2013・H25年6月25日第二回定例会 此島澄子一般質問
「豊島のいきいきまちづくり」をテーマに
1 木密地域不燃化10年プロジェクトについて
2 福祉のまちづくりについて
3 子育て支援について
4 発達障がいについて
5 街路灯・公共施設のLED化について
6 その他
6項目にわたり質問させていただきます。
はじめに、木密地域不燃化10年プロジェクトについてです。
この事業は、災害の発生を想定して、防災・減災のまちづくりを推進するための事前復興と言えるものですが、その先進事例としては、阪神淡路大震災の被災地の一角、神戸市長田区真野地区の取り組みがあります。
この地区では高度経済成長期に、住民が公害の原因である工場に移転を迫り、その跡地で公園・緑化運動を展開しました。その後、オイルショックで地区の産業が衰退し、インナーシティー問題や、高齢化問題が俎上にのぼり、今度はボランティアグループを組織して、福祉サービスにも取り組みました。さらに、「まちづくり推進会」を結成し、市と街づくり協定を結んで、地区計画という形で、木造老朽家屋の建て替えや人口呼び戻しのための住宅建設など、修復型の街づくりを進めてきました。
そして、阪神淡路大震災に直面することになりますが、こうした地道な街づくり活動の蓄積が結果的に被害を軽減することにつながりました。
木造老朽家屋が共同化住宅等に更新されていたため、倒壊による圧死者は出ず、火災も地元企業の協力で初期消火に成功したということです。
さて今回の「木密地域不燃化10年プロジェクト」における特定整備路線は、都市計画で決められていたとは言え、住民にとっては、降ってわいたような事業であり、本区においてもこの対象地域の地権者や事業者、居住者の方々は、宅地の細分化や相続問題、また権利関係に纏わるものや高齢化による建替えへの不安など、さまざまな課題を抱える事となり、いずれもここ数年のうちに、その決断を迫られることは周知の通りであります。
しかし、地権者や住人の方々にとって、このピンチとも言える事態を前向きにとらえ、結果として「このプロジェクトのお陰で、以前よりすばらしい環境に改善した」と言ってもらえる結果を出さなければなりません。そこで、提案を含め質問いたします。
はじめに、今回の対象地域にある地権者の皆様には、事前相談会が持たれましたが、どのような状況だったのかお伺いします。
私の地域にも対象となる個所が3路線ありますが、商店街そのものが崩壊危機にある箇所につきましては、地元住民にとっても不便な地域になるのでは・・・との心配があります。そこで、東池袋4・5丁目の不燃化特区支援策に、まちづくりコンサルタント派遣があるように、商売をしたい方々が引き続き可能となる確保策として、特定整備路線の周辺の地権者にも呼びかけながら、建て替え住宅の1階に店舗を再生することが出来るようなまちづくりを提案してはどうかと考えますがいかがでしょうか。
また、商店街と地域の活性化に関する取り組みについては、住民の方々からアンケートなどもいただきながら、まちづくりの成功事例の情報提供をするなどして、商店の方々と共にまちづくりを考える機会を持ってはいかがでしょうか。
一方、政府の大胆な金融緩和策などにより、株価の上昇をはじめとする景気浮揚の“兆し”が見え始めています。デフレ脱却などが期待されるなか、「経済再生」に向け、次に取り組むべきことは、それらの効果を実体経済の改善につなげることです。そのためには、賃金上昇や雇用拡大などの成果が実感できるよう、各地域が行う地元の活性化策が重要な取り組みになるといえます。
中小企業庁の平成21年度調査によりますと、空き店舗率(空き店舗数を全店舗数で割った数値)は10,82%に達しており、増加傾向となっています。商店街の活性化は、地域経済の取り組みに不可欠であり、まちづくりの中心となる商店街や中心市街地の「空洞化」対策が急がれています。
こうした中で、空き店舗を活用した取り組みを進め、成功している地域が増えつつあります。
例えば、長野県下諏訪の御田町は、時計やオーダーメード・スピーカーなど「ものづくり」の技術を生かした取り組みを進めたことで、商店街の3分の1に達していた空き店舗をなくすことに成功しています。
また、熊本市の商店街も、周辺住民と実施したアンケート結果から、誰もが気軽に立ち寄れる地域の交流拠点「生き活きカフェ」がオープンし、半年足らずで、来店者が10万人を超え、ここが空き店舗だったとはとうてい思えない状態になったとのことです。
ほかにも、ボランティア団体などによる高齢者の憩いの場「コミュニティカフェ」や子育て支援など、地域が抱える課題解決へ向けた取り組みで、商店街に活気を取り戻した事例が増えています。
今回、本区における多くの木密プロジェクトで商店街の今後が心配されておりますが、このような機会こそ、みんなでまちづくりが考えられる絶好のチャンスでもあり、行政としては役に立つ情報をおおいに提供すべきだと考えますがいかがでしょうか。区のお考えを伺います。
2点目に、賃貸借契約のもとに住み続けておられる住人の方々の心配も絶えません。特定整備路線の周辺にあたるため、転居しなければならない方々への支援策として公営住宅の斡旋がありますが、公共賃貸住宅が23区の中でも6番目に少ない本区では、希望する場所への移転は厳しい環境にあります。特に高齢者の方々にとって住み慣れた地域を離れることは、出来ればしたくないというのが大方の皆様の真意ではないかと考えます。そこで、そのような状況を打開する手立てを思案してみました。
現在、国も東京都も、高齢者が医療や介護等が必要になっても、安心して住み慣れた地域で住み続けることができるよう「サービス付き高齢者向け住宅整備事業」を打ち出しております。そして東京都は、医療・介護・住宅の三者が相互に連携し、各サービスを効果的に提供する方策や体制の整っているサービス付き高齢者向け住宅を選定すると共に、併設する医療・介護サービス事業所等の整備費の補助を行っています。東京都は平成26年度までにこうしたケア付きすまいを6,000戸整備するとしていた目標を10,000戸に引き上げるなど、整備の促進を図っています。
平成23年10月の高齢者住まい法の改正以降、国や東京都において、施設の整備費や入居者の家賃に対する補助制度が整いつつありますが、本区におけるサービス付き高齢者向け住宅の整備については、未だ具体策が打ち出されておりません。そこで、今回の不燃化10年プロジェクトに合わせ、従前居住者、とりわけ立ち退きを余儀なくされた高齢者の次の住まいに資するサービス付き高齢者向け住宅の供給について、事業者の参入意欲を促進する方策を検討していただきたいと思います。
その際、1階には、商店や医療関係事業所や介護事業所やコンビニ等があり、その上にケア付き高齢者住宅という形で整備出来れば、商店街振興と高齢者の生活の安心が確保されると考えます。高齢者が他区などから流入すると介護保険料の値上げにつながるとの意見も耳にしますが、そこは家賃設定と区内転居者への優遇措置などを組み合わせることで、区内における住み替え促進を図ることにより、高齢で住宅確保に悩んでいる方に安心していただけると思いますが、区のお考えをお聞かせください。
いずれにしましても、木密地域不燃化10年プロジェクトは、みんなが喜ぶ創造的な事前復興がされるよう、親切にして丁寧な対応を要望し、この質問を終わります。
2項目目に福祉コミュニティの形成と「新たな支え合い」の基盤づくりについて伺います。
今年、創立60周年を迎えた豊島区社会福祉協議会が法人名を「豊島区民社会福祉協議会」と改め、区民により近い存在として新たなスタートをきったことは、大変重要なことと受け止めております。日本社会は変化をしてきています。企業の終身雇用が崩れることによって、職場の人間関係も薄くなってきているようです。また、一つの地域でずっと暮らし続けるという人が減少傾向にあり、いわゆる「絆」が急激に弱くなりつつあることから、生活環境の中で、縁を作ることができている人と、できない人との格差が広がっているという現実があります。
その中で、人を孤立させない、地域全体で共に支えあうネットワークづくり、区民ひとり一人が豊かな気持ちで安心して暮らすことができる地域社会をどうしたら作ることができるのかを考えて、質問させていただきます。
先ずはじめは、「福祉増進都市づくり」についてであります。
福祉と一言で言ってもさまざまありますが、本区で今年度も実施されております「住み慣れた地域で心豊かに暮らせる福祉増進都市」は、24時間365日、みんなが安全・安心に暮らせる地域づくりに取り組むことを目的にしております。
そこで、「福祉増進都市づくり」について、どのような理念で進めようとお考えなのか伺います。
区は、高齢者総合相談センターに配置された見守り支援事業担当職員によるアウトリーチやCSWの活動、スクールソーシャルワーカーや見守りと支え合いネットワーク事業と、あの手・此の手で活動を開始されておられますが、この福祉コミュニティの形成については、区民の皆様に広く理解していただくことが大切だと考えます。一方では、今年、一斉改選を迎える民生・児童委員についても、なかなか候補者を見出すことが難しい地域も多いと耳にします。地域の中に、福祉への関心の高い方は少なくないと思いますが、その方々のすそ野を更に広げていく取り組みが求められていると思います。
それぞれの事業に取り組む方々が、必死で取り組まれても、その方々を核として広がりを見せ、区民の意識を盛り上げていかないと一部の頑張りで過ぎていきます。それをどのように進めていかれるのかお考えを伺います。
福祉の町づくり・・と言ってもここで言うそれは、「恵まれない人たちのためのサービス活動」というものでなく、住民一人ひとりが「もっと豊かに」生きていくための取り組みであり、また広くは区全体が豊かになるための活動なのだという点を少しでも理解していただく必要があると考えます。
住民総参加の福祉、例えば介護度5のねたきりの高齢者の方も全員参加型の福祉の町づくりにはなくてはならない存在となります。ではどのように寝たきりの方が参加するのかと言えば、ヘルパーの皆様から良く聞くお話ですが、「高齢者の方を介護していると、自分の人生どうあるべきか・・ということをつくづく考えさせられる」と言います。これまでも見て参りましたが、子ども達も大人も、その方々と接することによって、不自由な状況にある方の困難さ、人の強さ・弱さ、またやさしさ・いたわりなど、いろんなことを教えてくれます。この様に、誰もが必要とされ、助け合いながら、お互い様の気持ちで接していく生活の中に、人は豊かさを感じるのが福祉の町づくりだと思います。そのことを今後、急激な高齢化が進むときにあって、出来るだけ早く手掛ける必要があると考えます。そのためのアクションとして、例えば「福祉のまちづくり大学」と銘打って、区民ひろばのような身近な場所で、楽しく受けられる出前講座を開かれてはいかがでしょうか。現在、区と区内大学との協定を踏まえて開催される「コミュニティ大学」の中でも、超高齢社会の中、介護を要する親世代と介護する子世代の第2の人生における親子の関係づくりについて学ぶ講座が実施されておりますが、すそ野を広げ、身近な場所で開催される機会など活用して、福祉のまちの考え方をPRしたり、現在実施されているさまざまな事業や、いつまでもいきいき生活するにはどうしたら良いかや、区民ひとり一人が豊かな気持ちで安心して暮らすことができる地域社会をつくるにはどうしたら良いかの講座など、身近な所でより多くの方々にご案内していく中に、よりいっそう、区民の皆様の意識改革がなされ、それぞれの存在感が大事にされ、豊かな気持ちになっていただくことが出来るものと考えます。高齢者クラブ連合会の皆様にもご協力いただきながら、人生を豊かな気持ちで、価値的に生きるためのきっかけづくりを提供してはいかがでしょうか。
2点目に、豊島区の高齢者福祉事業のPRについてです。
例えば、高齢者向けのさまざまな事業が展開されております。しかし、せっかく用意されているサービスもその概要を知る方は意外に少ないのが現状です。いろんなパンフレットが作成され、周知に努力されておられますが、口伝えに聞いたことは毛穴から入ると言われますように、おしゃべりの材料として伝染していくものと考えます。そこで、シニアの皆様に、自ら高齢者向けの事業やサービス、さらに知っとく情報をPRしていただくボランティアを「知られ隊」などと命名して募り、区民ひろばなど、あちこちでPRしていただいてはいかがでしょうか。
以前、介護保険が導入された頃、女性の講談師の鶴瑛さんが介護をテーマに語って戴きましたが、大変ユニークなお話の中で介護に対する話題と理解が始まっていきました。そして、聞いた方がまた他の方に話すという形で、人伝にどんどん伝染していき、他地域の方々からもお問い合わせがありました。この様に、人から人へと伝える中で、人と人とのつながり、ネットワークは出来ていくものと考えます。区のお考えを伺います。
3点目に、区のホームページのツールについての要望です。
地域活動への参加のきっかけを探す入り口として、ホームページのツールは大きな役割を果たしますが、「地域活動・コミュニティから情報が得づらい。」という声を聞きます。確かに区民ひろばは、参加・協働にはなく、施設検索をしないと出て来ませんし、また一番身近な存在である町会は任意団体ということもあってか連絡をする手立てさえありません。他の自治体のページを見ますと、地域活動とか福祉のまちづくりという区民の参加を促すような積極的なサイトがあったり、町会参加もし易いよう町会長の連絡先まで明記している所もあったり、問い合わせがメールで出来るようになっていたり、地域デビュー応援講座など誰にも分かりやすい工夫がされている所が増えて来ました。
そこで本区におきましても、よりいっそうのご努力をお願いします。
4点目に、介護予防の観点から伺います。
区民の皆様から、「これ以上介護保険料や健康保険料が上がったら困る」と言われます。豊島区行政としても、保険者として、出来得る範囲の努力はしているものの、今後は高齢化の進展により、介護給付費はますます増え、今後も保険料の上昇は避けられません。
そこで、給付費抑制の一翼を担うことを目的として、質問と提案をいたします。
先ずはじめに、これまで取り組んできた介護予防事業が介護給付費の抑制にもたらした効果の検証が必要と考えますが、それに向けた現時点での取り組みについて、伺います。
地域社会への参加と貢献をあとおしするための「高齢者元気あとおし事業」についてですが、この事業は、介護支援ボランティアという内容で提案させていただき、スタートして6年目を迎えますが、本区におけるその活動拠点は、当初は特養ホームだけだったのが、今ではデイ・サービス拠点やグループホームにまで広がりをみせてきていることは評価しているところであります。そこで、元気あとおし会員の方の参加状況と皆様の声、さらに、その実態について伺います。
また今後、より多くの皆様に元気あとおし会員として参加していただけるよう、活動先として、他の事業にも拡充すべきだと考えます。
例えば、元気高齢者の活躍の場を拡大するため、区で実施している様々な介護予防に関する事業などに元気あとおし会員としてご参加いただき、その活動を元気あとおし事業のポイント対象としてはいかがでしょうか? 他自治体の状況を見ても、ボランティア活動に対するポイント付与も広がっているようです。
本区におきましても、あとおし会員がひろがるきっかけづくりとして、ぜひ積極的な拡充を要望いたします。
いずれにしましても、目の前の大介護時代は人間の命を支える総力戦が必要であり、そのキーワードは「地域」です。地域による支援は、無縁社会を有縁にする“希望の星”です。
地域のすべての人が安心して暮らせる町にするには、すべての人がまた、それぞれの立場でなんらかの形で福祉に関わってもらわなければならないと考えます。これまで質問してきたような、福祉への関心の高い人のすそ野を広げる取り組みや、介護予防の実践から得たノウハウなどを活用し、災害時はもちろん、普段から「新たな支えあいの絆」がしっかりとできる街づくりこそが、区長の目指している「セーフコミュニティ」なのではないでしょうか。
住民主体、住民総参加の福祉をめざすと口でいうことは簡単ですが、大変至難なことです。例えば、高齢者や障害者の方々を支えると一言で言っても、認知症・歩行困難・聴覚障害・視覚障害・脅迫観念など、抱えている症状などによって、対応も異なります。要援護者名簿の作成が出来たとしても、普段から顔を見ていなければ、いざという時に役にたたない事態になるものと考えます。
お互い様の精神で助け合える住民の資源性を掘り起こすことは至難なことですが、しかし、税金を高くするか、みんなで助け合うか・・しかありません。と共に、私は、「手を差し伸べることが、自分自身の幸せになる」ことを、一人一人の区民が実感できるようにすることが、この21世紀のあるべき姿だと信じております。
これまでの内容を総括する意味で、学生やNPO団体、企業、元気なシニア世代を新たな担い手として活躍できる場を創出し、それぞれの役割を明確に打ち出していくためにも地域支え合い推進条例の制定も視野に入れるべきと考えますが、いかがでしょうか。区長の力強い答弁を期待いたします。
3項目目として子育て支援について伺います。
更なる待機児童対策の推進についてです。
豊島区でも、平成25年4月入園の待機児童が急増しました。これまでも区は、保育計画を作成し、計画的に対策に取り組んで来られましたが、保育を必要としている児童が予想を超えて増えております。
そのため、私ども公明党は、本年3月13日、区長に8項目の「保育所待機児童解消策への緊急申し入れ」を行いました。
区は、この申し入れに即応し、「待機児童対策緊急プラン」を策定し、数値目標、達成年度を明示し、具体的な対策に取り組むことを表明しました。
このプランに掲げている個々の方策を是非、着実に進めてもらいたいと思います。
国や都も待機児童急増に対応するため、今年度に入って、待機児童対策に関する補助を強化する方針を示しています。
横浜市をはじめ他自治体においても、様々な対策に取り組んでおります。
昨年度末以来、杉並区や大田区などで、認可保育園に入れなかった児童の保護者が集団で異議申し立てがなされたことや、待機児童の捉え方が各自治体で異なっていること、更には、認可外の保育所にも入れない児童がいることなど、待機児童の問題に関して、報道されなかった日はなかったといっても過言ではありません。
このように、地域社会全体が待機児童問題に対し、最優先に解決する課題だとされている今、豊島区は、保育計画や待機児童対策緊急プランの着実な実行と共に、更に踏み込んで、待機児童対策に向き合う必要があると考えます。
そこで先ず、①証保育所の保育料負担の軽減について伺います。
区内にある認証保育所に通う本区の児童は、定員の7割程度と伺っています。本区でも認証保育所の整備・運営について補助金を出しておりますが、保育料が高すぎて、区からの助成を受けたとしても、通うことが困難であるとの声を複数聞いております。
そこで、現在行っている認証保育所の保育料の助成を拡充し、その利用率を上げることは、待機児童対策としても効果があると考えます。また、新たに施設整備を行う必要がないため、直ぐにでも実行が可能です。
今まで区は、認証保育所の保育料の助成の拡充に対し、必ずしも積極的ではありませんでしたが、他の対策に比べても、財政負担や対策の効果の点で有効であると考えます。区のお考えを伺います。
②点目に、認可外保育施設への助成について伺います。
予想を超える認可保育所の入園希望者の増加により、認証保育所や臨時保育所、保育ママでも入園することができない児童が、更に増えています。その数は、昨年度と比較して100名を超えると伺っています。これらの児童は、祖父母などや親戚に預けることができなければ、職場に連れて行くか、認可外保育施設で預かってもらうしか選択肢がありません。
認可外保育施設は、東京都のホームページで一覧を見ることが出来ますが、区内では24か所の届出があります。このうち、すくすくルームや臨時保育所など区が運営に関わっている施設を除く21か所が民間で運営されております。
しかし、民間の認可外保育施設は、基本的には補助金が入っていませんので、保育料も高額です。そのため、認可外保育施設にも入れない児童もおり、結果的に、仕事を辞めざるを得ない、就職できないと言った保護者もいます。
杉並区をはじめ複数の区では、民間の認可外保育施設に通う保護者に対して、その保育料の助成を行っています。認可外施設は、都や区の指導監督が十分行き届かず、児童福祉法の基準を満たさない劣悪な環境の施設も見受けられますが、中には、基準を満たし、堅実に運営している施設もあります。
こうした基準を満たしている民間の認可外保育施設の保育料について、一定程度助成することは、行き場のない待機児童に対する対策となると考えますが、区のお考えを伺います。
③点目に、保育コンシェルジェの導入について伺います。
横浜市では、平成23年度から待機児童対策として、保育を希望する保護者の方の相談にのって無料でアドバイスする「保育コンシェルジェ」を全国で初めて導入しました。
認可保育園以外の保育施設への選択の幅が広がっていますが、認可保育園入園の窓口は常に混んでおり、認可保育園以外の保育施設について、十分な説明を受ける時間的な余裕がないのが実情です。そのため保護者は、認可保育所以外の選択肢を検討しないまま、保育そのものを断念する場合もあります。保育園の入園手続きに来て、落胆した保護者からの相談を受けるケースも沢山あり、その中には、他の選択肢を丁寧に説明することで、解決することもあるのです。
本区におきましても、個別のニーズや状況に合った保育施設や保育サービスの情報提供を行う保育コンシャルジェを導入し、保護者に寄り添った丁寧な対応をするべきだと考えますが、区のお考えをお聞きします。
④点目に、待機児童対策専門組織の設置について伺います。
待機児童対策について、23区では品川、世田谷、板橋の3区が専属の課を組織している他、保育計画担当課を置く区も複数見受けられます。
本区では、子育て支援課と保育園課の2課が主に担当していますが、2課とも、待機児童対策以外に、公立保育園や子ども家庭支援センターの運営等、現状でも非常に業務量が多いセクションです。こうした日常業務に加え、待機児童対策を迅速確実に行うには限界があるのではないでしょうか。特に複数の小規模保育やグループ型保育ママの整備、臨時保育所、一時保育所の整備等は、整備する地域の近隣住民の理解協力を得る必要があり、それだけでも相当な仕事量だと考えます。
また、平成27年度には「子ども・子育て新制度」に移行するため、今から準備をしなければならない事や児童相談所の都から区への移管に向けた協議や公立保育園の民営化への準備など、同時並行して行わなければならない課題が山積しています。しかし待機児童対策は待ったなしであり、スピード感、着実性が求められます。本区におきましても、腰を据えた待機児童対策を行うために、時限的でも専門的な組織で対応する必要があると考えますがいかがでしょうか。
この項目の最後に、子育て支援情報の発信について伺います。
「豊島区子育てガイド」の改定につきましては、これまで担当職員が知恵を出し合い編集・構成が行われてきましたが、今年度から新たに民間活力を活用し、広告収入により編集から印刷費用を捻出する手法を導入されたと伺っております。
また、特に表紙のデザインにつきましては、区民からの投票で決定されたという事で、担当職員が自ら行革に努められ、区民にとって分かりやすい魅力あるガイドが作成される様になった事は、高く評価をしているところであります。
今後、新たに子育てガイドが完成するわけですが、現在スマートフォン等が普及する中で、外出先など、いつでも何処でも情報が閲覧できるよう、データを電子ブックにされるよう提案致しますが、いかがでしょうか。
また、膨大な子育て支援情報を、どのように分かりやすく区民に提供するかも、常に取り組まなければならない課題です。今後の情報発信のあり方について伺います。
4項目目として、発達障がいについて伺います。
発達障がい者支援法が施行されて8年が経過しました。私どもは、かねてから発達障がい児者がライフステージを通して一貫した支援が必要なことや、医療・保健・教育・福祉・労働など様々な関係機関が協力して地域で支援していく必要性を主張してきました。今や10人に1人が発達障がいの可能性があると言われる時代に、自治体として更なる取り組みを期待して何点かに絞り、質問します。
最初に、発達障がい児の保護者から強い要望のある、医療・保健・教育・福祉の総合的な相談機能の充実について伺います。ある保護者から特別な支援を必要とする子ども達を、ぜひ乳幼児健診等で早期発見し、家族への的確なアドバイスと、発達支援センターや病院、医療機関などへ繋ぐワンストップ相談窓口、子どもにあったコーディネートができる体制を身近に構築してほしいとの要望がありました。自力で各相談機関を個別に探し回ることで、精神的にも肉体的にも、経済的にも疲れ果ててしまうという切実な声でした。医療・保健・教育・福祉の身近な相談機能の充実とコーディネート体制についての現状認識と今後の取り組みをお聞かせください。
次に、ご家族の不安感、孤立感解消のため「ペアレント・トレーニング」「ペアレント・メンター(保護者による支援)」が法律の改正により益々重要とされています。子どもの将来に不安をもつ保護者への負担軽減を地域と関係者が協力しながら、取り組む必要があると考えます。ご家族の負担軽減のための「ペアレント・トレーニング」の現状と今後の事業展開についてお聞かせください。ぜひ、積極的な取り組みを望みます。
次に、特別に支援が必要な子どもには、早期の療育が大変重要ですが、現在、増え続ける発達障がい児に対して、療育の現場では常に満杯で、ともすると1年~2年も待機している方もおられます。切実な療育の待機児童解消に積極的に取り組む必要があると考えますが、区の認識と今後の対策についてお示しください。
続いて、発達障がい児への支援のうち、携わる教員・支援員、学校関係者のスキルアップについて伺います。今年入学した特別な支援を要する児童の保護者から、教員や支援員が発達障がいなど専門知識について本当に理解しているのか不安だとの声を伺いました。先生方は発達障がいも含め、様々な分野での研修や、勉強会等で教師力を磨かれているご努力は評価するところですが、そのような教員、学校側の努力が保護者に伝わっておらず、情報不足故のトラブルも散見されます。そこで、発達障がいなど専門知識についての研修会等の今後の方向性と、更には、人間力を磨く教師力育成の取り組みを伺います。
学校と家庭の相互理解により、子どもにとって最良の教育環境をつくっていただきたいと強く要望いたします。
次に発達障がい児の保護者から、一般の保護者の無理解な言葉でしばしば悩まされるとの声を伺いました。悪気は無いものの、知識がないゆえに、保護者同士の関係もぎくしゃくしてしまいます。学校現場では既に「発達障害」理解のパンフレットを配布されていることは承知していますが、一層の周知、努力を望み、教育委員会のお考えを伺います。他自治体の周知方法も参考にされて、意識啓発の質、量ともに充実をはかり、発達障がいの方への支援の輪が広がる環境つくりを要望いたします。
最後に、区立小・中学校で開始された特別支援教育では関係者が様々な努力をされていますが、残念ながら、「幼児教育の特別支援のあり方」については、明確に示されておりません。私立幼稚園に入園しても、園から退園を言い渡され、区立幼稚園で受け入れられた保護者からは、感謝の声を頂いています。私立では、なかなか受け入れが困難な発達に障がいを抱えた幼児については、区立幼稚園がまさに最後の砦となっているのが実状です。本区の区立幼稚園では、障がい児の受け入れ枠を定めず対応している事は、大いに評価するところでありますが、教員・支援員の配置や教育プログラム等の体制が十分に整っておらず、特別支援教育の理念からかけ離れた対応となっており、整備を望む声を戴いております。此の対応には、明らかに人と予算がかかることが予想されることから、保護者からはなかなか言えずに悶々としている方もおられます。
公明党豊島区議団は区立幼稚園の参観日の視察を行い、この事については重く受け止め、今後も引き続き注視して参りますが、区立幼稚園こそ幼児の特別支援教育のモデルとなる事が求められます。人と予算の配分も含めた今後の取り組みについて、本区のお考えをお示し下さい。
いずれにしても、発達障がい児のご家族が将来に亘って、安心してこの豊島区で暮らしていける環境整備を強く要望いたします。
5項目目として、街路灯および公共施設のLED化について質問いたします。
今年もまた、省エネを強く意識しなければならない時期がやって来ました。
節電の具体的目標数値は示されていないものの、原子力発電所の稼働停止に伴い、全国的に電力事情は依然として厳しい状況におかれています。
地球温暖化の防止、さらに行政コストの削減を図るため、民間資金を活用したリース方式によって防犯等や公共施設へのLED照明導入を進める自治体が増えております。リース方式にすれば初期費用が抑制され、財政負担が軽減されます。さらに、導入後の電力消費量も抑えられ、節電とコストダウンを同時に実現できることが期待されます。
そこで、本区における公共施設のLED化について、また街路灯のLED化について、その総数と進捗状況について伺います。また、新庁舎は環境に配慮された庁舎ということから当然配備されるものと考えますが、合わせて伺います。
このリース方式によるLED化については、その事例として茨城県取手市の取り組みがあります。取手市では、市内の防犯灯約9,700本をリース計画によるLED照明に替えることを決定し、5ヵ月間をかけて切り替えを実施しました。その削減効果は、電気料金の削減額が1,163万8千円。球切れや故障などの修繕料はゼロとなり削減額は1,500万円。防犯灯の業務を行っていた職員の人件費削減額が678万4千円。これに対しLED防犯灯のリース使用料が年額1,445万6,610円であり、差し引き年額1,896万5,390円の削減となります。10年間のリース契約であることから10年間では約1億8,900万円の経費を削減でき、予算を有効に他の事業費に充当することができます。
地方都市では、大阪市・取手市・横浜市が進んでおりますが、都内では葛飾区が今年度から導入の運びです。葛飾区も本区同様、少しずつLEDへの切り替えを始められていたところですが、今回、25,000灯のうち14,000灯のリースによるLED化を進めており、その維持管理を含め、工事を担当するのは区内業者に委託されるとのことです。また10年の契約終了後は、区に無償譲渡されます。明るさにつきましては、基本的に道路幅8m以内の生活道路は、3ルクス。8m以上の道路では、7.5ルクスですが、現在日進月歩で改善されているようです。
まず自治体から省エネ対策に取り組む必要があり、本区におきましても積極的に活用してはと考えますが、区長のお考えを伺います。
その他として、あらゆる職員が意欲的に働ける環境をめざし質問いたします。
豊島区行政を担う職員は、正規職員・非常勤職員・再任用職員・パート・アルバイト・人材派遣職員と、さまざまな身分や雇用関係の異なる勤務形態の方々が一緒になって、多様な働き方をされる状況になって参りました。
その結果、職場における仕事や人間関係の悩みを抱えながらも、どこにも解決の目途が見いだせずに悩む方が少なくないように感じます。
現在区では、職場におけるハラスメントの防止対策がとられ、研修の充実と共に、相談・苦情窓口や、メールボックスのほか、月1回の昼休み相談窓口も開設されております。そこで、その相談件数と、職種・職層も含め、実態を伺います。
最近は、一般企業でも、こうした相談室が設けられております。
職場の上司も現場の社員が何を考えているのか、その心情が理解出来なかったり、部下は部下で、相談室に行こうとしても、ともすると噂話が出回る中で「秘密厳守」がされるかが心配で相談出来ない・・と言ったケースも多いと聞きます。
そこで、いきいきと働ける職場環境改善にむけて、最低、年に一度の職場アンケート調査の実施を提案いたします。そこで、職員がどのようなことを感じ、何を考えているのかを知っていくことが大事だと考えます。
職場内の人間関係は、同じ『部』・『課』と言っても、様々な職種・職層の人たちがいるため、上に立つ人は、働く職員の思いを知り、何をしていかなくてはいけないのか考えてほしい・・との声が少なくありません。
区では、これからの豊島区を担う職員像として、「地域愛と区政を担う高い使命感に満ちた公務のプロ」をめざし、「区民の視点」で考え、常に区民サービスの向上を目指しながら効果的・効率的に施策を実行していく職員を育成する・・との方針がしめされておりますが、区民の目から見れば、正規職員もパートもなく、みな同じ区の職員と見られております。区民にとって良い仕事をしてもらうためには、職員が元気で前向きに働ける状態であることが大切です。
豊島区では、学校教育の中で、子ども達の環境改善のために、ハイパーQUが活用されておりますが、職員にとりましても、あらゆる職場ではたらく方がいきいきと働けるよう、アンケートで、職場の環境改善に取り組まれることを要望いたします。
以上で、質問の全部を終わります。
高野区長及び理事者答弁
ただいまの此島澄子議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。
木密地域不燃化10年プロジェクトについてのご質問のうち、まず、事前相談会の実施状況についてのご質問にお答えいたします。
特定整備路線に関する事前相談会は、道路の計画線に含まれる土地所有者や建物所有者から、個別の相談を受け、地権者の不安を少しでも解消するために、東京都と区の職員も参加し、都区連携で開催したものです。会は、地域ごとに、12日間開催し、大変高い関心が示されており、通知を出した方々の4割に当たる約700組の地権者が参加しました。
相談会には、区の職員も出席し、沿道まちづくりにもお答えできる体制で臨みましたが、主な意見としては、事業に関するきめ細やかな情報提供を望むものや、転出先の確保などの補償に関することなど、おおむね事業の早期着手を望むご意見が多くよせられ、特定整備路線に対する積極的な権利者のご意向を感じることができました。
次に、店舗再生ができるまちづくりについてのご質問にお答えいたします。
特定整備路線により商店街が立ち退きを余儀なくされる状況は、長崎地区の補助172号線など他の路線でも発生いたしますので、沿道まちづくりを担当する区が、積極的に課題の解決に当たらなければならないと考えております。
そのためには、都市計画的な制度のほかに、ご提案の不燃化特区を活用した、商店街への専門家の派遣など、更には財政面での裏付けも重要となります。
また何よりも、建替え時の一階部分への店舗誘導や近隣の空き店舗をどのように活用するかなど、情報を集め、地域の課題を整理し、解決に向けて知恵を絞ることが大変重要であります。
現在、「不燃化特区」の本格実施が募集されていますので、ご指摘の商店街の再生についても、この中のメニューを活用して、積極的に対応してまいります。
次に、まちづくりの成功事例を活用した検討についてのご質問にお答えいたします。
商店街の活性化については、これまで、道路のカラー塗装化や装飾街路灯の設置などとともに、イベント開催に対する助成など、ハード・ソフトの支援を行ってまいりました。
しかしながら、大手スーパーやコンビニで買い物をする顧客の生活スタイルの変化などにより、商店街の活力は回復の傾向に進めていくことは困難な状況にあります。
ご指摘のように、全国各地で、こうした課題への対応が試行されているものと認識しておりますが、是非とも特定整備路線を一つの契機ととらえ、少しでも商店街活性化に向けて、新たな取組みにもチャレンジしたいと考えております。
具体的には、今後の地元懇談会の中で検討してまいりますが、建物の共同化による店舗の集約や東長崎駅からの賑わいの連続性の創出など、重要なテーマについて、先進事例をもとに商店会の皆さんと意見を交換するなど、十分に検討を深め、地域の活性化につなげていきたいと考えています。
次に、サービス付き高齢者向け住宅の供給における事業者参入促進策についてのご質問にお答えします。
高齢者が可能な限り自立し、暮らしていくことのできる 機能やサービスを備えたケア付き住まいの需要がますます 高まっていることを受け、国及び東京都では、生活相談や 介護・医療のサービスが付いた高齢者向け住宅の供給促進を進めています。
都内におけるサービス付き高齢者向け住宅については、東京都が今月5日に、ケア付きすまいの補助制度に係る事務手続きの要綱を定めて公表しました。
その内容ですが、都費の充当額を引き上げることで、地元区市町村の取り組み促進を図る「近隣居住推進型」住宅と医療・介護との連携を確保した「医療・介護サービス確保型」住宅の2つの補助制度が用意されています。
区においてもこうした状況を踏まえ、事業実施に向けた 制度設計を進めています。
現在、木密地域の改善策として耐震対策や老朽家屋などの適正管理といった独自の対策を行っている区もありますが、本区においては、木密不燃化10年プロジェクトとサービス 付き高齢者向け住宅の事業連携を念頭に置いた供給誘導策を検討しています。
具体的には、本プロジェクトによって立ち退きを余儀なくされた高齢者を優先的に入居させる事業者には、区の判断に基づき、住宅建設にかかる都補助金を引き上げるといった 手法の適用を進めます。
こうした取り組みにより、事業者参入の促進を図るとともに、従前(じゅうぜん)居住者、とりわけ高齢者の次の住まいを確保できるよう区として主体的に取り組んでいきます。
次に、福祉コミュニティの形成と「新たな支え合い」の基盤づくりについてのご質問のうち、まず「福祉増進都市づくりの理念」についてのご質問にお答えいたします。
区の人口が27万人を超えて、今後も増加が見込まれる中、本区が、住んで良かった、これからも住み続けたい、働きたいと区民の皆さんに感じてもらえる街であり続けるためには、何よりも本区が「住み慣れた地域で心豊かに暮らせる」街であることを実感として持ってもらえる制度や仕組みを構築し、そしてサービスの提供を行うことが大変に重要なことであると認識しております。
私は、「福祉増進都市づくり」を進めるために必要な理念とは、こうした認識・意識内容を継続的に持ち続けることが、不可欠だと思っておりまして、今後もこうした姿勢で区民福祉の向上に取り組んでまいります。とりわけ日本の社会変化や高齢化が進み、「コミュニティ全般」を考える際に大変重要な、「支える・支えられる」、この支えあいの仕組みについて考えていくことが、これからの豊島区の「福祉増進都市づくり」の中心となり得るものではないかと考えておりますが、ご質問の方向性と同様・同質のものと考えております。
次に、「福祉のまちづくり大学」と銘打った出前講座などの開催についてのご質問にお答えいたします。
人が豊かさを感じる街づくりには、ご指摘のように高齢者や介護者そして広く区民の皆様が魅力を感じる内容で、出前講座を行うことは、今後一層、力を入れていきたい分野の一つですので、ぜひ積極的に取り組んでまいりたいと考えます。
また、講師には大学の先生のほか、高齢者クラブ連合会の皆様には、人生の先輩だからこそ伝えられる気づきも多々あると思いますので、アドバイスをいただいたり、講師を引き受けていただけるよう大いに期待しております。
なるべく一方通行にならず、講座の場がお互いの何かの気づきのチャンスになり、また楽しめる学びの場、生きがいの場となるよう、ご提案の趣旨を十分に踏まえ、さまざまな場面を活用できるよう知恵を絞ってまいります。
次に、高齢者福祉事業のPRについてのご質問にお答えいたします。
ご指摘のとおり、人から人への口(くち)伝(づた)えによるPRは、単に情報を伝達するだけではなく、人と接することが地域のコミュニ ケーションを活性化させ、「地域力」の向上にもつながることに成りますので、大事にすべきPR手段だと考えます。
しかし、口伝えの途中で、情報が間違った情報に変質し、正確性が担保されないなどのマイナス面もあります。
したがって、これまで行ってまいりましたパンフレットの作成、様々な広報媒体による広報、周知活動を中心にしつつ、どのような工夫をすれば、口伝えによる福祉事業のPRが、効果を表すのか、この際、検討してまいりたいと考えます。
次に、区のホームページツールに関するご要望についてお答えいたします。
地域活動に参加したい方々にとっての区のホームページからの情報につきましては、所管ごとに分散されており、ホームページの「地域活動・コミュニティ」のジャンルからでは、総合的な情報が得られない現状にあることはご指摘のとおりであると思います。
これは、区民向けの情報が各課ごとに分散されていることによるからでありますが、特に、区民ひろばにつきましては、セーフコミュニティの地域の拠点、さらにコミュニティを基盤とする活動の拠点として明確に位置づけたことを踏まえますと、情報分類の見直しや、アクセス向上のための工夫等、現在のシステムの中でできる改善について、早急に対応してまいりたいと考えます。
また、他の自治体の例のような、地域活動に関する外部サイトとの連結につきましても、課題の一つと考えておりますが、現在、区民の目線に立った新たな情報分類の再構築をめざしたホームページのリニューアルを予定しておりますので、その中で、ご要望の趣旨をできるかぎり反映していけるよう、努めてまいりたいと思います。
次に、介護予防事業における効果検証と、それに向けた現時点での取り組みについてのご質問にお答えいたします。
介護予防事業の効果の検証については、これまでも必要性を感じ、既に、65歳以上で要支援、要介護の認定を受けていない方々から、運動機能、栄養状態、物忘れ、うつなど7つの分野25項目の質問に回答をいただき、生活機能に関する調査を行っております。この調査結果に基づき、個々人(ここじん)の状況に合わせた介護予防事業をご案内し、効果的な事業への参加を促して、その後に評価をするということを行っております。
介護予防教室に参加いただいた方については、教室参加開始時と終了時に、それぞれ生活機能の評価や主観的な健康感も評価対象項目としております。評価結果を概括(がいかつ)しますと、教室終了後、生活機能の評価が改善されている方が23%、維持されている方が64%で、全体として86%の方に、効果があったと認めても良いのではないかという結果になっています。また、主観的な健康感でも、良くなった方が25%、維持の方が46%で、全体として71%の方が良好な健康感を保っている と感じておられます。
こうしたことから、介護予防事業参加者については、要介護状態になるリスクが軽減され、一定の効果が認められる結果となっておりますので、介護予防事業への参加者増に向けて、なお、一層の努力をいたしますとともに、継続的に評価を実施し、評価結果を蓄積することによって、適切かつ精緻(せいち)な効果検証ができるよう、更に研究を深めてまいります。
次に、高齢者元気あとおし事業の参加状況と会員の声などについてのご質問にお答えいたします。
元気あとおし事業の会員数は、現在、352名で、4年前の3倍となっており、年々増加傾向にあります。また、会員の平均 年齢は73歳ですが、60歳の方から、最高は90歳の方まで幅広い年齢層で参加していただいております。
また、会員の皆様からは、「地域の方とふれあい、多少とも地域貢献ができることや、ボランティア先の利用者に喜んでもらえたこと」、「外へ出かける機会が増えて、生活が充実してきた こと」など、参加してよかったとの声が、数多く寄せられております。
現在、既に28か所の活動先が、ポイント対象となっておりますが、25年度からは、新規事業であります高齢者総合相談センターで実施する「介護予防サロン」のサポーター活動も、活動先として拡大しております。
今後も、ボランティアをする方ご自身の介護予防と、お互いが支え合う地域社会づくりを目指して、福祉の分野に限らず元気な高齢者に、ご活躍いただく場の拡大を、積極的に 図ってまいりたいと思っております。
次に、「地域支えあい推進条例」の制定についてのご質問にお答えいたします。
私たちの暮らしの基盤を支える根幹は、「安全・安心」と「福祉の推進」であります。また、東日本大震災の教訓として私たちが学びましたのは、いざという時の支え合いには、普段からの声掛け等により顔なじみになっているか、コミュニティが醸成されているかなどのことがきわめて重要であるいうことであります。
他の自治体で既に「地域支えあい推進条例」を制定しているところがありますが、それを見ますと、本区で制定した「防災対策基本条例」における災害時要援護者に関する地域との情報共有や、地域での日ごろからの見守りを取り込んで構成しているようであります。こうした点については、既に本区は、災害時要援護者の名簿を、地域と共有し、普段からのコミュニティの支え合いを高めていこうとする、まさに新たなスタートを切ったところであります。
これまで地域支え合いの中核を担っていただいた町会などの地域団体に加えて、学生やNPO、企業、さらにはリタイア直後の元気なシニアを、こうした支えあいの輪の中に招き入れることがこれからの支え合いを考える場合には重要で、その場合の仕掛け作りが必要となると考えております。
また、常々、私は「手を差し伸べることが自分自身の幸せにつながる」と実感できる社会づくりを進める意義は大変に大きいと考えておりますので、この度のご質問を契機に、これまで答弁してまいりました総力を投じつつ、「防災対策基本条例」と「地域支えあい推進条例」にどのような支え合いを住み分けさせることが出来るのかなどを研究し、条例の可能性を検討してまいりたいと考えております。
なお、私からの答弁は以上でございますが、その他の質問については関係部長から、教育委員会の所管に属する事項につきましては、教育長から答弁申し上げます。
子育て支援についてのご質問のうち、まず、認証保育所の保育料負担軽減についてのご質問にお答えいたします。
ご質問の中にありました通り、区内認証保育所の区内在住児率は約7割です。言い換えると3割に当たる91名が区外在住児ということになります。
一方で、94名の区内在住児が、区外の認証保育所を利用している状況もあります。また、現在の区内の認証保育所の入所率は101.3%であり、空の無い状況です。
したがいまして、区内の認証保育所の区内在住児率が約7割に留まっている原因は、単に保育料が高額なためだけではなく、当該児童にとって通園しやすい場所に認証保育所が存在しないことなどの事情があると考えます。
ただし、ご指摘の通り、保育料が高額という理由で認証保育所に入所しない場合も一定数あるかと思いますので、認証保育所の保育料負担軽減事業を充実させることで、これまで認証保育所への入所をためらっていた世帯が入所するケースは増えると考えられます。
認証保育所保育料の補助の充実については、財政的な視点からも考えなければなりませんが、若干の拡充を検討してまいります。
次に、認可外保育施設への助成についてのご質問にお答えいたします。
子ども・子育て支援新制度では、小規模保育、家庭的保育、事業所内保育、居宅訪問型保育事業について、新たに地域型保育給付として認可事業とすることで、待機児童の解消を図ることとしています。
民間事業者の運営する認可外保育施設につきましては、地域型保育給付としての基準を満たさない施設は、新制度においても公的支援の対象となりません。
認可外保育施設は、基準を満たしている施設と満たしていない施設が混在しています。今は基準を満たしていても、将来も満たしているという保障はありません。待機児童のうち認可外保育施設を利用している児童が約20名にとどまるのは、保育料の差もありますが、こういった保育環境への懸念も大きいものと分析しています。
ご提案の認可外保育施設の保育料の助成につきましては、今後、認可外保育にヒアリングを行うとともに、他区の助成の状況や本区が現在取り組んでいる待機児童対策緊急プランの進捗状況を踏まえ、検討をしてまいります。
次に、保育コンシェルジュの導入についてのご質問にお答えいたします。
横浜市で導入している「保育コンシェルジュ」は、保育サービスに関する専門相談員として、保育を希望する保護者の相談に応じ、保育サービスについて情報提供を行っています。23区でも、今年度から杉並区が保育コンシェルジュを導入しています。
本区では、基本的な保育の案内につきましては、保育所の入園窓口で対応をしていますが、窓口が混雑していることや認可保育所以外の保育施設の情報が十分でないことなどから、必ずしも十分な案内ができているとは言えません。また、認可保育所の入園が保留となった保護者が他の保育施設を自分たちで探すことは困難な面もあります。
個々の家庭の状況に応じた保育サービスの情報提供が丁寧になされれば、保護者の負担感も軽減されるものと考えられますので、ご提案の保育コンシェルジュの導入につきましては、できるだけ早期に導入できるように検討をしてまいります。
次に、待機児童対策専門組織の設置についてのご質問にお答えいたします。
待機児童対策緊急プランを推進するために、今年度から、保育所課に常勤職員1名と人材派遣職員1名を、子育て支援課に人材派遣職員1名を配置しています。しかし、両課は日常の業務量も多く、充分でない部分もあります。
今後、待機児童対策について、スピード感を持って行うために、緊急的かつ時限的な組織の設置についても必要ではなかと考えています。
次に、子育てガイドの電子ブック化についてのご質問にお答えいたします。
子育て支援情報誌につきましては、昨年度までは職員が編集し、印刷を委託する方式で発行を続けていました。今年度からは、編集に係る職員の負担の軽減や印刷に係る経費の節減のために、民間事業者と協定を締結し、広告を掲載する方式で発行することとしました。6月末には、新しい子育て情報誌「豊島区子育て情報ハンドブック」をお届けする予定です。
ハンドブックを多くの子育て世帯にみていただくため、従来のブック方式と共にデジタル化して自由にダウンロードできることも有効であると考えています。
中でも、ご提案の「電子ブック」につきましては、本と同じような感覚でページをめくることができ、スマートホンが相当数普及している状況では、多くの子育て世代の皆様にも利用いただけるものと期待しております。7月中には、ハンドブックの電子ブック化を行い、区のホームページからダウンロードできるようにいたします。
また、その他の子育て情報つきましては、分かりやすい、見つけやすいといった観点から、情報を整理した上で、専用サイトやソーシャルメディア等を活用した情報発信の方法を検討してまいります。
次に、発達障がいについてのご質問のうち、まず、各相談機能の充実とコーディネート体制についての現状認識と今後の取り組みについてのご質問にお答えいたします。
発達障害児の相談窓口は、発育に関する相談窓口として、保健所、区立保育園、子どもスキップ、東西子ども家庭支援センター、小中学校などで実施しています。また、専門相談の窓口として、保健所、西部子ども家庭支援センター、教育センターで実施しています。このように本区では、児童の状況に応じた相談窓口を身近な施設で開設しています。
しかし、十分な周知がなされているとは言えないため、本年3月に「発達障害支援者ガイド」を作成し、これらの相談窓口を紹介して周知に努めています。
このうち、通所療育を行っている西部子ども家庭支援センターでは、子ども家庭支援ワーカーが関係機関との療育に関する連絡調整を行うとともに、他機関の案内をするなどのコーディネートの役割を担っています。
今後の対応強化につきましては、「発達障害支援者ガイド」の周知強化を図るとともに、更なる関係機関の連携強化に向けて検討してまいります。
次に、「ペアレント・トレーニング」の現状と今後の事業展開についてのご質問にお答えいたします。
ペアレント・トレーニングは、軽度の発達障害児の様々な対応を親が具体的に学習することで、より良い親子関係づくりと子どもの適応行動の増加を目指す「親訓練プログラム」で、平成21年度から西部子ども家庭支援センターで実施しています。
昨年度は、1クール全8回のプログラムに合計26人の保護者の参加をいただきました。今年度は、2クールのプログラムの実施を予定しております。
来年度以降につきましては、保護者のニーズに合わせて、複数個所での実施を検討してまいります。
次に、療育の待機児童解消についての区の認識と今後の対策についてのご質問にお答えいたします。
昨年度までは、区内で療育を実施している施設は西部子ども家庭支援センターの1個所のみでした。そのため、療育のグループによっては、待機していただくといったこともございました。
本年7月には池袋1丁目で株式会社が、10月には南大塚三丁目で社会福祉法人がそれぞれ新たな療育施設を開所する予定です。療育を必要としている児童にとっての選択肢が増えることとともに、待機する状況も解消してくるものと考えています。
今後は、この2つの施設と情報共有を行い、児童の状況にあった療育施設の紹介ができるようにしてまいります。
街路灯・公共施設のLED化についてのご質問のうち、まず公共施設のLED化についてのご質問にお答えいたします。
区では、施設の改築や改修時において、省エネルギーに資する設備を積極的に導入することを目的とする「としまカーボンマイナス施設づくりガイドライン」を定めており、廊下やトイレにはLEDのダウンライトを200か所以上すでに設置しております。
また、直管型の照明器具が設置されている廊下やトイレ以外の執務空間などには、高効率型蛍光灯を採用してきました。高効率型蛍光灯を採用したのは、LED照明での直管型は、規格が統一されてなかったこと、また、イニシャルコストの差が4倍以上も開いていたためです。しかし、今年4月、JISにより直管型LEDランプの基準が制定され、さらに、イニシャルコストの差がランニングコストの中で吸収できる程度に縮小したため、今後は執務空間などでもLED化を進めていきたいと考えています。
次に、街路灯のLED化とその総数と進捗状況についてのご質問にお答えいたします。
副都心地域を抱える本区の街路灯には強い明るさが求められる地域もあることから、街路灯総数13,300基の内、実に96パーセント、12,780基が水銀灯や省エネ型の照度の高い街路灯となっています。
街路灯のLED化を考える場合、LEDの光は広がりにくく、水銀灯100ワット以上の街路灯の代替となりうる、強い明るさを持ったLED街路灯の実用化はまだこれからであること、また、LED化は単にランプを交換すればいいというものではなく、街路灯全体を交換する必要があることから、初期投資が莫大にならざるを得ず、長期の費用対効果は見込めるものの、財政状況を考えると一気に交換することは大変難しいと考えております。
一方、区では平成17年度より省エネへの取り組みを積極的に進め、LEDと同等の省エネ性能を持ち100ワットの水銀灯以上の強い明るさを持つ「エバーライト」への転換を行っております。毎年約250基程度を建て替え、現在までに2,000基を交換し、年間約800万円の電気料金の削減効果がありました。
初期費用の低減や電気料金の上昇により費用対効果が向上したことにより、中野区などで歩道に使用する水銀灯80ワット相当の明るさのLED街路灯の導入に踏み切った自治体も見られますので、区でも80ワット水銀灯の代替を検証するため、一昨年、補助173号線予定地に製造メーカーが異なるLED街路灯5基を設置し、光の届き具合や見え方の比較試験を行っており、今後、最も具合がよい機種の採用を検討したいと考えています。
次に、リース方式による街路灯のLED化についてのご質問にお答えいたします。
水銀灯80ワット以上の代替となるLEDのリース方式につきましては、まだ事例が大変少ない状況ですが、ご質問にございますような住宅地や郊外地に設置されている20ワット型蛍光灯タイプにつきましては、初期費用を低減できるリース方式の取組み事例が増え始めています。
このようなタイプの照明は、区の街路灯が520本、町会の防犯灯が約2,700本あります。これらにつきましては、各自治体でのリース方式での取り組みを参考に、省エネ対策に向けて積極的に取り組んでいきたいと考えております。
次に、新庁舎におけるLED配備についてのご質問にお答えいたします。
新庁舎は、本区の掲げる「環境都市づくり」を象徴する、「環境対策を先導する環境庁舎」をめざして、計画・設計しております。
照明のLED導入は、省エネルギー化に果たす役割も大きいことから、計画当初より検討してまいりましたが、オフィス空間などを含む、全面導入につきましては、大空間でのLED照明の性能の問題もあり、結論を先送りにしてまいりました。
しかし、先ほども述べましたように、最近のLED照明の性能や価格面での進歩は著しく、ようやく、オフィス空間への導入も目途が立つ状況になってまいりましたので、新庁舎におきましては、特殊な場所を除き、全面LED照明を導入することといたしました。
なお、試算によりますと、当初計画した照明器具より、約8千万円の設置費が増加いたしますが、電気代などのランニングコストは、年間約1千万円削減されることから、8年を過ぎれば経費的にも割安になります。また、CO(シーオー)2(ツー)の発生量は年間約220トンも削減いたします。
今後とも、地球環境に配慮した先進的な環境庁舎をめざして積極的に取り組んでまいります。
最後に、あらゆる職員が意欲的に働ける環境についてのご質問のうち、まず、相談・苦情窓口における相談件数と実態についてのご質問にお答えいたします。
現在本区では、職場におけるハラスメントの防止対策として、ハラスメント相談員が書面・口頭・電子メールにて常時相談を受けているほか、防止のための研修を実施するとともに、4月及び10月に相談事業の全庁的な周知をしております。
また、特別区職員互助組合では、「心の健康相談」などの専門相談だけでなく、どんな悩みについても面談または電話でお受けする「一般相談」を行っております。
平成24年度の本区のセクハラ・パワハラ相談の件数は16件、相談者数は23人でした。職種・職層は様々で、非常勤職員・臨時職員の方も若干名含まれておりますし、職層も管理職から主事まで幅広く及んでおります。このうち、「ハラスメント防止対策委員会」への苦情申出にまで至ったものは1件のみで、残りは全て相談をする中で解決または継続して相談を受けている状況です。
次に、職場アンケートの実施についてのご質問にお答えいたします。
まず、再任用職員も含め、一般職員につきましては、人材育成の機会として、年に2回の目標面接を実施しておりますので、職場の人間関係上に何らかの課題がある場合には、直接面談するその機会に、十分に話を聞きながら、解決に取り組んでいくということが基本であると考えております。
また、非常勤職員や臨時職員を新規に雇用する場合には、ハラスメント相談窓口についてのお知らせを渡すようにしており、年2回の周知の際にも、それらの方々も含めた周知を各課に依頼し、実際に相談もお受けしているところです。
さらに、第一回定例会の予算特別委員会でのご意見をふまえ、近々、子ども家庭部においてアンケートの実施を予定しておりますが、これは管理職の目が行き届きにくく、閉鎖的な空間になりがちな特殊性を勘案して、特に出先職場において非常勤職員や臨時職員も含め、働きやすい職場と感じられているかを把握することを目的としています。
今後は、相談窓口の全職員への周知をこれまで以上に徹底しつつ、近々実施される子ども家庭部でのアンケートの結果もふまえながら、特に、出先職場の非常勤職員や臨時職員の方々を中心に、アンケートの実施を含め、職場における仕事や人間関係の問題についての把握と課題解決の方策を検討してまいります。
いずれにいたしましても、これからも全ての職員がいきいきと働くことのできる環境整備に取り組んでいく所存です。
引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問に対しまして、お答え申し上げます。
発達障害についてのご質問のうち、まず、教員などの専門的な研修会等の今後の方向性についてのご質問にお答えいたします。
文部科学省は、発達障害のある幼児・児童・生徒の出現率について平成14年度6.3%から平成24年度6.5%と増加傾向にあると発表しました。こうした現状から、豊島区教育委員会では、発達障害に関する理解や実践的指導力を身に付けた教職員の役割が、極めて重要であると受け止め、各種専門的な研修を実施し、学校が抱える課題解決に寄与してきたところであります。
一方で、ご指摘のとおり、障害に対する認識や経験の不足から、障害に適切に向き合うことが十分でない教員の言動によって、保護者の不安を招いているという状況が、遺憾ながら散見されるところであります。
こうした実態を踏まえ、今後の研修の方向性として、発達障害のある児童・生徒への理解を深め、小さな変化にも機敏に対応して、個別支援計画に反映させたり、保護者や学級内での共通理解や協同行動ができるようにしたりと、心のひだに寄り添って指導できる教員を育成してまいります。知っていても実践出来なかったり、自分の経験値だけから一方的に判断したりすることのないよう、受容と共感の手法が基本姿勢として教員に定着するよう育成に努めてまいります。
次に、人間力を磨く教師力育成の取り組みについてのご質問にお答えいたします。
公立学校の教員である限り、研究と修養に努めることは、究極のリーガルマインドであります。とりわけ、教育が教員の人間的影響を強く受ける仕事であることから、人間としての人格、品格、度量といった人間力を身に付けるための修養は極めて重要であります。
教育委員会といたしましては、子どもの発達課題と発達の状況をしっかり見て取り、指導・対応できるような実践的指導力、子どもの意欲を喚起する助言、時には「言って 聞かせて させてみる」体験を重視して、子どもの成長に寄り添っていける教員の育成を推進してまいります。
子どもの成長には限りなく喜びと生きがいを感じられる教員であってほしいとの願いから、昨年度、「豊島教員ミニマム」を策定し、全校に周知徹底いたしました。私共は、「教育は教化にあらず感化なり。教育は為すことによって身につく。教育は人なり、チームプレーなり。」という三本柱を掲げ、人材育成に日々活用しているところであります。
一方、こうした学校の努力が保護者に十分伝わっていないとのご指摘でありますが、研修の成果は、子どもの成長の姿として現れることから、長い目で見ていく必要もあるでしょうし、また、私共も省みなければならない点もあるかと受け止めております。さらに、保護者会などにおいて、発達障害についての理解や協力が得られる関係づくりに努めてまいります。
次に、「発達障害」理解のための周知についてのご質問にお答えいたします。
わが子を愛し、将来を思う気持ちはすべての保護者に共通する願いであると受け止めております。しかしながら、発達障害への偏見や差別は残念ながら十分払拭されているとは言えない現状もあります。発達障害について、保護者相互に理解が進んでいる学校ほど、思いやりと優しさが児童・生徒の言動に溢れていると言われています。これからの共生社会にあって、障害への偏見を克服していくことは重要な人権尊重の教育課題と受け止めております。
共生社会の実現に向けて、障害のある無しにかかわらず、未来を担う子どもたちを育てる教員や保護者が、人間理解を深め、助け合い、相互に支え合う生き方、在り方を求めていくことが、発達障害への支援につながっていくものと確信いたします。
教育委員会では、障害者福祉課で発行した「発達障害の理解のために」の冊子の他に、豊島区立教育センターで小冊子「豊島区の特別支援教育」を、必要とする子どもの保護者向けに配布しております。7月には、特別支援教育の第一人者として、広く国内各地で活躍されているスーパーバイザーをお招きし、発達障害に関する一般区民向けの講演会を開催し、広く発達障害への理解を促進してまいります。
また、子ども家庭部や東京都教育相談センター、児童相談所などの関係機関との連携を図りながら、他自治体の実践例なども参考に、より効果的な周知方法について検討してまいります。
次に、区立幼稚園における特別支援教育の今後の取り組みについてのご質問にお答えいたします。
平成19年度より特別支援教育が制度化され、幼児期から障害に応じた個別の支援計画に基づく指導が重視されてまいりました。そのため、教育委員会では、平成22年度から道徳性育成事業を開始し、非常勤職員の配置や特別支援教育を踏まえた道徳性の育成に関する実践的研究を進めてまいりました。
しかしながら、4・5歳児は発達が未分化であり、障害について幼稚園と保護者間との共通理解が得にくいという状況があり、就園前相談が制度化されていなかったことから、幼稚園と保護者との連携をはじめ、十分なサポート体制が築けずにおりました。
幼稚園の就園相談につきましては、平成24年12月、教育委員会と子ども家庭部とが連携して、幼児期における特別支援教育に関する支援体制の充実に向けて協議、検討を進めてまいりました。
今後の取り組みといたしましては、既に今年の6月から教育センターにおいて「区立幼稚園における特別支援教育プロジェクトチーム」を設置し、ソーシャルスキルトレーニングなど、幼児教育相談事業を試行しているところでございますが、追って11月には、幼稚園就園相談委員会を設置してまいります。
また、現在、特別な支援が必要であると判断した園児に対しましては、3園で8名の臨時指導員を配置しております。特段の対応が必要だと判断される場合には、柔軟な人的配置につきましても検討してまいります。
さらに、幼児期における特別支援教育のあり方につきましては、公立私立の幼稚園や保育園の受け皿も含めて、その在り方など課題も多岐にわたることから、関係各課と緊密な連携を図り、今後のあるべき姿と具体的な対応策について協議し、一層の充実を図ってまいります。
以上をもちまして、此島澄子議員のご質問に対する答弁を終わります。