第1回定例会一般質問「未来を切り開く豊島の力」

令和4(2022)年2月16日登壇

公明党 島村高彦

 私は公明党豊島区議団を代表して「未来を切り開く豊島の力」と題し、第一に令和4年度予算と今後の運営方針について、第二に不登校・ひきこもり対策について、第三に高校生の医療費無償化について、第四に防災対策について一般質問を行います。

 

最初に、終息の兆しが見えないコロナ禍の中で編成された、過去2番目の規模となる令和4年度予算案ですが、その柱となる歳入についてお尋ねします。

その前に令和3年度の特別区民税については当初予算額を大きく上回る決算見込額となりました。同じく法人住民税を原資とする普通交付金も当初見込みを56億円も上回る結果となりました。この間、政府は各種支援金、給付金で支援を継続してきましたが、本区として両歳入が大幅に見込みを上回った要因について、どのように分析されているのか、お聞かせください。

次に令和4年度の予算案の概要では、歳入環境は回復の兆しが見えつつあるとしながら、特別区民税は、3年度決算見込額の1.7%減の302億94百万円、普通交付金は、企業業績への影響が不透明なことから、約6.5%減の305億円と厳しく見込んでおりますが、その算出根拠について具体的にお聞かせください。

また、関連して今後さらに先の歳入見通しについてもお尋ねします。コロナ禍にあっても、現状では想定を上回る歳入が確保でき安心したところですが、リーマンショックの時は、発生から2年後にその影響が表れ、元の水準に回復するまでに特別区民税で4年、財政調整交付金で実に10年を要したとのことです。今回の新型コロナウイルス感染症拡大の影響は、リーマンショックとは状況が異なりますが、先々の本区の歳入にどのような影響を及ぼすか、また、各種歳入の元となる経済状況を見ると、宿泊、飲食業は大きな痛手をうけておりますが、逆に医療・衛生関連業やIT業界、物流関連など、コロナ禍の特性を生かし業績が伸びている業種もあります。こうした好調な業種に勤務する区民が多いほど、区税収入にも好影響を与えるわけですが、一方で規模別に見れば、コスト削減による収益改善が図りにくい小規模企業の多くは業況が落ち込んだままとなっております。さらに金融機関も政府の指針により、企業の資金繰り支援を行っており、保証協会の保証残高も過去最高額となっておりますが、これがいつまで続くかは不明であります。そして原油高騰により企業の生産コストは急騰しておりますが、未だ物価にはさほど大きくは反映されていないことから、今後の物価変動が気になるところです。こうした一連の要因を踏まえた上で今後数年先までの本区の歳入状況をどのように想定されているか、お聞かせください。

 次に人員配置について、お尋ねします。この間、保健所への応援や陽性者への電話連絡等のために、各部所から人員を選定・配置してまいりました。どの自治体でも、人員体制に苦慮されておりますが、本区においては、感染により休職する職員も増えてきている中で、選定された課のその後の業務状況に支障がなかったか、また、選定された職員としては従来業務とは異なる仕事をこなしていかねばならないわけですが、支障なく勤めておられるのか、お尋ねいたします。また、未だ感染症の終息が見込めない中、今後の応援体制についてもお示しください。

 次に今後の定員管理計画についてお尋ねします。

4年度の人件費は児童相談所の設置や会計年度任用職員も含めた予算人員計33名の増加などにより対前年度比2.0%の増加となっております。現状を見る限りでは、今後、人員を増やす必要性も考えられるところ、昨年末に示された「豊島区人事白書」にも「新たな行政需要も拡大しており、これまでの削減ありきの計画目標の達成と行政需要への対応の両立が難しくなって」きており、「これまでの計画目標を見直し、行政需要に応じた柔軟な職員配置について検討を進めてい」るとしています。ところが、令和8年度までの計画では、毎年人員を削減する目標を立てております。検討内容と矛盾しているようですが、これまでの2,000名体制の見直しもあり得るのか、今後の定員管理計画についてお聞かせください。

次にこの5年間で223億円以上の減収をもたらしている不合理な税制改正についての区民への周知についてお尋ねします。

私は、ちょうど4年前の平成30年1定において、区民にこのゆゆしき実情を認識していただくよう最大の周知に取組むべきことを要望いたしました。しかしながら、現状では一般区民にとって未だ悩むべき問題とはなっておりません。もちろん広報やホームページ、「としまのお財布」等で説明されているのは、承知しております。しかしそれだけでは区民が自分の身に降りかかっている災難であると実感することはできないのであります。また、区長会等で懸命に主張されていることも存じ上げておりますが、行政間でいくら声を上げても一般区民には届きません。区民・都民の中から声が上がり、それが大きな波紋を広げていかない限り、解決しない問題であると考えます。これほどの減収が区民サービスにどれほどの悪影響を及ぼすか、この問題だけを取り上げたチラシを何度も配布するなどの方法もひとつと考えますが、今後の対策についてご所見をお示しください。

 

第二に不登校・ひきこもり対策についてお尋ねします。

これまで取り上げてきた深刻な8050問題を未然に防止するためにも、学齢期にある子どもたちへの支援が非常に重要であることから、再度お尋ねするものです。

コロナ禍にある2020年度に全国の小中学校で不登校だった児童生徒は前年度対比8.2%増の196,127人と過去最多となり、これに比例して、高校生を加えた自殺者数も415人と過去最多となったとの報道がありました。オンライン授業の実施などにより、本来の不登校との判別もわかりづらくなっているとも思われますが、本区の状況についてお聞かせください。また、その中で、深刻なひきこもり状態となっている児童生徒がいる場合、現状、どのような支援が行われているかについてもお聞かせください。

次に改めて不登校とひきこもりの違いについての認識についてですが、文部科学省の「病気や経済的理由以外で連続、断続に年間30日以上欠席」云々という定義は別として、単に学校に行かないことを「不登校」、部屋に閉じこもり、親とのコミュニケーションもなく、生活が破綻し、通常の社会生活も見込めない状況にあることを「ひきこもり」と分けて対応すべきと考えますが、この点に関する本区の認識をお示しください。そしてひきこもりではなく、何かの理由で不登校であれば、別の手立てを講じて、登校あるいは進学できるような支援を行っていけばよいと考えます。

そこで、平成28年4定でお聞きした取組みの進捗状況についてお尋ねします。まず、どうしても登校することができない子の支援として、学校以外の学びの場としてフリースクールを活用することについてお尋ねしましたが、「今後の活用方針としては、フリースクールの詳細を把握し、文部科学省の通知の趣旨を踏まえ、連携・活用ができるか、その可能性について検討してまいります。」との答弁でした。検討結果をお聞かせください。

次に中学卒業後の本区の子どもたちへの支援体制についてもお尋ねしました。答弁は「本区の中学校卒業生が入学した公立・私立高校との連携の在り方についても検討してまいります。」とのことでした。検討結果をお聞かせください。

次に本区だけでは対応しきれない深刻なひきこもり児童生徒に対し、実績のある民間団体、具体的に「NPO高卒支援会」を活用すべきことも提言いたしました。「民間団体の取組みについては、具体的・積極的な情報収集を行い、参考にできるものから暫時指導改善に役立てられるよう研究してまいります。」との答弁でした。しかし、答弁から4年を過ぎても研究の報告もないので、昨年3月に、同会の新理事長とその後設立された「不登校・引きこもり予防協会」の杉浦孝宣代表理事と本区の指導課長、福祉総務課長、子ども若者課長との面談の機会を設けさせていただきました。その後、何の音沙汰もございませんが、同会はフリースクール、通信制高校のサポート校を運営しながら、通えないひきこもり児童生徒に対しては、徹底したアウトリーチすなわち訪問支援を行っております。36年間にわたる活動の実績として、約9割ものひきこもりの児童生徒を立ち直らせており、その中から有名大学に入学できた生徒も多く存在します。深刻な状況にある児童生徒に対しては、教員やスクールカウンセラー、適応指導教室だけでは支援が不十分な実態があるのではないでしょうか。

固く心を閉ざした子どもを救うため、まずは時間をかけて両親の徹底した理解と協力を得ることから開始し、部屋に閉じこもった子どもに対し、扉の外から何日も何日も呼びかけ続ける。そんな子どもから、時にはエアガンを向けられ、刃物で襲い掛かられることもあることから、防刃チョッキを着用して訪問するなど、こうした支援活動は一般の多忙な教員等には不可能であり、蓄積されたノウハウを備えたチームにしか為し得ないと考えますが、いかかでしょうか。同会のこれまでの経験から、ひきこもりの立ち直りには、ひきこもっていた期間と同じ時間がかかるとのことです。すなわち打つ手が早ければ早いほど支援期間も労力も短くて済むのです。

現状、23区では渋谷区が同会と連携して不登校対策に取組んでおりますが、今後、大切な豊島の子どもたちを誰一人取り残すことがないよう、すみやかに連携して取り組むべきと考えますが、ご見解をお示しください。

また、私は、これまで学力よりも、生きる力を養う教育こそ、子供にとって重要であることを訴えてまいりましたが、杉浦代表理事も「不登校やひきこもりの子にも、様々な可能性を持つ子が多い。そういった可能性を生かせる新しい形の教育にしていく必要がある」と述べております。全く同感ですが、現状の学習指導要領では、すぐにこうした教育体制とすることは困難です。しかし日本の将来のためにも、今後の教育のあり方として真剣に検討すべきと考えます。このことに関して、教育長の率直なご見解をお聞かせください。

第三に高校生の医療費無償化についてお尋ねです。

東京都は1月28日、中学3年生までとしている医療費助成の対象を高校3年生までに拡充する方針を発表致しました。令和5年度の開始をめざすもので、令和4年度予算案には7億円を計上し、区市町村のシステム改修を補助するとしております。都議会公明党が昨年の東京都議会議員選挙で掲げた重点政策「チャレンジ8」の一つである「高校3年生までの医療費無償化」がいよいよ動き出しました。これまで、都議会質問や小池都知事への予算要望などで推進し、また、昨年の衆議院選挙でも公約に掲げ、国会議員とも連携しながら、都と粘り強く交渉を重ね、実現にこぎ着けたところであります。

本区では子どもの医療費無償化については、平成5年4月から3歳児未満を対象に開始し、国や東京都が助成を拡充するのを機に少しずつ対象年齢を引き上げ、所得制限を撤廃してきました。

東京都の発表では、高校生まで医療費助成を引き上げるものの、所得制限があるとの事です。区内には約4,700人の高校生がいますが、所得制限で対象外になる高校生について、本区で助成する事を検討し、全ての高校生が等しく医療助成が受けられるよう願いますが、本区のお考えをお聞かせ下さい。

第四に防災対策です。

気候変動にともなう異常災害の発生や首都直下地震等の発生確率が高まっているとの報道もある中、以下、いずれの質問もすみやかに取り組むべき課題であることを念頭に置き、ご答弁をお願い申し上げます。

最初に、コロナ禍における避難所運営のあり方と避難体制についてお尋ねします。新型コロナウイルス感染症が広がる状況下で避難が必要な災害が発生した場合、感染拡大を予防しながらの避難所運営が求められます。本区としても「救援センター運営における感染症対策マニュアル」を策定し、状況に応じて的確に対応することとしております。その中で救援センターの密を避けるため、分散避難を推奨しておりますが、これまで長い間、救援センターを周知強化してきたため、大きな災害が起きたら近くの小中学校へということが、かなりしみついてしまっております。分散避難すなわち在宅避難、縁故避難を浸透させるには通常時間を要しますが、コロナ禍でのすみやかな周知が求められます。町会長に伝えるだけ、ホームページ、広報に掲載するだけでは不十分ですが、現状の取組み方針をお示しください。

また、在宅・縁故避難といっても災害の規模により自宅が損壊したり、精神的に自宅での避難生活に耐えられない場合、寄るべき親戚、知人がいない場合なども十分に想定されることから、指定避難所以外の避難先が必要となり、公共施設以外の避難所確保の必要性もあると考えます。現状、ホテルや旅館等の活用について、どのような協定・提携をされているのかお聞かせください。さらに本区では帰宅困難者の一時滞在施設すら、その確保率が必要数の20%~50%未満であるとの報道がある中、大変に困難ではあるとは思いますが、コロナ禍での感染拡大防止のため、より多くの避難所が必要とされることから、あらかじめ民間の大型施設等の協力も仰がなくてはならないと考えますが、ご見解をお示しください。

次に救援センター等で医療機関への搬送が必要な避難者が発生した場合の対応について確認させていただきます。マニュアルには「呼吸困難な場合は救急車を呼ぶ」、「医療救護所で常駐している医師に…訪問巡回を依頼する」とあります。大規模災害時に救急車の到着・搬送がどの程度の時間を要するのか、重度の発病に対し、訪問巡回の治療だけで対応しきれるのか気になるところですが、避難患者をすみやかに病院に搬送する等、避難者の生命を守る体制が整備されているのかお聞かせください。

次にこれも確認ですが、避難者に対する薬の供給体制についてです。過去の大規模災害では、避難の長期化により常備薬が不足したり、体調の悪化により服薬を要することとなったとき、必要な医薬品が届かない事態が多発したことから、日本薬剤師会では災害薬事コーディネーターを育成、派遣することとなっております。本区の薬剤師会の先生からは、すでに図上訓練もやっているとお聞きしておりますが、災害対策本部及び救援センター運営スタッフとの緊急時の連携体制が十分なものとなっているかについてお聞かせください。

 

次に救援センター運営の人材確保策についてのお尋ねです。

本区の救援センターは避難者による運営を基本としておりますが、これまで指摘してきたように、区民だけで運営するのは現状では困難な実態があります。そこで災害対策要員と地域配備職員による運営ですが、過去の答弁では「区民の皆さまの安全・安心を守るため、様々な訓練を積み上げ、職員の複合災害対応能力の向上に努めて」いくとのことですが、訓練はやっていただくとしても、日ごろ本来の業務をこなしながら、実際に災害が発生し、避難者が殺到する救援センターで的確な運営を行うのは職員にとって、かなりの負担となり、しかも運営には物資の円滑な確保、配布、高齢者の体調管理や居住性向上、衛生管理など一定のノウハウが求められております。やはり、他の人材の支援も必要と考えますがいかかでしょうか。政府としては、こうした課題解決をめざし、2022年度から、避難所の運営を担う専門知識を備えた人材を育成し、被災地に派遣する取組みを開始します。リーダー、アドバイザー、コーディネーターの3類型の人材育成を目指し、避難所運営支援により、災害関連死を防止しようとするものです。今後、避難所運営に関し、こうした国の取組みも積極的に活用していくべきと考えますが、ご見解をお聞かせください。

 

次に気象防災アドバイザーの活用と気象庁の地域防災支援についておたずねします。風水害や地震等の災害において、自治体による適時・的確な防災対応がますます求められる中、内閣府が行った避難情報発令に関するアンケート結果では66%の自治体が「発令の判断が難しい」と回答しました。この結果を受け、内閣府としては、気象予報士、気象庁OBが自治体に勤務をしながら災害対応の助言を行う「気象防災アドバイザー」制度の普及に乗り出しました。自治体の災害対応力を強化し、避難情報発令などに気象の専門知識を活用する取組みです。線状降水帯の予測など、刻々と変化する災害状況を見極め、区民を安全に避難誘導するために有効な対策であり、積極的に活用すべきと考えます。現状、23区では葛飾区が活用しているとのことですが、今後の方針についてご見解をお聞かせください。

また、気象庁は地域防災支援の取組みとして、自治体職員の防災気象情報の実践的な利活用方法に関するスキル向上をはかるため「気象防災ワークショップ」を実施しており、内閣府、消防庁等も防災担当職員を対象とした研修や訓練を定期的に実施しており、これらの研修等において、最新の気象行政の動向や防災気象情報の実践的な利活用方法等についても情報提供しております。こうした研修や訓練についての本区のこれまでの参加状況と今後の方針についてお聞かせください。

さらに、気象庁としては今後の取組みとして、自治体職員だけでなく、地域防災リーダーもワークショップの参加対象に加えることとしています。地域防災力の向上にもつながることから、本区としても、この取組みを共に推進していくべきと考えますが、ご見解をお示しください。

 

次に住民への災害情報の伝達のうち、今回は外国人住民への情報伝達についてお尋ねします。3年ほど前、朝日新聞が本区も含む外国人住民の割合が高い自治体に対し「どの分野に懸念があるか」というアンケートを行いました。最も多かったのが「災害時の連絡・広報」です。西日本豪雨で日本語メールの内容を理解できず避難しなかった外国人が多数いた広島県廿日市市では10言語を用いた防災メールで送信する対策を開始しました。本区においても外国人の防災訓練の参加の機会も少ない中、安全・安心メールの多言語化をはじめ、外国人への災害情報の伝達方法について取組む必要性があると考えますが、今後の方針についてお示しください。

 

次に災害時要援護者対策ですが、平成17年から今日に至るまでの17年間、幾度となくお尋ねしてまいりました。現場の実態に合わせ、きめ細かくお尋ねし、具体的な取組み事例についても、何度もご紹介してきました。これまでの答弁を要約すれば、ほとんどが「すでにやっている」一部、「すみやかに検討していく」というものです。ところが、つい最近の昨年9月に町会に配布した「災害時要援護者名簿の活用について」を見ると、あたかも新たな取組みが開始されたかのように「平常時、町会内で名簿を活用して何をすればよいか」という質問があり、それに対し区は「本名簿の活用を検討しております。・・・現在のところは、みなさまの地域に自力で救援センターに避難できない方が住んでいらっしゃることをご認識いただくだけで結構です。」と回答しております。また、次期保健福祉審議会の申し送り事項として「災害時要援護者等への支援体制の整備については、現行の豊島区地域保健福祉計画に記載があるものの、これまで十分な検討が行われてこなかった」とあります。いずれもこれまでの答弁とは、大きく異なっておりますが、こちらが事実であることは明白です。だとすれば、この17年間の私の質疑はいったい、なんであったのか、また、ここまで長い間、この重要な対策に取り組まなかった理由について、明確にお答えください。そして、再三再四となりますが、今後の方針があれば、お示し願います。

 

次にこれもくどくて恐縮ですが、本区の避難場所についてお尋ねいたします。

一時的な避難場所であっても、区民の安全と生命を守る場所として、明確な周知と理解が必要と考えます。そうした観点から、まず名称ですが、「一帯」と記された避難場所が本区には、五つほどあります。たとえば、染井墓地・駒込中学校一帯という避難場所は具体的にどこを指すのか、染井墓地と駒込中学校は離れた場所にあることから、それぞれ別の避難場所として捉えるのか、区民にとって明確性を欠くと考えますが、いかかでしょうか。また、割当町丁名すなわち利用する町名として各避難場所から相当な距離のある町名が記されております。たとえば、染井墓地・駒込中学校一帯の割当町丁名には南大塚の一部、北大塚1,2丁目、上池袋4丁目とあります。被災し混乱した街中を、これほど離れた場所から避難してくるのは、現実的ではなく、そのような行動をとる区民もいないと思われます。したがって、今後、改めて、各地域で実効性のある避難場所を定めるべきと考えますが、ご見解をお示しください。

次に、避難場所の整備についてですが、本区においては、避難場所はあくまで、火災から一時的に避難する場所として活用することを想定しています。しかしながら、以前より何度も指摘しているように、救援センターが損壊し避難不可能な状態になったとき、また受け入れ人数を大幅に超過してしまったとき、他に緊急避難すべき場所がないときなど、一定の期間、避難生活を余儀なくされることも想定に入れておくべきではないでしょうか。再度地元の染井墓地・駒込中学校一帯の事例ですが、東日本大震災の揺れで現に発生した複数の墓石の倒壊、狭小なスペースしかなく、マンホールトイレ等の防災設備が一切ない染井霊園は現状のままでは、避難場所としてはふさわしくないことを何度も指摘してまいりました。これに対し、本区の答弁は「東京都と協議していく」と繰り返しておりましたが、平成30年4定の答弁では、「都は拠点広場や園路の整備を実施する」ので「区としては防災機能にも配慮した整備が実施されるものと認識して」いるとのことでした。ところが、その後の令和2年12月、担当課長が東京都公園緑地部に確認したところ「防災面に関して、現時点では特段の整備予定はない」とのことでした。答弁と現実が食い違っておりますが、緊急時、区民の安全と生命を守る避難場所の整備について、どのように認識されているのかお聞かせください。

次に何度も取り上げてきた染井霊園近くの北区・西ヶ原みんなの公園についてのお尋ねです。染井霊園とは対照的に広大な非難スペースを有し、数多くのマンホールトイレやかまどベンチ、災害用給水所を備え、豊島区にも面していることから緊急時には区の定めに関係なく、多くの豊島区民も一時避難することが想定されます。よって本区の避難場所として指定すべき要望を続け、平成30年4定では、すでに「平成25年の東京都の避難場所の見直しにおいて、北区の西ヶ原みんなの公園は染井墓地・駒込中学校一帯の一部として避難場所に指定され」ているとの答弁をいただいております。しかしながら、地域防災計画の避難場所一覧には所在地として西ヶ原と記載されているだけで、区ホームページにはその記載すらなく、西ヶ原みんなの公園の記載はどこにもありません。指定されたのに、これを周辺区民に明確にお伝えしない理由について、お聞かせください。

以上で私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

 

公明党 島村高彦議員 令和4年第1回定例会 一般質問答弁

高野区長

ただいまの、島村高彦議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。

令和4年度予算と今後の運営方針についてのご質問のうち、まず、令和3年度の特別区民税及び普通交付金が大幅に見込みを上回った要因についてのご質問にお答えいたします。

令和3年度の歳入は、コロナ禍という未曽有の危機の中、経済への影響をリーマンショックと同等以上に、手堅く見積もりましたが、結果として、当初予算額を上回る決算見通しとなりました。

特別区民税については、リーマンショックの際には、すべての所得階層の課税額が大きく減少しましたが、今回は高所得層への影響が小さい状況にあります。また、給与所得者など課税額の約7割を占める特別徴収分の収納率は堅調に推移をしております。

その背景には、リーマンショックとコロナ禍の性質の違いがあると言われております。リーマンショックは、お金の流れが止まり、金融業などの高所得者も含め、様々な業種や階層に影響しました。

コロナ禍は、人の流れを止めるため、飲食、宿泊などの産業が低迷する一方、モノや情報は動いており、製造業やIT業界は好調という二極化が進みました。

税のデータでは職種まではわかりませんが、飲食、宿泊業などのサービス業を支えている非正規雇用の方などは減収となったものの、高所得層の方はあまり大きな影響がなく、全体への波及は比較的小さかったことが、当初予算額を大きく上回る要因になったと分析しております。

財調交付金については、法人住民税の大幅な落ち込みを想定したものの、交付金の原資となる調整税のうち、法人住民税が東京都の令和3年度当初の見込みから、大幅な増加となりました。

これは、コロナ禍による国内経済を下振れさせるリスクを考慮し、企業収益の大幅な減を見込んだものの、その影響は一部の業種に限定されたこともあり、全体としては想定したほど業績が落ち込まなかったものと考えております。

 

次に、令和4年度予算案における特別区民税及び普通交付金の算出根拠についてのご質問にお答えいたします。

特別区民税及び財調普通交付金の令和4年度当初予算額は、今年度の決算見込み額を参考として算出しております。

特別区民税の令和4年度当初予算は、令和3年中におけるコロナ禍の影響を踏まえ、令和2年と令和3年の11月末時点における所得階層別の課税額の減少額を参考に算出しております。さらに、ふるさと納税の流出額拡大も想定し、令和3年度の決算見込みから5億円の減を見込むことで、当初予算額を算出いたしました。

財調交付金につきましては、決算見込み額をもとに、普通交付金の総額に対する本区に交付された金額の割合を参考に算出しております。

 

次に、新型コロナウイルス感染症拡大の影響等を踏まえた、数年先までの歳入状況の想定についてのご質問にお答えいたします。

今まさに、オミクロン株が急激に拡大し、第6波が進行中である状況にあり、そのピークの時期、さらには収束の時期を見通せていないことを踏まえますと、令和4年度以降のコロナ禍の状況を予測することは極めて困難な状況にあり、本区の数年先までの歳入見通しをお示しできない状況にあると考えます。

こうした中でも、本年度末における財政調整基金残高は183億円、令和4年度末においても160億円台を確保できると見込むとともに、貯金と借金のバランスについても、貯金超過の状態を保つことができると見込んでおります。

今後、毎年度、約50億円を財政調整基金から取り崩したとしても、3年間はしのぐことができるだけの財政力を維持しておりますので、慎重に先を見通しながら、堅実な財政運営を心掛けてまいります。

 

次に、職員が保健所業務支援を行っている課の業務への支障についてのご質問にお答えいたします。

この間感染の波に応じ、全庁で保健所業務を支えてまいりましたが、第6波にあたっては、過去の対応を踏まえ、感染拡大の兆しが見えた段階で各部署に支援を要請しました。

支援の見通しを早めに示したことで、各職場で業務執行体制を見直すなど工夫をしてもらい、現在のところ、他の業務に大きな影響が出ることなく保健所の支援も対応できています。部署によっては、保健所ほど直接的ではなくとも、コロナ禍で少なからず増えた業務もあるなかでの支援であり、各職場では通常よりも負荷はかかっていると思いますが、非常緊急時でありますので、それぞれの部署が保健所の負担減を最優先に考えて、応援職員を送り出してくれています。

 

次に、保健所業務支援を行う職員が支障なく勤められているかについてのご質問にお答えいたします。

保健所支援業務にあたっては、保健所と危機管理担当課が作成したマニュアルをもとに、岡谷危機管理監のリーダーシップのもと、毎朝従事職員に業務ミーティングを行うなど、従事職員が円滑に業務に当たれるよう準備されており、通常と異なる仕事であっても支障なくこなすことができています。毎日、業務終了時には報告を受けております。

 

次に、今後の保健所応援体制についてのご質問にお答えいたします。

1月中旬からの急激な感染拡大を受けて、人材派遣や防災危機管理課の側面支援も含め最大100名の体制で支援を行ってまいりましたが、陽性者への初回電話の簡素化や、東京都の「自宅療養サポートセンター(うちさぽ東京)」の設置等により、現在、軽症者への初回電話については人材派遣40名が対応し、職員は発生届の処理や各種通知の発送等に10名従事しています。今後も、感染状況の推移を注視しながら、人材派遣も活用しつつ保健所業務の負担軽減に資するよう体制を整えてまいります。

 

次に、2,000名体制の見直しの有無を含めた今後の定員管理計画についてのご質問にお答えいたします。

令和8年度に、職員数を1,800人まで削減するという第7次定員管理計画は、新たな行政需要の拡大への対応により、削減目標と実際の職員数に、大きな乖離が生じていました。このことから、今年度、豊島区後期基本計画の見直しに合わせ、抜本的な方向転換をし、後期基本計画の中で定員管理に関する新たな考え方を示すことといたしました。

具体的には、災害やコロナ禍、児童相談所の設置など、様々な行政需要が見込まれるなか、削減ありきの定員管理ではなく、その時々の財政の状況や人口規模が同程度の他自治体との比較・分析等を踏まえ、確実な業務の推進と適正な職員数を同時に実現することを目標とするものです。

今後はこの考え方を、新たな定員管理の指針とし、年度ごとに事業の見直しや人件費の健全化を踏まえながら、持続可能な適正な定員管理に努めてまいります。

 

次に、不合理な税制改正に関し、問題提起のチラシを何度も配布することを含めた今後の対策についてのご質問にお答えいたします。

不合理な税制改正により、本区が財政面で大きな影響を受けていることについて、私は強い危機感を持っております。

23区共通の課題であることから、各区長が連携し、特別区長会として要望活動を行ってまいりましたが、残念ながら、この不合理な税制改正を是正するまでには至っておりません。

この是正を国から勝ち取るためには、区民の皆さんのご理解と応援が不可欠であります。今回、チラシについてのご提案を頂きましたが、まずは、より一層、広報としまの記事をよりわかりやすいものへと工夫したり、ホームページの内容を充実させて参りたいと思います。

平成12年度の制度改革の時のような、23区が一致し、協力をして区民を巻き込んで区民の声を盛り上げるような機運がなければ成果が上がりません。微力ではございますけど、その機運を広げていく努力は今後も続けてまいりたいと思います。

なお、私からの答弁は以上ですが、その他の質問につきましては、高際副区長並びに危機管理監から、教育委員会の所管に属する事項につきましては、教育長から答弁申し上げます。

 

所得制限で対象外になる高校生に区が助成し、全ての高校生が等しく医療費助成が受けられるようにすることについてのご質問にお答えいたします。

本区における子ども医療費助成の経過については、ご説明いただいたとおりであり、現在は中学生までを無償化としております。

また、23区の無償化の状況につきましては、通院・入院ともに高校生まで実施しているのは2区、入院のみ高校生までとしているのは1区、そして、通院・入院ともに中学生までとしているのは、本区を含む20区となっております。

令和4年度の予算案に東京都が医療費助成制度のシステム改修補助に関する経費を計上していることは承知しております。しかしながら、システム改修の前提となる助成制度について、対象をはじめ、具体的な内容が、まだ都から示されておりません。

区といたしましては、助成制度の拡充に関する都の方針が確認でき次第、対応について検討いたします。

なお、都として子ども医療費助成制度を拡充する際には、それに必要な財源について確実に措置するよう、特別区長会等を通じて、都へ要望したいと考えております。

 

私からの答弁は以上でございます。

 

防災対策についてのご質問のうち、まず、分散避難を浸透させるための周知に関する現状の取組み方針についてのご質問にお答えいたします。

ご指摘のとおり、コロナ禍においては救援センターでの密を避けるため、在宅避難や縁故避難などの分散避難が重要です。

区民の皆様への分散避難の推奨は、広報としまやホームページのほか、防災地図、ハザードマップなどへの掲載、複合災害を踏まえた救援センターの運営についてのDVDの配布、また、地域の方々と行っている「救援センター開設・運営訓練」などでも住民の皆様に広く伝わるように繰り返しお願いしております。

今後も分散避難について区民の皆様への浸透がより進むよう、あらゆる機会をとらえ繰り返し周知してまいります。

 

次に、ホテルや旅館等を避難所として活用することに関する協定・提携の現状及びあらかじめ民間の大型施設等の協力を仰ぐことについてのご質問にお答えいたします。

M7.3程度の首都直下型地震が発生すると、区内で3万4千人の被災者が発生すると想定されております。

一方、ソーシャルディスタンスを踏まえた35救援センターの収容人数は1万7千人で、残りの1万7千人には、補助救援センター、福祉救援センターを活用するなどして避難者生活を支援していく方針です。

今後は在宅避難や縁故避難などの分散避難を推奨するとともに、ホテルや旅館等の活用についても帰宅困難者の一次滞在施設としてだけでなく、避難所としても協力をしていただけるよう協定等についても検討してまいりたいと考えております。

 

次に、救援センター等では避難患者をすみやかに病院に搬送する等、避難者の生命を守る体制が整備されているのかについてのご質問にお答えいたします。

豊島区地域防災計画上、救援センターにおいて重度な患者が発生した際には、12の地域本部に設置している医療救護所の担当医師ができる限りの治療を実施することになっております。その中で、医療救護所での治療が困難な患者は、緊急医療救護所や医療機関等への搬送が必要となりますが、大規模災害であれば、救急車の到着が遅れる場合も想定されます。そこで、緊急な措置が必要な患者が発生した場合の体制の整備について、都や消防等関係機関と連携しながら検討してまいりたいと考えております。

 

次に、災害対策本部及び救援センター運営スタッフと災害薬事コーディネーターとの緊急時の連携体制が十分なものであるかについてのご質問にお答えいたします。

災害発生時には、薬剤師会から選任された災害薬事コーディネーターが運営する災害薬事センターを池袋保健所内に設置し、区内緊急医療救護所及び救援センター医療救護所の医薬品等の供給を統括します。

救援センター医療救護所の医薬品等については、発災前から薬剤師が備蓄等を管理しており、発災時に備蓄医薬品が不足する場合には災害薬事センターへ供給を依頼することとなっています。災害薬事センターは、医薬品卸売業者との協定に基づき、不足する医薬品の供給を要請し、発災時における安定的な医薬品の調達確保を図ります。こうした連絡は、救援センター運営スタッフと薬剤師が連携協力して実施し、区の災害対策本部や医療対策本部へも随時報告しながら行います。

また、区では三師会及び区内医療機関等と合同で、「災害医療図上訓練」を実施しており、こうした機会に通信訓練を実施する等、緊急時の連携が十分なものとなるよう体制整備を進めてまいります。

 

次に、救援センター運営において、災害対策要員、地域配備職員以外の専門知識を有する人材の必要性と、それらの人材を派遣する国の取組みの活用についてのご質問にお答えいたします。

救援センターに避難者が殺到した場合に、外部からの専門的な知識を持ったボランティアを積極的に活用していくことは、一つの有効な手段と考えております。

そうした中、内閣府は、2022年度中に有識者らを交えた会議を設け、被災者生活支援の具体的な研修内容の検討に入り、避難所に一定期間常駐し、運営を支援する「リーダー」、複数の避難所を巡回し、指導する「アドバイザー」、医療・福祉の専門家や自治体などと連携する「コーディネーター」を養成し、一部の都道府県を対象にモデル実施する考えであると聞いております。

今後は、こうした国の取り組みを積極的に活用することも視野に、より効果的な救援センターの運営について検討してまいりたいと考えております。

 

次に、「気象防災アドバイザー」の活用及び気象庁等が実施する研修等への区の参加状況についてのご質問にお答えいたします。

刻々と変化する気象情報を見極め、区民の皆様を安全に避難誘導させることは、災害対策において非常に重要であると認識しております。

そこで、昨年11月、私以下防災危機管理課員5名と、気象庁東京管区気象台気象防災部の方々6名で会する機会を持ち、特に台風シーズンなど、気象の専門的知識が必要な際に、いつでもアドバイスをいただける協力体制を構築いたしました。

またその際、自治体の防災担当者向けワークショップが開催されていることもご教示いただき、これまでに3回、防災危機管理課員がワークショップに参加をし、3月1日にも一名の参加を予定しており、今後も研修への参加を継続してまいります。 このように課員の気象情報に関するスキルアップに努めていることから、当面、「気象防災アドバイザー」の導入については考えておりません。

 

次に、地域防災リーダーをワークショップの参加対象に加える気象庁の取組みを、区としても共に推進していくことについてのご質問にお答えいたします。

ただ今申し上げました、昨年11月の気象庁との打ち合わせの際に、自治体職員以外の地域防災リーダー等に対する「市民向け出前講座」の話もうかがっております。

ご指摘のとおり、区職員だけではなく、地域防災リーダーの気象災害に関するスキル向上を図ることは、地域防災力の強化につながるものと思われますので、今後、その推進について検討してまいりたいと思います。

 

次に、安全・安心メールの多言語化をはじめとした、外国人への災害情報の伝達に関する今後の取組方針についてのご質問にお答えいたします。

現在の発災時の災害情報の区民の皆様への伝達方法は、携帯会社の緊急速報メールや安全安心メールなど個人向けのものも、区のホームページや防災行政無線、東武及び西武百貨店の館内放送など集団向けのものも、すべて日本語で伝達しております。

誰ひとり被災者を取り残さない豊島区を目指すうえで、発災時の外国人の方々への情報伝達は非常に重要なことと考えておりますので、外国の方々へ迅速に正確に災害情報を伝えられる手段を考えてまいりたいと考えております。

 

次に、これまで災害時要援護者対策に取り組まなかった理由及び今後の方針についてのご質問にお答えいたします。

災害時要援護者対策は、平成19年度に「災害時要援護者名簿」を作成することでスタートいたしました。そして、令和3年6月に町会や民生委員などに、更新した名簿を配布しました。

災害時要援護者名簿の作成やその対策につきましては当初防災危機管理課のみで行っていたことから、要援護者の現状を防災危機管理課で十分に把握しきれなかった、という問題もあったと考えております。

そこで、本年度から、地域防災計画上の所管である保健福祉部と連携し、その対策を検討することといたしました。

具体的には、保健福祉部内と防災危機管理課による組織横断的な検討チームを立ち上げ、課題整理を進め、個別避難計画に向けたヒアリングや地元町会のご協力のもと名簿に基づいたアンケート調査を実施しています。

来年度も、引き続き地元町会のご協力をいただき、個別避難計画のモデル作成や、介護保険事業所等と安否確認の連絡体制を構築するなど、具体的な避難支援のあり方についての取り組みを進めてまいります。

 

次に、避難場所の名称における「一帯」という表記が、区民の皆様にとって明確性を欠くことについてのご質問にお答えいたします。

避難場所の名称としての「染井墓地・駒込中学校一帯」には、染井墓地、駒込中学校のみならず、付近の本郷中学校・本郷高等学校、駒込西公園、更には複数の寺院とそれに隣接する霊園などを含む「面」としてとらえていることから、「一帯」という言葉を使わざるを得ない避難場所があることはやむを得ないと考えます。そして、「一帯」がどこを指すかについては、防災地図には明確に緑色の枠で囲った位置を面で表示し、避難場所が分かるような記載をし、ホームページにも掲載して周知しているところです。

今後もご指摘の点を踏まえ、避難場所を区民の皆様へわかりやすく周知することで、その実効性を高めてまいります。

 

次に、各地域で実効性のある避難場所を改めて定めることについてのご質問にお答えいたします。

避難場所は、あくまでも火災の延焼から一時的に避難するため、東京都都市整備局が東京都震災対策条例に基づき、避難距離が3km未満となるようにその避難場所を指定しております。

火災の延焼から一時的に避難することができる、ある一定程度の広さのある空地でなければ、その目的を達成できないことから、これ以上の避難場所を各地域で定めることは難しいと考えております。

しかしながら、都とも連携し、地域住民にとって、より実効性の高い避難場所の確保を働きかけてまいります。

 

次に、一定期間避難生活を余儀なくされることも想定に入れておくなど、避難場所の整備に関する認識についてのご質問にお答えいたします。

避難場所での滞在が長期化する場合、マンホールトイレ等の防災設備の必要性は十分認識しております。しかしながら、避難場所はあくまでも延焼火災やその他の危険から避難者の生命を保護するための施設・場所であり、東京都震災対策条例に基づいて都が指定するものです。

ご指摘の染井霊園については、拠点広場や園路の整備はするものの、防災面に関しては特段の整備予定はないと聞いております。しかし、今後は都に対し、避難場所を避難所として活用せざるを得なくなった場合の防災面の強化について要望してまいりたいと考えております。

 

次に、避難場所に指定されている北区の西ヶ原みんなの公園を周辺区民に明確に伝えていない理由についてのご質問にお答えいたします。

ご指摘のとおり、避難場所である「染井墓地・駒込中学校一帯」については、豊島区地域防災計画では、所在地の欄があり、それに北区西ヶ原のみの記載しかございません。

また、豊島区ホームページには「所在地」の欄が無いことから、西ヶ原みんなの公園が避難場所の一つであることがわからない可能性もありますので、豊島区のホームページに所在地の欄を追加し、わかりやすい記載にしたいと考えております。

 

私からの答弁は以上でございます。

 

引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問に対しまして、お答え申し上げます。

不登校・引きこもり対策についてのご質問のうち、まず、区の不登校の状況についてのご質問にお答えいたします。

本区の令和2年度の不登校の状況でございますが、年間30日以上欠席した児童生徒が約200名おり、前年度より20名程度増加しております。そのうち67%は、90日以上欠席であり、欠席の長期化が顕著になっております。

 

次に、深刻なひきこもり状態となっている児童生徒に対して現状行われている支援についてのご質問にお答えいたします。

欠席が長期化し、かつ社会的参加を回避している児童生徒に対しては、学校やスクールソーシャルワーカーだけでは対応が困難であり、子ども家庭部や保健福祉部、また民生委員・児童委員や医療機関等と連携した支援を実施しております。

 

次に、不登校と引きこもりの認識を分けて対応すべきであることについてのご質問にお答えいたします。

区立小中学校における不登校の児童生徒の中には、当初は数日であった欠席が次第に長期化していく場合が多く、小中学校においては、不登校と引きこもりを明確に分けて対応することは難しいと考えております。

不登校の児童生徒は、多様な背景や要因を抱えており、学校におきましては、すべての児童生徒の心と体の変化を把握すると同時に、魅力ある授業を展開することによって、登校意欲を高めることが第一に重要であります。

一方で、不登校と引きこもりとの関連が強い場合は、学校教育からのアプローチのみでは、改善が困難なことが多く、できるだけ早期に、アシスとしま など関係機関や医療等と連携し、個々のケースに応じた支援を行うことが必要となります。

教育委員会といたしましては、今後も学校に対して、不登校の未然防止と早期対応の徹底を指導するとともに、必ずしも学校復帰が好ましい選択でない児童生徒に対しては、関係機関や医療等と連携した学校以外の「居場所づくり」の実現に向けた検討を行う等、一人ひとりの状況に応じた支援を充実してまいります。

 

次に、学校以外の学びの場としてフリースクールを活用することに対する検討結果についてのご質問にお答えいたします。

現在、スクールソーシャルワーカー等が、区内や近隣区のフリースクールの実態把握に努めており、その情報を基に、スクールソーシャルワーカーが保護者に紹介するというケースも出てきております。東京都においても、教育委員会関係者とフリースクール関係者との協議会を開催するなど検討が進んでおります。

今後も、近隣のフリースクール等と積極的に情報交換の機会を設け、必要に応じて、保護者、児童・生徒に対し情報提供ができるよう努めてまいります。

 

次に、区立中学校卒業生が入学した公立・私立高校との連携の在り方に対する検討結果についてのご質問にお答えいたします。

中学卒業後は、教育センターでの教育相談に引き続き応じているものの、スクールソーシャルワーカーの派遣対象にならないなどの限界があるため、卒業生との連携は主に間接的な対応にとどまっており、従前は、区内の公立高校との直接的な連携を模索した経緯もございますが、現在、子ども家庭部のアシスとしま や東京都を含む関係諸機関での対応が主にならざるを得ないのが実状です。

一方、教育センターでは、チャレンジスクールや私立の通信制高校に進学した卒業生を「適応指導教室」に招き、生徒や保護者が体験談等を聴くことのできる機会を設ける取り組みを行っておりますが、それらの高校の教職員の方のお話を聞く機会も設けてまいりたいと考えています。

また、今後、進学実績のある区内のフリースクールと連携し、区立中学校卒業生の進学について支援することなど、今後も可能な連携について、関係諸機関と協力しながら引き続き検討してまいります。

 

次に、深刻な状況にある児童生徒に対する支援活動は、教員やスクールカウンセラー、適応指導教室だけでは不十分であり、蓄積されたノウハウを備えたチームにしか成し得ないということについてのご質問にお答えいたします。

ご指摘のとおり、深刻なひきこもり状態の児童生徒への対応については、教員やスクールカウンセラーなどの学校に所属する教職員、および適応指導教室等の教育関係機関だけでは対応が困難です。

そのような児童生徒に対しましては、現在でも、「アシスとしま」をはじめとする子ども家庭部や保健福祉部、医療機関や警察等の関係機関、必要に応じて民間機関やNPO等とも連携し、それぞれがもつ経験や専門性を活かしながら、粘り強く対応しております。

 

次に「不登校・引きこもり予防協会」と連携して不登校対策に取り組むことについてのご質問にお答えいたします。

現在、教育委員会では、不登校の児童生徒への支援の充実のため、フリースクールと連携した教員研修を実施しております。特に今年度は、本区卒業生が進学し、不登校や引きこもりの経験がある生徒を受け入れている高等学校と中学校を備える区内のフリースクールに講師を依頼し、小中学校の生活指導主任等を対象にコーチングの技術を生かした児童生徒理解をテーマに、教員研修を行いました。

参加した教員からは、「今日の社会では、不登校という表現一つでくくれない、子供の困り感がある」こと、「不登校や引きこもりと言われる子供たちは、自分を認めてもらいたい、もっと学びたいと思っている」こと、「一人一人の力を伸ばすために、まだまだ学校教育にできることが多くある」ことをフリースクールの先生から学び、早速、学校では日常の実践に活用しているとの報告を受けております。

今後、教員研修の成果が、どの程度、各学校に広がっているかを検証するとともに、適応指導教室における指導や生徒児童の居場所を提供している外部団体との連携等について、目的と効果を見極めつつ、実現の可能性を探ってまいります。

 

次に不登校や引きこもりの児童生徒の可能性を生かせる新しい形の教育を検討することについてのご質問にお答えいたします。

持続可能な社会づくりを進めていく上で、不登校や引きこもり児童生徒に対する教育は極めて重要であります。

教育委員会では、今年度、学識経験者や学校関係者だけでなく、医療関係者や主任児童委員、保護者代表等にも委員に加わっていただき、「豊島区教育委員会不登校対策委員会」を設置し、本区の不登校対策の指針の検討を開始しました。これまでの委員会では、様々な様態の不登校児童生徒に対して

「オールとしま」の力を結集して、地域全体で育む枠組みが必要であることを共通の認識として検討を進めており、今年度末には、支援体制の枠組みを整理した内容を取りまとめる予定です。

その後は、その枠組みを学校や地域に広く周知し、学校への登校のみを目的とするのではなく、一人一人の児童生徒がじっくりと自分を磨くことのできる場を提供するとともに、地域全体で児童生徒の成長を支えていく強い絆を構築していきたいと考えております。

今後も、対策委員会における検討をふまえ、関係諸機関と連携を深めながら、新しい時代の不登校や引きこもり児童生徒に対する教育を引き続き検討してまいります。

 

以上をもちまして、島村高彦議員のご質問に対する答弁を終わります。