副議長(大谷洋子君) 一般質問を続けます。

  次に、二十一番議員より「行政改革と住民サービスの在り方を問う」の発言がございます。

      〔二十一番此島澄子君登壇〕(拍手)

○二十一番(此島澄子君) 私は、行政改革と住民サービスのあり方について、具体的には、一、新たな住民サービスの展開について、一、行政改革とその対応について、一、地域コミュニティ支援について、の以上三点にわたり、区長の見解をお伺いしてまいります。

  質問に先立ちまして一言申し上げます。それは、昨年第二回定例会におきまして、街づくりと自転車対策について質問いたしましたが、その中で、目白駅周辺の歩行者安全対策や池袋駅駐輪場誘導策の一つである路上ステッカーなど、迅速に対応していただきましたことに心から御礼申し上げます。区民の皆様から「こんなに早く対応していただけるとは思いもよらなかった。私たちの要望が目に見える形で実現できたことで、豊島区の行政に一層の信頼を寄せられるようになった。また、区長さん初め職員の皆様のご努力に感謝し、豊島区の行政改革にも理解と協力をしてまいります」との声が寄せられましたので、この場を借りて一言申し添えておきます。

  初めに、新たな住民サービスの展開について質問いたします。

  出張所の制度改革に取り組まれて、間もなく一年を迎えようとしております。この制度改革をするに当たり、区の大きな目的は次の三点でありました。一、行政運営の簡素化を目指す、二、住民の立場を尊重した仕事の取り組み、三つ目に、活力ある地域社会を築く、です。

  さて、その成果を問うにはまだ時浅しの部分はあるかと思いますが、区民の利便性を考えるとき、改善すべき点は直ちに改善していく姿勢が望まれます。

  そこで、この制度改革の目的である三点についてですが、まず一点目の行政運営の簡素化を目指すという点では、十二出張所を統廃合して、西部、東部の二カ所を区民事務所としたことで、一定の事務事業の拡大を図り、統廃合によって生み出された職員を区民事業の必要な部分に振り向けたことにより、組織運営経費の軽減を図ることができたと考えます。しかし、二点目の住民の立場を尊重した仕事への取り組みという観点では、果たして計画どおり実効ある対策となったかどうかは一考せざるを得ません。相談機能の充実とか、窓口対応については、区民の立場に立って安心と思いやりを重視するという点では、職員の努力が不可欠ですが、それだけではどうにもならない構造的な効率の悪さも見受けられます。

  例えば本庁舎の一階の住民記録係の窓口は、職員が十二名の人員増にもかかわらず、ひっきりなしの対応に追われ、見ているだけで目が回る忙しさです。これから、三月、四月と移動の時期を前に、幾ら仕事がスピーディでも住民サービスの点から考えると、気配り、心配りだけでは対応できないものがあると考えます。

  そこで質問いたします。初めに、出張所を統廃合して不便になることへの解消と窓口の混雑緩和のために、自動交付機が区内十二カ所に設置されておりますが、カードの作成率とその利用状況をお伺いいたします。住民票と印鑑登録証明書の何%が自動交付機によって発行されたか、また利用度の高い場所と低い場所はどこなのかお伺いいたします。

  また、十三年度の拡充事業に自動交付機を巣鴨信用金庫本店に移設とあり、これは地域のインフラとして金融機関を活用することにより、区民にとってより利用しやすい場所に設置していくお考えがあるかと思いますが、今後の移設計画があるのかお伺いいたします。

  さて、私ども公明党区議団が、二月初め約百名に行ったアンケートによりますと、既にカードをつくった人は十二名で、つくりたいと思っている人は八六%でした。そして、さらに「カードをつくりたいと思うが、交付に当たっては役所開設時間に身分証明書を持参して発行手続をしなければならず、今すぐカードをつくる必要に迫られていない」という声が多くありました。また、希望する人が申請書及び身分証明書のコピーを役所に送付することにより、金融機関のカードのように送付されるシステムがあれば、お願いしたいとの声もありました。

  いずれにしても、せっかくの情報技術が区民サービスの向上と業務の効率化、合理化につながるよう、区民への呼びかけが必要と考えます。

  また、機械でできる仕事は、極力機械化へと努力されておられますが、機械で処理できないのは相談業務などです。高齢者の中には機械は苦手という人も少なくありません。そこで、こうした人たちに対する対策も含め、区民の話をじっくりと聞き、必要な要望をしっかりと受けとめてもらえる相談窓口対応を望むというのが区民の声であります。

  さて、この窓口対応について、ご存じのように大阪府羽曳野市では、既に十年以上前から総合窓口を採用し、総合行政を実現しております。できるだけ市民を歩かせない、待たせない、立たせないように工夫されております。利用者がさまざまな手続を一つの窓口で一括して行うことができる、総合窓口を採用してやっております。現在、ほとんどの自治体は縦割り行政を引きずっており、このような形を採用しているところは多くありません。しかし、区民の立場に立ち、ましてや高齢社会においては、区民に対してわかりやすく説明、対応できる総合行政に向けて努力することは喫緊の課題だと考えます。本区の場合は、庁舎が狭あいで、しかも構造的に理想とするシステム導入は不可能に近いと理解しておりますが、それでも現状のままでいいとも考えておりません。どんなに厳しい環境であろうと、常に区民と同じ目線で業務を考えるのが、行政サービスの根本と言わざるを得ません。

  そこでお伺いしますが、国民年金課も国民健康保険課も、そして子育て支援課業務も、窓口対応を全部一階でやることは不可能でしょうか。そして、込み入った相談業務については、二階、三階でも仕方がないと思います。また、高齢者福祉課も信号を渡る道を教えなくていいように、本庁舎一階でほとんど大丈夫というふうな配置は不可能でしょうか。高齢者の方は自分の相談したいことが思うように話ができず、たらい回しにされて二度と行きたくないという声を聞くこともあります。そんなことがないように豊島区役所は外観は古いが中身は一番新しい感覚で進んでいる、区民に優しいと言われるような構造改革をすべきだと考えますが、区長のお考えをお聞かせください。

  さて、第三点目の活力ある地域社会を築くであります。

  廃止された出張所跡地の利用方針等は示されておりますが、廃止後の利用形態によっては、活力ある地域社会を築く核となり得る存在になることは間違いありません。特に、区民集会室は有料にする方向であればなおさらです。そこで、有料となった区民集会室の利用方法については、条件を緩和して自由に利用できるようにすべきだと考えます。自由といってももちろん営利を目的とすることは禁止するのが当然です。また、区民の中には場所を借りて高齢者等に福祉サービスをしたいという声もあります。また、防音環境が整っているところであれば、カラオケ設備をメーカーや業者に委託する形をとり、利用者はコインを入れて選曲する機種を設置すれば、区は予算をかけなくても可能だという声もあります。また、事務所跡はIT講習の場にすることも、高齢者は身近なところで遊び心で勉強することができます。それでも費用対効果で維持費等厳しいものがあれば、トランクルームとして貸し出すという方法もあります。

  いずれにしましても、出張所跡地施設は地域住民の貴重な財産であり、基本的には地域住民の利便性とコミュニケーションの発展、拡大の見地から、利用方法については広く区民の声を聞くことであります。そこで、さまざまなアイディア、構想などを広く内外に公募してみてはいかがでしょうか。区長のお考えを伺います。

  次に、「財政健全化計画」とその対応についてお伺いいたします。

  区長が示した計画は、四つの柱からなる大胆な方針として受けとめております。本区の財政問題については、語り尽くされた感があり、あとは実施の段階ですが、これは区長が不退転の決意で臨まなければ実現できないまさしく世紀の大事業であります。二月七日に行われた「まちかど区長室」でも、皆様ご存じのとおり、本区の行財政のあり方に厳しい意見が出されましたし、そのほか地域の要望は限りなく広範囲に及んでおります。これが現在の区民感情と素直に受けとめるべきであります。

  そこでお伺いいたします。初めに、「財政健全化計画」で示された百九十八項目の中で、十四年度以降実施されるものが九十一項目あります。特に、財政支援団体への補助金見直しは、七項目中六項目、そのほかの項目では六十五項目中三十九項目、約六〇%が十四年度以降実施であります。そこで、十四年度以降とは具体的にいつまでと判断されるのか。また、その理由などについてお聞かせください。

  次に、これらは財政効果を数字であらわしながら示したものであります。しかし、それに取り組むのは理事者であり、職員であります。区民の理解も重要ですが、職員の姿勢はもっと重要なかぎを握っております。財政問題は、区長のリーダーシップが最重要なことに変わりありませんが、それに加えて区民も職員も一体となった取り組みでなければ、早期に目的を達成することはできません。そこで、この計画は職員全体の理解と協力が保障されているかどうかをお伺いしたいのであります。

  いずれにしましても、納税者の立場、心情を大切にすることが行政に携わる者の使命であります。問題は少々異なりますが、わずかな老齢福祉年金からも介護保険料の天引きが行われる時代です。それだけに行政に対する監視の目も厳しくなっているととらえなければなりません。区長の「財政健全化計画」に取り組む姿勢を改めて確認したいのであります。

  最後に、地域コミュニティ支援について質問いたします。

  私たちの地域としまも今、避けて通れない時代、社会の変化の中で、まさに変革の時代の荒波にもまれながら毎日を送っているという心境ではないでしょうか。これからの時代を担う子供から経験豊かな年配の方々まで、この地域の中でどんな関係を持って生き生きとしたまちを創造していけるか。また、それぞれの地域やまちが持つ宝物や人の特技、個性を発見し、さらに磨きをかけていくにはどうしたらいいのか。それがまちおこしであり、人おこしで、これからの課題だと考えます。そんな中で、町会や商店会、高齢者クラブや青少年育成委員会等、各種団体が春にはお花見、夏は盆踊り、冬はもちつきと、四季を通じて何とかみんなを喜ばそうと、まさに共助の活動に努力されておられます。こうしたコミュニティを支え、さらに広げていくことが望まれます。また、シニア世代が生きがいを持ちながら、安心して暮らせるコミュニティづくりや多世代交流ができる環境づくりのために、行政としてどう支援していくかが大切だと考えます。

  そこで第一の質問は、コミュニティづくりに努力されている各団体が活動する場所の提供です。施設が有料化される中で、地域のために頑張るボランティア団体にどのように配慮されるのか、お伺いいたします。

  第二に、国の補正予算で組まれた区のIT関連事業でありますが、パソコンが百台近く購入されると伺っております。特に、IT講習会については、十三年度は七千六百八十人が無料で講習を受けられるとあって、区民は楽しみにしております。そこで、この事業が終了した後は、パソコンをどこに配置し、どう生かされようとしておられるかお伺いいたします。

  第三に、このIT講習にシニア世代に積極的に参加していただくためのお考えがあればお聞かせください。

  私は、先日、福岡に行ってまいりましたが、福岡県久留米市では、既に三カ月前から商店街の空店舗にシニア情報プラザが開設され、シニアネットで地域コミュニティの活性化を図っております。ここでは、講師もシニアで、最高齢が八十二歳、平均年齢五十二歳だそうですが、ネットが広がることにより得た知識やこれまでの経験を地域社会に生かしていこうと考え、NPOを取得してこのような活動が始まったということであります。本区におきましても、十三年度のIT講習事業により、ネット人口の増加が予想されますが、ぜひそのパソコンを区内公共施設や要望のある民間施設、商店街等に設置され、区民が引続き利用できるようにすべきだと考えますがいかがでしょうか。また、福岡のシニアサロンにも見られるように、若い先生だと聞きにくいことでもシニアの先生なら気軽に聞けると好評だそうです。本区におきましても、日本人人口だけでございますが、既に五・四人に一人が高齢者になっております。このシニアの方々がきっとご活躍いただけると期待しております。

  第四に、各地域のイベントに対する支援であります。十三年度も大塚阿波踊りに加え、西池袋のふくろ祭りにも予算がつけられ、地域に新たな活性化と文化興隆への挑戦が見られますが、商店街の振興や地域の活性化とあわせ、新たなコミュニティを広げるイベントが生み出されてくるところには、行政としても応援が必要です。ほかの地域では、より多くの方々の持ち味が発揮されるような文化祭をという声もあります。過去に地区別運動会が地域コミュニティ形成に大きな役割を示すとの考えから実施されましたが、結果的にその目的に対応できなかった地域もあったと伺っております。行政が音頭をとって予算をつければ、目的が達成できるとの安易な考えは通用しないという教訓でもあります。近年は、地域住民の価値観も地域の形態も想像以上に変化の激しい時代となっております。人間のきずなのネットが大きく張りめぐらされていくところに、地域の活性化、地域の発展があると考えますが、こうした社会情勢の中で、住民主体、住民参加のコミュニティ育成に対し、どのように考えておられるのか、区長のお考えを伺います。

  以上で私の一般質問をおわります。なお、ご答弁は簡潔で結構でございます。ご清聴ありがとうございました。(拍手)