平成29年度豊島区予算案に対する公明党高橋議員意見開陳

平成29年3月22日

 

公明党の高橋佳代子でございます。私は、公明党豊島区議団を代表して、平成29年度豊島区一般会計予算並びに国民健康保険事業会計、後期高齢者医療事業会計、介護保険事業会計の3特別会計を可決することに賛成する立場から意見開陳を行います。

予算審議にあたって私ども公明党は1.区民目線に立っている行政運営となっているか。2.時代の変化を的確に対応した事業展開となっているか。3.セーフコミュニティの立場からの安全・安心のまちづくりの取り組みがなされているか。4.持続可能な財政運営並びに区民生活向上のため、我が党の予算要望にこたえられているかなどを主眼に、慎重かつ厳正に審査に臨みました。

平成29年度予算の編成方針には、5年ぶりにマイナス予算の中で、約80億9千万円の新規拡充事業を実施するなどの積極的予算であると述べられております。マイナス予算の中にあっても高野区長は持続発展都市に向けて、あえて平成28年度の新拡予算65億8千万円を大きく超える予算とし、特に「子育て」「福祉」「防災」など、区民生活の基盤をなす分野に大きく重点を置かれました。全体の予算額に対して「福祉費」の構成比では、28年度は38.4%、29年度は43.5%と約半数近くを占めております。

そのような中で、財政調整基金を4年連続取り崩していない事を特徴の一つとして挙げられております。将来世代に負の遺産を背負わせることなく、常に財政規律の適正化を図っていく姿勢を評価するものであります。

総括質疑においては、財政運営に大きく影響する2つの視点から質問を行いました。1つ目は予算事業の休廃止についてであります。先程も述べましたが、平成29年度予算は約80億9千万円の新規拡充事業を実施する積極的予算としておりますが、一方で過去の財政危機を思うと、将来を見据え事業を見直し、時には事業の廃止や縮小を決断する事も行政の重要な役割であると考えます。平成13年度より行政評価が導入されておりますが、実際に予算編成に反映されるには、まだまだ課題があります。しかしながら、常に事業を見直し「選択と集中」による行政運営が求められており、今後は行政評価の課題を整理し、予算編成のツールとして活用できるよう取り組みを要望致します。

さらに2つめの視点として「ふるさと納税」の影響額についてお聞きしました。「ふるさと納税」による特別区民税の控除額が年々増加し、平成29年度は7億円という大きな影響額が予想されているとの事であります。待機児童対策として保育園に例えると、園児500人分の運営費に相当するとの答弁もありましたが、このまま増加が続けば区民サービスに影響を与えかねません。多くの自治体では高額な返礼品等で、税源の奪い合いの様相を呈しており、23区特別区においては税収減が見過ごせない規模にまで拡大してきております。

本区においては返礼品競争の対抗措置に出る事は考えていないとの事でありますが、様々な策を講じることで、現在の財政状況を堅持し、引き続き安定的な財政運営となるよう強く要望致します。

以下、款別に意見を述べさせて頂きます。

議会費について申し上げます。

議会広報紙を年1回区内全世帯へ配布し区民へのPR推進を望みます。

次に、総務費について申し上げます。

振り込め詐欺対策として「自動通話録音機」無償貸与の推進を望みます。

フリーWi-Fi整備と共に若者からの要望である充電器設置の推進を要望致します。

感振ブレカー設置補助事業については、点ではなく面的に高い普及率を目指すことが効果的であることから、池袋本町を手始めとして、不燃化特区の全地域で実施されることを要望します。

地域活動交流センターについては、管理運営について、NPO法人に委託予定とのことですが、総合受付や相談業務が専門性を有し、さらにより質の高い新たな公共の担い手を育成する機能強化も期待されることから、公民連携を推進する区のさらなる支援を要望します。

多文化共生推進事業については、外国人住民が増加し、生活習慣の違いから地域ではトラブルが発生しております。相手を集団としてひとくくりにせず、一人一人が顔をもった存在として結びついていく取り組みを要望します。

新庁舎の省エネ対策については、省エネ法の基準に比べ当初の30%からさらに上回る45%削減を達成していることを高く評価します。世界に誇る環境庁舎について、より具体的に広報やホームページで周知すると共に、ソフト面においてもこまめな消灯等、引き続き全庁挙げての省エネの取り組みも要望致します。
地域区民ひろばについては、先ず、全日曜開館実施に当たり、人件費やスタッフ確保の課題が挙げられていることから、解決へ向けて丁寧な対応を望みます。また、子育てひろばは、近隣保育園も利用されており、子ども家庭部との連携を望みます。セーフコミニュティやCSWの活動拠点、インターナショナル・セーフスクールとの連携含め、今後は、国際アート・カルチャー都市構想の活動拠点としても取り組まれるよう要望致します。

災害時の母子を守る取り組みについては、確実な分娩体制を構築し、災害時母子避難所や継続した巡回保健指導等の体制構築に務め、母子保健事業等と一体となった防災の普及啓発に取り組まれるよう要望致します。

区役所の部課長に貸与されている携帯電話の取り扱いについては、現在統一した基準がないため、総務部長が責任をもって改善されるよう望みます。

次に福祉費について申し上げます。

待機児童対策については、これまでの受け入れ枠拡大への取り組みを高く評価致します。平成29年度より一時保育事業の中で定期利用保育が開始されますが、家庭で子育てをしているニーズに配慮しながら推進されるよう望みます。また、居宅訪問型保育については、保育にあたる人等への保護者要望にも柔軟に応え、地域型保育事業所と認可保育所の連携についても推進されるよう求めます。さらに、保育施設の増加等で、区の役割は益々重くなっているため、適切な指導・助言を行い、待機児童0に向け更なる取り組み要望致します。

保育所等におけるICT化推進事業については、会派として要望していたこともあり、早期実施を高く評価致します。今後は、私立保育園同様に、区立保育園でも導入することを要望致します。

学童クラブ入退室管理システムの導については、会派要望に応えて11月に導入予定である事を評価いたします。新年度の組織改正により所管課が子ども課から放課後対策課になることから、運営委託業者とも綿密な打ち合わせを行い、特に緊急時の初動対応の迅速性を確保するよう望みます。

子どもの虐待と貧困対策については、平成33年度の区内児童相談所の開設に向け、地域のへの丁寧な説明とご理解を頂きながら、専門人材の育成により対応力強化を望みます。さらに、ひとり親家庭への生活面の支援を含む学習支援については、子ども達が希望を持って自分の道を切り開いていく上でも重要な事業であることから、特に訪問型については状況を見ながら柔軟に対応されるよう要望致します。

認知症支援については、認知症を正しく理解し支援する「認知症サポーター養成講座」開催や「認知症カフェ」事業の推進を望みます。

1回100円で入浴できる「おたっしゃカード」 の回数増加により、さらなる高齢者福祉推進を要望致します。

次に、衛生費について申し上げます。

がん検診事業については、受診率が着実に向上していることを評価するとともに、より有効な受診勧奨策を実施していくよう要望致します。会派要望してきた胃がんの内視鏡検査については、平成30年度からの実施を検討中であることを確認しました。がん家族支援・懇話会の検討結果を踏まえ、より患者と家族に寄り添ったがん対策の実施を要望致します。

特定不妊治療費助成事業については、区の事業対象者を掌握する事が困難な事から広い周知を望みます。また、他区が取り組んでいるような不妊治療費について金融機関にあっせんし、利子の一部助成を行う等、更なる取り組みを望みます。

清掃環境費について申し上げます。

フードロス対策事業については、29年度もフードロス対策講座を引き続き開催し、区内飲食店や小売店への働きかけも庁内連携をして行いながら、スマートシティ実現に向け世界の模範となるよう積極的な取り組みを要望致します。

都市整備費について申し上げます。

池袋駅西口地区のまちづくりについては、西口駅前だけではなく、その周辺にもまちづくりを広げていく必要があることから、区は周辺に対しても積極的に情報提供を行うよう要望致します。

池袋駅東西デッキ整備事業については、西武鉄道池袋ビルの建設に合わせて南デッキの一部が先行整備されることになりますが、南デッキ本体と北デッキも着実に整備するよう要望致します。

池袋駅周辺地域街区再編まちづくり推進事業については、大規模再開発ばかりではなく、中・小規模な単位での街区の更新を進める事が重要であります。地域のご意見を伺いながら、国際競争力を有する拠点に生まれ変わるよう、この機会を逃すことなくまちづくりを進めていくよう要望致します。

大塚駅の南北駅前整備については、人に優しい空間創出と駅を中心とした広がりのある街づくりの推進を望みます。

要請型従前居住者用賃貸住宅については、平成32年の入居予定が少しでも早められるよう、URと協議を行い、事業の実現に向け取り組まれるよう望みます。

住宅施策については、高齢者等入居支援事業の身元保証制度が実態と合わず利用数が少ないため、同行サービス制度と合わせた制度再編を望みます。また、安心住まいについては空き部屋も多い実態から、契約更新時の中で検討しながらバランスの良い配置を求めます。さらに国では、住宅セーフティネット法の改正に向け進んでいますが、ファミリー世帯の定住化への支援は別の問題であり、居住実態調査の結果に合わせ、ファミリー世帯が住み続けられる新たな家賃補助制度の検討を望みます。

次に、土木費につて申し上げます。

池袋西口公園整備事業については、イベント仕様の方向性を確認しました。一方、東日本大震災時の状況を踏まえて、災害拠点としての視点を加え、観光情報センターやデジタルサイネージの設置なども視野に入れた整備を要望します。
自転車施設の老朽化対策事業については、利用開始時間を鉄道の始発に間に

合うように前倒しして頂くよう要望します。また、新設の芸術劇場脇のコイン

駐輪場の広報、周知を望みます。

自転車走行空間の整備については、安全で快適な自転車走行空間の整備とシェアサイクルの導入推進を望みます。

地域交通政策検討推進事業については、池07系統に関して、「としま産業振興プラザ」付近に、停留所を新設することを要望します。池04系統(池袋駅西口~中丸町循環)に関しては、都営住宅高松三丁目第四アパート改築に伴う減便や時間変更による不便を解消するよう引き続き国際興業バスに働きかけるよう望みます。また、以前より会派要望しているデマンド交通については、距離だけではなく高田、大塚、駒込など坂が多い地域も視野に入れながら、相乗りや予約システムの構築を行い、早期実現へ向けて取り組むよう要望します。

路面下空洞調査については、2か年で発見された空洞箇所の補修工事が完了し、区民の安心のために提案していた調査結果の公表も区のホームページに掲載されたことを確認しました。今後とも計画的に実施するよう要望し、併せて無電柱化における地下埋設物の把握にも同調査を活用するよう要望致します。

次に、文化商工費について申し上げます。

国際アート・カルチャー都市構想については、先ず、文化戦略として、東京芸術祭など東京都の文化事業と連携して推進するよう要望します。国際戦略としては、東アジア文化都市の開催都市選考へ向けて着実な取り組みを望みます。さらに、国際アート・カルチャー特命大使が誇りをもって国内外に情報発信出来る取り組みを要望します。

総合体育場のテニスコート大規模改修工事など区民の健康増進、コミュニティづくりの場となるスポーツ施設の改修・修繕工事推進を望みます。

次に、教育費について申し上げます。

歯と口腔の健康に関する教育プログラムについては、給食後の歯磨き指導に関して、年齢に応じた適切な形態・サイズの歯ブラシを配布するよう要望します。

学校・通学路の安全事業に関しては、全国的に通学路での交通事故が後を絶たないことから引き続き登下校時の通学案内の充実を図るよう要望致します。

学校開放事業については、多くの区民が利用しているため安定的な事業推進を望みます。

学校施設については、災害時は救援センターとなる事から、特に体育館の空調設備、多機能トイレ、調光機能を備えた館内照明、冷水器等、長期に渡る避難所としての機能を備えられるよう要望致します。

次に、基金積立金について述べます。平成11年には起債残高872億円に対して、基金はわずか36億円でありましたが、そこから財政健全化を進め、ようやく基金残高と起債残高のバランスが保てるようになりました。今後は大型施設建設事業が続くため、起債残高が多くなると考えられ、特に義務教育施設整備基金や公共施設再構築基金、その他の基金についても、計画的に積立金を確保する事が求められます。新たに設置される防災災害対策基金についても、いざという時のために目標額を設定し、計画的に積み増しを行う事が重要です。計画的な基金積立を行う事で、財政規律を保って頂き、将来に不安のないよう適正な基金計画を要望致します。

次に、歳入について申し上げます。先ず、税収の確保について、債権の適正管理として収納4課合同で運営する納付案内センターの活用により、滞納対策が着実に図られていることを評価致します。今後とも税外収入も含めて、負担の公平性を徹底すると共に、収納率の向上へ向け、全庁挙げての取り組みを要望致します。
また、区有財産貸付の適正化と共に、ネーミングライツ、パブリックトイレなど公民連係事業で新たな歳入を確保することを望みます。

次に3特別会計について申し上げます。国民健康保険事業会計の医療費の適正化については、ジェネリック医薬品差額通知の継続的な取り組みで数量シェアが5割を超していることを評価します。引き続きのジェネリック医薬品の利用促進とともに、糖尿病重症化予防事業については、二次予防だけではなく、早期に関係機関と協議を開始できるよう、レセプトデータの分析や準備を進めることを要望致します。

以上、一般会計及び特別会計について、私たち会派の意見、要望を述べさせて頂きました。私ども公明党は生活者の視点で区民の生命と暮らしを守り、住み続けたい安全・安心のまちづくりを一貫して推進して参りました。平成29年度予算は、持続発展都市へ世界に誇れる国際アートカルチャー都市構想実現に向けた取り組みの中でも、区民サービスの充実を図るとともに、安全・安心都市づくりを重点的に取り組むとされ、豊島区のさらなる発展に向かうための予算であると評価できるものであります。以上のことから、本委員会に付託されました平成29年度一般会計予算及び3特別会計予算は、原案のとおり可決すべきものと判断をいたします。

最後になりますが、円滑・公平な運営に努められました木下広委員長、藤本欣士副委員長の労に深く感謝を申し上げます。また、理事者の皆様には資料要求をはじめ、事前の調査に快く応じて頂き、私どもの質問に対して、その意を酌まれ丁寧にご答弁いただきました事に、心から感謝を申し上げます。

また、今月で定年を迎えられます理事者が3名いらっしゃいます。陣野原総務部長、吉末保健福祉部長、矢作広報課長でいらっしゃいますが、長きに渡り様々大変お世話になりました。これまでの区政への貢献に深く感謝を申し上げますと共に、引き続き豊島区政に対するお力添えをお願い申し上げる次第であります。また、他にも今年度で定年を迎えられる係長を始め職員の皆様に心から感謝を申し上げます。長い間、本当にありがとうございました。

以上をもちまして、意見開陳を終わります。ご清聴、ありがとうございました。