令和6年度決算 意見開陳

令和7(2025)年10月22日

根岸 光洋

公明党の根岸光洋でございます。
私は、公明党豊島区議団を代表いたしまして、令和6年度一般会計決算並びに国民健康保険事業会計、後期高齢者医療事業会計、介護保険事業会計の3特別会計決算を認定することに賛成する立場から意見開陳をいたします。
初めに、円滑、公平な運営に努められました星京子委員長並びに西山陽介副委員長の労に感謝を申し上げます。
また、理事者の皆様には、資料要求を初め、事前調査に快く応じていただき、また、私どもの質問に対し、意を酌まれ、丁寧にご答弁をいただきましたことに心から御礼を申し上げます。
さて、令和6年度決算審査に当たり、私ども公明党は、物価高騰が続き区民の暮らし、生命を守る為に取り組む課題が多くあったなか1、区民の目線に立った行政運営がなされているか、2、豊島区を取り巻く時代変化に的確に対応した事業展開となっているか、3、安定的、持続可能な財政運営がなされているか、4、SGDsを基調とした取組みとともに、セーフコミュニティの安全・安心の取組みがなされているかを主眼に、慎重かつ厳正に審査に臨みました。
まずは、令和6年度決算について、簡単に確認の意味も含めまして触れさせていただきます。令和6年度予算は、高際区長が初めて編成した予算であり、区民の声をしっかり伺い、区民視点を重視した予算でありました。令和6年度一般会計決算額は、歳入が1,545億円、前年度比72億円の増、歳出は1,497億円で前年度比56億円の増となっております。

本区独自の「出産費用の実質無償化」や「おたっしゃカード」の拡充、また6つの区民提案事業や地域資源を活用したまちづくり、物価対策などを実施し、11次に及ぶ補正予算を編成しながら、区民の声に寄り添った施策が展開されてきた事は高く評価いたします。

 

総括質疑では、令和6年度決算においての物価高騰対策や東京都が介護事業所、障がい者サービス事業所、保育所、幼稚園等への支援を3カ月延長した事を受け、本区独自支援の考えを伺いました。

また、10億円の財源を生み出した「事業見直し」と「全件査定方式」の両方を実施する意義を伺い、行政評価をどのように予算編成に活かし、PDCAサイクルを構築するのかを確認いたしました。

さらに行政の最大の役割は、区民の生命と財産を守る事であるとの考えより、総括質疑で防災・減災対策に触れ、しっかりとプロセスを踏んでの「豊島区国土強靭化地域計画」を見直し、全庁あげて実現に取り組むよう要望いたしました。

また、「基本構想・基本計画」、「公共施設更新計画」を実現することは、今後の区政運営において大変重要であるため、工事費の高騰や物価高騰、金利の上昇が見込まれる中、これらの計画をどのように実現されていくのか。財政の持続可能性を含めて、区長の決意をお伺いしました。

 以下、款ごとに具体的な提案を含め、特筆すべきことを述べさせていただきます。

【議会費、政策経営費、総務費】について申し上げます。

決算委員会 2日目

北岡

  • すずらんスマイルプロジェクト推進事業について

生理用品の配布が必要な方へどのくらい届いているのか、実際のニーズ把握や受益者の声の収集を望みます。

  • すずらんスマイルプロジェクトの支援対象である若年女性をターゲットとしたSNS広告を実施、その効果や実際の相談に結びついているか検証を求めます。
  • 民間団体との協働による、すずらんネット会議のさらなる支援充実を要望します。
  • 学校・学生またレディースクリニック等と連携した情報発信の場のさらなる拡充を望みます。

 

地域防災計画推進について

  • 現状の防災協定の締結状況を改めて精査し、まだ協定を結んでいない分野との積極的な協定締結を要望します。
  • ドローンを活用した防災訓練の実施を望みます。
  • 宿泊施設との協定締結に向けた準備を着実に取り組むよう求めます。
  • 災害時における入浴施設の活用は、衛生・健康・心理面のすべてにおいて非常に有効であり、今後スポーツジム等、入浴施設を保有する事業者との協定を要望します。
  • 新たに協定締結した輸送事業者を含めてそれぞれ得意分野を生かし、避難所へ物資が届くよう実効性のある体制整備を望みます。

北岡

「豊島区DX推進計画」の最も重視する取り組みについて

  • 「豊島区DX推進計画では、スマートフォンを活用した『ポッケット行政』『スマホ区役所』を重点施策としている。区民が知りたい情報にスムーズにたどり着ける体制整備を望みます。
  • ピアッザのような各課独自で運用しているアプリについて、実態の把握を進めることを要望します。
  • リニューアルされたLINEが情報のハブとして活用できるように、アプリを整理し、LINEから目的別にアプリへ誘導する仕組みの構築を求めます。

 

根岸

ハラスメント防止対策事業について

  • 上司のパワハラにより病気休暇を余儀なくされている職員については、職場復帰する際に、本人の希望に寄り添った対応を望みます。

選挙について

  • 期日前投票所のように豊島区内すべての投票所で当日投票が可能になるよう検討されたい。

 

高橋

  • 国土強靭化計画について

国土強靭化計画は、全庁体制で早期策定を望みます。

 

【区民費、福祉費、衛生費】について

決算委員会 3日目

北岡

  • 福祉救援センターのガイドラインが実際の発災時に機能するよう、日頃の訓練を通じて検証と改善を重ねるよう要望します。
  • 発災時の初動体制、人員配置、多様化している被災者への対応をガイドラインへ具体的に盛り込むよう求めます。

 

手話通訳派遣・手話講習会事業について

  • 手話通訳者の確保・質の向上・研修体制の充実を望みます。
  • 手話通訳者の養成については、研修と認定の間に学べる場の設置を望みます。
  • 情報保障と人権尊重の観点から、通訳者派遣の体制強化と拡充を求めます。

根岸

  • 予防接種事業について

予防接種事業の取り組みの意義と効果、子宮頸がんワクチン、肺炎球菌ワクチン、帯状疱疹ワクチンの接種状況を確認しました。

本年度から帯状疱疹ワクチンが定期接種化され、対象年齢以外の区民には任意接種として2026年3月末までの予定で助成がされているが来年度も引き続きの助成継続を望みます。

  • RSワクチン接種の助成を求めます。

 

住宅宿泊事業関係について

  • 周辺住民に迷惑をおよぼす事業者や違法な営業を行う者に対し指導・監督の組織体制の強化を望みます。
  • 営業可能日数の大幅な減少により事業継続が困難となる事業者も存在する。誠実に営業している事業者に対しては、事業廃止など生活が困らないような対応を要望します。

 

高橋

産後ケア事業について

  • 産後ケア事業の拡充を要望し、令和6年度より拡充された概要を確認しました。宿泊型産後ケアは、23区で最も少ない「3泊4日」です。利用日数の拡充を望みます。
  • 通所型の産後ケア施設は予約がとりづらい状況である。利用日数の拡充と、区内西側地域への新設を望みます。

 

妊婦検診について

  • 令和6年度に妊婦健診の執行率が伸びた理由を伺いました。要望してきた助産所での受診票利用が可能になったことや、検査項目の拡充によって便利になったためと確認できました。

産婦健康診査には公費助成がなく、東京都では共通の受診制度の導入に向けた検討が始まっています。積極的実施を望みます。

 

「地域活動支援センター」について

  • 知的障がいの方の施設は、もともと区の補助金であったため、精神障がいの方の施設より低い補助金が続いている。知的障がいの方の施設への補助金の引き上げを望みます。
  • 障がい者の緊急一時保護は急な対応が多く、他の業務に影響が出たり、職員のシフト変更が必要となる。人件費の補助や対応施設との連携を進め、職員の負担軽減を図られたい。

 

障害児通所支援事業について

  • 放課後ディサービスは利用希望者に対して施設が足りない状況が続いている。区の認識と打開策を伺いました。

重度障がいのある子どもの通える施設は、区内1か所であり早急に整備を求めます。

  • 国の補装具費支給制度の枠内で、医療的ケア児の実情に即した柔軟な運用を研究し、手動車いすに取り付ける電動アシスト機器の購入費補助を望みます。
  • 生活介護事業目白プラスは施設の老朽化等でエアコンや調理施設に不具合があるため早急に改善を求めます。

 

【環境清掃費、都市整備費】について

決算委員会 4日目

高橋

エリアマネジメント推進事業について

  • グリーン大通りの国家戦略特区終了後については、「ほこみち制度」の導入により継続的にリビングループが実施できることを望みます。
  • エリアマネジメント活動の継続が非常に重要と考える。地域再生法の「地域再生エリアマネジメント負担金」制度を参考に簡易で区独自で費用負担の軽減を図る体制づくりを要望します。
  • まちづくりを誘導し、エリアマネジメント活動の重要性を推進するためにもガイドラインの策定を再度要望します。

 

自転車駐輪場関係について

  • 自転車の大型化や駅周辺での短時間利用により放置が増加している。豊島区では「自転車等の放置防止条例」により、施設設置者に駐輪場の付置義務が課されている。エリア別に公共・付置義務駐輪場の供給量を分析し、利用されにくい付置義務駐輪場の実態把握を求めます。
  • 神戸市では付置義務駐輪場に案内表示と利用状況の定期報告を義務付けている。本区でも駅周辺の建築物更新や地区計画による街づくりが進む中、利用されない駐輪場が増えては意味がない。実態調査により課題を明確化し、地域特性や利用状況に応じた制度設計や整備基準の見直し、条例改正を含めた検討を求めます。
  • 豊島区内では第一種原動機付自転車の駐車場が不足しているため、駐車できる場所の整備を求めます。
  • 大塚駅北口第三・第二自転車駐車場の利用率が各50%程度であるため、第三駐車場(定期利用者)を第二駐車場に集約し、第三駐車場を第一種原動機付自転車用に整備推進することを要望します。

根岸

交通安全対策事業について

  • 全国交通安全運動は、テントを出さない町会もありテントを出さないことによる啓発効果が相対的に低下する懸念があるので、交通安全運動の趣旨を効果的に伝え、区民の安全意識の醸成につながる取り組みを要望します。
  • 「道路交通法の一部改正する法律」が施行される。区民へ改正の内容やルールをわかりやすく周知することを要望します。

空き家活用について

  • 住宅政策の基本となる空き家の実態調査を要望します。

 

北岡

「3R推進啓発事業」について

  • 紙媒体での資源回収・ごみ収集のお知らせが、アプリでの運用に見直された。高齢者へのアプリ研修や丁寧なフォロー体制を求める。
  • 食品ロス削減については、区民参加型の削減レシピコンテストの開催を要望します。

自由質疑

北岡

給水スポット事業について

  • 区有施設にとどまらず、京都市が民間企業と協定を結び給水機を設置している事例を参考に、イベント会場等への設置を求めます。
  • プラゴミ削減の取組みとして、カップリユースシステムを導入した、飲料自動販売機導入の検討を求めます。

北岡

環境教育・普及啓発事業について

  • 環境教育における出前授業は有効な取り組みであり、分野が広いため多様な企業と連携し、学校が選べるメニューの拡充を要望します。
  • 環境教育を受けた子どもたちが成長し、次世代への担い手として活躍する流れが生まれている。今後も創意工夫を凝らした環境教育を進めるとともに、若者が活躍できる場の拡充を要望します。

 

【文化商工費、子ども家庭費、教育費】について

決算委員会 5日目

高橋

小1の壁対策について

  • 本年1月の3学期から、清和小学校と駒込小学校でモデル事業が、4月からは全校実施が開始された。登録児童の保護者にアンケートも実施され評価や利用状況、調査結果を確認しました。

実態に即した制度となるよう要望します。

 

発達支援事業について

  • 発達相談のうち、言語指導や作業療法など専門相談のニーズが高く、予約待ちが続いている。区民ひろばでのサテライト相談も待機が解消されておらず、千早3丁目の保育園仮園舎の活用の検討を要望します。

 

南池袋2丁目C地区の関連について

  • R8年3月に北街区878戸、R9年1月に南街区620戸が竣工予定であり、児童数の増加に伴う小学校・保育園の受け入れ不足が懸念される。早急な受け入れ体制の整備を求めます

根岸

スポーツ推進について

  • 中学校地域スポーツクラブは、指導者不足により廃止された中学校もあり、現在西巣鴨中学校のみ実施されている。今後も事業継続できるよう支援を要望します。
  • 豊島区スポーツ推進計画では、週1回以上スポーツをする成人の割合を70%とする目標を掲げているが、現状は59.6%にとどまっている。目標達成に向けた取り組みの強化を求めます。
  • プロリーグで活躍された方を指導者に迎え、女子サッカー教室の開催が予定されていることは、スポーツ振興や女子の競技参加促進にとって大変意義深い取り組みである。

今後、区内全域で継続的かつ広く展開できるよう、支援体制の整備を求めます。

  • 区内のスポーツ屋内施設では、老朽化に伴う設備不具合が多く発生しており、利用者の安全性や快適性に支障をきたしている。地域の健康づくりや交流の場として重要な役割を担う施設であることから、早急な整備と改善、豊島体育館規模の新施設の整備を強く求めます。

根岸

  • 2025年スポーツ基本法の改正により、スポーツは「人と人をつなぐ社会的インフラ」として再定義された。豊島区においても、学校開放など地域スポーツの推進や多様な参加者への配慮を通じて、誰もが安心してスポーツに親しめる環境整備を要望します。
  • 子どもの体力低下については、学校・家庭・地域が連携し、運動習慣の定着と遊び場の確保、生活習慣の改善などに取組むよう要望します。
  • スポーツ推進条例は、地域の実情に即した施策を進めるために、議員提案によって制定されるケースが多く見られる。健康づくりや地域共生、子どもの育成と一体的に位置づけることで、より実効性の高い施策展開が可能となる、スポーツ推進条例の制定を提案します。

北岡

小・中学校移動教室・修学旅行について

  • 物価高騰により修学旅行の保護者負担が増加すると見込まれるため、費用補助による負担軽減を求めます。

高橋

  • 移動教室や修学旅行は、子どもたちの成長に欠かせない貴重な教育機会である。誰もが安心して参加できる体制整備と、教育的意義を最大限に活かす工夫を要望します。
  • 現在休止となっている4年生の移動教室については、教育的意義を踏まえ、再開に向けた検討を求めます。

高橋

図書館関係について

  • 豊島区立図書館の蔵書数は、23区の中でも少ない水準にとどまっている。区民の学びの機会を広げるためにも、さらなる蔵書の充実に向けた取り組みを要望します。
  • 学校図書館司書の配置には学校間で偏りがあり、すべての児童・生徒が等しく学びの機会を得られるよう、司書の拡充を求めます。

西山

子どもを性暴力から守る区の役割について

  • 子どもを性暴力から守ることは、社会全体の最優先課題であり、未来への責任である。区立学校教員による性犯罪が疑われる事案が発生している。区として再発防止策の整備を要望します。
  • 令和8年施行予定の『こども性暴力防止法』を踏まえ、基礎自治体として子どもの安全と尊厳を守る体制整備を求めます。
  • 教育・保育現場を含む全施策で未然防止と信頼回復を図り、また「現場を支える伴走型の支援」として多様な現場に、確実に周知と支援が届く体制整備を要望します。
  • 制度整備と併せて、現場職員の「気づき」と「判断力」を高めることが不可欠です。令和7年度から始まった性暴力防止研修は意義深く、今後は「気づいた後の連携」や「一人で抱え込まない仕組み」の整備が重要である。研修の成果を実践につなげるため、関係機関が顔の見える形で集う「連携会議」の設置を提案します。

北岡

一般会計歳入

  • 令和6年度の基金残高約650億円、運用益は約2億5068万円と高い利回りが評価される。今後も安定した利回りを維持するため、専門知識の習得や研修体制の強化など人材育成の推進を要望します。
  • 物価高騰による資材費の上昇を見据え、的確に対応するとともに、基金繰入金を適切に活用し、投資的経費を支えながら財政の安定化を図ることを求めます。
  • 基金運用による歳入確保は財政運営の基盤、リスク分散とインフレ耐性のあるポートフォリオ構築を要望します。

特別会計

国民健康保健について

  • 被保険者の高齢化により医療費が増加する一方、現役世代の減少で保険料収入が伸び悩み、制度の支え手が減少している。企業健保への移行も進み、加入者数の減少が続く中、保険料収入だけでは医療費を賄いきれず、自治体の一般財源からの繰入れが行われている。

令和6年3月に「第4期特定健康診査・特定保健指導実施計画」および「第3期データヘルス計画」が策定された。マイナ保険証の導入により、健診結果や医療費情報が一元管理され、特定健診・保健指導との連携が強化されている。データヘルス計画とより密接に連携した分析・支援体制のさらなる拡充を求めます。

最後に、現状と将来を見据え、今後とも安定的で身の丈に合った財政運営に努め、区民に対しては必要なサービスが的確に提供されますようご尽力いただくことをお願い申し上げます。また、私ども公明党区議団は、「一人の声を聴く力」を磨き、区民の暮らしと生命を守る施策が着実に実行されるよう日々研鑽を重ねていくことをお誓い申し上げ、意見開陳を終わります。ご清聴ありがとうございました。