令和 4年決特 一般会計公債費以降10月14日

特別区債と財調基金

○西山陽介委員  特別区債と財調基金との視点で、今後の財政運営について伺ってまいりたいと思います。3年度当初予算に計上した特別区債の発行額は約56億円であったと思います。そして、今回3年度決算では発行額が5億2,000万円となっております。この年度中のいろいろな要因や、情勢の変化等に対応した結果だと思いますけども、そのことについて、まずお伺いさせてください。

○木村財政課長  当初予算額56億円の起債予定額に対しまして、実際の発行額は約5億円となっているところでございます。この大きな要因といたしましては、歳入環境の改善といいますか、当初予算対比での改善というところが大きいところと考えてございます。

例えば特別区民税は、当初予算額では292億円でございました。これに対しまして決算額は311億円、また特別区財政調整交付金は当初予算額282億円に対して決算額が336億円、また地方消費税交付金は当初予算額65億円に対して決算額が82億円となっておりまして、これら3つの基幹歳入合計では、当初予算額に対して決算額が約90億円上回ったという状況になってございます。このような歳入環境の改善を背景といたしまして、高野区長の新たな借金は極力しないという方針の下、起債額を約5億円にまで抑えたところでございます。

○西山陽介委員  当初予算編成時の頃には本当に先行きが不透明で、どういう歳入環境になるか分からないという、そういった予測もあった上でのこのような結果になってきた。いわゆる好転、財政上は好転した、いい数値となったと言えるかと思います。

一方、3年度はこの財調基金ですけども、取崩しが43億円となりました。この要因についても伺いたいと思います。

○木村財政課長  財政調整基金繰入金につきましては、当初予算では69億という金額であったところでございます。その後、昨年度におきましては補正予算第9号まで編成してございますので、それらの補正予算額の一般財源としても財政調整基金繰入金が使われておりまして、最終的に財政調整基金の繰入額の予算額としては79億7,400万円までなったところでございます。

実際の取崩しでございますが、毎年、年度末の3月下旬頃から出納整理期間である4月、5月におきまして、歳入の状況、あと歳出の状況、あとつまりは決算剰余金がどうなるのかと、そういったところを日々把握しているところでございます。先ほど申し上げたように、歳入環境が改善したこと、また歳出の見込みも年度が明けて4月、5月でほぼ固まっておりますので、そういったところから最終的な財政調整基金の取崩し額を判断しているところでございます。

区によりましては予算に計上したとおり、歳入歳出の状況にかかわらず、当初予算どおり基金を取り崩すという自治体もありますが、本区におきましては決算の見込みも勘案しながら、必要な額を取り崩しているというところでございます。

○西山陽介委員  日々確認されているということで、本当に大変なことだなと思います。

この区債を発行するということと、それから財調基金を取り崩すことと、どちらも財源としてその用途に合わせて使われていくと思いますけども、予算編成時での方針、この2つですね、この予算編成時での方針と、それから年度途中でいろいろな環境、状況、情勢の変化があった場合に、そのことを対応することについての違いというのはどういう視点になるのか、そのことをお示しいただきたいと思います。

○木村財政課長  なかなか難しい質問だなと考えたところですけども、当初予算編成の過程におきましては、まず特別区債がどのぐらい発行できるのかということで、区債を優先して編成した場合、どのような予算編成状況になるのかというのを見ながら編成しているところでございます。また、特別区債を発行したとしても、全体の歳入が賄えない場合ですね、こういった場合には最終的には財政調整基金を充当するということで、予算の編成過程を過ごしているところでございます。

区債を発行することと、貯金を基金を取り崩すことということで、どちらもお金が入ってくるという意味では同じことかもしれませんが、例えば委員おっしゃったように、年度途中の変化への対応ということでは、区債につきましては、やはりある特定の事業に対して事業費の一定割合を起債するという考え方でございますので、その事業費、当初予定していた事業が、例えば減少した場合は、当然起債額もそれに合わせて減少させていかなければならないというところがございます。これに対して財政調整基金については、一般財源歳入でございます。そういったことから、何か特定の事業の進捗状況に左右されることなく、財調基金のほうが機動的な対応ができるのではないかと考えてございます。

○西山陽介委員  分かりました。家計に例えて、ちょっと簡便な言い方をさせていただきますと、いわゆるいい借金と、悪い借金、貯金のいい引き出しと、よくない貯金の引き出し、家計ではそんなような考え方をするかなと思うんですけども、財政運営上ではそういう、いいとか、よくないとか、そういうことの判断というのはどういう視点で求められていくんでしょうか。

 

○木村財政課長  なかなか一概にいい悪い、なかなか言いにくいところはありますけれども、まず貯金においても借金においても、まずはやはり計画性があるかないのか、これがいいか悪いかの判断の一つの基準なのかなと考えてございます。やはり財政運営、単年度見るだけではなくて、中長期的な視点が必要でございます。かつての本区におきましては財政破綻寸前の状況にあったわけでございますが、当時は当時のいろいろな事情はあったところではあると思いますけれども、やはり先の見通していく計画性の部分が足りてなかった部分もあるのではないかと思ってございます。

また、起債につきましては、いい悪いというところでは金利がどうなのかというところも判断の材料かなと考えてございます。かつてのバブル期の利率というのは、今では想定できないような、例えば5%を超えるような利率の時期もありました。

また、そのような高金利の時代におきましては、公債費全体に占めるそのうちの元金の支払いと利子の支払いに分けた場合、例えば平成11年度の公債費は75億円でございましたが、そのうちの50億円は元金の償還に充て、利子の支払いが25億円ということでありました。公債費の全体の支出の3分の1が利子という、今ではとても考えられないような時代があったわけでございます。これに対しまして昨年度、先ほど申し上げた昨年度の起債約5億円でございますが、こちら公的な資金を活用ということで、こちらは無利子で借入れをしている状況でございます。

また、基金の繰入れ、あるいは貯金の引き出しという意味では、例えば減債基金というものは各年度に元金の支払い額というのはもうあらかじめ決まっておりますので、それを計画的に積み立てて、必要な年にその必要な額は崩すということですので、これは委員のおっしゃる、いい悪いという意味では、いい貯金の引き出し、使い方かなと思ってございます。やはり単に赤字を埋めるために無計画な取崩し、あるいは起債を行うことがないように今後もしっかりとした計画的な財政運営が必要ではないかと考えております。

○西山陽介委員  では、まとめてまいりたいと思います。いみじくも今おっしゃられたように、私もやはり中長期的な計画、それから最悪を想定しての備え、そういった視点ではないかなと思いました。持続可能な自治体経営につなげていくこと、やはり、そこには区民の命と暮らしを守る深い信念が求められてくると思います。公開と説明責任という観点が求められる中で、なぜ借金をするのか、なぜ貯金を取り崩すのか、または積み増すのか、結果はどうなったのか、その先はどうしていくのか、そういった視点でも今後も区民への分かりやすい自治体経営を期待をさせていただきたいと思います。

最後に、この持続可能な財政運営について御所見を一言いただければと存じます。

○奥島政策経営部長  今、財政課長がお答え申し上げましたように、中長期的な視点で見ていくというところが非常に必要で、また借金を重ねることに対する単年度の歳出に対する見極めというところも、これもまた大切なのかなと思います。持続可能な財政運営を進めていくためには、歳入をしっかり確保しながら、出もしっかり抑えていくと、身の丈に合った財政運営をどう続けていくのかということを中期、長期も含めて見ていくということだろうかと思います。