令和6年第4回定例会一般質問 高橋佳代子議員
「誰もが暮らしやすい 人が主役の魅力あるまちに」
令和6年11月20日登壇
公明党の高橋佳代子でございます。
私は公明党豊島区議団を代表して、「誰もが暮らしやすい 人が主役の魅力あるまちに」と題し、1.教育施策について、2.子ども・若者施策について3.住宅施策について4.その他として防災対策について 一般質問を行います。
始めに第1.として「教育施策について」のうち、1点目として教育大綱について伺います。
高際区長は、区長就任時から教育を重要な柱の1つとして位置づけられてこられました。学校現場では、いじめや不登校、障がいのある子どもや外国籍の子どもの増加など、課題はより複雑化しております。
平成27年4月1日に「地方教育行政の組織及び運営に関する法律の一部を改正する法律」が施行され、地方公共団体に総合教育会議が設置されることになりました。また、教育大綱は、地方公共団体の長が策定主体となり、大綱を実現するための計画として教育ビジョンが策定される事になります。これまで本区は、教育ビジョンが教育大綱も兼ねるという手法をとって参りましたが、高際区長が就任されてから、教育大綱を別に定める意義について、あらためてお示しください。
10月に策定されたばかりの教育大綱には、「未来を切り拓く 笑顔で元気な‘’としまっ子‘’が育つまち」との目指すべきまちの姿が示され、4つの方針が掲げられております。
方針1は「幼児期からの切れ目ない教育を推進し、未来を担う確かな学力と健康と活力に満ちた子どもを育成します」と示されております。人生の土台となる幼児教育の重要性は以前でも質問で触れておりますが、教育ビジョンで具体的な取り組みを示される事になるかと思います。就学前の子どもたちは幼稚園や保育園、家庭など、生活環境が多様であり、その中でどのように全ての就学前の子どもたちに幼児教育を推進されていかれるのか。また、小学校への円滑な橋渡しの強化について、区のお考えをうかがいます。
さらに、小学校から中学校までの円滑な接続をはかるため9年間を見通した「学習指導」「生活指導」の確立が示されております。これまでも小中連携に取り組まれてこられましたが、今後はどのように強化されていくのかご見解をうかがいます。
特に方針2には「多様性を認め、誰もが自己肯定感や自己有用感を感じられる教育を推進します」と示されており、誰一人取り残さず、子どもの人権を大切にし、全ての子どもに寄り添った教育を推進するという、高際区長がこれまでも大切にされてこられた視点であると考えますが、今後の取り組みについて伺います。
方針3には「地域の魅力や芸術・文化に触れる体験を通じ、心豊かで地域を愛する子どもを育成します」とあります。これまで本区は、文化を基軸にまちづくりを推進し、子どもたちが文化芸術に触れる機会を積極的につくって参りました。子どもたちを心豊かに、地域文化の担い手としても育成していくために、これまでの本区の特色である文化芸術体験を更に充実させていくよう求めますが、お考えを伺います。
また、方針4には「子どもと教員を支え、学びと成長を実感できる、新しい時代に適応した学校づくりを推進します」とありますが、学校や保護者と地域が一体となった学校づくりが、今ほど求められている時はありません。どのように子どもと教員を支えていこうとされているのか、区のお考えをお示しください。
さらに、「計画的な学校改築・改修を推進し、どの学校においても快適な学習環境を提供します」とも示されております。新たな学校改築方針として、駒込小学校・仰高小学校・駒込中学校と、朋有小学校・西巣鴨中学校及び総合体育場について、スケジュールも示されたところであります。しかし、等しく教育環境の質を担保する意味からも、学校改築方針以外の学校の長寿命化については、区として基本的にどのようにお考えなのかお示しください。
また、学校図書館の学習情報センター化と、図書館司書の充実も教育大綱に示されております。以前は、学校図書館とパソコン教室を一体として、学習情報センター整備を議会でも取り上げて参りました。しかし、タブレットが貸与されている現在は、図書館にタブレットを持ち込み大型モニターが設置されていれば、充実したグループ学習や発表が可能となります。さらに、学校司書の必要性と拡充については、私ども区議団がこれまで繰り返し要望して参りましたが、なかなか拡充されてこなかった経緯があります。しかしながら、教育大綱に示されたという事は、区が責任をもって、子どもたちが主体的に学習できる環境を整備されるという事であると思いますが、いかがでしょうか。ご見解をうかがいます。
次に2点目として、不登校の児童生徒に対する支援について質問します。
コロナ禍の影響もあり、区立小中学校不登校の児童生徒は、この5年で約2.1倍の374人になり、不登校の児童生徒の状況に応じた必要な支援が求められております。不登校は、どの児童生徒にも起こりうることであり、子どもが自ら主体的に進路を捉えて、社会的にも自立できるよう取り組むことが重要であります。学校教育の役割は極めて重要であり、一層の充実を求めるものです。文部科学省が行った追跡調査によると、不登校を経験した子どもたちの約60%が「学校へ行きたかったが、行けなかった」と答えております。
私ども公明党豊島総支部及び公明党豊島区議団は、去る11月11日、高際区長に「不登校児童・生徒への支援強化についての要望書」を提出いたしました。その内容を中心に質問いたします。
まず、不登校の支援については、早期発見と未然防止が重要であります。また、新たな不登校をうまないための魅力ある学校づくりに努め、日常的な相談体制の拡充が求められていると考えますが、いかがでしょうか。さらに、児童生徒が支援を求めているにもかかわらず、適切な支援が行われない場合は不登校が長期化することも考えられます。本区としてどのように支援に取り組んでいかれるのか、お聞かせください。
また、本区では、駒込中学校・池袋中学校・西池袋中学校に校内教育支援センターが設置されております。このような不登校の児童生徒の支援を行うための校内教育支援センターについては、各校に設置されるよう求めますが、いかがでしょうか。
さらに、令和5年第三回定例会での夫馬副議長の一般質問で、不登校特例校の設置を要望させて頂いております。東京都は東京型不登校特例校チャレンジクラスとの方針を示し、学校内にチャレンジクラスを設置する分教室型をとっております。不登校生徒の学びの選択肢を増やす意味から、このチャレンジクラスを本区にも設置されるよう要望いたしますが、いかがでしょうか。お考えをうかがいます。
また、貸与されているタブレットで、自宅をはじめとする様々な場所でも、必要な時に学習ができ、学びたい時に学べる環境を整備することが求められています。たとえ学校には来られなくても、タブレットで授業に繋がることができ、オンラインで指導やテスト等も受けられ、出席の取り扱いについてもガイドラインを策定するなど、十分に検討されるよう要望いたしますが、いかがでしょうか。お考えをお示しください。
不登校の国の定義である年間30日以上の欠席までにはいたらなくても、児童生徒に変化がみられた時は、担任の教員が抱え込まず、保護者やチーム学校で早期に支援をはじめることが重要であります。そのために支援シートの活用が必要であり、学校とスクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーが連携し、チームとして中長期的な訪問や、家庭への支援等も含めて、継続的に取り組むことが求められます。現在の課題と今後の取り組みについてお聞かせください。
さらに、文部科学省の「COCOLOプラン」では、保護者が1人で悩みを抱え込まないよう各教育委員会に相談窓口を整備し、相談機関や保護者の会、フリースクール等の有益な分かりやすい情報を提供するとしています。保護者の不安を和らげ、子どもの立場に立って考え、支援の視点を整理していくことが必要であると考えますが、いかがでしょうか。現在、相談窓口などはどのようになっているのか。また、今後の保護者への支援についてお考えをうかがいます。
特に小学生は不登校になると居場所が無く、適応指導教室「柚子の木教室」についても、低学年で通学している児童はいないのが現状であります。区民からご相談があり、教育センター長に区内のフリースクールの状況を伺うと、小学生を受け入れているところは1か所のみでありました。小学生の不登校児童はこの5年間で2.4倍になっており、教育委員会が責任をもって、不登校児童についても学習と生活の場を確保する事が求められます。今後どのように取り組んでいかれるのか、お考えをお示しください。
不登校については数だけではなく、児童生徒1人ひとりの不登校となった原因やどのような学びとつながっているのかなど丁寧に関わりながら、進路を主体的に捉えて、全ての子どもたちの社会的自立に向けて取り組む事が重要であります。不登校児童生徒の今後の支援強化について、区のご決意を伺います。
次に3点目として豊島区特別支援教育推進計画について伺います。
本区においては、特別支援教育を取り巻く状況の変化を踏まえ「豊島区特別支援教育推進計画」を令和4年3月に策定されました。本年はこの計画の改訂に向けて検討が行われているところであります。
そこでまず、豊島区特別支援教育検討会において、これまでの計画である令和4年度から令和6年度までの本区の特別支援教育についてどのように評価をされているのか。また、計画の進捗状況と課題についてお聞かせください。
インクルーシブ教育については、同じ場で共に学ぶことを追求するとともに、個別の教育ニーズのある幼児・児童・生徒に対して、自立と社会参加を見据えての教育を行うことが求められます。その意味からも、ユニバーサルデザインの授業については、以前の計画から言及されておりました。誰もがわかりやすい授業、誰もが安心できる学校づくりについて、現在の課題と今後の取り組みについてお示しください。
また、就学前から社会に参加するまでの支援については、教育だけではなく多様な部署や関連機関が連携し、共生社会をめざす事が重要となります。就学前から社会に参加するまでの支援について、教育委員会としてどのように取り組んでいかれるのか、お考えをうかがいます。
特別支援教育の学習指導要領等には、共同学習の重要性も明記されております。障がいの有無にかかわらず、共同学習等を行うことで社会性を養い、お互いを思い合うことができます。また、友達と共に多様な経験をし、体験を重ねていく事も大きな意義があると考えます。このような共同学習や体験活動の今後の取り組みについて、お聞かせください。
令和9年6月に、千川中学校複合施設が竣工し、「児童発達支援センター」や「教育センター」が同じ場所に移転し、連携の強化が期待されます。さらに、以前の一般質問で提案させていただいた「幼児教育センター」等についてもどのように連携し、きめ細かい特別支援教育等を推進されていくのか、教育委員会のお考えをうかがいます。
次に第2.として子ども若者施策についてうかがいます。
はじめに1点目として、子どもの文化芸術体験について質問します。
子どもの文化体験は、これまで様々な所管が事業実施をしております。文化デザイン課が所管する「ぞうしがやこどもステーション」は、NPO法人とともにダンスや音楽等の親子向けワークショップなどを行っており、いつも人気の事業であります。また、0歳から大人まで気軽に参加できる「としまアートなつまつり」は、文化庁文化芸術創造拠点形成事業となっており、子どもたちが気軽に文化に触れられるプログラムが毎年用意されております。このような心豊かに想像力を育む子どもたちへの文化芸術体験については、今後どのように取り組まれていくのか、区の姿勢をお示しください。
さらに、保育園等では平成19年度より、アーティストによる文化体験事業が展開され、保育士さんや子どもたちからも高い評価を得ております。このような、子どもの心を豊かに育む文化芸術体験事業については、本物の文化芸術に子どものころから触れる機会を創出する本区の特色でもあります。これまでは「子どものための文化体験事業」として実施されてきた事業でありますが、東京都の「とうきょうすくわくプログラム」の補助金が活用できるようになり、各園で展開されております。保育園が幼児教育を行うために補助金を活用している事例も伺っており、幼稚園や保育園といった施設類型を超え、全ての乳幼児の心の育ちをサポートするとし、主体的・協働的な探求活動を通じ、子どもの豊かな心の育ちをサポートするための事業であります。手上げ方式で実施される事になっておりますが、区内の実施状況についてお聞かせください。
また、この事業の補助金の期限が6年という事であり、それまでには現場の幼稚園教諭や保育士がノウハウを取得し、その後は自ら実施する事を想定されております。中長期的にみた「すくわくプログラム」の実施手法については、どのようにお考えなのでしょうか。
現在、基本構想審議会において基本計画が審議されておりますが、その中にも障がい者や子ども、外国人など多様な背景を持つすべての人々が楽しめるよう、福祉団体や学校などと連携し、演劇、音楽、アートなどを鑑賞する機会を増やすとともに、参加・体験の機会を提供するとしています。文化体験や芸術活動は言語を超え、生活文化を超え、多文化共生の足掛かりになると考えます。誰もが文化に触れ、様々な形で文化活動に参加し、心豊かに生活していくために、本区としてさらに裾野の広い文化活動について、ぜひ取り組んで頂きたいと考えますが、いかがでしょうか。
次に2点目として若者施策についてうかがいます。
現在、アシスとしまでは若者の就労支援相談についても行われております。若者の雇用と経済の安定は、少子化対策にもつながると思います。相談件数の増加や複雑化する若者の就労問題に対応するため、さらなる体制強化が必要であると考えます。アシスとしまにおける就労支援相談の現状と課題、今後の対策についてお聞かせください。
また、コロナ禍で大学等の対面授業が中止になり、若者の孤立が浮き彫りとなりました。若者の孤立防止や社会参加促進のため、気軽に集える居場所が重要であり、様々な自治体で若者のためのフリースペースの設置が推進されているところであります。しかし、現状では区内の若者向けの専用スペースが不足しており、いつでも気軽に立ち寄れるスペースの確保が求められます。本区として、若者の居場所創出にどのように取り組んでいかれるのか、お聞かせください。
豊島区は若者の転入が多い一方で、家賃の高騰や保証人確保の困難さから、住居の確保に苦労される若者も少なくありません。本区として、若者の住居確保支援をどのように拡充していくのか、お考えをお聞かせください。
若者の孤独・社会的孤立については、その背景に複雑な問題が潜んでいます。辛く苦しい時に悩みを聞いてくれたり、時には頼ったりできる存在がある事で、孤独や社会的孤立感を抑止する事ができます。豊島区内には若者支援に取り組む多くのNPO法人があります。どのように連携を強化し、若者支援の充実を図っていくのか、区のご見解をお聞かせください。
さらに、子ども家庭部は事業の内容も増えてきており、力を入れて取り組むべき課題も多くあります。人員の配置については、一人ひとりの負担が過度にならないよう、適切な人員配置を求めますが、お考えをうかがいます。
次に第3.として、「住宅施策について」うかがいます。
私ども公明党豊島総支部及び公明党豊島区議団は、11月11日に高際区長に「暮らし続けられる住宅施策の充実に関する要望書」を提出いたしました。その要望書を中心に、あらためて区のご見解をうかがいます。
本区の住宅マスタープランには、「住み慣れた地域で暮らし続けられる住まいづくり」との基本目標が示されております。区内の世帯は増加傾向となってはいますが、その要因は単身世帯の増加にあります。特に、子育て世帯の定住率は以前から大きな課題であり、平成17年度より区民住宅ソシエ17棟324戸を順次借り上げて家賃補助を行い、ファミリー世帯の定住化への取り組みを推進して参りました。しかしながら、16棟の借り上げ契約が既に終了し、今定例会には最後の1棟も令和7年2月で廃止するとの条例改正が提案されております。
現在、基本構想・基本計画が審議されており、そこには「良質で長く住み続けられる住環境の整備」が示されております。子育て世帯の定住化が進み、多様な世帯が安心して暮らし続けられるまちづくりが求められているところです。
豊島区は2004年4月から狭小住戸集合住宅税いわゆるワンルームマンション税を導入いたしました。狭小な住戸を有する集合住宅の建築を抑制し、得られた税を良好な住宅供給の支援に投入することによって、ゆとりある住環境を実現するというものです。このワンルームマンション税については、基金に積み立てられる事になっております。財政的に厳しい時代、一時的に住宅基金が一般財源化された時もありましたが、本来は目的税であります。ワンルームマンション税と住宅基金の推移と、現在住宅基金がどのように活用されているのか、お聞かせください。
本区の子育て世帯は、1か月当たりの家賃を10万円以上支払っている世帯が67.6%となっており、特別区の59.3%と比較しても高い家賃を負担されています。30年以上前にファミリー世帯の家賃助成制度がありましたが、それもいつの間にか無くなり、私ども区議団としてファミリー世帯の家賃助成を再び実施するよう要望して参りました。それを受け、平成21年度の新規事業としてファミリー世帯の家賃助成が再びスタート致しました。スタート当時は対象要件が厳しく、申請件数が少なかったため、その年の12月付で要綱を改正し、大きく2点を改正し制度を拡充して参りました。
1点目は、申し込み要件の緩和について、月額所得が15万8,000円だったところを20万円までに引き上げております。2点目の助成額については、従前は差額家賃の上限1万5,000円を助成することになっておりましたが、基準家賃制度を設けまして、ほぼ全員の方が1万5,000円満額の家賃助成を受けられるようになりましたが、平成21年度の成果はたった3件でありました。その後、所得制限の緩和や対象となる子どもの年齢引き上げ等、何度も要望と緩和を繰り返しながら、現制度となっております。
豊島区住宅マスタープラン(後期5年)では、初めてマスタープランに子育て世帯の定住化の支援が明記をされました。これは、とても大きな意義があります。また、基本計画にも子育て世帯の定住支援に取り組むことが示されており、今こそ本区の姿勢を明確に示すため、もう一歩踏み込んだファミリー世帯の家賃助成の拡充を求めますが、ご見解をうかがいます。
また、本区の特長として独居高齢者の率が高いことがあげられます。2025年には団塊の世代が後期高齢者となることで、雇用や医療、福祉といった日本経済や社会の広い領域に影響をもたらします。その意味からも、高齢者の孤立を防止し、家族の絆の再生を目的として、子育て世帯と親世帯の三世代の同居・近居のための家賃や転居費用の一部を助成する制度を創設するよう求めますがいかがでしょうか。お考えを伺います。
安心住まいの制度については、以前から2階の入居が少ない事や区内の偏在化が課題となっておりました。オーナー側と契約を変更する事も簡単ではないうえ、状況の改善もあまり見通せない実態があります。そこで、高齢者や障がい者、ひとり親世帯等の住宅確保要配慮者の入居を拒まない住宅を区に登録し、見守りや緊急通報装置等の安否確認体制を整え、住宅オーナーへのインセンティブ等も含め、不動産業界団体と連携して推進されるよう求めますが、ご見解をうかがいます。
国土交通省の調査によると、空き家はこの20年で1.9倍に増加し、今後も増加見込みで2030年には470万戸になると想定されております。管理不全な空き家は、周辺地域にも悪影響をもたらすため、個人の問題ではなく地域の問題となっております。特定空家等になってからでは対応は難しく、その前の段階で発生抑制、活用や適正な管理を促進しなければなりません。また、本区では、地域貢献型空き家利活用事業が実施されております。しかしながら、空き家の登録はホームページを見てもストックはありません。実施されてきた事業については、地域貢献度は高いと考えますが件数は少ない印象があります。空き家をなるべく早い段階で活用する事が、有効活用の近道にもなります。今後、空き家活用のスピードを高め、広げていくためには、やはり所有者の意識調査を行い、空き家の活用に関するインセンティブも必要ではないでしょうか。本区では、平成28年9月から平成29年3月末にかけて、空き家等の実態調査を区独自で行っております。表札の有無、電線の引き込みの有無、建物と敷地の管理状況などを外観から判断し、空き家数などを把握。所有者アンケートや賃貸不動産業社等に対するヒアリング調査を行い、空き家の発生メカニズムや活用意向など基礎資料が作成されました。あれから8年が経過し、区内の実態も変化していると思いますので、ぜひ、空き家の実態調査を実施し、特定空き家の未然防止と利活用の促進をはかるよう求めますがいかがでしょうか。お考えを伺います。
次に4.その他として「防災対策について」うかがいます。
地震や台風などの災害が発生すると、窓ガラスが割れて破片が飛び散ることで被害が拡大してしまう事があります。また、災害以外でも窓ガラスが割れて飛散するとその破片で怪我をしたり、屋内の家財を損傷してしまうなど、思いもよらない被害につながります。
災害時、家具の転倒防止も大切でありますが、窓ガラスが割れて部屋中飛び散る事を考えると、避難する前に部屋の中で大けがをしてしまう事も予想されます。救援センターとなる区立小中学校については、過去の震災の教訓から私どもの提案で、飛散防止フィルムが取り付けられました。避難する場所にガラスが飛散していたら、2次被害が起こってしまいます。そこで、防災の観点から福祉救援センターや補助救援センターの窓ガラスについても、飛散防止フィルムの処理がされているのかどうか、お聞かせください。
また、本区においては、1人暮らしの高齢者や障がい者の方々も多くお住まいであります。大規模地震が発生した際、このような災害時要援護者が怪我をせずに避難できるよう、ガラス飛散防止フィルムの取り付け補助事業の実施を要望いたします。葛飾区、墨田区等では既にこれらの補助事業を実施されております。例えば取り付けはシルバー人材センター等にお願いする方法も検討できると考えますが、区のお考えを伺います。
以上で私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。
公明党 高橋 佳代子 議員一般質問答弁
- 高際区長答弁
ただいまの、高橋佳代子議員のご質問にお答えいたします。
私からは、まず教育施策に関し、教育大綱を別に定める意義についてです。
コロナ禍を経て、社会状況や人々の価値観等は大きく変化し、子どもや家庭、教育を取り巻く環境は複雑かつ多様化しています。全国的に不登校の子ども、発達障害をはじめ障害のある子どもが増加しており、また、虐待やSNS等によるいじめ、自殺、貧困、ヤングケアラー、性暴力など、子どもにとって深刻な社会問題は、日々、報道される状況にあります。本区においては、日本語に不自由する外国籍の子どもも増えています。
未来ある子どもたち、一人ひとりの置かれた状況は様々ですが、どんな環境にあっても、笑顔で元気に、たくましく、未来を切り拓いていってほしい。そのために豊島区は、区をあげて、そして、このまちで暮らし、学び、働く大人たちとともに全力で応援していく。私は区長として、子どもたちと、子どもを見守る大人たちに、そうした豊島区の姿勢と決意を表明したいと思い、新たな「豊島区教育大綱」の策定に臨みました。
今日、子どもを取り巻く様々な問題に対し、一人ひとりの状況に応じたきめ細やかな対策が一層必要となっています。また、教員の働き方改革や老朽化する学校施設の改築・改修等の環境改善も喫緊の課題です。
私は、副区長であった3年間、子ども家庭部、保健福祉部を所管し、子どもと家庭に係る課題に向き合う中で、数多くの場面で教育部門との繋がりが必要であることを実感し、連携を図りながら施策を進めてきました。うまくいったこともある一方、教育と福祉の狭間を埋め、もっと連携できたのではないかと思うこともあります。そうした経験を踏まえ、区長就任後には、総合教育会議での教育委員との意見交換や、教育部門を担う職員との日々の課題共有を重視してきました。
子どもたちへの支援・応援には、行政分野を超えた切れ目ない連携が不可欠であり、今まさに、一層の推進が求められています。区長部局と教育委員会がその共通理解のもと、情報共有を図り、これまで以上に連携を図りながら対応していく必要があります。
今回策定した「教育大綱」は、「基本計画」との整合性を図りながら、豊島区の教育の基本的な方向性を示すもので、「教育ビジョン」や「子ども・若者総合計画」等の子どもに係わる分野別計画がより実行力のある施策を展開していくための「羅針盤」としての役割を果たします。
こうした教育大綱を区の予算、及び計画全体に責任を持つ区長が、教育ビジョンとは別に定めることにより、すべての関係部局が本区の教育の目指すべき方向性を共有し、緊密に連携しながら、本区の教育行政、そして、子どもを取り巻く様々な課題の解決に向けた取り組みを、より強力に推進していく土壌が整ったものと考えております。
次に、子ども・若者施策に関し、子どもたちの文化芸術体験に係る今後の取組みについてです。
幼児期から文化芸術に触れることは、創造力や思考力の育成、コミュニケーション能力の向上など、子どもが成長する過程の中で大変重要な役割を果たすものであります。
本区はこれまでも、としま文化の日の特別企画として、未就学児から鑑賞できる東京都交響楽団の「スペシャルコンサート」の開催や、子ども向けワークショップ「としまっこフェス」、「キッズアーティスト」など、子どもたちが気軽に文化芸術に触れ、体験できる事業を数多く実施してきました。
こうした取り組みは、子どもたちにとって、豊かな人間性を育み、多様な価値観を身に着ける貴重な場となっており、豊島区教育大綱において、さらなる推進を目指す旨、お示ししています。
本区では、今後、文化芸術団体や企業、学校等と連携し、子ども達が音楽や演劇、アートなどの鑑賞や、伝統文化からダンスまで、自ら様々な文化を体験できる機会やメニューを拡充を目指してまいります。特に、家庭の事情や心身の状況などから、これまで文化芸術活動に参加しづらかった子どもたちが気軽に参加でき、喜びや驚きや感動、また、他者とのつながりの扉を開くような事業を、区民の皆様の応援もいただきながら、数多く構築してまいりたいと考えております。
次に、裾野の広い文化活動の取組みについてです。
文化芸術は、人々に感動やわくわく感、精神的な安らぎや生きる喜びをもたらし、人生を豊かにするものです。
本区はこれまで、文化施策を区の基本政策に据え、「文化を基軸としたまちづくり」により、まちの価値や区民参画の機運を高め、多種多様な文化事業を展開してまいりました。
新たな基本計画(素案)においても、「区民の誰もが文化芸術に触れ、様々な形で文化活動に参加し、心豊かに文化的な生活を送ることができる」ということを文化施策における目指す姿として掲げました。
すべての区民が日常生活の中で多様な文化を楽しみ、文化を身近に感じ、本区で暮らすことの喜びを感じていただけるよう、先ほども述べましたとおり、今後、子ども、障害者、外国人、ひとり親家庭、生活困窮家庭、生きづらさを抱えた若者など、障害や国籍等に関わらず、誰もが文化芸術活動に参加、体験しやすい環境づくりに力を入れ、取り組んでまいります。
次に、若者の居場所創出のための取組みについてです。
本区では、令和3年度から国の補助金を活用し、様々な困難や不安を抱える若年女性が、性や体のこと、人間関係などに関する相談をしたり、自由に安心して過ごすことができる「若年女性つながりサポート事業(ぴこカフェ)」を開始しました。さらに令和4年度からは、東京都の補助金を活用し、「ぴこカフェ」に加え、中学生から20歳代の若者がモノづくりやゲームを通して交流を持つ「若者のための参加型居場所事業(だちゃカフェ)」と、地域でごみ拾いをしながら会話をし、その後コーヒーを飲みながら交流し、地域にコミュニティを作っていく「若者が作る若者の居場所応援事業(CCC)」を立ち上げ、NPO法人等に委託して実施しています。
これらの事業による居場所の利用者数は、令和5年度は
1,949人、令和6年度は9月末時点で1,281人と増加傾向にあり、リピート率も高いことから、困難や不安、生きづらさを抱える若者にとって、居場所となる場の必要性が高いと認識しております。
心の拠りどころとなる「居場所」は、継続することが重要です。これまで本区の居場所事業で活用してきた東京都の補助金の事業年度が今年度で終了することから、今後、補助金の再利用に向けての協議や、新たな方策を講じることで、安定的に若者の居場所を確保していく必要があります。
こうした中、現在、本区の遊休施設の活用や、民間事業者との協力による空き家の活用など、既存ストックを活用した新たな形での若者のための居場所の創出について検討しています。
具体的には、若者支援の実績があるNPO法人等に、本区が提供するスペースを活用してもらい、若者支援を充実させる方法を考えております。
これらの施策を積極的に推進し、若者の居場所創出を途切らせることのないよう、取り組んでまいります。
次に、若者の住居確保支援についてです。
本年開催した大学生を対象とした「未来としまミーティング」では、空き家をシェアハウスとして活用し、若者に安価に提供するなど、若者への住宅確保支援を求める意見が多く寄せられました。
若者の中には、経済的な問題だけでなく、家庭環境や人間関係など、様々な事情により住居の確保が難しいケースもあります。そうした若者を支援するため、若者支援を行うNPO法人等と連携し、相談体制の強化に努めていく必要があると考えております。
住居の確保が難しい若者に対し、シェルターやシェアハウスの提供、生活相談、就労支援など、きめ細かな伴走型の支援を行っているNPO法人の活動は、住まいの確保に困難を抱える若者にとって、大きな支えとなっていると認識しています。
本区といたしましても、空き家を利活用してシェアハウス等を整備するNPO法人等へ支援・補助を行う、空き家利活用事業の充実を図り、若者の居住の場を増やしていきたいと考えております。
今後、関係機関やNPO法人と連携し、若者自身の声や他自治体の例を参考にしながら、相談体制の充実や情報提供の強化をはじめ、住居確保に向けての支援のさらなる充実を検討してまいります。
次に、 NPO法人と連携した若者支援の充実についてです。
様々な背景を持つ若者への支援を効果的に実施していくには、行政だけでなく、区内で多様な若者支援を行うNPO法人との連携が不可欠です。そのことは、まもなく丸4年を迎える「すずらんスマイルプロジェクト」の活動を通じて、痛感しています。
そうした考えのもと、本区では、子ども若者支援のネットワーク構築を目的とした「居場所会議」を年4回開催し、NPO法人等、民間支援団体との情報共有と関係構築、連携強化を図っております。また、私自身、民間支援団体の活動報告会等に参加し、本区の若者支援の考えや取組みを紹介するなど、接点を持ち続けてきました。
定期的な情報交換の場を持つことで、NPO法人と「顔の見える関係」が築かれ、緊急時の相互支援や連携を可能にし、結果として、各団体を利用する若者への支援の質の向上につながっていると考えています。
今年度末に策定する「基本計画」の素案においても、本区として、若者支援の強化・充実を図っていく旨、お示ししました。今後、NPO法人が活動を通じて蓄積されたノウハウ等を共有し、新たな施策展開を企画の段階から一緒になって考えていくなど、パートナシップ関係を強化し、より包括的で効果的な若者支援に取り組んでまいります。私からの答弁は以上でございます。
- 上野副区長答弁
私からは、住宅施策におけるワンルームマンション税と住宅基金についてお答えいたします。
この5年間の狭小住戸集合住宅税の推移は、令和元年度が
4億 7,200万円、 2年度が5億 6,650 万円、 3年度が4億 8,600万円、 4年度が2億6,200万円、 5年度が2億8,650 万円となっております。その税収を積み立てている住宅基金は、この5年は毎年1億円程度を住宅施策に充当し、差し引きで増加傾向にあり令和 5年度末現在、11億 7,700 万円余の残高となっています。住宅基金は、区営・区立住宅の大規模改修工事経費に充当するほか、令和元年度より高齢者向け優良賃貸住宅や高齢者世帯等の住み替え、子育てファミリー世帯への家賃助成、空き家活用事業、子育て支援住宅整備事業へ、さらに令和 4年度からは住宅セーフティネット事業へも充当しております。
次に、ファミリー世帯家賃助成の拡充についてです。
この制度については、これまでも様々なご要望を踏まえて種々の要件緩和を行ってまいりました。しかしながら、現在なお、昨年度末に策定した住宅マスタープラン(後期5年)でお示ししているように、18歳以下の子どもがいる世帯については63.1%が子どもが6歳に達するまでに転出しており、
5年前より増加している状況にあります。
豊島区に住みたい、住み続けたいと思っていただけるようにしていくためには、幅広い子育て世帯の定住促進のための支援制度を充実していくことが重要であると考えております。
このため、子育てファミリー世帯家賃助成については、現在、例えば区内居住要件を設け、助成額の拡充や支給対象所得要件の緩和ができないかなどを検討しているところです。
次に、三世代同居・近居のための家賃や転居費用の一部助成制度の創設についてです。
子育て世帯の定住率が減少し、高齢者、特に単身高齢者が増加傾向にある現在、親子で支えあいながら子育てするとともに、高齢者の見守りができる子育て世帯と親世帯の同居・近居の支援制度の必要性を感じております。
そのため、同居・近居する際の転居費用等の補助ができないか、それに加え、同居・転居する世帯へインセンティブを付与できないかなど検討しております。私からの答弁は以上でございます。
- 教育長部長答弁
私からは、教育施策における全ての就学前の子どもたちへの幼児教育推進及び小学校への円滑な橋渡しについてお答えいたします。
幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであり、教育大綱でも四つの方針のうち、第一の方針の始めに位置付けております。全ての就学前の子どもたちへ質の高い幼児教育を提供するために、幼児教育の拠点となる幼児教育センターを設置する予定です。幼児教育センターでは、施設の種別や公立私立の別を問わず、幼児教育の質の向上を図るため、幼児教育の専門的な知見や豊富な実践経験を有する幼児教育アドバイザーの派遣や公立・私立幼稚園教諭・保育士、小学校の教員合同による就学前5歳と就学後6歳の指導計画であるアプローチ・スタート研修や家庭で子どもを育てている保護者の相談などを行い、区全体の幼児教育の向上を目指してまいります。
小学校への円滑な橋渡しとしては、園児が小学校に訪問し児童と交流することで、小学校の雰囲気を就学前から感じ、就学後も安心して小学校生活を過ごせるようにいたします。
また、区立小学校区ごとに、校長と学区内の公立・私立の幼稚園・保育園の園長との連絡会を開催し、情報交換を通して学校・保育園間の教育内容について共通理解を図ります。
さらに、教諭と学区内の公立・私立の幼稚園・保育園の保育士との連絡会も開催し、今後の教育活動に向けてお互いに学校や各園の紹介を行うとともに児童園児の情報交換や年間行事の確認を行ってまいります。
次に、今後、小中連携をどのように強化していくのかについてです。
これまでも、教育ビジョンに基づき、各中学校ブロックの連絡会を通して小中連携を進めてきました。各中学校ブロックでの取組の成果と課題をふまえ、今年度中に「小中連携教育推進検討会」を開き、「小中連携教育推進方針」を検討していく予定です。また、池袋中学校・池袋本町小学校・池袋第一小学校の「池袋中学校ブロック」と、西巣鴨中学校・朋有小学校・巣鴨小学校の「西巣鴨中学校ブロック」を拠点として学習指導や生活指導での連携した取組みを行い、小学校と中学校で共通実践できるプログラムを作成していきます。
保育園・幼稚園・小学校・中学校のつながりは大変重要であり、小1プロブレム、中1ギャップの解消にむけて、さらに一層の連携を強化してまいります。
次に、誰一人取り残さず、子どもの人権を大切にし、全ての子どもに寄り添った教育推進のための取組みについてです。
子どもたちが安心して学び、将来への希望をもって、自分らしく健やかに成長するためには、一人一人の子どもが「尊重されている」と実感できることが必要です。
「子どもレター」等を通して、子どもたちの声に耳を傾け、思いや願いの解決策を区役所の全部署を挙げて考え、現在も日々、一生懸命取り組んでおります。さらに今後は、チームとしまの企業や大学等、関係機関とも連携しながら、子どもたちの願いの実現に向けた努力をしてまいります。
子どもたちに、自分たちの声がきっかけで課題が解決されたり、状況を変えることができるんだと感じてもらい、自信をもってもらいたいと思います。
日ごろの学校生活の中でも、子どもたち自身で課題を捉え、必要に応じてきまりやルールを見直す等の体験を積ませることによって、子どもたちが自分たちの権利について考え、行動する機会を増やしてまいります。
また、子どもたちの状況に応じた必要な支援により、個別最適な学びが実現し、子どもたちの自己肯定感や自己有用感が高まります。喫緊(きっきん)の課題となっている不登校対策については、不登校対策支援員の配置や、安心して学べる環境の整備を進めていきます。
また、今後も特別支援教育計画の改訂を行い、インクルーシブ教育を 一層推進していく中で障害がある子もない子も共同して学び交流していくことをさらに進めてまいります。今後も全ての子どもたちに寄り添いきめ細かい支援が迅速に行き届く取組みをしてまいります。
次に、文化芸術体験の更なる充実についてです。
本区では、すべての学校に共通して「芸術鑑賞教室」「音楽鑑賞教室」「邦楽鑑賞教室」を行っています。学校によっては「次世代文化の担い手育成事業」を活用したダンスや演劇のワークショップ型授業や地域団体による「講談教室」等にも応募し、様々な機会を通して豊かな心を育んでいます。
今後も、チームとしまの企業、区内大学との連携や、文化庁など国の様々な文化事業を活用し、子どもたちの文化芸術体験の機会を充実させてまいります。
また、各学校は、これまでもトキワ荘、長崎獅子舞、雑司が谷すすきみみずくなど地域に根づいた文化や、地域の人材を活用しております。今後も、地域資源を教材としたカリキュラム・マネジメントを推進し、地域と触れ合う機会を一層充実させ、子どもたちの地域への理解や地域を大切にする心を育み、地域文化の担い手を育成してまいります。
次に、学校や保護者や地域が一体となった学校づくりが求められるなか、どのように子どもと教員を支えていくかについてです。
現在、「地域とともにある学校づくり」を目指すコミュニティ・スクールを全ての学校に順次導入しております。導入した学校では、学校運営協議会に加入している地元企業が特別な授業を行なったり、地域の方が登下校時をはじめとする見守り活動を行ったり、地域ぐるみで子どもたちの成長を見守るとともに、教員支援の一助にもなっております。
今後は、子どもたちに多くの体験的な学びの機会を増やせるよう、学校と地域が協働する活動をより活発にしたり、地域理解教育などの際に教員への有効な支援となるよう、地域資源について熟知している地域の方々から紹介・助言をいただくなど、日頃より学校を応援してくださる多くの地域の方々、保護者の方々との連携をさらに強化してまいります
次に、学校改築方針以外の学校の長寿命化についてです。
先日の議員協議会にて報告した新たな学校改築計画により、未改築校となる学校は14校となります。
この14校は、計画期間中も校舎の老朽化が進むことから、外壁改修や屋上防水、校庭改修などの計画的な老朽化対策を実施することで、安全性の確保に万全を期してまいりたいと考えております。
また、学校図書館の学習情報センター化や学校プールの暑熱(しょねつ)対策など「学習環境整備計画」を年度内に策定するとともに、ソフト面においても、学校図書館司書の充実やプール指導の充実などを行うことにより、特色ある学校教育を推進してまいります。
このような校舎の老朽化対策と学習環境整備の取組みを同時に進めることで「子どもたちが今後も安心かつ快適に学習できる環境」を実現してまいります。
次に、子どもたちが主体的に学習できる環境についてです。
子どもたちが主体的に学べる快適な学習環境を整えるため、学校図書館の学習情報センター化については「学習環境整備計画」を策定し整備を進めてまいります。
学校図書館司書については、千川中学校と清和小学校に現在、専任の司書を配置し、学習活動と読書活動の充実に向けた検証を進めているところです。今後は、地域図書館との連携を強化するとともに、計画的に司書の拡充を図ってまいります。
ハード面とソフト面両方で子どもたちが主体的に学習できる環境を整備してまいります。
次に、不登校の早期発見と未然防止の重要性及び魅力ある学校づくりと日常的な相談体制の拡充についてです。
不登校対策においては、児童生徒が休みがちになった段階から教員が本人や保護者と相談したり、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーにつなげたりするなど早期に支援を始めることが重要です。また、子どもたちが主体的に学び、互いを認め合えるような授業や仲間とともに喜びを味わうことができる学校行事などを通して魅力ある学校をつくることは、不登校の未然防止に大きな効果があると考えております。また、現在中学校全校に配置しているスクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラーをはじめ、3校に配置した不登校対策支援員が電話連絡や家庭訪問等を行うことにより、教職員の負担軽減につながっているとの報告もあります。教職員に余裕が生まれることで児童生徒が相談しやすくなるとともに、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー等と連携することで相談体制の充実を図ってまいります。
次に、不登校の長期化を防ぐ適切な支援についてです。
不登校の長期化を防ぐために、子どもが休み始めた時から、担任や養護教諭をはじめ、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーも含めた不登校対策会議で全教職員が一人ひとりの心の状態や家庭環境などを共有し、チームとして対応することが大切です。また、学校が、別室登校や放課後登校など自分に合った方法を選択できる学びの場を確保することで、長期化を防ぎます。また、長期化した場合は、学校だけで対応するのではなく、区の適応指導教室やバーチャルラーニングプラットフォームなどの活用、フリースクール等関係機関との連携を通して児童生徒の学びの場を幅広く保証してまいります。
次に、校内教育支援センターを各校に設置することについてです。
現在、中学校3校に設置している校内教育支援センターでは、不登校対策支援員が学習支援や相談対応を行うことで、全く学校にくることができなかった生徒が登校したり、適応指導教室に通室していた生徒が毎日登校したりするなど成果が見られております。今後、校長会で3校での取組みを共有するともに、校内別室を巡回して学習指導を行う不登校対応巡回教員の導入についても検討しながら、来年度の全中学校設置に向けて準備をすすめてまいります。
次に、東京型不登校特例校チャレンジクラスの設置についてです。
チャレンジクラスは、不登校生徒が安心して学校生活を送ることができるように、ゆとりある時間割などの生活時程を実現し、実態に応じた支援をおこなうことを目的とする学級です。具体的には正規の教員が都から配置され、ティームティーチングによる一人ひとりに応じた学習を行うことが可能となります。区内の不登校生徒に対して充実した支援を行うことができるようチャレンジクラスの設置に向けて検討をすすめてまいります。
次に、タブレットで授業に繋ぎ、指導やテスト等を受けること及び出席の取り扱いに関するガイドラインの策定についてです。
現在、学校に来られなくてもオンラインで授業やテストを受けたり、バーチャルラーニングプラットフォームを活用して学習したりする生徒が増えてきており、登校や自立に向けた重要な支援となっているととらえております。出席の扱いについては、各学校の判断となっており対応が異なる場合があるため、今後不登校対策委員会において校長が適切な判断をしやすくなるようなガイドラインの作成に向けて協議をすすめてまいります。
次に、不登校支援における現在の課題と今後の取組みについてです。
不登校支援においては、家庭の協力が不可欠ですが、学校と連絡を取りたがらず、保護者の意向で登校させないなどのケースがあります。そのため、学校だけでは対応が難しく、関係機関と連携して対応することが重要であると捉えております。
今後、全校に設置する校内教育支援センターを起点として、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーによる面談や家庭訪問、関係機関との連携などを行い、支援シートを活用して情報を共有するなどチームで対応することで、さらなる改善を図ってまいります。
次に、保護者の不安を和らげる等の支援の視点を整理すること及び相談窓口の状況と今後の保護者への支援についてです。
不登校対策委員会においても、不登校の子どもをもつ保護者はどのように接したらよいかわからず、困っている状況があるとのご意見があり、保護者への支援は重要であると捉えております。現作成中の不登校対策リーフレットにおいても、家庭での児童生徒への支援の視点を整理して記載するよう検討してまいります。
また、相談窓口については現在、教育センターの教育相談が主として対応していますが、令和5年度の教育相談の来所件数495件のうち、不登校に関わる相談は184件であり約4割を占めています。今年度、不登校に悩む保護者が相談窓口を探しやすいように教育センターのホームページを刷新したところです。今後も区民の皆様向け不登校を考える講演会の開催など不登校に悩む保護者への支援の充実を図ります。
次に、不登校児童の学習と生活の場の確保についてです。
小学生の不登校は年々増加しており、特に低学年の増加が目立ちます。低学年の児童は、一人で電車に乗ることが難しく、保護者の送迎が必要なため、適応指導教室に通室することが困難となっているのではないかと考えております。今後は、児童や保護者にとって移動の負担が少なく慣れ親しんだ地域での支援が有効なのではないかと考えます。例えば、徒歩で通うことができる区民ひろばを居場所として活用することなどを含め、小学校と区民ひろばとの連携をさらに強めることなどについて検討してまいります。
次に、不登校児童生徒の今後の支援の強化についてです。
不登校については、学校に登校することのみを目標とするのではなく、本人の社会的自立に向けた支援を行うことが重要であると捉えております。
そのため、これまで申し上げてきた校内教育支援センターの充実をはじめ、不登校対応巡回教員の活用、チャレンジクラスの設置や区民ひろばとの連携など児童生徒の学びの場の確保も含め、だれ一人取り残さないよう、多様性のある個々の不登校児童・生徒に適した幅広い支援策を展開してまいります。
次に、令和4年度から6年度までの特別支援教育の評価及び計画の進捗状況と課題についてです。
本区では、教育相談の充実や交流及び共同学習の推進、多様な教育環境の整備など本計画における6つの推進プランに基づき、特別支援教育を推進してまいりました。
交流及び共同学習については、児童生徒が障害の有無に関わらず互いに学び合ったり助け合ったりする場面が増えており、多様性を尊重する心が育っております。また、多様な教育環境の整備では、令和5年度に池袋第一小学校と池袋中学校に情緒固定学級を新設するなど、計画通りに進捗しており、概ね目標を達成できていると捉えております。
一方で、課題としては、教育相談は現在も増加し続けており、相談体制の強化が必要となっています。
次に、誰もが分かりやすい授業、誰もが安心できる学校づくりの現在の課題と今後の取組みについてです。
区としてはこれまでも令和2年から4年度に東京都教育委員会の「学校におけるインクルージョンに関する実践的研究事業」のモデル校でありました、要小学校の取組みをもとに、図やイラストを活用した分かりやすい授業や、教室の机や椅子の配置を工夫するなどの安心できる環境づくりを進めてまいりました。
一方で、全ての教員がまだこのような授業を行うことには至っていないという課題もあります。今後も引き続きどの学級においても授業のユニバーサルデザイン化を図れるよう区が主催する研修の充実を図るとともに各学校の状況を把握しながら指導を継続してまいります。
次に、就学前から社会に参加するまでの支援についてです。
区としても、就学前から中学校卒業後も切れ目のない支援を続けていくことが大変重要だと捉えております。例えば卒業後の進路においては、個々の障害の状況や本人や家族の希望に応じて、豊島区障害者就労支援センターやハローワーク等の就労支援機関と連携し、本人の自立に向けた支援を行うなど多面的な支援を行います。今後も、福祉部や子ども家庭部等の関係機関と連携しながら切れ目のない支援の充実を図ってまいります。
次に、共同学習や体験活動の今後の取組みについてです。
障害の有無に関わらず、互いを尊重し合いながら協働して生活する態度を育むことを目指し、本区ではこれまでもインクルーシブな教育を推進してまいりました。現在、特別支援学級に在籍する児童生徒が通常学級と一緒に校外学習や宿泊行事などに向け、しっかりと準備した上で、体験活動を行っております。今後も交流及び共同学習の充実を図るとともに子どもたちが様々な体験活動を通して豊かな人間性を育むことができるよう努めてまいります。
次に、千川中学校複合施設における幼児教育センター等との連携したきめ細かい特別支援教育等の推進についてです。
千川中学校複合施設の完成に伴い、幼児期から小学校への引継ぎをスムーズに行い、学校で子どもたちが必要な支援を受けることができるとともに、不登校の未然防止や早期対応も含めて、幼児期からの切れ目のない支援を幅広く行うことが可能になると考えております。また、幼児教育センターが中心となって幼児教育施設と小学校の円滑な接続を図ることにより、幼児期の児童の発達課題等を早期に共有することができるとともに、支援の方法を小学校に引き継ぐことで、支援体制を充実させ、安心した学校生活を送ることにつながります。今後は、児童発達センターと教育センターとの連携はもとより来年度開設する幼児教育センターとも連携することで体制を強化することで特別支援教育をさらに充実させてまいります。私からの答弁は以上でございます。
- 危機管理監答弁
私からは、福祉救援センターや補助救援センター窓ガラスの飛散防止フィルム処理についてお答えいたします。
まず、福祉救援センター37か所のうち、強化ガラス又は飛散防止フィルムが貼ってある施設は、16の区立保育園で、他の、特別養護老人ホームや障がい者施設など21施設には、飛散防止フィルム処理等はされておりません。
また、補助救援センターについては、区の施設36か所のうち、飛散防止フィルムが貼ってある施設は、区立幼稚園3園で、他の区民ひろば等についてはフィルムは貼られておりません。
福祉救援センターや補助救援センターに避難される方の二次被害防止の観点からも、今後、こうした施設に対する、飛散防止フィルムの施工について検討してまいります。
次に、災害時要援護者の住宅へのガラス飛散防止フィルム取り付け補助事業の実施及び取り付けをシルバー人材センター等に依頼することについてです。
発災時のガラスの飛散は、負傷の原因となるだけでなく、特に高齢者や障害者などの要援護者にとって、より避難が困難となる原因となります。
本区では現在、家具などの転倒防止器具の設置助成の検討を進めていることから、この設置助成に併せて、ガラス飛散防止フィルムも助成の対象とするとともに、飛散防止フィルム取付けについて、シルバー人材センター等でも実施できるよう検討してまいります。私からの答弁は以上でございます。
- 子ども家庭部長答弁
私からは、子ども・若者施策における保育園等での「とうきょうすくわくプログラム」を活用した文化芸術体験事業の区内実施状況についてお答えいたします。
本年度は、東京都の研修を受講した区立幼稚園3園、区立保育園18園と区立の施設では全園が実施し、私立の施設では、私立幼稚園3園、私立認可保育所51園など、過半数の施設で実施しています。 来年度は、今年度実施した事業の効果を未実施の施設にも共有することで、文化芸術体験事業の拡大を図ってまいります。
次に、中長期的に見た「すくわくプログラム」の実施手法についてです。
区立保育園では、「音」や「光」などをテーマに子どもたちが創作や表現などの文化体験を通して、心の育ちを支えるプログラムを実施しています。
区では各園が自立して「とうきょう すくわくプログラム」を継続できるよう、アートに特化したNPOの協力を得て、保育士が主体的に探究活動のテーマ設定や計画立案、評価方法の検討に関わり、現場で即活用できるノウハウを身につけられるように運営の支援をしております。
来年度以降も、地域の文化施設や専門家との連携を進め、外部リソースを活用した活動も推進し、多様な体験を提供できる体制を整えてまいります。
これにより、6年間の補助期間終了後も各園が主体的にプログラムを実践し続け、子どもたちに豊かな探究体験を提供してまいります。
次に、アシスとしまにおける就労支援相談の現状と課題、今後の対策についてです。
アシスとしまで就労相談を行う若者のなかには、職業的自立を目指す意志はあるものの、成育歴、経験の差、人間関係の問題、精神障害や発達障害などの要因により就労に支援が必要な方々も少なくありません。
最終目標を就労としても、そこに至るまでの支援内容や期間は個人によって大きく異なり、伴走支援が基本となります。
初回相談時の状況に応じて支援方法を調整し、日常生活の基本的な習慣づくりからの支援が必要な場合は、小さな目標を積み重ねるスモールステップでの支援を行っております。
一方、短期間での就労が可能と判断した場合は、ハローワークや若者サポートステーション等に同行するなどして、専門機関に繋げております。
アシスとしまへの若者からの相談件数は、令和5年度544件、令和6年度は10月末時点で347件と微増傾向にあり、コロナ禍の影響でコミュニケーションに課題を抱えていたり、複数の問題が絡み合うなど、複雑化・多様化しています。
これらの課題に対応するため、相談員のスキルアップを図るとともに、関係機関との連携を強化し、より効果的な支援体制の構築を目指してまいります。
次に、子ども家庭部の人員配置についてです。
子どもの利益を最優先に考えた取組みが加速し、子ども家庭部が取り組むべき施策が多岐にわたり、質的にも量的にも拡大しております。
これに対応するため、業務量に応じた職員の配置を行っており、今年度の子ども家庭部の正規職員は、586人と前年度比35人増加しています。
今後、更なる施策展開の拡充に対応するために、既存の業務を精査し、効果の低い業務は廃止または縮小し、重要度の高い新規施策に注力できるよう、業務の再構築を行います。
また、業務のデジタル化やAIの導入により、事務作業の効率化を図ると共に、研修プログラムの充実や、専門資格の取得支援などを通じて、職員の能力向上を図り、一人当たりの業務効率と質の向上を図ってまいります。更に、NPO法人や地域団体との協働を推進し、地域全体で子育て支援に取り組む体制を強化します。
これらの取組みにより、職員一人ひとりが過度な負担を負うことなく、その能力を十分に発揮できる環境を整えてまいります。
私からの答弁は以上でございます。
- 都市整備部長答弁
私からは、住宅施策における安心住まい提供事業についてお答えいたします。
本区では、区が直接物件を借り続けることで、取り壊し等によりご自身では住宅の確保が困難で、緊急に住宅が必要な高齢者などが入居できる住まいを提供し、その生活の安定を図ることを目的とした安心住まい提供事業を行っております。
その際、要件を満たす住宅確保要配慮者についても、区は不動産業界団体と連携して、入居のあっせんをしております。
今後、地域偏在などの課題にも対応できるよう、文京区のすまいる住宅事業も参考に、不動産業界団体と連携し、安心住まい提供事業を再構築して新たな支援策を創設できるよう検討してまいります。
次に、空き家の実態調査を実施し、特定空き家の未然防止と利活用推進をすすめることについてです。
区は、平成28年に空き家実態調査として、外観目視などの現地調査と所有者へのアンケート調査を行っております。区内の空き家率は、令和5年度の住宅・土地統計調査において13.9%と過去2回の調査に引き続き23区で最も高い割合となっております。空き家の実態も相当変化していると考えられることから、現在、新たな調査実施に向け検討しております。
また、現在取り組んでいる空き家の発生抑制や、改修経費の補助を含む空き家の利活用の啓発などについては、空き家に関する再調査を行い、その結果を踏まえ、見直しを検討してまいります。
以上をもちまして、高橋佳代子議員のご質問に対する答弁を終わります。