平成29年第3回定例会9月27日 一般質問
「さらに安全安心で健康なまち・豊島を目指して!」
公明党 辻 薫
公明党の辻薫でございます。私は、公明党豊島区議団を代表しまして、「さらに安全安心で健康なまち・豊島を目指して!」と題し、1.延焼防止対策について、2.無電柱化の推進について、3.栄養パトロールについて、4.その他として、子育て支援について、一般質問を行います。
1.延焼防止対策について
最初に、延焼防止対策について伺います。今年の夏も九州北部豪雨をはじめ、各地で被害が発生し、多くの方がお亡くなりになられました。ご冥福をお祈り申し上げますと共に、被災された方々が一日も早く通常の生活に戻れるよう復旧復興を願うものであります。
さて、9月1日「防災の日」に、私ども公明党豊島区議団は、昨年末に大火に見舞われた新潟県糸魚川市を視察してまいりました。昨年12月22日の当日は、気温18.4℃、湿度54.7%、南南東の風、最大瞬間風速27.2m、そしてフェーン現象が起きていました。午前10時20分、1軒の飲食店から出火した火は、壁一枚で繋がっている建造物が立ち並ぶ木造密集地域に瞬く間に広がり、10時間後に鎮圧したものの、完全に火が鎮火したのは30時間後の翌23日午後4時30分でした。焼損棟数は、147棟に及び、そのうち120棟が全焼、焼失面積は約4万平方メートルに達しました。
一瞬にして焼け野原となった現場は、今は残置物もほぼ撤去され、一面に空き地が広がっていました。糸魚川市消防本部、消防防災課の小野浩課長は、これだけの大火被害の中、負傷者のみで死者が出なかったことは不幸中の幸いであったと、しみじみ語っておられました。家を失った住民は現在、市が確保した公営住宅と民間住宅の56戸に121名が入居されていて、仮設住宅はありませんでした。
出火原因は、1軒の飲食店での大型コンロの消し忘れでした。糸魚川市の消防力については、整備基準が上回っていたものの、出火から1時間後には、130メートル先で飛び火による出火が発生したため、広域での消化活動の必要性から糸魚川市消防本部より、上越地域などの他本部への応援要請も行われていました。しかしながら、今後は要請がなくても周辺から消防が駆け付けるような連携体制も検討されていました。
また、水が不足したことから、同市の生コン組合にミキサー車を要請、国土交通省北陸地方整備局には、排水ポンプ車等の支援要請も行っていました。さらに、家屋を破壊して類焼を防ぐ必要性から建設業協会への重機の支援要請も行われていました。
もちろん自衛隊への派遣要請も行なわれていました。こうした関係機関や民間団体との連携した消火活動を可能としたのは、日頃から顔の見える関係を築いてきた結果であると、これは良かった点として挙げておられました。そこで、本区においては、こうした関係機関や民間団体との災害時の連携について日頃よりどのように取り組まれているのかお聞かせ下さい。
糸魚川市消防本部では、今回の大火を受けての教訓として、4点示されていました。それは、第1に火を出さない、第2に早い通報、第3に初期消火、第4に早い避難です。先ずは、この4点について本区での現状を確認しながら、今後の取り組みについて伺います。
第1に、火を出さない取り組みです。高野区長は本定例会初日の招集挨拶の中で、本区における感震ブレーカー設置助成制度について言及されました。この事業については、我が会派の中島議員が一般質問で取り上げ、私も先の予算特別委員会で糸魚川市の大火災を受けて、木造密集地域を多く抱える本区にとって対岸の火事でなく、喫緊の課題であるとして要望していたものです。区長はじめ関係理事者の皆様の取り組みに敬意を表するものであります。これは震災時における通電火災を発生させない取り組みですが、改めて感震ブレーカー設置助成の実施概要と今後のスケジュールについてお示し下さい。
第2に、早い通報です。今回は飲食店主が大型コンロに火をつけたまま不在中に火災が発生しました。隣の住民は家にいたものの出火に気付かず、店主が戻った時には手の施しようがなかった状況でした。こうした事態を受けて総務省消防庁は、住宅用の火災警報器を飲食店や住宅など隣接する複数の建物で連動する仕組みの普及を検討しております。消防庁におけるモデル事業の状況を踏まえて、本区においても設置を検討すべきと考えますが、ご所見をお聞かせ下さい。
また、住宅用火災警報器は、平成18年6月に設置が義務化されて11年が経過しました。電池の交換は約10年を想定しているものが多いと思われますが、日本火災報知器工業会では、古くなると電子部品の寿命から火災を感知しなくなることがあるとして、機器そのものの交換を呼び掛けています。設置場所などによって状況は異なると思いますが、いざという時に正常に作動するよう機器の点検や電池交換を区民に周知すべきと考えますが、ご見解をお聞かせ下さい。
第3の初期消火については、糸魚川市では復興計画の中で、災害に強いまちづくりに向け、規模が小さい飲食店に対して消火器設置の義務付けを盛り込みました。計画策定に当たり、市民から初期消火体制の強化を求める意見が寄せられたためとのことでした。消火器について本区においては、飲食店や各家庭での設置が浸透していますが、長期間放置されたままになっていていざという時に使用出来ない恐れがあります。そこで、改めて設置後の点検を呼びかける必要があると考えますが、いかがでしょうか。ご見解をお聞かせ下さい。
4点目の早い避難についてです。避難状況については、出火から約2時間後に避難勧告が発令されましたが、住民は防災無線だけではすぐに避難せず、消防署員などからの直接の呼びかけで、ようやく避難してくれたとのことでした。出火元から離れた住民においては、まさか自分の家まで飛び火しているとは想像もつかなかったようです。本区においても、木造密集地域での大規模火災が発生した場合には防災無線等機器類による周知に加えて、特に避難行動要支援者等への呼びかけは必要であると考えますが、現在の取り組み状況についてお聞かせ下さい。
糸魚川市では昭和以降に限っても3度にわたる大火に見舞われていて、今回の被災エリアは、昭和7年の大火後に建てられた比較的古い家屋が残っていた地域でした。今回の大火を受けて、国土交通省技術政策総合研究所が行った調査によると、飛び火による延焼の原因は、昭和初期に作られた不揃いの家瓦の隙間から火が入り燃え移ったためであるとしています。
この調査結果については、私も実感をもって伺いました。それは、飲食店を営む私の実家が隣の店舗の火災により類焼した際、実家は鉄骨構造であったにもかかわらず換気扇のわずかな隙間から入ってきた火が原因で一部屋が燃えてしまったのです。火の恐ろしさをまざまざと見せつけられました。本区の木造住宅密集地域には、こうした不揃いの瓦のある建物は存在しているのかどうかお聞かせ下さい。
私達が視察を行った時、糸魚川市では丁度復興まちづくり計画が策定されたばかりでした。計画には、都市防災の観点から延焼遮断帯の形成や防災機能を高める市道の拡幅、消火設備を備えた防災公園の整備とともに、糸魚川らしいまちなみ再生として、まちなみと調和する住宅や店舗の建築の促進と支援などが挙げられていました。
本区においても現在、木密地域不燃化10年プロジェクトに基づく市街地の不燃化の促進、延焼遮断帯となる都市計画道路の整備が進められていいます。糸魚川市での大火の視察を通して、改めて事前防災としての不燃化の取り組みの重要性を実感致しました。
最後に、本区の木密地域における不燃化対策と居住環境の向上へ向けての取り組み状況とともに、今後の推進にあたっての決意をお聞かせ下さい。
2.無電柱化の推進について
次に、無電柱化の推進について、質問致します。
今年も間もなく「11月10日 無電柱化の日」を迎えます。3年前の同日、高野区長も委員を務める「上を向いて歩こう無電柱化プロジェクト」実行委員会が開催した、記念日制定発表会には、当時の太田昭宏国土交通大臣や、小池百合子現東京都知事も来賓として参加されていました。高野区長は挨拶の中で、人間のための空間を取り戻すことが最終的な目標とし、電柱ゼロ都市宣言をされました。そこで先ず、本区における無電柱化推進事業の進捗状況と課題についてお聞かせ下さい。
今月1日には、都市防災機能の強化、安全で快適な歩行空間の確保及び良好な都市景観の創出を図るための東京都無電柱化推進条例が施行されました。無電柱化の推進に関する施策を総合的、計画的かつ迅速に推進することを目的としていますが、本条例の施行による本区無電柱化推進事業への影響についてお聞かせ下さい。
先日、同条例施行を記念して開催された「無電柱化で実現するセーフシティ」フォーラムに参加してまいりました。冒頭で挨拶された小池都知事は、阪神・淡路大震災の被災経験から、特に防災の観点から無電柱化の必要性を訴えられておられました。
その後、「海外から見た東京の街~東京の無電柱化に期待すること~」と題して行われたパネルディスカッションでは、モルガン・スタンレーMUFG証券シニアアドバイザーのロバート・アラン・フェルドマン氏や、京都府亀岡市に在住し、日本とアジア文化に関する講演や執筆をされている、東洋文化研究者のアレックス・カー氏などが、防災・減災、景観形成、インバウンド、観光、経済効果の視点から無電柱化の意義を語っていました。
その中で、無電柱化の課題となっている地上機器については、「京都市の四条通りには32基もあるが、ニューヨーク、ロンドン、パリには無い。建物内に設置するなどの工夫で日本においても無くすことは可能ではないか。」また一方で、地上機器を防災用デジタルサイネージや、電気自動車、電動アシスト自転車の充電基地として活用するなどの提案もされていました。本区においてもそのエリア特性を生かした地上機器の扱いを検討すべきと考えますが、ご所見をお聞かせ下さい。
同フォーラムの最後に、「無電柱化の工期短縮・コスト削減のための3Dマップ」についての企業講演が行われました。無電柱化事業が長期化する要因として、地下埋設台帳の情報が不正確であったり、不明埋設物が把握されていないことにより、試掘工事が不可欠となり、また、情報共有がされていないため関係者による協議に時間がかかるなどが挙げられていました。こうした課題を解決するために生み出されたのが、マイクロ波を活用し地下埋設物を地上から正確に特定する新技術です。
実は、この技術は我が会派が推進してきた道路の路面下空洞調査で使用されている技術を応用したものです。フォーラム会場では、サンプルとして巣鴨地蔵通りの3Dマップが映し出され、地下埋設物とともに、地上の建造物の状況も一体となって確認することが出来ました。また、地上の点群データにより、電柱削減や地上機器設置のシミュレーションが可能なため、沿道住民との話し合いにも大変に役立つと感じました。
こうして、限られた地下空間を効率的に活用し、既設埋設物の移設を極力削減することにより、予備設計から完成まで通常7年かかるところを5年間に短縮することが可能としています。また、工期短縮による労働コストの削減も図られ、従来工法と比べて約1億円の経費削減が可能となるとのことでした。
東京都無電柱化チャレンジ支援事業制度では、こうした新工法の導入などの条件を満たす事業については、補助率がアップするとも伺いました。是非、本区における無電柱化推進事業にもこうした新技術を活用して工期短縮、コスト削減に取り組むことを提案致しますが、ご見解をお聞かせ下さい。
10月1日には、豊島区路上障害物による通行障害の防止に関する条例が施行されます。周知用のチラシでは「みんなの道路を安心安全な通行空間にしていきましょう!」と呼びかけています。こうした取り組みとともに、無電柱化を推進していくことにより、相乗効果が生まれ、特に商店街においては、安全性の確保とともに、利用客の増大が図られることが期待されます。
最後に、区内全域での無電柱化を実現するためには、区としても無電柱化を推進する条例の制定も視野に入れて取り組むべきと考えますが、ご所見を伺います。
3.栄養パトロールについて
3項目目の栄養パトロールについて伺います。
聖路加国際病院名誉院長の日野原重明さんが7月にご自宅でお亡くなりになりました。105歳でした。人間ドックを民間で初めて提供し、生活習慣病の名付け親でもある日野原さんは、現在の医療体制の礎を築いたと言っても過言ではありません。延命治療を望まず、食事や水も最後まで経口摂取されていました。今、健康寿命の延伸が叫ばれていますが、まさに日野原さんは、「死は生き方の最後の挑戦」として健康寿命を全うされ、望ましい人の生き方を実践して生を終えられました。
国は、昨年6月に閣議決定した「ニッポン一億総活躍プラン」において、元気で豊かな老後を送れる健康寿命の延伸に向けた取り組みを示しています。それは、個人の努力を基本としつつ、自治体や医療保険者、雇用する事業主等が、意識付けを含め、個人が努力しやすい環境を整える。具体的な施策としては、高齢者のフレイル(虚弱)段階での進行防止のため、地域における介護予防の取り組みを推進するとともに、専門職による栄養、口腔、服薬などの支援を実施する。また、フレイルの前段階(プレフレイル)からの予防策として、虚弱な高齢者でも容易に参加できる、身近な場での住民主体による運動活動や会食その他の多様な社会参加の機会を拡大する、としています。そこで先ず、こうした高齢者のフレイル対策について、本区においては現在どのような取り組みをされていますでしょうか、お聞かせ下さい。
先月、私ども公明党区議団は、高齢者の低栄養、筋力低下等による心身機能低下(フレイル)の予防と、併せて生活習慣病等の重症化予防を目的に実施している三重県津市における「管理栄養士による相談・訪問指導」通称「栄養パトロール」を視察してまいりました。この事業は、平成27年3月に厚生労働省から三重県後期高齢者医療広域連合を通じてのモデル事業として行われています。
栄養パトロールの具体的な取り組みは、大きく分けて2つになります。一つは、個別栄養支援です。集会所等に巡回栄養相談を設け、保健師、管理栄養士、歯科衛生士等が生活習慣や食生活に関するチェックをし、低栄養・フレイルリスクが高い人には相談・支援を行います。この個別栄養支援は別名「望む暮らしの支援」と呼ばれ、いきなり栄養指導をするのではなく、将来の夢や希望、そのために不安なこと、夢や希望のための長期目標や対策、今自分がやれることは何か等の会話をしながらセフル栄養ケアプランを作成するのが特徴です。また、窓口に来られない人には自宅を訪問します。視察では、参加者からの感想も伺いました。楽しかった、安心する、話がゆっくり出来るところが良い、健康を考えるようになったとの声もありました。
そこで本区においても、津市のような栄養パトロールの要素を採り入れた相談・訪問事業の取り組みを提案致します。同市の人口は28万人、議員定数も36名で豊島区と似ておりますが、面積は711平方キロメートルで豊島区の約55倍の広さを有しています。事業の実施に当たっては地域を限定し、高齢化率が高い美杉地域が選定されていました。本区の特性を生かして対象者の抽出を行う等の工夫をしての実施を要望致しますが、ご所見をお聞かせ下さい。
津市におけるもう一つの取り組みは、地域栄養ケア会議です。自治会長、民生児童委員、食生活改善推進員、健康づくり推進員、地域包括支援センター、社会福祉協議会、老人クラブ、地域住民、医療機関とともに、個別栄養支援で把握した課題や地域の栄養課題を抽出し、改善に向けた検討が行なわれています。同市においては、本年モデル事業としての3年目を迎え、来年度からは国の補助金が受けられない中、どのように継続実施していくか検討をしておりました。
本区において実施する場合の財源の確保が気になるところですが、これまで推進してきた地域包括ケアシステムの構築段階での多職種連携や地域資源など最大限に生かした取り組みが可能であると考えます。この点についてもご見解をお聞かせ下さい。
これに関連して、いわゆるサプリメントについて質問します。テレビなどで、通販番組が多く放送されています。中でも目を引くのが、「健康食品」のコマーシャルです。たしかに、食事で必要な栄養素を摂取できればよいのですが、不足しがちな栄養素などを補う一つの方法なのかもしれません。しかしながら、テレビのコマーシャルの中には、生活習慣病の予防やアレルギー症状が治るなど、医薬品をも上回る効果があるかのように感じられるものもあります。こうした状況において、特に高齢者の方々には正しい情報を提供すべきと考えますが、区の見解をお聞かせください。
厚生労働省の武田俊彦医薬・生活衛生局長は、私見としながらも、「高齢者医療の望ましい姿を考えた時、それは決して治療あるいは延命を目的とするものでは無いという思いがあるとして、高齢者のQOLを大切にすること、もっと具体的にいえば『最後まで口から食べられる』ということに尽きるのではないでしょうか。」と語っています。
日本人の平均寿命と健康寿命の間には、約10年の開きがあります。この期間を介護を必要とする状態で過ごしているのが現状です。この開きを出来る限り短くする取り組みが、栄養パトロールです。本区における健康なまちづくりに期待をしております。
4.子育て支援について
最後に、その他として、子育て支援について伺います。
高野区長は、招集挨拶の中で「女性にやさしいまちづくり」として、保育の質についても言及され、「保育サービス、保護者支援などの保育内容を総合的に維持向上させていくことが、保育の質の向上のうえで重要である」と述べられました。そうした保育の質の向上の一つが病児保育の充実であると考えます。
先日一歳児を保育園に預けて働く母親からお話を伺う機会がありました。「2歳までは法的に時短が取れるし、休みが多いのもしょうがない雰囲気だけど、3歳になったらフルタイムで管理職になる人もいるから、より休みにくくなる。」と、仕事と子育ての両立に悩んでおられる様子でした。
現在、お子さんが病気になった際には、区の訪問型病児保育利用料助成を利用されています。補助の対象となる事業者のベビーシッターの利用料金が1時間当たり3,000円であるのに対して、区の助成額は1時間当たり1,000となっています。また、助成限度額が一日当たり12,000円、年間で48,000円のため、一日4時間まで年間4日を超える分については、自己負担されています。さらに、ベビーシッターを利用する際には、入会金や年会費、交通費などもかかり、これらが助成金の対象外となっているため大きな負担となっています。
そこで先ず、訪問型病児保育利用料助成事業の利用状況をお聞かせ下さい。そして、是非とも本区における訪問型病児保育利用料助成を拡充すべきと考えますが、ご見解をお聞かせ下さい。
また、訪問型病児保育の拡充とともに、保護者が期待を寄せているのが病児保育施設の開設です。形態としては様々ありますが、安心なのは医療機関併設型の保育施設です。東京都では、小児科のある都立・公社病院の医療資源を活用し、区市町村のニーズに踏まえて、病児・病後児保育を行うとして、東京都立墨東病院が墨田区から事業を受託して、平成28年2月より実施しています。今後とも他の都立・公社病院にも事業を広げ、保育環境の充実を図っていくとしています。
本区においても、女性にやさしいまちづくりの視点から、公立、民間を問わず医療機関との連携を図り、病児保育施設の開設へ向けて、積極的に取り組まれますよう要望致しますが、ご所見をお聞かせ下さい。
以上で、私の一般質問全部を終わります。ご清聴、誠にありがとうございました。
○区長(高野之夫) ただいまの辻薫議員の御質問に対しまして、お答えを申し上げます。
私からは、無電柱化の推進についての御質問のうち、まず、無電柱化推進事業の進捗状況と課題についての御質問にお答えをいたしたいと思います。
ちょうど3年前、平成26年11月10日に開催をされました「無電柱化の日」記念日制定発表会におきまして、私は、区内全域で無電柱化を実現する「電柱ゼロ都市への挑戦」を表明するとともに、「学習院椿の坂」「巣鴨地蔵通り」「立教通り」を豊島区における代表的な候補路線として位置づけていることを発表をいたしました。現在の進捗状況でございますけど、学習院椿の坂では既設管路の移設工事を行っておりまして、平成31年度には無電柱化が実現をいたします。また、巣鴨地蔵通りでは現在基本設計を行っておりまして、平成31年度から工事に着手をしてまいりたいと思います。なお、立教通りにつきましては、既に予備設計を完了しておりまして、今後、歩道拡幅工事の進捗に合わせまして順次設計や工事を行う予定としております。
なお、無電柱化に当たっての課題でありますけど、道路幅員が狭い区道ならではの整備手法、これら三つのモデル路線の整備を通じて検討してまいりたいと思います。
次に、東京都無電柱化推進条例の施行による区への影響についての御質問にお答えをいたします。
この条例は、道路事業や市街地開発事業により新たな道路が整備される際に、電柱の新設を制限するとともに、東京都が「東京都無電柱化計画」を策定をいたしまして、無電柱化に関する施策を総合的、計画的かつ迅速に推進することを目的としております。区といたしましては、この条例に先立ちまして、東京都が実施しているモデル事業を活用し無電柱化を進めておりますけど、条例制定を機に実施される関連施策が追い風となりまして無電柱化に対する機運が高まることが期待されるなど、大変有意義であると考えております。
次に、豊島区の特定を生かした地上機器の扱いについての御質問にお答えをいたします。
地上機器の設置位置につきましては、道路幅員の狭い区道において最大の課題ではないかと思います。御指摘のとおり、地上機器の用途や形状を工夫することで、住民の皆さんが受け入れやすい整備を行う必要があると考えております。例えば、巣鴨地蔵通りの街灯には旧中山道の風情を思わせるような意匠が施されておりますが、地上機器にも同様のラッピングを行うなど、景観を損なわない仕様について検討をしております。
次に、新技術を活用した工期短縮、コスト削減の取り組みについての御質問にお答えをいたします。
御指摘の技術は、地中レーダーを利用することで道路を掘り返さずに既設管路の位置を特定するもので、試掘調査の箇所の数を減らして工期短縮やコスト削減につながるものと考えております。また、得られたデータの三次元化により、地下の埋設状況を視覚的に把握できるというメリットもあります。こうしたメリットを確認するため、巣鴨地蔵通りでモデル的に採用したいと考えておりまして、本定例会に補正予算を計上をしております。
次に、区内全域で無電柱化を実現するための区による条例の制定についての御質問にお答えをいたします。
無電柱化は、住民の方々から大変期待も大きく、早期実現が望まれている事業であります。今後は、先行実施しております「巣鴨地蔵通り」と「学習院椿の坂」で得られたノウハウをもとに区内全域に事業を展開していきたいと考えております。また、御指摘のとおり、その過程においては、「豊島区無電柱化推進条例」の制定も視野に入れながら、スピード感を持って効果的に事業を進めてまいりたいと思います。
辻議員がお話ししたように、10月1日から路上障害物による通行の障害の防止に関する条例を施行をいたします。昨日、池袋の西口繁華街で地元の方20名、警察署長を初め20名、そして区の職員が何と63名参加をいたしまして、合計103名でパトロールを行ったわけでありまして、区は、これまで地域の皆さんとともに池袋を訪れる方々が怖い、暗い、汚いと言われた環境を改善していくために、平成9年から実施をしておりました空き缶の「ポイ捨て防止」、そしてたばこの吸い殻を加えた「路上喫煙防止」、これは平成23年制定でありますけど、活動や、あるいは平成24年からは「客引き防止条例」等々、まさに環境浄化パトロールが取り組んでおります、このまちの許さない三つの条例というような形で、昨日はそのようなことを主体にしながら、パトロールを行ったわけでありまして、私は、このたびの違法看板を禁止する条例の施行を機にいたしまして、今申し上げたような三つの防止条例、禁止条例をあわせたキャンペーンをこれから積極的に行い、まさに安全で安心できるまちとなるように取り組んでまいりたいと思いますが、本年がWHOセーフ・コミュニティ国際認証5年目で、再認証のときでございます。この安全・安心のセーフ・コミュニティ、まさに辻議員から、たしか一般質問から始まって、これらのセーフ・コミュニティが着実に進展をしているのではないかと思っております。今まで以上に、まさに安全・安心できるまちに積極的に取り組んでまいりたいと思います。
2019年には、都内で初めての東アジア文化都市としてのさまざまな文化事業の実施が予定をされておりますし、また、2020年には東京オリンピック・パラリンピックの開催によりまして、国内外からさらに大きくの観光客をお迎えすることになるわけでございますので、それだけに区民の皆様のお力をかり、また、区内の3警察署を初め各行政機関や、あるいは商店街連合会あるいは町会連合会とも連携をしながら、まさに「オールとしま」で新しい安全・安心な、世界に誇れる美しいまち「としま」の実現に向けて、全力を傾注してまいりたいと思います。
次に、子育て支援についての御質問のうち、まず、訪問型病児保育利用料助成事業の利用状況及び助成の拡充についての御質問にお答えをいたします。
訪問型病児保育利用料助成事業は、昨年の7月から始めた事業でありまして、昨年度の利用状況は、利用児童数が51名、利用延日数が144日、1人当たりの平均利用日数は2.8日となっております。保育園に子どもを預けていても、病気の場合は園に預けることができないために、子どもの預け先を確保しなければならないわけであります。仕事や介護に支障を来さないためにも、病気のお子さんを安心して預けられる環境を整備することは大変重要であると考えております。
そこで、今後の事業の改善のため、現在、昨年度この事業を利用した世帯にアンケート調査を行っております。調査結果を見ますと、年間で12回以上利用しているケースや費用が40万円ほどかかっているケースも見受けられるわけであります。本事業をさらに利用しやすくするために、利用制限の撤廃と助成額の引上げの実施について、他の施策との優先度も考慮しながら来年度に向けて検討してまいりたいと思います。
次に、医療機関と連携した病児保育施設の開設への積極的な取り組みについての御質問にお答えをいたします。
病児保育施設の開設につきましては、なかなか実現が難しく、その理由は、施設の改修が必要になること、看護師等の配置基準を満たす必要があること、体調の変わりやすい乳幼児が対象となりますので、実施主体が医療機関であることが望ましいこと、需要の予想がしにくいことなどがあるわけであります。
こうした状況にあっても、区は、平成27年度から施行いたした「子ども・子育て支援事業計画」の中で、病児保育への対応は訪問型病児保育利用料助成事業により対応することとしております。しかし、子育て世帯の中には、お住まいの住居の関係で訪問型病児保育を利用しづらい方もいらっしゃると考えられ、区としては、やはり病児保育施設の確保が望ましいのではないかと考えているわけであります。
そこで、既に病児保育を実施している医療機関に対しましては、病児保育も実施できないかと本年7月に打診をいたしましたところ、実施の可能性があるとの認識を得ました。現在、来年4月から病児保育を実施するための協議を当該医療機関と進めております。これからも当区の女性にやさしいまちづくりに向けて積極的に取り組んでまいりたいと思います。
私からの答弁は以上でございますが、そのほかの質問につきましては、両副区長並びに危機管理監から答弁をいたします。
〔水島正彦副区長登壇〕
○副区長(水島正彦) 栄養パトロールについての御質問のうち、まず、高齢者のフレイル対策の現在の取り組みについての御質問にお答えいたします。
日本語では「虚弱」と訳されるフレイルという用語・概念が近時注目され、関心を集めておりますが、本区においては、現行の「健康プラン」には、ロコモティブ・シンドロームについては記載されておりますが、フレイルについては明記してございません。フレイル対策は、身体面の機能低下に加えて、認知機能低下や鬱傾向などの精神面、ひきこもりや個食などの社会とのつながりの低下といった複数の要因が関連するものと捉えております。今後、多くの職種が係る多面的な取り組みが必要ではないかと認識いたしております。既に、高齢者総合相談センターでの地域ケア会議などでは、そうした多職種による取り組みが始まりつつありますが、今後はフレイルという概念を共有化するとともに、一層の連携強化を図り、また、健康プラン改定時にはフレイル対策について明記をいたします。
次に、栄養パトロールの要素を取り入れた相談・訪問事業及び区の特性を生かした実施についての御質問にお答えいたします。
御質問の津市における取り組みは、津市全域ではなく、特に高齢化率の高い美杉地区での、いわばモデル実施的な取り組み事例として拝聴いたしましたが、美杉地区の高齢化率は56.3%に及び、津市の中でも過疎化が進み、交通や医療の面で多くの行政課題が重なっている地域において巡回栄養相談を行い、その相談の開設場所に来られない方に訪問も行うという仕組みと受けとめました。
日本一高密な豊島区と美杉地区は行政課題が多くの面で異なりますので、これを直ちに本区で導入できるかは検討を要しますが、低栄養リスクを御本人に御理解いただいた上で、さまざまな専門職が支援するという面では、先ほど申し上げましたフレイル対策の取り組みに生かせる面もあるのではないかと考えております。
次に、地域包括ケアシステムの構築段階での多職種連携や、地域資源等を最大限に生かした取り組みについての御質問にお答えいたします。
津市での事業には、厚生労働省の「高齢者の低栄養防止・重症化予防等の推進」に位置づけられた予算を活用しているようでありますが、後期高齢者医療広域連合を通じての補助スキームになっております。本区で実施する場合の財源の確保については、今後の検討課題にせざるを得ませんが、財源はともかくといたしまして、本区が積み重ねてきた地域包括ケアシステムの構築段階での多職種連携や地域資源等を最大限に生かした取り組みを活用して、高齢者の特性にしっかりと対応した福祉と保健の取り組みをしていくことは検討の余地があるかと考えますので、研究を深めてまいります。
次に、サプリメント等の健康食品の高齢者への正しい情報の提供についての御質問にお答えいたします。
サプリメントや健康食品は、栄養が不足している場合に正しく利用すれば栄養補給に役立つものであります。しかし、御質問にありますように、さまざまな情報があふれている昨今、紛らわしい表現・表示の商品広告も見受けられます。
例えば、ヒアルロン酸は、関節に直接注射するなどの治療には効果がありますが、飲んで効果があるというデータはなく、また、コラーゲンは口から摂取するとアミノ酸に分解され、さまざまな体の材料とされ、そのまま皮膚のコラーゲンになっていくわけではないことなどが、東京都健康長寿医療センター研究所が発行しております「健康長寿新ガイドライン」に書かれております。
そもそも「食品」に位置づけられる健康食品やサプリメントは、医薬品とは異なり、「生活習慣病の予防に」ですとか、「アレルギーを緩和する」などの表示は認められておりません。薬剤師会などにも協力していただきながら、区民の皆様にわかりやすくこうした情報をお伝えすることも区の大事な取り組みの一つではないかと考えておりますので、今後積極的に情報提供してまいりたいと考えております。
私からの答弁は以上でございます。
〔宿本尚吾副区長登壇〕
○副区長(宿本尚吾) 延焼防止対策についての御質問のうち、まず、木造住宅密集地域における不揃いの瓦のある建物の存在についての御質問にお答えをいたします。
平成26年度の不燃化特区事業の開始に当たりまして、木造住宅密集地域の建物約1万9,000棟につきまして、構造や建築年数などの状況を調査いたしました。その結果、昭和初期に製作された屋根瓦が使用されていると推測される建築物は、全体の約0.1%程度となっております。これは、現在の屋根瓦の状況を直接調査したものではございませんが、このような状況から、御指摘のような古く不揃いの屋根瓦の存在につきましては、その数は極めて少ないものと考えております。しかしながら、万が一そのような瓦が見つかった場合には、所有者に改修を促すなど、積極的に対応してまいります。
次に、木造住宅密集地域における不燃化対策と居住環境の向上に向けた取り組み状況及び今後の推進に当たっての決意についての御質問にお答えをいたします。
豊島区の木造住宅密集地域対策は、昭和58年から居住環境総合整備事業を導入し、主に公園の整備、道路の拡幅などの基盤整備を行うことで居住環境の整備とともに防災性の向上を図ってまいりました。
平成26年度から不燃化対策として、「不燃化特区事業」を4地区で開始し、老朽建築物の建て替え支援を実施しております。これに加えまして、平成27年度からは、延焼遮断帯の形成を目的とした「都市防災不燃化促進事業」を導入し、特定整備路線沿道の建て替えを推進してまいりました。どちらの事業も東京都が行っております特定整備路線の進捗と相まって申請件数は順調に増加しておりますので、着実に不燃化が進んでいると考えております。今後も、目標であります不燃領域率70%の早期実現を目指し、継続して事業に取り組んでまいります。
なお、事業を進める際には、地域の方々との対話を通じ、御理解と御協力を得ながら、地域特性に応じた、きめ細やかなまちづくりに積極的に取り組み、災害に強く安心して暮らし続けられる居住環境の整備を進めてまいります。
私からの答弁は以上でございます。
〔今浦勇紀危機管理監登壇〕
○危機管理監(今浦勇紀) 延焼防止対策についての御質問のうち、まず、関係機関や民間団体との災害時の連携についての日ごろからの取り組みについての御質問にお答えいたします。
大規模災害発生時には、区のみでは十分な措置や対処はできません。そのため東京都、警察、消防、自衛隊などの関係機関や、さまざまな民間団体との連携や協力は必須の条件であります。例えば、トラック協会には輸送車両を、また、建設機器のレンタル事業者には、救援センター運営から道路啓開に至るまで、災害時に必要となるさまざまな物品や機材を提供していただくなど、災害対応においては民間団体の協力が不可欠です。
こうしたことから、区は、地域防災計画の中で、関係機関からの連絡員の受け入れや協定を締結している民間団体への協力要請など、関係機関や民間団体との協力内容等を具体的に定めております。さらに、ライフラインを含む各種事業者等に総合防災訓練や帰宅困難者対策訓練に参加していただくなど、日ごろから顔の見える関係を築くとともに、災害時の連携の方法や手順の確認を重ねているところであります。
次に、感震ブレーカー設置助成の実施概要と今後のスケジュールについての御質問にお答えいたします。
まず、事業の実施概要でありますが、火災延焼の危険度が高いと想定されている木密不燃化10年プロジェクトの対象地域のうち、特に火災延焼の危険が大きい地域に重点を置いて事業を展開してまいります。
具体的には、池袋本町三丁目及び四丁目を対象とし、補助対象者は、耐火造を除く住宅に居住する方またはその住宅を所有する方としております。また、助成対象となる機種についても、国の性能評価などがなされている三つの機種を指定しています。そのうち、鉄球の落下によるブレーカーを落とす簡易型については、無償で配布し、それ以外の2機種については、それぞれ上限を設けた上で購入金額に応じて、半額または3分の2を助成することとしております。
本事業は、9月1日からスタートしており、対象となる住宅へはシルバー人材センターに委託してチラシの全戸配布を行っているところであります。来年度以降も「不燃化特区助成対象地区」の中で、逐次、対象地域を広げてまいります。
次に、隣接する複数の建物で連動する火災警報器の設置についての御質問にお答えいたします。
家庭用火災警報器が義務化された当初から、複数の子機が連動して当該家屋での火災を検知する製品は既に市販されておりましたが、一般的なものに比べて、価格が高いなどの理由もあり、普及するには至っていないのが現状です。区としましても、以前からその有用性については認識しているところであり、消防署が主催する「住宅防火等推進協議会」など、区や関連団体、町会などの出席する会議の中で、積極的に子機連動型の機器についても紹介をし、啓発に努めているところであります。
なお、御質問にありました総務省消防庁のモデル事業は、現在、全国36地区を選定し終えた段階であると確認しておりますが、区といたしましては、隣接する複数の建物で連動する火災警報器は、技術的な検証も未だ途上にあるため、今後、総務省消防庁の事業の成果に注目してまいります。
次に、住宅用火災警報器の点検、電池交換の区民の皆様への周知についてと、消火器設置後の点検の区民の皆様への呼びかけについての御質問にお答えいたします。
住宅用火災警報器の点検と電池交換の区民の皆様への周知に関しましては、これまでも区は消防署と協力して、機会を捉えて住宅用火災警報器の点検や電池を含む機器の取り換えについて周知・啓発に努めてまいりました。しかしながら、今後ますます住宅用火災警報器の電池切れや、製品の経年劣化による不具合などが多くなることが予想されるため、訓練やイベントなどの周知に加えて、広報やホームページ、安全・安心メールなどを活用して、より一層の広報に努めてまいります。
また、消火器設置後の点検の区民の皆様への呼びかけについても、区では、地域防災訓練時の初期消火訓練や防災講話の際に、消防署や消防団と協力し、その使い方とともに適切な入れ替え時期などについても周知、啓発について努めてまいりました。今後も、あらゆる機会を捉えて周知徹底に努めてまいります。
次に、木造住宅密集地域での大規模火災が発生した場合の周知及び避難行動要支援者への呼びかけの現在の取り組み状況についての御質問にお答えいたします。
木造住宅密集地域が区の面積の4割を占める豊島区にとって、糸魚川市の大火は、御指摘のとおり、「対岸の火事」ではありません。豊島区は、地域防災計画の中で、大規模災害発生時の避難体制について、区や警察、消防の具体的な活動要領を定めております。
具体的には、区が防災無線や戸別受信機による情報伝達を行うほか、広報車による呼びかけを行います。これに加え、警察は、直接対象地域の居住者の避難呼びかけを行うほか、ヘリコプターによる上空からの避難の呼びかけを実施することになっております。また、消防署は、消防車両などで避難の呼びかけを行うとともに、消防団による避難誘導も実施することとなっており、区と関係機関が連携して区民の皆様を安全な場所へ誘導することとしております。
こうした中で、避難行動要支援者の避難に関しては、町会や民生委員の皆様とも、「災害時要援護者・避難行動要支援者名簿」を共有し、対象者への呼びかけや支援をお願いしているところであります。今後も、共同訓練等を通じて関係機関との関係の強化に努めてまいりますとともに、合同防災訓練や町会を対象とする研修等を通じて避難行動要支援者の避難に関する御理解と御協力をお願いしてまいります。
以上をもちまして、辻薫議員の御質問に対する答弁を終わります。