平成25年決算特別委員会公明党意見開陳

2013.10.22 公明党豊島区議会 木下 広

まず、10月16日の台風26号大災害でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被害に遭われた方々に対し心からお見舞い申し上げます。北上中の台風27号の動向も大変気になるところです、官・民共同して、可能な限りの対策をとって区民の生命と財産を守る体制つくりを希望いたします。

私は公明党豊島区議団を代表いたしまして、決算特別委員会に付託されました認定第1号から認定第4号、すなわち平成24年度一般会計歳入歳出決算及び3特別会計歳入歳出決算の認定に賛成の立場から意見を述べさせていただきます。

初めに、公平、公正な委員会運営にあたられました、正副委員長さんのご努力に感謝申し上げます。わが会派は8月の下旬から、9月にかけまして各部長さんに決算に関する会派勉強会をお願いしたところ、各課からお忙しいところ資料を用意するなど対応していただきました。理事者の皆様に心から感謝・御礼申し上げます。

さて、本決算の前提となります平成24年度の予算につきまして、簡単にふれさせていただきます。

平成24年度当初予算について高野区長は「WHOセーフコミュニティ認証を受け、これまで豊島区が取り組んできた都市像の集大成としての安全・安心創造都市の実現にはずみをつけ、次の90周年へさらに大きな一歩を踏み出していく、そういう契機の年にしていきたいと考えています。」と述べられました。

一般会計と3特別会計を加えた平成24年度の総予算規模は1,505億9,900万円であり、対前年度比11億8,000万円、0.8%のマイナスとなりました。これは過去最大規模であった平成23年度、そして平成19年度に次ぐ、3番目の規模になます。このうち一般会計予算は991億9,100万円であり、対前年度比37億9,800万円、3.7%のマイナス。一般会計予算の主な歳入では、特別区民税については、対前年度比1億4,900万円のプラスとなる241億9,600万円、3年ぶりの対前年度比プラス予算を計上。また、特別区財政調整交付金については、前年23年度と同額の277億円を計上しました。特別区債は、32億4,000万円を発行。これは前年度とほぼ同規模であり、平成12年度から連続して、特別区債残高が減少する予算でありました。

そして、160項目、22億8,000万円に及ぶ新規・拡充事業を盛り込み、東日本大地震を踏まえた防災対策を初め、健康対策、待機児対策、教育の充実など、区民の皆さんにとって喫緊の課題に積極的に取り組むとともに、安全・安心創造都市づくりに取り組みました。一方、予算編成におきましては、厳しい財政状況中、基金の活用や起債発行による財源対策を講じるとともに、最終的な財源不足による18億7,300万円を、財政調整基金を取り崩すことによって組まれた当初予算でありました。

そして、平成24年度の事業展開では、防災、震災対策では、東日本大震災を教訓とした区帰宅困難者対策計画の具体化。都の「木密不燃化10年プロジェクト」積極的な取り組み。子育て施策では、待機児童対策。「ジャンプ長崎」、「子どもスキップ要」の開設。

健康施策では、一部自己負担をお願いしていた各種がん検診の無料化、おたふくかぜワクチンとみずぼうそうワクチンの接種について助成の実施。

教育では、秋田県能代市から区市間では初めてとなる教育連携に関する協定を締結。スクールソーシャルワーカーの導入。

福祉分野では,コミュニティ・ソーシャル・ワーク事業の展開。「地域包括ケアシステム」の実現に向け、「定期巡回・臨時対応サービス」を導入。千川小学校跡地及び中央図書館跡地での民間活力を導入した特養ホームの整備。

文化・商工政策は、文化創造都市推進シンポジウムの開催。中小企業の資金繰りを支援する利子補給や、信用保証料に関する補助を推進。

各種まちづくりでは、池袋駅周辺を賑わいと活力ある魅力ある街とする各種計画の策定、池袋駅周辺地下通路などのバリアフリー化の推進、大塚駅、椎名町駅周辺、巣鴨地蔵通りを主とした地区の将来像の検討。公共施設整備の方針・民間事業のあり方等について検討する。などなど、厳しい財政上のなかでも、多様な区民ニーズにこたえながら、将来のまちづくりの布石を打つ予算であり、90周年をめざした安全・安心創造都市実現に向けた予算案として、我々も評価したところであります。

平成24年度の予算全体について、以上のような認識に基づき、決算につきまして順次意見を申し上げます。

最初に、一般会計歳入歳出決算について意見を申し上げます。

一般会計につきましては、歳入が1,052億2,000万円、歳出は2.9%増の1,020億円となり、歳入は2年連続で増加、歳出は6年連続の増加となりました。

歳入から歳出を差し引いた形式収支は32億円ですが、翌年度に繰越す財源が13億円あり、実質収支額は20億円の黒字となり実質単年度収支は3億円の黒字となりました。財政調整基金約23億円を取り崩しての黒字ではあるものの、一方では、同基金に24億の積み立てを行いその結果実質単年度収支についても3年ぶりに黒字となりました。経常収支比率についても前年度から6.1ポイント改善して82.2%となり、16年ぶりに23区平均を下回り、健全な財政立て直しへの努力を評価するところであります。

24年度の歳入総額は、前年度に比べ31億円増となる1,052億円で、財政調整交付金が13億円増となり、年少扶養控除の廃止により区民税が7億円歳入増となりましたが、特別区税のうち特別区民税は、21年度とくらべ約8億円も少なく、一般財源歳入全体を見ても20年度に700億円を超えて後、リーマンショック以降は4年連続で700億円を下回っており、未だ予断を許さない現状が伺えます。

歳出全体では、6本の補正予算を計上したこともあり、予算額は1,100億円8千万円となり、その規模は4年度の1,120億円に続き過去2番目の額となりました。歳出決算額合計は1,019億9千万円まで上がり、決算額が一千万円を超えたのは11年ぶりとなりました。人件費は、対前年度比5億4千万円マイナスし、過去最低を更新しました。区民サービスの低下を招くことなく、削減努力に現場の方々のご努力を大いに評価いたしますが、未だ23区平均からすると高い現状があり、行政コストのウエイトの一番高い人件費削減への取り組みは区民の一番の関心であり、更なる推進をお願いいたします。公債費が50億円台の支出に落ち込んだのは8年ぶりであり、財政努力を評価するところであります。一方で、扶助費は前年度微増の266億円。繰り出し金105億5千万円は過去最大を記録しました。社会保障関連経費の繰り出し金合計は371億円となり増加傾向が止まらず、国の社会保障制度の取り組みにも影響されますが、区財政における不安定要因として、引き続き賢明なかじ取りが必要だと考えます。

主要な財源指標について、財政運営の健全化をはかる公債費率について、対前年度比5.5ポイントの大幅な減となる7.7%で着実に公債費残高が減少し7%台となるのは、18年ぶりと改善していますが、他区と比較すると、23区中21位にとどまっています。総括質疑では、4つの健全化判断比率と2つの基準に基づく健全化比率についても確認しました。実質公債比率、将来負担比率について、実質赤字比率が収支に対して赤字がないため、バー表示となっている、参考数値としてのマイナス64.8%という数字が、23区比較すると下位であり、「早期健全段階・再生段階」から抜け切れていない、他自治体を教訓として、引き続き財政健全化へ緊張した取り組みことを望むものであります。

我が会派は、平成24年度の決算が、区政80周年という節目の年を、豊島区の将来について的確な手をうち、積極的に無駄削減を図り、財政面においても、区民サービスおいても、必要な事を迅速に対応してこられたことと大いに評価するものであります。また、80周年記念式典とセーフコミュニティアジア国際会議など様々な記念イベントが、「安全・安心文化創造都市・豊島区」を日本だけでなく世界に大いにアピールすることができた事を大いに評価し、なによりも、高野区長が先頭になり、多くの区民のご理解とご協力を頂き「チーム豊島」一丸となって、90年、100年に向けての出発ができたことに、改めてそのご努力に感謝し、理事者はじめ、職員のご奮闘に敬意を表するものであります。

高野区長が就任された平成11年当時は借金と貯金の差が836億円という23区最悪の状態からスタートされ、徹底した行政経費削減と13年には雑司ヶ谷小跡地の定期借地権23億円と高齢者整備基金廃止による32億円、16年には旧時習小売却65億円などの歳入確保をはかる一方、22年・23年と土地開発公社の隠れ借金という負の遺産の解消というさまざまな財政の健全化に取り組んでこられた成果は大変なご苦労を伴うものと大いに評価いたします。しかし、これからが本番、勝負だと思います。将来にわたる、安全・安心の豊島区政構築にあたっては、過去を教訓としたさらなる経費節減や更なる事務事業の見直しを行い、選択と集中で効率的な財源の投入に一層努力されることを切に要望いたします。

それでは、引き続き、款別に若干の提言を含め、意見を申し述べさせていただきます。まず、議会費、総務費については、WHOセーフコミュニティ-SCの豊島区の特徴である、くみんひろばを拠点としたSC活動に大いに期待します。2020年東京オリンピックを、SC認証都市として安全・安心の模範の取り組みを望みます。他区と比べると遅れていた本区の情報化が、新庁舎完成に向けて一気に加速することとなりました、『本庁舎に来ることなく申請手続きが可能』となるよう、着実な取り組みを望みます。防災対策の震災マニュアルなど各種マニュアルは地域の特性を生かした、実態にもとづいたものとする事と災害時要援護者への対応検討を地域と協働して対策を講じることを要望します。更に復興ボランティアの有効活用の方策の確立を望みます。8/21南大塚のゲリラ豪雨で百件の浸水被害が発生しました。東京都下水道局と共同して、速やかな対策を望みます。本決算委員会の6日目10/16早朝には、台風26号が関東地方に接近して、伊豆大島や各地で大きな被害が発生しました。東日本大震災以降、地域の防火・防災リーダーとしての消防団への期待は大なるものがあります。縦割り行政を排して、区民の生命・財産を守る消防団活動への支援をお願いします。

次に、福祉費、衛生費では、待機児童対策について、区の重要施策として位置づけられ、緊急対策に懸命に取り組んでおられる職員のご努力を評価します。しかしながら、『潜在待機児』の需要が上がるなど未だ待機児童の対策は望まれます。認可保育園の定員拡大をはじめ、認証保育園の誘致、スマート保育など多様な手法と、保護者の身近な相談窓口の設置、HPによる情報提供、コンシェルジュの設置等更なる対策を要望します。がん対策のうち、胃がん・ピロリ菌へのABC血液検査と子宮けいガンのHPV検査早期実施を要望します。また、豊島区医師会が全国初のB型肝炎ウイルスワクチン助成事業を評価するものであり、今後の区としての支援も検討するよう要望します。コミニュテソーシャルワーク事業の更なる活用に期待します。発達障害支援策は、ステージに応じたトータル的な支援、対策を望みます。

次に、清掃環境、都市整備、土木費では、空き家に関する条例化について、予備軍を抑制するため、2階建て住宅の検査ができるように補完する試みを評価し、今後は、相談窓口の一本化をはかるよう工夫をお願いいたします。木密不燃化10年プロジェクト・特定整備路線の測量説明会が開始されました。未だ多く方が事業の内容を理解頂いていない現状もあり、特に計画路線の住民の方は高齢化、核家族化しており、事業伸展に伴う不安の声が多く聞かれます。我々が以前から要望しているように、その時点でできる範囲で、身近に、気軽に相談ができる体制つくりとHPを工夫するなど、積極的な周知・広報を再度要望します。高齢者のサービス付き住宅の積極的な推進を望みます。

次に、文化商工費、教育費では、複雑で困難なこどもを取り巻く環境が進む中、学校裏サイト、ラインなどSNSを使った見えにくいいじめの対策の徹底をお願いします。スクールショーシャルワーカが当該年度からスタートしその活躍に大いに期待いたします。先進的な取り組みである「がんに関する教育」では独自の教材開発など関係者のご努力を大いに評価いたします。文部科学省も全国的な推進を表明しました。同教育の先駆者として更なる充実を期待します。トキワ荘及び椎名町駅周辺の文化発信事業は地域の方々の積極的な取り組みに敬意を表します。お休み処の成功と将来的には悲願である、トキワ荘再現とアニメとのコラボなど、更なる協働で文化創造の推進に期待したいと思います。子どもに夢を与える劇「文化体験プログラム」と小中学校にプロの芸術家を派遣する「次世代文化担い手事業」は、関係者の国・都の補助対象となるよう大変なご苦労に対して敬意を表し、本物に触れることにより、子どもの可能性が無限大に広がる事業であり、更なるご奮闘にきたいするものであります。新ホールについて、我々の思いを述べさせていただきました。豊島公会堂は、「大衆文化の聖地」と言っても過言ではないほど、多くの都民、国民に愛されてきた輝かし歴史があります。その歴史・誇りを何らかの形として残して頂くと同時に、賑わいと回遊性を持たした池袋の新しい文化シンボルとなるべく周辺整備とともに取り組んで頂きたいと思います。支援が必要な児童生徒への対策のうち、特に区立幼稚園が支援が必要な方にとって最後のセーフネットとして年々増加しており、人的、ソフト面でのさらなる取り組みを望みます。

歳入については、「収納対策本部」を立ち上げられ、コンビニ収納やモバイルレジなど様々努力を評価いたします。しかし、残念ながら当該年度は国民健康保険料の現年分の収納率が23区中23位との不名誉な結果でした。原因は特定できてはいるものの、収納未済対策では何と言っても現年度の収納率アップが最大一であり「電話催告」、「コールセンター」等様々な手法も取り入れながらの収納対策に取り組む事と、一方では、厳しい社会、経済状況から支払う意思があっても支払えない方が増えています。適切、丁寧な対応をお願いします。

次に、特別会計では、健康長寿―介護予防事業が益々重要となっています。「介護予防サロン」等の各種事業の周知に取り組むとともに、更なる長寿健康社会の推進を望みます。

以上、一般会計歳入歳出決算及び特別会計決算に対する意見を申し述べましたが、総じて、平成24年度決算は、厳しい歳入環境の中、80周年という節目を安全・安心文化都市として90周年への出発をきるべく、さまざまな区民ニーズにこたえ、将来に繋げる手を打ったものであり、後世の負担を減少しつつ、区財政の健全化が一段と進んだ決算であると評価いたします。

今後は、予断をゆるさない景気動向の変動と本区の厳しい財政状況の中、27年竣工予定の新庁舎と現庁舎地の資産活用、新ホール建設と区民センター改築等の周辺整備等の財政面、政策面での重い決断が目前に迫ってきています。10年先、50年先の豊島区民の暮らしを左右する大事な分岐点に立っていると認識しています。特に10月8日の議員協議会でご説明頂いた、現庁舎地周辺の整備の経費見通しでは新庁舎完成後の28年度から30年度に110億円の事業費が想定され、加えて、区有施設の老朽化について、最新の施設白書では、「今後60年間の平均で年間16億円の施設経費が不足する」ことを指摘しており、安定的な区民サービスの継続をしながら将来に亘る確かな区施設整備に努める。造幣局の移転や木密地域不燃化10年プロジェクトなど、本区の歴史的な課題の解決にも挑戦するわけであり、極めて困難な財政運営が予想されるところであります。

区長は24年度第1回定例会の招集挨拶で「わずかな機会を逃すことなく、確実なものとしていかなければならないわけであります。さらなる成長の可能性を持つ都市である豊島区が持つ大きな可能性を伸ばし、子どもたちに引き継いでいくことが私たちの使命ではないかと思います。あらゆる課題を想定し、知恵を絞って打開の道を探すことが、私たちに課せられた区民の皆さんの信託に応えることではないかと思います。」今後の困難な区政運営にあたっては、あくまでも区民目線で、区民とともに新時代の区政を築き上げる立場にたち、政策決定にいたる可能な限りの情報を区民にお届けして、徹底した説明責任を果たすことを強く求めるものであります。そして区長のリーダーシップと全職員が区長の思いと一体になり、「約束は守る」との姿勢で区政運営に邁進されることを期待するものであります。平成23年度の決算審査に当たっての公明党の意見開陳といたします。ご清聴ありがとうございました。

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正副委員長と正副議長と公明委員で写真を撮りました