不合理な税制改正
○西山陽介委員 どうぞよろしくお願いいたします。私のほうからは、不合理な税制改正、また、ふるさと納税についてもお伺いをさせていただければと思います。
令和2年度、3年度とこの区の基幹歳入は大幅な減収となっております。これはこの感染症による影響だけではなくて、もちろんそれもありますが、不合理な税制改正による大きな影響もあるのではないかと、このように見えてるわけでございます。この不合理な税制改正が豊島区財政に与える影響については、改めて御説明をいただければと思います。
○三沢財政課長 法人住民税の一部国税化や地方消費税の清算基準の見直し、そして、今御質問のありましたふるさと納税、これら3つが都市部を狙い打ちにした不合理な税制改正というふうに捉えてございまして、この不合理な税制改正による影響は、引き続き区財政に大きな影響を及ぼしているような状況にございます。ちょうど1年前となってしまって恐縮ですが、令和2年2月に特別区長会事務局が試算をしております。この試算を参考に様々な資料を今つくらせていただいておりますが、令和3年度におけます本区の影響額は77億円、この3つを全部合計しますと、77億円もの減収に匹敵すると見込んでいるところでございます。また、これまでの不合理な税制改正による累計影響額ですが、これにつきましては、としまのお財布にも書かせていただいて、区民の皆様方に分かりやすく資料として御提供しておりますが、累計額は総額で約309億円、例えば小・中学校の改築経費に置き換えると、これがどういった規模かというのも書いてございますが、実に8校分に匹敵するぐらいの減収影響となってございます。
○西山陽介委員 最後のほうで、こういう分かりやすい御説明いただくと、本当に感じる部分があるんじゃないかと思います。こういった影響の大きさを今後もやっぱり区民の方に知っていただきたいなというふうに思います。そういったことの解消のために税制改正の解消に向けて、区の考え方ですとか、また、区長会等を通じて御努力されているかとも思います。そういったことの情報発信も今後とも努めていただければというふうに思います。
この不合理な税制改正による影響については、この間、一貫して減収影響が拡大してきております。そういった中でも、ふるさと納税については、令和2年度の影響額16億円から令和3年度は13億円と、その減収影響が前年度よりも減っているという状況があります。ふるさと納税の増加の伸びが鈍化した要因について御説明いただければと思います。
○渡邉税務課長 これまで急激に寄附のほうが増加した要因というのが、特例控除の限度額の拡大ですとか、ワンストップ特例の創設に伴いまして手続が簡素化されたことで、住民の方の需要が高まりまして、さらに自治体間で過剰な返礼品競争が起こったということは考えております。
そこで、総務省のほうが、令和元年の6月に法改正を行いまして、返礼品、地場産品でかつ寄附金の3割以下にすることといたしまして、基準に合う自治体のみを制度の対象とする指定制度が創設されたところでございます。これを契機にしまして、令和元年度寄附金分については、全国で受入額が前年度比0.95%、受入れ件数も1.005%と伸びが鈍化したものでございます。本区におきましても、令和2年度当初予算のときには、その前の2年間はいずれも前年度比3割増しということで影響額を16億円というふうに見込んでいたところでございますが、今回の指定制度の創設に伴いまして、伸びが鈍化したところでございます。令和2年度の影響額を16億円で見込んでおりましたが、12.4億円だったというところを踏まえまして、令和3年度の影響額についても13億円というような見込みを立てたものでございます。
○西山陽介委員 本来のふるさと納税の制度の趣旨をちょっと外れてしまって、争奪戦ということが問題となって、指定制度の導入ということで、その影響が少し緩和されたということが理解することができました。
では、他区のふるさと納税のこういった状況というのはどうなっているのか、その辺についてはいかがでしょうか。
○渡邉税務課長 23区の合計で、令和2年度と元年度のふるさと納税による寄附金の控除額を見ますと、令和2年度については、23区合計で7億6,000万円の増額、1.9%の増となっております。その前のところを比べますと、元年と30年度については、23区合計で100億5,000万円の増額、34.3%の増ということでございました。他区も豊島区と同様に伸びが鈍化、もしくは減少というような状況にございます。
○西山陽介委員 本区も本区としてのふるさと納税、いわゆる寄附文化を醸成していこうという、そういったことも含めて、これまでトキワ荘の施設整備、それからこのコロナに入っては「コロナに負けるな!としま」と、そういった表題をつけて医療や福祉への支援として御寄附を募ってきたところでございます。どちらも多くのいわゆる志をいただいたのではないかなと、そのように理解をしているところでございます。このふるさと納税の本区としての取組というものは今後はどのように考えられているのか、それについて御見解をいただければと思います。
○山野邊企画課長 これまでもふるさと納税につきましては、一般質問をいただいてございまして、やはり制度の趣旨と違う華美な返礼品につきましては、豊島区としては、現時点においては参加していないという立場は変わってございません。ただ、今御指摘あったとおり、ふるさと納税につきましては、生まれ育ったふるさとに貢献できるというような制度でございます。区民参画の手法の一つでもございますので、稼げる自治体として、クラウドファンディングというような、今御説明あったような、明確に使途を表した上で御賛同いただける方に積極的に参加していただくという意味では、今御指摘のあった2つのクラウドファンディング的な寄附のほかに、来年度につきましては、子ども・若者支援基金運用事業といたしまして計画をしているところでございますので、こういった利用の仕方は積極的に進めてまいりたいというふうに考えてございます。
○西山陽介委員 はい、分かりました。このふるさと納税の影響ですね、私どもが受けるほうの影響につきましては御説明があったとおりで、この返礼品は地場産品で、かつ寄附額の3割以下にするという、そういった基準にだけ合う自治体のみを制度の対象とする指定制度ということが理解できました。この指定制度をめぐっては、総務省とほかの自治体との間にも何か訴訟とか、そういったことが起きたというふうに報道を通じて伺っているところでありますが、ちょっとその辺の内容を伺っておきたいと思います。
○渡邉税務課長 こちらでございますが、総務省のほうから、ずっと過度な返礼品を見直すようにというようなことの通知が出ておりましたが、従わない自治体もございました。指定制度創設の際に、過去に制度の趣旨に反して多額の寄附を集めた自治体を除外できる旨の告示が定められたところでございます。これに対して、4自治体が令和元年6月開始の新制度から除外されたという経緯がございます。この除外につきまして、大阪の泉佐野市のほうが総務省と訴訟をしたものでございます。昨年6月の最高裁の判決で、新制度開始前の実績を基に新制度から除外するのは違法ということで、こちらの判決が出ましたので、泉佐野市ほか3自治体についても、新制度に復帰することとなりました。しかしながら、判決のほうで、当該自治体の手法について、社会通念上、節度を欠いていたと評価されてもやむを得ないというところも最高裁としては言及しておりますので、ギフト券や商品券など、地元の特産品ではないような過度な返礼品が認められたということではございません。
○西山陽介委員 ありがとうございます。本区でも、今御答弁いただいたように、子ども・若者を支援する新たな基金の創設を目指していくところであります。このクラウドファンディングというそういった新たな手法を活用することなど、一層その取組を強めていただいて、この国の不合理な税制の影響を緩和するという表現は当たってないかもしれませんけども、多くの方の志をいただいて、本区が目指すこのSDGsの取組、そして、それにつなげていって、ぜひこの税制の影響が区民サービスの質の低下にならないように、今後も安定した財政のかじ取りをよろしくお願いしたいと思います。以上で終わります。