令和 4年決特 区民福祉衛生費10/7 辻議員
重層的支援体制整備事業断らない福祉
○辻薫委員 辻薫でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
私のほうから、まず、福祉費に入りますけれども、重層的支援体制整備事業について伺います。
まず、この事業につきましては、令和2年6月に社会福祉法が改正されて、創設された事業で、高齢、障害、子ども、困窮といった分野別の支援体制では対応し切れないような地域住民の複雑化、複合化した支援ニーズに対応する包括的な支援体制を構築するため、断らない相談支援、参加支援、地域づくりに向けた支援を一体的に実施するものでございます。私は、令和3年度予算特別委員会に続いて、本年第2回定例会の一般質問では、地域共生社会の構築に向けた取組として取り上げ、本区におきましては、国事業に先駆けて、いわゆる断らない相談支援体制に取り組み、福祉部門を中心に分野横断的に対応する連携体制を強化していることを確認しました。そして、いよいよ、令和5年度より本格実施すると御答弁をいただいたところでございます。
そこで、まず来年度の本格実施へ向けての補助金申請の進捗状況についてお聞かせください。
○今村自立促進担当課長 補助金申請の状況についてお答えさせていただきます。
本格実施には、交付金の対象となる分野横断的な予算を、まずまとめ直した上で、一括して交付申請を行う必要があります。今、来年度の本格実施を目指し、令和4年2月に発出されました交付金交付要綱、これに基づいて、交付金申請を行うための庁内調整を今行っているといった段階でございます。
○辻薫委員 この事業につきましては、直接私も厚生労働省の担当者に話を伺うことができて、そのときに豊島区の取組について伺ったところ、その先駆的な取組を大変に評価をしておられてました。もう令和2年からずっと事業を準備していただいて、いよいよ来年ということなんですけども、その間大変な苦労をされていたことを、担当者も理解をしていたところでございます。そして、本格実施するメリットとして、どのようなことが考えられますでしょうか。お聞かせください。
○今村自立促進担当課長 メリットですけれども、今回のは、高齢、障害、子ども、困窮、それぞれの分野ごとに交付されていた交付金が、社会福祉法に基づく1本の交付金として、区に下りてきます。こうしたことから、分野横断的な施策がさらに進めやすくなるといったところが、まず1つ目のメリットであると考えております。また、2つ目、財政面のメリットがございます。現行の既存の財源に加えまして、新たな機能のための財源としまして約4,000万円弱の交付金が新たに交付されると考えてございます。
○辻薫委員 その交付金の申請の概要がなかなか出なくて、苦労されてるということも、私も聞いていまして、ようやくそれもできるようになった。分野ごとでやってたところをまた一括してそういうような事業ができるというのは、これは、ある意味では大きな改革だというふうに私は理解をしてるところでございます。
これまで断らない相談支援の推進というものを、私は前面に出して要望してまいりましたけども、参加支援とか、地域づくりに向けた支援というのも、これ、事業の一つになってるわけですけども、この点について、取組状況をお聞かせください。
○今村自立促進担当課長 参加支援、地域づくりに向けた支援。まず、人と人とのつながりというものがセーフティーネットの基礎になるものであると考えております。本区においては、コミュニティソーシャルワーカーによる地域づくり、まずこれを推進しております。そしてもう一つ、小学校区単位に配置されております地域区民ひろば、これをコミュニティーの拠点としまして、高齢者の健康活動支援、子育て支援、また多世代が参加できるような様々なイベントをこれまで充実させてきました。このように、社会に参加するきっかけといったものをつくっていくことで、多様な社会参加を推進をして、そしてまた自主的な支え合い、そういったものが、そういった活動の裾野を広げているといったところでございます。
○辻薫委員 参加支援や地域づくりに向けた支援の充実というのが、逆に相談支援の効果的な実施にもつながるというふうに考えております。相談支援体制の整備に偏ることなく、地域づくりも同様に推進するよう要望するところでございます。
実際に私もそういうある部門に行って相談したが断られた。でも今後はそういう断りもなく、スムーズに他部門につなげていただいて、それで相談だけで終わるんではなくて、各地域で、その人が活躍する。むしろその方は支援を受けていただけかもしれませんけども、逆に今度は地域のために貢献していただくというぐらいのこの地域共生社会の構築へ向けての取組でもございます。ですから、地域と一体となった取組ということで理解してるところでございます。
ところで、本事業については、保健福祉審議会でも議論を重ねていると伺いました。その状況をお聞かせください。
○今村自立促進担当課長 重層事業につきましては、今、公募委員にも入っていただいております。保健福祉審議会の中で様々な御意見いただきながら進めているところでございます。今年度、2回実施しまして、6月と9月、審議会開催をいたしました。東京通信大学教授の田中会長からは、豊島区は国事業に先駆けて整備した経緯があると、我々は一歩先を行っていると。またほかの委員からは、土台はもう出来上がっている、これから実態に合わせさらに発展していく段階であると。また重層事業は国の仕組みであるけれども、豊島区流にアレンジしていけばいいと。そういった様々な御意見いただいたところでございます。
○辻薫委員 期待がすごく膨らむようなお話しいただきましたけども、それでは、最後に、この重層的支援体制整備事業の本格実施に向けて、区の意気込みをお聞かせいただきたいと思います。
○今村自立促進担当課長 包括的な相談支援体制の構築に向けた分野横断的な連携体制のこの強化は、地域共生社会のベースになるものであると考えております。今後も、こうした取組を進めつつ、地域共生社会の実現に向けて全力で取り組んでいきたいと思います。
○辻薫委員 もうぜひよろしくお願いしたいと思います。
この地域共生社会の実現に向けた取組ということですけども、より一層促進するための重層的支援体制整備事業というのは、SDGsの理念である誰一人取り残さない社会の実現に向けて、大変重要な役割を果たすものと、私も大いに期待しておりますので、引き続き体制しっかりしていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
🌟発達障害者支援事業
○辻薫委員 続きまして、次も福祉関係です。発達障害者支援事業について伺います。
初めに、発達障害者支援事業の実施目的についてお聞かせください。
○田邉障害福祉サービス担当課長 発達障害者支援法に基づいて、発達障害者、または発達障害児とその家族が適切な支援を受けながら、地域の中で安心して生活できるとともに、社会参加及び自立した生活ができるよう支援をする事業でございます。また、発達障害者に対する地域の理解を深めることも目的としてございます。
○辻薫委員 それでは、この事業の概要についてお聞かせください。
○田邉障害福祉サービス担当課長 あらゆる年齢層の発達障害者、また児とその家族に対して、面接、電話等による相談を受けまして、適切な社会資源や関係機関につないでございます。また関係機関のネットワークの構築、啓発事業の実施、区内大学と連携したカウンセリング費用の補助も実施してございます。
○辻薫委員 それでは、昨年度、令和3年度の取組内容について伺いたいと思います。
○田邉障害福祉サービス担当課長 大きく4つの取組を行ってございます。1つが発達障害者相談窓口、2つ目が発達障害者支援ネットワーク会議の開催、3つ目が相談の受皿として区内2か所の大学との連携、4つ目として区民支援者向けの講演会を実施したところでございます。
○辻薫委員 それぞれ4つのうち、特にこの相談窓口について、ちょっと詳しくお聞かせいただきたいと思います。
○田邉障害福祉サービス担当課長 発達障害者相談窓口につきましては、平成30年度に窓口を開設しまして、ライフステージを通したあらゆる年齢層の当事者、家族等からの発達障害に関する相談を受けるとともに、適切な機関への紹介や情報提供を行っているところでございます。具体的な連携機関としましては、くらし・しごと相談支援センター、また、子ども家庭支援センター、教育センター、保育所等との町内関係機関や、また、東京都の支援機関、民間支援機関、医療機関等につないでございます。
○辻薫委員 それでは、その相談の実績についてはいかがでしょうか。
○田邉障害福祉サービス担当課長 3年度の相談実績は延べ440件となってございます。窓口開設した当初は300件程度でございましたので、かなり相談が増えているといったところでございます。また、関係機関との連携実績は延べ373件となってございます。
○辻薫委員 相談件数も元年度は329件、2年度は398件と、今言ったようにまた増えてきてるというふうに理解しているところでございます。
それで、この事務事業評価とか、成果表ではなかなかちょっと分からない点なんですけれども、相談の概要というものについてお聞かせください。
○田邉障害福祉サービス担当課長 就学前、小学生、中学生、また高校生、大学生、また正規就労、非正規就労、就労していない方など、あらゆる年齢層からの相談がございます。また、それぞれのライフステージごとに違った悩み事を抱えておりまして、共通しているのは、発達障害かもしれない、また相談や支援が受けられる社会資源を知りたい、発達障害の診断ができる医療機関を知りたいといった相談がございます。
○辻薫委員 よく相談の中では、就学前に、学校のことの相談とかってよく受けるわけですけれども、かいつまんで、就学前だとか、学校の児童、生徒の状況だとか、ちょっとこのライフステージに沿った感じで、簡単に相談内容についてお聞かせいただきたいと思います。
○田邉障害福祉サービス担当課長 就学前ですと、発達障害ではないかといったことや、言葉の遅れがある。また感情のコントロールができない、こだわりが強いといった相談が寄せられております。また小学生になりますと、読み書きが苦手だとか、落ち着きがない等、保護者のほうから発達障害を疑って、医療機関や検査の情報を求めるものや、学校の行きしぶり、親に対する暴言などの問題行動の相談も多くなっているところでございます。また、大人になりますと、発達特性があって仕事が合わず、転職を考えてしまったり、コミュニケーションが苦手で会社に適応できないとか、そういった相談があるといった状況でございます。
○辻薫委員 様々そのライフステージに応じた相談があったかとは思いますけれども、それでは、この相談に対して、区はどのような対応をしたのか、支援を行ったのかお聞かせください。
○田邉障害福祉サービス担当課長 初回相談での援助の内容についてでございますけども、令和3年度の実績では、医療機関の紹介50件、療育機関等の紹介10件、相談機関の紹介60件、情報提供92件、助言50件、傾聴や寄り添い、問題の整理など113件、他機関の橋渡しなど19件といったような状況でございます。
○辻薫委員 様々な対応をしていただいたということで、特にこの医療機関の紹介ということも、50件というところで、そういったところでは他機関へのこの紹介などで支援に結びついてるということがよく分かりました。
こうした取組を行ってきた中で、どのような課題が現在あるかということでお聞かせいただきたいと思います。
○田邉障害福祉サービス担当課長 発達障害の相談においては、育児困難、不登校、ひきこもり、精神症状、就労困難、生活困窮、8050問題など、多様な問題が混在しているといったところで、多問題を抱えている相談が多くなってございます。庁内それぞれの関係課や、支援機関が発達障害に起因する問題への対応を行っておりますけども、そのネットワークを、さらに強化する必要があると考えてございます。
○辻薫委員 それで、令和2年度に始めた拡充事業ということで、事務事業評価のところにも書いてありましたけども、簡単に、説明していただきたいと思います。また、3年度はどういう状況であったのかも併せてお聞かせください。
○田邉障害福祉サービス担当課長 発達障害の支援においては、多様なニーズに対応するため、福祉、保健、医療、教育、労働等の多角的なアプローチによる支援が求められているところでございます。ライフステージを通して切れ目なく支援を継続するため、ネットワークの拠点が必要であり、こうした状況を踏まえて、令和2年度に次のような取組を行ったということで、まず初めに発達障害者相談窓口の相談において、支援の困難な相談者については、精神科医師による専門相談を提供することで支援を充実させることにしてございます。毎月1回、医師による専門相談実施して、令和3年度実績は11回の開催、16件の相談を実施したところでございます。また、毎月1回、他職種の関係者や専門家のアドバイスを受けながら、支援困難ケースについて協議する発達障害者支援方針会議を実施してございます。令和3年度は10回開催、17件の検討を実施して、これは職員のスキルアップにもつながっているものでございます。
また、発達障害と思われる特性を持ちながら、検査費用を負担することが経済的に困難な方を対象に、区が検査費用を負担して、専門機関に検査委託して適切な支援につなげる取組も2年度から実施してございます。令和2年度実績は1件でございましたけども、そのときは就労につながったといった、そういった効果もありました。令和3年度は、対象者の検討をしたところですけども、実績にはつながらなかったといったところでございます。
○辻薫委員 私どもも相談様々受けますけども、特に教育委員会とか、学校との連携だとかというところでは大いに、そういった相談が多いんですけれども、そういう意味では、この教育委員会とか様々、子ども家庭支援センターなんかもありますけれども、そういった連携というところでは、どのようにされていますでしょうか。
○田邉障害福祉サービス担当課長 こちら、庁内の中に発達障害者のネットワーク会議というのを設置してございまして、庁内の部課長12名、また、小・中学校長の代表2名で構成してございまして、発達障害者・児の支援における情報と課題の共有を図っておるところでございます。
○辻薫委員 最後まとめます。私ども、この発達障害につきましては、初期の段階から、様々な政策を提言させていただきまして、また学校のほうにつきましては、情緒障害の教室の、そういう意味では追加というところもお願いをさせていただいて、来年度実現するというふうになってきたところでございます。豊島区の中にも6%ぐらいの方が発達障害であろうというふうに見込んでるわけでございますけども、様々なやっぱり対応をしなければならないというのが現実だというふうに思っております。徐々に徐々にこの発達障害の理解が深まってはいますけれども、引き続き、こういった発達障害の当事者やその御家族、それからまた困っている状況を改善して取り組んでいただきたいと思います。