令和 3年決算特別委員会 10月 6日 総括質疑

コロナ禍のなか区民生活を最優先に考えた区政運営を継続

○高橋佳代子委員  皆様、おはようございます。公明党の高橋佳代子でございます。

今回、私どもの決算委員といたしましては、島村委員、根岸委員、ふま委員、そして私、高橋の4名で臨んでまいりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

また、高野区長はじめ、理事者の皆様、どうぞ積極的な御答弁をよろしくお願い申し上げます。

また、永野委員長、村上副委員長におかれましては、8日間という長丁場でございますが、大変お世話になりますが、よろしくお願い申し上げます。

それでは、公明党を代表しまして、総括質疑をさせていただきます。

決算について、区のこれまでの説明、また、さきに配付されました令和2年度決算関係資料にも記載がございましたが、コロナ禍にあっても、決算収支については形式収支が約48億円で過去最大、実質収支は約39億円で、ここ10年では過去最大ということでございましたけれども、このような収支となった理由について、まずは御説明を伺います。

○木村財政課長  実質収支、あるいは形式収支が大きくなった理由についてでございますが、まず歳入面につきましては、特別区財政調整交付金、こちらについては約40億円の減少となりました。ただ、その一方で、特別区民税、こちらのほうの収入が堅調であったことが上げられます。特別区民税につきましては、決算額が約315億円ということで、過去最大となってございます。その理由としては、人口の伸び、課税人口の伸び、さらには1人当たりの課税額の伸び等が要因として考えられます。

このような歳入の状況に対しまして、歳出の面におきましては、執行率を費目別に見てみますと、前年度と比べて10ポイント以上減少したのは文化商工費と教育費の2つになってございます。やはり、まずはコロナ禍ということで、イベント等の中止によりまして、執行率が低調となったこと、あるいは、教育費の面につきましては、投資的経費の部分におきまして、夏休みが短縮されたことによって工事が翌年度へ延期になった、こういったことなどが上げられるのではないかというふうに考えております。

○高橋佳代子委員  今、収支がよかった理由について御説明がございましたが、今、課長からもお話がありましたように、人口の増の区民税の増という、これは豊島区の財政的な基盤が強くなったという面もありますけれども、一方で、コロナ禍による影響で歳出自体が、先ほどの御説明のように、小さくなったことも要因の一つであるというふうに思っております。実質収支がここ10年で最大になったといっても、これはコロナ禍による一時的、一過性のものであって、実質収支の評価については注意が必要ではないかなというふうに考えますが、御見解はいかがでしょうか。

○木村財政課長  収支の評価につきましては、まさに委員御指摘のとおりだというふうに考えてございます。歳入の面につきましては、人口増等によりまして、区民税については堅調に推移しているところではございますが、出のほうは、先ほど申し上げたとおり、執行率の部分が大きく影響してるところであると思います。また、先ほど区長のほうから答弁ありましたように、やはり経常収支比率が上がってきてるという面も注意していかなければならないというふうに考えておりますので、決して好調な決算で、すごい財政的に決して余力があるというふうには当然認識していないわけでございます。委員御指摘のとおり、収支が好調であったことにつきましては、一時的な側面もあるというふうにしっかりと捉えまして、今後も注意深く財政運営をしていく必要があるというふうに考えてございます。

○高橋佳代子委員  コロナ関連の歳出についても確認をさせていただきたいというふうに思います。

決算の特徴において、コロナ関連経費327億円ということでございましたけれども、特別定額給付金、先ほども自民党さんからもお話ありましたけれども、それ以外のコロナ関連での歳出で特に額が大きかったもの、また特徴的なものについてお伺いをしたいと思います。

○木村財政課長  コロナ関連経費327億円でございますが、その大部分は特別定額給付金が293億円ということで、大半を占めているところでございます。それ以外のコロナ関連経費の歳出で金額の大きかったものといたしましては、例えば教育費におけますICT環境整備活用事業、つまり児童生徒への1人1台のタブレット端末の整備、こちらの経費が約10.8億円となってございます。また、その次に大きな決算額といたしましては、生活困窮者自立支援制度関係経費、こちらにおける住宅確保給付金の支給でございますが、こちらが約4.7億円になってございます。こういったところが特徴的な歳出というふうに考えております。

○高橋佳代子委員  主な支出について、今御説明をいただきましたけれども、これらの財源について確認をしたいというふうに思います。

特別定額給付金の金額は、もちろん全額特定財源というようなことなんですけれども、それ以外の支出、今御説明いただいた支出についても、特定財源をうまく活用しているのか、あるいは、一般財源において大きな負担となっているのか、その点についてお伺いします。

○木村財政課長  コロナ関連経費の歳出は327億円あったわけでございますが、これのうち国庫支出金につきましては約308億円、また、都支出金につきましては約18億円というふうになってございます。また、この都支出金18億円の内訳でございますが、地方創生臨時交付金というものが約16億円でございますので、都支出金の18億円のうち、地方創生臨時交付金が大半を占めているというような状況にはなってございます。このように、特定財源を最大限に活用した支出とすることで、一般財源の負担を抑えているというような状況でございます。

○高橋佳代子委員  コロナ関連経費の歳出と歳入について確認をしましたけれども、区財政の推移と現状の資料に記載もございました、年々増大してきている義務的経費について、確認をしたいというふうに思います。

まず、義務的経費の大まかな状況についてお伺いをしたいと思いますが、いかがでしょうか。

○木村財政課長  義務的経費につきましては、委員御指摘のとおり、ここ毎年増大してきているような状況でございます。ここ5年間を見てみましても、5年連続で毎年、その年度、その時点での過去最大を更新しているような状況となってございます。2年度決算におきましては、義務的経費は当然ながら過去最大で、645億円に達してございます。歳出決算額全体に占める割合は4割強、約43%でございまして、仮に特別定額給付金という臨時的な事情を除いた場合、仮に試算をいたしますと、決算額の半分以上は義務的経費が占めるような状況になります。また、義務的経費については、人件費、扶助費、公債費から構成されてるところでございますが、2年度決算におきましては、これら3つの経費の区分においていずれも増加しているような、そういった状況でございます。

○高橋佳代子委員  今、人件費、扶助費、公債費、全てにおいて増大をしているというような御説明をいただきましたけれども、それぞれの主な増加の要因についてはどのようにお考えか、お伺いします。

○木村財政課長  まず、人件費につきましては、会計年度任用職員制度の導入ということが、影響が大きく影響してございます。会計年度任用職員につきましては、従来は非常勤職員、あるいは臨時職員ということで、大きな区分では物件費というほうに入ってて、それが人件費に振り替わったという制度的な部分も影響はあるんですけれども、人件費全体では23億円の増となる約240億円となってございます。

また、扶助費につきましては、生活保護費については、微減ではございますが、減少となった一方で、これまで待機児童対策を充実させてきたことから、私立保育所関連経費の伸びがやはり大きくなってございまして、扶助費全体では約16億円、4.4%の増となる376億円となってございます。

また、最後、公債費についてでございますが、公債費につきましては、平成30年度のときに、令和元年度に本来積み立てる予定であった減債基金の積立てを元年度ではなくて30年度に前倒しで行ったというような特殊な事情がございましたので、元年度の公債費は結果、ちっちゃくなっているというような状況ございました。したがって、その影響によりまして、2年度決算では対前年度比で3億円の増となる公債費は29億円となっているような状況でございます。

【行政評価を有効に活用】

○高橋佳代子委員  了解をいたしました。

話はちょっと変わるんですけれども、行政評価についてお伺いをしたいというふうに思います。

新たに改善アクションシートが導入をされましたけれども、具体的記載のあった事業ということで、70事業が示されています。これ3年にわたって360事業をやるということなので、1年間で120事業をやっているはずなんですが、ここに上がってきているのは70事業しかないんですね。このほかの事業は、これどういうことなのか。改善を行っていないということなのか、ちょっとこの内容について、確認をさせてください。

○ぬで島行政経営課長  改善アクションシート自体は、全ての計画事業は作成していただいているんですけれども、その中で記載が具体的かどうかというのは行政経営課のほうで判断して、その中で70事業というのを今回、一覧に載せさせていただいております。今御質問のあった70事業以外の事業、例えばコロナ禍において、打合せ方法をオンラインに変更した等の外部環境の変化に合わせて当然行うべき記載内容、また、新規事業や拡充事業によってサービスアップを図った等の予算増を伴うもの、また、会計年度職員や外部委託等を活用した等の今や一般的となった手法、こういったものについては、行政経営課からの視点では具体的な記載とまでは言えないというふうに判断して、今回の一覧のほうには載せてございません。ただ、改善ということ自体が今回、各担当者によって、ばらばら、まちまちだということがよく分かりましたので、ここの何が改善かということについては、もう少し明確にしながら、次の仕組みというのを考えていきたいというふうに考えてございます。

○高橋佳代子委員  私が聞いてても、それは改善ではないなというふうに今思いました。そういう意味では、次に次にというか、その次の年、次の年にどんどんどんどん、内容を充実させていくという、そういうことが大事なんだというふうに思うんですけれども、あともう一つは、この改善アクションシートの改善の取組、これが具体的に記載があった事業の一覧というふうに見ると、過去の取組の記載はあったけれども、今後の改善については横棒1本というような、え、じゃあ、過去は改善したからもういいのかというような、そんなような意味に取れるようなものもございましたけれども、これについて、やはり将来に向けてどんどん、毎年毎年改善していくというか、その事業を充実させていくとかという、そういうやはり姿勢が大事かなというふうに思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

○ぬで島行政経営課長  今回の改善アクションシートにつきましては、これまで行った評価がどのように改善に結びついているのかというところで、過去のものもきちんと記載していただくというところでございますけれども、今御指摘のあったとおり、将来に向けて改善に取り組む意識がどれだけあるのかというのが一番最も重要というところでございます。その具体的記載のなかった事業におきましても、例えばほとんど事業で、今後きちんと費用対効果の高い実施方法については検討していきたいという意識は書かれているものがほとんどでございます。ですので、その改善の意思をどうやって具体的な方向性に結びつけていくのかというところについては、これからも行政経営課、各所管課に意識づけをしてまいりたいというふうに考えてございます。

○高橋佳代子委員  今年度の評価を見ると、総合評価と改善の内容が整合していないというふうに思えるところがございます。改善アクションシートに記載された今後の改善に向けた取組を考慮して、総合評価を判定すべきなのかなというふうに考えるんですが、その点、また、これをどうやって、この予算にこういう評価自体を生かしていくのか等も含めて、ちょっとお考えをお伺いします。

○ぬで島行政経営課長  御指摘の改善アクションシートにつきましては、今年度新たに始めたため、総合評価との連動、連携というところまでは、まだ、そこまでは正直、整理できてないところでございます。今御指摘のあったとおり、その内容を今後どのように評価に含めていく、つなげていくのか。また、その改善をどうやって予算にも反映させていくのかというのも、これからの検討になるのかなと思ってございますけれども、その一つ一つ、PDCAを回していって、そのアクションをすることによって、無駄をなくしていくというのは、もう行政の基本的な姿勢だと思ってございますので、そこでは、しっかり今後もやっていきたいというふうに考えてございます。

○高橋佳代子委員  ぜひよろしくお願いいたします。令和2年度の決算におきましての義務的経費の増大、待機児童対策の推進や高齢社会対策、また、社会保障の充実など、必要な経費であるというふうに考えてございます。また、コロナ関連の歳出も、コロナを完全に抑え込むまでは、当分の間、集中的に歳出を充実させることも必要であると、このように考えます。そういった状況の中で、区民生活を最優先に考えた区政運営を継続していくことが大変重要であると私ども公明党は考えてございますが、最後に、今後の区政運営に対する区長のお考えを伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。

○高野区長  本当に今御指摘のとおり、今年1年、コロナに明け、コロナに暮れ、まさに最重点として取り組まなきゃいけない、4月からワクチン作戦も始まり、非常にいろいろありましたけれども、現在、順調にワクチン接種も進んでおりまして、今日現在では、全体では73.7%、さらには高齢者は91.7%という、決して他の自治体に後れを取っておりません。私は先頭とは言いませんけれども、非常にいい形で進んでいるわけであります。

そういう中で、今御指摘のように、扶助費等々でも非常に経費が増大した私立保育所の関連、あるいは、一番はやはりこの待機児童対策、これ今おっしゃるように、もう4年、5年と待機児童ゼロが続いております。この政策は決して手を抜くことなく、さらに今後も取り組んでいかなきゃいけない。これは、もうそもそも基本は消滅可能性のときに、子育てしやすいまち、女性に優しいまちというような形から、こういう政策を積極的に進めてきたということにあり、それがまさに人口の増加、あるいは納税義務者の増加というような形で、私は、非常に好循環になってきているからこそ、今回の令和2年度の決算もこのような数字が出たのではないか。さらに加えて、このコロナ禍の中にあっても、いわゆる御提案いただきましたSDGs未来都市、これは本当に行政がやらなきゃならない17項目を、まさにこれから2030年までゴールを目指して、これは私たちが進めている国際アート・カルチャー都市と、将来像と、まさに軌を一にしてるわけでありまして、これらは誰一人取り残さない社会の実現というような、そういう大きな命題を持って区政を進めていかなきゃいけないということではないかと思っております。大変そういう意味では、このSDGsもタイミングよく、このような形で進められてきていると思ってあります。おっしゃったように、コロナ禍という大変厳しい状況でありますけれども、この財政のかじ取りというのは本当に難しいと思います。ただ、過去に体験したことをしっかり生かしていかなきゃいけないというようなことではないかと思っておりますので、今後の財政運営等々、安定的な財源の確保、それは歳入をしっかり保つことであり、けれど、それには、ある程度限界があるわけであります。その支出の無駄もないような形の中、事業展開をしていかなきゃいけない、そんなことを含め、また、将来に向けての財政投資も視野に入れていかなきゃいけないというようなことを考え、必要なところには必要なものを配分しながら、本当に区民生活に本当に支障のないように、また、将来へ向けてのことも考えながら、しっかりと財政運営を進めてまいりたいと思います。