第4回定例議会 根岸光洋一般質問

2016.11.30登壇

「誰もが安心して住み続けられる持続発展都市を目指して」

私は、公明党豊島区議団を代表して「誰もが安心して住み続けられる持続発展都市を目指して」と題して

  • 誰もが安心して住み続けられる施策について
  • 教育について
  • 都市整備について

一般質問を行います。この夏、ブラジルで開催されたリオオリンピック・パラリンピックでは、日本人選手団が大活躍をしました。メダルを取った時や、あと一歩のところで逃した瞬間など様々なドラマが生まれました。その感動が今でも思い起こされます。多くの方が次の東京オリンピック・パラリンピックへの期待を膨らませたことでしょう。スポーツは、トップアスリートから愛好者まで、競技することの醍醐味と楽しさはもちろんですが、見る楽しみ、支える楽しみなど、子供から高齢者にわたるまでたくさんの方々に、健康への想いや生きがいを与えています。その上で、2020年東京オリンピック・パラリンピックの開催は、これまで以上に文化・観光・教育など幅広い分野での取り組みが期待されています。豊島区では、「国際アート・カルチャー都市構想」をかかげ「マンガ・アニメの聖地」「演劇・美術のまち」「ソメイヨシノ発祥の地」「雑司が谷の未来遺産活動」など区の魅力と多様な取り組みを世界へ発信しています。消滅可能性都市から持続発展都市へと大きく踏み出してきた豊島区のさらに明るい未来を築く為に提案を含め、一般質問を致します。

1.誰もが安心して住み続けられる施策について

初めに、誰もが安心して住み続けられる施策について質問致します。「まち全体が舞台の誰もが主役になれる 劇場都市」として世界中の人々を魅了し、持続発展する都市の実現を目指す、国際アート・カルチャー都市構想をかかげる本区の取り組みのうち世界とつながり人々が集まるまちとしての国際戦略について、としまの魅力をどのように世界に発信していくのかお伺い致します。次に、国際アート・カルチャー都市としての機運向上と国内外における都市の認知の促進に向けて、平成31年度の東アジア文化都市の開催都市への名乗りをあげると伺っています。東アジア文化都市開催を目指す目的とその効果をどのように捉えているのか改めて区の見解をお伺い致します。

次に、11月の区長記者会見で発表された2020年に向けた国際アート・カルチャー戦略の新展開について伺います。初めに、池袋が国際的なアニメ映画祭のメイン会場になる「東京アニメアワードフェスティバル」の開催の概要と目的その効果について伺います。この国際アニメ映画祭は、2014年から現在まで日本橋で開催されてきましたが、今回、池袋が最適地として評価されたことに対して区はどのような見解なのか伺います。さらに国際アート・カルチャー都市構想のもと、2020年に向けて、世界中のアニメファンを呼び込むとしていますが今後の取り組みについてお伺いいたします。また、アニメの原点はマンガであり、マンガの聖地である「トキワ荘」について今後の展開をお聞かせください。

先日、公明党区議団では瀬戸内国際芸術祭の開催地である高松市を訪問しました。この瀬戸内国際芸術祭は、過疎化・少子化への取り組みとして2010年に始まり瀬戸内海に面する自治体が参加しています。2000年に過疎に悩んでいた越後妻(つま)有(り)地方で、地域に内在する様々な価値を、アートを媒体として掘り起こし、その魅力を高めて世界に発信し、地域再生の道筋を築いていこうとする、大地の芸術祭「越後妻有アートトリエンナーレ」が開催されました。以来、大地の芸術祭は、3年毎に開催され地域の活性化に多大な効果をもたらしてきました。瀬戸内国際芸術祭はこの大地の芸術祭を参考にして開催されたと伺いました。第1回目の2010年は93万人、第2回目の2013年は107万人、そして今年開催された第3回目も100万人を超える来場者で賑わいを見せています。瀬戸内国際芸術祭は、里海である瀬戸内海の島々を中心として展開し、瀬戸内の魅力を全世界に発信し、サポーターや島外の人々の参加を得たイベントなどを通して、島々の生活に再び光を当て、元気再生の機会とし、瀬戸内地域の活性化を図ろうとして企画されていました。島での開催では普段生活している地域に様々なアート作品が展示されていました。静かな島の生活に多くの来街者が訪れることを地域が一緒になって受け入れていました。廃校となった小学校や空き家を活用した展示や体験型の作品などいずれも素朴ななかにも素晴らしいものばかりでした。そこで伺いますが、こうした地元住民との協働による賑わい創出について本区ではどのようにとらえているのか伺います。またアート作品は廃校となった小学校や公園の他、県庁、駅、港など公共のちょっとしたスペースを活用して展示されていたのが印象的でした。本区とは環境も違いますがこうした点在する公共のスペースを活用したアート展示についてどのような見解をお持ちか伺います。さらに芸術祭を支えていたのは行政ももちろんですが多くのサポーターであるボランティアの方々でした。老若男女問わず係わっていました。私が、お話を伺った方は、20代の女性で神戸市から2週間、実行委員会が用意した寮に泊まってボランティア活動をしていました。こうしたボランティアさんによる活動はなくてはならないものだと痛感しました。2020年のオリンピック・パラリンピックを迎える東京そして豊島区では、急速に増加する外国人観光客への対応は、まさに喫緊の課題であると考えます。本区の観光協会では、「外国語観光ボランティアガイドの会」が来日外国人の対応に活躍しています。案内の参考となる資料を個人で作り来日外国人をおもてなししようと努力している方もいると伺いました。こうしたボランティア活動に対しても区の係わりと助成が必要と考えますが区のご見解はいかがでしょうか。

瀬戸内国際芸術祭での移動手段は、主として市内ではコミュニティバス、島へはフェリーですが、そのフェリーにレンタサイクルを持ち込んでの移動も見受けられました。高松市では市内に7か所のレンタサイクル場を整備しています。利用料は、24時間以内なら何回利用しても200円。ちなみに放置自転車として撤去された場合は1,500円が徴収されます。瀬戸内国際芸術祭の展示箇所を回るなどには大変便利です。そこで質問ですが、本区でも導入を検討しているシェアサイクルの検討状況はどのようになっているのか伺います。駐車場については、区内駐輪場の共通駐車券の発行や外国人向けには事前に利用料をコンビニでのカード決済をするなど考えられると思います。また、商店街の活性化として、店舗前などに駐車スペースを確保すると同時に、店舗での飲食代やお買い物の割引をするなど検討してはどうかと思いますがいかがでしょうか

また、立川市では36カ国92人の芸術家による作品群「ファーレ立川アート」を分かりやすくガイドするアプリ「ファーレ立川アートナビ」を導入。同アートのコンセプトの一つは「驚きと発見の街」があり、あえて作品の説明板は付けていません。その為、作品自体を目にする人は多くても、作品の持つユニークさなどを知る人はほとんどいませんでした。このアプリでは動画や音声で作品を紹介し、多言語対応もしています。本区でも区内の様々な展示物や歴史的建造物、アート作品やアニメの展示物やイベント内容の紹介などにも活用できる紹介アプリの導入を検討してはどうかと思いますがいかがでしょうか

東京オリンピック・パラリンピックの文化プログラムが本格始動しました。政府は史上最大規模となる20万件のイベントの実施や5万人のアーティスト参画、5000万人のイベント参加達成を目指しています。これまでのオリンピックでは、1912年のストックホルム大会から1948年のロンドン大会までは「芸術競技」としてスポーツを題材にした建築や彫刻、音楽などの5部門で競われてメダルが授与されていました。1952年のヘルシンキ大会からは「芸術展示」1992年のバルセロナ大会以降は複数の文化イベントからなる「文化プログラム」として多彩なプログラムが展開されるようになりました。1998年の長野冬季大会では、264のイベントが実施され約270万人が参加しました。文化プログラムの中でも特に大きな成果を挙げたのが2012年のロンドン大会と言われています。2008年の北京大会の引継ぎ式以降、英国全土で展開されて成熟都市で行う文化プログラムの手本を示したとも言われています。4年間のイベント総数は約18万件、イベント参加数は約4340万人を記録しました。ニッセイ基礎研究所の吉本光宏研究理事は、文化プログラムを開催する意義について、「最大の意義は、誰もが文化を通して五輪に参加でき、五輪を身近に感じられる点だ」と述べ、東京五輪については①日本の文化芸術の発信に限らず、芸術文化で日本が国際的に貢献できれば「芸術の消費地」から「国際的な芸術創造の拠点」になり、世界における文化的プレゼンス(存在感)を向上させる絶好の機会となる。②各地の文化力を高め、地方創生につながる。③東京は、一般家庭のピアノ保有台数が83万台、お茶やお花を日常的に楽しむ人が46万人、新聞発行部数は540万部に上り、主要紙には俳句コーナーがあるなど日本人は芸術を鑑賞するだけでなく自らが意欲的に芸術活動を楽しんでいる点は国際的にも極めてユニークだと指摘しています。この習慣を文化プログラムに生かして海外にアピールしてはどうかとの提案もしています。そこで質問します。

東京大会における文化プログラムについてはまだ知られていない現状について十分に周知していくことが大切だと思いますが本区の周知方法についてはどのように考えているのかお伺いいたします。参加型のプログラムの展開についても文化庁では文化事業を担う人材を支援する制度を設けていますが、文化プログラム終了後もその人材が地域で活躍し、文化が継承されるような環境整備がかかせないとしています。継続した活動が重要であり、レガシーとして引き継がれていくことを視野に入れて事業を展開していくことを強く希望致しますがいかがでしょうか。

瀬戸内国際芸術祭は多くの成果をもたらしていました。男木島では、この芸術祭を通して、移住者が増え休校していた小中学校が再開校したそうです。今後のさらなる発展を期待致します。東京都の外国人訪問地の調査で、池袋は、2014年度は11位、2015年度は10位にランクされています。国際アート・カルチャー構想の推進によりさらに多くの方が来街し賑わい溢れる文化都市となることを期待します。

 

2.教育について

次に、教育の課題のうち、特別支援教育について伺います。

東京都特別支援教育推進第三次実施計画では、通常学級に在籍している特別な支援を必要とする児童・生徒の教育ニーズに応えるため、教員が巡回して指導を行う特別支援教室の全公立小・中学校への導入が明記されております。これまでの通級指導学級から、在籍校の特別支援教室で指導を受ける事ができるようになり、児童や保護者の負担が軽減されるようになりました。本区においても平成28年度から区立小学校で実施されていますが、現在の実施状況について伺います。

一方で、区立中学校では公明党の要望で、千川中学に通級指導学級が設置されました。区内設置は1校だけですが、今後拡充するお考えはあるのでしょうか。また、第三次計画には全ての中学校にも特別支援教室の設置が明記されていますが、教育委員会のお考えを伺います。

東京都はあわせて「自閉症・情緒障害特別支援学級」の計画的な設置を推進し、重層的な支援体制の整備を進めるとしています。私ども公明党豊島区議団も、これまで予算要望等で「自閉症・情緒障害特別支援学級」の設置を要望して参りましたが、現在の進捗状況について伺います。

 

3.都市整備について

次に、3番目の都市整備の課題のうち、空洞調査の推進、路面下(ろめんした)陥没危険個所調査について質問します。

今月の8日、福岡市のJR博多駅前で発生した大規模な陥没事故は幸いにして通行人や車両に被害はありませんでしたが、発生時刻などによっては大きな被害があってもおかしくない状況でした。事故は市営地下鉄の延伸工事中に発生しましたが、同様な事故が2000年6月と2014年10月にも起きています。福岡市の事故は他の自治体にとっても他人ごとではないと言えます。規模の大小こそあれ道路の陥没は各地で頻発しています。特に老朽化した下水道管の破損による陥没事故は、2014年度だけでも約3,300件発生しています。全国に設置されている水道管の12.1%が法定耐用年数を超えていますが、年間の更新は1%以下と言われています。東京都の管轄ではありますが、多くの区民の皆様も関心を持っています。そこでお伺いしますが、本区の水道管の法定耐用年数と更新の現状はどうなっているのかお聞かせください。2016年度国の補正予算には公明党の強い訴えにより、耐震性のある水道管への更新支援などに400億円が確保されました。積極的に活用して地下施設の点検・補修を推進していただきたいと思います。

私ども公明党が今まで提案してきました路面下空洞調査は2014年度、2015年度の両年にわたり行われました。災害時に緊急輸送道路が陥没などで通行不能とならないよう、日頃からの調査が大事となります。

過去には本区においても陥没事故がありました。乱歩通りでは2010年4月および2013年8月、グリーン大通りでは2011年5月、サンシャイン60通りでは2012年8月に、歩道部で空洞に起因する陥没が発生しています。

そこで、伺いますが、本区の区道実延長281kmについては、災害時に救援物資などが輸送される救援センター等へのアクセス道路を中心として調査が行われています。その対象道路はどのように選択したのか、全体の何割になるのか、また危険個所は何個所か。以前に陥没のあった個所と今回の個所の因果関係、そして原因等をお示し下さい。

本区では、福岡市のような大規模な陥没が起きそうな個所はないと考えますが、それぞれの危険個所の修繕はどのようになされているかお伺いいたします。修繕は原因者が行うものと考えますがいかがでしょうか、また抜本的な改修が必要な個所はあったのでしょうか。

東京都の地域防災計画には道路・橋梁の安全確保について、日常的な巡回点検に加え、路面下空洞調査などによる道路の維持管理の着実な実施と記載されています。これを受けそれぞれの区の防災計画に反映させています。例えば大田区では防災対策緊急プロジェクトに、道路ネットワークの確保について区道の路面下空洞調査の実施と明記されています。また港区の防災街づくり整備指針、新宿区の地域防災計画、横浜市の防災計画にもそれぞれ記載されています。

これらのことからも、この路面下空洞調査は災害時の道路通行を確保するうえでも非常に重要であると考えます。本区の防災計画に反映させる必要があると考えますがいかがでしょうか。

今後の取り組みについて伺います。今年度は、危険個所の修繕を行ってきましたが、いまだ全長の20%程度しか行われていません。今後も計画的な調査が必要と考えます。今後の事業計画をお示しください。

阪神淡路大震災から21年が過ぎました。NHKスペシャルで、あらゆるデーターを可視化しての報道番組がありました。首都圏を大地震が襲ったらどうなるのか、通行規制が利かない、最悪の場合をシミュレーションしたものです。地震から30分、安否確認の車などで渋滞が発生、1時間後多くの幹線道路が渋滞し身動きがとれなくなる。渋滞は直接的には人に被害を与えるものではありませんが、間接的な影響は非常に大きいものがあります。

最後の質問ですが、道路の安全については、区民の関心が高いところです。調査結果と今後の計画などを「ホームページ」等で公表し、また調査結果についても「ホームページ」や「広報としま」等を通してすみやかに区民にお知らせすべきと考えますが。いかがでしょうか。

安全・安心の街、豊島としては、道路整備一つとっても住み続けられる街としては大変重要な課題です。バリアフリーの観点から歩道の段差を最小限まで解消することに努めていますが、これからは車優先から歩行者優先に視点をかえるならば歩道の段差を無くすことを考えるのではなく、歩道はフラットにして、逆に車道に段差をつけるなど歩行者優先の道づくり、街づくりをするなど発想の転換も必要ではないでしょうか。誰もが安心して住み続けられる持続発展都市を目指して人間優先の施策がさらに推進することを期待して一般質問を終わります。

ご清聴ありがとうございました。