成25年度豊島区予算案に対する公明党意見開陳

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公明党豊島区議団

根岸 光洋

 

私は、公明党豊島区議団を代表して、平成25年度豊島区一般会計予算並びに、国民健康保険事業会計、後期高齢者医療事業会計、介護保険事業会計の3特別会計を可決することに賛成する立場から意見開陳をいたします。

最初に、円滑公平な運営に努められました正副委員長の労に感謝を申し上げます。また、理事者の皆様には、資料要求をはじめ、事前調査に快く応じていただき、私どもの質問に対して、その意を酌まれ丁寧にご答弁いただきましたことに心から御礼を申し上げます。

さて予算案審議に当たって、我ども公明党は、現下の厳しい景気経済状況の中での影響を受け止めつつ、1.区民目線に立った行政運営となっているか、2.時代の変化に的確に対応した事業展開となっているか、3.セーフコミュニティの立場から安全・安心のまちづくりへの取り組みがなされているか、4.持続可能な財政運営並びに区民生活向上のため我が党の予算要望に応えられているか、などを主眼に、慎重かつ厳正に審査に臨みました。

平成25年度の一般会計当初予算規模は、1022億48百万円、前年度に比べ、30億58百万円の増、3.1%のプラスで2年ぶりの増加となりました。特別会計を含めた財政規模は、1,549億68百万円、前年度当初予算に比べて43億69百万円の増、2.9%のプラスとなり過去最大の規模となっています。その特徴として財源対策を半減させた予算、財政健全化を進めることにより新たな施策を展開する予算、10年先の豊島区の将来へ向けて計画的に投資する予算としたとのことです。これは歳入の大幅な回復が見込めない中でありながら、148事業・32億円にのぼる新規事業・拡充事業への取り組みなど、区民生活に欠かせない事業のへの積極的展開であり、学校、新庁舎建設、西部地域複合施設などの施設建設の山場を迎える上では、豊島区の将来を見据えたものであると高く評価するものであります。

総括質疑においては、少子高齢社会という時代背景の中、大幅な歳入増加が困難であり、加えて扶助費への支出や老朽化した公共施設対策など歳出増加が見込まれていることから、区財政安定化すなわち福祉や教育の安定的な財源を確保するために、新たな歳入確保策の検討と取組みを強く要望いたしました。今後、他自治体の取組みなども参考にしながら、職員一丸となって研究されることを期待致します。

以下、款別にごとに意見を述べさせて頂きます。

議会費

区議会だよりに他自治体からの視察受け入れの記事を掲載したことは内外に区の施策の取組がどのような関心を持たれているのかなどを知るうえで大変に良い取り組みだと評価致します。今後は逆に区議会HPへ視察メニューの発信などをすることにより、区の施策情報を広く周知するなど、議会改革の検討状況なども見ながらその導入について検討することを要望します。

総務費

セーフコミュニティと区民ひろばが自治基本条例に明記され区の基幹政策と位置付けられた事を評価致します。
インターナショナルセフスクールの推進で、小学校区という単位の安心・安全に向け、学校と地域が協力した取り組みを期待致します。

防災対策基本条例については、自助・共助の重要性について、さらに周知策を徹底して研究されるよう望みます。また、災害時における近隣区との連携については、想定される全ての対策について平常時より取り組むようお願い致します。さらにマンション住民と地域防災組織との連携も集合住宅の多い本区としては喫緊の課題であると考えます。そして、災害要援護者対策はいよいよ地域に情報提供がなされ、新たな見守り体制の構築も期待されることから徹底した支援を要望致します。

  災害時の医療救護体制の整備については災害拠点病院や災害拠点連携病院となる救急病院との十分な協議を行い、いざという時に混乱なく救急医療の機能が図られるよう要望します。

地域安全対策については執拗な客引き等への注意看板の老朽化の対応を要望します。また、振込め詐欺への対策については、引き続き関係機関と連携した安全・安心の取り組みを要望します。

タウンページによる豊島区行政情報掲載モデル事業は評価できるが、充実している現在のくらしのガイドと同等の内容になるのか見極めて場合によってはくらしのガイドを存続することを要望します。広報としまが新聞の激減により広く区民に行きわたっていない現状のなか、WEB発信等の取り組みや新たな広報発信の仕組みを要望します。
更に区の文化資源を活用したシティプロモーションについては、マンガの聖地トキワ荘とアニメのコラボレーションの成果を踏まえて新たな豊島区の魅力発信をして、街の活性化へ取り組むことを要望します。

今後の区政を担う職員体制については、臨時職員の十分な能力活用を目指し、勤務上の課題についても、的確、正確に掌握されるよう望みます。

公明党区議団の提案で今定例会の本会議で議決した「虐待と暴力のないまちづくり宣言」については啓発のための講演会、パンフレット作成にアニメを活用するなどや、こどものうちからの啓蒙、教育現場での取組などセーフコミュニティー国際認証都市として暴力のない安全な街づくりへの取り組みを要望します。

福祉費

待機児童対策については、その重要性について改めて確認をさせて頂きました。したがって、こども家庭部だけでなく、全庁挙げての取り組みを重ねてお願いを致しました。その対応として区は1.認可保育所の定員増、職員の増員、2.認証保育所の2園の誘致、3.区有施設を活用した一時保育が2ヶ所、4.保育ママを新たに3ヶ所、5.空き店舗を活用したスマート保育5~6ヶ所、6.事業所内保育1ヶ所、7.私立幼稚園の預かり保育の拡充、8.待機児童家庭のファミリーサポート支援の拡充について25年度の早い段階で実施することにより今後、2年間で緊急的な、追加として300名の定員増をすることが表明されたことは評価致しますが、この対策が確実に実行されて一刻も早い待機児童解消へ向けて、徹底した取り組みを望みます。

障害者用ヘルプカードの作成・運用については、セーフコミュニティ国際認証都市として、区を跨いだ広域性とあわせてヘルプする側への普及啓発を要望します。

高齢者が長く地域で生活できる「地域包括ケアシステム」の確立に向けて、昨年開設した24時間訪問介護看護事業は、今後、利用者の増加が見込まれる。そこで、東京都の新年度予算にある、ICTを活用した補助制度の有効活用を要望します。また、小規模多機能型施設の整備については、従来から検討していた場所も含めて取り組む事を要望します。
更に、サービス付き高齢者住宅を都市整備部と連携しながら取り組むことに加え、認知症高齢者対策の必要性が高まっているなか、昨年秋、区が「日本認知症協会」と協定を締結したことを評価する。引き続き、住み慣れた地域で暮らせる取り組みを要望します。

東日本大震災被災者支援として設置されたサロンは被災者の心のケアとなり憩いの場としてその機能を十分に果たしている。来年度も継続されるが、区としてもできる限りの支援を要望します。

衛生費

ガン対策についてはまず受診率の向上の為に、検診勧奨の継続と拡充を要望します。胃がんの原因とされる、ピロリ菌のABC血液検査の早期実施を要望します。また、国がモデル実施を公表した子宮けいがんのHPV検査への手挙げを強く要望します。更に、公明党区議団が提案し、平成25年度予算に計上されたガン先進治療ローンの助成事業を評価し、生命を守る健康施策の充実を要望します。

また同様に、平成24年度から開始した「がんに関する教育」については大いに評価する。実施に当たり、家族にがん罹患者がいる場合の配慮等にも十分考慮をお願いします。また、平成22年に開始した子宮けいがんワクチン公費助成に反対した議員の反対討論については、そういう声があることも承知するが、今後、定期接種化されてさらに充実していく子宮頸がんワクチン接種の安全性と必要性を十分周知することを望む。さらにワクチン接種、定期的な検診、がんに関する教育などがんに対する正しい知識を広め、合わせて早期発見治療により生命を守る取り組みを要望致します。

がん検診受診率46.8%の静岡県藤枝市では職員スタッフが色とりどりの「がん撲滅戦隊ウケルンジャー」のジャンパーを着用してそのPRをしています。本区でもアニメの起用も考えながら区の姿勢を視覚に訴えるような取組みを要望します。

地域猫については、良好な街づくりを目指すべく、地域の理解を得る一層の努力を要望します。その意味で、ボランティアの方々の活動しやすいジャケット活用をさらに推進するとともに、活動費についてはせめて実費分の補助については検討をお願い致します。

都市整備費

マンション管理推進条例により専門家派遣事業としてのマンション管理士、建築士派遣に加えて地域コミュニティが形成されるよう望みます。また、私有財産に関する条例として、私道の管理に対する条例の検討を要望します。

大塚駅ビル周辺整備について、駅ビル地下の駐輪場500台を駅保育園利用者にも優先活用できるようにする事や区立駐輪場1千台との連絡通路による効率的な運用を要望します。
丸の内線新大塚駅前放置自転車対策について、隣接する文京区との連携強化を望みます。更に、区立公園内の放置バイク対策の強化を要望します。

土木費

公明党区議団が提案してきた老朽建物対策について、一人暮らし高齢者の孤独死の例から外観だけでなく、しっかりした掌握を要望します。来年度予定している、老朽化対策条例の制定へ向けて、解体費の一部助成の検討を要望します。 更に、エレベーター、消火設備等既存建物の管理安全確保等、区民の生命を守る取り組みを要望します。

高齢者の賃貸住宅の「高齢者入居支援」について、今後、公営住宅の信用保証を含む取り組みを強く要望します。

文化商工費

文化政策については、その評価が難しいなか「文化創造都市推進シンポジウム」を通して、文化都市宣言、文化庁長官表彰等この10年の文化施策の推進が内外から高く評価されていることが確認されました。
今後は地域の文化資源発掘に加え、地域経済への波及が重要である。更に、文化に加え安心.安全の文化創造都市豊島区への取り組みを要望します。

スポーツ施策について、54年ぶりの東京国体、9月にはオリンピックの招致が56年ぶりに開催されるかどうかが決定するなどスポーツイヤーの本年となった。区立南長崎スポーツセンターのオープンで区内スポーツの機会が増える反面、会場確保が困難となった中学生のサッカー大会への助成と早期の施設建設を望む。また、区スポーツ施設の利用時間延長を強く要望します。

西武線サミットに続く、東武線サミットでは東松山市、寄居町、川越市と豊島区の4自治体がまず連携強化して開始し、今後、沿線自治体にも拡げることを確認したが、今後のさらなる広がりのある取り組みを要望します。

中小零細企業支援として、ビジネスサポートセンターと企業支援サイトのさらなる充実をお願いするとともに、企業の求める人材と就労希望者の求める情報とを結びつける方策について、研究されるよう望みます。

被災地支援として東京都は福島県への応援ツアーを継続して実施しています。本区でも合わせて行ってきた「猪苗代四季の里」への区民宿泊費の助成制度の継続を要望致します。

教育費

平成25年度実施するハイパーQ-YOUで体罰の吸い上げの有効を確認しましたが、後手に回らないよう先手を打ち、効果ある対応を望みます。
昨年夏公明党区議団で申し入れをし、急遽実施した通学路総点検では対策を必要とする119ヶ所のうち63ヶ所の対策が終了した。残りの早期対応と合わせて形骸化している、スクールゾーンの安全対策を要望します。
セーフスクールの認証を受けた、朋有小学校の地域・PTAを巻き込んだ安全対策は大変重要な取り組みであった。この取り組みを地域の実情に合わせながら区内全校に行き渡るよう推進することを望みます。

教員の平均年齢が下がり若手教員が増えている、子どもにとり最大の)教育環境である教員の資質向上にむけた研修の充実を強く要望致します。また、秋田県能代市との教育連携の教員交流は、各世代の教員を相互に派遣しあい、実体験に基づいた教育力の向上に努めることを望みます。
図書購入予算が公明党区議団の強い要望で中学120万円、小学100万円に拡大したことは大いに評価できる。平成25年度から全校配置する学校図書館司書の配置によりさらなる蔵書の充実を望みます。
国の緊急経済対策として組まれた補正予算では、学校施設環境改善交付金が計上された。また合わせて事業の迅速かつ円滑な実施や地方公共団体の負担軽減のため「地域経済活性化・雇用創出臨時交付金(地域の元気臨時交付金)」が措置されました。本区では、施設改修については、トイレ改修、空調設備の改修、、グランド改修等約2億円の事業を前倒ししてできることになりました。トイレについては救援センターとしての機能や地域開放などを考慮して大人用の整備や、屋上へのヘリサイン等の整備なども早期に実現できるよう望みます。

豊島区教育ビジョンの「生きる力を醸成」することを質疑しましたが、職場体験、社会人講師、地域人材を一層活用し、こどもたちに「気づかせる」取り組みを要望します。更に、金融、消費、メディアリテラシー等現実社会の基本、実態を教える事が必要であり、知識を生かす智恵を養う取り組みを強く要望します。

歳入

税収構造については、23区でも、各区に開きがあるが、歳入との関連性について十分に研究されるよう望みます。更に、単身世帯やファミリー世帯の割合も歳入への影響をおよぼすことから、街づくりについては長い目で、住み続けられる定住化対策を推進し、豊島区全体の質を高める取り組みを望みます。

3特別会計では

認知症や単身の高齢者の増加が見込まれる中、成年後見制度は欠かすことのできない制度であることから、東京都に任せるだけでなく、本区としても区民後見人の育成に取り組むべきことを訴えました。また、制度を円滑に利用開始できるよう、任意後見制度の周知徹底についても取組みをお願い致します。

介護予防について、このままでは、要介護になってしまう3.200名のうち区の予防事業に参加している方は18%に留まっている。今後は介護予防の進捗状況がわかる指標や目標を設定し取り組むことを要望します。さらに 団塊の世代が後期高齢者になる2025年までに、今の高齢者を出来るだけ要介護にならない介護予防への普及啓発の取り組みを要望します。

さて、東日本大震災から2年の月日が経ちましたが、いまだに故郷へ帰れずに避難生活を余儀なくされている方が30万人を超えています。豊島区にも多くの方が将来に不安を抱きながら生活をされています。こうした被災された方々へ思いを寄せ、私ども公明党は生活者の目線にたった現場の声の届く、安全安心への一層の取り組みを推進していくことが最も大事な視点であると考えております。その上で、安定的な区財政運営に十分配慮しつつ、住んで良かった、住み続けたい街豊島区を構築すべく、不断の努力を重ねていくことを肝に銘じて、平成25年度豊島区予算に対し、可決すべきものと意見開陳いたします。

ご清聴、ありがとうございました。