令和2年2月18日

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令和2年 第一回定例会 一般質問「豊島区の未来に向けて」

公明党  西山 陽介
令和2年2月18日登壇

私は公明党区議団を代表して、「豊島区の未来に向けて」と題し、1.令和2年度予算案について、2.高齢社会への対策について、3.社会的養育の推進について、4.掲示板の在り方について一般質問をさせていただきます。

2020年代の幕開けとなる本年は、豊島区の未来を開く重要な一年のスタートとなります。誰もが安心して暮らしつづけられるまちの実現に向け、子どもも子育ても、高齢者にもやさしいまちの構築のため、公明党は誰一人として取り残すことのない、持続可能な安全・安心都市として、これからも地域に根差して、豊島区の未来に向けて力を注ぎたいと決意しております。

冒頭に、中国湖北省を中心に感染拡大している新型コロナウイルスによる肺炎について、世界保健機関は1月30日夜、「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に当たると宣言しました。これを受け政府は2月1日付で感染症法の「指定感染症」とすることを決めました。これにより感染拡大防止へ入国拒否や強制入院などの措置を講じられるようになっています。

本区においては1月30日に、いち早く「新型コロナウイルス関連肺炎に関する危機管理対策本部」を立ち上げ、情報収集、情報発信、保健所の専用電話相談設置、窓口へ手指消毒剤配置など、迅速に全庁的に取り組んでおられることに深く感謝申し上げます。

先般、我が会派として高野区長に対し、「国、東京都、医療専門機関との連携を密にし、ホームページやSNSなどあらゆる情報発信ツールを活用してリアルタイムの情報提供」、「中国籍の子どもが、保育園、幼稚園、小中学校に通う児童生徒への差別、誤解を生じないように、全児童生徒はもとより、全保護者に対しても正確な情報を提供して冷静な行動を徹底」、「保育園、幼稚園、小中学校で特に手洗いの励行を徹底」、「外国人に対しても正確な情報提供できるように取り組む事」を要望させていただきました。

国内にも感染者が出ている状況を踏まえ、心配がある人が相談できる体制の整備にも万全を尽くしていただきたいと思います。

はじめに令和2年度予算案の観点から今後の行財政運営について質問します。

高野区長は昨年第二回定例会招集挨拶の中で、「予算編成時にあっては、事業の新規・拡充のみの提案にとどまることなく、既存事業の見直しをセットで提案することで、事業の新陳代謝を進め、予算や組織の膨張抑制を図る」。また、「予算執行時にあっては、より効率的・効果的な執行に努めるとともに、事業予算の執行残や契約落差金などを、安易に他事業へ流転用することのないよう、監視の強化を図る」。さらに、「事業の執行後には、行政評価を行い、各事業における成果や施策における貢献度を評価して、今後は、この評価結果が事業の継続や見直し、廃止などの政策判断に連動するよう、行政サービスの品質管理とマネジメントサイクルの強化を図っていく」と述べられました。

このことを前提として、過去最大規模となった元年度予算に比べ、2年度予算は、14.4%の減となる1,282億93百万円となりました。この点について区長は、「多額の予算を伴う投資事業を連続して実施することなく、将来の財政運営に負担が生じないよう、投資的経費を計画的に縮小させたことによるもの」と説明しておられました。

2年度予算の縮減額は、215億45百万円もの規模になるわけですが、昨年述べられた「事業の新陳代謝」「予算執行時の監視の強化」「行政評価による行政サービスの品質管理とマネジメントサイクルの強化」これらが、どのように2年度予算案に反映されているのかお聞かせください。

次に、「としま新時代」を展開する戦略的な予算について伺います。

2年度予算は、「100年に一度の大変革」と位置付けた元年度の集中投資を踏まえ、それらの投資成果を結実するメリハリのある予算として編成していることが予算の特徴のひとつになっております。

昨年の東アジア文化都市への挑戦を成功裏に収め、いよいよの東京2020大会の開幕など、本区が目指す国際アート・カルチャー都市への道筋は、より確かなものになっていることを実感しております。また、池袋を中心としたまちづくりが区の内外から、かつてない規模で注目されており、「まちが変わった。元気になった」という区民の声を私自身も良く耳にするところです。

2年度予算は、「共働き・子育てしやすいまち」「高齢者にやさしいまち」といった区民生活の基盤に軸足を置いた施策を積極的に展開し、「としま新時代」を切り拓く予算であることがもうひとつの特徴となっております。

快適で安全・安心な公共空間の整備を進めた元年度から、2年度は、そこに住まう「人」が主役となるまちづくりへとステージが移るのだと考えているところですが、「人」への投資、とりわけ、待機児童対策に関する予算は、前年度と比べてどのように推移しているのかお聞かせください。

もうひとつの予算の特徴に、「7年連続で財政調整基金の取り崩しを行わない健全な予算」があります。住民生活に最も身近である特別区は、さまざまな行政課題を抱えており、安定かつ充実した行政サービスの提供には、財源の確保が欠かせないことは言うまでもありません。

そのような中、特別区財政調整交付金の財源配分が13年ぶりに見直され、来年度より0.1ポイント増の55.1%に見直されます。しかしながら、国による不合理な税制改正の影響は年々拡大し、厳しい財政運営を強いられていることは、区議会や区の広報などでも常々、伺っているところです。

ちょうど、昨年の第一回定例会でも我が党の辻議員より、影響額についてお聞きした経緯があります。この不合理な税制改正による影響は、昨年と比べて、どのように推移しているのか、また財政調整交付金財源配分の見直しは、財政運営に好影響をもたらすのか、これら今後の対応についてお聞かせください。

2番目に高齢社会への対策について質問します。

今定例会初日、高野区長の所信表明での4つの柱のうち、「日本一高齢者にやさしいまちづくり」を掲げられました。その対策として、社会的孤立ゼロ、100歳健康、ひとり暮らしでも安心の3つを推進していくとしています。

高齢者数がピークを迎える「2040年問題」を考えるうえで、世界に類を見ない急速な少子高齢化が進む日本社会の前途には、二つの大きな“山”が立ちはだかっています。一つは、約560万人に上るとされる団塊の世代全員が75歳以上になる2025年であり、もう一つが高齢者人口のピークとされる2040年と言われております。

現在、進められている全世代型社会保障とは、必要な人に必要な支援が行き渡り、誰も置き去りにしない共生社会であり、我が党がめざす大衆福祉は、「最大多数の最大幸福」ではなく、「全民衆の最大幸福」と考えます。幸福の定義は人それぞれですが、各人が思い描く幸福を最大限に追求できる社会こそ、我が党がめざす大衆福祉社会であり、「個人の幸福」と「社会の繁栄」の一致を志向するものであります。

2040年の推定人口は1億1000万人程度で、うち高齢者人口が約4000万人を占め、現役世代1・5人で1人の高齢者を支えることになるとされています。現役世代を「支える側」、高齢世代を「支えられる側」とした場合、戦後の両者の関係は、よく「胴上げから騎馬戦、そして肩車」に例えられる。これに倣えば、2040年の日本は現役世代1人が高齢者1人を支える“肩車社会”に迫る状態となります。

世代間の不均衡が極限に達する社会について、ある識者は「肩車」ではなく、「重量挙げ」に例える。スポーツとしての重量挙げであれば、バーベルを頭上に持ち上げる時間はわずか数秒間でいいが、“重量挙げ社会”においては、現役世代が高齢世代を永続的に支えなければならず、それは不可能に近いと指摘しています。40年問題は、従来の「支える側」と「支えられる側」という二分法を前提とした社会保障制度の限界を突き付けているものと言えます。

今後増加する死亡者の大部分を85歳以上が占め、終末期ケアの需要が急増し、加えて高齢化の地域的な偏在、つまり都市部での高齢者の急増は、我が豊島区でも例外ではないと考えられます。

この超高齢社会を見据えた改革を行っていく上で、大衆福祉を具体化する政策指標として、①真に支援が必要な「弱者」の把握、②「孤立・孤独」の防止、③「個人」に軸足を置いた制度設計の三つの視点を反映させるべきと考えます。

一方、人と人の関係が希薄化する「無縁社会」も広がっていて、身寄りのない単身高齢者の社会的孤立にとどまらず、孤独な育児と書く「孤育て」に悩む母親、SNSで多くの人とつながっているのに孤独を感じるという「つながり孤独」の若者など、孤立・孤独が世代を超え、まん延しているように思えます。

社会的な孤立や閉じこもり傾向は、健康寿命にも悪影響を与えることが伺えます。

東京都健康長寿医療センター研究所の研究結果によると、日常生活に問題がなくても、他人との交流機会が少なく外出もあまりしない高齢者は、そうでない人に比べ、6年後の死亡リスクが2・2倍になると2018年発表し、いまや孤立・孤独の問題は先進諸国の医療問題となり、経済にも大きな打撃を与えます。

英国では、孤独による経済全体の損失が年間320億ポンド(約4・5兆円)に上るとの調査がなされ、18年1月には「孤独担当大臣」を置き、国を挙げた対策に乗り出していると聞きました。

そこで本区において今後の高齢社会対策として、この社会的孤立ゼロをどのように実現していくのか、ご所見をお聞かせください。

次にフレイル対策の今後の展開について質問します。

人生100年時代を見据えると、健康寿命の延伸が大きな課題です。そのために特に力強く進めるべきは介護予防・健康づくりです。

その重要な役割を担うのが、高齢者が地域で集まり運動や会食、趣味などを楽しむ「通いの場」です。公明党は2年前の代表質問で、その拡充を訴えました。当時、全国に7万カ所程度だった通いの場は、現在10万カ所を超え着実に増加しています。

今後は、通いの場をより魅力的なものにするとともに、地域づくりと重なる部分も多い、「通いの場」の取り組みを、他の地域支援事業とも連携して効果的に実施し、地域包括ケアシステムの深化・推進を図るべきと考えます。

区議団としても大いに推進してきたフレイル対策、昨年5月に全国初となる東池袋フレイル対策センターは内外共に注目され、多くの区民の利用と共に、全国自治体からの視察も続いていると聞いております。このフレイル予防の拠点を、区民ひろばに拡げていくとのことであり、健康寿命の延伸や他世代間交流にもつながるものと大いに期待するところであります。

ところで厚労省は来年度からフレイル健診を実施するとしています。厚労省が作成した質問票を、市区町村の健診や、かかりつけ医での受診の際に活用すると聞いております。フレイルは、早い時期にその兆候を見つけ、適切な治療や予防に取り組むことにより、健康な状態に戻すことができるということを、健診実施を周知する中で、フレイルに対する区民の関心を高めていく必要があると思います。

質問票は「1日3食きちんと食べているか」、「この1年間に転んだことがあるか」、「週に1回以上は外出しているか」、「家族や友人と付き合いがあるか」など15の問いで構成されていて、「栄養」「運動」「社会参加」の3点がフレイル予防に欠かせないという視点で構成されています。

大切なのは健診後の取り組みです。保健師や管理栄養士などによる適切な個人指導を充実させることが重要であり、健康に対する意識を高め日常生活を見直すことで、体力の維持や積極的な社会参加のきっかけにしていくことが期待されます。

このフレイル健診への取り組みについてご見解をお聞かせください。

次に高齢者の孤食を防ぐ「おとな食堂」について質問します。

対策センターでは、地域の方々のご協力やジャンプ東池袋の皆さんにも参画していただき、「おとな食堂」が毎週展開されており、利用者から大好評を得ています。

東京都は2030年度までに、おとな食堂を100カ所創設する方針を掲げている中、本区のフレイル対策センターで行われている、おとな食堂は、高齢者の居場所づくりの一環として安価に食事を提供し、地域交流を促す場にもなっています。

その様子は今年1月22日付公明新聞にも取り上げられました。記事を見ますと、この日のメニューは、キャベツのトマト煮とひじきのあえ物。参加者は温かい食事を味わいながら、会話を楽しんでいる。1人暮らしの85歳女性は「一人で食べるよりも、ここに来てみんなとおしゃべりするのがとても楽しみ」と笑顔で語ると。

また、おとな食堂は、各地域に浸透している「子ども食堂」からヒントを得て、家にこもりがちな1人暮らし高齢者の社会参加を促すのが狙いだ。同センターには、中高生の活動拠点もあり、今後、連携した取り組みも予定している。ワーカーズコープの事務局長は、「将来的には多世代との交流拠点になり、支え合いのまちづくりに貢献できれば」と結ばれています。

介護予防の観点からは、高田介護予防センターを中心に各地でとしまる体操が行われ、こちらも継続して参加することにより、身体の調子が良くなった、近所の方とおしゃべりもできると順調に行われています。

フレイル予防には適度な運動と共に、食事のバランスも重要であり、このおとな食堂の展開は外出機会の動機づけにとても有効なことだと思います。

是非、フレイル予防の拠点を区民ひろばに展開した際は、おとな食堂での、「食べに行く楽しみ」ということも、各区民ひろばに位置付けられるよう検討していただきたいと考えますが、お考えをお聞かせください。

先月は私も多くの新年会にお招きいただきましたが、高年齢の方が多い会は、どちらかというと女性の参加が多いように感じます。男性は定年退職を機に社会から離れてしまうことが多いとも聞きますが、社会参加や健康増進に男女の区別はありません。これから高齢期を迎えるプレシニア世代への働きかけが重要と考えますが、ご見解をお聞かせください。

この項目の最後に、豊島区が目指す高齢社会の姿について質問します。

昨年10月、政府の地方制度調査会の答申で、市町村の首長、議会、住民が「どのような未来を実現したいのか議論を重ね、ビジョンを共有していくことが重要」とありました。持続可能な発展都市として、国際アート・カルチャー都市の構築を前進させている豊島区は、どのような未来になっていくのか、これは議会にも問われていることでもあります。

その一端として、本区の高齢社会を見据え、本格的な健康寿命の延伸を果たしていくうえで、総合高齢社会対策の理念をはじめ、認知症対策を盛り込むなど、広く区民とともに少子高齢化への挑戦に対し、応戦していくためにも条例制定を検討すべきと考えます。あわせて、本区が目指す高齢社会の姿について区長のご所見をお聞かせください。

3項目目として、豊島区における社会的養育の推進について質問します。

2016年5月の児童福祉法改正を受けて、特別区においても児童相談所が設置できるようになりました。豊島区は2022年度中の児童相談所開設に向けて計画的に準備を進めております。

昨今の児童虐待事案において、児童相談所の判断ミスや関係機関との連携不足から、救えるはずの尊い命が失われる事態を重く受け止め、国は児童虐待防止対策の強化に向けて様々な対応策を講じてきました。

2019年6月に制定された児童福祉法等の一部改正では、親権者や児童福祉施設の施設長たちが「しつけ」として行う体罰を禁止し、子どもの権利を守るほか、児童相談所の体制強化を図るため、児童福祉司を増員し、また、被虐待児を一時的に保護する「介入」と保護者を「支援」する職員に分ける体制の確保や、医師や保健師の配置などの必要性が示されています。

しかし、日常の子育てでは、子どものかんしゃくや反抗、大泣きなど、どう対処してよいか分からないことも生じる。具体的な子育て方法を習得したり、助言を得たりしやすい環境の整備とともに、地域の子育て支援体制の整備・拡充も不可欠であります。

来年度より、世田谷区、荒川区、江戸川区の3区が設置する特別区の児童相談所が始動します。東京都の広域的な児童相談体制とは異なり、特別区の特色である地域に根差したきめ細やかな相談対応を通じて、新たな児童相談体制が構築されるものと期待しています。

児童相談所の開設に向けて、保護児童の生活圏を保障する社会的養育の基盤整備は、子どもの成長と自立を促進するうえで重要な取り組みです。

「社会的養育」とは、「保護者のいない児童や保護者に監護させることが適当でない児童を公的責任で社会的に養育、保護し、養育に大きな困難を抱える家族支援を行う」など、子どもの最善の利益を保障する仕組みであると考えています。

社会的養育の体系は、国や文化により異なりますが、わが国においては、里親、ファミリーホームといった子どもを家庭環境の中で養育する「家庭養育」と、乳児院や児童養護施設などの児童福祉施設で養育する「施設養育」に大別されます。

わが国において、社会的養育のもとにある子どもたちは2018年3月末時点で、約45,000人いると言われています。その内、施設入所児童は約38,000人となっており、施設養育が大半(約85%)を占め、家庭養育の割合は約15%にとどまるなど、欧米に比べて「施設偏重」の傾向にあります。

一方、2013年2月時点の児童養護施設入所児童等の調査結果では、里親に委託されている児童うち約3割、乳児院に入所している児童のうち約4割、児童養護施設に入所している児童のうち約6割が虐待を理由に施設養育を受けており、また、社会的養育を必要とする児童の傾向として、障がい等のある児童が急増し、児童養護施設における障がいのある児童の割合は28.5%となっています。

目黒区では、児童虐待防止に向けた地域社会の取り組みとして、都内のNPO法人が提唱する「3つのアクション」の普及・啓発に取り組んでいます。この3つのアクションとは、①地域全体で子育てに取り組むという意識を持つ、②子どもに笑顔で声を掛け、温かく見守る、③児童相談所への全国共通ダイヤル「189」(いち早く)を活用するというもので、いずれも、すぐに取り組めるのが特徴で、近隣から孤立し、虐待が起きるリスクの高い家庭をなくしていく目的もあります。

社会的養育の推進にあたっては、孤立した子育てが虐待につながらないよう、市区町村の体制強化も極めて重要です。児童虐待の増加に伴う、児童虐待防止対策の一層の強化を図るとともに、虐待を受けた子どもの心理的なケアや障がいを抱える児童への適切な支援等をきめ細かく行うことが必要となっており、今後ますます、社会的養育の質と量の拡充が強く求められるものと考えます。

はじめに本区の社会的養育のもとで生活する児童の現状と、社会的養育に関わる取り組みについてお聞かせください。

2016年5月の児童福祉法改正を受けて、新たな社会的養育のあり方を示す「新しい社会的養育ビジョン」が策定されています。ビジョンでは、子どもの権利が主体であること、実親による養育が不可能であれば、里親家庭や特別養子縁組などで養育されるよう、家庭養育の理念が規定され、施設中心の「施設養育」から「家庭養育」への転換の必要性が明確にされたことで、社会的養育のもとで生活するすべての子どもの権利保障がこれまで以上に進むものと期待しています。

このような中、我が党の夫馬議員は、2015年第四回定例会で、子どもの健やかな成長と幸福のために里親制度事業の推進を訴えてきたところであります。

一方、東京都では「社会的養育推進計画」案が公表され、里親などに委託される割合を2018年度末の14.3%から、2029年度には37.4%とする目標が設定されました。本区においても更なる家庭養育の推進が求められます。

近年、児童虐待通告の件数が急増していますが、在宅での支援が必要な子どもが大幅に増えていると聞きます。児相の対応で、保護に至る事例は数%程度のようです。在宅支援は、市町村が要保護児童対策地域協議会(要対協)を活用してチームで行うことが求められており、地域の関係機関でつくる要対協は本区においても設置されていますが、実効性を更に向上させることが必要と考えます。今後の要対協の更なる充実、体制強化についてご見解を伺います。

しかし、これに寄りがたい事情になる児童については、施設を利用し、できるかぎり家庭的な養育の提供を行うことも示されています。

そこで、本区においては、「施設養育」と「家庭養育」の役割や位置づけをどのように整理し、社会的養育を推進されていくのか、区のお考えをお聞かせください。

今後、児童相談所が開設されることで、これまで以上に、子どもやその家庭に寄り添い、迅速かつ的確な相談対応等を行っていくことになると考えます。こうしたなかで、社会的養育が果たす役割はとても重要になると認識しています。本区には、児童養護施設や乳児院などが設置されておりません。

子どもを社会的に養育するうえで、児童養護施設等の整備は重要な取り組みであると認識しております。区としての「施設養育」に対する考えをお聞かせください。

これまで子どもの権利、またその仕組みの構築まで矢継ぎ早に、多分野にわたり法や指針に位置付けられてきました。これはいじめや虐待の問題を家庭の問題や学校の指導上の問題として捉えるのではなく、何よりも子どもの権利の問題として国も地方も捉えなおしていかなくては解決しないとの表れではないでしょうか。

本区では他自治体に先駆けて、子どもの権利に関する条例が制定されて以来、紆余曲折を経て、子どもの権利を守る体制を築き上げてきました。今こそ、区として関係する部署や機関を始め区民と共にその思いを一つにして、健やかな成長を願う豊島区を目指し、その具体的な道筋を明らかにすべきではないでしょうか。

そこで、子ども支援、子育て支援、保育・教育、母子保健、児童相談所、社会的養育、要保護児童対策協議会などを含めた「子どもの最善の利益」を保障する全体構想(グランドデザイン)として、「豊島区子ども・若者総合計画」が間もなく策定されることと思いますが、この計画が目指す基本的な考え方をお示しください。

 

最後の項目として掲示板の在り方について質問します。

区内の公共掲示板は主に2種類あります。1つは広報課管理の広報掲示板、もう1つは町会掲示板で、こちらは区民活動推進課が設置などに対し補助事業を行っています。

広報掲示板は令和2年1月末現在381基、町会掲示板の基数は今後調査するとのことですが、令和元年12月現在町会掲示板への掲示枚数は1402枚とされています。

広報掲示板の381基の内、約51%にあたる193基はNPOによる維持管理を区と協定を締結して、協定期間は令和7年度末まであります。

このNPOによる協定の概要は、広報掲示板に設けられた広告スペースの収入により、掲示板の設置、維持管理を行い、所有権はNPOに帰属しています。

平成18年度から20年度の3年間で、従来の掲示板の建替及び新設を合わせて400基設置する予定でしたが、思うように広告がとれず、NPOが資金難に陥ったことから、平成21年度に協定を見直し、NPOが維持管理を行う掲示板は200基を上限とし、残りは区が管理することとなりました。

私の地元町会にはNPO管理掲示板が3基ありますが、いずれも広告の掲載はありません。はじめにこのNPO管理の広告掲載は現状どのようになっていて、あわせて区の事業評価及び今後の展望をお聞かせください。

もとより広報掲示板に掲示できる掲示物は、区政に関するものをはじめ、国や都行政、区が共催・後援するものとし、加えて地域コミュニティの交流促進と公共的活動に関するものです。

このことを踏まえて、地元町会には町会掲示板が2基しかなく、広報掲示板7基と合わせて、毎月依頼される行政情報の掲示物を、町会役員が単独で掲出を行っております。

また、区広報掲示板のうち、ステンレス製のほとんどが板面むき出しとなっており、アルミ製も含め扉付きの掲示板は全体の29%しかありません。また、貼付する際は昔ながらの画びょうを抜き差しして、手が痛くなるほどご苦労されています。また、ステンレス製は若干のひさしがあったとしても、風雨にさらされて、掲示物の劣化が早く、本当に見苦しい掲示板に見えてしまいます。

そこで私は板橋区を歩いてみますと、そのほとんどが扉付きで、画びょうではなくマグネットで貼付されていました。ずいぶんと違いがあるなと正直感じました。

そこで伺います。区広報掲示板をすべて扉付きにして、板面をマグネット対応としていただきたい、毎月貼りかえる現場の方の思いに立っていただきたいと思いますが如何でしょうか。

一方、町会掲示板に貼付している掲示枚数は約1,400枚、仮にこれが町会掲示板の基数だとすれば、広報掲示板の実に3.7倍とのことです。それこそ歴史を感じるものもあれば、扉付きのすっきりとしたものもあり、町会それぞれかと思います。

本来は区政連絡会等で依頼される掲示物は、町会掲示板に貼付するものであることは十分認識しておりますが、区広報掲示板まで貼付している町会もあれば、区広報掲示板は全くのノータッチの町会もあります。

池袋は昨年、100年に一度の集中投資により、大きく生まれ変わりました。東京2020大会を機に、多くの来街者がこの豊島区に訪れると思いますが、池袋という限られた範囲だけでなく、区内全域の美観を意識した街づくりにより、街の価値や魅力がさらに向上します。

広報掲示板も町会掲示板も、公共掲示板として広く区民や住民のみなさまに行政情報等をはじめとする公共の情報をお届けするためにも、地域の隅々まで美観を伴うよう、今後の掲示板の在り方、掲示板を利用した広報の在りようについて、ご見解をお聞かせください。

以上で私の一般質問全部を終わります。ご清聴ありがとうございました。

 

【公明党 西山陽介議員 令和2年第1回定例会 一般質問答弁】

ただいまの西山陽介議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。

令和2年度予算案についてのご質問のうち、まず、「事業の新陳代謝」「予算執行時の監視強化」「行政評価による行政サービスの品質管理とマネジメントサイクルの強化」がどのように予算案に反映されているかについてのご質問にお答えいたします。

新規・拡充事業については、原則として、事業開始3年目の一般財源の半分を削減するビルド・アンド・スクラップ方式を適用しており、あらかじめ、スクラップ額を控除した枠配分予算を各部に示しております。これにより、令和2年度予算編成では、約2億円の事業費をスクラップしております。

また、新規・拡充事業の提案の際には、既存事業の見直しやより効果的な執行方法への転換をセットで検討させることで、「事業の新陳代謝」の促進を図っております。

また、「予算執行時の監視強化」については毎年度、課ごとに進行管理を行う事業を選択し、四半期ごとに実施状況の確認を行っております。これにより、事業の進捗状況と予算の執行状況についても把握しております。

さらに、予算流用の申請にあっては、その都度、財政課が内容を査定し、所管課との協議を行い、事業予算の執行残や契約落差金などが安易に流転用されないよう執行管理を徹底しております。

「行政評価によるマネジメントサイクルの強化」では、これまでに、基本計画に沿った施策評価や外部評価の実施のほか、組織目標や予算編成と連動させるなど、実効性のある制度を目指して改善を図ってまいりました。

平成29年度からは、基本計画の進捗管理等を目的とした行政評価と従来からの事務事業評価を組み合わせた二階層による評価を実施しております。また、政策評価委員会による外部評価も実施しており、専門的知見から、内部評価結果の妥当性等についてチェックし、評価の客観性を確保しております。

なお、外部評価では、予算の使われ方、効率性などについても区民の皆さんに公開することで、PDCAサイクルをはじめとするマネジメントの強化につながっていると考えております。

次に、待機児童対策に関する予算の推移についてのご質問にお答えいたします。

本区は、平成26年に23区で唯一消滅可能性都市との指摘を受け、その翌年の27年度から本格的に待機児童対策を開始しました。

この間、私立保育園を令和元年度末には62園に、令和2年度末までには67園に増やし、6年間の累計で49園、園児数にして約2千人分の対策に取組んでまいりました。

これら49園の誘致経費は、予算ベースですが令和元年度10園分で約10億8千万円、令和2年度は6園分で約6億5千万円であり、6年間の累計は約56億6千万円となります。

さらに、これらの園への運営補助に関する経費は、対策を強化する前の平成26年度の予算約20億円と比較すると、令和元年度には、5.2倍の約103億6千万円、そして令和2年度には、5.7倍の約113億3千万円となっています。その累計は約433億1千万円で、その財源は、国や都からの補助が225億円4千万円、一般財源が207億7千万円であります。

これら誘致経費と運営経費をあわせると、6年間で、総額約490億円を投じて対策をすすめてきたことになります。

こうした取り組みにより、平成29年・30年度には待機児童ゼロを達成し、民間事業者による「共働き子育てしやすい街ランキング」で全国総合第1位に選ばれました。さらに、令和2年度も待機児童ゼロを達成する見込みです。

今や本区の待機児童対策は、国内外から高く評価され海外メディアからの取材も増えております。

今後も社会の変化を反映した保育需要の動向をしっかりと見きわめ、保育や子育て環境の質の向上・充実に向け、全力で取り組んでまいります。

次に、不合理な税制改正による影響の推移及び財政調整交付金の財源配分の見直しの影響と今後の対応についてのご質問にお答えいたします。

昨年の第一回定例会では、不合理な税制改正による本区への影響は、法人住民税の一部国税化で約31億円、地方消費税の清算基準の見直しで約16億円、ふるさと納税で約10.8億円、合わせて、約57.8億円の減収が見込まれると申し上げたところです。

消費税率が10%となった昨年10月からは、法人住民税の さらなる国税化が図られたこともあり、これら改正による影響が平準化した際の本区に与える影響は、法人住民税の一部国税化で約40億円、地方消費税の清算基準の見直しで約22億円、ふるさと納税で約16億円と、減収影響は、約78億円に拡大すると見込んでおります。

なお、今年度の都区財政調整協議では、特別区が児童相談所を設置することに伴う特例的な対応として、令和2年度から特別区の配分割合を0.1ポイント増やし、55.1%とすることで決着いたしました。

0.1%、金額にして約18億円という増額は、新たに発生する行政需要に見合った規模ではないなど、区側の主張とは依然として大きな乖離(かいり)があるため、配分割合のあり方については、令和4年度に改めて協議をすることとなっております。

住民生活に最も身近である特別区は、さまざまな行政課題を抱えております。不合理な税制改正に対しては、特別区長会や東京都と緊密に連携し、国に対して強く申し入れを行うとともに、都区財政調整協議の場でも財源の確保を主張することで、安定かつ充実した行政サービスの提供に努めてまいります。

 

次に、高齢社会への対策についてのご質問のうち、まず、社会的孤立ゼロを実現する方策についてのご質問にお答えいたします。

社会的孤立をなくしていくためには、地域における見守りや支え合いを充実させていくとともに、高齢者自身の積極的な外出や社会参加を促進していくことが大変有効であると考えております。

本区には、多世代交流の拠点である「区民ひろば」や図書館、地域文化創造館といった公共施設のほか、民間の商業施設、映画館、スポーツクラブなど、外出先が大変豊富にあります。

本区では、これまで南池袋公園やハレザ池袋、グローバルリング、それらをつなぐIKEBUS(イケバス)など、公園を核としてまちの魅力を向上させ、人の流れを街中に拡げるまちづくりを推進してきました。

これは、国土交通省も注目し、法改正等により推進しようとしている「居心地が良く歩きたくなるまちなか」の創出を、他の地域に先駆けて取り組んできたものです。

さらに、本区では、これらを「文化によるまちづくり」と融合させて進めてきたことが特徴であります。

これがまさしく「外出したくなるまちづくり」、「外出して、様々な人たちと出会い、交流が生まれるまちづくり」として、区民の皆さんの評価をいただけるものと思っております。

そして、本年7月にオープンする「としまみどりの防災公園(イケ・サンパーク)」も、緑の芝生の上でゆっくりとくつろいでいただける新たな憩いの場として、高齢者も含め、多くの皆さんに訪れてもらい、出会って交流していただけるような場になっていくと思っております。

これらの豊富にある外出先を最大限に活用するため、情報が伝わりにくい、高齢者の皆さん向けに、各拠点の魅力や地域活動等の情報発信を強化してまいります。

また、高齢者向けの発行物の文字を大きくするなど、高齢者に伝わりやすく工夫することで、全庁を挙げて、高齢者の外出促進に取り組んでまいります。

さらに、IKEBUS(イケバス)導入を契機に、シルバー人材センターによる清掃チームである「としまシルバースターズ」が活動を開始し、大きな注目を集めております。

こうしたシルバー人材センターの活動を、より充実させていくことも重要であると考えております。

そこで、シルバー人材センターをはじめとする、社会参加と収入確保の両面を支援する意味から、大学や民間企業などとも連携し、ロボット技術の活用による高齢者の就労促進等にも、積極的に取り組んでまいります。

次に、フレイル健診への取り組みについてのご質問にお答えいたします。

フレイル健診につきましては、75歳以上の皆さんの長寿健診の際に、フレイル健診の質問票を用いた問診を令和2年度から盛り込むこととしております。

また、健診を受けていただいた後の対応が大変重要であることから、来年度は、リハビリテーション専門職や栄養士が区民ひろばを巡回する体制を整え、身近な地域でのフレイル対策を推進してまいります。

さらに、より効果的な健診後の対応を図るため、福祉部門・健康部門の関係課長による検討会も先日スタートさせました。

今後、医師会、歯科医師会、薬剤師会をはじめとする医療専門団体とも連携しながら、「100歳健康」の実現に向けて、より充実したフレイル対策に精力的に取り組んでまいります。

次に、フレイル予防の拠点を区民ひろばに展開した際に「おとな食堂」を位置付けることについてのご質問にお答えいたします。

区民ひろばには十分な調理施設がないことから、「東池袋フレイル対策センター」で開催しているような、本格的な「おとな食堂」については、大変、実施が困難であります。

一方で、「おとな食堂」は高齢者が集まって一緒に食事をすることが最大の目的であり、その場での調理が必須なわけではありません。

そうしたことから、職員の体制やスペースの問題等の課題も含め、地域のご意向等も踏まえつつ、区民ひろばでの「おとな食堂」の開催について検討してまいります。

また、子ども食堂を運営する団体等にも、ご協力を求めるなど、地域の中の高齢者の居場所づくり、交流の場づくりに努めてまいります。

次に、プレシニア世代への働き掛けの重要性についてのご質問にお答えいたします。

定年退職等で一度社会から離れて期間が経ってしまうと、もう一度社会とつながることが難しく、そのまま孤立してしまうことも少なくない実態があります。

そうしたことから、定年退職前から地域や趣味の仲間とつながり、社会から離れる期間をつくらないことが大切であります。

来年度以降、高齢期というにはやや早い55歳、60歳、65歳の節目年齢の皆さんに、社会参加の必要性や活動団体等を掲載した小冊子を送付するなど、高齢期に至る前に、老後に向けての備えを意識してもらえるような取り組みを進めてまいります。

また、女性と比べて男性の方が地域とつながることが困難になっている実態も踏まえ、来年度の新規事業として、区民ひろばで、今、非常に人気のある、頭の回転をよくする「健康マージャン区長杯大会」を実施するなど、女性が中心でありますので、男性を取り込む工夫もしてまいります。

次に、総合高齢社会対策の条例制定及び区が目指す高齢社会の姿についてのご質問にお答えいたします。

去る1月28日に開催した区民の皆さんの各分野の代表による総合高齢社会対策推進協議会、そして2月4日の予算記者発表においても、本区の目指す高齢社会の姿として、「すべての人が主役の豊島区、誰も孤立させない、みんながいきいきと、健康で安心に暮らせるまち」と申し上げました。

これからのまちづくりは、すべての人が主役で、区民の皆さん、みんなで作り上げていくべきものであると考えております。

このような本区の方向性を明確にし、区民の皆さんと目指すまちの姿を共有していくために、総合高齢社会対策についての条例を制定することは、大変意義あることであると考えております。

総合高齢社会対策推進協議会や区議会議員の皆さんをはじめ、区民の皆さんのご意見を十分に反映しつつ、スピード感をもって条例を制定してまいりたいと考えております。

なお、私からの答弁は以上ですが、その他の質問につきましては、齊藤副区長から答弁申し上げます。

 

社会的養育の推進についてのご質問のうち、まず、区の社会的養育のもとで生活する児童の現状と、社会的養育に関わる取り組みについてのご質問にお答えいたします。

本区では平成31年2月時点で、115名の児童が乳児院や児童養護施設、里親家庭等で生活しております。

そのうち、乳児院や児童養護施設等での「施設養育」は8割であり、里親やファミリーホーム等で「家庭養育」は2割となっております。

区では、平成30年10月に「としまの里親プロジェクト」を立ち上げ、普及啓発に取り組んでまいりました。その結果、区内の里親家庭の登録数は、毎年ほぼ2件ずつ増加し、現在では16家庭となっています。

さらに、令和2年度からは、里親の普及啓発等に実績のある事業者と協力して、区内関係団体や企業との連携を図り、担い手となる里親家庭の発掘や登録を促進してまいります。

 

次に、今後の要保護児童対策地域協議会の更なる充実と体制強化についてのご質問にお答えいたします。

本区では、虐待のリスクを把握した場合には、様々な機関の多様な人材が役割分担のもとに連携し、リスクを管理しながら支援を行っております。

また、児童虐待等の通告件数が増加を続けるなか、関係機関とのネットワークの拡大・強化にも力を入れています。

今年度は、都立大塚病院が新たに構成員となったほか、区内の私立小・中学校、高等学校にも、順次参加を呼びかけ、現在までに7校に加入いただきました。さらに、来年度においても、私立幼稚園や認可外保育園等にも参加の呼びかけ、的確な情報共有に基づく、早期発見と支援の体制を強化してまいります。

 

次に、「施設養育」と「家庭養育」の役割や位置づけをどのように整理し、社会的養育を推進していくかについてのご質問にお答えいたします。

健やかな養育のためには、より家庭に近い、安心できる環境での養育が望ましいと考えております。

しかし、児童の状況によって「施設養育」が望ましい時期もあり、また、すべての児童を「家庭養育」で受け入れることも困難であるため、現実的に「施設養育」に頼らざるを得ないのが現状です。

「施設養育」であっても、児童一人ひとりに寄り添えるよう、できる限り家庭的な環境の確保に努めるとともに、「施設養育」には、児童の家庭復帰や「里親養育」への早期移行を支援する専門機関としての役割があることも念頭に置きながら、運営していくことが必要であると考えております。

今後も、「施設養育」と「家庭養育」それぞれの特性や機能を活かし、個々の児童の課題に応じた、切れ目のないきめ細かな支援を行うとともに、里親等が、安心して養育できる環境整備にも取り組んでまいります。

 

次に、「施設養育」に対する考え方についてのご質問にお答えいたします。

現在、23区で児童養護施設が設置されているのは、13区であり、豊島区を含め10区は未設置となっております。

住み慣れた地域で子どもの成長を支援し、切れ目のないきめ細かな養育を推進していくうえで、区内における児童養護施設の整備は、喫緊の課題として受け止めております。

昨今の「施設養育」の運営形態をみると、施設の小規模化を図るなど、より家庭的な環境を提供する機能へと変化しています。また、入所児童の就職・進学支援や、退所後のアフターケアなど、家庭に代わる子どもたちの居場所としての機能に加え、自立を促進し、支援する機能の充実も求められています。

こうした現状を踏まえ、区内への施設誘致についても検討をはじめており、視察なども精力的に行っております。

令和4年度に向けた児童相談所の設置準備と平行いたしまして、来年度中には、養護施設の誘致や「家庭養育」の拡充目標を含む、社会的養育の推進方針をとりまとめ、計画的に環境整備に取り組んでまいります。

基本的な方針をまとめ、着実に取り組んでまいりたいと存じます。

 

次に、「豊島区子ども・若者総合計画」が目指す基本的な考え方についてのご質問にお答えいたします。

新たな計画は、今までの取組みを継承するとともに、「子どもの権利推進計画」と「子どもの貧困対策についての計画」の位置付けを兼ね備えた計画として、策定いたします。

その基本理念としては、「すべての子ども・若者の権利が保障され、豊かな文化の中で自分らしく成長できるまちづくり」を掲げており、これを実現するための5つの考え方を示しています。

1つ目は、子どもや若者の今の思いを受け止め、権利の主体としての意見や選択を尊重すること。

2つ目は、家庭が孤立することなく、必要な協力を得ながら、保護者と子どもが安心して地域で暮らせる環境づくり。

3つ目は、幼児期から青年期まで、発達段階に応じて切れ目のない支援を行うこと。

4つ目は、地域全体で支援することの重要性を訴えること。そして、最後に、計画全体で、子どもの権利保障、子どもの貧困対策を含めた子ども若者支援を推進することを掲げています。

こうした計画の基本的な考え方を、区民の皆様、そして、地域で子ども若者とかかわる皆様と共有し、子どもが健やかに育つことが出来る地域社会づくりに取り組んでまいります。

次に、掲示板の在り方についてのご質問のうち、NPO管理の広告掲載の現状と区の事業評価及び今後の展望についてのご質問にお答えいたします。

今年2月現在、NPOが所有している193基のうち、広告掲載のある掲示板は25基、広告の掲載率は約13%となっています。

これまでも、広告掲載率は15%前後で推移しており、掲示板の板面交換に年数がかかるなど、広告収入を原資にした事業スキームには様々な課題があると認識しております。

今後についてですが、現時点では、本事業の継続については問題ないものと考えております。安定した事業運営を軌道に乗せるためにも、NPOとともに改善策を協議してまいります。

次に、すべて扉付きにしてマグネット対応にする等の現場の方の思いに立った区の広報掲示板の整備についてのご質問にお答えいたします。

区所有の掲示板は、平成27年度から扉付きの掲示板への交換を開始しており、188基のうち、今年度末で122基が扉付きの仕様となっています。

また、これまでは画びょうによる掲示でしたが、マグネット対応のご要望もいただいていることから、今年度はモデルとして、マグネット対応の掲示板を4基導入いたしました。今後は、区所有の掲示板の板面交換にあたっては、扉付きで、かつマグネット対応の仕様を基本としてまいります。

また、令和7年度にはNPO所有の193基の掲示板についても、区に所有権が移転いたしますので、計画的に扉付きかつマグネット対応の仕様に変更すべく、検討してまいります。

次に、町会掲示板を含めた今後の掲示板の在り方及び掲示板を利用した広報の在りようについてのご質問にお答えいたします。

町会掲示板については、長い歴史の中で風雨にさらされ、老朽化が進んでいるものも見られます。

町会掲示板につきましては、平成22年度に改築、修繕等に対する助成をスタートし、平成24年度には、新設にも助成対象を広げてまいりました。しかし、この10年間で助成対象とした掲示板の数は、337基にとどまっております。

今後とも各町会の意向を尊重しながら、助成事業の活用を促すなど、各地域の美観あるまちづくりを働きかけてまいります。なお、町会掲示板の設置数については、今年度内に調査を実施いたします。

デジタル化が飛躍的に進展し、多様な広報手段が広がってまいりましたが、掲示板は高齢者の皆様に親しまれ、目に留まりやすい存在です。

また、ご指摘のとおり、小さなものであっても、景観に対する街としての気持ち、心構えが現れる存在でもあります。

今後とも、広報紙と並ぶ重要な情報媒体として、積極的に活用するとともに、区・町会の管理主体にかかわらず、適正な維持管理を続けていく方策を検討してまいります。

以上をもちまして、西山陽介議員のご質問に対する答弁を終わります。