令和4年 第一回定例会 一般質問
「希望と安心のSDGs実現都市に向けて」

公明党  西山 陽介
令和4年2月17日登壇

 

私は公明党区議団を代表して、「希望と安心のSDGs実現都市に向けて」と題し、1.新型コロナウイルス感染対策について、2.池袋の都市再生について、3.脱炭素社会の実現について、4.子ども・子育て支援について、5.デジタル化の推進ついて、6.シビックプライドの推進について、7.その他として、旧文成小学校跡地について一般質問をさせていただきます。

はじめに、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々に、心から哀悼の意を表しますとともに、療養中の皆さまにお見舞い申し上げます。また、地域を懸命に支えている各施設に従事する方々をはじめ、保健所職員の昼夜を分かたぬ激務や、感染症対策に応じていただいている全ての皆様へ、心より感謝と御礼を申し上げます。

高野区長は新年を迎え、「感染対策、SDGs、デジタル化、池袋の都市再生の4つの重点テーマ」を掲げられました。私ども公明党も、今年の区政90周年から100周年に向けて、誰一人取り残さないとの理念のもと、希望を持ち安心できる豊島区の構築に全力で取り組む決意です。

 

1.はじめに新型コロナウイルス感染対策について質問します。

この新型コロナとの闘いが3年目に突入しました。年初からの感染力の猛威に、多くの方の不安が広がっています。

3回目接種で供給されるワクチンは、2回目までと比べてモデルナ製の比率が高く、接種を迅速に進めるには、交互接種でも十分な効果と安全性が確認されていることへの理解が欠かせません。5歳から11歳の子どもに対する接種については、先月下旬、ファイザー社製のワクチンを2月28日の週から配送を開始するとの発表がありました。国内における12歳未満の感染による死亡例がないことや、重症化リスクも低いと指摘されていることから、これまで以上にワクチンの効果や副反応について、分かりやすく丁寧な情報発信が求められます。

交互接種や子どもへの接種に対する区民の不安解消に向けて、安全性や有効性に関するきめ細やかな情報提供が今後も求められますがご見解を伺います。

また社会機能を維持する方々が濃厚接触者となった場合では、どのような対応を取られているのでしょうか。お考えをお聞かせください。

 

次にコロナ禍での教育機会の確保についてです。

感染拡大に伴って学級閉鎖や子どもたちの療養などで、勉強の時間が失われるなど大きな影響を受けています。友達と会えないことや孤独感を抱いてしまったり、意欲を無くしてしまったり、精神的なダメージも小さくないと思われます。教職員の皆様のご苦労も相当なことと思います。

コロナ禍における学校での教育機会の確保への対応について、教育長のご所見をお聞かせください。

 

2.次に池袋の都市再生について質問します。

先月17日の記者会見では高野区長より、池袋駅の東西を結ぶ街づくりについて表明されました。「歩行者の回遊性をアップさせ、駅ビルばかりに人が集まり、駅袋と揶揄される街のイメージ一新を図る。新しいものと古いものが混在する雑多性と多様性、ごちゃごちゃ感。池袋らしさを残しつつ、開発を進める」と。同席された都市政策顧問の隈研吾さんは、「線路をまたいで、歩道橋や広場が街の東西を繋ぐ形態をダンベル構造と表現。世界から注目される街が間違いなく実現する」と、力強いメッセージを送っていただきました。

まずは池袋西口駅前再開発、人間優先の回遊性を高める、ウォーカブルな街づくりの構想と伺い、池袋で生まれ育ち、池袋をずっと見てきた私にとりましても、夢舞台のような未来都市として、今からワクワクする思いです。

 

本区は1人暮らしの高齢者が急速に増えてきました。これからもさらに増えていくでしょう。

日経新聞が行った首都圏に住む60から74歳の男女1200人に聞いたアンケートで、自宅以外で定期的に行く居場所がありますか?という問いでは、1位は男女共通して図書館。その後は女性の場合はスポーツクラブとか、親族の家とか友人の家。男性は、図書館についで多いのが公園、そして見つからない、特にないという順でした。

このことについて識者は、居場所というある意味では簡単なことのように思えて、これが非常に以前と比べて見出しづらい状況になっている。福祉政策とまちづくり・都市政策をつなぐという視点が重要との見解でした。

高齢者に限らず、人々がゆっくり過ごせるような場所、それが駅中心部を完全に歩行者だけの空間にして、車椅子のお年寄りや障がいをお持ちの方、ベビーカーをひいた女性が普通に過ごせる。広い意味での福祉的な意味、それから環境的な意味、街の賑わいという点でも、ウォーカブルシティという歩いて楽しめる街、このコミュニティ空間づくりが先ほどの居場所のことについても、ポストコロナとしての希望と価値ある街づくりにつながるのではないでしょうか。

歩いて楽しめる街は、本来は高齢化とは無関係に持続可能な福祉社会として、未来都市のあり方として実現されていくべきものと思えます。

今後の人口減少社会を見据え、コミュニティと街づくりの視点で池袋の都市再生がもたらすことについてご所見をお聞かせください。

 

昨年の第4回定例会での招集挨拶では、「池袋の西口の開発に合わせて池袋駅北口にはコインパーキングになっている未利用地も点在しており、今後西口周辺エリアは街が大きく変貌を遂げるポテンシャルを秘めている」と述べられました。

区政100周年に向けて池袋西口が大きく変貌する中、この北口周辺の未利用地が取り残されていくのではないか、その先にある地元池袋平和通り商店街や池袋本町地域が賑わいから外れてしまうのではないか、とても危惧しているところです。北口周辺は池袋の街づくりの最終章になるのでしょうか。

是非、池袋駅北口周辺の再生についても区長のご所見をお願いいたします。

 

3.次に脱炭素社会の実現に向けて質問します。

脱炭素社会の実現に向け、私たち区民が日常生活でできることは何でしょうか?

衣食住や余暇の過ごし方をはじめとする私たちのライフスタイルは、気候変動への影響とその対策に密接な関わりがあります。日々の暮らしを支えるためのライフスタイルに関連して排出される二酸化炭素などの温室効果ガスは全体の約六割を占めています。気候危機を乗り越えるためには区民や地域に具体的に何ができるのかについての情報発信が益々重要になってきます。

こうした中で気候変動への影響を小さくする持続可能なライフスタイルへ、これまでの対策の中心である再生可能エネルギーや移動手段だけでなく、食生活、衣類などの消費財の購入も含め、区民の暮らしを支えるあらゆる製品やサービスはその製造、輸送、使用から廃棄までの間に生じる温室効果ガスを排出しています。これらの消費のあり方を見直し、脱炭素型の製品やサービスを利用していくことが温室効果ガスを削減する持続可能なライフスタイルに繋がります。

 

栃木県は温室効果ガス排出量を実質ゼロにするカーボンニュートラルの2050年実現に向けて、基本理念や県民の責務、役割などを明確にする条例を制定する方針を明らかにしています。

条例名に脱炭素が明記されているのはまだ10条例もないようです。徳島県脱炭素社会の実現に向けた気候変動対策推進条例や長野県脱炭素社会づくり条例、横浜市脱炭素社会の形成の推進に関する条例などです。

本区においても条例という大局的な観点で2030年、その先の2050年に向けて、本区のカーボンニュートラル達成の道筋として、条例化の検討をされては如何でしょうか。ご見解を伺います。

次にグリーンライフ・ポイント制度の活用についてです。

環境に配慮した製品購入などにポイントを付与するもので、環境に配慮した行動に付加価値を付けることで国民のライフスタイルの転換を促し、温室効果ガスの削減につなげるのが狙いです。

板橋区では区民や事業者の省エネ行動を促すため、「いたばし環境アクションポイント事業」を始めています。

前年と比べて電気・ガス使用量を削減した登録者に対し、削減率に応じたポイントを付与しています。「テレビをつけている時間を1日1時間減らす」「小まめにシャワーを止める」などを実践項目として例示。所定のポイント数に達すると、登録者に配布された報告書を区に郵送することで区内共通商品券と交換できる。地域経済の活性化にもつなげる考えと伺いました。

区民一人一人の意識改革と行動変容を促すには、日常生活の中に、温暖化対策を自然な形で取り入れ、無理なく実践できる仕組み、楽しみながら温暖化防止につなげるためにも、グリーンライフ・ポイントの発行と普及拡大が有効と考えます。ご見解をお聞かせください。

 

国では地球温暖化対策推進法に基づき、地球温暖化対策計画に即して、地方公共団体による温暖化対策のための事務事業編、計画区域編の2種類の実効計画を策定するよう要請されています。

そこで、2050年カーボンニュートラルを都内ではいち早く宣言をした本区では、ゼロカーボン戦略を検討されていると伺っておりますが、その内容についてお聞かせください。あわせて個人や地域の取り組み、推進への働きかけについてのお考えを伺います。

 

4.次に子どもと子育て家庭への支援について質問します。

はじめにヤングケアラー支援についてです。

家族への世話が「お手伝い」の範囲を超えれば、勉強や健康、友だち関係、将来の進路にも影響を及ぼしかねません。

このヤングケアラーの問題が顕在化する中、国では、ヤングケアラーについて支援策を検討するため、厚生労働省と文部科学省の共同プロジェクトチームを立ち上げ、早期発見に向けた啓発や相談体制の拡充などの支援方針が盛り込まれたと承知しています。

神戸市では昨年から専門の支援部署を開設し、20代も含めた「こども・若者ケアラー」専用相談窓口を設置、福岡市では社会福祉士が相談に乗るNPO法人に委託し、同様の窓口を設置するなど、先駆的な取り組みを進めています。

 

本区においても、ヤングケアラーという名称自体が、まだまだ一般的に知られている状況にはなく、子ども自身の学業や生活に影響が出ないよう、社会全体で子どもを支えていくためにも、世間の認知度を上げていく必要があると考えます。相談体制や、子ども自身が気軽に相談できる窓口の確保も求められます。

今後のヤングケアラーの相談体制をはじめ、支援策を拡充し、ヤングケアラーの負担軽減につなげていくべきと考えますが、どのように取り組んでいくのかご所見を伺います。

 

次に学校におけるヤングケアラーの支援についてです。

学校では、教職員は子どもの変化に気づきやすく、子どもたちのSOSの声を直接聞くことができ、ヤングケアラーを見出しやすい立場であり、学校や教育委員会の果たす役割はとても重要です。学校においても子ども自身のヤングケアラーについての認知度を上げることや、教職員のヤングケアラーについての理解促進を図ることなどが求められます。

学校現場におけるヤングケアラーの啓発について、どのように取り組んでおられるのか、教育長のご所見をお聞かせください。

 

次に子育て家庭への家事支援についてです。

政府は社会福祉法人やNPO法人などに業務委託し、子育て家庭を訪れて料理や掃除などの家事を支援する制度を新設するとのことです。育児負担を重く感じたり、孤立化を防いだりするのが狙いです。

本区では、子育て訪問相談事業や育児支援ヘルパー事業など、養育支援訪問事業が行われており、近年は利用者の増加傾向があります。

新たな家事支援制度案は市区町村が実施主体と聞いています。制度の対象家庭は、主にひとり親や低所得など困難を抱える場合としていますが、共働き家庭でも、事情によっては支援対象を検討すべきと思います。

本区では、妊娠期からの相談に応じ、地域の子育て支援拠点、子ども家庭支援センターを中心に、多角的な支援を講じていただいております。

包括的支援の視点で貧困や介護、障がいなど、複数課題を抱える事例に対応できるよう、新たな家事支援制度に取り組んでいただきたいと考えますが、ご見解を伺います。

子どもの幸せと子育ての安心が充実され、優しさに満ちた豊島区を目指してまいりたいと思います。

 

5.次にデジタル化の推進について質問します。

昨年10月の都政新報に「自治体DXの進め方」、副題に「全職員が自らの業務をデジタル化」と題して、本区情報管理課長などを務めた、KUコンサルティング、代表社員、高橋邦夫さんが執筆本の紹介とともに懐かしい笑顔で掲載されていました。

記事の一部を紹介しますと、「政府が目標に掲げるソサエティー5.0のスマートな社会の実現には誰一人取り残さない人に優しいデジタル化を目指す必要性」や「行政サービスについて、デジタル技術やデータを活用して住民の利便性を向上させるとともに、デジタル技術やAI等の活用により業務効率化を図り、人的資源を行政サービスのさらなる向上につなげていくことが求められる」など発信され、ご活躍の様子に触れ大変うれしくなりました。

総務省は「デジタルガバメント実行計画における自治体関連の各政策について、自治体が重点的に取り組むべき事項内容を具体化するとともに、総務省及び関係省庁による支援策等を取りまとめ、自治体DX推進計画として策定し、デジタル社会の構築に向けた取り組みを全自治体において着実に進めていく」との方針が出されています。

重点取り組み事項には、特にマイナンバーカードの普及促進、行政手続きのオンライン化が挙げられ、マイナンバーカードを使ったコンビニ交付は、2022年2月1日現在914市区町村、本籍地が異なる場合の戸籍証明書、戸籍謄本等のコンビニ交付は595団体。そのうち本籍地と住所地が異なる場合でも、交付可能な団体は480団体でした。

マイキー部分の活用を開始している自治体もあり、前橋市では、デマンド相乗りタクシーのマイナンバーカードの活用や、マイナンバーカード対応記帳台を導入して、転入届などの届出書や住民票や戸籍などの各種証明書等の申請をマイナンバーカードを使って簡単作成、宮崎県都城市ではお悔やみ窓口に活用しているようです。

マイナンバーカードの普及率1位の石川県加賀市では、独自の普及策とともにカードの受け取り方法も柔軟にしていて、昨年10月以降は宅配便によるマイナンバーカードの交付を始めました。申請の際の本人確認を条件に、後日マイナンバーカードを自宅へ配送するため市役所まで受け取りに行く手間が省け好評です。加えてマイナンバーカードをデジタル上の身分証にしてスマホで完結できる行政手続きを次々と増やしているとのことです。

はじめにマイナンバーカードでの戸籍証明コンビニ交付について伺います。

昨年84歳の地域の女性高齢者の方から、戦没者の遺族に対する特別弔慰金の請求にあたって、静岡県伊東市に戸籍があるため、その戸籍の証明書を得るためにはどうすればいいかとの相談を受けました。ご本人はすでにマイナンバーカードを有しているため、証明書のコンビニ交付サービスができないものかと考えておりましたけども、現在、豊島区では戸籍事項証明書はコンビニで交付される状況にはなってございません。この相談者の出身地、すなわち戸籍が伊東市にあるため、伊東市ではこの戸籍事項証明書のコンビニ交付サービスがあります。2018年12月からスタートしています。事前に利用登録申請をする必要がありますが、伊東市からこの戸籍事項証明をマイナンバーカードを使って豊島区内の最寄りのコンビニで取得することが可能となったわけであります。

一方、豊島区では戸籍のコンビニ交付サービスがまだ開始されておりませんので、同様なケースも含めて、戸籍の証明をいざという時に必要とする場合には、その方にとっては遠方遠隔地へ出向くことも考えられます。また、郵送による戸籍証明の申請も可能ではありますが、非常に手間がかかる上、高齢者にとっては準備するものなどが結構ございまして、そういう意味では非常に戸籍の遠隔地からの取得というのは困難な状況にあると考えられます。

本区におきましてもこの戸籍事項証明がコンビニ交付でき、マイナンバーカードの一層の利便性向上、高齢者にも優しい対応をご検討いただきたいと思いますが、そのお考えをお伺いいたします。

 

政府は手続きの自動化やワンストップ化、データ活用で一人一人に合ったサービスの選択などが可能なデジタル社会をめざすとしています。区民の皆様や事業者が安心してその利便性を享受できる社会を目指して、デジタルの効果を発揮できるようなキャッシュレス基盤の構築をはじめ、デジタル社会の実現にどう取り組むのかが今後益々問われてまいります。

今後は民間事業者との連携を進め、マイナンバーカードを基に利用できるサービスを広げることなど、デジタル化によるメリットを享受できる地域社会のデジタル化を一層推進するため、デジタル社会の恩恵を高齢者など多くの住民が実感できるためのデジタル活用支援と、地域におけるデジタル人材の育成についてご所見を伺います。

 

6.次にシビックプライドの推進について質問します。

シビックプライドは都市や地域に対する市民の誇りという概念で使われます。シビックには権利と義務を持って活動する主体としての市民性という含意があるそうです。そこからシビックプライドには、自分自身が関わって都市や地域を良くしていこうとする当事者意識に基づく自負心が内包されていると言われています。

 

シビックプライドの期待される効果として、例えば防災活動に積極的に参加するとか、町会活動や街づくり活動などの地域活動に積極性が出てきたり、参加する気持ちに熱心になる、またNPO活動の活発化などいろいろと考えられます。

シビックプライドを端的に言えば、地域愛を高めていこうということではないでしょうか。

今後人口減少が進むことにより、シビックプライドはますます注目されることと考えられます。これからは人口の量も大事ですが、豊島区に住まう人々の愛着信、あーここっていいな、という思いが積み重なって欲しいと思います。そんな豊島区民の熱い気持ちが定住人口につながり、その形成のためにはシビックプライドは必須と考えます。

 

住民参加の街づくり、地域コミュニティの活性化をさらに進めていくためには、この地域に対する住民の誇りや自負心を喚起することが求められてきます。そこで本区のシビックプライド推進についてご所見をお聞かせください。

また、市民にとって伝わりやすく、またシビックプライドの醸成に繋がるような情報発信というものが必要になってくると思いますが、お考えを伺います。

 

7.最後にその他として、地元にある旧文成小学校跡地活用の検討について質問します。

いよいよ今夏、新しくなる池袋第一小学校が「森の中の学校」というコンセプトで竣工します。子どもたちをはじめ、保護者・地域の皆さんの喜びはいかばかりかと思います。また今年の90周年記念事業にも位置付けられました。

この2年半、上池袋に住む子どもたちは、東上線を乗り越え、保護者や交通指導員さんらに見守られ、本町小学校の子どもたちと交錯しながらも楽しみに通学されたことと思います。

 

さて地元では池一小仮校舎の後は何ができるのだろう、と思いを巡らす方の声が以前からございます。

プランの公共施設管理には、今年度から活用方針検討が続いております。検討が継続しているものと想定しますが、それにしても夏以降、子どもたちはいなくなるわけですから、近隣・地域に対してとりあえずの活用方針などを発信していただきたいと思います。

また、さらに活用検討を進めるうえでは、今その時のニーズだけでなく、20年後30年後を見据えた活用の在り方を含め、地域の皆さんと一緒になって検討を深めていかれることを期待します。

今後の旧文成小学校跡地活用の検討について、そのお考えをお聞かせください。

以上で私の一般質問を終了します。ご清聴ありがとうございました。

公明党 西山陽介議員 令和4年第1回定例会 一般質問答弁

高野区長

ただいまの、西山陽介議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。

新型コロナウイルス感染対策についてのご質問のうち、まず、ワクチン接種の安全性や有効性に関するきめ細かな情報提供についてのご質問にお答えいたします。

新型コロナウイルスワクチン接種につきましては、感染症の蔓延予防の観点から、予防接種法では「努力義務」とされております。これは接種を強制するものではなく、ご本人が納得した上で接種をご判断いただくということであり、そのためには、接種を受けることによるメリットとデメリットの情報が必要となります。特に、交互接種や小児接種は、新たな接種方法となることから、ご指摘のとおり、安全性・有効性に関するきめ細かな情報提供が不可欠であると考えております。

交互接種とは、1・2回目接種時に用いたワクチンの種類にかかわらず、3回目接種でファイザー社ワクチン・モデルナ社ワクチンのいずれも使用することが可能となったもので、どちらのワクチンでも十分な効果と安全性が確認されております。こうしたことから、国は、交互接種も選択肢に含め、早く接種できるワクチンから接種いただくことを推奨しているところです。

5歳から11歳の小児への接種につきましては、3月からの開始に向け、準備が進んでおり、本区では、小児科の医療機関において実施する予定です。日本小児科学会は、5歳から11歳の健康な子どもへのワクチン接種は意義があるとしており、接種を受ける本人と養育者が発症予防等のメリットと、副反応等のデメリットを十分理解し、接種前・接種中・接種後のきめ細かな対応が必要との見解を示しています。

こうした接種に関する情報につきましては、接種券に同封の「接種のお知らせ」でわかりやすくご説明するとともに、広報としま、豊島区ホームページ、LINE、twitter、としまテレビ等の様々な情報ツールを活用し、今後も、積極的、かつ、きめ細かに発信してまいります。

 

次に、社会機能を維持する方々が濃厚接触者になった場合の区の対応についてのご質問にお答えいたします。

国は1月28日付の事務連絡で、新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者に求められている自宅などでの待機期間を、それまでの10日間から7日間に短縮したうえで、地域における社会機能の維持のために必要な、いわゆるエッセンシャルワーカーについては、事業者が実施する4日目、5日目の抗原定性検査が連続して陰性であれば5日目に待機を解除できることを通知しました。

区としては、事業者や区民の皆さんからご相談があった際には、「エッセンシャルワーカーの定義」や「検査方法」などの情報提供を行うとともに、解除後も10日目を経過するまでは検温など健康状態の確認が必要なこと、事業者が検査を行うにあたって、ご本人の同意を得る必要があることをお伝えしております。

 

次に、池袋の都市再生についてのご質問のうち、まず、今後の人口減少社会を見据え、コミュニティと街づくりの視点から池袋の都市再生がもたらすものについてのご質問にお答えいたします。

池袋の都市再生は、隈研吾先生が提唱された「ダンベル型のまちづくり」を羅針盤とし、池袋駅周辺の4つの公園とイケバスによる、他に類のないウォーカブルなまちづくりとして進めてまいりました。

また、先般の記者会見では、東口のグリーン大通りと西口のアゼリア通りをシンボルストリートとする池袋駅を挟んだ東西をダンベルとする新たな構想も発表いたしました。

この池袋の都市再生は、人口減少社会で目指すべきまちづくりの一つの方向性を示すものと考えております。

確かに、人口減少社会においては、経済社会活動の縮小に伴う財政への影響を前提に、賑わいの創出や、コミュニティの希薄化、高齢化社会に対応したバリアフリー化など様々なまちづくりの課題に対応しなければなりません。

しかし、池袋の都市再生は単に開発を進めるのではなく、再開発によって生み出されたオープンスペースを活用したり、今まで自動車優先だった公共空間を人優先の空間に大胆に転換し、歩行者がまち全体を回遊して、様々なアクティビティを楽しめる、まち全体が舞台となる国際アート・カルチャー都市を実現するものであります。

今はコロナ禍で休止または縮小しておりますが、西口公園や公共空間を活用したふくろ祭りをはじめとして、多くのイベントが地元主体で行われ、地域のコミュニティも活発であります。

池袋西口周辺は、古くは池袋モンパルナスとして若き芸術家達が活動し、その精神を現代に引き継ぐ、新池袋モンパルナス西口まちかど回遊美術館として発展しており、現在も多くの文化・芸術系の専門学校が集積する国際アート・カルチャーの素地とコミュニティがあります。

国際アート・カルチャー都市という他の都市にない個性と魅力に加え、先般、発表させていただきましたように、ウォーカブルなまちづくりを進めることで、多様な人々が訪れ、行き交い、新たなコミュニティが生まれます。「池袋に来れば何かある。」そんな期待感がさらに人を呼び、賑わいを創出する好循環が生まれます。

この池袋の都市再生を進めることで、新たなコミュニティが生まれるとともに、地域のコミュニティを下支えすることで、さらに魅力的なまちづくりをもたらすものと考えております。

 

次に、池袋駅北口周辺再生に対する私の所見についてのご質問にお答えいたします。

池袋駅北口は、西一番街をはじめ、雑多で池袋らしさの残る飲食街が池袋繁華街の象徴として存在感を発揮しております。また、平和通りやトキワ通りなどの西口周辺に街の奥行きを広げるための北側の玄関口として非常に重要な位置にあります。

しかし、線路沿いのエリアは、コインパーキングなどの低未利用な状況が続いており、池袋北口の再生は池袋西口の最重要課題であります。

北口ではかねてより事業者から開発の相談はあったものの、いまだ事業化には至っておりませんが、低未利用地を集約することで、まとまった規模での開発が可能なエリアであります。

駅からも近く、商業・業務・ホテル等様々な用途での開発の可能性があります。

池袋駅西口地区再開発事業は、駅前だけでなく駅周辺にもにぎわいを広げることで、まち全体の価値を上げることを目指しており、東武鉄道がこの西口再開発とともに東武東上線上空デッキを検討しております。

この東上線デッキは、東西デッキと池袋大橋をデッキレベルでつなぐとともに、バリアフリー化により、新たな歩行者ネットワークを形成するものであり、駅からのにぎわいを周辺に広げるとともに、今後の北口周辺の開発機運をさらに高める契機にもなります。

現在池袋西口周辺では、丸井跡地と、西池袋一丁目地区でも開発の検討が進められております。

これら池袋西口周辺の開発がそれぞれ相乗効果を発揮し、池袋の魅力である雑多で多様なまちを形成していくよう、池袋駅北口周辺の再生を進めてまいります。

私と同じように池袋で生まれ育った西山議員が感動するように、池袋の都市再生の構想が出来上がってまいりました。池袋の東西を結ぶグリーン大通りとアゼリア通りを軸として、池袋駅周辺の4つの公園を核としたウォーカブルなまちづくりは、居心地が良いまちなかの形成につながり、豊島区全体に広がっていくものと考えております。

今後さらに「ウォーカブル都市宣言」も検討しつつ、ウォーカブルな価値あるまちづくりを実現させてまいりたいと思います。

 

次に、脱炭素社会の実現についてのご質問のうち、まず、カーボンニュートラル達成に向けた条例制定についてのご質問にお答えいたします。

本区の環境基本条例は、地球温暖化の防止やヒートアイランド現象の対策など、環境政策の基本指針を定めたものとなっており、制定当時としては、時代の先端を行く条例でした。

しかしながら、すでに条例制定後14年近くの年数が経過しており、「脱炭素」や「カーボンニュートラル」の考えや方針が明確にされているとはいえません。

本区としましては、SDGs未来都市の一丁目一番地である環境政策の一層の取組を進め、更にはカーボンニュートラルへの決意を明確に位置付ける意味でも、本条例の改正または新条例の制定を検討する時期にきているのではないかと考えております。他の自治体などの例を十分に研究し、本区にふさわしい条例のあり方について検討してまいります。

 

次に、グリーンライフポイントの発行と普及拡大についてのご質問にお答えいたします。

区民の皆さんや事業者が実践する環境配慮行動に対して、ポイントを付与する取組は、インセンティブにより省エネルギーや資源循環などの行動を促すものであり、ライフスタイルの転換を図るうえで、選択肢の一つになると考えられます。

板橋区の事業は、3か月間の取組結果をポイントに換算し、区内共通商品券を受け取る仕組みとなっており、手軽に環境配慮行動を始めることができる好例と考えられます。国においてもこの事業に対する補助制度を始めておりますので、他自治体の先例の研究を進めるとともに、環境とインセンティブがセットになった事業の実施に向けて検討してまいります。

 

次に、ゼロカーボン戦略の検討内容及び個人や地域の取組並びに推進への働きかけについてのご質問にお答えいたします。

本区は、令和3年2月18日の第1回区議会定例会において、23区で3番目となる「ゼロカーボンシティ」を宣言いたしました。現在、2050年に本区の温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするため、環境審議会において「2050としまゼロカーボン戦略」について検討していただいております。

委員の皆様のご意見をまとめた戦略の素案では、2050年のゼロカーボンに向け、2030年度における温室効果ガス排出量削減目標を2013年度比で現行計画の39%から50%削減へと大幅に引き上げられております。

また、「環境にやさしいエネルギーの利用促進と省エネルギー化の推進」、「未来へ向けたライフスタイルの転換」、「資源循環・3Rの推進」、「区の率先行動」を基本の柱として、2050年ゼロカーボンを目指す内容となっており、区民や事業者の皆様と共有してまいります。

CO2は、主に「食」「住居」「移動」など日常の生活の中から排出されますので、ゼロカーボンを目指すためには、CO2を排出しない「脱炭素型」のライフスタイルへの転換が不可欠です。

ゼロカーボン戦略では、この考え方を「未来へ向けたライフスタイルの転換」として、個人の取組を明確に位置付けております。

また、環境は地域全体で取り組む課題でありますので、地域団体や教育機関、企業等と連携して取り組まなければなりません。まさに、オールとしまで取り組む豊島区全体の課題であり、今後も、ゼロカーボンへの機運を醸成しながら、更に環境への取組を強化してまいります。

 

次に、シビックプライドの推進についてのご質問のうち、まず、区におけるシビックプライド推進に対する考え方についてのご質問にお答えいたします。

昨年7月に実施した「協働のまちづくりに関する区民意識調査」では、「地域に愛着を感じる」と回答した方が48.5%、「やや感じる」を含めると約85%の好意的な回答をいただきました。

また、今回の調査から「豊島区に住む誇り」について新たにお聞きしており、「誇りに感じている」が25.3%、「やや感じている」を含め、約6割となっています。

これまで「住みたい、住み続けたい、訪れたい」と思える持続発展するまちを目指して、シビックプライドにつながる地域への誇りと愛着を醸成してきた取組が、評価された結果であると自負しております。

その一方で、人口の社会移動が大きい本区の特性、特にコロナ禍で転出超過となる現状では、こうした取組を継続することが重要であると再認識するとともに、さらに総合的な政策へと展開していく重要性を改めて痛感したところです。

去る1月31日に基本構想審議会の原田会長から答申をいただいた後期・基本計画では、全ての施策をバージョンアップする3つの視点の一つに「参画と協働によるまちづくり」を位置付けています。また、成長戦略の目的として「地域の個性あるにぎわいや、多様なコミュニティと、未来を担う人を育て、郷土の誇りやシビックプライドを高める。」ことを明記しています。

来年度の区制90周年では、こうした基本計画の考え方を踏まえ、区民の皆さんに少しでも区政に関心を持っていただけるような取組を進めてまいります。そして、区民の愛着心と熱い気持ちを定住人口の増加につなげてまいりたいと考えております。

 

次に、シビックプライド醸成につながる情報発信の必要性についてのご質問にお答えいたします。

シビックプライドの醸成には、豊島区の魅力を国内外のメディアを通じ発信していくことと、区民の皆さんが主体的に区の魅力を発掘し発信する区民参加型の情報発信を両輪として進めることが重要であると考えます。

区民参加型の情報発信として、「としまひすとりぃ」や「としまSDGsアクション」では、様々な分野で活動されている区民の皆さんにスポットライトをあてて紹介しております。

また、公募した区民ライターが地元の魅力を紹介する「イケ・サークル」や、区内の学生が同世代に向けてコロナに関する注意喚起動画を発信しています。区のSNSなどを通じ、役所言葉でない、親しみやすい言葉づかいやイラストを活用することにより、多くの皆さんから共感をいただいております。

今後さらに、多様な施策の広報発信に多様な世代の区民参加を促すことで、区民の皆さんのまちへの愛着や地域課題への気づきを掘り起こすことにつなげ、現在の区民、そして将来の区民のシビックプライドを高めていけるよう最善を尽くしてまいります。

 

なお、私からの答弁は以上ですが、その他の質問につきましては、両副区長から、教育委員会の所管に属する事項につきましては、教育長から答弁申し上げます。

 

デジタル化の推進についてのご質問のうち、まず、戸籍事項証明がコンビニ交付できるなどマイナンバーカードの一層の利便性向上及び高齢者への優しい対応を検討することについてのご質問にお答えいたします。

戸籍証明書をコンビニエンスストアで交付するサービスは、マイナンバーカードをお持ちであれば、必要な時にいつでもどこにいても、とりわけ、すぐに取得できるようになる、高齢者にも優しい、便利なサービスであります。

本区におきましては、平成28年にコンビニエンスストアで住民票、印鑑証明書、税証明の交付を開始いたしましたが、戸籍証明については、当時は、住所と本籍がともに豊島区にある方のみが対象であるなどの利用条件の問題、費用の問題により導入を見送ってきた経緯がございます。

現在は、本籍地と住民登録地が異なる場合も取得できるようになるなど、利用条件が改善されました。ご指摘のように、他自治体の利用も進み、23区におきましても、14区がすでに利用を開始していることから、利便性は高まっているものと考えております。

一方、マイナンバーカードの累計交付率は、全国で41.7%、本区においては48.8%に達し、区民の2人に1人がマイナンバーカードを所有する状況になってまいりました。

こうした状況を踏まえ、本区においても戸籍証明書のコンビニ交付の早期導入に向けて、高齢者の利用に配慮しながら、積極的に検討を行ってまいりたいと考えております。

 

次に、デジタル社会の恩恵を高齢者など多くの住民が実感できるためのデジタル活用支援及び地域におけるデジタル人材の育成についてのご質問にお答えいたします。

総務省の調査によれば、60歳代で約67%の方がスマートフォンを所有するなど、高齢者のデジタル機器の所有は広がりを見せております。しかし一方で、電子マネーや行政手続きなど、身近なデジタルツールとしての利用はまだ十分ではなく、今後、区としても積極的に取り組む必要があると考えています。

そのため、平成30年度から区民ひろばなどで、主に高齢者を対象としたスマートフォン講座を開始したところでございます。コロナ禍で教室の休止が続いていましたが、昨年12月には、地域SNSアプリ「ピアッザ」の区民ひろばへの導入を契機として、このアプリの使い方を含めた講座の開催を始めたところでございます。

また、昨年10月には「豊島区プレミアム付デジタル商品券」の購入方法や使い方等に関する「スマートフォン相談会」を、5か所の会場で計10回開催し117名の方にご参加をいただきました。さらに12月には高齢者クラブ連合会会員に向けた個別のスマートフォン相談会を実施するとともに、第11地区をモデル地区とした区政連絡会のリモート開催も試行を始めています。

このように、地域の皆さまに各種のデジタルツールを体験する機会、そして活用方法を一緒に考える機会を継続的に提供することで、デジタル機器の活用を支援してまいりたいと思います。また、こうした教室などの経験者から地域のデジタル化を推進する人材育成プログラムの検討も進めるとともに人材育成に関して、民間企業のノウハウやアイディアを募集するなど、テーマ設定型の公民連携の検討にも取り組んでまいります。

 

次に、その他のご質問のうち、旧文成小学校跡地活用の検討についてのご質問にお答えいたします。

令和4年9月に池袋第一小学校の新校舎が竣工するため、仮校舎としての旧文成小学校の使用は終了いたします。

現時点では、令和5年度以降の活用方針を具体的に定めておりませんが、当面は、区の施設を改修する際の代替機能や倉庫利用など、暫定的な利用を続けていきたいと考えております。

地元の町会長をはじめとした、池袋本町の地域の皆さまには、池袋本町小学校の児童と同様、仮校舎に通学する池袋第一小学校の児童を温かく見守っていただいております。

令和4年の1学期が終わる7月には、地域の皆さまに対しまして、これまでの見守りのお礼と当面の暫定的な利用方法についてお伝えさせていただくよう準備したいと考えております。

なお、将来的な活用検討につきましては、ご指摘のとおり、当面のニーズだけでなく中長期的な行政ニーズや地域の状況などを踏まえながら、活用プランを検討してまいります。

 

私からの答弁は以上でございます。

 

子ども・子育て支援についてのご質問のうち、まず、ヤングケアラーへの相談体制や支援策を拡充し、負担軽減につなげていくことについてのご質問にお答えいたします。

ヤングケアラーの支援には、子どもが置かれている状況に合わせた柔軟な対応が求められています。現在、本区が実施している施策・事業で、ヤングケアラーへの支援につながるものについて、全庁調査をしており、まずはそれを整理した上で、当事者や支援者に対する、わかりやすい情報発信を工夫してまいります。

また、国の動向を確認しつつ、教育委員会と緊密に連携しながら、令和4年度にヤングケアラーの実態調査を実施したいと考えております。

このような実態把握に先立ち、教育部、子ども家庭部、保健福祉部等による庁内の検討組織を立ち上げるとともに、民生委員・児童委員や民間団体とも連携した会議体を設置し、実効性の高い対策について検討してまいります。

さらに、児童虐待防止月間であり、また、「としま文化の日」もある11月には、区政施行90周年記念事業として、「オレンジリボンフェスタ」と称する事業を開催し、若者を主役としたイベントの場も活用しながら、児童虐待の防止とともに、ヤングケアラーとその支援に関する普及啓発に取り組んでまいります。

ヤングケアラーへの支援にあたっては、支援に携わる関係者の理解を深めることが何より重要です。このため、要保護児童対策地域協議会において、ヤングケアラーに関する研修を行うほか、事例の共有などを通じて連携を強化し、区内の相談体制を整備してまいります。

 

次に、複数の課題を抱える事例に対応できるよう、新たな家事支援制度に取り組むことについてのご質問にお答えいたします。

本区では、ご指摘のとおり、養育支援訪問事業に積極的に取り組んでおります。児童虐待の予防、子どもの安全、安心な生活の保障という観点から、養育に困難を抱える家庭については、ひとり親、共働きなどの制限をすることなく、妊娠中から18歳までの子どものいる家庭を対象に、支援を行っております。

養育支援訪問事業については、現在5つの事業者と契約しており、産前産後の女性特有のニーズに応え、母親の心身をケアする産後ドゥーラの認定を受けたベビーシッターのいる事業者や、家事支援のできるベビーシッターを多く確保している事業者、また、虐待リスクの高い家庭の支援に力を入れている事業者など、それぞれの事業者の得意とする支援を活かして、子育て家庭の状況に合わせたヘルパーを派遣しております。

今後、国の新たな家事支援制度についての詳細が明らかになりましたら、既存施策との整合を図り、多様な課題を抱えた家庭への支援について、積極的に検討してまいります。

 

私からの答弁は以上でございます。

 

引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問に対しまして、お答え申し上げます。

新型コロナウイルス感染対策についてのご質問のうち、コロナ禍における学校での教育機会の確保についてのご質問にお答えいたします。

本区では可能な限り学校での教育機会を確保する姿勢で臨んでおりますが、現在の第6波の感染拡大に伴い、残念ながら学級閉鎖や自宅待機などで、登校できない状況の子供たちが増加いたしました。

まず、学級閉鎖時の学習の保障といたしましては、授業の時間割を基本にタブレットPCを活用したオンラインによる双方向型の学習支援を行っております。学級閉鎖時のオンライン授業の様子を私も直接拝見しましたが、児童・生徒は、先生の質問に対して「挙手ボタン」で反応しマイクで答えたり、協働学習のツールを使って一斉に意見を書き込み、発表したり、教室での学習と近い状態で学習を進めることができておりました。

一方、昨年度の学校再開時から始めた「心と体の健康アンケート」につきましては、現在も定期的に行っており、タブレットPCに搭載しているアンケートソフトを使い、子供の健康状態とともに心の様子を確認する工夫をしている学校もございます。コロナ禍の生活による不安の軽減に向けて、学校では、一人一人の小さな心の変化も見逃さないようにするとともに、教員やスクールカウンセラーとの面談や、児童・生徒同士が心を交流する活動を意識的に実施するなど、きめ細かな指導を継続しております。

収束の見通しが立たない中ではありますが、引き続き、タブレットPCを活用した新たな学びをしっかり継続するとともに、子供たちの気持ちに十分留意して教育機会の確保をしてまいります。

 

次に、子ども・子育て支援についてのご質問のうち、学校におけるヤングケアラーの啓発についてのご質問にお答えいたします。

現在、全ての区立小中学校で心のケア委員会を設置して、学期初めには必ず全員アンケートを実施し、様々な困り感を抱える子供の把握と、寄り添う支援体制づくりに努めております。その中では、アンケートを通して、日常生活の中の悩みを相談する事例もございます。その際は、まず、子供にとって身近な存在である教員やスクールカウンセラーが窓口となって受け止め、子供が安心して生活できるよう関係機関との連携を含めた支援を行っております。

しかしながら、ヤングケアラーにつきましては、子供たち自身が必ずしも問題を自覚し、SOSを発信するとは限らないという可能性を常に考えておく必要がございます。

教育委員会といたしましては、まず教員に向けて、ヤングケアラーに関する理解及び関係機関等との連携についての研修を実施し、SOSをしっかりと受け止める学校環境を整えていきたいと考えております。

子供たちや保護者に対するヤングケアラーに関する啓発につきましては、今後、福祉部門との連携を一層強化するとともに、家庭内のデリケートな問題であることに配慮しつつ、子供たちや保護者の理解を深めるための機会をどのように設定すべきか、具体的に検討してまいります。

 

以上をもちまして、西山陽介議員のご質問に対する答弁を終わります。