H28.08.18 萩市の公教育―吉田松陰先生の志の教育

萩市は、山口県の北部に位置し、24,032世帯、人口約5万人。総面積は698.31平方キロメートル。日本で唯一「江戸時代の地図がそのまま使えるまち」といわれるほど、毛利藩政期に形成された城下町のたたずまいが都市遺産として今なお現存しているまちです。また、吉田松陰をはじめ高杉晋作や伊藤博文など近代日本の夜明けを告げた人々を輩出した「明治維新胎動の地」です。まさにまちじゅうが屋根のない博物館のようであり、これらの歴史・文化遺産、自然を保存・活用したまちづくり、観光地づくりを、「萩まちじゅう博物館構想」と称して構想実現に向け取り組んでいます。
萩は日本海に面していて阿武川の下流に三角州の上に発達したまち、つまり、水の都ともいえるのが萩のまちです。そして、三角州の中央の指月山(しづきやま)に約400年前、萩城が築城されました。
慶長9年(1604)、関ヶ原の合戦の後、毛利輝元卿(毛利元就の孫)が防長二州36万石の居城として萩城を築城し、明治維新に至るまでの約260年間にわたって、萩は防長二州の中心として栄えました。
その城下町のたたずまいや、当時の町割りなどがよく残されていて、江戸時代の城下町絵図をそのまま用いることができる『古地図で歩けるまち』です。

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本日は山口県萩市の教育を視察しました。

「小・中連携教育の取り組みについて」「山口型コミュニティスクールについて」

「小・中連携教育」については、中司誠二学校教育課長からヒアリングを行いました。萩市は従来より島嶼部の学校など、小中併設の校舎を有する学校があり、これまでも小中の結び付きが強い教育が展開されてきました。平成28年3月22日に「学校教育法等の一部を改正する法律の施行に伴う文部科学省関係省令の整備に関する省令等について」の通知が出され、「小中一貫型 小学校 中学校」については、中学校併設型小学校、小学校併設型中学校として、その教育課程の基準の特例等が定められました。

それを受け萩市では、今まで進めてこられた小中連携の取り組みをさらに発展させ、福栄地区をモデル地域として、小中一貫教育の検討。平成28年3月24日萩市教育委員会規則によって、福栄小中学校を小中一貫教育校として定められました。

9年間の一貫教育で、小中学校として校長は1人。また、小・中学校の垣根を越えて、職員室も一体となっています。また、小学校段階、中学校段階において各教科等の内容のうち、相互に関連するものの一部を入れ替えて指導する事ができるとされており、驚きました。つまり、小学校の先生が中学校のチームティーチングを行ったり、中学校の先生が小学校で教える事もあるそうで、しかも部活動なども小中一体となって実施されるそうです。

「山口型地域コミュニティスクール」について、学校教育課の井原良主幹からご説明を頂きました。

文部科学省が推進されている事業で、田万川中学校が全国で5番目・山口県では初めてコミュニティスクールをスタートさせました。各校ごとにあった運営協議会を各中学校ごとの小中合同学校運営協議会として開催し、地域との連携を推進するコミュニティスクールコンダクターを配置され、地域連携を推進されています。学校・地域・保護者の代表が、積極的に熟議を行い学校運営に関わっているとの事で、豊島区としても学校運営協議会そのもののあり方が今後問われてくると感じました。

萩市の教育を一言で表すと、「志教育・朗唱教育」視察。

特に藩校明倫館跡地に開校されている明倫小学校においては、「今も昔も志高く」と、吉田松陰の生涯やことばがまとめられた松蔭読本を教材とし、毎朝 吉田松陰のことばが朗唱されています。

明倫小学校にも視察に伺い、椿 義憲校長先生からご説明を頂きました。「松蔭先生のことば」の朗唱教育は、昭和56年から始められたものです。道徳の年間指導計画にも位置付けられ、各学年、各学期ごとに朗唱文が定められており、萩市の子どもたちの郷土愛を育て、生きる力を育んでいます。

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