〔二番中島義春君登壇〕(拍手)
○二番(中島義春君) 私は、公明党区議団を代表いたしまして、一般質問をいたします。区長の前向きな答弁を期待いたします。
去る九月十一日、米国で起きた史上最悪の同時多発テロで、全世界に衝撃が走りました。空前の大量殺りくを行ったテロ犯罪者に対し、私は強い怒りを禁じ得ません。断じて許すことのできない蛮行であります。
リアルタイムに流されるテレビの映像には、米国最大の都市、ニューヨークの超高層ツインタワー・世界貿易センタービルに、ハイジャックされた飛行機二機が突っ込み、ビルが炎上し、崩壊するシーンが映し出され、首都ワシントンの国防総省にも飛行機一機が激突、炎上、ペンシルベニア州でも、航空機一機が墜落。これらのシーンは、私は映画ではないかと疑うほどの、想像を絶するものでありました。
いまだ六千余名の行方不明者がおり、米国国民並びに日本国民を含め、多くの国の方々、そして犠牲になられた方々、ご家族の皆様に心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。
また、防災の日の未明に、東京・新宿の歌舞伎町で起きた雑居ビル火災は、四十四人もの人命を奪う大惨事となりました。犠牲になられた方々のご冥福を心からお祈りするとともに、なぜこのような大惨事となったのか、徹底した原因究明をしなければなりません。
四十四人という多数の犠牲者が出た要因としては、雑居ビルの構造上の問題とともに、防火上の管理のずさんさが指摘されております。
雑居ビルがひしめく繁華街は歌舞伎町だけではありません。全国の都市の至るところにあり、本区も例外ではありません。このような大惨事が二度と繰り返されないよう、職員の皆さんを初め、関係機関の方々が連日連夜にわたり雑居ビルの立入検査を行っていると伺っております。区民の安心、安全のために、一日も早く実効ある対策を早急に具現化されることを要望いたします。
それでは、第一点目として、公共施設の今後のあり方について質問いたします。
高野区長は、平成十六年度までに何としても財政再建を果たしたいという強い決意のもとに行革に取り組んでおられますが、現時点では平成十四年度の予算編成が最大の正念場であることをだれもが承知しております。「財政健全化計画」を予定どおり達成するためにも、「新生としま改革プラン」の中で記載されているように、公共施設のあり方を再構築する必要があると考えます。区長は第二回定例会招集あいさつの中で、公共施設の再構築と跡地活用案について、この秋を目途にその考えをまとめる旨のお話をされておりました。そこで、そろそろ最終報告の対応ができているかと思いますが、その状況についてお伺いいたします。
この公共施設の再構築検討委員会は、保健福祉・子ども家庭・教育の三部門で検討されていると聞き及んでおります。これまで、行政改革の名のもとに、縦割り行政の中で各所管ごとにその改革が求められ、それにこたえる努力がされてきたものと考えます。しかしながら、区民の視点から見ると、少子高齢社会がますます進む中で、統合される学校跡地を利用して、より効率的に整備してほしい等の区民の願いは当然のことと考えられます。
そこで、公共施設の再構築を考えますと、学校の統合の落ち着くべき数をにらみながら、小学校区一カ所の住区センター方式をとり、ことぶきの家、児童館・一般会議室をこれからの多様なニーズに対応できる施設に再構築し直し、極力地域住民参加の管理運営にしていく方向が望ましいと考えますがいかがでしょうか。
目黒区や足立区は既に二十年以上も前からこの方式で実施されておりますが、その状況を伺いますと、目黒区では学校単位であるために地域と学校との関係もよく、子供たちもその中で育まれている状況と伺いました。また、足立区は町会単位で五十六館構想を目標に、現在四十六館となり、学童保育もその中でやっておられるとのことです。
いずれにしても、両区とも地域の自主管理、自主運営となっております。
本区も既に数カ所が住民参加で実施されております。今後の公共施設のあり方について、この住区センター方式について、区長の所見をお伺いいたします。
第二点目は、再開発を今後するに当たって、新たな視点からの取り組みが必要ではないかと考えますので、いくつか提案させていただきます。
再開発のあり方について、地球環境に優しい開発を進めてはいかがでしょうか。そしてこれはランニングコストの軽減にもつながると思います。
近年、地球温暖化が言われておりますが、それを引き起こす温室効果ガスの約六〇%はCとされております。そのうち、約八割が化石燃料消費に起因しております。京都会議において、日本は温室効果ガスにつき、二〇一〇年に一九九〇年比で六%削減することを世界に約束いたしました。約束実現のためには、日本全体で一二%の省エネと大幅な化石燃料消費からの脱却が必要であります。しかし、コスト面で制約があり、あまり普及していないのが現状であります。
新エネルギーとしては、太陽光発電、風力発電、太陽熱利用、廃棄物発電、廃棄物熱利用、廃棄物燃料製造、温度差エネルギーの七つが考えられます。本区においても、学校での太陽光発電及びごみ焼却場の廃棄物を熱利用しておりますが、さらなる取り組みが必要であります。
本区は、東池袋四丁目再開発を初めとして、今後も複数の大規模再開発プロジェクトがあろうかと考えます。昨年二〇〇〇年は循環型社会元年と位置づけられ、世を挙げてリサイクル社会の構築、自然環境の保全等に取り組んでおります。こうした背景の中、今後の都心における再開発は従来のものとは違い、これらに配慮した取り組みが要求されます。
本区が全国に先駆けてモデルとなるべく、環境と調和した地域社会の構築を目指し、自然環境への負荷をできる限り低減させる環境調和型再開発の実現に向けて取り組むことが喫緊の課題と考えます。
中央区では、都市部での都市廃熱によるヒートアイランド現象などの問題を解決するために、中央区環境保全計画を定めております。そこにはごみ減量、省資源対策、事業所のごみ減量の抑制、生ごみの資源化等の事業計画が示されております。また、具体的なモデルとしては、勝ちどき六丁目地区市街地再開発事業を挙げており、環境施設と開発計画を連携させることにより、中央区全体の新しい環境のまちづくりの指針となる新エネルギービジョンが策定されております。
新エネルギー開発に当たっては、新エネルギー総合開発機構(NEDO)の補助金制度を利用することにより、区の負担を最小限にとどめることができます。
NEDOは地域新エネルギービジョンを策定する地方公共団体に対して定額の補助金を交付しておりますが、今まではほとんどが都心部以外での取り組みであり、都心部での策定が待たれております。多くは初期段階調査やビジョン策定調査までにとどまり、最終的な事業調査までは至っておりません。
したがって、副都心を抱く本区の今後の再開発は、新エネルギーを採り入れた再開発を考え、さらに事業化をも視野に入れた取り組みは、都心部における再開発の範を全国に示すものとなるに違いありません。
また、上池袋癌研跡地を大規模防災公園として利用したいとお聞きしておりますが、防災と環境負荷の低減の観点から、生ごみを利用しての廃熱、また備蓄機能を備えて災害時の電力を確保する、あるいは上水・中水・下水を通し、水のむだをなくす。また、災害時には飲料水として利用する等、民間のシンクタンクの力をも利用し、庁内委員会、策定委員会、また住民代表等と一体となり、具体的なビジョンを検討していくべきと提案いたします。区長のお考えをお聞きします。
第三点目として、高齢者対策について質問いたします。
高齢者世帯の急増に伴い、老後の住まいに不安を感じているお年寄りが増加しております。こうしたお年寄りが安心して生活できる居住環境を実現するために、「高齢者の居住の安定確保に関する法律」が制定されました。
六十五歳以上のお年寄りが、家庭内の不慮の事故で死亡した年間件数は、交通事故での死亡件数にも匹敵しております。事故は、主に階段、浴室、床、畳、敷居などで転倒や転落したり、足をつまずかせて発生しております。
超高齢化社会に備え、高齢者が安心して住める住宅を確保するための環境づくりはますます必要性が高まっております。
しかしながら、日本の住宅でバリアフリー化に対応した建物はわずか二・七%という低い水準です。家の中に段差などの障害がないバリアフリー化の推進は急務であります。
一方、賃貸住宅ではお年寄りという理由だけで、民間賃貸住宅への入居を断られたり、長年住みなれた住宅の契約更新を断られるなどのケースが私の区民相談にも数多くあり、その都度、住宅課に相談し、安心住まいの住宅を紹介していただいております。これらの背景には、お年寄りが賃貸住宅へ入居した後のさまざまなトラブルや事故を心配する大家が入居を敬遠する傾向が少なからずあります。
今回のこの法律の内容は、賃貸住宅、あるいは持ち家住宅をバリアフリー化する際、国・地方公共団体が、それにかかる費用に対し、補助、または固定資産税を軽減するものであります。
また、事業者が本来の家賃より低く抑えた場合、税制面での優遇措置が講じられており、さらに現金収入が少ない高齢者世帯でも改修資金を調達しやすくするための新たな融資制度が十月から創設されます。これは生存時の返済負担を軽減するため、生きている間は借入金の金利だけを支払い、死亡したときに自宅などの不動産を売却して清算し、遺産相続者が元金を一括返済するリバース・モーゲージの方法を導入するというものです。
次に、同法のもう一つの柱としては、高齢者世帯の入居を拒まない賃貸住宅の登録・閲覧制度を設け、高齢者向けの住宅情報を提供する体制を整備する一方で、やむを得ず家賃の滞納が発生した場合の債務を保証する制度がスタートしました。
さらに、終身建物賃貸借制度は、六十歳以上の高齢者、または同居の配偶者が死亡するまで契約した住宅に住み続けられる仕組みです。これは、家主の都合で一方的に賃貸契約が打ち切られることを防ぐためであり、都道府県知事の認可を受け、バリアフリー化された賃貸住宅が対象となります。
国においても、今回の法制度で高齢者の居住環境の整備に向け、大きく乗り出そうとしております。自治体としても積極的にこれらの新たな制度を活用し、高齢者の居住環境を促進させるべきと考えます。
高齢者向けの優良賃貸住宅を、区有地を活用しながら積極的に誘致するとともに、高齢者が民間賃貸住宅に円滑に入居できる仕組みとして、身元保証人制度の導入に向けた取り組みを進めることが必要です。また、宅地建物取引業者との連携を強化し、住宅のバリアフリー化、終身建物賃貸借制度など、今回の法制度の内容の普及・啓発に努め、高齢者の居住安定を促進させるべきであります。
そこで、リバース・モーゲージ方式を住宅改修のみならず、武蔵野市、中野区等が実施している生活資金貸し出しにも適用できないものでしょうか。
武蔵野市では、財団法人武蔵野市福祉公社と利用者とが、家事援助給付契約を結び、有償のサービスを受ける契約を交わします。そして、利用者は具体的には家事援助、介護サービス、あるいは成年後見制度の利用援助、金銭管理サービス、財産保全サービスが受けられます。土地やマンションを持ちながら、年金預貯金が少ないために、生活に不安を感じる高齢者は少なくありません。このような高齢者が、長年住みなれた家で安心した老後を送っていただくために、現在住んでいる土地と家を担保にし、生活に必要な資金を融資する制度を本区においても推進するべきと考えます。豊島区に長年住みなれ、ほかの地に移転したくない方々の切実な声であります。前向きな答弁を期待いたします。
次に、見守りと支えあいネットワークづくりについて要望いたします。
これは、高齢者が地域で安心して暮らせるための有効な施策であると私は考えます。上池袋三丁目町会、高松二丁目町会では、社会福祉協議会の委託事業として地域福祉推進委員が活発に活動しております。ひとり暮らしの高齢者を対象に声かけ運動を展開しております。
当初は声をかけられる高齢者の方は、地域のボランティアの方が訪ねて行ってもドアを開けようともせず、心を閉ざし、戸惑いの状態が続いておりました。声がけが一回、二回、三回と続くに従い、心の扉が徐々に開かれるにつれ、玄関の扉も開かれたそうです。
町会では、月一回会長を中心に地域のボランティアの方が集まり、情報交換をしており、災害時にも面倒が見られる体制が組まれているそうです。本年の正月には年賀状を差し上げたところ、高齢者の皆さんから何十年ぶりに我が家に年賀状が届きましたと喜びの連絡があったとのことです。
今回の事業は、それをさらに拡充するものであると考えます。しかしながら、この事業は町会を中心にボランティアをお願いするわけですが、町会の現状は、住民の町会加入率は五〇%弱と低く、地域のボランティア、あるいは町会員さんを募ることは大変至難のわざであると推測されます。「制度はあれど人はいず」にならないように、幅広く意見をお聞きし、万全を期しての取り組みを要望いたします。
第四点目として、教育行政についてお伺いいたします。
昨年、子ども読書年とちょうど時を合わせ、各地で読書運動が大きな広がりを見せてきております。大好きな母親が自分のために一生懸命本を通して話しかけてくれている幼い子供たちとって、これほど幸せで温かな空間はないでありましょう。
読み聞かせをしていく上で、親子が良書と出会う機会が多ければ多いほど好ましいし、またそのサポート役を果たすのが、その一つとして地域の公立図書館があります。本区においても、中央図書館で長年ボランティアとして読み聞かせにかかわった方が今回表彰されております。しかし、その数はまだまだ少なく、充実しているとは言いがたい状況であります。
ここで質問いたしますが、本区の図書館司書、児童専門のアドバイザー配置など、公立図書館充実への取り組みがどのように講じられてきたか、また今後の状況をお伺いいたします。
十三年度中に公立図書館のオンライン化が進み、区民がインターネット上で蔵書の検索が気軽にできるようになるとお聞きしました。インターネットから本の予約もできるのでしょうか。今回の公立図書館のオンライン化に際し、学校図書館との連携を強化させることにより、学校図書館を充実させることができると考えますが、現在どのような検討がなされているかお伺いいたします。
次に、学校での朝の読み聞かせの取り組み状況をお聞きしますが、実態は少ないのではないかと思われます。学校現場では、読み聞かせは意義のあることと受けとめられておりますが、現場では時間がないとしてあまり進んでいないのが現状のようです。
教育現場の声をしっかりと吸い上げ、できる学校には教育委員会としても積極的に応援する必要があります。例えば、地域のお母さん方に、ボランティアとして読み聞かせの推進役を担っていただくことはできないでしょうか。
学校図書館に図書司書を十五年度までに配置すると伺っておりますが、十五年度まで待つまでもなく、子供たちに対面で直接良書の紹介、相談をしていただける地域のお母さんを募ってはいかがでしょうか。いなければ、公立図書館でそういう方を育成する事業も展開してもいいのではないでしょうか。
良き本に触れ、読書することは正義感や公平感、そして命の尊さを子供たちに教えてくれます。前向きな答弁を期待いたします。
最後になりますが、第五点目として、東池袋再開発ビルに開設予定の交流施設についてご質問いたします。
第二回定例会の区長あいさつでは、厳しい財政状況の中で、心の豊かさ、心のゆとりを見失いがちになるが、区制七十周年を機に、二十一世紀を担う子供たちの心を豊かにする芸術・文化にかかわる行政の分野にもさらに積極的に対処してまいりたいと並み並みならぬ決意が述べられております。
期を同じくして、我が党も保守党との共同提案で、芸術文化の振興を通じ、国民の文化的な生活向上を図り、心豊かな活力ある社会を形成していくことを目的に、芸術文化振興基本法案を国会に提出しております。この法案は、国と地方自治体が芸術文化振興に関する施策を立案し、実行する責務が明記されており、私は区長の思いと軌を一にするものだと思っております。
私ども会派は、今回交流施設の基本計画に記載されている金沢市民芸術村・能登演劇堂を視察してまいりました。芸術村の施設を館長自らの案内で説明を受けましたが、その館長の話ぶりはすばらしいものをつくったという誇りと自信にあふれておりました。それもそのはずです。この芸術村をつくるに当たっては、自らも初めからかかわってきたとのことでした。
施設は五つの創造分野に分かれた工房があります。一つは絵画・彫刻が自由に創作・発表ができるアート工房。演劇の創作・練習・発表ができるドラマ工房。楽器を自由に奏でられるミュージック工房。これらは若者を中心に文化創造の発信地として、二十四時間低料金で利用されております。さらに、金沢に残る伝統的で高度な職人のわざの伝承と人材の育成を行う金沢職人大学が併設されておりました。
また、能登演劇堂は、舞台の後壁が自由に開閉し、外の景色を舞台に採り入れられるようになっておりました。設計工事の監修は仲代達矢氏が行い、演劇する側の視点が採り入れられております。演劇者の目で設計することにより、工事費はかえって低く抑えることができたと担当の方が話しておられました。これは世田谷区のシアタートラムを視察に行った際も同じことを担当者は言っておりました。演劇者の目線とは、観客によりよく見ていただきたいという思いであり、それはまた観客の目線にも通じます。
金沢の市民芸術村での施設利用は、利用者の自主管理とされており、現状復帰のみの制限しか課されておりません。今までの行政主導の運営では考えられないような、自由な環境の中で創造活動ができる空間が提供されております。
本区においても、交流施設の運営主体を区民参加を中心としたNPO法人による運営を基本とするとお聞きしましたがいかがでしょうか。
能登演劇堂は、無名塾の練習・合宿を通して、町民との交流があります。世田谷区でも当初は自前の劇団をつくる構想があったそうです。お隣の北区では、北とぴあ建設の際、若者対策として劇団を立ち上げたとお聞きしました。新たな文化創造の担い手を育てるためにも、本区自前の劇団をつくる考えはないのでしょうか。
基本構想の事業内容に良質な演劇及びその他の芸能等とありますが、具体的にはどのような内容かお聞きします。
視察したそれぞれの施設では、市民参加のワークショップが多種多様に行われておりました。本区としてどのように考えているかお伺いいたします。
世田谷パブリックシアター友の会には、「劇場の個性は、上映される作品や、それにかかわるアーティストだけによってつくられるわけではありません。劇場の主役はお客様です。当然、劇場の個性もそこに集まるお客様たちによってつくられていくはずです。公共劇場の『生みの親』が行政であるとすれば、いま、世田谷パブリックシアターは劇場の『育ての親』となるお客様を必要としています」と書かれております。区民に愛され親しまれる施設の構築のためには、区民の理解が必要です。これが成功の一番のかぎではないでしょうか。区民の皆様にどのように理解していただくか、その方策を最後にお聞きし、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)