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「今を見据えて未来を開く」

公明党 島村 高彦
平成28年11月29日登壇

私は公明党豊島区議団を代表して、「今を見据えて未来を開く」と題し、防災対策について、敷地内の建物以外の私有財産の適正管理対策と空き家活用について、不登校・中途退学対策について、駒込駅東口バリアフリー化について、その他として木密地域のまちづくり事業に伴う従前居住者対策について一般質問を行います。

最初に防災対策です。まず災害時要配慮者対策についてお尋ねします。本年の第2回定例会で、条例改正により精神障害の方と人工呼吸器利用者を避難行動要支援者として名簿登載することとなりました。加えて、この要支援者と従来からの要援護者を含む、それ以外の「要配慮者」が新たに定義されました。特に定められた障害がなくとも避難に際し配慮が必要とされる人たちです。すなわち日頃、若くて健康であっても、災害発生時、あるいはそれ以前に病気や骨折等ですみやかな避難が困難である人も含まれ、当然、名簿に登載されていない方々です。そこで、最初に全体的な取り組みですが、これまでの名簿登載の要援護者に対する避難支援体制も確立していない中、今後については名簿未登載の要配慮者に対する避難支援にも取組まねばなりません。すなわち地域全体の避難支援活動における意識の向上を促す対策が急がれますが、このことをどのように認識されているのかお答えください。

次に災害時要援護者名簿については、地域共有方式を要望し続けたものの個人情報保護法がネックとなり、長い間、実現できなかった経緯があります。そして、平成24年2定において条例化を提案させていただいた結果、防災対策基本条例に位置づけられ、ようやく実現をいたしました。そこで、これまで地域提供を行った要援護者名簿の活用について、どのように支援されてきたのか、また新たな要支援者も加えた名簿の活用について、どのように支援していくのか、具体的にお聞かせください。

次に要援護者も含めた、要配慮者の地域における避難支援の取組みについてお尋ねします。これまで要望を重ねたことは、要援護者名簿の地域提供に伴い、あるいはそれより先に地域における「要援護者に対する連携した避難支援」の重要性を認識していただく取組みでありました。しかしながら、名簿の提供が開始された平成267月から現在に至るまで一部の町会を除き、区内全域で要援護者避難支援訓練に取組んでいる状況にはなっていないと感じられるのですが、いかかでしょうか。ご認識をお示しください。これまでも巣鴨三明町会や他自治体の具体的な取組みをご紹介申し上げ、本区にその取組みを促してまいりました。そこで今回はこれまでの取組みについてお尋ねいたします。特に平成22年2定では次のように答弁されております。「避難支援の重要性がよく理解できる方法について・・・来年度は地域の防災リーダーを対象に、研修会を開催し、避難支援の取組み事例の発表や意見交換を行う機会を設けていきたい」また、「支援内容や危険回避策を理解しておく必要があるので町会を中心とする地域の方々と共に、安否確認訓練や支援者向けの図上訓練等、実際に役立つ訓練を検討」するとの答弁です。どこでどのように実施されたのかお聞かせ願います。

「災害時要援護者支援の手引き」には「災害時要援護者への支援は、セーフコミュニティ活動の一つです」と記されております。この質問を取り上げるのは一般質問だけでも5回目であります。地域における避難支援の取組みが区内全体に浸透していくまで、これからも取り上げてまいります。

次に救援センターの開錠と災害対策要員についてのお尋ねです。過去の質問において、夜間・休日の救援センターの急な開設が必要となった際、参集する災害対策要員や配備職員だけではスムーズな開錠が行えない可能性があることから、地域の方にもその役割を担っていただくよう提案をさせていただきました。答弁は「最悪の場合を想定すると、地域にカギを預けるのは有効な対策であり、今後、学校側と調整し、地域住民版の災害対策要員制度などを設け、カギの管理をお任せする方向で、具体的な検討にはいらせていただく」とのことでした。これまでの検討状況をお聞かせください。もちろん、救援センターを開錠するということは、混乱の中で地域本部とも連携を取らねばならず、担当職員も到着していない中、その後の開設準備も十分な訓練を積んでいなければなし得ず、これほどの重責を地域の方に担わせるのはいかがなものかという課題はあります。したがって全ての救援センターで同時に地域にカギを管理してもらうことなど不可能であることは十分、承知しております。しかしながら、災害の規模が大きいほど、公助には頼れず、自らの地域は自らで守り抜くしかないという共助の精神を少しでも醸成していくために各地域の区民と十分な検討を重ねていただくことを期待いたします。また、カギの管理は別として、答弁にあるような「地域住民版の災害対策要員制度」を救援センター地域ごとに創設し、区の災害対策要員とも連携して訓練を重ねていくことができれば、各町会の垣根を超えた連携と共同が可能となり、災害時に極めて有効な取組みとなると考えますが、その認識と今後の方針についてお示しください。

次に災害対策要員の適性配置と日頃の取組みについてのお尋ねです。現状、本区には43の宿舎と38名の対策要員がおります。彼らは夜間・休日の救援センターに誰よりも早く駆けつけて避難住民を受け入れるために、センターを開錠する責務を担っております。すなわち、担当救援センターのより近くにいることが求められます。しかしながら、現状は駒込中学校の担当要員が巣鴨3丁目に寄宿していたり、駒込小学校や目白小学校の担当が上池袋2丁目に寄宿したりしております。大災害時、混乱を極めた街中を走り抜け、担当救援センターに駆けつけるのに妥当な距離と言えるのかどうか、宿舎の適正な配置を再検討する必要はないのか、お考えをお聞かせください。次に、災害対策要員の日頃の活動ですが、現状、合同防災訓練には参加をしているとのことですが、それよりも頻繁に行われている地域の防災訓練には姿が見えません。対策要員の業務は救援センターの開錠にはじまり、センター解説準備の支援、そして他の職員と連携してのセンターの運営となっております。当然、避難してくる区民と最低でも顔見知りであった方が、救援センターの開設・運営を円滑に行うことができると考えます。もとより対策要員は区内に居住していることから、担当救援センター地域内の地域防災訓練やその他の行事にも積極的に参加することが、彼らの存在を区民に知ってもらい、顔なじみになれば、緊急時にお互いに連携が取りやすくなると考えますが、お考えをお聞かせください。担当職員の負担が増えるという考え方ではなく、地域の輪に加わることで仕事がやりやすくなると捉えていただければ幸いでございます。

次に隣接区連携対策です。最も大切なのが地域における隣接区の住民同士の連携ですが、複数回取り上げておりますので、今回は行政同士の連携対策についてお尋ねします。以前にも申し上げたとおり、隣接区地域は日頃、区界を意識せず住民同士が交流しております。災害発生時には本区の住民が隣接区に避難することも、隣接区から本区に避難してくることも想定できます。相互に連携し合う住民に対して、それを支援する行政もまた、連携が求められると考えます。それに対して「特別区災害時相互協力及び相互支援に関する協定」を見ても発災直後の連携体制については、実効性がなく、また、本年9月に行われた総合防災訓練・図上訓練においても隣接区との連携訓練は行われておりませんでした。本区の災害対応システムは先駆的であり、それに呼応するシステムが隣接区に整備されていないという課題もあるかと思いますが、災害時における行政同士の隣接区との連携体制は早急に取組むべき課題であると考えますが、ご見解をお示しください。

次に町会・地域防災組織に配備されている防災資器材についてお尋ねいたします。昨年度より、本区及び豊島消防署は、震災に備えるため、従来型の防災訓練から一歩踏み込んだ「発災対応型訓練」と「救援センター開設訓練」を開始いたしました。より実践的な訓練を取り入れたことは、大きな進歩であると高く評価いたします。そこで、各町会の防災倉庫に配置してある資器材についても、実践性の高いものにしていくべきと考えるものです。たとえばD級可搬ポンプすなわち小型消火ポンプも、防火水槽のあるところでなければ、水利を得られず、その前にほとんどが重い鉄のマンホールを開けねばなりません。また、吸管装着からエンジン始動、放水に至るまでの全過程をこなせる人は少なく、高齢者や女性には困難な作業となります。ちなみに我が町会においては、これを扱えるのは私ひとりであります。また、これよりは実践性が高いスタンドパイプにしても、やはりマンホール以上に重い消火栓の鉄蓋を開け、水道管へのパイプとホースの装着も経験なくしてはできません。もちろん各町会の構成人員や訓練の成熟度によって異なりますが、このようなごく限られた人しか使いこなせない資器材が災害時に有効に活用できるとは考えにくく、実践性に乏しいと思われますが、ご見解、ご認識をお示しください。一方で本区は木密地域にある公園等に操作が簡単な簡易水道消火装置「街かど消火栓」を配置しております。これにより、使用経験がない人が実際の火災で初期消火により延焼を食い止めた事例も本区内にあり、誰でも容易に使用できる利点があります。さらにこの街かど消火栓には設置型ではなく、より経費もかからない「ハリアー」と呼ばれる携帯型消火装置もあり、水道の蛇口につなぐだけで高齢者も女性も容易に消火活動が可能となります。こうしたより多くの人が扱える防災資器材を配置し、地域の防災対応力を向上させる取組みが重要であると考えますが、いかかでしょうか。この簡易型消火装置はすでに都内で普及されておりますが、特に区界に設置、配置し、隣接区にもそれを推奨していくことにより、支援があいまいになりがちな隣接区域の住民同士の防災力向上につながると考えますが、いかかでしょうか。

我が町会では、本年度、東京都の地域の底力再生事業助成金を活用し、このハリアーを3台購入いたしました。ほぼ全額近く助成金でまかなうことができ、町会の負担はごく軽微なものでした。すなわち区や町会の財政負担なしで、配備ができるのです。しかしながら、助成金の申請に当たってはかなりの手間を要しました。現状、多くの町会において役員の高齢化も進む中、申請時の負担の問題も生じ、そもそもこうした助成制度の存在自体、かなりの町会で認識されていないのではないでしょうか。そこで、地域の防災力を底上げするためにも、区の助成金だけでなく、都の助成金の活用についても積極的に周知し、申請時の支援にも取り組んでいく必要があると考えますが、ご見解についてお答えください。

最後に各町会に交付されている本区の地域防災組織運営助成金と防災訓練助成金についてのお尋ねです。両助成金については、領収書の提出が不要でありましたが、昨年度より領収書提出が義務付けられました。町会担当者の負担が増しましたが、理由として監査委員の指摘があったからとのことです。区民の税金が元手となる助成金の内訳を明示するのは当然のことでしょう。しかしながら、運営助成金については、運営会議経費をはじめ、5項目にわたって該当する領収書を分類添付しなければならず、訓練助成金も町会によっては複数回実施するたびに提出せねばなりません。先に述べたとおり、町会役員の高齢化や役員のなり手が不足しているような状況でこの事務負担が原因で地域の防災活動が低迷し、本区の大きな目標である地域防災力の向上と相反してしまうような懸念はないのか。これまでの各町会の反応も含めてお答えください。また、一方でこれより高率の額で同じく町会に支給されている区政協力活動費については、領収書の提出は不要となっております。理由はわかりませんが、本来、最大の防災対策は地域のコミュニティを向上させることであり、そのこと自体が区政への協力度も高めていくのではないでしょうか。そうであるならば、防災関係の助成金と区政協力活動費を分ける必要があるのか。いずれにしても今後、事務負担軽減策が求められると考えますが、ご見解をお示しください。

第2番目に敷地内の建物以外の私有財産の適正管理対策と空き家活用についてお尋ねします。「建物のない空き地・更地」「居住者のいる敷地」「空き家の敷地」の3つの形状の敷地内にある樹木や置物等も含めた全ての私有財産への対応については、国の「空家等対策の推進に関する特別措置法」、そして本区の「建物等の適性な維持管理を推進する条例」の双方に定めがなく、いかなる具体的な指導、勧告、是正措置も不可能なことが昨年の一般質問で明らかになりました。答弁では「更地の樹木の繁茂等に適切に対応できる新たな仕組みを検討する必要があると認識しており」「今後検討を進め、なるべく早い時期に一定の結論を出したい」とのことでしたが、今日に至るまでの具体的な検討状況と今後の方針について、お聞かせください。すでにご承知の居住者のいる敷地の樹木により周辺住民を悩ませている巣鴨地域や空き地に放置された樹木の繁茂により損害を受けている駒込地域の課題には、早急な対策が求められております。

次に樹木と並んで地域の課題となる、いわゆる「ごみ屋敷」問題ですが、23区では本区に先駆けてすでに7区が対策条例を施行しており、他数区が条例制定を予定しております。いずれも福祉部門や環境部門と連携し、ごみをためる根本原因への対策まで踏み込んだものとなっております。中でも足立区の「生活環境の保全に関する条例」ではゴミだけでなく、本区では対応できない敷地の樹木の繁茂にも対応できるものとなっており、しかも代執行も可能としております。今後も発生が危惧されるごみ屋敷問題についても樹木等と同様、対応できるようにするべきと考えますが、ご見解をお示しください。最後に空き家活用について、これまで文京区の事例も上げ、空き家所有者に対して活用を促す手法について取組むべきことを訴えてまいりましたが、前回答弁で「新たな施策も検討しているところ」であり、「さらに効果的な施策を検討」していくとのことでした。現状の検討成果についてお示しください。

第3番目に不登校・中途退学対策についてうかがいます。

不登校でも、中途退学でも本人が前向きに社会の中で生きていけるのならば問題はないわけですが、実際、これらの子どもたちの多くは不登校を契機として、引きこもりや生活の乱れなど、深刻な課題を抱えてしまうことが多く、将来、社会的・職業的に自立することが困難になるおそれがあり、こうした人が増加していくことが大きな社会問題となります。もちろん、本区が「としま未来塾」の設置やスクールソーシャルワーカーの活用等、様々と取組んでいることは承知しております。しかし依然として不登校の児童・生徒は存在し、また今後も発生することが考えられることから、さらなる体制を整備していただきたく取り上げるものです。東京都もこれを重大な事態と受けとめ、昨年5月、公立高校及び区市町村教育委員会と心理、福祉、医療、労働、警察、民間支援団体等の関係者による「不登校・中途退学対策検討委員会」を設置いたしました。以下、この検討委員会の報告も参考にお尋ねします。まず平成26年度調査では、都立高校の不登校生徒の内、全日制で14.8%、定時制では42.2%の生徒が小・中学校時代に不登校を経験しております。そこで委員会では「小中学校・高等学校における不登校対策と高等学校における中途退学対策を一体的に捉えていくべきである」としております。すなわち、中学卒業までの義務教育課程にある子どもたちへの対応が本区の責務でありますが、今後は中学卒業後、また高校に進学した本区の子どもたちに対しても支援が届く連携体制を構築すべきと考えますが、教育長のお考えをお聞かせください。

次に不登校の未然防止対策として、その前兆となるような変化を見逃さないようにすることが求められますが、多忙な教員がこの早期発見にどのように取組んでいるか、また、理由不明の欠席が続いたときの初期対応方法は関係者間で共有されているかについてです。欠席が長期化すれば、ますます登校意欲を失ってしまいます。したがって、初期対応が極めて重要であり、全ての教職員、関係者が共通認識のもと、確実に対応できるようにしておく必要があります。さらに不登校が始まる時期は、小学校から高校まで共通しており、新学期の4月と夏休み明けの9月が多いことから、この時期を迎える直前の対策も重要と考えますが、本区の不登校に対する未然防止の取組み状況についてお聞かせください。

次に不登校となる原因の分析についてのお尋ねです。主に学習状況、児童・生徒や教員との人間関係、家庭環境に大別できますが、児童・生徒一人一人の状況により様々な要因があります。その要因を深く分析していくことが、今後の不登校対策に有効と考えます。この不登校の原因調査として気になる調査結果があります。文部科学省の「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」は学校側が回答したものです。同じく文部科学省は、この調査対象となった当時の中学3年生の不登校生徒に対し、その5年後に追跡調査を行い、本人に直接尋ねました。結果、学校調査では教員が不登校の原因であるとの回答は1.6%と学校調査のなかでは、もっとも数値が小さく、それに対し本人調査では26.2%にもなり、16.3倍もの開きが生じました。他の項目はさほど大きな乖離がない中、教育長としてはこの調査結果をどうお考えになるかお聞かせください。また、本区として不登校の原因分析をどのように行っているかお答え願います。

次に不登校となってしまった児童・生徒に対する支援策です。都内公立小・中学校では、いずれの支援機関の相談・指導も受けていない不登校児童が小学校で9.4%、中学校では15.6%存在します。本区の代表的な支援機関である適用指導教室・柚子の木教室には現状、小学生で13名の不登校児童の内3名、中学生で56名の内36名が通級しております。残りの30名に対してはどのような指導、支援を行っているのかお聞かせ願います。また、東京都は平成20年度に学校復帰に向けた支援として区市町村教育委員会に対し、「個別適応計画書」の作成とこれを活用した取組みの推進を通知しております。都の様式を工夫・改善して取組んでいるところもあれば、計画書自体作成していなかったり、作成しても単に対応経過を記録しているだけの場合もあるとのことですが、本区の作成・活用方法についてお聞かせください。次に最も重要な支援体制ですが、学校や教育委員会と関係機関、専門家等との連携・協力が十分に行える体制が整備されていることが求められます。そこでまず、不登校の課題解決に大きな役割を担っているスクールソーシャルワーカーとの連携です。都全体では、その業務について、教職員に十分に理解されていると感じたワーカーはわずか8.5%であり、それ以外にも勤務日数が限られていることもあり、迅速、柔軟な相談対応がしづらい、教員等と打ち合わせする時間を確保しづらいといった声もあります。本区では教職員のスクールソーシャルワーカーの業務に対する正確な理解のもとで、十分な連携が取れる体制となっているか、お答えください。また、児童・生徒と年齢が近いため、子どもにとって話しやすく悩みを打ち明けやすい存在として、大学生が有効に機能するケースが多く見られるとの報告があります。大学生の活用について現状と今後の方針についてお示しください。その他、福祉・医療といった関係機関と地域を含めた外部機関との連携についても十分に機能しているか、また、最も大きな要因である家庭・保護者に対する働きかけと連携状況についても、お聞かせ願います。

次に様々な手を尽くしても、どうしても学校になじめず、復帰できない児童・生徒に対する支援策です。検討委員会の報告においても「自立を促す観点に立ちながら、学校以外の場での学びも認められるべきである」としております。大切なのは、児童・生徒が将来自立していくために、社会との接点を持ち続けられるようにすることだと考えます。現在、自立支援や学習支援、家族支援等、不登校児童・生徒の特性に合わせて独自の支援に取組んでいるフリースクールが全国に約400校あり、約4,200人の小中学生が在籍し、ここに居場所を見出している児童・生徒もおり、彼らの社会的自立を支援し、一定の成果を上げております。課題とされているのは、教育委員会や学校がこのフリースクールの情報を把握しておらず、連携した対応事例がほとんどないこと、児童・生徒がここに通学していることを把握していないケースもあること、そして一定の要件を満たすフリースクールで指導を受けた場合、校長は指導要録上出席扱いにすることができることになっているが、実際に、こうした措置が取られているケースが少ないことです。今後のフリースクール等の活用方針について、ご見解をお示しください。

次に高校進学時の中学校における進路指導についてお尋ねです。都内で高校中途退学者の4割以上が退学した高校を志望していなかったという報告があります。したがって、進路指導にあたっては、生徒の興味・関心や適性、そして進学先の高校の特色を十分に把握し、適切な指導を行うことが、その後の不登校や中途退学を未然に防止する第一歩となります。本区の進路指導に対する取組み状況をお聞かせください。

また、高校進学後、万が一行き詰まり、中途退学しても再入学の機会を提供するチャレンジスクールや年度途中でも転学や編入が可能な補欠募集制度、さらには不登校生徒のセーフティネットと言われる通信制課程など、多くの救いの手があることを中学の進路指導において保護者や本人に徹底して周知・理解させることも重要です。この取組み状況についてお聞かせください。

次に不登校等の理由で学習の機会を逃し、学校の教育的配慮により中学校を卒業した「いわゆる形式卒業者」に学び直す機会を提供している夜間中学が都内に8校あります。この夜間中学について該当の保護者や本人に適切に情報提供する必要もあると考えますが、現状と今後の方針についてお聞かせください。

最後に高校進学後の支援と連携です。本年度からチャレンジスクール5校が、個々の生徒に適切な支援が行えるよう、その生徒の中学時代の状況を都内中学校から聞き取る取組みが開始されました。本区としても今後該当する生徒がいた場合、積極的に連携・対応すべきと考えますが、いかかでしょうか。また、何より、本区の中学卒業生が入学した公立・私立高校との連携対策が強く望まれますが、どのように取組まれるのか。さらに、不登校対策には迅速性と実効性が求められることから、本区とも関わりの深いNPO高卒支援会など、実績のある民間団体も積極的に活用していくべきと考えます。そして高校退学に当たり、誰にも相談せずに決める生徒も少なくないことから、在籍高校の支援とは別に呼びかけや相談ができる体制を整備していくことも今後の有効な対策と考えます。高校進学後の本区の子どもたちへの支援について、教育長の今後の取組み方針をお示しください。不登校・中途退学対策には特効薬はなく、困難で粘り強い取組みが求められます。大切な豊島の子どもたちが一人も余すところなく未来に羽ばたいていけるよう教育豊島の本領発揮を期待いたします。

第4番目に駒込駅東口バリアフリー化についてお尋ねします。平成21年5月、同駅東口へのバリアフリー化に関する要望書が1,876名の署名を添えて、NPO駒込駅周辺街づくり環境整備協議会から、本区と北区、JRにそれぞれ提出されたことから、平成23年1定において本区の取組み方針をお尋ねいたしました。答弁では「構造的に通常の工法では設置が困難であり、未だバリアフリー未整備の駅があることから同駅東口はJRの優先度が低いが努力はする」とのことでした。しかしながら、既にご承知のように、駅東口階段を利用できない乗降客は、北口に設置されたエスカレーター・エレベーターを利用するために、長く、急な坂を上っていかねばなりません。それもできなければ駅の利用自体が困難となるのです。要望書の提出から、すでに7年以上経過をしております。現状、設置可能な位置は選定したとのことですが、未だ正式な発表はありません。これまで北区、JRとどのような話し合いを重ねてきたのか、今後の取組み方針と合わせてお答えください。また、都の鉄道駅バリアフリー推進に関する補助金要綱によれば、本区の負担は北区と折半して事業費全体の12分の1となっておりますが、設置決定後の財政措置についてもお示しください。

その他として、木密地域のまちづくり事業に伴う従前居住者対策についてお聞きします。平成32年度を目標として、木密地域の改善整備を重点的かつ集中的に展開する木密地域不燃化10年プロジェクトは後半戦に入り、残り4年余りとなりました。既に、建替え助成などの不燃化に対する手厚い支援策を整え、豊島区で同時に決定する規模としては最大となる特定整備路線沿道の地区計画などの規制誘導策も定めています。今後とも、こうした諸制度を最大に活用して、地域の意識をさらに高め、密集地域の防災性をさらに高めていくことを期待しております。

その一方で、平成32年度までに密集地域のまちづくりが完了するわけではありません。

造幣局南地区や特定整備路線沿道、防災道路の拡幅整備など、平成32年度以降においても引き続き取り組むべきまちづくりの課題は多くあります。こうしたまちづくり事業を効果的に進めるには、従前居住者への対策も備えておく必要があります。

区は、高齢者住み替え家賃助成制度を拡充するなど、木密セクションと住宅セクションが連携した取り組みを行っていることは理解していますが、10年プロジェクトが後半戦に入り、不燃化対策から木密地域の街づくりへと大きく展開していく時期であるからこそ、従前居住者対策についても、さらに一歩進んだ対策を講じていくことが必要ではないでしょうか。

密集市街地整備法では、地方公共団体の要請により、UR都市機構が従前居住者用賃貸住宅の建設等の業務を行うことができる規定があります。URが従前居住者住宅を建設し、区が必要な住戸を借り上げるもので、区が借り上げる家賃と居住者の家賃との差額に対する国の支援策も用意されています。今年度末で要請期限を迎える最後のチャンスでもあります。

そこで、従前居住者賃貸住宅の建設等に関するUR都市機構への要請についてのお考えについてお聞かせください。

以上で私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。