○副議長(戸塚由雄君) 最後に、二番議員より「二十一世紀、行
政課題を新たな視点から見直せ」の発言がございます。
〔二番中島義春君登壇〕(拍手)
○二番(中島義春君) 私は、公明党区議団を代表し、刻々と変わ
るこの変動の時代の中で、その波に飲まれることなく着実に、そ
して確実に区民を見据えた行政サービスを展開するため、よりよ
き豊かな二十一世紀構築に向け、行政課題を新たな視点から見直
せと題して、一、環境行政について、二、少子高齢化社会におけ
る行政の取組み、三、区民サービスの向上を目指し、四、その他
として地元の課題について一般質問をいたします。
本年は、サッカーワールドカップが初めて日本で開催され、し
かも日韓共催であり、記念すべき年であります。一部フーリガン
の暴走による街と住民に被害があるのではと心配されましたが、
六月二日、四日、五日、六日、駒込駅、池袋駅に区長を初め区職
員そして地元の消防団の皆様のご協力を得て、無事に事なきを得、皆様のご努力
に感謝申し上げます。さらに、担当の区職員の方は泊込み体制を
していたともお聞きし、重ね重ね区民を守っていただいているこ
とに感謝申し上げます。
このような中、日韓交流の少年野球を初めとしての民間交流で
築いてきた本区と韓国ソウル市東大門区とが五月九日、友好都市
協定を締結いたしました。よく言われてきました近くて遠い国、
お隣韓国とこれを契機として真の友情を築き、世界平和へとつな
がる礎にしていきたいと私自身決意をしております。
では、質問に入ります。
初めに、環境行政についてお聞きします。
「生き続ける青い星」をテーマに環境写真展が美術館で開催さ
れておりました。そこには、自然の懐の奥深さ、海中に差し込む
太陽光とサンゴ礁、断崖から森に降り注ぐ滝など、神秘的な地球
が輝いておりました。対照的なのは人間の傲慢さによる湾岸戦争
で黒煙に覆われた油田や、捨てられたごみが埋まる写真は自然を
壊してきた人間への警鐘を鳴らしていることを感じます。ヒマラ
ヤに放置されたごみの収集活動をしている登山家野口健さんは、
「通常は四月、五月は乾期で天候が安定するはずなのに、季節外
れの雪が降り、雪崩が頻発し何度も目を覚ました」と、また気象
学者は「ヒマラヤ南部の平均気温が地球全体の上昇率を上回るペ
ースで高まっている。氷河は年間七十から百メートルの速さでや
せ細っている」と述べております。
地球温暖化は、確実に進行しております。その解決のために、
十年前、地球サミットがブラジルで開かれ、一九九七年には地球
温暖化防止のための京都議定書が採択され、批准については政府
も先程閣議決定いたしました。いよいよ本年の八月、南アフリカ
で開かれる環境開発サミットでは、京都議定書が発効されること
が期待されます。こうした世界規模での環境対策に対するうねり
の中、本区も環境行政をさらに進めていかなければならないと考
えます。
そこで質問いたします。平成九年、京都議定書が採択され、平
成十一年に定められました地球温暖化対策推進法を受け、温暖化
対策の実施行動計画を本区でも策定しております。京都議定書に
は温室効果ガス削減目標を九〇年比六%の削減が課せられており
ますが、墨田区では京都議定書以上の目標値を設定し取り組んで
いると聞いております。しかし、国全体を含め目標の達成はかな
り困難な状況ではないかと思われます。本区の進捗状況と今後の
取組みについてお伺いいたします。加えて、本区でも実施行動計
画を見直し、可能な行動計画を策定すべきと考えますが、いかが
でしょうか。
ここまでの本区の環境行政は、主に公害規制の側面が強く、区
の施策全般についての関わり方が、縦割り行政の弊害で、余りな
いのではないかと考えられます。ISO一四〇〇一を取得し環境
行政が進んでいる板橋区に行って話を伺ったところ、ISO取得
前後では大きく違ってきたとのことです。取得後は「健康と安全
の確保」「自然とアメニティの保全・創造」「地球環境問題の克服」
「循環型社会の構築」の各視点から捉えられる事業のすべてのマ
ネジメントをしており、かつては所管課との軋轢があったそうで
すが、今では克服しているとのことです。難しい問題があるかと
思いますが、本区も京都議定書の批准を決定したこの機会を捉え、
今後は環境保全の視点から捉えられる事業については、プラン・
ドウ・チェック・アクションという環境マネジメントができるよ
うな取組みができないか研究をしなければいけないと考えますが、
いかがでしょうか。
新エネ・省エネ対策については、私ども会派では今まで何回か
質問をいたしております。
板橋区の省エネの例を紹介いたします。NEDOの省エネルギ
ーへの支援策の補助金を利用して、文化会館、高島平図書館の省
エネ照明改修事業を行ったところ、改修後は電力消費量が、文化
会館では一二・三%の削減、図書館は一七・一%の削減の効果が
あり、区の持出し費用の半額の約一千万円は二年間で相殺したと
伺いました。さらに、民間活力で省エネを図るESCO事業を導
入し、区の持出しはなしで、業者への支払いは省エネで得られた
メリットの一部から支出。業者は、提案した削減率に達しない場
合は無償で改善提案、改修工事をする。これもNEDOからの補
助金が三分の一あるとのことでした。
私の昨年の一般質問でも、NEDOを利用してはとお聞きしま
した。本区は今後公共施設改修・新築の見直しを控えており、財
政難の区にとっては、補助金を利用して施策遂行することは大事
なことであると考えます。民間の力を活用して、各公共施設を省
エネ削減効果の視点から調査をしてはいかがでしょうか。また、
NEDOでは新エネルギーの補助金制度もあります。そこで、N
EDOを活用した新エネ・省エネの取組みについてどのようにな
っているのでしょうか。お伺いいたします。
生物多様性という言葉があります。どんな生命体も大切という
考えです。アメンボが生きられない環境は人間も生きられません。土が死ねば生
物も死にます。地球環境を守るのは私たち人間の責任です。環境
対策について、区長の前向きな答弁を期待いたします。
次に、少子高齢化社会における行政の取組みについてお聞きし
ます。
子供の日にちなんで四日に発表された総務省の人口推計では、
十五歳未満の子供の数は昨年より二十万人少なく、一千八百十七
万人と発表されました。総人口に占める割合も、一四・三%と二
十一年連続の減少を示し、過去最低を更新しました。諸外国と比
較しても、総人口に占める子供の割合は、米国の二一・四%、フ
ランスの一九・〇%などより大幅に低く、イタリアと並ぶ世界最
低水準であります。
一方、国内で見れば、沖縄県が一九・七%と最も高く、最低は
東京の一一・九%であります。特に未就学児について言えば、人
口に占める比率は東京二十三区中、本区が最も低く、つまり本区
は世界で最も少子化の進んでいる地域と言えます。過日の週刊東
洋経済の特集記事に、児童福祉と高齢者福祉の総合順位が二十三
区中、本区は堂々の三位に入っております。区長を初めとして職
員の皆様のご努力に敬意を表するところでありますが、しかし、
予想を上回るスピードで進行する少子化の波を押しとどめるには
至っておりません。
こうした中で、子育て支援策が盛り込まれた法案ができました。
改正育児休業法には子ども看護休暇制度や、労働者が残業の免
除・短時間勤務を会社に請求できたり、転勤に際しては本人の意
向を考慮すべき等が盛り込まれた法案です。また、需要が高まる
小児医療についても、今年十月からは三歳未満の患者負担が三割
から二割に引き下げられる予定となっており、国も少子化対策に
積極的に取り組もうとしております。本区も、今定例会で上程さ
れました乳幼児に対する医療費の所得制限撤廃は少子化対策の一
つであり、私どもの提案を区が取り組むことに私は大いに評価す
るものであります。
少子化を招いている大きな原因の一つは、女性にとって育児と
仕事の両立が難しいことにあると思われます。また、本区は、副
都心という立地条件のために、子育てのためのよい住環境が得ら
れないという特殊要因があるかと思われます。本区の少子化の現
状について、区長がマスコミからの取材を受けたとも漏れ聞いて
おります。私は少子化対策をさらに進めなければならないと考え
ますが、本区の十四年度新規・拡充事業は百二十事業ありますが、少子化対策の
視点から捉えられる事業はいくつありますでしょうか。私は、本
区の置かれた立場から見ますと、余りに少ないよう
に考えます。本区の現状と今後の対策についてお伺いいたします。
一日も早く安心して生み育てられる社会を実現したいとの願い
は、私ばかりでなく区長も同じ考えであると思います。そこで、
具体的な提案をこれからいくつかさせていただきます。
これから策定される基本構想・基本計画に少子化対策の視点か
らの項目を盛り込むべきでありますが、その点はいかがでしょう
か。また、その検討のために少子化対策を考えるプロジェクトチ
ームを立ち上げてはいかがでしょうか。
厚生労働省が待機児童の解消のために規制緩和を打ち出してお
ります。それは、短時間勤務保育士の配置定数の規制と分園規制
の撤廃です。これを活用し、施設の構造的問題があるかもわかり
ませんけれども、年度途中の待機児童の解消を図ることはできな
いでしょうか。特に大塚周辺は待機児童が多く、その解消のため
に都のA型認証保育園ができましたが、待機児童の解消には至っ
ておりません。現状をお聞きしたいと思います。
民間保育園も、進出に意欲を示しているところもあると聞いて
おります。商店街等の空き店舗を活用すれば、さらに補助金も利
用することができ、一石二鳥と考えます。区が調整を図って、民
間保育園が進出しやすい環境を整える努力も必要ではないかと考
えますが、いかがでしょうか。
保育料は、現在、二子目以降約半額となっておりますが、さら
に三子目以降を無料にしてはいかがでしょうか。これにはいろい
ろ議論があるのは承知しております。同時期の三人ですので、一
部の家庭に限られ、公平の点からいかがなものか等、しかし、少
子化の波を越えるためには少し思い切った施策も必要ではないで
しょうか。対象者は少ないと思います。もし実施するとすれば、
予算がどのぐらいかかるのか合わせてお聞きします。
出産の一時金は国民健康保険の規定で出産後支給しております
が、出産時、出産前にかかる医療費や資金繰りに悩んでいる人は
少なくありません。出産前に一時金の一部を貸し付ける出産資金
貸付制度を導入してはいかがでしょうか。医師からの証明等で簡
単に借りられることができ、返済は出産後の一時金の支給時に貸
付額を差し引いて相殺される方法です。少しでも出産時の負担軽
減につなげることができ、若いファミリー層には喜んでいただけ
るのではないでしょうか。
次に、平成十二年四月、介護保険制度がスタートして、その間、
私は定例会等で質問を重ねてまいりました。介護保険事業推進会
議の答申の中にも、潜在化している不満や苦情をきめ細かく吸い
上げる相談員制度を導入すべきと述べられております。今年度の
新規事業にも上げられておりますので、質問と提案をいたします。
まず、介護相談員の人数が十二名と記載されておりますが、要
介護認定者約五千名を対象とするには余りにも人数が少ないので
はないでしょうか。どのような事業運営を行おうとしているのか、具体的にお聞
かせください。
介護相談員の方は地元の相談窓口として活躍している民生委
員・児童委員との連携プレーが必要と私は考えておりますが、本
区ではどのようになっておりますか。船橋市では、相談者の層を
厚くするために、高齢者のボランティアを公募し、一定期間カウ
ンセリングの基本を学んでいただき、悩みを抱えているお年寄り
の相談相手になる傾聴ボランティア事業を既に展開しております。
推進会議でもボランティア等に協力依頼していくよう答申に記載
があります。ボランティア等の協力の考えはないでしょうか。ま
た、現在のように何が起こるかわからない時代、相談者が安心し
て相談できるように、相談員になる方たちには顔写真付き身分証
明書を発行してはいかがでしょうか。
継続的にサービスの質の向上や利用しやすさの改善に役立てる
ために、苦情まではいかない不満などをあらゆる機会を通して収
集する必要があると考えます。そこで、生の声を収集する方法と
して、モニター制度を導入してはいかがでしょうか。
続いて、介護サービス利用者等のアンケートの調査報告書にも
記載されておりましたショートステイの送迎についてお聞きしま
す。
地元の区民の方からも相談がありました。相談者は義理の母親
をヘルパーさんを頼まずご自分で介護しており、ショートステイ
の利用は、相談者にとって介護から解放され、自分の時を過ごせ
る大切な時間であります。ショートステイの期間は、介護保険制
度内の運用が柔軟となり、延びたと喜んでおりますが、さらに期
間の延長を望んでおります。その中で、送迎の仕方が施設によっ
て違いがあるのは同じ介護制度を利用しているのにおかしいので
はないかと質問されました。デイサービスの場合は、ショートス
テイ利用者よりも概ね介護度は低いにもかかわらず、利用者の自
宅の近くまで迎えにきます。ショートステイの場合は、施設によ
って異なりますが、ある施設では家族の方が業者に依頼しなけれ
ば送迎できないところもあります。社会福祉協議会で行っている
ハンディキャブは、予約が多く、かなり以前に予約しなければと
れない状態です。民間業者に頼むと相当高い費用となります。高
齢者所帯にとっては、費用の負担と送迎の連絡をすることはかな
りの困難さが伴います。そこで、デイサービスで利用している車
両をショートステイに使えないでしょうか。
現在、デイサービスの送迎に関する各施設の年間費用はいくら
かかっているのでしょうか。また、一日当たりはいくらになりま
すか。また、送迎の時間帯以外の使用実態はいかがでしょうか。
お聞きします。資源の有効活用の観点から、社会福祉協議会等が
連絡調整役として中に入り、ショートステイの送迎を担ってもら
うわけにはいかないでしょうか。ショートステイ利用者は、要介
護認定者の約四割近くもおります。そのうち半数以上の方が問題
を指摘しております。私は、区が善処するために努力する必要が
あると考えます。
次に、介護予防・痴呆予防について質問いたします。
現在、豊島区では長崎健康相談所及び巣鴨の分庁舎で介護予
防・痴呆予防の事業を展開されていると聞いておりますが、その
事業の内容や参加者数、それにその効果についてお尋ねいたします。
また、他の区では、麻雀連盟などの協力を得て、痴呆予防の麻
雀教室を企画したところ、大きな反響があったと聞いております。麻雀は、賭博
として消極的に捉える向きがございますけれども、金銭を賭けな
い限り健全なゲームであり、頭と手足を使うことにより痴呆予防
に非常に効果があると考えます。豊島区でも一部のことぶきの家
で麻雀教室を実施しているとのことですが、これを広げていく考
えがあるかどうかお尋ねいたします。前向きな答弁をお願いいた
します。
次に、窓口区民サービスの向上のために提案をさせていただき
ます。
区長は、行政はサービス業であるとよく言われております。職
員の皆様も「区長の心」を心として区民に接している様子を見か
けますが、一部ではありますが、区民の応対に疑問を感じる場面
に出くわすことがあります。相談者が窓口に立っていても、職員
は一瞥しただけで一向に声もかけない。相談者は、気の強い人・
気の弱い人・勇気を奮ってやっと相談に来た人・相談を受けるの
が当たり前と思って来る人、様々な人がいると思いますが、区が
最大のサービス業であれば区民はお客様です。どのような方が訪
ねられても、まず職員の側から声をかけるのが接客の第一歩では
ないでしょうか。区の財政が厳しい中、お金をかけずにサービス
の向上を図ることができる方法を職員の方から提案を求めていく
べきだと思います。
他市の例ですが、お金をかけずに市民の満足度を高める試みと
して、職員にアンケートをし、これまでに苦情を受けたケースを
集め、マニュアルを作成した自治体もあります。あるいは、堅い
役所のイメージを取り払い、気軽に来庁していただく趣旨で、笑
顔の写真付き配置図を窓口に置くとともに、ネームプレートに笑
顔の写真を付けることで区民が誰と話したかすぐわかるようにし
ている自治体もあります。不景気で、区民の方々と話しても、毎
日毎日不安を抱えて暮らし、生活と格闘している中、区民の皆様
のよりどころ、また頼りになる区民サービス向上に取り組んでい
ただきたいと願いますが、いかがでしょうか。いいものはどんど
んと参考にし、また積極的に取り入れていただくよう区長の見解
をお伺いいたします。
最後に、地元の課題をお聞きします。
私は西巣鴨に住んでおりますが、地元のまちづくり協議会では、
今後、首都高板橋足立線をテーマに検討し、問題を浮彫りにして、
区に要望を申し入れたいと聞いております。協議会及び地元の
方々は、工事が進むにつれ大きな体の姿を目の前にし、図面で
はわかっているつもりでも、住環境が脅かされるのではないかと
漠然とした不安を感じていると言っております。西巣鴨交差点付
近では急カーブとなっており、高速運転ではかなりきついカーブ
のように思われます。そして、当然そこでは減速・発進が行われ、
また渋滞等も予想されます。そこで、首都高における現在までの
工事の進捗と今後の予定をお伺いいたします。また、区は、協議
会を初め地元の意見等を積極的に聞き、不安解消のために首都高
に対策を講じられるよう働きかけるべきであります。以前、中山
道の歩道拡幅を協議会で決定し、区を通し都に要望いたしました
が、計画が既に固まっており、協議会の希望を実現することがで
きませんでした。今後そのようなことがないように、区は情報収
集を怠りなく行い、地元には早目に知らせていただきたいとお願
いいたします。
以上、一般質問を終わります。長時間ご清聴ありがとうござい
ました。(拍手)