○区長(高野之夫君) ただいまの中島義春議員のご質問に対しま
して、順次お答えを申し上げます。
まず、環境行政についてのご質問にお答えいたします。
第一点目は、温暖化対策についての本区の進捗状況と今後の取
組みについてでございます。
本区では、全庁的に温暖化対策を推進するため、平成十二年三
月に庁内地球温暖化対策実行計画を定め、電気、ガス等のエネル
ギーの抑制・削減に取り組んでおります。これまでの実績では、
平成十年度から十六年度までに温室効果ガスの五%削減という目
標に対し、十二年度までに約一七%の増となっております。この
増加は、健康プラザとしまを初めとする新規施設の追加が要因で
あります。それらを除きますと、十年度比で約二%の増にとどま
っております。しかしながら、削減目標を達成していない実態を
踏まえ、今後の取組みといたしましては、まず現状の問題点を整
理・分析し、それらをもとにした、縦割行政を乗り越え、より具
体的、実効的な環境保全アクションプランを作成していきたいと
考えております。
次に、第二点目の環境マネジメントについてのご質問にお答え
をいたします。
さきに申し上げましたアクションプラン作成の第一歩として、
まずご指摘のプラン・ドウ・チェック・アクションといった環境
マネジメント手法を取り入れ、区の事業全体をごみの減量やリサ
イクル、緑化等の環境面で評価し、進行管理していくシステムづ
くりを進めていきたいと考えております。
次に、第三点目の新エネルギー・産業技術総合開発機構、いわ
ゆるNEDO補助の活用についてでございます。
ご指摘にありますように、区立施設の改修に当たり、その後の
維持管理費を削減することは、省エネ対策を進める上で重要なポ
イントであると認識をしております。そのため、民間を活用した
区立施設の省エネ補修調査を検討するとともに、太陽光発電等の
新たなエネルギーの活用についても、これからの時代を見据え積
極的に導入していかなければならないものと考えております。こ
うした視点に立ち、既に本年四月から庁内関係課長による検討を
進めております。その検討結果をもとに、来年四月にはNEDO
に補助申請し、十五年度中には学識経験者を交えた策定委員会を
設け、区立施設はもとより豊島区に相応しい地域新エネルギー、
省エネルギービジョンを策定していきたいと考えております。
いずれにいたしましても、地球の温暖化は最も大きな地球環境
問題であり、人類の生存と地球生態系を危うくさせるものと私自
身も大変危惧しております。温暖化対策を初めとする環境行政を
真に実効性を持って推進するため、今後の取組みを一段と強化し
ていきたいと考えております。
次に、少子高齢化社会における行政の取組みについてお答えを
いたします。
第一点目の本区の少子化の現状と今後の対策についてでござい
ます。
第一番目の事業推進のためのプロジェクトチームの立上げにつ
いてのご質問にお答えをいたします。
まず、平成十四年度新規・拡充事業についてでございますけれ
ども、少子化対策に寄与すると考えられる事業は十一事業でござ
います。今後、新たな基本構想・基本計画の策定に当たりまして
は、これまでの枠組にとらわれない柔軟な発想に基づき、各世代
がバランスよく、互いに支え合って暮らしていくことのできるま
ちづくりを目指して、少子化対策を最重要課題の一つと位置付け
てまいりたいと考えております。
また、プロジェクトチームについてでございますけれども、現
在、区の総合的な少子化対策に関する組織横断的な会議体として
「子どもの施策調整会議」が設置されておりますので、新たな基
本構想・基本計画や地域福祉計画との整合性を図るべく、これま
で以上に少子化対策のあり方についての検討を深めていく所存で
ございます。さらに、児童福祉計画の見直しも視野に入れ、先般、子ども家庭部
内に中堅や若手の職員を主体にした三つのプロジェクトチームを
立ち上げたところであります。今後はこのチームの下で、少子化
問題について実務レベルの検討を鋭意進めてまいりたいと考えて
おります。
次に、第二番目の保育園の待機児童の現状とその解消策につい
てのご質問にお答えをいたします。
本区における保育園の待機児童につきましては、今年度は四月
から六月にかけて減少しておりますが、例年、年度当初は比較的
少ないものの、年度後半には低年齢児を中心に増大する傾向にあ
ります。この待機児童の解消は、保育施策を展開する上での最重
要課題であると認識しているところであります。待機児童解消の
当面の対策といたしまして、今年度は利用定員の可能な限りの拡
大や管外からの受託児の入所を制限することにより対応いたしま
した。さらに、予測される緊急度の高い保護者のニーズに配慮し
た入所予約制度を新たにスタートさせたところでございます。
また、本年三月、待機児童解消や多様な保育ニーズへの対応に
ついて一定の役割を期待し、ご質問にあります都制度の認証保育
所を待機児童の比較的多い地域である北大塚に誘致いたしました。開設後の運営
は順調に推移しており、二十六名定員に現在二十三名が入所して
おります。二十三名の利用者の中には認可保育所に申込みをして
いる保護者もおりますので、待機児童の解消にも一
定程度寄与しているものと考えております。なお、認証保育所は、入所要件から
「保育に欠ける」という要件を取り払い、開所時間も「十三時間
以上」という要件を設け、長時間保育、夜間保育等
の保育需要にも応え得る体制をとっております。したがいまして、認証保育所は、
多様なニーズの受け皿の一つとして、認可保育所を補完する施設
であると認識しているところであります。
一方、待機児童解消のための中長期的な対策としては、公共施
設の再構築の中で、多様な保育ニーズに対する公私の役割分担な
どの課題と合わせて検討していく予定でございます。ご質問にあ
ります厚生労働省が進める保育所運営に関する規制緩和や中小企
業庁と共同して発表した指針に基づく空き店舗を活用した待機児
童の解消策につきましては、民間保育所が進出しやすい環境整備
の観点も含め、その実現の可能性につきまして公共施設の再構築
の中で検討してまいりたいと考えております。
次に、第三番目の保育料についてのご質問にお答えいたします。
現在、保育料に関しては、子ども家庭部内に保育料検討プロジ
ェクトチームを設けて、抜本的な見直しに向けての論点の整理と
情報収集を進めているところであります。今後は受益と負担の適
正化を図る観点から本格的に検討を進めていく予定ですが、その
際、少子化対策の観点も含め、第三子以降の保育料のあり方につ
いても合わせて検討してまいりたいと存じます。なお、現在、第
三子目以降の在園児は二十名で、保育料の合計は年間で約二百八
十八万円となっております。
次に、第四番目の出産資金貸付制度の導入についてのご質問に
お答えいたします。
現在、経済的な理由から出産に要する費用を支払うことが困難
な方に対しては、所得に応じて無料または低額で出産ができるた
めの制度として、児童福祉法に基づく入院助産の制度がございま
す。ご提案の出産資金貸付制度につきましては、二十三区で十三
区が実施していることもあり、少子化対策として導入の必要性は
認識しているところでございます。今後、既存の貸付制度の活用
を含め、導入に向けて検討してまいりたいと存じます。
次に、第二点目の介護相談員制度についてお答えをいたします。
第一番目の介護相談員の事業内容についてでございます。
ご承知のとおり、介護保険制度上、苦情解決処理には区あるい
は東京都国民健康保険団体連合会等が対応する仕組みとなってお
ります。しかしながら、こうした対応は何らかの問題が発生した
場合の事後的な問題解決の対策が中心となりがちでございます。
このため、苦情に至る事態を未然に防止するために、サービス利
用者の日常的な不安、不満や疑問などにきめ細やかに対応し、改
善策を探るとともに、問題提起・提案解決型により利用者の権利
保護を手助けするものとして考えられたのがこの介護相談員であ
ります。
実際に介護サービス提供の場を訪ね利用者の話をお聞きして相
談に応じる一方、派遣を希望する事業所に出向いてサービスの実
態を把握するなど、利用者と事業者の橋渡しをしながら、問題の
改善や介護サービスの質の向上のために活動する役割を介護相談
員は担っております。今年度、本区ではこの介護相談員派遣事業
をモデル事業と位置付けまして、実施上の問題や課題等を抽出す
るとともに、相談員からの提案等も取り入れて改善しながら、よ
り実効性のあるものとして来年度以降の本格実施につなげていき
たいと考えております。その際、委員の増員につきましても合わ
せて検討してまいりたいと考えております。
次に、第二番目のボランティア等の協力についてお答えいたし
ます。
介護相談員は、サービス利用者の立場に立つことを基本原則と
して、要介護高齢者の相談に応じながら、地域づくりにも貢献し
ていこうというボランティアマインドを有する人材であることが
前提と考えております。今年度、相談員を幅広く公募いたしまし
たが、それに先立って民生委員・児童委員協議会にも働きかけを
行い、連携・協力の依頼とともに、介護相談員事業にも自主的な
参加をお願いしたところでございます。相談員にどのような人を
得るかということが事業内容やその成否に大きな影響を与えるこ
とから、より適した人材の発掘は大きな課題ではないかと思って
おります。今後とも、民生委員・児童委員を初め、地域でボラン
ティア活動をされている方々に対し協力を働きかけてまいりたい
と考えております。
次に、三番目の相談員への顔写真付き身分証明書の発行につい
てお答えをいたします。
ご指摘のとおり、相談に当たっては、何よりも利用者の方に安
心してご相談いただくことが大切でございます。そのため、今年
度のモデル事業では、まず相談の初めに担当ケアマネジャーと介
護保険課の相談担当者が同伴して伺い、顔つなぎとともに信頼関
係を築くことを考えております。また、名札の着用や相談員委嘱
状の写しの携帯を指示しておりますが、顔写真付き身分証明書の
発行につきましては、平成十五年度からの事業の本格実施に合わ
せて実施してまいりたいと考えております。
次に、第四番目のモニター制度の導入についてお答えをいたし
ます。
介護サービスを利用する中で埋もれがちな苦情や表面化しにく
い不満などをきめ細やかにすくい上げ、質の向上に役立てていく
ことは、大変重要な取組みと考えております。ご提案のモニター
制度の導入につきましては、同様の趣旨から実施いたします先程
の介護相談員事業や、今年度の新規事業である介護サービス評価
事業の実施状況と成果を踏まえ、今後取り組むべき課題として検
討してまいりたいと考えております。
次に、第三点目のショートステイの送迎についてのご質問にお
答えいたします。
第一番目の送迎の費用等でございますが、区内のデイサービス
センターは十一カ所ありまして、その送迎費用は一台当たり平均
年額約七百八十万円、一日当たり約二万五千円でございます。デ
イサービスの送迎以外で空く時間帯は、午前十一時前後から午後
二時半前後でございます。その空いた時間帯には、特別養護老人
ホームの入所者の通院や新規利用者の訪問及びご指摘のショート
ステイの送迎等にも使用いたしております。ショートステイ利用
の際は、荷物も多く、利用者や家族にとって送迎は大きな負担と
なっております。その負担の軽減を図るため、今後、ハンディキ
ャブを運行している社会福祉協議会やショートステイを実施して
いる社会福祉事業団等と密接な連携をとり、空き車両の具体的な
有効活用を検討したいと考えております。
次に、第二番目の介護予防事業についてお答えいたします。
まず、長崎健康相談所と巣鴨の分庁舎で実施しております介護
予防・痴呆予防事業でございますが、高齢期の健康寿命を延ばす
ことを主眼に事業を実施しております。介護予防事業として、閉
じこもりがちな高齢者を対象に、長崎健康相談所では「星に願い
を」等の事業を、巣鴨の分庁舎では「ニコニコ体操教室」等の事
業を実施し、延べ二千人を超す方々にこの事業をご利用いただい
ております。
痴呆予防事業として、平成十二年より開始いたしました長崎地
区でのモデル事業がございます。この事業は、旅行や料理などの
余暇活動と運動を取り入れ、楽しみながらの実践活動で脳機能の
活性化を図るものでございます。この事業から「元気ながさき」
という自主グループが生まれ、百人程の方が地域の中で活動を展
開しています。この事業の成果でございますが、東京都老人総合
研究所の調査では、実践活動に参加している方は、不参加の方と
比較いたしまして、記憶や物事の段取り等の脳機能の改善が認め
られ、痴呆予防に役立っているとのことでございます。また、本
年度新たに同様な手法を用いた痴呆予防事業を長崎健康相談所と
巣鴨の分庁舎で開始をしており、三十人程の方が参加をしており
ます。
なお、麻雀教室についてのご質問でございますけれども、今年
四月より上池袋ことぶきの家で健康麻雀教室事業を実施いたして
おります。参加者にも好評でございますが、場所や騒音の問題も
ございますので、ご理解をいただいているところから実施してま
いりたいと考えております。
次に、窓口の区民サービス向上についてのご質問にお答えいた
します。
私は、民間からの区長として、就任以来、区民の目線に立った
行政を目指してまいりましたが、これを実現するには職員の接客
態度が基本であると考えております。そこで、これまで機会ある
ごとに職員に、顧客に接する商人のような心を持つよう話してま
いりました。その成果があり、最近窓口での職員の対応はよくな
ってまいりました。しかしながら、行政はサービス業であります
ので、接遇の向上は常に努力をしなければならない重要な課題と
考えております。
そこで、今年度から、窓口職場を中心に接遇向上のため、職場
ごとに目標を定め、職場ぐるみの取組みを始めました。この接遇
向上の取組みは、各職場の職員が自主的、主体的に進めていかな
ければならないものでして、今後それぞれの職場のアイデアや成
果を他の職場にも波及させ、全庁的に情報を共有できるようにと
考えております。このことで、ご提案いただきましたサービス向
上のための方法を職員から提案させるという取組みが実現できる
ものと考えております。また、庁内LANでは、手紙やメール、
電話などで寄せられた「区民の声」を読むことができますが、こ
れらの情報をさらに有効に活用するよう徹底してまいりたいと思
います。
先日訪問いたしました韓国の東大門区では、全管理職の写真を
ロビーに掲示いたしまして、開かれた区役所を印象付けておりま
した。国の違いはあっても、行政の住民サービスに対する意識は
同じなのだなあと感じました。職員一人一人が心からの笑顔で区
民の皆様をお迎えし、誰もが気軽に来庁できるような区役所とな
るよう、他の自治体のユニークな実例なども参考にし、今後とも
接遇の向上に積極的に取り組んでまいります。
次に、首都高速道路板橋足立線についてのご質問にお答えいた
します。
現在までの工事の進捗状況と今後の予定についてでありますが、
首都高速道路公団の説明によりますと、現在の主要な工事箇所は
飛鳥山のトンネルなどであり、これに引き続き照明工事などの付
属設備の工事を実施した上で、平成十四年内の供用開始を目指し
ているとのことでございます。
巣鴨・西巣鴨地域まちづくり協議会では、去る五月三十日に公
団から説明を受け、交通量の問題、渋滞対策、大気汚染対策など
について質疑を行いました。今後、協議会では要望をまとめてい
くことになっております。
高速道路の開通は、地元に各種の影響を及ぼすと考えられます。
このため、本区といたしましても、積極的な情報収集と提供に努
め、まちづくり協議会及び地元と一体となり、公団に対して騒音
対策など具体的な要請を行ってまいりたいと考えております。
以上をもちまして、中島義春議員のご質問に対する答弁を終わ
ります。