○区長(高野之夫君) ただいまの中島義春議員のご質問に対しまして、順次お答え申し上げます。なお、教育委員会所管に属する事項につきましては、教育長から答弁申し上げます。
まず、公共施設の今後のあり方についてのご質問にお答えをいたします。
第一点目、公共施設の再構築と跡地活用案の検討状況についてであります。
平成十六年までの行財政改革の大きな柱である公共施設の再構築と跡地活用につきましては、今年度は二つの会議体に分離いたしまして、検討を重ねております。公共施設の再構築推進検討委員会では、昨年度の第一次報告に引き続き、主な施設をほぼ網羅する形で検討を重ねてきましたが、このほど行財政改革推進本部に検討結果が報告されたところであります。
また、跡地活用につきましては、本年度設置いたしました政策経営部長をリーダーとする区有財産活用推進会議において、学校跡地を初め出張所など、すべての区施設の跡地、跡施設についてのその活用法を検討し、これについても「区有財産活用素案二〇〇一」と題する報告書が本部に提出されております。
これら二つの報告を受けまして、現在本部案の取りまとめに入っておりまして、今議会の会期末にはその内容をお示ししたいと考えております。
第二点目、住区センター方式による施設の再構築についてであります。
地域の区民にとって、身近な場所に、利用しやすく、しかもコミュニティの輪が広がるような施設があることが望ましい姿だろうと思います。また、少子高齢化が本格化するこれからの時代におきましては、世代ごとのニーズにこたえるとともに、世代間交流を行いやすい場の提供が求められております。さらに、区民の自主的な地域活動の活性化を図る、その拠点としての機能を果たす施設がより一層必要になります。
こうした要素を兼ね備えた新たなコンセプトを持つ施設の構築について、検討委員会の報告書では、(仮称)地域福祉センター構想を提案しております。これは現在のことぶきの家、児童館の機能を見直しつつ統合し、区民の地域活動の拠点としての機能を新たに付加し、施設の管理運営を基本的には区民の自主組織にゆだねるというものであります。
現在、ことぶきの家では高齢者などの見守りネットワークづくりに着手し、児童館でも子育て支援の地域ネットワークづくりに取り組んでおります。こうしたネットワークに参加する区民が、自ら高齢者の憩いの場や子供たちの遊びの場を管理運営していく中で、地域の特性に応じた施設づくりを行ってもらおうという提案であります。
この提案では、区内十二カ所の配置を想定しておりますが、そのあり方を含め、行財政改革推進本部での検討を経て、本部案として議会及び区民の皆様にもお示しし、広くご意見をいただいてまいりたいと思います。
次に、再開発に当たり、新たな視点の導入についてのご質問にお答えをいたします。
ご指摘いただきました環境への負荷を最小限に抑え、地球環境に優しいまちづくりを進めることは、本区にとりましても大変重要なことと認識をしております。
二十一世紀は環境の世紀と言われており、再開発やまちづくりにとどまらず、様々な事業において環境を優先した取り組みが求められております。
近年では、より広範囲な自然エネルギーや未利用エネルギーを採り入れた国の補助制度が普及し始めており、こうした制度を活用することによって、より少ない負担で環境に優しいまちづくりを進めることが可能となってまいりました。
具体的に取り組んでいる本区の事例では、平成十六年度の開校を目指しております南池袋小学校の建設計画において、環境と調和した地域づくりを重視し、雨水利用や太陽光の発電設備などを付加することとしております。さらに、東池袋四丁目地区市街地再開発事業におきましても、節電型の空調機器や節水型の給排水システムの導入などを計画しております。
しかしながら、こうした施設は主に省エネルギーに配慮したものであり、残念ながらご提案のようなシステムではございません。
新エネルギー活用には、採算性や効率性との調整、新たな技術開発など、再開発における未解決な課題もあるものと思われます。
したがいまして、再開発計画にあわせた新エネルギーの活用や、そのためのビジョンの設定につきましては、中央区の勝どき六丁目地区市街地再開発事業や、他の自治体の事例など、新エネルギービジョンに基づく具体的なプロジェクトの効果などを十分に調査・検証した上で取り組んでまいりたいと考えております。
次に、高齢者対策についてのご質問にお答えいたします。
第一点目の、現在住んでいる土地・建物を担保に、生活資金等を融資する、いわゆるリバース・モーゲージ制度についてお答えをいたします。この制度は、名称はまちまちですが、いくつかの自治体において社会福祉協議会等が窓口となり実施されております。
この制度の導入につきましては、過去検討を行った経緯がございますが、難しい問題を含んでいるところから、実現には至っておりません。問題の一つは担保であります不動産の価値をどう評価するかということでございます。また、法定相続人の同意が得られるかどうかということもございます。このようなことから、広く区民の利用できる制度として組み立てるには至らなかったのでございます。
不動産を担保とするこの制度につきましては、評価額の下落や貸し出し金利の変動・融資期間の長期化による担保割れというリスクを伴うことから実施している自治体は少なく、また実施している自治体にあっても、相談は多いものの、実際の融資に結びついていないのが最近の状況でございます。
しかしながら、高齢者の方々にとりましては、病気や障害とともに経済的なことも、生活上大きな不安要因でございます。
したがいまして、この制度は高齢者の自立生活を経済的に保障する手段の一つとして有効なものと考えております。
今後とも、幅広い区民の利用が可能な資産活用制度の創設に向け、豊島区社会福祉協議会とも協議し、さらに検討を続けてまいります。
次に、第二点目の見守りネットワークづくりにかかわるご要望についてでございます。
高齢者を初め、地域住民が安心して生活できる環境を整備することは、自治体の基本的な責務であります。このため区は、見守りと支えあいネットワークづくり事業を準備中でございますが、ご提言の趣旨を十分生かし、今後とも地域の皆様と緊密な連携のもとに、この事業が成果を上げるよう、着実な取り組みを進めてまいります。
次に、東池袋再開発ビルに開設予定の交流施設についてのご質問にお答えいたします。
第一点目、NPO法人による運営についてであります。
本年七月に策定いたしました交流施設の基本計画では、区民の自主的な創作活動が、各界の芸術・文化活動と結びつき、副都心のにぎわいを生むにふさわしい管理運営を主体とする検討をすることとしております。
全国的には、これまで財団方式が主流でございましたが、最近は特定非営利活動法人、いわゆるNPOの設立による事例も生じております。
現在のところ、NPOと決めたわけではございません。今後、実施計画の策定の中で、どのような法人がふさわしいか、事業の内容ともあわせて検討してまいります。
第二点目、本区自前の劇団の検討についてであります。
基本計画の中でも、全国各地の新たな取り組みについていくつか参考事例として紹介しておりますが、これまで公共施設のあり方とはかなり異なる試みが展開されております。
その特徴は、施設を行政が単に貸し出すだけではなく、その施設の運営自体を市民、民間の劇団、演出家などにゆだねて、自由な発想で多様な事業展開を実現しようというものであります。
今後、運営形態や事業の内容につきましては、区内の文化・芸術団体、さらには内外で活躍されている関係者の方々のご意見をいただく場を文化・芸術懇談会などの形でつくりながら検討していく考えであります。
また、本区では毎年池袋演劇祭が行われておりまして、多くの劇団が参加しております。このような劇団に参加する方々のご意見も聞いてまいりたいと思います。
このような中で、ご質問にありますような本区自前の劇団の創設の是非についても検討してまいりたいと考えております。
第三点目、事業内容についてであります。
基本計画では、事業展開のあり方として、「二十四時間、三百六十五日芸術・文化に接することを可能とする」「舞台芸術を創造していく」「アマチュアが日頃の成果を発表する」「プロフェッショナルを目指すアーティストを輩出する」「舞台芸術を身近に接することにより、文化に対する感性やマナーを養う」、この五つの基本方針を掲げております。
この基本方針を実現するために、特定のジャンルに限ることなく、またプロ、アマを問わず、多彩な事業展開ができるようにと考えております。例えば、国内や海外でも評判の高い演劇やパフォーマンスをこの施設において上演することなども視野に入れております。また、能、狂言など、伝統芸能につきましても、施設上の制約はありますが、大いに採り入れていく考えであります。
特に、伝統芸能の分野で国際的に活躍されている区内在住の方々からもこの事業へのご理解ご協力は得られるものと考えております。
さらに、この交流施設はパーティーやレセプション、シンポジウムなど多目的な用途にも利用可能となっており、幅広い事業を展開することができるものであります。
第四点目、市民参加のワークショップについてであります。
基本計画の中では、事業内容の一例として、「舞台芸術に関する各種ワークショップの開催」を掲げております。音響、照明、舞台、衣装などの舞台芸術は、さまざまな分野の技術を結集し成り立っております。上演に至るまでのすべての過程がこのような技術の専門家の手によって担われていくわけですが、こうした分野に興味を持ち、また将来その道を目指したいという意欲ある若者が増えてきております。
全国各地の事例を見ましても、ご指摘のように舞台芸術に限らず、各種のワークショップが行われ、若者のみならず、幅広い市民の参加があると聞いております。
まさに、区民の手でつくる文化・芸術活動には欠かせないものとして、このワークショップについては交流施設に採り入れていきたいと考えております。
第五点目、区民に理解していただく方策についてであります。
劇場の主役はお客様です。今回の交流施設の基本的な考え方はまさにここにあります。
施設の利用はもちろんのこと、事業の企画も、また公演への準備過程についても、できる限り区民の皆さんの手によってなし遂げていただきたい、この基本姿勢を貫きたいと考えています。
このため、今後予定しております文化・芸術懇談会などの場を通じて、施設の具体的なあり方についてのご意見をいただきつつ、実施計画の素案をつくり、広く区民の皆さんからさらにご提案をいただく、このようにして実施計画づくりの段階から区民参画を実現してまいりたいと思っております。
以上をもちまして、中島義春議員に対する私の答弁を終わります。
〔教育長二ノ宮富枝君登壇〕
○教育長(二ノ宮富枝君) 次に、教育委員会の所管事項に関するご質問に対しまして、私よりお答え申し上げます。
まず、教育行政についての第一点目、子供への読み聞かせについてお答えいたします。
図書館では、子供たちが読書に親しみ、豊かな心を育むことを目的に、全館に児童図書コーナーを設け、良質の絵本、児童書を取りそろえており、現在では全八館で約十五万冊の児童書を蔵書しております。この児童コーナーには、児童担当の専門職員を配置して、絵本や紙芝居を採り入れた読み聞かせの会、お話し会を各館で毎週開催しております。なお現在、図書館職員の約三割が司書資格を有しております。
また、児童の図書館利用を促進するため、区立小学校と連携し、学校訪問や学級招待を実施するほか、小学生向けブックリストの配付も行っております。
親子読書につきましては、本年度は新たに保健所の出張育児相談と連携いたしまして、図書館職員による図書の紹介を本年十一月に実施をする予定でございます。
東池袋四丁目に移転する予定の新中央図書館の児童図書コーナーには、専用のお話し室を設けることを計画をしており、今後とも児童図書サービスの充実や学校、保健所との連携など、親子読書の普及・推進に努めてまいりたいと考えております。
次に、第二点目の図書館のインターネット利用と学校図書館との連携についてお答えいたします。
本年末に図書館の電算システムをすべて入れ替え、明年一月よりインターネット上の図書検索を開始いたします。これは二十三区の中では六番目の実施となります。
インターネットによる図書予約につきましては、早期の実現に努めてまいりたいと考えております。また、学校図書館との連携につきましては、大変重要な課題と考えており、学校との具体的な協議の場を設け、インターネットを活用した効果的な図書情報提供や学習活動支援について検討してまいりたいと考えております。
続きまして、第三点目の学校における朝の読み聞かせについてお答えいたします。
朝の時間を使った本の読み聞かせにつきましては、現在八割近くの小学校で実施しております。この読み聞かせには、ご提案にありますように、ボランティアで保護者の方や地域の方々が大いに力を貸してくださっており、子供たちが本に親しむ貴重な機会となっております。
また、朝の時間に読書タイムを設けている学校や、図書館職員、保護者などのボランティアの協力を得て、ブックトークを実施している学校も多くございます。子供たちの成長に即した本を直接対面して紹介していただいたり、読書相談の絶好の機会となっております。
次に、第四点目の学校図書室における人材確保についてお答えいたします。
青少年期に読書に親しむことは、その子の一生の基礎を培う大切な経験でございます。そのため、学校における読書指導は教育活動の一環として極めて重要でございます。本区の小・中学校では、現在五十名の教員が司書教諭の資格を持ち、そのうち二十二名が学校図書室の担当について、子供たちへの読書に関するアドバイスを行ったり、図書室の運営や企画・立案、環境整備の任に当たっております。
学校図書館法の改正によりまして、平成十五年四月から各学校に司書教諭を置くことになりました。これは、学習指導要領の趣旨に沿いまして、読書の活用や新しい時代に対応することのできる情報活用能力を育成するための重要な位置づけと考えられているからでございます。
したがいまして、教育委員会といたしましては、まずは十二学級以上の規模のすべての学校に対して司書教諭を配置し、子供たちが良書に親しむことができる環境づくりを推進してまいります。
ご提案の学校図書室の運営における保護者、ボランティアの活用につきましては、ご協力いただく内容、教員との関係などにつきまして、他の実例も参考にしながら、研究、検討してまいりたいというふうに考えております。
以上をもちまして、中島義春議員のご質問に対する私の答弁を終わります。