17H29.08.09 三重県津市の「栄養パトロール」視察

三重県津市が取り組まれている「栄養パトロール」を公明区議団で視察しました。

山崎副議長さんから歓迎のご挨拶を頂き、健康福祉部の堀内参事、竹森主事、澤保健師さんから説明を受けました。
画像に含まれている可能性があるもの:2人、座ってる(複数の人)、テーブル、室内

取り組みのきっかけは、平成27年に厚生労働省から三重県後期高齢者医療広域連合へ、津市で長寿・健康増進事業の「管理栄養士による相談・訪問事業」モデル実施の打診があり、同10月から実施に至ったとの事です。後期高齢者医療広域連合からの事業打診でしたが、津市は対象者を65歳以上とされ、早期からの栄養指導で、より効果が得られるよう実施されました。

津市の面積は東京23区に匹敵する大きさで、その中でも初年度は伊勢地地域をモデル地域に選定。高齢化率が高く、無医地区も含まれ、身近に食品を購入できる店がなく、低栄養が心配されたからです。

初年度は事前アンケートより、孤食・健診未受診・基礎疾患があり独居または老々世帯・転倒経験のある人を対象者とされました。保健師・管理栄養士・歯科衛生士等が相談窓口訪問による「栄養パトロール」を実施。具体的には、個別栄養支援のため、集会所等に巡回栄養相談窓口を設け、生活習慣や食生活に関するチェックシートを活用し、低栄養やフレイルリスクが高い人には相談・支援を行います。また、窓口に来られない人には自宅へ訪問も行われ、半年に1回効果の評価が行われます。

個別栄養支援で把握した課題や地域の人との意見交換から、地域の栄養課題を抽出し、改善に向け地域栄養ケア支援も実施されているとの事です。

平成28年度からは独居高齢者や老々世帯は対象者から外されたとの説明があり、最も低栄養が心配される方々を対象としない理由を質問しました。すると、保健師の皆様も当然その認識であったそうですが、モデル地域を調査されると、実は独居高齢者や老々世帯は栄養に対する意識が高く、子ども世帯等と同居の高齢者の方が低栄養である実態が浮かび上がってきたそうです。食べ物の好みが若い人と合わない等の理由で、食べない方が多くいらっしゃるそうで、勉強になりました。
画像に含まれている可能性があるもの:2人、座ってる(複数の人)、テーブル、室内

津市では栄養について出前講座を年間360回ほど行われているそうです。そうした中でも、気になる方を抽出され、個別の支援に繋げていらっしゃいます。このモデル事業は今年度で最後の年度になるそうですが、国が医療費適正化の事業として取り組むようになるかは未定との事。飲む薬が減ってきたとの個別の事例はあるようですが、費用対効果という意味ではどうしても成果が出るまで年数がかかる気がします。

地域包括ケアシステム構築も地域の大きな課題であり、栄養パトロールが医療費適正化に繋がっていくのは間違いないと思いますが、私は個人的に地域包括ケアシステムのとっかかりのアウトリーチ事業の玉としては非常に良いのではないかと思いました。いずれにしても、食生活は健康を維持する上で、欠かす事はできません。病気になってから薬で治療するというよりも、予防の視点からバランスの良い食事や水分摂取、適度な運動で、健康で自立した生活を送ることができる健康寿命を伸ばす事ができるようになります。全国的な課題でありますが、本日は大きなヒントを頂きました。

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