コーナー」設置の進捗状況について、一般質問を行います。
最初に、新型コロナウィルス感染症が再び拡大傾向にある中、医療・介護従事者を初めとして、エッセンシャルワーカーと言われる皆様方の区民の命と暮らしを守る献身的な取り組みに対して、ご家族を含め、改めて深く感謝申し上げる次第です。
さて、本年7月の「SDGs未来都市」と「自治体SDGsモデル事業」のダブル選定以来、SDGsのカラフルなバッチを付けていると、区民から「最近よく見かけるけど、なんのバッチですか。」と聞かれることがあります。その際は、「国連加盟193か国全てが賛同した国際目標のバッチ」と答えています。全ての国が、政治的イデオロギーや、地理的位置、軍事的・経済的パワーの違いを超越して、将来の世界の姿はこうあるべきだ、という大きな目標に賛同していることを強調しています。
そして、「今回豊島区がモデル都市として国の選定を受け、誰もが笑顔あふれる持続発展都市の実現に向けて取り組んでいくことになりました。」と誇りをもって語っています。
また、SDGsの「誰一人取り残さない」とのキーワードについては、最近、山登りに関してある方が語っていたことが大変印象に残っています。それは、「高い山に挑もうとするときほど、いいチームを組んで、それぞれ役割をきめてのぼります。その時に大切なことは、一番遅い人にみんなが歩みを合わせることです。早い人にあわせてしまって、遅い人が取り残されてしまうと、みんなが山のぼりに失敗します。」との話です。
つまり、「誰一人取り残さない」との取り組みが、「誰もが笑顔あふれる持続発展都市」実現へ向けてのカギであると感じているところです。
1.SDGs目標達成に向けての取り組みについて
それでは、最初に、SDGs目標達成に向けての取り組みについて伺います。
SDGs:持続可能な開発目標は、2015年第70回国連総会で採択された「我々の世界を変革する: 持続可能な開発のための 2030 アジェンダ」 とのタイトルの国連文書に書かれています。「人々の、人々による、人々のための行動計画(アジェンダ)」であり、変革なきところに持続可能な世界はない。世界の変革は、SDGsを下支えする大事な理念となっています。2030年が目標です。既に5年が経過し、2020年の今年を「2030年の目標達成に向けた『行動の10年』の始まり」と位置付けています。
そうしたことからも、豊島区が来年ではなく、今年ダブル選定された意義は大きく、選定へ向けて陣頭指揮をとられた高野区長初め、関係者の皆様のご尽力に、改めて敬意を表するものです。
先ずは、SDGsの目標達成を目指すにあたって、本区の後期基本計画の見直しの際には、各政策・施策との関連性を整理すると伺っておりますが、その他の各種計画や事業における17の目標(ゴール)などへの反映状況についてお聞かせ下さい。
豊島区環境審議会の会長で、来月には議員研修会の講師を務められる慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科教授の蟹江憲史(のりちか)氏は、最近の著書で、「SDGsから基本構想、そして基本計画、実施計画といった目標と計画が直線的につながれば、真にグローバルスタンダードにのっとった総合計画が出来上がる。大事なのは、目標からスタートする視点である。目先の利害関係を超えたところに視点を置くことで、はじめて可能になることがある。」と指摘しているところです。
次に、SDGs目標の達成に向けて、政府が掲げている実施指針に関して、3点伺います。
最初に、執行体制についてです。「地方自治体においては、体制作りとして、部局を横断する推進組織の設置、執行体制の整備を推進すること」としており、今年度、政策経営部にSDGs未来都市調整担当課長のポストが新設されました。新設とはいえ、既に2つの課長を兼任しており、体制強化が必要であると考えますが、ご見解を伺います。
2番目に、「地域レベルの官、民、マルチホールダー連携の枠組みの構築」が求められています。この点については、既に「オールとしま」で取り組むとして、これまでの連携体制を活用すると伺っております。特に、これまでの「国際アート・カルチャー特命大使」に加えて「SDGs特命大使」が募集されておりますが、具体的にはどのような役割が期待されているのか、お聞かせ下さい。
また、併せて、区民への普及活動については、現在実施している中央図書館での児童向け企画展示を大人も含めて地域館でも実施し、また、区民ひろば等でも区民に周知できるような取り組みを要望しますが、ご見解をお聞かせ下さい。
3番目は、「自律的好循環の形成へ向けた制度構築等」についてです。この点について、蟹江教授は、「人口減少と高齢化社会という課題を抱え、このままの仕組みでは今後減っていく税収と、増えていく医療費等の支出のバランスが崩れていくという状況が、持続可能な地方創生の必要性を生み出しているからこそである。ピンチをチャンスに変えることが出来れば、SDGs未来都市が日本国内でのモデルになるばかりではなく、地方自治体によるSDGs達成行動促進モデルとして、世界的に有効なモデルになっていくであろう。」と期待を寄せられています。
そこで、「自律的好循環の形成へ向けた制度構築等」について、現在計画している内容についてお聞かせ下さい。
新型コロナウィルスの世界的流行によって、あらゆる経済活動が世界全体で止まってしまうという経験をした今こそ、世界規模の課題を認識しつつ、地域に落とし込んで活動を展開していく。それが地域の変革につながり、最終的には世界をも変えていけるというSDGs達成への取り組みは、むしろ大学生を初め、多くの若者が注目しているところです。これまで地域に関心を持たなかった若い世代の方々ともSDGsを共通語として対話が弾む時代となっていくものと期待しております。
最後に、ダブル選定後4か月が経過した今、改めて、高野区長のSDGs目標達成へ向けての意気込みをお聞かせ下さい。
2.住まいと暮らしを確保する居住支援の強化について
2項目目として、住まいと暮らしを確保する居住支援の強化について伺います。
住まいは生活の重要な基盤であり、全世代型社会保障の基盤であります。しかしながら、本区は空き家空き室率が高い一方で、高齢者、障がい者、低所得者、ひとり親家庭、外国人などが増え、対応も急務となっております。また、新型コロナウィルスの影響が長期化する中、家賃や住宅ローンの支払いに悩む人が急増しており、住まいと暮らしの安心を確保する居住支援の強化は待ったなしの課題であると考えます。
そこで先ず、コロナ禍において全国的に生活困窮者自立支援制度における住居確保給付金の利用が爆発的に増えておりますが、本区における申請件数並びに支給決定件数、また前年度と比べてどの程度増えているのか、合わせてお答え下さい。
住居確保給付金は最大9カ月まで支給されますが、コロナ禍で対象拡大がなされた4月以降に支給開始した方々は年末年始には支給期限が切れ、居住する場所を失う方々が増加する事が懸念されております。公明党は支給期間の延長を政府に対して強く要請しておりますが、延長されたとしても、支給期間終了後に引き続き支援が必要な方は確実におられます。
こうした方々が住まいを失わないようにするために、就労支援の強化等を通じた経済的自立の支援、家賃の安価な住宅への住み替えの推進、生活保護の受給など、本人や家族のニーズや状況に応じ、きめ細かな支援が必要と考えますが、いかがでしょうか。ご見解をお聞かせください。
今、申し上げました通り、支給期間終了後の対策が重要です。生活保護を受給するといった選択肢がありますが、心情的にどうしても受けたくないという方もおられます。特に本区において区営住宅は限定的であり、こうした現状に対応するためには、第三の選択肢として福祉と住宅の関係部署が連携し、セーフティネット住宅制度の活用に、早急に取り組んで頂きたいと考えます。
住宅セーフティネット制度においては、住宅確保が難しい方専用の住宅をセーフティネット住宅として登録し、家賃や家賃債務保証料の低廉化にかかる費用に対して補助を行う制度があります。国土交通省は令和3年度の予算概算要求において、この家賃低廉化制度の補助限度額を拡充するとともに、地方公共団体が必要と認める場合、入居者の公募手続きを除外するという制度改正を盛り込んでおります。
これが実現すれば、住宅確保給付金は大家さんに直接納付されますので、大家さんも滞納の不安なく、安心して貸し続ける事ができます。コロナを機に、住宅セーフティネット制度の家賃低廉化制度による支援で、自立を促していくという仕組みづくりに、積極的に取り組むべきと考えますが、いかがでしょうか。
特に家賃低廉化については、月収15.8万円以下の低額所得者が対象で、1戸あたりの限度額は1カ月4万円、補助期間は原則、最長10年でありますが、補助金の総額が10年間の限度額480万円を超えない範囲であれば、自治体の判断により最長20年間とすることも可能とされております。しかしながら、本区の家賃低廉化は、対象者に対し本区に1年以上在住という制限を設け、国がかけていない制限を区が独自で制限している状態にあります。また、家賃助成も3万円を限度に10年とし、国が定める制度とは異なっているのが実態であります。この住宅セーフティネット制度に登録された住宅は、国は公営住宅の扱いにはしておりません。ぜひ早急に本区に1年以上在住という制限を撤廃し、補助金額や期間も国に応じた制度となるよう求めますが、ご見解を伺います。
住宅セーフティネットの専用住宅の登録を推進し、生活にお困りの方について、適切な居住支援を進めていくためには、福祉と住宅の連携が何よりも重要であります。愛知県名古屋市では、コロナ禍の前から専門部会を作り、居住支援の情報一元化を進めるなど対応にあたってこられました。
本区も例えば住宅、生活困窮者支援、ひとり親家庭支援、生活保護等の関係部署からなるプロジェクトチームを設置し、空き家空き室の活用や住まいに関する情報の共有、低廉な家賃で入居できる住まいの開拓や入居にかかわるマッチング等を進める、居住支援法人やNPO等の活動状況の情報共有を進めて頂くことを要望いたしますが、お考えを伺います。
公明党住まいと暮らし問題検討委員会は、11月4日、区議会公明党の代表と共に、区内のコミュニティネットワーク協会を視察し、空き家を活用した「としま・まちごと福祉支援プロジェクト」について、担当者と意見交換を行いました。区内にセーフティネット住宅を設置され、ここに入居者が入られると本区では初めて家賃低廉化の補助金の対象となります。
また、コミュニティの拠点整備も行われており、国土交通省の令和元年度・住まい環境整備モデル事業に選定されております。このような先駆的な取り組みをされている団体とも連携しながら、積極的な全国のモデルとなるような取り組みを要望いたします。
来年度予算に関する厚生労働省の概算要求には、今年度補正予算で措置された「生活困窮者への住まい確保・定着支援」が盛り込まれております。これは、居住支援法人などが生活困窮者支援の窓口と連携しながら、入居にかかわるマッチングなど居住支援を進めるための事業です。本区でも、プロジェクトチーム等の議論を通じて、福祉と住宅関係部署の連携を進め、居住支援の強化の観点から、ぜひこの事業に取り組んでいただきたいと考えますが、いかがでしょうか。
コロナ禍で家賃が払えない等、住まいに不安を抱えておられる方は、住まいだけではなく複雑な課題やリスクを抱えておられるケースが少なくありません。こうした方々を誰ひとり置き去りにすることなく、支援していくためには包括的な支援体制が必要となります。
来年4月からは改正社会福祉法が施行となり、いわゆる断らない相談支援を具体化するための重層的支援体制整備事業が始まります。
コロナ禍で大変な思いをされている方々を誰ひとり取り残さないというSDGs未来都市として、本区においても重層的支援体制整備事業を速やかに取り組んで頂きたいと考えますが、区長のご見解を伺います。
3.フレイル対策について
3項目目として、フレイル対策について伺います。昨年の第1回定例会の一般質問で、東池袋フレイル対策センターを核としたフレイル予防の取組を区内各地域に展開し、地域コミュニティの場となるよう要望しておりました。その後、各区民センターにおけるフレイルチェックの実施に加えて、今年度より来年度にかけて、全区民ひろばに、フレイル機器を設置し、身近な地域でフレイル予防に取り組める体制を整備して頂くことになりました。このことについては、高野区長からも本定例会初日の招集挨拶で、「フレイル予防拠点の全区展開」として言及して頂きました。高野区長初め、関係者の皆様のご尽力に、深く感謝申し上げます。
フレイル対策事業については、豊島区自治体SDGsモデル事業での取り組み提案の中で、社会面の取り組みとして明確に位置付けられています。先日、早速機器が設置された区民ひろば池袋、要、高松の3箇所を見学しました。場所によって設置機器が異なりますが、各種測定機器がいつでも気軽に測定出来るようになっています。
そこで、設置間もない状況ではありますが、利用者やひろば運営スタッフからのご意見ご感想をお聞かせ下さい。
新型コロナウィルス感染症の影響により、高齢者の社会参加が減少し、生活不活発による健康への影響が危惧されています。こうした中、「コロナ禍の今だからこそ、意識してみませんか」と題して、この度、豊島区セーフコミュニティ高齢者の安全対策委員会が、在宅時の健康生活応援チェック表「本日の8ミッション」と言う冊子を発行しました。
この冊子は、区民ひろばや地域文化創造館等で配布されています。さらに施設に来られない、家にこもりがちでフレイル予防対策が必要な高齢者の皆様にこそ、是非活用して頂きたく、見守り事業など訪問時に声を掛けながら配布するよう要望致しますが、ご見解をお聞かせ下さい。
この項目の最後に、オーラルフレイル対策にて伺います。口腔機能の低下(オーラルフレイル)は、全身の虚弱(フレイル)に先行して現れるとされています。そのため、オーラルフレイルを早期に把握することはフレイル予防に有効です。
また、健全な口腔機能を保つことは、誤嚥性肺炎やインフルエンザの気道感染の予防、栄養の摂取、健康寿命の延伸等、様々な効果があると指摘されています。
そこで、豊島区歯科医師会からの提案でもありますが、高齢者の口腔機能の保持増進のため、高齢者口腔機能健診及び健診後のフォローの実施を要望しますが、ご所見を伺います。
4.GIGAスクール構想の推進について
4項目目として、GIGAスクール構想の推進について質問します。
本区は、全国に先駆けて本年9月に、いち早く区立小中学校の全児童生徒に対し、タブレットパソコン(以下、タブレットと呼ぶ)一人一台体制の整備を完了しました。本年4月、新型コロナウィルス感染症の影響で、学校の臨時休校が長期化する中、子どものストレスと勉強に不安を覚える保護者からの声を受けて、公明党区議団は、金子教育長に対して、1人1台のタブレット配布を前倒しする「ICTによる遠隔授業の早期実施に関する緊急要望書」を提出しておりました。本区の早期実現へ向けての取り組みに、改めて敬意を申し上げる次第です。
先日公明党区議団は、学校現場での活用状況を確認するため、千登世橋中学校の授業を視察してまいりました。
社会科の授業では、室町時代の絵に描かれた事象を各人が読み取り、直接タブレットの画像に書き込むと「みんなのひろば」という共通画面で見れるようになっていて、先生が皆に紹介しながら、興味深く歴史を学んでいました。国語の習字の時間では、各人が書き終えると、やはり「みんなのひろば」に掲載し、生徒同士が書いたものを見るだけではなく、学校になかなか来ることが出来ない保護者が自宅で見ることが可能となるとのことでした。
また、数学では、教員が自身のパソコンから教壇脇の大画面に図形問題を写し出し、生徒はタブレットを使用して答えを描いていました。各生徒の答えは、教員自身のパソコンでは時間を要するため、生徒のところに行って確認していました。生徒によってはタブレットの技術的な説明をしながら授業をすすめていました。
こうした授業を見学し、また、教員からの声も踏まえて課題を確認してみました。一つは、今回児童生徒に配布されたタブレットが、教員には支給されておらず、従来のパソコンを使用している点です。教員も児童生徒と同機種のパソコンを使用することにより、その機能を充分熟知し、授業をスムーズに展開出来ると考えます。後日、ある小学校の教員からは、同機種のタブレットが置いてあるお店に行き、実際に操作して機能を理解した上で、授業に臨んだと伺いました。
そこで、教員の方々にも早期に同タブレットの支給が必要であると考えますが、ご見解をお聞かせ下さい。
二つ目には、教員自身が限られた時間の中で、授業を進めると同時に、児童生徒に対して個別にタブレットの技術的なアドバイスを行うのは困難であると思われます。SDGsにおける教育分野では、目標4のアイコンに、「質の高い教育をみんなに」と表記され、そのために、質の高い教員数の増加が必要なことも認識されています。
本区においては幸い、教員が児童生徒にとって最高の教育環境であるとして、様々な取り組みにより教員の質の向上に努めて来られています。そうした教員の充分な能力を発揮してもらうために、また、現場での負担を減らしICT機器を活用し続けるためには、ICT支援員の支援が不可欠です。
保護者からは、教員によってタブレットの活用に温度差があるとの声が寄せられています。GIGAスクール構想の推進にあたり、教員がデジタル機器の効果的な使い方に戸惑うことがないよう、また、これまで取り組んできた教員の働き方改革に逆行することがないよう、ICT支援員の増員拡充を強く要望致します。ご所見をお聞かせ下さい。
豊島の教育2020には、「タブレットを介して、顔を見ながら双方向の対話が可能なので、学校に通うことができない児童生徒と教師との関係づくりにも活用していく。」とあります。そこで、不登校の児童生徒へのICTを活用した学習支援を推進するとともに、希望する児童生徒が自宅等で学習した場合の、出席扱い制度の推進を図るよう要望しますが、ご見解をお聞かせ下さい。
この項目の最後に、特に、数学の計算などでは画面に自由に書き込み消去出来るデジタル教科書が有効であると考えます。デジタル教科書導入の検討状況についてもお聞かせ下さい。
5.高松地区の浸水対策について
5項目目は、地域の課題として、高松地区の浸水対策について取り上げます。
平成20年7月に発生した局所的集中豪雨による高松地区の被害を受けて、公明党区議団として、「集中豪雨に対する治水対策についての要望書」を高野区長に提出。また、私は、その年の第三回定例会の一般質問でも取り上げ、区からは、「時間75ミリ対策地域への指定に向け、関係機関に働きかけていく。さらに浸水被害地域の下水道施設への負担を軽減し、浸水被害の抑制を図っていく。」との答弁がありました。
その後、平成23年、25年、30年にも、集中豪雨による被害が発生し、私は、その度に、区に被害状況を報告し、浸水対策を要望してまいりました。特に、平成30年9月には、高松1丁目にある音楽教室が床上浸水し、教室の改修工事に数か月を要し、楽器への被害や浸水対策用の止水板設置などに多額の費用を要する大きな被害が発生しております。そこで先ず、この間の豊島区及び東京都の取組状況について、お示し下さい。また、板橋区では実施しておりますが、浸水対策用としての止水板は、特注であることが多く高額であるため、改めて設置助成を要望致しますが、ご見解をお聞かせ下さい。
また、本年7月、8月の短時間豪雨でも高松1丁目の戸建ての3階トイレの水が逆流噴出する被害が発生しております。東京河川改修促進連盟の総会及び促進大会における東京都事業説明では、バイパス管の設置や公共施設を活用した貯留施設の案も出ていました。
SDGsの目標6のターゲット6.5には、「統合的な水資源の管理を実施する」とあり、この点につて、蟹江教授は、「特に近年は、集中豪雨や台風の影響により、毎年のように各地で干ばつや水害が起きている。定常時の河川浸食を防ぐためにコンクリートで護岸を行った結果、かえって災害に対して弱くなったり、生態系に悪影響を及ぼすこともある。地域の状況を見ながら、適切な水の管理を行うことは、災害対策としても重要である。」と指摘しています。
この高松地区は、以前水路を暗渠にした地域でもあります。区の道路整備課が、以前より特別区下水道事業促進連絡会を通じて、高松地区の浸水対策について東京都に対して要望を挙げて頂いていることは充分承知しております。そこで、SDGsの選定を受けた今、高松地区で被害を受け続けている方々の切実な声を受け止めて頂いて、改めて東京都と連携の上、同地区の浸水対策に取り組むよう要望致しますが、ご見解をお聞かせ下さい。
6.「お悔やみ案内コーナー」設置の進捗状況について
最後に、昨年の第4回定例会の一般質問で、日本一便利な窓口を目指す本区として、また、総合高齢社会対策の一つとして提案しておりました「おくやみ案内コーナー」設置の進捗状況について伺います。
提案理由としては、地元町会長初め多くの方々から、遺族としてどのような手続きが必要なのか、また、何から始めたらよいのか、複雑でわからないといった声が寄せられていること。また、公明党区議団として、先駆的に取り組んでいる福岡県糸島市を視察した際、市独自のシステムを構築することにより、市民に必要な手続きを迅速に行うことが可能となったと同時に、行政側の説明も簡潔に済むなど効率も上がっていることを確認してきたことを挙げておりました。
区からは、「窓口手続きの利便性向上に活かし、具体的な改善策を検討してまいります。」との答弁を頂いておりましたが、その後の検討状況をお聞かせ下さい。
また、現在、死亡届を出された際に提供している、標準的な区の手続きや区役所以外の届出等の情報を記載した、「手続き確認シート」については、ご遺族のための「おくやみハンドブック」として、「おくやみ案内コーナー」の利用促進を含む内容に改善されるよう要望致しますが、ご見解をお聞かせ下さい。
以上で、私の一般質問全部を終わります。ご清聴、誠にありがとうございました。
公明党 辻薫議員 令和2年第4回定例会 一般質問答弁
ただいまの、辻薫議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。
SDGs目標達成に向けての取り組みについてのご質問のうち、まず、後期基本計画以外の各種計画や事業における17の目標などへの反映状況についてのご質問にお答えいたします。
区では基本計画以外にも50以上の分野別計画を策定しています。このうち、平成31年3月に策定した「豊島区環境基本計画」は、具体的な施策とSDGs の環境に関連するターゲットを明確に位置付けるなど、本区では先駆的な計画です。
他の「女性活躍推進計画」や「地域保健福祉計画」など、SDGsの17の目標を前面には出しておりませんが、SDGsを推進するための施策や事業が数多く位置付けられております。
現在、各分野別計画におけるSDGsの反映状況について夫々の関係部署において確認しており、今後の「後期・基本計画」の議論の中で、活かしてまいりたいと考えております。
次に、SDGs目標達成に取り組むための執行体制強化についてのご質問にお答えいたします。
本区のSDGs目標達成を実効性のあるものとするためには、後期基本計画にSDGsの理念をしっかりと位置づけ、区の全ての政策・施策・事務事業をSDGsの視点で再構築することが非常に重要です。
SDGs未来都市調整担当課長は、SDGsの17の目標をキーワードに、区の全ての施策に横串を刺すことで、具体的な目標としてのSDGsが機能するよう、整合性を図るという役割があります。
こうした基本的な役割に加えて、区の計画や実際の取り組みを広くアピールし、区内の企業や事業者との連携を深め、最終的には地域と行政が一体となって「だれ一人取り残さない」まちを実現できるよう、ダイナミックな事業活動やプロモーション活動を展開する役割も重要となります。
こうしたことから、今後さらにSDGsに関する取り組みに力を入れる必要があると考えております。しかも、このSDGsは全部局にかかわることで、まさに、全庁で取り組み、それらの取りまとめとなり、幅ひろく全庁を見渡す司令塔になるわけで、それだけに現在の兼務体制ではなく専任の課長と組織を整備いたします。
次に、「SDGs特命大使」に期待されている役割についてのご質問にお答えいたします。
本区が消滅可能性都市を克服するために掲げた都市構想の推進には「国際アート・カルチャー特命大使」が大きな役割を果たしてまいりました。
昨年度は「オールとしま」の牽引力となり、東アジア文化都市事業を成功へと導き、国際文化都市に向けた大きな一歩を踏み出すことができました。
今年度「SDGs未来都市」に選ばれたことを受け、特命大使幹事会ではこれまでの制度に「SDGs特命大使」を加えることを決議しました。企業、団体、子ども、学生など多様な主体を受け入れる新たな制度は、「誰一人取り残さない」SDGsの理念にも沿うものであります。
「国際アート・カルチャー特命大使」での活動経験を生かし、SDGsについても周知や発信、関連事業への参画など、「SDGs特命大使」一人ひとりが身近なところから取組み、その広がりが「オールとしま」のうねりへと発展していくことに大きな期待を寄せております。
今後も区は特命大使と確かなパートナーシップを築き、このまちで暮らす人、訪れる人すべてが主役となれる持続可能な「国際アート・カルチャー都市」の実現を目指してまいります。
次に、現在中央図書館で実施している、児童向け企画展示を、大人も対象として地域館でも実施すること及び区民ひろば等でも区民に周知できる取り組みを実施することについてのご質問にお答えいたします。
SDGsの取組の区民の皆さまへの普及活動の一環として、中央図書館において、SDGs関連図書の特集展示のほか、児童コーナーで企画展示を行ってきました。今後、巣鴨図書館においても、SDGsの展示を予定しており、他の地域館についても、大人も対象にした企画展示の実施を検討してまいります。
区民ひろばでは、既にSDGsにかかるセミナーを実施しておりますが、今後、区民ひろばやエポック10などでも、図書館と同様の展示を企画したいと考えております。小中学校におきましても、SDGsの理念を反映した授業を推進するとともに、巣鴨北中学校や仰高小学校などでは、校舎内にSDGsのポスターや関連資料を掲示する取り組みを始めております。
私も先日、仰高小学校へお邪魔しました。入った途端、SDGsに対する児童の取り組みがはっきりわかるような、素晴らしいSDGs展示を拝察いたしまして、大変心強く思いました。
また、12月からは、「イケ・サンパーク」において、SDGs未来都市の取り組み第一号となる「ファーマーズ・マーケット」を開催するなど、他の区施設においても、様々な事業の実施や啓発活動を積極的に推進してまいります。
次に、「自律的好循環の形成へ向けた制度構築等」に関して、現在計画している内容についてのご質問にお答えいたします。
自律的好循環に向けた代表例が「自治体SDGsモデル事業」にも選定された「公園を核にしたまちづくり」であります。
今ある資源を生かしながら、4つの公園それぞれの個性を際立たせて活用し、環境にやさしいイケバスで結んでいくことにより賑わいを創出する、まさに豊島区ならではの提案であると考えております。
区が整備した公園を核として、多様な主体とのパートナーシップによる事業を展開し、さらに「オールとしま」での取り組みにつなげることにより、「公民連携によって進化し続ける好循環」を実現してまいります。
池袋周辺の4つの公園では、各公園を中心に組織するエリアマネジメント団体を育成し、公園を巡るIKEBUSのサポーター企業等との連携を進め、まち全体が自律的に活性化していくための持続可能な仕組みの構築を目指してまいります。
次に、SDGs目標達成へ向けての4か月を過ぎた今、私の意気込みについてのご質問にお答えします。
「SDGs未来都市」に選定されて以来、管理職をはじめとした職員研修、区政連絡会による周知、SDGsを分かりやすく説明した特集記事を掲載した「広報としま」の全戸配布などの意識啓発を積極的に行ってまいりました。さらには、「SDGs特命大使」の新設、「SDGs債」の購入、そして第三回区議会定例会において全会一致で採択いただきました「としまSDGs都市宣言」など、着々とSDGsの実現に向けた取り組みを進めているところです。
この度の「SDGs未来都市」の選定は、「国際アート・カルチャー都市」によるまちづくりを、さらに加速させるための通過点であり、これからが正念場です。
豊島区が新たに挑戦するSDGsによるまちづくりを力強く進めるためには、区民の皆さまや事業者の皆さま、町会や商店街などの各団体の理解と協力が不可欠であります。区が中心となって横断的な調整を行うことにより、地域の皆さんが自律的に活動できる環境づくりを進めてまいります。
「SDGs未来都市」の選定をきっかけとして、今、地方との共生事業が大きく動き出しています。世界の共通目標であるSDGsの旗のもと、今、豊島区が結んでいる85の友好都市をはじめとした地方との交流や関係強化を図り、新たな展開を広げていけるよう努めてまいります。
次に、フレイル対策についてのご質問のうち、まず、区民ひろばに設置されたフレイル機器に対する利用者や区民ひろば運営スタッフの意見や感想についてのご質問にお答えいたします。
区民ひろばへのフレイル測定機器の導入につきましては、本年9月に11か所の施設で設置が完了しました。
この間、約2か月が経過しましたが、利用者からは、「自分の身体のことがわかって嬉しい」、「いつでも測定できるので、体を動かすことの励みになる」、「定期的に測定して健康維持に役立てたい」といった声が寄せられています。
また、区民ひろば運営スタッフからは、「利用者と話す機会が増え、ひろばの事業を紹介するきっかけとなっている」、
「フレイル対策について積極的にPRし、区民ひろばの利用者を増やしていきたい」などの感想や意見が寄せられています。
区では、この機器の設置に先立ち、6月からすべての区民ひろばで毎月1回、保健師や管理栄養士、作業療法士、理学療法士等の専門職によるアウトリーチの巡回相談である、「まちの相談室」を実施しています。
この相談室を活用し、単に測定するだけではなく、その測定結果に対し、アドバイス等を行なうことにより、健康への不安解消や意識の向上を図り、健康づくりの推進に努めてまいります。
次に、「本日の8ミッション」冊子を見守り事業などの訪問時に声を掛けながら配付することについてのご質問にお答えいたします。
この冊子は、在宅時の健康な生活を応援するため、自宅で実践できる8つの行動目標を設定したもので、セーフコミュニティの「高齢者の安全対策委員会」の取組みとして、東京都健康長寿医療センターの協力を得て、作成しました。
これまでに、区民ひろばや地域文化創造館等の施設での配布のほか、民生委員や高齢者クラブ、さらには区政連絡会を通じて配布するなど、広く周知を図ってまいりました。
また、高齢者総合相談センターにおいても、すでに相談業務等で活用しているところでございますが、今後は、民生委員や高齢者総合相談センターの見守り事業においても積極的に活用し、家にこもりがちな、まさにフレイル予防対策が必要な方へのアプローチを強化してまいります。
次に、高齢者の口腔機能の保持増進のための高齢者口腔機能健診及び健診後のフォローの実施についてのご質問にお答えいたします。
令和2年4月に改正された「高齢者の医療の確保に関する法律に基づく保健事業の実施等に関する指針」において、高齢者保健事業と介護予防の一体的実施の推進が示され、高齢者保健事業において口腔の健康保持を行うことが求められております。
また、高齢者の歯科健診の実施により、口腔内機能低下のスクリーニングを行ったうえ、保健指導に繋げることは、フレイル予防の観点からも、とても有効であります。
したがいまして、今後、可能な限り早期に、高齢者の歯科健診事業が実施できるよう、豊島区歯科医師会と協議を進めてまいります。
健診後のフォローにつきましては、健診の際に、口腔機能の状態に応じて、医療の紹介や保健指導を行うことを周知するとともに、個別通知でご案内することを考えております。
フォローの内容につきましては、口腔機能の低下をリスクごとに分類して取り組むことを想定しております。
具体的には、リスクが低い方に対しては、区民ひろば等の施設において、集団での歯科講習会などを新たに実施すること、また、リスクの高い方に対しては、新たに歯科衛生士を配置するなど「まちの相談室」の相談体制を充実強化したうえ、個別相談を実施し、その後も定期的な確認を行っていきたいと考えております。
これまで区では、高齢者に対し、歯周病健診を実施していましたが、歯科健診及び健診後の積極的な保健指導体制まで組み込んだ新たな健診は、特別区においても例のない取組みとなります。
こうした取組みを通じて、高齢者の口腔機能の保持増進を図り、積極的にフレイル予防を推進してまいります。
なお、私からの答弁は以上ですが、その他の質問につきましては、両副区長から、教育委員会の所管に属する事項につきましては、教育長から答弁申し上げます。
住まいと暮らしを確保する居住支援の強化についてのご質問のうち、まず、住宅セーフティネット制度の家賃低廉化制度による支援で自立を促していくという仕組みづくりに積極的に取り組むことについてのご質問にお答えいたします。
区は、令和元年度より住宅セーフティネット制度を活用し、住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅の確保に努めてまいりました。しかし、住宅オーナーへの周知や理解が十分に進まないことから、現在5戸の登録に留まっており、改善の必要を強く感じております。
そこで今年度は、オーナーに対する家賃低廉化補助の拡充に加え、住宅改修費や少額短期保険料の補助など、経済的支援を強化いたしました。
今後も、住宅セーフティネット制度の普及に向け、福祉施策との連携を強化しつつ、住宅オーナーの不安を少しでも払拭できる効果的な制度の運用に取り組んでまいります。
次に、家賃低廉化制度に関し、本区に1年以上在住という制限を撤廃し、補助金額や期間も国に応じた制度とすることについてのご質問にお答えいたします。
居住要件の認定につきましては、区営住宅の1年、高齢者向け福祉住宅の5年などを参考にしつつ、現在区内にお住いの皆さまを優先する趣旨から、「1年以上在住」との要件を設定したものでございます。
23区の中で、この制度を運用しているのは、現在、本区以外に3区ございますが、本区と同様に居住要件を1年としている区が2区、3年としているのが1区となっています。
一方、居住要件のハードルが高いとのご意見もうかがっておりますので、制度本来の趣旨や他自治体の動向も確認しながら、利用者の立場に立った、居住要件の見直しを検討してまいります。
また、家賃低廉化補助につきましては、昨年度のスタート時に月額15,000円だったものを、今年度から月額30,000円に増額しております。
さらなる増額につきましは、今後の登録状況を見ながら、引き続き検討してまいります。
次に、福祉と住宅の関係部署でプロジェクトチームを設置し、低廉な家賃で入居できる住まいの開拓や入居にかかわるマッチング等を進める居住支援法人やNPO等の活動状況の情報共有を進めることについてのご質問にお答えいたします。
現在、住宅課と保健福祉部において連携しながら、高齢者等の入居支援のあり方の研究や民間活動団体に関する情報共有を進めております。
住宅政策、住まいの政策についても、SDGsの観点に立ち、目指す目標から組織の壁をこえて、サービス向上に取り組む必要があると考えております。
今後は、子ども家庭部など関連部局をさらに拡大し、効果的な入居支援につながるよう、住まいの相談に関する組織のあり方も含め、検討を重ねてまいります。
また、豊島区居住支援協議会のネットワークを積極的に活用しながら、居住支援の取り組みを充実させ、協議会構成団体間の情報共有をさらに深めてまいります。
次に、先駆的な取り組みをされている団体と連携しながら、全国のモデルとなるような積極的な取り組みを実施することについてのご質問にお答えいたします。
「としま・まちごと福祉支援プロジェクト」は、孤立と貧困の問題を解決するため、「住まい」を確保し、居場所となる「交流拠点」を整備することにより、地域でまるごと支えあうことができる優れた取組みであると認識しております。
現在、南池袋の交流拠点では、「スマホ・パソコン講座」「麻雀カフェ」「健康講座」など日替わりでプログラムを用意し、高齢者などの集いの場にもなっています。
さらには、介護予防・日常生活支援総合事業にもチャレンジするなど、その活動は非常に幅広く、地域社会を支える新たな担い手であると考えておりますので、今後も、積極的に連携を図ってまいります。
次に、高松地区の浸水対策についてのご質問のうち、区及び都の浸水対策への取組状況並びに止水版への設置助成についてのご質問にお答えいたします。
高松地区では、平成30年9月の集中豪雨による床上浸水被害もあり、地域の皆様のご不安は大きなものがあると考えています。
昨年1月、下水道局では、下水本管に集まった雨水が下流側にスムーズに流れるよう、マンホールの改良工事を行い、応急的な対応を実施いたしました。
しかし、将来に向けて浸水被害を解決するためには、降雨量75ミリ対応の下水道施設の整備が必須であると考えていますので、今後も引き続き、東京都に対して粘り強く、施設整備を要請してまいります。
また、止水板の設置に対する助成制度については、地域の皆様のご要望や具体的なニーズ等について改めて情報収集を行うとともに、他区における補助制度や補助実績等も参考にしながら、検討を進めてまいります。
次に、都と連携し、高松地区の浸水対策へ取り組むことについてのご質問にお答えいたします。
豊島区では、「特別区下水道事業促進連絡会」での活動を通じて、高松一丁目・二丁目における下水道施設の早期改善を東京都に要望してきました。
その甲斐もあって、下水道局は、今年の7月から9月にかけて高松地区の現地調査を実施し、現在は雨水流出のシミュレーション解析を行いながら、浸水被害の原因を特定する作業を進めているとうかがっております。
下水道局からは、今年度末までに対策案を策定する予定と聞いておりますので、区としても引き続き降雨量データを提供する等の協力を行い、浸水対策の早期実現に努めてまいります。
次に、「お悔み案内コーナー」設置の進捗状況についてのご質問のうち、まず、「お悔み案内コーナー」設置に関する検討状況についてのご質問にお答えいたします。
昨年、辻議員からご提案をいただいた後、糸島市をはじめ複数の自治体の事例や、今年5月に国から示された「おくやみコーナー設置ガイドライン」などを踏まえ、関係課による検討チームをつくって、利用者の視点、ICTの活用、コスト面など、さまざまな角度から検討を進めてまいりました。
その結果、比較的簡易なシステムにより、手続き一覧の作成と申請書作成補助のサービスを提供できる、「糸島方式」を基本として、仕組みづくりを進めることにいたしました。
現在、具体的な運用を想定し、関係課との詰めの調整を行っており、来年度の早い時期に、糸島市に並ぶ、糸島市に負けない、利便性の高いコーナーを開設すべく準備を進めてまいります。
次に、「手続き確認シート」を「おくやみハンドブック」として「おくやみ案内コーナー」の利用促進を含む内容に改善することについてのご質問にお答えいたします。
ご指摘のハンドブックは、おくやみ手続きの最初にご遺族が手にされ、その後続く手続きの道しるべとなる大切なものです。「お悔み案内コーナー」と併せて導入することでサービスの効果が格段に高まると考えますので、「おくやみハンドブック」を作成し、ご遺族が安心して手続きできる便利な窓口を目指してまいります。
私からの答弁は以上でございます。
住まいと暮らしを確保する居住支援の強化についてのご質問のうち、まず、住居確保給付金の申請件数及び支給決定件数並びに前年度からの増加についてのご質問にお答えいたします。
住居確保給付金は、離職又は廃業してから2年以内の方を対象に家賃補助する制度で、昨年度の支給決定は17件でした。今年度に入り、新型コロナウイルス感染症の影響によって給与等が減少した方も対象に含まれることになったため、10月までの支給決定件数は、1,317件に上っており、約80倍の増加となっております。
次に、コロナ禍で住居確保給付金の対象となった方々が、給付終了後に住まいを失わないようにするために、本人や家族のニーズや状況に応じたきめ細かな支援を行うことについてのご質問にお答えいたします。
住居確保給付金の支給期間は原則3か月、最長で9か月であり、12月以降、収入が回復しないまま支給期間が終了となる方が想定されることから、現在、国において支給期間の延長が検討されていると聞いております。給付金を申請された方が、支給期間終了後に住居を失わないようにすることは、極めて重要であり、国の動向を注視してまいります。
受給者の中には、住宅問題を背景に、様々な問題を抱えている場合があり、生活面も含め、総合的に支援していく必要があると考えております。
本区では、生活に困窮する方の相談窓口として、くらし・しごと相談支援センターを設置しており、専門相談員が相談者の困り事を丁寧に聞き取り、その方に最も良いと思われる支援プランをご案内しています。
具体的には、生活資金の制度紹介をはじめ、例えば、就労支援においては、採用側となる事業者の理解をいただきながら、相談者の就労条件に合った個別の求人開拓を行うほか、暮らしの再建に向けた支出の見直しに関するアドバイスなどを行っており、今後も、それぞれの相談者に寄り添いながら、支援を実施してまいります。
次に、居住支援の強化の観点から、「生活困窮者への住まい確保・定着支援事業」に取り組むことについてのご質問にお答えいたします。
居住支援法人等が生活困窮者支援の窓口と連携しながら、アパート等への入居支援・定着支援を行う事業と類似の取り組みといたしまして、現在、生活困窮で住居がない方に対し、くらし・しごと相談支援センターにおいて、自立支援センターである豊島寮や東京都が実施しているTOKYOチャレンジネットを紹介し、就労支援とともに住居の支援を行っております。
また、昨年12月に、居住支援法人を含めた3法人と包括協定を締結し、見守り等居住支援サービスを利用する高齢者などの住宅確保を推進する取り組みを開始しました。
生活困窮者の住居確保は、安定した生活を送るための重要な第一歩となります。そのため、今後、住宅を含む関係部署はじめ、居住支援協議会や居住支援法人と緊密に連携を図るとともに、お話しの補助事業等の活用についても検討し、より一層、居住支援の強化を図ってまいります。
次に、SDGs未来都市として、重層的支援体制整備事業に速やかに取り組むことについてのご質問にお答えいたします。
国が創設した重層的支援体制整備事業は、高齢者、障害者、子どもなどの属性に関わらず、お声を受け止める「断らない」相談支援、多様な社会参加に向けた支援、そして、地域づくりに向けた支援の3つの機能を一体的に実施する自治体に対し、交付金を支出するものです。
本区においては、相談窓口をわかりやすくするため、新庁舎への移転を機に、4階を福祉総合フロアにし、関係各課が連携しながらワンストップで対応する体制を構築しており、国が目指す「断らない相談窓口」として実践しております。
近年では、少子高齢化や単身世帯の増加を背景として、いわゆる8050問題や、虐待、貧困など、既存の組織単独では対応が困難な複合的な課題を抱える相談が増加しております。
このような相談に対応するため、今年度から関係各課の担当係長を自立促進担当課長の下に福祉包括化推進員として兼務発令のうえ配置し、高齢、障害、子ども、生活困窮など分野を横断してワンチームで課題解決を図っていく取り組みを開始しました。この支援体制は、SDGsの誰ひとり取り残さない理念に合致するものであり、先月末に厚生労働省の社会・援護局長が本区を視察された際にも高い評価をいただいております。
このように、断らない相談窓口や福祉包括化推進員の取り組みは、重層的支援体制整備事業の要件を満たしていると考えておりますので、速やかに申請準備を進め、支援の更なる充実を図ってまいります。
私からの答弁は以上でございます。
引き続きまして、教育委員会の所属に属する事項に関するご質問に対しまして、お答え申し上げます。
GIGAスクール構想の推進についてのご質問のうち、まず、児童生徒と同機種のタブレットを早期に教員に支給する必要性についてのご質問にお答えいたします。
本区では、平成31年3月までに、既に児童生徒3人に1台の学習用タブレット3,712台を学校に配備しておりましたが、これは、5年間のリース契約で導入したもので、まだ約3年の期間が残っております。そのため、児童生徒には1人一台の新規タブレットをできるだけ早く貸与する一方、教員用については、既存のタブレットを有効活用することといたしたわけでございます。
約2か月が経ち、教員研修や、授業開発といった研究を積み重ねながら、学校ではICTを活用した授業が始まり、子供たちから「タブレットを使った授業は楽しい」「勉強がわかりやすくなった」との声を聞いております。大変力強い後押しを頂き、本区はいち早く子供たちにタブレットを配付することができ、GIGAスクール構想に基づいた教育へ良いスタートを切ることができましたが、この先は、教員がタブレットを十分に使いこなし、活用できるかにかかっております。
学校と教育委員会が共同で設置したプロジェクトチームにおいても、児童生徒用タブレットと既存のタブレットのオペレーティングシステムが異なることなどから、教員が、教材の準備や授業での活用方法を工夫しなければならない状況にあることなど、学校現場に共通している課題として把握をいたしております。
従いまして、まず、12月中に各校2台程度、児童生徒と同じ機種のタブレットを教員用に追加配付するとともに、今後、教員用のタブレットの台数を増やすことで、教員がストレス無く、今以上にタブレットを活用できるようにしてまいります。
次に、教員がデジタル機器を効果的に使用できるとともに働き方改革に逆行しないようICT支援員を増員拡充することについてのご質問にお答えいたします。
全国に先駆けてタブレット1人一台体制が整備されたことにより、授業に効果的に使いこなそうとする本区の教員の意識の高まりを感じており、今こそ、教員のICTの活用技術を格段に向上させる絶好のチャンスでもあると考えております。
教員のICTの活用技術の向上をサポートするICT支援員については、現在、各学校に月4日配置しており、学校の状況に合わせて、基礎的な操作方法や機能についての校内研修や実際の授業での活用支援などを行っております。
しかしながら、ご指摘のように、教員によってタブレットの活用スキルに差があることから、ICT支援員の側から教員に、積極的に働きかけることや、授業での具体的な活用事例の共有化をより効率的に行うことなどが、働き方改革に資するためにも必要となっております。
従いまして、ICTを活用した質の高い教育の実現のため、必要なICT支援員数の拡充についても検討を行ってまいります。
次に、不登校の児童生徒へのICTを活用した学習支援の推進及び希望する児童生徒が自宅等で学習した場合の出席扱い制度の推進についてのご質問にお答えいたします。
まず、不登校の児童生徒へのICTを活用した学習支援につきましては、タブレット配付以来、学校では、タブレットを使った学習支援に意欲的に取り組んでおります。
例えば、友達との関係づくりが苦手な児童が、自宅でタブレットを使って学習し、オンラインで担任から個別指導を受けたりしたことから、現在、週3日程度、登校するようになった例がございます。また、年間を通じて数日のみの登校だった生徒が、タブレット配付をきっかけに、時々午後に登校して友達と関われるようになった例もございます。
さらに、教育センターの適応指導教室においても、担任が教員専用の管理画面から、児童生徒の学習状況を確認できるため、一人一人の学習への意欲を高める指導に役立てております。
今後も、学校と教育委員会が一体となって、不登校児童生徒への有効な学習支援ツールとして、タブレットの活用を推進してまいります。
次に、児童生徒が自宅等で学習した場合の出席扱い制度についてお答えいたします。
学校では、不登校になっている児童生徒一人一人に「登校支援シート」を作成いたしますが、このシートに、自宅や教育センター等において取り組む学習計画や、実際に取り組んだ内容を記録し、評価しております。
出席扱いを判断する際には、この「登校支援シート」の内容の他、当該児童生徒及び保護者との対面による面談等を通じて、義務教育に相当する教育であるかの確認と評価を適切に行うことが必要となります。
教育委員会といたしましては、不登校児童生徒が自宅等でICTを活用した学習に取り組んだ内容についても積極的に評価した上で、出席扱いを適切に校長が判断するよう指導してまいります。
次に、デジタル教科書導入の検討状況についてのご質問にお答えいたします。
平成31年4月に「学校教育法等の一部を改正する法律」等が施行されまして、従来の紙の教科書を主たる教材として使用しながらも、必要に応じて学習者用デジタル教科書を併用することができるようになりました。
学習者用デジタル教科書は、タブレットを効率的に使用した学習教材であるとともに、特別な配慮を必要とする児童生徒等の学習への困り感を低減する有効な教材であると、考えております。今後も、国の「デジタル教科書の今後の在り方等に関する検討会議」などの動向を注視しながら、積極的に導入の検討をしてまいります。
以上をもちまして、辻薫議員のご質問に対する答弁を終わります。