○三十一番(池内晋三郎君) 私は、公明党豊島区議団を代表して、豊島区制周年の佳節を二十一世紀の豊島区の財政を盤石ならしめる大事な新世紀二年目と捉え、豊島区民が「安心と希望を持ち、豊かさを実感し、活力みなぎる豊島区の構築を目指そう」と題し、十四年度予算案について、若者の社会参画について、新生豊島の課題について、その他何点かについて、順次質問をいたします。若干の提案を申し上げて、高野区長のお考えと明快なご答弁を求めるものでございます。
示されました予算案の概要の編成方針の中で、「歳入の大幅な減少が見込まれる厳しい財政状況のもと、明確な将来展望を示す『新生としま』を実現するための施策を重点的に展開するとともに、二年次目となる財政健全化計画により、歳出抑制、歳入確保等を着実に実施し、十六年度黒字達成への道筋を確かなものとする予算」と述べられております。もとより、我が党の多くの要望も取り入れられておりますが、予算委員会でさらに審議を尽くしてまいりたいと思っております。
高野区長は就任四年目を迎えようとしており、その中での予算の編成は厳しくもあり、苦心の跡は多くの区民の皆様も認めるところでありましょう。
高野区長は就任以来、「元気、やる気、勇気」を合言葉に、そして汗と知恵を出し、困難に立ち向かおうと区民に区政に対しての協力を呼びかけられてきております。それに対して多くの区民の皆様は何とか応えようと必死で頑張っております。
高野区長、私はここであえて伺います。一つは、元気のもとは何でしょうか。二つは、やる気を起こすもとは何でしょう。三つ目は、勇気を出すもとは何ですか。なぜ私がこんなことを伺うのか区長は疑問に思われるかもしれません。決して区長を追及しようとしておるのでもありません。今、日本全体が元気を出そうにも元気が出せない、やる気があってもやることがない、勇気を出そうにも出てこない、だからますます元気が出ない。これが現実ではないでしょうか。
原因はどこにあるのかは、様々な要因があります。私は、これは社会全体がお互いの足を引っ張り、人の失敗を期待し殊さらに不安をあおる、共に助け合い自らを鼓舞することすらでき得ない状況をつくり出すことに専念する社会的風潮が蔓延しているのではないかと思うのであります。危機的財政状況と言われる現実も、実は国民一人一人の危機と捉え、どのように政治が対応していくのか、政治家は何ができるのか、今こそ政治家自身が自らに問い、自らを変革していかねばならないときと思っております。リーダーシップを発揮し、どんな困難をもはね返す強力な精神力と説得力を兼ね備え、皆が安心できる社会を築くことが肝要と思っております。
こんな状況の下、高野区長が「元気、やる気、勇気」を掲げられました。就任以来、様々な政策を提案し、実行に移してこられているのは私も理解し、高く評価しておりますが、区民の多くは、長引く不況の下、仕事、生活、家庭の中で様々な苦難に直面し、区長の思いが明確に伝わっていないのが現実と思われます。私なりの考えでは、十四年度予算の四つの事項はその具体的なものと捉えておりますが、区長が「元気、やる気、勇気」を打ち出す最大のポイントは、十六年度には黒字に転換するとの道筋がこれを表していると思われますが、いかがでしょうか。
高野区長は「財政健全化計画平成十四年度実施計画」「公共施設整備四か年計画(二年次)」「新生としま改革プラン推進計画二〇〇二」等、重要施策を発表して、向こう三年間の施政方針を示しており、この中で十六年度黒字を目指す方向を示しております。しかし、これらの施策の内容の徹底こそが区民への理解を得ることと思います。残念ながら、区民の中には、区長に対し一〇〇%の方が支持しているわけではありません。重要なことは、支持する方より不支持の方々の声の方が声高であり、より一層の不安感が助長されかねないからであります。区長の施政方針に理解をされる方たちも、この施策の内容をすべて理解しているとは限りません。だからこそ、予算編成のこのとき、もう一度明確にメッセージを発信していただきたいと思います。そして、今後も事あるごとに理解を深められるように努力されたいことを要望いたします。
さて、政治の使命は何か、それは以前にも申し上げたことがございますが、区民に安心と豊かさを与えることであります。安心は明確な方向性を示し、的確な政策の実行であり、豊かさは物のみにとらわれず、人を思いやり、社会に貢献する共助の精神の構築であると思われます。厳しいときこそ真価が発揮されるものであり、人材の発掘・成長も、組織の発展・拡大もチャンスであります。常々、区長は先頭に立って頑張ることを強調されておりますが、これからも職員、議会の意見を組み入れ、区民の信託に応えられることを望みます。
さて、十四年度予算編成に際し、区長は財政健全化計画で内部努力の徹底、施策の見直し、歳入の確保、財源対策を掲げ、予算を組み立てられました。個々の数字等は上げませんが、当初の厳しい予想の中、何とか予算を組み立てられたものであります。歳入の確保に対しましては、今年も多くの方たちが収納率の向上、滞納対策等の強化に取り組まれてきております。また、理事者、職員の皆さん方も休日を出勤され、個々の家庭を訪問あるいは電話等をしております。常日頃役所で職務を遂行されている皆さんが営業マンのごとく訪問、電話をされるとき、理不尽な言葉をかけられ大変嫌な思いをされるなど、勇気とご苦労があったことと思われます。社会全体が不況の真っただ中、滞納される区民の方々は、倒産、売上げの減少、リストラ、給料の未払い、病気、不測の事故等、様々な状況があったことと思います。
そこで伺います。高野区長は、これらの理事者の方々の報告をどのように受け、どのように激励をし、対処されておりますか。二、三、例をお聞かせください。まさか高野区長ご自身は行われていないと思いますが、だからこそ第一線に赴かれる方たちの苦労をねぎらうことが最も大事だと思われます。そして、今までの成果と来年度の取組みについて、今年度の経験をどのように生かされるか伺います。
一方、歳出の抑制については、内部努力の徹底として、職員関係経費の削減、非常勤等の見直し、また、施策の見直しでは、健全化計画対象事務事業の見直し、その他の事務事業の見直し等を上げております。
職員経費では七十一名の削減。しかし、区民の中には区の職員数はまだまだ多いと言う方もおります。これは区役所に来た方が実感されるものでしょう。職場にあっては、そのように見られるところがあるかもしれません。また、時間帯による見方もあるかもしれませんが、さらなる配置の工夫、職員の接遇態度を徹底し、区民の厳しい見方に対応していかなければなりません。区民は自ら置かれている厳しい生活の中で、公務員はあらゆる面で恵まれていると思っております。どんなに自治体の財政が厳しくとも、公務員は給料を必ず貰える、退職時には退職金も貰える、財源がなくとも借金をしてでも貰える。現に首長の失政により、退職金を借金で支払った自治体もあったと聞いたこともあります。このようなことから、どのように説明しても区民の方々の納得を得られるものではありません。
職員給与については、東京都が削減をしております。また、区長を初め幹部職員も給与の一部を返上していますが、一般職員については、豊島区はなぜやらないのかと言う方もおります。現実に一般社会においては、経営が厳しくなると、まず社員の給料に手をつけられ、給料の引下げ、残業の打切り、ひいては一部未払い、甚だしいときは一部支給等が行われます。それが嫌なら辞めざるを得ない。そのような社会が現実のとき、公務員は必ず給料も退職金すらも貰える。厳しい言葉でございます。給料の削減については賛否もあります。もちろん経営責任もあります。しかし、責任の追及なら誰でもできます。要は、どう打開し、乗り切るかが問題なのであります。
先日、新聞にダイエーの記事が掲載されました。労組が厳しい会社側の経営改革に対し対応を協議した結果、会社の方針を受け入れたとのことでございます。労組は、組合の存在意義がなくなる危機感を抱きましたが、受け入れなければ会社そのものがなくなるとの苦渋の選択を迫られたとのこと。このような報道や現実から、多くの区民が厳しい目を、また注文を突きつけてくるのではないでしょうか。
ある区民の方から、職員の給料の引下げが難しければ、例えば給料のほんの一部を一般の会社のように未払金のようにできないのかとの質問を受けたことがあります。例えば、一人年間一万円としても二千数百万になり、数年協力願えればかなりの金額になります。もちろん職員が退職するときは、その未払金も退職金と同時に支払われるようになります。そのような努力がなされれば、区民も「ああ、区役所のみんなも頑張っているな」と思ってくれることは間違いないと思います。公務員という特殊性、また自治体の会計処理のあり方から、無理と言われるかもしれませんが、無理であるなら、なぜ無理なのかご教示願いたいと思います。もし無理なら、どうしたら可能になるか、今後、私は考えていきたいと思っております。
職員の皆さんには大変嫌なことを申し上げてまいりましたが、もちろん私たち議員に対しても厳しい注文がつけられます。来年の統一地方選挙では、現在よりまた定数が二名削減されることを区民に説明しても、さらに二名、合計で四名は削減するべきだとか、報酬を減額すべき等々でございます。
高野区長、驚くべきは、私たちの報酬が削減されていることを区民の方の中には知らない方がかなり大勢いることです。さらには、退職金も貰い、加えて恩給もつくと思われております。区民は今年度の私たちの削減額を聞いて、ほとんどの方がびっくりしております。さすがに高野区長の五〇%減額は知っている方が多いのは事実です。私たちも今予算でも一部の方が報酬引下げに反対をしました。これは勘違いをしたのではないかと思われますが、報酬を引き続き引き下げていることを、私はこれからも区民に広く知らせてまいりたいと思っております。
次に、施策の見直しについては、事業の廃止・休止・縮小、補助金並びに執行方法の見直し等、合わせて負担金、手数料の改定等、サービスが低下し、負担の増大を招くのではないかとの不安を抱く方がおることです。この点に対しては区長はいかがお考えかを伺います。誰しも負担の増は喜びませんし、より多くの助成は受けたいものであります。高野区長のお考えを伺います。
限られた財源の中、いかに予算を執行するか、区民の目も大変厳しくなってきております。より一層の透明性、効率性が求められ、その上にサービスの向上が望まれます。最少の費用で最大のサービスに努めること、そして財政の健全化後、さらなる行政サービスを示していくことが肝要であります。
過日、外部監査結果が発表されました。その中で民間委託等、貴重な数々のご指摘がありました。行政の見方にはない経営的視点、区民の視点での示唆に富むご指摘と思っております。改革プランの中にも述べられておりますが、外部監査を導入し、区長はどう評価しているのか、もう少し詳しくお伺いします。
これからも区民の皆様によく説明をし、理解を深めていただく努力をなお一層取り組んでいくならば、区民の皆様も必ず納得していただけ、その上に区民は安心と希望を胸に「元気、やる気、勇気」を奮い立たせられることと思います。我々豊島区公明党も知恵を出し、あれやれこれやれではなく、何が最優先か、どうすれば皆さんに喜んでいただけるかの思いで取り組んでまいります。
公明党は結党以来、党の論理ではなく、常に庶民の側に立ち、庶民の目線で庶民のための政治を掲げてまいりました。高野区長も「区民の目線で」といつも述べられておりますが、今後もこの姿勢を貫いていただきたいことを望みますが、いかがでしょうか。
さて、今予算の編成に当たり、「新生としま改革プラン推進計画二〇〇二」を策定しました。これは五つのプランと十四の方針から成り、三カ年の具体的取組みを示しております。細かい事柄は省きますが、簡単に私なりの理解を申し上げれば、行政の役割とサービスのあり方、そして区民とのかかわり、それにより地域の活性化をどのように図るのか、合わせて財政健全化計画で豊島区の磐石の基盤をどのように構築をしていくのか、そこに焦点を当てた予算と思っております。
次に、我が党の小倉議員、木下議員は、常に一般質問の折に電子自治体を目指すよう強く要望をしてまいりました。今予算にもかなりその意見が反映されており、常に時代の先端のシステムを導入して、時代に合った行政サービスを行えるように情報化を進めてきております。各自治体でも、電子入札、電子申請、また電子投票等に取り組む自治体もあり、試験的、モデルとしての取組みですが、費用、技術など難しい点がありますが、時代の流れの中でやはり対応を考えていかねばならないと思います。
そこで、電子投票について伺います。本人確認、セキュリティーなどの問題はありますが、現在行われる投票事務、開票事務には多くの人員を必要とし、費用も多額になり、また長時間を要します。電子投票が実施された場合、これらの問題がどのように改善されるとお考えかお尋ねします。また、我が豊島区でも将来のために検討されるべきと思いますが、いかがでしょうか。
次の質問に移ります。
少子高齢化が指摘されて久しくなり、今回は子供、また若者のことについて、提案も含めて質問をいたします。
少子化が進み、学校の適正配置が進められておりますが、年々児童数の減少はとどまることがありません。加えて、若者が豊島区に住み続けることは大変困難になっております。住宅事情、仕事上の都合、結婚等、様々な要因が考えられますが、先日、ある方と話が進みました。若者をどうしたら豊島区に住み続けさせることができるか。話の中で、一つには、豊島区に対する愛着心が欠けるのではないかとのことでした。
ふるさと豊島区に、大人になったときどんなかかわりを持ち、どんな貢献ができるか。確かに本区でも、生涯学習の推進についての答申の中でも様々な視点から述べられております。それらを踏まえて提案をしたいと思います。
学校教育の中で、例えば、児童に作文を書いてもらう。題名は将来の夢、何をしたいのか、何になりたいのか、豊島区をどうしたいのかなど、いろいろあるかと思います。それらを製本して児童一人一人に渡し、定期的に集まり、夢に向かってどのように進展しているのか、その運動を通して子供の日頃からの夢と、希望を持ちチャレンジする心をどのように育んでいくのかが大事なことと思われます。要は、作文を書きっ放しではなく、言葉は適当ではないかもしれませんが、定期的に追跡調査をすることが大事であります。
また、児童全員に書いてもらうのか、小学生か中学生か、何年生に書いてもらうのか、集まるのは毎年かどうか等々、検討の余地はございます。また、学校教育現場に民間団体がどのようにかかわるか等の問題点もあるかと思います。また、予算の問題が含まれるかも知れませんが、その方はボランティアでもできると言っておりました。
高野区長、豊島区民の中には多くの優れた人材がおります。また、素晴しい団体もたくさんあります。彼ら自身がもっと豊島区に貢献することができないかと真剣に考え、議論をしております。答申の推進の方針、計画策定に際しての視点、社会参加から参画への移行の必要性の中で述べられていることにも合致すると思いますが、高野区長のお考えを伺います。
関連して次の点にも触れておきます。
全国の成人式において、一部の若者の理不尽な行動で成人式が混乱し、あるいは逮捕者まで出るなど、本来喜ぶべき祝いの日に何とも悲しい結果を生み出しております。そのため、式のあり方、式の運営に成人の参加で実行を試みる自治体が増えてきております。大人になったとの開放感、学校を卒業してしばらく振りに大勢の友と会う喜びの心の故かも知れません。幸い本区での音楽成人式は大変好評であり、大きな混乱は起きておりませんが、しかし、一歩間違うとと懸念される様子も窺えます。
ともあれ、若者の主体性と責任感、社会への参画の自主性を大きく育むことが二十一世紀の豊島区構築へ多くの人材を育成する上からも、さきに述べましたように、学校教育の後も持続する社会活動へと取り組むことが大事なことと思われます。行政が若者の社会参画へどんなかかわりが持てるのか、困難と限界があろうかと思われますが、多くの団体、個人も含めて取り組んでいくことが大事ではないでしょうか。高野区長のお考えを伺います。
次に、新生豊島区の課題についてご質問いたします。
高野区長は招集あいさつの中で、新基本構想・基本計画の策定について述べられました。「長期的な区政の展望を今こそ明らかにする必要があると痛感する」と、さらに現基本構想の問題点を挙げられ、「これから区政が直面する課題へ対応し、新たな区政を確立するためには、具体性を持った財政計画が不可欠」であると述べられております。また、合わせて「地域福祉計画、文化芸術振興プラン、産業振興計画、住宅マスタープランなどの策定にも取り組む考え」とあります。今後検討していくところですが、区長のイメージがあればお聞かせください。
現基本構想に「暮らし豊かに こころ輝く都市」と掲げられております。社会情勢の予想以上の変化と厳しい経済情勢の下、この理念と現状の落差は大変大きなものがあります。区長は文化と芸術薫る豊島区をつくりたいと言われており、振興プランの策定を基本構想に盛り込まれております。
よく「歌のあるところ、民衆は興隆する」と言われております。我が党の小倉議員の提案で、区制周年に向けての文化芸術の支援予算も盛り込まれました。周年を新生豊島区の出発点、チャンスと捉えると言われております。私も意見をどんどん申し上げてまいります。先程申し上げました子供の作文運動も、これからの豊島区を支える大事な人材育成、教育豊島の一環と考えております。
次に、大塚駅について伺います。
JRは大塚駅にエスカレーターの設置を一昨年発表しましたが、設置状況等の問題から、一時新聞報道にありましたように、凍結されるのではないかと危惧されました。大塚駅の改修、南北通路、空蝉橋方向への改札口の設置等、駅周辺の開発は住民の悲願でもあります。報道により、地域住民は大変心配をしました。課長を初め区長もJRに何かと駅改修に向けて働きかけ、ご苦労をされましたことでしょう。我が党の長橋都議も、まだ当時は候補者でありましたが、駅周辺を考える会の皆さんとJRに要望書を携え、引き続き大塚駅の開発へ取り組むよう要望に行ってまいりました。そのときJR側より努力する旨の返事をいただいたとのことでした。昨年、JRから簡単な改修案が示されたところです。豊島区の構想とは大きな隔たりがありますが、素案中の素案とも言うべきものでコメントは差し控えますが、一歩前進と思っております。
そこで、今後の取組みです。予算もかかわりますが、大塚の五十年先、百年先を考慮し、あくまで豊島区の基本計画を堅持していくべきですが、いかがでしょうか。また、進捗に際しても、豊島区がしっかりとかかわることが大事だと思います。そうでなければ、一昨年の轍を踏まないとも限りません。ともあれ、大塚駅が地元住民の意見を反映し、素晴しい駅を中心にした街に変わることを望みまして、私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手)