3定高橋一般質問「誰もが暮らしやすい 人が主役の魅力あるまちに」
2024.9.25登壇

公明党の高橋佳代子でございます。

私は公明党豊島区議団を代表して「誰もが暮らしやすい 人が主役の魅力あるまちに」と題し1.防災対策について 2.福祉施策について 3.教育について 4.その他として女性のがん検診について一般質問を行います。

私ども公明党は本年11月17日、結党60周年の節目を迎えます。これまでお支え頂きました皆様に感謝を申し上げると共に、創立者が示された「大衆と共に」との立党精神をいま一度生命に刻み、人が主役の魅力ある豊島区を構築するため、更に全力で働いて参る決意でございます。

はじめに1.として「防災対策について」質問いたします。

去る8月に発生しました台風10号は全国に甚大な被害を与え、また、9月21日に能登地方を襲った豪雨災害では、未だ安否不明者がおられ、ご無事を祈るばかりであります。お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災された全ての皆様にお見舞いを申し上げます。自然災害は、いついかなる時に発生するのか分かりません。豊島区としても、区民の生命と財産を守る対策をさらに前に進める事が求められております。

1点目として、耐震改修について伺います。

元旦に発生した能登半島地震では、住家被害は8万棟に及び、被災地の高齢化とともに、住家の耐震化率の低さが家屋倒壊の要因になったと分析されております。また、2020年12月から3年間続いた能登地方の群発地震が「家屋の強度を低下させた」との指摘もあるところです。1981年6月1日から新耐震基準が施行され、震度6強から7程度の大地震でも建物が倒壊しないように定められました。また、木造住宅は1995年の阪神・淡路大震災を教訓に、2000年6月以降に「新・新耐震基準」が制定され、新耐震基準の弱点を強化し、柱と土台や筋交い接合部に金物の取り付けを義務化して、耐力壁で安全性が高められました。熊本地震での建築時期別木造建物の被害状況を見ると、旧耐震基準では建物の倒壊・崩壊や大破は45.7%であるのに対し、新耐震基準は18.4%、新・新耐震基準は6%と、改めて減災には耐震化が有効である事が明らかなにりました。

本区も現在、区民の生命を守る減災対策を進めるため「豊島区住宅耐震化緊急促進アクションプラン」を策定されております。更に耐震化を加速する意味からも補助金の上乗せや、区民への意識啓発など、今後どのように取り組まれていくのかをお示しください。

また、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化も、以前から課題となっております。現在の状況と今後の取り組みについてお聞かせください。

次に2点目として、マンション防災について伺います。

区が把握しているだけで分譲マンションのストックは令和5年3月末現在で1、246件、56,511戸。そのうち49戸以下の小規模マンションが全体の72.7%であり、階層で見ると6階から10階建てが547棟で全体の43.8%となっており、高層マンションが多い状況であります。人口密集都市である豊島区には、今後も大規模マンションが建設される予定となっています。その意味からも、マンションに対する防災力向上は、本区が取り組まなければならない大きな課題であり、区民の生命を守る施策をあらゆる手法で推進しなければなりません。

東京都は、災害時でも生活を継続しやすい「東京とどまるマンション」の登録制度を行っております。登録要件は建物の耐震性があり、防災マニュアルや備蓄、訓練などのソフト対策と、エレベーター、給水ポンプ用の非常用電源の設置などのハード対策を実施している等です。マンション防災対策に向けた専門家派遣なども行っておりますが、登録のメリットは都のホームページに掲載される事に留まり、依然として区の防災課や住宅課等がマンションの実態を把握するにはハードルがあり、マンションの防災力向上には課題が残ります。

横浜市には、独自の「よこはま防災力向上マンション認定制度」があり、災害による被害を軽減する取り組みを推進されています。防災活動などの対策を実施しているマンションにはソフト認定、建物全体の防災対策を実施しているマンションはハード認定を行っており、地域と連携が図れているマンションは更にそれぞれプラスとして認定しています。横浜市の認定のメリットは認定証の交付とホームページ公表、マンション防災アドバイザーの派遣と、さらに容積率の緩和を受ける事ができるとの事です。

本区のような集合住宅が多い地域は、限られた救援センターに避難しなくても住戸に留まる対策を更に進めていかなければなりません。都の制度もありますが、区として上乗せして横浜市のような制度を検討するなど、マンション等の集合住宅の防災対策に区が関われるしくみをつくり、共に防災対策を強化していける体制を構築する事が重要であると考えますが、区のご見解を伺います。

次に3点目として、救援センターとなる学校施設の考え方についてです。

大規模災害が発生した際の学校施設が果たすべき役割は、児童生徒や教職員の安全確保であり、同時に地域住民の避難所としての役割を担っていることから、教育活動と共に避難生活や災害対応に必要な機能を備える事が求められます。

これまでの大規模災害において、避難所となった学校施設は様々な不具合や不便が生じ、文部科学省は避難所としての学校施設の防災機能の向上のための取り組みを進めてきました。教育活動の充実と災害時の良好な避難所としての役割を果たせる学校施設は、絶え間ない検討と防災機能の強化が必要であり、定期的な点検が重要であります。

そのためには学校施設について、防災危機管理課と教育委員会が災害時における活動を想定して必要な機能を検討し、整備していく事が求められます。今後、学校改築が大きく進む予定でもありますので、防災の視点からの本区の学校施設整備のガイドラインは、どのようになっているのかお聞かせください。

また、平成28年に発生した熊本地震では、屋根の構造材などが床に落下し、33%の体育館が避難所として使用できなかったとの報告があります。このような非構造部材の耐震化については、どのように実施されているのか。また、発災時に救援センターである学校の損壊が大きかった場合は、どのようにその後の避難先を想定されているのかお示し下さい。

さらに、これまで太陽光発電機が設置されている学校については、災害が発生した場合の電力確保の意味からも、蓄電池の整備を提案して参りましたが実現されておりません。改めて太陽光発電機と蓄電池の整備について、本区のお考えを伺います。

東日本大震災では避難所としての学校施設の利用が長期化し、教育活動の再開に課題が残りました。今後の学校施設整備については、教育活動と避難生活の共存に備え、早期に教育活動を再開させるための動線の確保など対策を講じていかなければなりません。今後、学校改築等が予定されておりますが、学校施設の基本的な考え方を伺います。

 次に4点目として備蓄について伺います。

7月25日の防災・震災対策調査特別委員会において、備蓄物資計画の報告を受けました。その中で課題として、トイレットペーパー、おしりふきなど、国や都が示すガイドラインにある備蓄品が本区に備蓄されていない事が判明し、早急に調達するという事。また、発災当日に必要となる物資を算定したところ、ミニ備蓄倉庫スペース不足が判明し、スペース確保に取り組むとの事でありました。

現在、補助救援センターについては、区は開設した補助救援センターに、飲料水や食料、資機材等の必要物資を救援センターから運搬するとされております。しかし、発災時の道路状態などによっては、それも困難となります。ミニ備蓄倉庫のスペースが不足しているならなおさらの事、補助救援センターや福祉救援センター等にも、一定の備蓄が必要ではないでしょうか。今後の取り組みについて伺います。

また先日、品川区が避難所に女性の下着と防犯ブザーを備蓄する方針を発表されました。本区でも現在、「女性の視点から見た防災PT」が高際区長を中心に進められておりますが、この中の議論で新たな取り組みや備蓄品等が、どのように検討されているのか進捗状況をお聞かせください。

次に5点目として、福祉救援センターについて伺います。

本区では、障がい者や重度の要介護者等の避難行動要支援者や、乳幼児及び保護者のための救援センターとして、発災時には福祉救援センターが開設される事になっております。ところが、能登半島地震の折に福祉救援センターに地域の住民が殺到し、利用されるべき方が利用できなかった事態が発生したとの事であります。本区においては事前の対策として、どのように取り組まれていくのか、お聞かせください。

次に6点目として、シン・オートコールについて伺います。

陸前高田市が避難情報の伝達や安否確認について導入したシン・オートコールは、利用登録者に音声で一斉に連絡できるシステムで、登録者は「はい」「いいえ」が選択でき、安否確認ができるものです。先日、全国2例目として品川区が導入されたところでありますが、本区も9月2日に実施された防災図上訓練で、このシン・オートコールのデモが行われました。これまでは、発災後の携帯電話が繋がりにくいなどの課題がありましたが、シン・オートコールを活用するとどのように有効なのか、また今後の導入についてお考えをお示しください。

次に7点目としてペット防災について伺います。

大切な家族でもあるペットと暮らしている方が区内にも多くいらっしゃいます。自然災害への備えや自主防災対策については、発災時を想定する事が重要になります。停電時に真っ暗な家でペットを見つける事も大変であり、特に猫は驚くと隙間に入る習性があるため、普段から家具の隙間を埋める必要性があり、発災時に家の中で猫を探す事は本当に困難であると言われております。発災時の家の中がどうなるのか、まず何をするのか、何に気を付けた方がよいのか。また、散歩中に発災した場合はどうなのか、外出時にペットと別々に被災した場合など、具体的に発災時を想定して備える事が重要であります。

本区も「豊島区ペット災害対策の手引き」を作成されておりますが、専門家の講演は勿論の事、飼い主のワークショップや救援センターでのペット飼育の対応方法など、災害時を想定して飼い主の意識向上と、体制づくりに取り組む必要があると考えますがいかがでしょうか。今後の取り組みについて伺います。

次に2.として「福祉施策について」伺います。

はじめにCSWについて質問します。私ども区議団は、8月9日に豊中市社会福祉協議会を視察して参りました。

豊中市社会福祉協議会では、CSWの第一人者である勝部麗子さんが事務局長を務められており、本区がCSWを導入した時期以来の視察となりました。勝部さんをはじめとする豊中市のCSWは、ゴミ屋敷、ひきこもり、ホームレス、孤独死など、社会の声なき声に耳を傾け、既存の制度では救い切れない人、制度のはざまにある人に手を差し伸べ、行政の協力も得ながら地域の課題は地域で解決するしくみを創られてきました。ドラマ「サイレント・プア」のモデルでもあります。

ひきこもりの男性と粘り強く繋がりをもち、得意のめだかの繁殖を活かして地域でメダカを販売し、7年ぶりの外出ができた事例。布団を被って顔を出さない不登校の女子生徒と少しずつ繋がりを持ち、彼女の得意なケーキを高齢者の認知症カフェでふるまう事によって、支援される側から支援する側になった事例など、CSWの熱意と行動力に大変感動いたしました。豊中市のCSWは子どもたちへの伴奏型支援も積極的に行っており、豊中市の不登校児童・生徒の半数は繋がっているとの事でした。本区にはSSWや子ども若者支援のアシスとしまも相談支援を行っておりますが、令和5年度のアシスとしまの18歳以下のアウトリーチは0件であり、18歳以降についても2件に留まっております。不登校児童・生徒やひきこもりなど、いきづらさを抱えた子どもや若者への伴奏型支援は、十分に実施されているとのご認識でしょうか。また、学校だけでは支えきれない課題をどのように共有し、重層的支援を実現されていくのかご見解をお示しください。

豊中市のCSWは、定年後の男性が地域で活躍する場として「豊中あぐり」という都市型農園を2016年から宅地の無償貸与で現在では9か所に設置され、160人が登録されています。宅地を畑にするところから始まり、あぐりで採れた野菜は地域の方々へ販売し、子ども食堂にも届けているそうです。また、買い物が不便な地域には移動販売もされており、農園で採れたさつまいもで芋焼酎をつくり、豊中市のふるさと納税返礼品にまでなっているとの事でした。保育園の子どもたちと収穫体験をしたり、あぐりで活動している男性たちは農作業と共に福祉を学び、今では地域福祉の担い手として活躍されております。このような定年後等の特に地域と関わりが薄かった方々の地域で活躍する場や、生きがいづくりについては、重層的支援の事業体系でいう「参加支援」にあたりますが、本区としてどのように取り組まれていくのか、お考えをお聞かせください。また、豊中あぐりで行われている土いじりは、ストレス解消や体を動かす事で健康が促進されます。本区でも区民ひろばや公園、未利用地等の区有施設で都市型農園を推進し、人とのつながりをうみだし、福祉の担い手を育成され、地域共生社会のモデルとされてはいかがでしょうか。お考えうかがいます。

豊中市は地域共生社会への新たなステージとして、「一人もとりこぼさない」「排除から包摂へ」「支えられた人が支えるひとに」「全ての人に居場所と役割を」を掲げ、それを支えるための断らない福祉、他機関協働を行いながら福祉がまちおこしを担うとしております。措置から契約へ福祉制度が大きく変化したことに伴い、SOSを出せない人、サービス拒否者は繋がらず、本当にこまっている人は制度に結びつかない実態もあります。このような方への早期発見やアウトリーチもCSWの重要な役割であると考えますが、SOSを出せない方やサービス拒否者に対する本区の支援のあり方についてお考えをお聞かせください。

第6期豊島区地域保健福祉計画には、CSW機能強化による一体的な支援が掲げられており、「地域が抱える複雑化・複合化した課題に対応できるよう、CSWはその機能を強化し、支援を必要とするすべての人の相談を受け止め、課題を整理し、必要な福祉サービスや専門機関へつなぎます」と書かれております。断らない福祉を実現するためには、制度の間を繋ぎ、機動的なアウトリーチで包括的相談支援を行うCSWが欠かせません。だからこそ、CSWの育成が最も重要になります。現在、CSWは豊島区民社会福祉協議会への委託事業となっておりますが、区も委託だからと引いてはいけません。委託元と委託先との連絡調整会議は行われているのでしょうか。また、CSWの導入目的が果たされているかどうか等の事業評価は、どのように行われているのでしょうか。お伺いします。

現在、福祉現場が多様化し、区からの委託事業も多くなりました。私は以前から、委託元の区の職員が委託先の現場認識が不足しているのではと感じる事があります。例えばこのCSW事業については、個別支援から地域のネットワークづくり、社会資源の開発、孤独・孤立の人等の社会支援を行うとされておりますが、中学校区に2人という体制のCSWを導入して、これまで地域がどのように変化してきたのか。またこれからどのように変えていこうとされているのか、区のご見解を明確にお示しください。

次に2点目として障がい者の住まいについて伺います。

先日発表されたNHKが行った障がい者の住まいの実態調査によると、自宅がある地域を離れ、別の都道府県の施設を利用している知的障がいのある方が、全国に少なくても7700人以上いらっしゃる事が明らかになりました。特に重度の知的障がい者は入居できる施設が少なく、青森市にあるグループホームでは東京近郊の出身者が7割を超えるとの事です。本区でも区内施設に入居できる方は限られており、地域を離れて遠方の施設入所をされている方が多くいらっしゃると思いますが、本区の遠方施設入所者の実態についてお聞かせください。

また、NHKの調査では、知的障がい者のショートステイ長期滞在についても、全国で1200人以上いるとの結果が出ておりますが、区内にも同様の実態がないか伺います。

本区においては、要町にある福祉目的寄付物件に、当初重度の障がい者にも対応できるグループホームの設置を目指しておりましたが、接道や敷地の関係で、重度の障がい者にも対応した居住施設に整備手法を変更すると、本年1月の施設用地特別委員会で報告があったと伺っております。その後、事業者公募や竣工日等のスケジュールはどのように検討されているのか、お聞かせください。

遠方の施設入所者のご家族は、依然として何時間もかけて面会に通われており、保護者の高齢化も進んでおります。区内を考えると大型の土地の確保は限られておりますが、養浩荘の跡地の活用や、今後の学校改築計画でなどでの学校跡地の活用など、区内に重度障がい者も入所できるグループホームの整備の検討を求めますが、区のお考えをお聞かせください。

次に3点目として、区立保育所等における医療的ケア児の受入れについて伺います。

本区は令和5年10月に「豊島区立保育所等における医療的ケア児ガイドライン」を策定されております。また、区立の駒込第一保育園と私立のキッズパートナー駒込では、既に医療的ケア児の受入れを行っているところです。加えて、池袋第一保育園と高松第二保育園が令和6年4月に受入れを開始され、今後も受入れ園の拡大が望まれるところであります。今後の区立保育園改修時等に、医療的ケア児の受入れ施設を拡大していく事を求めますが、区のお考えをうかがいます。

また、移送についても課題があります。医療的ケア児支援事業の中には、車両購入借り上げ、運転手雇上げ、送迎対応看護師雇上げに対する加算がありますが、同じような時刻の登園になると現実的かどうかは疑問が残ります。福祉タクシーも未就学児は対象外となっており、これらの移送手段については、区が何らかの方策を検討する必要があると考えますが、いかがでしょうか。

さらに、現在は私立園であるキッズパートナー駒込も、医療的ケア児の受入れを行っております。区内の通える距離に受入れ園が点在する事が望ましいと考えますが、現制度の課題として看護師の人件費については、お子さんが在園していない時は補助されないようになっております。これでは私立園に拡大する事も難しく、医療的ケア児の受入れ園も広がっていかないのではないでしょうか。これら看護師の人件費の補助も、今後区として検討していく必要があると考えますが、お考えを伺います。

本区の医療的ケア児ガイドラインの中には、医療的ケアの内容として痰吸引、経管栄養、導尿を基本とし、その他の医療的ケアは医療的ケア審査会、受入れ園において実施可能と判断された場合実施するとしています。まだ、スタート間もない事業でありますが、安全性の確保は勿論の事、本区としても体制を整えつつ、あらゆる想定をしながら受け入れる医療的ケアの幅を広げる検討に取り組んでいただきたいと考えますが、ご見解を伺います。

次に4点目として、高齢者施策について伺います。

先日、音楽レクリエーション指導士養成講座を受けてまいりました。そこでは、音楽と脳のメカニズムを学び、大脳皮質の活性状態を近赤外光の照射により計測すると、歌うことが1番に前頭葉脳血流量を圧倒的に増やし、脳の活性化に役立つ事が明らかになっております。これら音楽や歌うことの効果について、区のご認識をお聞かせください。

また、本区の高齢者人口は、令和元年から微減するものの団塊のジュニア世代が65歳以上となる令和22年に向けて増加していくと見込んでおります。さらに、一人暮らしの高齢者の割合は、令和2年の時点で35.6%となっており、東京都平均の26.1%よりも高く、全国平均19.0%の約1.9倍にあたります。本区はフレイル対策に取り組まれており、介護等が必要とならない健康寿命の延伸が重要であります。現在、としまる体操が各所で行われておりますが、体を動かす事が主体であり、脳の活性化に有効な歌う事と体を動かす事を同時に行う手法も、更に効果があると考えます。昨年10月に区民センターで、音楽とフレイル予防を組み合わせた「オトフレ講座」が開催され、多くの区民が参加され盛況であったとうかがいました。このような取り組みを各地で実施し、アンケートをとられるなど区民の声や効果を検証されてはいかがでしょうか。お考えを伺います。

 次に、高齢者の就労について伺います。総務省が7月に発表した就業構造基本調査によると、65歳以上の男女の就業率は約25%で、2017年の前回調査より上回っております。しかし、60歳から74歳までの就業希望者のうち、約54%が仕事を探してもみつからないとの民間調査の結果も出ています。働く意欲のある高齢者のニーズに対応できるよう、幅広い就労の機会提供がシルバー人材センターに求められております。東京都はシルバー人材センターの会員の経験や専門性を活かせる求人を開拓し、トライアル就業を実施するとしています。また、ブランド力向上への支援も実施されており、狛江市シルバー人材センターが自主事業として駄菓子屋を開設した例も伺っております。本区の高齢者の就労希望も多いと存じますが、高齢者の就労について、本区としてどのようにお考えなのか。また、今後の取り組みについてお聞かせください。

次に成年後見について伺います。

本区は令和4年度に中核機関の運営を「サポートとしま」に委託され、「豊島区権利擁護支援方針検討会議」や「豊島区成年後見等利用促進会議」を担われております。中核機関としての役割は、地域の権利擁護支援・成年後見制度利用促進機能の強化に向けて、全体構想の設計と、 その実現に向けた進捗管理・コーディネート等を行う「司令塔機能」と国の基本計画には示されております。社会福祉協議会のサポートとしまが司令塔にあたりますが、あくまで委託事業でありますので、改めて本区の成年後見制度の利用促進に関するご見解を伺います。

また、今後の高齢社会を考えると、担い手の育成が欠かせません。第二期成年後見制度利用促進計画の大きな変更点として、市民後見人の養成について研修テーマ・科目「意思決定支援」を3単位180分設けられました。本区の市民後見人の養成カリキュラムについては、現状に即し見直しが適宜行われているのか。また、国からは養成研修修了者の活動の受入れ先拡大を行うしくみづくりが示されておりますが、本区のお考えを伺います。

先日、新宿区成年後見センターを視察した際、市民後見人については新宿区社会福祉協議会が成年後見等監督人に就任し、市民後見人一人ひとりに担当がついて活動をサポートされており、毎月監督人との面談があるとの事でした。さらに、平日は弁護士・司法書士・社会福祉士が1日おきに専門相談、訪問相談も行い、市民後見人の相談も含め、一般の成年後見の窓口相談に対応されております。このような市民後見人のサポート体制のあり方や専門相談の充実についても、区が検討して委託費も含め考えなければならないと思いますが、いかがでしょうか。区がどのように考えるかが重要です。ご見解を伺います。

さらに、成年後見等開始審判申立費用助成事業については、経済的理由等により法廷後見人制度の利用が困難な方に、申立てに係る費用を助成する制度で、30万円以内を限度額として社会福祉協議会への寄付金をもとに、都内の中でも手厚く実施されてきました。しかし、この寄付金がおおよそ今年度内で底とつくとの話もあり、ぜひ同じ規模で制度が存続できるよう区として検討を求めますが、お考えを伺います。

次に3.として教育について質問します。

近年、共働きの家庭は増え続け、子どもより早く出社しなければならない保護者が全国的に増えております。本区の区立保育園では7時15分から登園する事が可能であるのに対し、区立小学校の開門は原則8時15分。保護者にとっては保育園では送り迎えができたのに、突然小学1年生になると子どもに鍵を持たせ、「時間に家を出られたのか。鍵をちゃんと閉められたのか。」など、後ろ髪をひかれる思いで出社しなければなりません。かといって、朝の出社時間を遅らせる事は簡単ではありません。この子育てと仕事の両立が困難になる事態が「小1の壁」と言われ、社会問題となっております。

八王子市立由井第一小学校では、開門前から児童が20人から30人待っている状態で、近隣から「道路に飛び出して危ない」との苦情もあり、7時45分から8時15分まで朝の校庭開放を始め、委託された地域団体が見守りをされています。また、三鷹市では15校の朝の校庭開放に踏み切っており、7時30分から8時30分まで予算をつけて開門や見守りは業者に委託しているとの事です。

私ども公明党豊島総支部及び公明党豊島区議団は、高際みゆき豊島区長に対し、9月19日に「小1の壁対策として小学校での早朝預かり等に関する要望書」を提出いたしました。

このような事業が全国的に広がっておりますが、本区にもニーズがあると考えます。8月に実施された学童クラブの保護者に対するアンケート結果についてお聞かせください。また、本区でも小学校での早朝預かりや帰宅時の見送り等も含め、実施に向け検討を求めますが、区長のご見解をお聞かせください。

次に小学校水泳指導の課題検証について伺います。

インストラクター招致やバス移動を伴う外部温水プールでの検証が実施され、私も富士見台小学校の水泳指導を視察させて頂きました。そこで伺いますが、安全性や教育的効果、経費等を総合的に鑑みて、教育委員会として検証結果をどのように捉えられているのか。また、今後の小学校水泳指導方針について、お考えをお聞かせください。

最後にその他として「女性のがん検診」について伺います。

私ども公明党は、女性の健康支援として1日で多くのがん健診が受けられるがん検診のレディースデイを以前から提案して参りました。本区でも「乳がんプラス健診」が実施され、乳がん・肺がん・胃がん健診が1日で受けられる体制を構築され、区民からも好評で非常に高い当選倍率と伺っており、高く評価するものであります。しかし残念なのは、子宮頸がん検診が残されてしまう事です。区民の健康を守るためにも、子宮頸がん検診も健診センターで実施できる体制構築を検討されるよう、再度要望いたしますが本区のお考えをお示し下さい。

以上で私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

高橋佳代子議員質問に対する高際区長答弁

ただいまの、高橋佳代子議員のご質問にお答えいたします。私からは、福祉施 策における、生きづらさを抱えた子どもや若者への伴走型支援実施状況及び学 校だけでは支えきれない課題の共有と重層的支援についてです。 本区では、様々な形で伴走型支援を実施しております。例えば、教育センター では不登校児童・生徒に対し、本人が参加しやすい興味のある授業や行事からの 参加を促すなど、きめ細かな支援を行っております。また、スクールソーシャル ワーカーが、養育に課題のある家庭に対して家庭訪問を行い、継続的な自立支援 を実施しています。 アシスとしまでは、令和2年度から、子ども若者支援ワーカーが中高生センタ ージャンプに月 2 回に出向き、アウトリーチ活動を通じて相談支援につなげる 取組みを行っております。しかしながら、昨年度の実績としては、相談支援につ ながった件数が全体で 2 件にとどまっておりました。 この状況を改善するため、今年度は新たな取組みとして、利用者と一緒にゲー ムや料理をするなどの活動を通じて、コミュニケーションを図り、関係性を構築 することで、相談しやすい雰囲気づくりに努めております。 また、子どもの権利相談室からも、権利擁護委員や相談員が中高生センタージ ャンプや子どもスキップへのアウトリーチを行っております。こちらは昨年 9 月 の開設から本年8月までで計 48 回アウトリーチを行い、14 件の相談につながっ ており、一定の成果を上げております。 現在このような状況でありますが、生きづらさを抱え、支援が必要な子ども・ 若者を早期に、的確に相談支援につなげるためには、アウトリーチ活動の更なる 強化が不可欠と考えております。そのため、具体的な取組みとして、スクールソ ーシャルワーカーとアシスとしまの相談員が定期的な情報共有を行い、効果的 な対応方法を共有するなど、連携を密にし、学校と地域の橋渡しをより効果的に 行えるよう取り組んでまいります。また、アウトリーチ手法に関する研修を充実 させ、積極的なアウトリーチ活動を推進してまいります。 学校において支えきれない課題につきましては、親のアルコール依存による 家庭内暴力など、深刻な疾患を抱えた家族がいる家庭環境により子どもが不登 校になるなど、不適切な養育環境の改善を要する家庭問題などがございます。 こうした家庭環境に関わる支援にあたっては、子どもだけでなく、家族全体の 支援を要することから、学校、児童相談所、子ども家庭支援センター、教育セン ターによる関係者会議や、不登校対策会議において情報を共有し、家族全体の課 題を整理します。 2 課題解決策の検討にあたっては、CSW・福祉・保健等の部署を交えた、福祉包 括化推進部会において多角的に課題のアセスメントを実施し、相談者や家族へ の支援方針を決定後、継続的にモニタリングを行い、方針を修正していくなど、 分野横断で重層的な支援を進めております。 今後、本区の特色であるアシスとしまと、CSW、スクールソーシャルワーカー を含めた関係機関、関係者、それぞれの強みを活かし、チームアプローチを充実 させながら、誰一人取り残さない重層的支援体制の一層の強化に取り組んでま いります。

次に、定年後の方々への参加支援についてです。 定年を迎えた方々が引き続き社会で活躍していただくために、昨年度、重層 的支援体制での地域づくり事業の一環として、65 歳を迎えた方、約 2,400 名に 対し、「地域で活躍ガイド」というリーフレットを送付し、11 月に「セカンドラ イフ応援講座・相談会」を開催しました。 地域で活躍している方の体験談を聞く講座の他、定年後に地域で活動できる 団体のブースを設け、個別相談を行い、57 名の参加がありました。 紹介した団体は、シルバー人材センターや社会福祉協議会のボランティアセ ンター、としま NPO 推進協議会、高齢者クラブ等 14 団体で、参加者の約 8 割が 地域活動に興味を示されました。今年度もリーフレットを送付し、11月28日に、 としまセンタースクエアでイベントを開催する予定です。 今後も、こうした広報やイベントを通じて、定年を迎える方々のニーズを掴み、 地域での活動につなげてまいります。

次に、区有施設等での都市型農園推進により、地域共生社会のモデルとするこ とについてです。 様々な背景を持つ方を対象とした重層的支援体制における参加支援を進め るには、多様な活動を支援していく必要があります。現在、本区においては、豊 中あぐりのような農業を通じた参加支援の取組みはありませんが、園芸活動を 行う区民主体の介護予防サロンや、豊島区公園等みどりの協定によるボランテ ィアグループが公園の花壇の維持管理等で活躍しています。 お話のように、土いじりは精神面、身体面、そして仲間づくりの面等から、高 齢者にとってプラスの影響があるものと捉えており、現在検討を進めている「公 園の再構築」の中でも、都市型農園について公園の魅力向上策の一つとして考え ているところです。また、昨年度の区民提案にもありました「未利用地の活用」 の観点からも、検討していく余地はあるものと考えます。 身近な場所での参加しやすい活動がきっかけとなり、楽しみながら、地域福祉 の担い手となっていただけることは、ご本人にとっても区にとっても大変意義 深いことであり、都市型農園活動の検討を含め、区民の皆様のニーズに応じた新 たな活動の立ち上げや参加支援に今後も積極的に取り組んでまいります。 次に、SOS を出せない方や、サービスを拒否する方に対する支援のあり方につ 3 いてです。 ひきこもりの状態などで SOS を出せない方や、セルフネグレクトなどがあり サービスを拒否する方を含め、支援が必要な方へのアウトリーチなどによる早 期発見は、「誰一人取り残さない」福祉施策において、極めて重要な課題であり、 現在検討中の新基本計画や地域保健福祉計画において、重要な柱の一つとして 掲げております。 SOS を出せない方やサービスを拒否する方は、これまでの生活歴や人間関係な ど、様々な事情を抱えているため、一人ひとりの課題に寄り添った、継続的な支 援が必要になります。 SOS を出せない方に対しては、民生委員や高齢者総合相談センター、CSW など による訪問や見守りを継続的に行い、状況に応じて、不在時に手紙を投函するな ど、ゆるやかな見守りを続けていく中で、福祉的ニーズの把握に努め、その方に 合ったサービスを情報提供し、利用を促進する等の支援を行っております。 サービスを拒否する方に対しましては、まずは CSW や担当ケースワーカー、 保健師などの関係者による訪問や、寄り添い型の相談支援を通じて、対象者と信 頼関係の構築を図ります。その後、面談などの機会を活用しながら、ご自身の課 題と向き合えるよう、ともに課題を整理し、適切なサービス提供につなぐ支援を 行います。 対象者の課題が複雑で複合的な場合などには、福祉包括化推進部会を活用し、 重層的な体制でより効果的な支援につなげていきます。 今後、全国的に単身世帯が増えていき、行政に届きにくい声が増えていく可能 性があります。そうした将来も見据えながら、本区では、様々な事情や背景のも と、声をあげられない方にこそ寄り添える力を関係者皆が持ち、更なる支援の強 化に努めてまいります。

次に、小学生の朝の預かりについてのアンケート結果及び朝の預かりや帰宅 時への支援等の実施に係る検討についてです。 現在、児童の登校時間よりも早く保護者が出勤する家庭において、朝の時間 帯の子どもの居場所が全国的な課題となっています。このため、本区では本年8 月5日から26日にかけて、学童クラブに在籍する保護者を対象にアンケート 調査を実施し、2,529名の対象者のうち921名から回答をいただきました。 回答結果については、まず、「保護者の出勤時間が早いため、登校時間まで児 童だけで自宅で過ごしたり、早めに家を出て校門が開くまで学校前で待つこと があるか」の問いに対し、230名の方が「はい」と回答しました。続いて、「何 時から校門が開くとよいか」の問いには、「8時」が82件と最も多く、次いで 「7時45分」が66件でした。また、「保護者同伴で登校することを条件に校 門の開門時間を早めた場合、利用するか」の問いには、392名の方が「はい」 との回答でした。そのうち、学年別では1年生が最も多く193名でした。 さらに、アンケート調査では、学童クラブからの帰宅についても質問いたしま した。保護者のお迎えがない場合、児童だけで帰宅することに対して不安に思わ 4 れる保護者が564名と半数以上を占め、見守り員による自宅近所までの見送 りを希望される方が357名いらっしゃいました。 これらの結果や、先日いただきましたご要望を踏まえ、働く保護者の方々の 「小1の壁」のご負担を軽減すべく、児童の朝の預かり及び帰宅時の見送りにつ いて、学校等と調整を行い、早期に実施できるよう進めてまいります。

次に、女性のがん検診に関し、子宮頸がん検診も健診センターで実施できる体 制構築についてです。 今年度より、豊島健康診査センターにおいて、乳がん検診と同じ日に胃がん検 診、肺がん検診を1日で行う「乳がんプラス検診」を開始し、仕事や家事・育児・ 介護等で忙しい女性が、受診しやすい環境を整えました。 一方、子宮頸がん検診については、区民の皆様からも、「乳がん検診と同日に 受けたい」とのお声をいただいていますが、別途検診室を設置する必要があるこ とや、婦人科の医師の確保等の課題があり、現在、実現しておりません。引き続 き、本業務を担っていただいている豊島区医師会と、実施に係る課題の共有・検 討を行ってまいります。 私からの答弁は以上でございます。

2. 天貝副区長答弁
私からは、福祉施策のうち、CSW における区と豊島区民社会福祉協議会の連絡調 整会議の有無及び事業評価の手法についてお答えいたします。 CSW 事業においては、月に1度、社会福祉協議会からの活動実績報告を通じて、 個別相談の対象者の年代や相談内容、地域づくり支援の相談件数などを区が確 認するとともに、今後、継続的な相談支援に発展する可能性のある家族間の複雑 な課題を抱えた特徴的なケースについては、今後の対応策などについて情報共 有しております。 連絡調整会議については半年に1度実施しており、個別相談・支援及び地域支援 活動等の実施状況について、各事業の成果報告を行い、CSW 事業の活動全般につ いて意見交換を行っております。 また、区民ひろばで CSW と支援団体によるフードパントリー等の外国人支援事 業に区職員が参加するなど、委託先、委託元といった枠を越えて、情報共有・活 動の場が、コロナ渦以降積極的に展開されています。 一方、CSW の事業評価にあたっては、保健福祉審議会で行う地域保健福祉計画の 進捗管理の中で実施しております。 評価方法については、地域における新たな支え活動の促進という取組みについ て、CSW 事業の目的である、個別相談・支援、地域の実態把握、地域のネットワ ークづくり、地域活動支援、区民の福祉意識の醸成という5つの目的・役割に対 し、実績が何件でどのような内容であったかというように、取組みごとに細分化 し、それらに関連する事業の目標に対する実績の達成割合をもとに行っており ます。

次に、中学校区に 2 人体制の CSW 導入による地域の変化及びどのように変えて いこうとしているのかについてです。 CSW の業務の一つである個別支援では、特に、CSW の機動力を生かしたアウトリ ーチによる要支援者の早期発見という重要な役割があります。区内8か所の高 齢者総合相談センターと同じ圏域を担当しているため、高齢者や 8050 問題など の複合的な課題を抱えた家族への支援の際に、日常的な連携がとりやすい利点 があります。 また、これまでの CSW の地道な活動により、区民ひろばや町会、民生・児童委員 など、地域で困りごとを抱えた人がいたらまず、CSW に相談するという方々も増 え、それによって課題を抱えた人が適切な支援につながる体制が充実してきて おります。 CSW の業務には他にも、地域づくりに向けた支援があります。CSW を配置以降、 サロン活動の立ち上げ支援や地域住民が進める地域活動へのサポートを通じて、 様々な分野の団体が活動の幅を広げながら、新たなネットワークが構築されて きました。 コロナ禍において、地域活動が一時低迷するなか、CSW が開催するつどいの場と して新たに始めた「ぷらっと」は、団体同士のつながりを絶やさず、ネットワー クを継続することを目的に、子ども、高齢、障害といった分野を超えた団体同士 の交流の場として活用され、新たな活動も生まれております。 こうした、支援を必要とする方を個人や地域とそれらのネットワークで支える しくみを、区民ひろばで展開していくことを現在検討しており、それにより地域 の福祉力を最大限に高めることで、地域共生社会としての「福祉のまち豊島」を 実現したいと考えています。 また、CSW の活動を 8 か所の高齢者総合相談センターの圏域としてご説明してい ますが、ご質問の8か所の中学校区として考えると、同じ8か所でありますが、 不登校やヤングケアラーなど、子どもたちにも寄り添った活動も CSW の重要な 役割として明確に位置づけ、社会福祉協議会に対し、より一層支援してまいりま す。 私からの答弁は以上でございます。

3. 教育長答弁
私からは、防災対策における、防災の視点からの区の学校施設整備ガイドライ ンについてお答えいたします。 学校施設を整備する上での防災対策等につきましては、国が学校施設の防災対 策についてまとめた事例集や学校施設整備指針等を踏まえ、「豊島区立小・中学 校改築計画」や「豊島区立学校施設等長寿命化計画」において、学校施設におけ る防災対策についての基本的な整備方針を定めており、これに則り、改築校を中 心に、マンホールトイレ、かまどベンチ、ヘリサイン、災害対策用防災井戸、太 陽光発電設備、非常用電源設備など、災害時に必要な設備を整備してまいりました。 加えて、学校改築を行う際には、地域の皆様からの意見や要望を伺いながら、改 築基本構想・基本計画において、周辺住民の避難経路の確保や地域防災倉庫の整 備など個別具体的に定め、地域の実情に応じた整備を行っております。 今年1月には能登半島地震の発生のほか、大きな災害が頻発しており、今後も、 いつ起こるか分からない大きな災害に対して、しっかりと備えておく必要があ ります。 新たな学校改築方針に基づき、今後、学校改築が進んでいく今だからこそ、改め て防災危機管理課や施設整備課など関係部局とも十分に協議し、学校施設を整 備する上での防災対策について、さらに検討を進めてまいります。

次に、非構造部材の耐震化の実施及び救援センターである学校の損壊が大きか った場合の避難先の想定についてです。 非構造部材の耐震化については、落下が懸念されていた体育館の吊り天井は全 ての小・中学校で撤去が完了しており、強化ガラスや網入りガラスを使用してい ない校舎の窓ガラスにつきましても、破片の飛散防止フイルムを貼付するなど、 防災機能の強化に努めております。また、普通教室の照明については、現在、LED 化を順次進めており、未改築校は来年度には概ね完了する見込みです。 非構造部材の安全確保については、日常の安全点検や法定点検に加え、令和4年 度からは専門業者による非構造部材に特化した点検を未改築校を中心として計 画的に行っており、学校施設の安全対策には万全を期しております。 また、救援センター開設に当たっては、まず施設全体を観察し、壁の剥離、天井 の崩落、床面の亀裂などを見て、避難場所として使用できる場所とできない場所 を明確に区別し、使用できる場所を避難場所として使用します。 そして、その救援センターだけでは避難者を収容しきれない場合は、まずは、近 隣の救援センターの空き具合を確認の上、避難可能な救援センターがあればそ こに誘導し、それができない場合は、区民ひろばなどの補助救援センターを開設 してまいります。

次に、学校における太陽光発電機と蓄電池の整備についてです。 太陽光発電機については、これまでも全ての改築校に整備しており、今後も学校 改築の際には必ず整備してまいります。 一方、災害時における電力確保として、改築校では太陽光発電機にあわせて非常 用発電機を整備しており、現時点において、蓄電池は整備に至っておりません。 非常用発電機を整備することにより、災害時に停電した際にも一定の電力供給 が可能となりますが、文部科学省の「避難所となる学校施設の防災機能に関する 事例集」では、停電が発生した場合の備えとして、非常用発電機の確保とともに、 蓄電機能を備えておくことが望ましいとされております。 本区では、令和2年度から令和3年度にかけて、東京ガス株式会社による蓄電池 モニター試験に協力し、明豊中学校の既存の太陽光発電機に蓄電池システムを 7 構築する実証実験を行いました。 実証実験においては、通常使用の際、夏場の昼間など電力使用のピーク時に、蓄 電していた電力を供給することにより電気の購入量を抑えるピークカット効果 に加え、災害時の備えとして、非常用コンセントを使用する状態を常に保つこと ができ、防災対策として活用しうることなどが確認されております。 災害時において、電力確保は非常に重要な課題です。蓄電池を設置した場合、太 陽光発電機や非常用発電機との併用により、どのような電力供給体制が構築で きるのか、既存の太陽光発電機設置校に追加設置する際の技術的な課題等も含 め、防災危機管理課や施設整備課とも十分精査した上で、他自治体の取組みも参 考にしながら、検討を進めてまいります。

次に、早期に教育活動を再開させるための学校施設の基本的な考え方について です。 学校施設は、地域の防災拠点として重要な役割を担っておりますが、児童・生 徒の学びを継続するためには、被災後においても可能な限り早期に教育活動を 再開する必要があります。 そのため、学校改築を行う際には、学校教育を行うエリアと、救援センターとし て利用するエリアを予め区分できるようにするなど、早期に教育活動を再開す ることを考慮した上での施設整備が重要であると考えております。 文部科学省がまとめた「令和6年能登半島地震における学校施設整備と教育 再開の取組と課題」においても、学校教育を行う学校ゾーンと避難者が利用する 避難所ゾーンを分けることができた好事例が紹介されております。 こうした事例を参考にしつつ、防災危機管理課などの関係部局とも意見交換を しながら、児童・生徒の学びの機会と地域の皆様の安全安心を両立するような学 校施設の整備に努めてまいります。

次に、教育における小学校水泳指導の検証結果及び今後の水泳指導方針につい てです。 今年度は新たに、バス移動による外部温水プールの利用と学校プールに民間 指導員を招致するトライアルを実施いたしました。 富士見台小学校にて実施したバス移動による外部温水プールの利用では、小学 校からバス乗車場、バス降車場から南長崎スポーツセンターへの徒歩移動を伴 うものであり、移動時の安全性の確保が大きな課題でした。各学年1回ずつのト ライアルでしたが、教員のみならず、シルバー人材センターの安全誘導員や、南 長崎スポーツセンター付近の横断歩道では、南長崎スポーツセンターの職員に よる交通誘導を行ったこと、また、児童の安全への意識もあり、移動時の安全確 保は十分に図られていたと認識しております。 西巣鴨小学校及び高南小学校にて実施した民間指導員の招致による水泳指導で は、屋外プールへの指導員招致で、安定的な水泳指導が実施できるかが大きな課 題でした。屋外プールのため、猛暑や雨天の影響により、西巣鴨小学校では全 12 回中 10 回実施、高南小学校では全 12 回中5回の実施に留まりました。 8 教育的な効果といたしましては、7割近くの児童が水泳の上達を実感しており、 教員へのアンケートでも、児童の活動量や指導内容などの項目で、9割以上の教 員から肯定的な評価を得ていることから、一定の効果はあったと認識しており ます。 一方、経費の面では、特にバス移動による外部温水プールの利用について、近年、 貸切バスの費用が高騰していることもあり、実施に向けては慎重に検討すべき 課題であると認識しております。 これらを踏まえた総合的な評価や今後の小学校水泳指導方針につきましては、 学校プール施設の遮熱対策や教員のプール施設管理に伴う負担軽減策、費用対 効果なども含め、現在、様々な角度から検討を進めているところです。 今後、可能な限り早期に取りまとめ、お示しできるよう努めてまいります。 私からの答弁は以上でございます。

4. 危機管理監答弁
私からは、防災対策において、集合住宅の防災対策に区が関われる仕組み作り と、防災対策を強化できる体制の構築についてお答えいたします。 マンションは、発災時に長周期地震動により上層部ほど大きく長時間揺れ続け ることから家具の転倒や移動、エレベータの停止により上層階への物資運搬困 難などが想定される一方、耐震性が高いことから、家具転倒防止器具の設置や飲 食料の備蓄など十分な備えをすることにより在宅避難が可能となります。 そこで、集合住宅の防災対策に区が積極的に関わり、マンションの防災力向上を 進めていく必要があると考えます。 本年7月には、住宅課が開催した「令和6年度第一回マンション管理セミナー」 に、防災危機管理課職員も出席し、エレベータ用防災キャビネットの設置や家具 転倒防止器具の必要性等について説明を行いました。 今後はさらに、東京都の行っている「東京とどまるマンション」の登録促進に加 え、マンション管理組合等が、防災用品の備蓄、マンション独自の防災訓練、防 災マニュアルの作成等を行った場合には、区に報告をあげていただき、その状況 を確認した上で何らかの補助を行うなど、マンション居住者が行う防災対策に 区が関与していく仕組みを作り、共に防災対策強化に取り組める方策を、住宅課 と連携して検討してまいります。

次に、補助救援センターや福祉救援センター等への備蓄の必要性及び今後の取 組みについてです。 現在、補助救援センターは、区民ひろばやスキップ、都立高校などが指定されて おります。補助救援センターは、救援センターに避難者を収容しきれない場合に 開設することとなっており発災時に必ず開設するとは限らないことや、備蓄物 資を保管するスペースがない補助救援センターもあることから、直ちに補助救 援センターに備蓄を行うことは困難な状況にあります。そのため、補助救援セン 9 ター開設時には、近くの集中備蓄倉庫から食料等を輸送し対応する計画になっ ています。 しかし、道路状況等から計画的な輸送ができない可能性もあることから、将来的 に補助救援センターでの備蓄を行うことを視野に、備蓄品を収納できるスペー スの確保が可能か などの実態を把握してまいります。 また、福祉救援センターは、避難生活に特別な設備等がなければ生活が困難な方 の避難所であることから、補助救援センターに比べ発災時に開設する可能性が 高いこと、そして、たん吸入器や大人用おむつなど、福祉救援センター特有の備 蓄品を準備していく必要があると考えており、一定の備蓄ができるように検討 しているところです。

次に、「女性の視点から見た防災 PT」における新たな取組みや備蓄品等の検討状 況についてです。 本区では、大規模災害が発生した際には、女性の視点を重視した各種災害対応が 必要であると考えており、これまでも、「女性の視点からの防災講座」を定期的 に開催し、今年は2月10日に1回目、そして、12月14日には2回目の講座 開催を予定しております。そうした中、能登半島地震では、特に避難所生活など において、女性の視点からの配慮が必要であるといった報道もありました。 そこで、本年5月に「女性の視点から見た防災 PT」を立ち上げ、今一度女性の 視点で、救援センターの運営、備蓄品の見直しなどを中心とした、本区独自の新 たな取組みをはじめました。 PT の構成メンバーは、防火女性の会会長、町会長、防災士資格取得者の親子、 大学生、消防署職員、区の女性職員の計 13 名で、年代は、中学1年生から 70 歳 代までと幅広く、中学生・大学生から育児経験や介護経験のある方々、また、育 児や障害などの知識を持った区職員など、様々な立場の視点から意見をいただ けるメンバー構成となっております。 PT では、まず、救援センターにおける備蓄品の再検討を行い、74の備蓄品の 提案がありました。その中で、救援センターでは備蓄していなかった50品目に ついて、どれが優先的に必要かを判断するために、保健所の乳幼児健診に来られ たお母さま、女子大学生、保育園児の保護者など400名の女性の方からアンケ ートを取りました。 そしてそのアンケート結果を踏まえて PT において再度検討した上で、洗顔・体 ふきシート、おりものシート、保湿クリーム、防犯用の笛など十数品目を、新た に必要な備蓄品として提案を受けたところです。 今後、来年度予算において、女性の視点から必要であると提案された備蓄品の拡 充に向け準備を進めてまいります。 また、今後の PT の動きとして、救援センターの運営についての検討をすすめて まいります。具体的には、11月に、救援センター開設運営訓練を見学した上で、 救援センターの運営マニュアルや実際の備蓄品備蓄状況などを確認いただき、 女性視点での救援センターの運営改善にむけてグループワーク形式の討議を行 う予定です。 今後もこのように、自由に活発な意見の言える PT 運営を進め、救援センターの 運営の改善はじめ、防災対策全般に活かせる意見をくみ上げ、改善案としてまと めるとともに、現在、策定を進めている「基本構想・基本計画」にも、本 PT で 得られた意見などを反映してまいりたいと考えております。

次に、福祉救援センター利用対象者が利用できない事態への事前対策について です。 能登半島の地震の際に福祉救援センターに住民が殺到した原因については、そ れぞれの市町村により違いはあると思いますが、本区が支援に赴いた被災地の ひとつである、志賀町の担当者に聞いたところ、当時、津波の危険性もあった中 で、町内で2か所開設した福祉避難所が、集落の集会所など18か所の通常の避 難所に比べ高台に位置していたこと、また、福祉避難所は平素から地域活動にも つながりがあり、多くの住民になじみ深く安心感が持てたことから、福祉避難所 に住民が集中したのではないか、とのことでした。 本区においては、区内に35の救援センターがあることから、能登半島地震のよ うに福祉救援センターに住民が殺到する可能性は低いと考えております。 しかし平素から、いざ発災したときに自分がどこに避難すべきかを理解してい ただくことは必要ですので、それぞれの地域ごとに救援センター及び福祉救援 センターの位置や役割などの周知を図り、広報としまの防災特集号などにおい ても、救援センター、補助救援センター、福祉救援センター、それぞれの救援セ ンターの機能などについても紹介してまいります。 私からの答弁は以上でございます。

5. 福祉部長答弁
私からは、防災対策におけるシン・オートコールの有効性及び今後の導入につ いてお答えいたします。 地震など大災害発生時は、安否確認、お見舞、問合せなどの電話が爆発的に増加 し、電話がつながりにくくなる事象が 1 日ないし数日間続くと言われています。 シン・オートコールについても、こうした影響を受けることになりますが、そう いった状況下においても、あらかじめ、登録している災害時要援護者に対して、 1秒間に2回という速さで、相手方が応答するまで架電を続けることができる システムであることから、現在、区が導入している救援センター方式や事業者活 用方式による安否確認と並行して活用することで、安否確認の効率化が格段に 増すものと考えております。 また、災害時要援護者の方々は、高齢や障害等により、自ら災害情報を収集する ことが難しい場合も想定されるため、架電やショートメッセージを活用したプ ッシュ型の情報提供により、避難指示や救援センターの開設情報などを確実に 伝達することができるシステムとなっております。 区としましては、シン・オートコールの導入にあたり、より多くの方々にご登録 11 いただけるよう周知方法を含め、検討してまいります。

次に、福祉施策における障害者の遠方施設入所者の実態についてです。 今年8月に施設入所及びグループホームの利用状況を確認したところ、障害種 別を問わず全体で412人利用しており、うち豊島区内の施設に117人、関東 地方の施設に247人で、関東外の遠方施設に48人という状況でした。 なお、遠方の施設を利用している48人中、知的障害者は42人で約88%を占 めております。 次に、知的障害者のショートステイ長期滞在の実態についてです。 NHK の調査にあった、1年間で181日以上のショートステイ利用実績のある知 的障害者は、現在、豊島区では2名となっております。

次に、要町の重度障害者対応居住施設整備のスケジュールの検討状況について です。 平成 26 年にご寄付いただきました要町 1 丁目の土地につきましては、重度障 害者にも対応できる居住施設を整備・運営する事業者の公募を 11 月に実施し、 その後、年度内に事業者の選定を経たのち、竣工日等が決まってまいります。

次に、重度障害者が入所可能なグループホームの区内整備の検討についてです。 障害があっても、その方の自立を支え、親なきあとも住み慣れた地域で住み続け ることができるよう、環境を整備することは自治体の役割であります。特に、重 度障害者にとっては利用できるグループホームが少なく、ご高齢の保護者の 方々の想いからも、喫緊の課題と受け止めておりますので、今後、区施設の再構 築を進める中で、整備に適した土地の選定等、鋭意すすめてまいります。

次に、高齢者施策における音楽や歌うことの効果についてです。 音楽や歌うことは、以前より様々な形で福祉の現場で取り入れられており、音 楽の治療的な効果を目的としたものだけでなく、日常的に音楽を楽しむ目的で も取り入れられています。実際に、本区の介護予防を目的としたサロンでも、コ ーラスやカラオケなど歌を歌うこと、ダンスやリズム体操など音楽に合わせて 体を動かす活動を行っている団体も数多くあります。 音楽が脳の活性化をさせる効果があるということは、一般的に広く知られてい ますが、フレイル対策においては、運動、栄養、社会参加が重要な3つの要素と され、さらに複数の要素があるとより効果が高まると言われております。音楽や 歌を通じて、社会参加につながり体を動かすことはフレイル対策の一つの方法 として有効なものであると考えております。

次に、音楽やフレイル予防を組み合わせた取組みの実施と効果の検証について です。 日本音楽レクリエーション指導協会が本区で実施した「オトフレ講座」は昨年度、 3 回で約 90 名の方が参加されており、今年度も実施予定と伺っています。健康 長寿医療センター等との連携による効果的な事業が実施されていると認識して いますが、参加者の反応等主催者に確認してまいります。 音楽を使ったフレイル予防の活動は既に様々な介護サービスや地域のサロンや 団体で取り組まれています。区民の皆様の興味や関心に応じて多様な活動に参 12 加できるよう引き続き、環境整備を進めてまいります。

次に、高齢者の就労に対する考えと今後の取組みについてです。 国は少子高齢化が進む中で高齢者が活躍できる環境を整備し、経済の活力維 持のため、高齢者雇用安定法の改正による定年延長をはじめ、本年 9 月に策定 された高齢社会対策大綱においても、年齢に関わりなく希望に応じて働くこと ができる環境整備を促進するとしています。 区としても、高齢者が支援される側ではなく、就労をはじめとする何らかの役割 を持った形で社会参加をすることは、経済的な側面だけでなく、豊かな老後を送 る上での生きがいづくりや健康維持など、生活の質の向上に寄与するものであ り、重要な課題であると認識しています。 豊島区シルバー人材センターは地域で働きたい高齢者の受け皿として、大き な役割を果たしており、区も業務の発注や職員派遣など様々支援を行ってまい りました。 今後、区民の皆様の就労に関するニーズを把握するとともに、シルバー人材セン ターのみならずハローワーク等関係機関、民間企業、団体等とも連携し、高齢者 の就労やその支援のあり方について検討してまいります。

次に、成年後見制度利用促進についてです。 高齢化の進展とともに、認知症高齢者は増加する傾向にあり、成年後見制度の需 要は今後ますます高まるものと見込んでおります。 国の第二期成年後見制度利用促進基本計画では、地域共生社会の実現に向けて、 権利擁護支援を推進するとともに、地域連携ネットワークの一層の充実を図る など、成年後見制度の利用促進をさらに進めていくことが示されております。 本区の計画につきましては、第6期地域保健福祉計画の中では謳っております。 中核機関である社会福祉協議会とともに、成年後見の利用に至る前の段階にお いて、権利擁護支援が必要な人の早期発見、支援につなげるための地域連携ネッ トワークを構築し、弁護士・司法書士、社会福祉士等の専門職や関係機関との連 携強化を行います。さらに、区民後見人の育成・活躍支援の推進、成年後見人等 の調整などを行うことで、相談しやすく、本人にとって最も適切な成年後見人が 選任されるよう体制を充実させていく必要があると考えております。

次に、市民後見人養成カリキュラムの適宜見直し及び修了者の活動受け入れ先 拡大のしくみづくりについてです。 本区における区民後見人の養成カリキュラムは、国の基本カリキュラムを参考 に作成しており、適宜見直しを行っております。 国の第二期基本計画に謳われている養成研修修了者の活動の受け入れ先拡大の しくみについては、具体的に示されてはおりませんが、計画作成過程において、 メンバーからは「市民後見人については、日常的な金銭管理支援などで活躍でき ないか」という意見がありました。本区は、国の計画に先駆けて、養成講習を修 了した方には、成年後見人としてだけでなく、意思決定支援などの幅広い場面で 活躍できるよう取組みを進めており、現在、10 名が金銭管理業務を含む地域福 祉権利擁護事業の生活支援員や法人後見事業の後見支援員として従事し、成年 13 後見人の受任に向けて経験を積み重ねております。 区といたしましても、多くの区民後見人が後見業務を受任できるよう、引き続き 社会福祉協議会と連携して取り組んでまいります。 次に、市民後見人のサポート体制の在り方や専門相談の充実についてです。 本区においても、新宿区と同様、区民後見人の後見監督人は社会福祉協議会が務 めております。監督業務の他、区民後見人からの相談対応や、助言を行うととも に、弁護士による専門相談も実施しております。 本区においては、従来は弁護士による専門相談の枠組みの中で、一般の方や区民 後見人の相談も随時受け付ける体制としておりましたが、区民後見人へのサポ ート体制を充実するため、平成28年度より、区民後見人に特化した相談体制と しております。具体的には、年に3回、区民後見人から弁護士への面談を必須と し、追加で必要に応じて、毎月1回の弁護士相談ができるようにしております。 さらに、区民後見人の支援強化の取組みとして、社会福祉協議会が、令和5年度 に後見活動メンバーの手引きを、令和6年度に後見業務マニュアルを作成して おります。これまで、区民後見人の行動規範や業務内容をまとめた資料がなく、 職員が経験に基づき助言してきましたが、区民後見人の更なる活躍に資するも のと考えております。 権利擁護支援を推進していくためには、区民後見人の活躍が不可欠であるため、 引き続き社会福祉協議会と連携して区民後見人の活躍支援に取り組んでまいり ます。 なお、区民後見人の支援に係る費用については、相談需要の推移や社会福祉協議 会の人員体制などを注視しながら、対応してまいります。

次に、成年後見等開始審判申立費用助成事業の同規模での存続についてです。 申立費用の助成制度は、全国どの地域においても成年後見制度を必要とする人 が利用するための仕組みとして、区市町村が適切に実施するよう国から求めら れております。 これまでは、寄附金を原資とした基金によって社会福祉協議会が助成してまい りましたが、今後は区が事業化することを検討しております。 具体的な事業規模につきましても、これまでの助成実績や他自治体の状況など を踏まえ、併せて検討してまいります。 私からの答弁は以上でございます。

6. 健康部長答弁
私からは、防災対策における、ペット防災における災害時を想定した飼い主の意 識向上と体制づくりの必要性及び今後の取組みについてお答えいたします。 本区では、ペット防災に関して、飼い主の防災意識向上および、救援センターの ペット受け入れ体制づくりが特に重要と考え、力を入れて取り組んでおります。 まず、飼い主の防災意識向上の取組みとして、ペット防災講座を開催しておりま 14 す。飼い主として災害時に何をすべきかを学ぶほか、豊島区防災地図を使った避 難シミュレーションや、実際のペット防災グッズを使った備蓄品確認など、今行 うべきことがよく分かったと受講生に好評でした。 また、救援センターの体制づくりとして、ペット同行避難の周知啓発のほか、今 年度から、実際の災害時を想定した同行避難訓練を実施します。まず 12 月 1 日 に目白小学校で行い、立ち上げ手順や動線、ペットスペースの確認、必要資器材 のチェック、救援センターでのペット飼育対応などについて、有効性や運用上の 課題等を確認していきます。 来年度の防災講座については、より災害時の想定がしやすいよう、座学からワー クショップ方式に切り替えての実施を検討します。避難シミュレーションを通 じて、在宅避難のやり方も含めた具体的な準備方法や適切な行動などを、飼い主 が共に考え、学ぶ機会となるように努めます。 また、ペット同行避難訓練をすべての救援センターで実施し、動物避難所の立ち 上げ手順等をより多くの方に体験してもらえるようにします。実施に当たって は、訓練前の周知を丁寧に行い、ペット同行避難への理解が進むよう努めるとと もに、動物アレルギーのある方への対応などにも細心の注意を払ってまいりま す。 私からの答弁は以上でございます。

7. 子ども家庭部長答弁
私からは、福祉施策における区立保育園改修時の医療的ケア児受け入れ施設拡 大についてお答えいたします。 区は、昨年7月に「区立保育園における医療的ケア児の受け入れ方針」をお示 しし、区立保育園では、段階的に医療的ケア児の受け入れ体制を整備していくこ ととしました。 この方針に基づき、令和7年度からは、現在、改築や大規模改修を実施している 高南保育園と長崎保育園で新たに受け入れを開始いたします。 また、医療的ケア児の受入れ拡大には、ハード面の整備と併せて、医療的ケアが 必要なお子さんを安全にお預かりするために、専門知識を持った保育士や看護 師の確保・育成など、ソフト面の整備も不可欠となります。 引き続き、ハード・ソフト両面での体制整備に取り組み、今後改築予定の巣鴨第 一保育園における医療的ケア児の受け入れを検討するなど、区立保育園の改築 等に併せ、受け入れ施設の拡大を計画的に進めてまいります。

次に、医療的ケア児の移送手段の検討についてです。 医療的ケア児を受け入れる保育所が限られている現状において、自宅から保育 所への登園手段の確保も課題であると認識しております。 医療的ケア児の移送には、専門的な知識や経験を持つ移送スタッフや移送車両 の確保などが必要になると考えます。 医療的ケア児の症状や必要なケアは一人ひとり異なり、多様な状況にある中、登 15 園手段については、既存の福祉サービスや移動支援サービスの拡充による活用 など、関係部署と連携し、実現可能な支援策を検討してまいります。

次に、医療的ケア児受け入れ園への看護師の人件費の補助に関する検討につい てです。 私立保育園で医療的ケア児の受け入れが進まない要因の一つに、国の補助金に よる看護師の人件費支援が、医療的ケア児の在園期間に限定されていることが 挙げられます。そのため、医療的ケア児がいない期間も看護師を雇用し続けるこ とが経営的に厳しく、人材確保も難しくなっています。 私立保育園にも医療的ケア児の受入れを拡大していくため、国や東京都に対し、 継続雇用につながる財政面における看護師の人件費支援の拡充を求めてまいり ます。 併せて、国や都の補助を活用し、受入れに必要な施設改修や設備の整備等の一部 補助、研修機会の提供や区立保育園での医療的ケアの知識やノウハウの共有な ど、私立保育園の支援に努めてまいります。

次に、医療的ケアの幅を広げる検討についてです。 本区の医療的ケア児ガイドラインでは、現在、痰吸引、経管栄養、導尿を基本的 な医療的ケアの内容としています。 しかし、個々のお子さんに必要な支援内容に応じて、将来的に提供する医療的ケ アの範囲を拡大することは重要な検討課題です。 現状では、高度な医療ケアには非常に高い専門性が求められ、また十分な安全対 策を講じる必要があるため、全てのニーズへの対応は困難な状況です。 今後は、安全性の確保や職員の育成、医療機関との連携強化等の点を考慮しなが ら、医療的ケアの幅を広げる検討を進めてまいります。 私からの答弁は以上でございます。

8. 建築担当部長答弁
私からは、防災対策における、耐震化加速のための今後の取組みについてお答え いたします。区は、令和 3 年度に改定した豊島区耐震改修促進計画において、令 和 7 年度末までに耐震性が不十分な旧耐震基準の戸建て木造住宅をおおむね解 消することを目標として掲げました。豊島区住宅耐震化緊急促進アクションプ ログラムにより、令和4年度から戸別訪問を実施中の旧耐震基準の戸建て木造 住宅 5,500 戸のうち、耐震化が必要な住宅の総数は、令和 5 年度末時点で約 1,100 戸と推計しています。能登半島地震後、区民の皆様の災害への備えに対する意識 が高まり、区への耐震診断助成の申請件数が大幅に増加していることからも、防 災に対する意識啓発が大変重要であると認識しております。引き続き、戸別訪問、 広報としま、としまテレビ等により区民の皆様への意識啓発を強化してまいり ます。また近時の工事費価格の高騰などをふまえ、耐震改修工事にあたり、補助 の増額を求める声もあることから、耐震改修助成金の上乗せについても検討し てまいります。

次に、特定緊急輸送道路沿道建築物の耐震化の現状と今後の取組みについてお 答えいたします。豊島区耐震改修促進計画では、令和 7 年度末までに沿道建築 物の耐震化を完了するとしていますが沿道建築物 113 棟のうち、戸別訪問等に よる働きかけを行ってきたにも関わらず、現時点で耐震改修工事等が実施され ていない建物は 40 棟ございます。この建物所有者に対し、耐震改修促進法に基 づき令和 3 年度以降、耐震改修工事を実施するよう、依頼書、指導書、指示書を 順次発出してきました。現在、建物所有者に耐震改修の検討状況を再確認してい るところであり、それをふまえて具体的な検討が進んでいない建物所有者に対 しては、今後、耐震改修促進法に基づき、耐震改修の計画を区へ報告をするよう、 指示書を発出し、耐震化を促していきます。以上をもちまして、高橋佳代子議員 からのご質問に対する答弁を終わります