令和 3年決算委員会 10月20日 公明党意見開陳
○根岸光洋委員 公明党の根岸光洋でございます。私は、公明党豊島区議団を代表いたしまして、令和2年度一般会計決算並びに国民健康保険事業会計、後期高齢者医療事業会計、介護保険事業会計の3特別会計決算を認定することに賛成する立場から意見開陳を行います。
初めに、円滑、公平な運営に努められました永野裕子委員長並びに村上宇一副委員長の労に心より感謝を申し上げます。
また、理事者の皆様には、資料要求をはじめ事前調査に快く応じていただき、また、私どもの質問に対し、意を酌まれ、丁寧に御答弁をいただきましたことに心から御礼を申し上げます。ありがとうございました。
さて、令和2年度決算に当たり、私ども公明党は、新型コロナウイルス感染症が拡大し、区民の暮らし、命を守るために取り組む課題が多くあった中、1.区民の目線に立った行政運営がなされているか、2.豊島区を取り巻く時代変化に的確に対応した事業展開となっているか、3.安定的、持続可能な行政運営がなされているか、4.SDGsを基調とした国際アート・カルチャー都市を目指しての安全・安心の取組みがなされているか、を主眼に、慎重かつ厳正に審査に臨みました。
まずは令和2年度決算につきまして、簡単に確認の意味を持ちまして触れさせていただきます。令和2年度は、区民生活を守るために、新型コロナウイルス感染症の対策に全力を挙げた一年でありました。一人10万円を給付した国の特別定額給付金事業293億円を含めて、新型コロナウイルス感染症対策経費の歳出決算額は327億円となりました。国や都の新型コロナウイルス感染症対策や区独自の支援策は、第7号までの補正予算を編成しました。これらの新型コロナウイルス感染症対策の展開で、歳入決算額は1,552億6,200万円、歳出決算額は1,504億6,800万円となり、歳入歳出ともに過去最大の決算額となりました。
歳出面では、コロナ禍によるイベント中止の影響により、執行率が低調となる一方、歳入面では財政調整交付金が40億円減少したものの、特別区税は7億円の増となる348億円と過去最大、地方消費税交付金も12億円の増となりました。貯金と借金のバランスは、87億円と6年連続で貯金超過となりました。コロナ禍による区財政への影響を最小限に抑えつつ、健全性を確保した決算になっています。
令和2年度は、SDGs未来都市、自治体SDGsモデル事業のダブル選定を受けるなど、都内初の快挙を成し遂げ、SDGsの視点から各事業を展開しました。コロナ禍という制約があってもSDGsの推進や国際アート・カルチャー都市の実現、池袋の都市再生、さらには令和4年度に迎える区制施行90周年に向けた基盤を固める決算となりました。
総括質疑では、コロナ禍にあっても決算収支については、形式収支が約48億円で過去最大、実質収支は約39億円で、ここ10年では最大となったが、コロナ禍による影響で歳出が小さくなった要因もあり、実質収支の評価については注意が必要であることを指摘しました。
次に、コロナ関連経費の歳出額の大きかったものや特徴的なものについて確認をし、これらの財源について、特定財源の活用や一般財源の大きな負担になっていないか確認をさせていただきました。また、義務的経費の大まかな状況を確認し、人件費、扶助費、公債費が全て増加している主な要因を伺いました。
さらに、行政評価については、新たに導入された改善アクションシートでは、過去の取組みの記載はあっても将来に向けた取組みの記載のない事業があり、「将来に向けても改善をしていくべき」と指摘をいたしました。「改善アクションシートに記載された今後の改善に向けた取組みを考慮して、総合評価を判定すべき」と指摘いたしました。
令和2年度の決算において、義務的経費の増大は、待機児童対策の推進、高齢社会対策や社会保障の充実などで必要な経費であります。「コロナを完全に抑え込むまでは、当分の間、集中的に歳出を充実させることが必要であると考え、このような状況であっても区民生活を最優先に考えた区政運営を継続すべきである」と、今後の区政運営に対する区長の考えを伺いました。
以下、款ごとに具体的な提案を含め、特筆すべきことを述べさせていただきます。
初めに、議会費・政策経営費・総務費について申し上げます。
コロナ禍における女性各種相談、デートDV講座、加害者プログラム、アンガーマネジメントの充実を望みます。
また、育児休業の積極的な推進で、一層の男女平等推進を要望いたします。
区職員の職場環境の整備として、ハラスメント対策への取組みやメンタルヘルスに十分対応し、健康増進のために鍼灸体験などを福利厚生の一環として導入することを御検討願います。
コロナ禍で地域のつながりが希薄になっている現状に対して、安心安全な街づくりの推進として、環境浄化パトロール、防犯カメラの設置、振り込め詐欺の撲滅等の推進に取り組まれたい。
SDGs推進については、区だけではなく、区民をはじめ企業など、まさにオールとしまでの展開を望みます。
防災備蓄品の更新時、おむつ、生理用品、食料など期限が来たものについては、区の責任で必要な方に活用を図る体制構築を要望いたします。
災害時要援護者の個別避難計画の作成は、各町会長に伝えるだけではなく、町会で核となるリーダーを区が積極的に見つけ、育てていくことを望みます。
次に、区民費・福祉費・衛生費について申し上げます。
女性の健康支援センター設置と女性健康手帳の作成、配付の取組みを要望します。
尿漏れ予防教室やしなやか健康づくりのホルモンバランス教室が好評なため、オンライン配信や時間帯などを工夫して、枠の拡大を行うよう要望いたします。
地域猫活動ボランティアさんが活動しやすい環境整備を望みます。
CSWの果たす役割の重要性を鑑み、定着できる環境をつくり、目標を持って8圏域から12圏域への拡大を推進するよう求めます。
終活支援事業については、生前では見守り、死後事務委任の推進等、メニューを増やし、安心の体制を検討されるよう要望いたします。
今後、ひきこもり支援の実効性を高めるため、改正社会福祉法で新設された重層的支援体制整備事業の有効活用を望みます。
成年後見人制度について、社会貢献型後見人のさらなる育成と専門職後見人のさらなる協力を求めるための対策、また、中核機関となる社会福祉協議会の充実を強く要望いたします。
撲滅できるがんとして、打ちたいと思った人が打てるようにするために、子宮頸がん予防ワクチンの接種の正確な情報の提供、不調時の支援体制の整備への取組みをお願いいたします。
次に、環境清掃費・都市整備費について申し上げます。
食品ロス削減、フードドライブ、フードシェアリング、フードレスキューの拡充で、SDGs未来都市として模範の取組みを要望します。
子育てファミリー世帯の定住化のため、親との近居や転居費用助成等の多様なメニューと拡充を要望いたします。
高齢者の安心住まいの提供事業については、借り上げ住宅の偏在を契約更新時に改めるよう検討を望みます。
また、住宅セーフティネット、専用住宅拡充に努めるよう要望いたします。
園庭のない保育園児の遊び場として、中小規模公園の遊具の整備やおもちゃ倉庫の設置などに取り組まれたい。
私道舗装、排水助成は、区か業者の見積りのどちらか低いほうを基準とすることから、助成率が9割に満たない事例が散見される。一律9割助成となるように制度改正を求めます。
年々増大するハクビシン対策として、捕獲頭数を増やすため、ルールづくりの改善を要望いたします。
次に、文化商工費・子ども家庭費・教育費について申し上げます。
児童相談所開設準備や東西の子ども家庭支援センターとの割振り、自治体間の情報共有システムの導入時期を確認し、AIを活用した音声マイニングツールの利用を提案をいたします。
子どもの意見表明制度の積極的な取組みを要望いたします。
新型コロナウイルス感染症に伴う急激な減収に対しての就学援助については、柔軟な対応を望みます。
通学路や学校の安全対策への十分な対応を望みます。
深刻な不登校対策には実績がある専門NPO法人との連携も十分に検討することを要望いたします。
発達支援の体制の充実を図るため、子どもの発達支援センター設置に向け、引き続き教育委員会と連携し、早期に実現されるよう要望いたします。
トキワ荘マンガミュージアムに加え、現在のマンガ・アニメの取組みもHareza等を活用し、検討されるよう要望いたします。
無料学習支援団体は自費で運営しているため、事業継続が困難である。補助金等の財政支援や企業とのマッチングを要望します。
女性支援については、NPOと連携しながら、必要な方に生理用品等の配付を続け、困り事に寄り添いながら、きめ細かい支援を要望いたします。
コロナ禍における小規模自営業支援に対し、行政書士会による申請支援の効果が絶大であった。ネットを使いこなせない人にもさらに利用しやすい周知の方法を強く要望いたします。
西の文化資源であるマンガ・アニメは、トキワ荘マンガミュージアムとして象徴されることとなった。一方、東の文化資源であるソメイヨシノは、中心拠点が曖昧である。発祥の地の象徴として、ソメイヨシノ記念館の創設を望みます。
次に、特別会計について申し上げます。
国民健康保険事業会計では、糖尿病重症化予防やジェネリック医薬品の効果、レセプト点検など、医療費の適正化に取り組むことを要望いたします。
以上、一般会計及び3特別会計について、私たち会派の意見、要望を述べさせていただきました。
豊島区は、SDGs達成に貢献する優れた自治体としてSDGs未来都市としての認定を受けました。また、自治体SDGsモデル事業としても、特に先導的な取組みを全国に示していく必要があります。コロナ禍という未曽有の状況の中、刻々と変化をしているこのときだからこそ、豊島区の真価、底力が試されるときではないでしょうか。文化によるまちづくりを力強く推し進め、多方面から注目される街として取り上げられてきた豊島区です。現状と将来を見据え、今後とも安定的で身の丈に合った財政運営に努め、区民に対しては必要なサービスが的確に提供されますよう御尽力いただくことをお願い申し上げます。
また、私ども公明党区議団も、区民の暮らしと命を守る施策が実行されますよう、研鑽を重ねていくことをお誓い申し上げ、意見開陳を終わります。
御清聴ありがとうございました。
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