平成20年第1回定例会木下一般質問&答弁全文

080219登壇

私は“うるおいと活気あふれる街”としま目指してと題しまして、①平成20年度予算について。②都市再生、街づくりについて、③環境施策について、その他について、一般質問いたします。

 

「未来戦略プラン2008」について、高野区長は、『直面する変化を乗り越え、安定して飛び続けていくためには、タイムラグを含めて社会経済の影響を見極めるとともに、エンジンと機体の性能を高め、明確な航路図を描きながら、地域全体が力を合わせていく必要があり、その航路図としての役目が「未来戦略プラン」であります。“未来への改革を”本格化する上で、「プラン08」にはビジョンや政策の実行計画としての役割が強く求められています。』と述べておられます。

 

《平成20年度予算の位置づけ・盤石な財政基盤づくりのための選択と集中・負債の償還計画》

そこでまず、「未来戦略プラン2008」において、平成20年度予算はどういう位置づけで編成されたのか?また、いままで聖域なき行革に取り組み、やっと健全財政の道筋が見られた今、激動する社会経済情勢に対応できる盤石な区政基盤つくりに取り組んでいくにあたり、どのような“選択と集中”をされたのか?区長の基本的なご見解を伺います。更に、財政が好転化の兆しが見えたといっても未だ区の債務残高は、23区平均より悪い状況は変わりません。町会長や区民からも家庭でいう、“借金返済”について、一体どうしていくのか?いつになったら健全な財政ができるのか?度々話題になります。社会経済情勢の急激な変化を見越して、相当難しい事とは思いますが、将来の子供たちにできるだけ健全な形でバトンタッチしなくてはなりません。計画的な返済計画が望まれますが、基本的な御考えをお聞かせください。

ただいまの、木下 広議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。

はじめに、平成20年度予算についてのご質問にお答えいたします。

まず、平成20年度予算の位置づけでございますが、この予算は、特別な財源対策もなく、起債にも依存しない予算として、健全で、かつ、堅実な財政運営を基本としつつ、「文化と品格を誇れる価値あるまちづくり」と「環境都市の創造」を目指して、前向きに取り組む積極型の予算となっております。

 

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これまでの行財政改革でつちか った経験を活かし、スリムで効率的な行政経営を堅持しつつ、中期的な財政計画においても収支の均衡が取れた、安定的な財政運営を維持したうえで、賑わいと活力を取り戻し、しかも、暮らしやすいまちを創造するために、将来への展望を切り開く大きな布石となる予算と位置づけております。

次に、盤石な財政基盤づくりのための選択と集中についてのご質問にお答えいたします。

区財政は、これまでに取り組んできた数々の構造改革の成果が現れ、ようやく明るさを取り戻しつつありますが、今なお、多くの負債を抱えるなど、未だ盤石な財政基盤が確立されているとは言い難い状況にあります。

したがいまして、負債の軽減に努めるとともに、景気の変動に耐えうるだけの基金の充実にも積極的に取り組むことを前提条件としたうえで、施策の選択と集中につきましては、子育てと教育、福祉施策、安心安全などの基本政策と、文化、健康、都市再生、環境の重点政策のなかで、施策の重点化を図り、優先する施策として「50の戦略プロジェクト」を選択しております。

これらのプロジェクトは、明確な目標と成果指標を設定し、将来に確実な成果を生み出す重要施策と位置づけております。

なかでも、環境政策は、20年度の最重点政策として、全国一の高密都市でありながらも、循環資源の活用を高め、地球環境にも配慮した環境モデル都市の創造を目指して、重点的な事業に前年度比16%のプラスとなる、23億円の予算を投入しております。

このように、財政基盤の安定化を図りつつ、限られた財源を最大限に活かし、確実に成果を挙げる施策を選択して、集中的に財源を配分する予算となっております。

次に、負債の償還計画についてのご質問にお答えいたします。

平成20年度末における負債総額は、約522億円になる見込みでございまして、ピーク時の平成11年度の872億円からは、実に350億円の減少となりますが、それでも年間の負債償還には、79億円もの一般財源を割かなければならない状況にあります。

前年度には、19億円の土地開発公社の分割償還金の繰上げ償還を行い、今年度も旧保健所用地にかかる16億円の長期債務を償却する予定でおりますが、このような繰上げ償還を今後も継続することによりまして、負債総額は確実に減少いたします。

「未来戦略プラン2008」では、負債の償還計画の目標としまして、平成22年度末までに負債総額を300億円台にまで圧縮する目標を掲げて、決算剰余金をはじめ、区税や財政調整交付金の増収分を有効に活用し、繰上げ償還に積極的に取り組むこととしております。

これによりまして、平成23年度には、年間の償還額を  54億円程度まで引き下げることができ、20年度の償還額と比較しますと、約25億円の一般財源を区民サービスに振り向けることができる見込みでございます。

 

区職員への経営方針の徹底》

次に将来を見据えた区政運営の方向づけの中で、具体的な点を何点かに絞って伺います。まず、区職員への経営方針の徹底という点であります。高野区長が3期目に入られ、区財政の立て直し、健全化に取り組み、自治体の基礎体力である、人口増も着々と進み、区民からは、高野カラーが以前よりも増して輝きを増してきたと耳にしました。いうまでもなく、区行政は区民から頂いた大事な血税を、区民の福祉向上のために如何に有効に使っていくかが大きな仕事となります。また、昨今の社会情勢を見るにつけ、いついかなる激変が起るのか予想がつきません。一人の区民の前では、区長も部長も係長も一般職員も公務員という立場では同じであります。組織論から言うと、経営トップの区長が今、何を目指し、今、何に重点的に取り組もうとしているのかが、幹部職員は当然のこと、一般職員にも迅速にかつ的確に伝わることが必要であると考えます。

経営トップの区長として、ご自分の意思ご決意をどのよう職員に伝えようとされるのか伺います。その前提として、区長と幹部職員、区長と一般職員、幹部職員と一般職員、は相互の理解、意志の疎通はかかせません。今後の激動の社会に対応できる豊島区行政の体制つくりの中で、区長と職員の意思疎通、信頼関係づくりについてどのように考えておられるのか伺います。たとえば、区民が職員と話をして「高野区長はこう言っているが、現実はなかなかできなくて、我々も困っているんです。」というような事がないように、区長も現場の職員の現状を理解し、現場の職員の声に耳を傾け、その上で、職員と区長が同じ意識で区民のための施策を議論し計画を建て、一旦決まれば、職員が一丸となって、区民に説明責任をはたすことが大事だと考えます。

私は、例えば、高野区長が全ての職員に声をかけ、職場のことは当然のことながら、家族のこと、生活のこと等の対話を通して、職員との信頼関係を結んでいくことに取り組まれることが必要と考えます。お忙しい区長の物理的な時間確保が難しいことは百も承知していますが、激動の時代だからこそ、職員と経営トップの区長との信頼関係が、直接区民の区政への理解に繋がると考えます。区長のご見解を伺います。更に、急速な社会状況に合せて、現場で懸命に働く職員の切実な生の声を吸いあげることは非常に大切なことだと考えます。現場の声を吸いあげる体制つくりについてどのように取り組まれようとしているのか?ご見解を伺います。

 

次に、区職員への経営方針の徹底についてのご質問にお答えいたします。

まず、私と職員の意思疎通、信頼関係づくりについてでございます。

いうまでもなく、豊島区政は、区長一人で経営するものではなく、2千数百名の職員と力を合わせて作り上げていくものでございます。このチームワークの中で、私が最も大切に考えているのが、ご指摘の、私と職員との意思疎通と信頼関係の構築でございます。

昨年の区長選で、私は、4つの基本政策と4つの重点政策をマニフェストとして掲げました。限られた任期の中で、これらを強力に推進するためには、私の想いを職員一人ひとりに伝えることが必要であり、そして何より、職員一人ひとりがそれを理解し、それぞれの立場でそれを実行することが必要であると考えております。

職員への経営方針の徹底の方策として、区では、「目標による組織運営制度」を導入しておりますが、このような仕組みの中でも、私が常に留意しているのが、一方通行ではない双方向の意思疎通でございます。私の方針を受け、各部長が、それぞれの部局の組織目標を策定しますが、その際には、私との十分なヒアリングを実施しております。また、部局の目標を受けて各課長が課の目標を、そして各係長が係の目標を立て、それぞれ、その達成に邁進するわけですが、その過程でも、職場で十分な議論をするよう指示をしております。

私自身、特に管理職との意思疎通が要であると考え、私の想いを直接伝えるため、これまで幾度か管理職全員を集め、講話という形で話をしておりますが、その際には、必ず無記名で忌憚のない感想や意見を提出してもらっております。次の講話では、それを紹介するとともに、それに対する私の意見や感想を率直に述べ、互いの理解を深めております。

また、係長、主任といった各職層の研修では、必ず職員との対話の場を設けておりますが、そこでも、職員一人ひとりに現場からの率直な意見を述べてもらい、相互のコミュニケーションを図っております。

今後も、このような機会をできるだけ増やし、区民の皆様と日々接している職員の声を吸い上げてまいります。

 

《人材育成の取り組み》

組織はなによりも“人=人材”が大事です。民間企業も人材を見つけ育てる事には相当の時間とお金を使っています。本区でも、さまざまな職員研修を通して職員を育てるご努力をされ、実績を残されていることは充分承知していますが、今後、ますます複雑化スピード化、IT化する社会情勢の中で、区として人材育成の取り組みについてお聞かせください。区有財産のうちでも、最も重要な人・人材を育てる事に力を入れて頂くことを強く望むものであります。

次に、人材育成の取り組みについてでございます。

あらゆる組織において、最も大切な財産は人材であり、豊島区の浮沈も、その育成にかかっているといっても過言ではございません。豊島区では、平成18年度から5か年間の人材育成計画を策定し、将来を見越した人材の育成を推進しているところでございますが、平成19年度には、人材育成課を設置し、さらなる体制の整備を図ったところでございます。

複雑化、高度化する区民ニーズに対応する能力を身につけるため、常に新しい課題に対応する研修の充実を図っているところでございますが、すさまじいスピードで変貌する社会情勢の中では、身につけた知識やスキルは、常に陳腐化していくという現実がございます。このような中で、私が最も重要と考えることは、常に新たなものに挑戦する職員の育成、変革を恐れない職場風土の醸成にあると考えております。

これまでも、区では、業務改善支援研修を実施し、各職場の自主的な挑戦を積極的に支援してまいりましたが、来年度は、新規事業として、「豊島区ベストパフォーマンス金の梟賞」を設け、職場の業務改善や新たな挑戦を積極的に評価し、それを表彰することにより、職員の意識改革や職場風土の改革をさらに促進してまいります。

また、若手職員有志12名の執筆により、豊島区のPR本『探す!わがまちの魅力―若手職員によるとしま区のススメ―』が2月23日に発行されます。私もこの本についてインタビューを受けました。私もこの職員から新しい発見をいたしました。おそらく自分たちの人生を賭けて、この豊島区に捧げている皆さんですので、もっともっと豊島区を良くしたいという現れではないかと思います。定価は1,800円です。沢山買っていただき大ベストセラーになればと思います。これからも、こうした職員の積極的な活動にも注目し、支援をしていきたいと考えております。

 

《区有施設の改築・改修整備方針》

次に、今後の区有施設の改築改修整備方針、改築改修の財源確保などについて伺います。区立小中学校の改築計画を時期を明示して区民に明らかにされたことは大いに評価できるところであります。しかしながら、これまでの施設整備はともすると壊れたところを直すことが最優先され、結果として大事な区有施設の計画的改修は後手に回り、老朽化した施設がそこかしこにみられたような気がします。

今後の10年、20年を見据えると、学校施設以外の昭和40年から50年代に整備した公共施設改築改修計画は、財源の確保は当然のことながら、従来担ってきた施設そのものの価値、位置付けをどう変化させていくかという観点と、更に、平成の時代に入ってから整備した施設をいかに長く快適に区民に提供していくかの観点が必要であると考えます。運営、運用のソフト面では、区民との協働を更に進めながら、現実問題の区有施設の改築改修整備についてどのように取り組まれていくお考えなのか、財源確保の計画も含めてお示しください。また、高野区長が“選択と集中”をより強固に進めていく方針を打ち出されていますが、区有施設の整備、改修における“選択と集中”の御考えをお聞かせください。

私は、区有施設の施設整備や未利用地の有効活用を図るには、企画計画の段階から民間の知見をもっと活用することが求められていると考えますが、区長のお考えを伺います。

 

区有施設の改築・改修整備方針についてのご質問にお答えいたします。まず、区有施設の改築・改修整備の取り組みについてのご質問にお答えいたします。

平成19年9月に公表いたしました「財政白書」にもお示ししたとおり、平成19年4月の時点で、築年数40年以上の施設は44施設、平成19年度から28年度までの10年間に要する大規模改修経費は、約189億円と見込んでおります。

ご指摘のとおり、区有施設の効率的な改築・改修には、「施設再構築」の推進と計画的な施設改修が不可欠でございます。

まず、改築についてでありますが、施設の合理的な運営を図るために、平和小学校跡地複合施設の建設計画のように、施設の集約とその跡地の資産活用をセットにした「施設の再構築」という手法が極めて重要であると考えております。

なお、こうした施設再構築の財源確保についてでございますが、ただいま申し上げましたとおり、土地の資産活用を図り、次の施設整備のために「公共施設再構築基金」など特定目的の基金に、積み立てなければならないと考えております。

つぎに、改修についてでありますが、今後10年間で必要となる改修箇所・経費についきましては、集計が完了しております。

そのうち今後、4ヵ年間で実施するものについては、財源の裏付けも含めた年次計画を作成しておりますので、計画の実施は担保されております。

さらにその後の改修計画につきましても、今後の財政フレームをさらに検討したうえで、計画的に取り組んでいけるよう努力してまいります。

次に、「区有施設の“選択と集中”について」のご質問にお答えいたします。

区は平成15年に「公共施設の再構築・区有財産の活用 本部案」を公表し、公共施設の再構築の考え方をお示しいたしました。

この案は、施設配置の効率性や将来需要等を踏まえた上で、施設の再編を図るものであり、その基本にあるのはまさに「“選択と集中”」の考え方そのものであります。

多くの区有施設を古くなったからといって単純にこれまでどおり建替えることは、財政的にも、区民サービスの向上の点からも得策ではないと考えております。

施設配置の条件が許せば、できるだけ施設の集約化を図り、区民にとってより使いやすく充実した施設にするとともに、運営の効率化を図ることによって、将来にわたって十分に活用される施設としていかなければならないと考えております。

そのためには、集約化、充実化が図れる施設につきましては、将来を見据え、財源を集中して振り分けることも必要であります。

新中央図書館やあうるすぽっとの整備、平和小学校跡地の複合施設整備は、まさに「“選択と集中”」の考えに基づく代表的なプロジェクトであると考えております。

次に、「区有施設等における民間の知見の活用について」のご質問にお答えいたします。

区はこれまでも雑司谷小学校跡地における定期借地権の設定等、財産活用において民間事業者とのパートナーシップに先進的に取り組んでまいりました。

また、区有施設の整備においては、現在、長崎中学校跡地における西部スポーツセンター(仮称)整備に関して、PFI等の民間手法導入の可能性について調査を進めているところであります。民間の資金や知識、各種制度を利用して公共的サービスを提供することは、今後ますます重要になると考えております。

これらの民間の事業手法を取り入れるためには、事業の企画計画段階から公正な方法により選定した民間事業者と意見交換を行いながら、民間の知見の活用をすることが重要であることはご指摘のとおりであります。

一方、区有施設の整備や財産活用においては、地域ニーズの把握、これまでの施設利用者との調整が非常に重要であり、こうした場合には民間の知見だけでは解決できないものもあると考えております。

したがいまして、施設整備や財産活用にあたり民間の知見を有効に活用する工夫と行政でしかできない様々な調整機能をいかに取り入れながら推進していくかにつきまして、さらに、調査・研究、実践のなかで検証しながら取り組んでまいりたいと考えております。

 

次に大きな2点目、池袋副都心の再生と地域拠点の再生について伺います。

2008年は、京都議定書で議決された地球温暖化の原因となる二酸化炭素など温室効果ガスの削減を5年間で達成する、はじまりの年となります。いよいよ本格的な環境対策を世界に向けて示していくことが求められております。

こうした年に、「環境都市づくり・元年」と位置づけ、豊島区から世界に向けて環境への責任ある行動を示していくことが、高野区長の所信として示されました。

都市における資源・エネルギーの循環と再生の機能をより大きなものとし、CO2削減など都市から排出される環境負荷となる物質を可能な限り減らしていくことは、文化と品格ある街づくりを進める豊島区にとりまして、大切なことであり、評価いたします。

しかしながら、いよいよ副都心線の開業日が6月14日に決まり、都市と都市との競争が一層激しくなりますので、このような新たな風や刺激を受けて、池袋副都心の魅力や賑わいを、さらに高めていかなければならないことも、大変重要であると強く感じております。

未来戦略推進プラン2008では、都市再生戦略として「新ルネサンス構想」が示され、競争にさらされる池袋副都心の再生に、迅速に着手されるものと受け止めておりますので、池袋副都心の活力みなぎる再生に向けて、どのような将来ビジョンを描いていくのか、大きな期待を寄せております。

 

こうした池袋副都心の再生と併せて地域拠点の再生を同時に進めていくことが、豊島区全体としての発展には欠かせません。

大塚駅周辺では、南北自由通路の建設が進み、区は次なる課題として、駐輪場や駅前広場の整備計画に取り組んでいます。

また、東長崎駅では、新しい駅舎と南口広場がほぼ出来上がり、北口駅前広場を残すだけとなっています。バリアフリー設備として、エレベーターとエスカレーターが設置され、大変綺麗な駅に生まれ変わりつつあります。地元の町会や商店会では、自主的に完成セレモニーを計画するなど、東長崎駅の再生と地域の発展を重ね合わせながら工事の竣工を心待ちにしていると聞いております。

こうした鉄道駅とその周辺の整備では、国の補助制度をうまく活用することで、都区財政調整制度でも算定されるということですので、実質的に区の一般財源分がほとんどかからない仕組みになっています。豊島区では、大塚駅と東長崎駅をはじめ、池袋駅の東西デッキ構想を含めた検討にもこの制度を導入し、区財政を圧迫せずに事業展開をしていることは、魅力ある豊島区の街づくりを進める上で大きな貢献であると考えます。

豊島区の中心である池袋が魅力ある都市として再び輝きを増し、地域拠点が個性豊かな活気でみなぎってこそ、高野区長が進める『文化と品格ある価値あるまち』づくりが実現するものと考えております。

 

《都市再生と環境との融合》

そこで伺います。

まず、環境都市づくりも池袋副都心の都市再生も、どちらも重要な政策課題でありますが、都市再生はどちらかというと地域活力の向上や賑わいの創出を目指し、開発に重点をおいた街づくりを進めることになりますので、これまでは、環境への配慮は二の次三の次といったことが実情ではなかったかと思うのであります。

こうした観点から、都市再生と環境との融合をどのように図っていくのか、考えをお聞かせください。

 

都市再生と環境との融合についてのご質問にお答えいたします。

私は、平成20年を、環境都市づくり・元年として位置づけ、地域から世界に向けて、責任ある行動をしめしたいと考えています。

したがいまして、これから先、池袋副都心の再生を本格化させ、価値と魅力のある街づくりを進める上で、環境施策との調和・融合は大きなテーマであると考えています。

特に、地球規模での温暖化対策が求められている現在、温室効果ガスの一つであるCO2排出量の削減は、都市再生を進める上での最重要課題と認識しております。

また、併せて緑化対策につきましても、環境を評価する重要な指標であり、都市の快適性や魅力を高める上で、欠かせない要素と考えております。

そこで、都市開発など池袋副都心再生の具体的な施策を進めるポイントとして、開発による建築物の省エネルギー化を進めるとともに、建築物の外部空間やインフラ整備など、総合的な環境対策に取組むことが重要と考えます。

特に、小さな事務所ビルが多く老朽化が進んでいる池袋では、業務部門から排出されるCO2が、東京都の平均を上まわっており、再開発などの面的な整備を積極的に誘導し、長寿命で効率的な事務所ビルへの機能更新を進め、併せて緑地を整備するなど、集中的に環境負荷の低減に取り組みます。

また、業務部門のほかに、東京のCO2排出量が多いのが、自動車などの運輸部門とされておりますので、池袋の特徴である鉄道利用率が高いターミナル機能を積極的に活かし、自動車利用から公共交通機関への転換を促す施策を進めます。

LRT構想は、そのためのチャレンジであり、利便性の追及にかたより、環境に負荷をかけている、私たちの生活様式をわずかでも環境に配慮したものに見直していく、環境都市づくりのシンボルであります。

都市再生と環境とは、長期的な視野にたって、はじめて成果が得られる重要課題でありますので、今後、未来戦略推進プラン2008に沿って、着実に進めてまいります。

 

《椎名町駅周辺整備について》

また、地域拠点の再生として、大塚駅、東長崎駅に続き、椎名町駅の調査が進んでおります。昨年の第4回区議会定例会では、私が委員長を務める都市整備委員会で、椎名町駅周辺整備に関するアンケート実施状況の報告がありました。地元では、環状6号線の椎名橋が出来上がりつつある状況を日頃から間近に見ておりまして、以前から様々な要望の出ていた橋下の空間がどのように整備されるのだろうと、期待を募らせています。また、生まれ変わった東長崎駅の状況を見ながら、椎名町駅についても、バリアフリー化して同じような整備ができないものかといった声も多くあがっています。2月7日には地元の検討組

織と区との意見交換の場が持たれ、私も出席いたしましたが、区側からは議論のたたき台にある計画案が示され、今後継続的に検討を進めていくこととなりました。

そこで、椎名町駅周辺整備に関して、駅と周辺整備を同時に進める国の補助制度の活用の見通しと、地元との検討の進め方を含めた今後のスケジュール、そして、現時点で想定される整備イメージについてお聞かせください。

 

次に、椎名町駅周辺整備についてのご質問にお答えいたします。

まず、国庫補助制度の活用の見通しについてのご質問にお答えいたします。

椎名町駅周辺整備につきましては、駅舎とともに駅周辺を同時に改善する手法として、東長崎駅で活用した国庫補助制度である「駅・まち一体改善整備事業」の適用を考えております。

この制度は、国土交通省の都市地域整備局が所管する、自由通路や広場などを対象とした「都市交通システム整備事業」と、鉄道局が所管する「鉄道駅総合改善事業」の両事業について、同時に採択を受ける必要があります。

区からは自由通路等に関する「都市交通システム整備事業」、西武鉄道からは「鉄道駅総合改善事業」の補助金要望手続きをしておりまして、既に国会に上程されております予算案に盛り込まれておりますので、国庫補助対象事業として、採択を確実にいただけるものと考えております。

次に、今後のスケジュールについてのご質問にお答えいたします。

ご質問にもありましたとおり、2月7日に、町会と商店会を中心とした地元の検討組織、「椎名町駅周辺を考える会」に対して、計画のたたき台をお示しし、意見交換を行いました。この計画案は、昨年10月に実施した地域の意向調査で把握した街づくりの方向性とともに、西武鉄道との協議を踏まえて作成したものです。

今後、地域の皆様のご意見をいただきながら、複数の計画案をお示し、今年の9月頃までには、施設計画の内容を固め、20年度末までには具体の設計を完成させたいと考えております。

整備工事につきましては、23年度まで予定されている環状6号線の街路整備事業との調整を図り、21年度から順次着手し、23年度の竣工を予定しております。

次に、現時点で想定される整備イメージについてのご質問にお答えいたします。

区長の所信表明でも申し上げておりますとおり、椎名町駅につきましても、東長崎駅と同様な事業スキームを考えております。

具体的には、椎名町駅を橋上駅舎とし、エスカレーターとエレベーターを備えた自由通路で連絡することになります。自由通路は、椎名橋方面へ下ろし、橋下空間には、自由通路の利用者を受ける駅前広場機能とともに、放置自転車対策を確実にする駐輪場、地域の皆様から要望をいただいている多目的広場などの配置が考えられますので、このような計画イメージが現時点で想定されます。

ご質問にもありましたとおり、池袋副都心の再生とともに、地域拠点の再生を力強く進めることで、魅力と活力ある豊島区の街づくりを進めてまいります。

 

続いて大きな3点目の環境政策について伺います。

高野区長は、平成20年度の最重点政策として、環境政策を掲げられました。

本年4月から、京都議定書の約束期間が始まること、また、6月には北海道の洞爺湖でサミットの開催が予定され、環境問題が主要なテーマになると予想されていること、さらには、世界的な気候変動や原油高などにより、環境問題に対する関心が極めて高まってきており、この時機にふさわしい政策の設定であると評価いたしております。

環境問題は、大変に「間口」が広く、様々な側面を持っていますが、最大の課題は、やはり二酸化炭素(CO)が大部分を占める温室効果ガスを、どのように削減するのか、ということであります。

京都議定書の枠組みには、COの排出量が世界最大のアメリカが参加していないこと、途上国には排出削減義務が課されていないことなどの問題点が指摘されていますが、目前に迫っている地球環境の危機に対し、毅然とした、また確固とした意志にもとづいた行動が必要な時ではないかと考えます。

私は、このような認識から、環境問題について3つの視点から質問をし、高野区長が掲げる環境政策の具体像について伺いたいと思います。

 

《CO2排出量削減の義務化、排出量取引制度》

先ず、第1点目に、「CO排出量削減の義務化、排出量取引制度」についてお伺いします。

年末年始の新聞、テレビは、まさに環境特集オンパレードという状態でありましたが、その中で、私が関心を惹かれたのは、EUにおける「CO排出削減量の義務化、排出量取引制度」についての報道でありました。

この制度は2005年から開始され、EU内では既に取引市場ができあがっておりまして、COの削減義務量を達成できなかった企業が、大きく削減できた企業から、「排出権」を買い取っているという姿が映し出されていました。

これは、まさに、二酸化炭素に価格がついているということであり、これからの社会の行方を示すもの、また、社会や経済の仕組みが大きく変化するということを強く印象づけるものでありました。

このような経済的なシステムによって、COの削減をはかろうとする動きは、我が国でも論議されていますが、主に経済団体の反対によってなかなか具体化しないというのが実情のようであります。

そこで、先ず、このような「CO排出量の削減義務化、排出量取引制度」について、高野区長は基本的にどのように認識しているのかお伺いします。

 

次に、環境政策についてのご質問にお答えいたします。

まず、CO2排出量削減の義務化、排出量取引制度への認識についてのご質問にお答えいたします。

わが国は、世界全体の目標として2050年までにCO2排出量を半減することを提唱しておりますが、そのような高い目標を達成するためには、技術開発の誘導や税制、補助金など考え得るあらゆる政策手段を組み合わせることが不可欠であると考えております。

そのような中、排出量取引制度は経済手法によりCO2などの温室効果ガスの総量を削減していくというものであり、一刻の猶予も許さない地球温暖化対策、とりわけCO2削減策に対する有効な手段の一つであると認識しております。

排出量取引制度につきましては、現在、EUに加えアメリカでは州レベルでの導入が進みつつあり、また、オーストラリア、ニュージーランドでも導入の動きがあることから、将来的には国際的な市場が形成されると言われております。

このような動きを見ると、排出量取引を通じて私たちの経済活動の中に二酸化炭素が価値として組み込まれ、環境と経済が調和しながらCO2削減が図られる日が来るものと考えております。

 

《東京都のCO2削減方針について》

東京都は昨年6月、「東京都気候変動対策方針」を発表し、その中で、「大規模CO2排出事業所に対する削減義務と排出量取引制度を導入する。」という表明をしております。発表当時は、新聞などでもかなり大きく取り上げられておりましたが、その後、このような都の方針に対して、関係者からの意見を聴く「ステーク・ホルダーミーティング」を開催するなど、着々と準備が進められております。

また、同じく昨年12月に発表された「10年後の東京への実行プログラム」には、より詳細にこの方針の内容が示されておりまして、「平成22年度から導入すること」、「制度導入にあたっては、現行制度での削減実績を義務の履行に反映させること」などが明らかにされております。

今後、各方面を巻き込んで、大きな議論となると考えられますが、高野区長は、このような都の方針について、どのようなお考えをお持ちなのか、お答えをいただきたいと思います。

 

次に、東京都のCO2削減方針についてどのように考えているのか、とのご質問にお答えいたします。

現在、東京都では、一定規模以上の事業者に「地球温暖化対策計画書」の提出を義務付けており、CO2削減に一定の成果を上げております。

しかし、都は、2020年までに2000年比で25%のCO2削減という大変高い目標を掲げており、事業者の自主的な取組みを前提とした現行制度では、更に大幅な削減を図るうえで限界が生じていると判断しております。

そのため、条例を改正し、平成22年度から大規模な二酸化炭素排出事業所に総量削減義務を課すとともに排出量取引制度の導入を検討しております。

各種事業者団体などの参加により、昨年来、都が開催している「ステークホルダーミーティング」では、経済団体等から、さまざまな反対意見も寄せられておりますが、日本経済の中心である東京が、国に先駆けて排出量削減義務や排出量取引制度を導入することの意義は非常に大きいものと考えております。

また、東京都に位置するわが豊島区においても、大きな効果が期待されると同時に、区における環境政策の展開にも広がりが生まれてくることから、都の取り組みを評価するとともに、引き続き関係者との調整を十分に図ったうえでの導入を期待しております。

さらに、都では、中小規模事業所に対してCO2などの温室効果ガス排出量等を記載した報告書の任意提出制度の導入も併せて検討しております。

こうした一連の流れを受けて、豊島区も環境都市づくりに向けて、積極的に施策を実施するとともに、一事業者としてもCO2削減に積極的に取り組んでいく必要があると認識しております。

 

《条例による各種制度の位置づけ、運用》

千代田区では、昨年12月、地球温暖化対策条例を制定しました。議会では議決までに様々な議論があり、付帯決議も付いて条例が施行されたようですが、CO削減目標や企業の経済的な負担を定めるなど、先進的な内容を含んだものとなっています。

同様の条例は、府県レベルでは、京都府や長野県、市町村レベルでも千葉県柏市などで制定されています。

今後、温暖化対策を抜本的、強力に推進するためには、区においても条例により各種の制度を位置づけ、運用することが必要ではないかと思いますが、現時点での区長のお考えをお聞きします。

 

次に、区における条例による各種制度の位置づけ、運用についてのご質問にお答えいたします。

ご指摘いただきましたとおり、一定規模以上の事業者からCO2等の削減計画の提出を求める制度や新築の建築物に高度な省エネ設備を求める規制、また、千代田区のように企業に対する経済的負担を求めるなど、条例によって規制などの制度を設け、対策を実施する自治体が増えております。

条例によるCO2等の削減計画書の届出制や報告、指導、さらに経済的負担を伴う規制等に関しては、その削減効果などを十分に検証するとともに、国や都の制度との整合性にも留意しながら、検討する必要があると考えております。

そのため、環境基本条例により設置予定の環境審議会において、多様な視点から幅広いご審議をお願いしたいと考えておりまして、それらを踏まえつつ判断してまいりたいと考えております。

 

《区民、事業者等への支援策》

次に、第2点目として環境対策の支援策についてお伺いします。

私は、今、条例による制度導入など、規制によって環境対策を進める方策について質問いたしましましたが、これだけでは、幅広い関係者を巻き込んだ環境対策は進まないと考えております。

規制と同時に、多様なインセンティブを併せて実施することによって、実のある成果が期待できるものと考えます。

インセンティブには、経済的なもの、社会的なものと様々ありますが、個々の区民や事業者が、それによって積極的に環境配慮の行動を起こせるものでなければなりません。

そこで、区長にお伺いします。今後、基礎自治体である本区が、本格的な環境政策を進めるにあたり、一定の規制とともに区民、事業者などに対する積極的な支援策を講じるべきと考えますが、どのようにお考えでしょうか。お答えをいただきたいと思います。

 

次に、区民、事業者等への支援策についてのご質問にお答えいたします。

温暖化対策計画書の提出や建築物への規制等、一定の規制を設けることはCO2削減の有効な手段の一つであると認識しておりますが、ご指摘のとおり、規制だけでは自主的、積極的な環境配慮行動へと広がりをもたせることは難しく、具体的な支援策を講じることが必要と考えております。

今、地球温暖化対策は、世界規模での取り組みが求められております。そのような中、区は、区民、事業者等に一番身近な基礎自治体として、複数の施策を効果的に組み合わせることを念頭に置き、区民や中小事業者が経済的なメリットを享受できるような支援策について積極的に検討しなければならないと考えております。

そのため、CO2排出実態など豊島区の現状をしっかりと調査し、本区の実情にふさわしい効果的な支援策について検討する予定であり、20年度の環境審議会での審議を経て、環境基本計画に反映させてまいりたいと考えております。

 

《支援策に関する財政的方針》

さらにまた、このような積極的な支援策を講じる場合には、財政的な負担の問題が生じてきます。ようやく厳しい財政状況を脱したとは言え、区財政を取り巻く状況には不透明感が強く、施設改修を中心とした大きな財政需要もある訳であります。このような点から、支援策の展開に関する基本的な方針についてもお伺いするものであります。

 

次に、支援策の展開に関する財政的、基本的方針についてのご質問にお答えいたします。

豊島区では、今後の10年間を「環境都市づくりの10年」、平成20年度をその元年として位置づけており、CO2削減に向けた取り組みに着手してまいります。

大幅なCO2削減に向けて、区には今まで以上に区民、事業者等への支援策をはじめとする各種の環境施策の実施が求められており、その実施に伴う財政負担は避けて通ることはできないものと認識しております。

環境施策の実施にあたりましては、国庫補助事業の適用、都の支援策の活用を積極的に図るとともに、これらと併せ、区財源を効果的に投入するということを基本的な方針にいたしたいと考えております。

さらに、環境基金の創設も視野に入れ、計画的かつ安定的な事業の実施に努めてまいりたいと考えております。

 

《CO2削減の具体的な支援策》

平成20年度予算には、19年度から開始された「省エネ機器導入支援事業」が引き続き計上されるとともに、「太陽エネルギー機器導入支援事業」が新規事業として計画されています。

これらの事業は、いずれも、設置した世帯へ補助金を支出するという支援策でありますが、今後、大幅なCO2削減を進めるうえで、具体的な支援策のイメージがありましたら、是非、お示しいただきと思います。

 

次に、大幅なCO2削減を進めるうえでの具体的な支援策についてのご質問にお答えいたします。

豊島区では、19年度の省エネ機器導入助成事業に加え、20年度には太陽エネルギー機器の導入助成事業を開始し、家庭部門への支援の充実を図っておりますが、いずれの事業も設置者に対しその費用の一部を助成するという手法であります。

今後、抜本的なCO2削減対策を実施していくためには、これらの助成事業に加えて、多様な形の経済的インセンティブが組み込まれた施策の展開を考えていく必要があると認識しております。

例えば、現在、都で検討されている大規模事業者と中小事業者との間の排出量取引を促し、CO2削減につなげるというスキームを、豊島区の特性を活かしながら、地域に適用させることにより、区内の中小事業者の対策を推進するという手法などを検討してまいりたいと考えております。

また、個人、家庭部門に対しては、同様に検討されている太陽エネルギーによる発電量の環境価値の一括買取制度を活用し、また、参考にしながら、地域に密着した仕組みづくりを検討してまいりたいと考えております。

《容器包装プラスチックの資源化》

次に、第3点目として清掃リサイクル事業についてお伺いします。

本年10月からは、新資源回収事業、廃プラスチック・サーマルリサイクル事業が区内全域で実施されます。

これに先立ち、昨年7月からモデル事業が実施されておりますが、この間、ごみ量が減少するとともに、資源回収量が約4割増加しており、成果をあげていただいております。区民の皆様のご協力はもとより、関係者のご努力に改めて敬意を表する次第であります。

廃プラスチックのサーマルリサイクルにつきましては、埋立処分場の延命、資源としての活用促進、環境負荷の低減などを目的として、23区一体となって取り組むものでありますが、廃プラスチック・サーマルリサイクルの導入を契機として、容器包装プラスチックの資源化についての論議が大きく広がりを見せたのも事実であります。

聞くところによりますと、練馬区や杉並区では、20年度から容器包装プラスチックの資源化事業を開始するとのことであります。

また、この課題は、現在、開催されているリサイクル清掃審議会におきましても議論されているところであります。

審議会からの答申は、本年9月の予定と伺っており、この段階で今後の方針をお聞きするのもどうかと思いますが、本区における容器包装プラスチックの資源化についての基本的な方向をどのようにお考えなのか、お聞かせいただきと思います。

これまで埋め立てられていたものを、熱回収により資源化するということも方策の一つではありますが、より有効な手法により資源化をはかることが重要ではないかと考えておりまして、高野区長の率直なお考えをお示しください。

 

清掃リサイクル事業についてのご質問にお答えいたします。

まず、容器包装プラスチックの資源化の基本的な方向についてのご質問にお答えいたします。

容器包装プラスチックにつきましては、現在、資源化しているペットボトル、トレー、ボトルタイプの3種類以外にも対象を拡大し、どのような方法によって資源化するのかが大きな課題であると認識しております。

昨年、廃プラスチックサーマルリサイクルのモデル実施の中での「ごみ組成調査」によれば、重量で、可燃ごみの約12%、不燃ごみの約11%が容器包装プラスチックで占められており、今後一層のごみ減量や資源の有効活用を進めるためには、この資源化について、積極的に検討しなければなりません。

しかしながら一方、容器包装プラスチックの資源化については、試算によれば、約6億円という経費の大幅な増加、約1,500㎡程度と見込まれる圧縮・梱包・保管施設の確保、環境負荷の少ないリサイクル手法の選択、分別・洗浄など区民の皆様の更なる協力の確保など様々な条件をクリアする必要があります。

今後、先行する他区の取組状況を十分に分析・精査するとともに、リサイクル・清掃審議会の審議を踏まえた上で、先ほど申し上げた諸条件の整備を進め、容器包装プラスチック全般の資源化を実施したいと考えておりまして、こうした方針を平成20年度に策定する予定である「一般廃棄物処理基本計画」に位置づけてまいりたいと考えております。

 

《「生ごみ発電モデル事業」》

平成20年度の新規事業として「生ごみ発電モデル事業」が実施されます。事業の名称を見た時には、「生ごみ」と「発電」とがどうしても結びつかず、早速、担当の方にお願いをし、処理予定の施設を見学に行ってまいりました。

そこでは、既に、大量の生ごみが処理されており、施設内の電力を賄い、さらに余剰分は、東京電力に売却していました。また、CO2の削減は、一日あたり14トンにもなるとのことであります。廃棄物の処理技術、リサイクル技術の進歩を確認させていただいた思いであります。

今回の新規事業は、区立施設で発生した生ごみの半分程度を予定しているとのことでありますが、繁華街を抱え、大量の生ごみを発生させている本区にとって、将来の清掃・リサイクル事業を考えるうえで、極めて有用な事業と考えます。

そこで、この新規事業の位置づけ、また、今後の事業展望をどのように描いているのか、お伺いいたします。

 

次に、新規事業である「生ごみ発電モデル事業」の位置づけ及び今後の展望についてのご質問にお答えいたします。

区施設から排出される生ごみについては、平成10年度から、肥料として再利用するリサイクルを実施してきたところであります。

新規事業である「生ごみ発電モデル事業」は、この生ごみの約半分を大田区の城南島にある食品リサイクル施設に搬入し、「生ごみを微生物で発酵させてメタンガスを回収し、発電や熱供給に利用する」という新たな技術によりリサイクルしようとするものであります。

この事業では、これまで肥料の原材料としてきたリサイクル手法との比較を行い、費用の多寡、CO2発生量などの環境負荷の大小、リサイクルの効率性等を検証するとともに、再生可能エネルギーの活用制度における位置づけなどについても検討してまいりたいと考えております。

また、この事業の今後の展望でございますが、ご指摘のように、本区は繁華街を抱え、大量の生ごみが排出されております。平成18年度に豊島区、清掃一組がそれぞれ実施した「ごみ組成調査」から推定すると、本区から排出される全ごみ量の約35%が生ごみであり、さらに、繁華街の飲食店では、70%を超える量が生ごみであります。

したがって、清掃リサイクル事業の目標である「ごみ減量」のためにも、大量排出されている生ごみの資源化に積極的に取り組んでいく必要があります。

今後、「生ごみ発電モデル事業」を通じて、ごみ減量効果はもとより、「生ごみ発電」の技術面や副都心地域での活用の可能性などについても検証し、将来の清掃リサイクル事業にとどまらず、環境政策の展開にも活かしてまいりたいと考えております。

 

《地域の実情にふさわしい資源化事業を進める仕組みづくり》

製紙メーカーによる、いわゆる「エコ偽装」は社会に大きな衝撃を与えました。資源の分別回収に、草の根で協力している多くの区民の皆様のことを想うと、許しがたい行為であると言えます。

また、これに関連して幅広い議論が噴出したのも事実でありまして、我々も、資源のリサイクルについて、改めて考える機会となりました。

その一つが、リサイクルシステムを、「ただリサイクルすれば良い」というのではなく、コスト、エネルギー、住民満足など様々な視点から、冷静に見つめなおす必要がある、ということではないかと思います。

特に、リサイクルによるCO2の排出など、環境面への負荷についても評価する必要があると考えます。

そこで、お伺いします。区として、リサイクルシステムを多様な視点から判断できる材料を用意し、地域の実情にふさわしい資源化事業を進めるような仕組みづくりをすべきと考えますが、区長のご認識をお伺いいたします。

次に、地域の実情にふさわしい資源化事業を進める仕組みづくりについてのご質問にお答えいたします。

リサイクルについては、ご指摘のように、「ただリサイクルすればよい」というのではなく、コスト、エネルギー、環境負荷や住民満足など様々な視点から総合的に評価する必要があると考えております。

昨年6月、環境省は、同様の観点から「市町村における循環型社会づくりに向けた一般廃棄物処理システムの指針」を示しております。

本区においても、今後、この指針に基づき、多様な視点からリサイクルシステムを評価し、その結果を区民の皆様に公開していく仕組みを構築していきたいと考えておりまして、先ずは、そのモデルを、現在開会中のリサイクル・清掃審議会にお示しし、その審議を踏まえて、評価システムを整備し、地域の実情にふさわしい資源化事業の構築に活かしてまいりたいと考えております。

《トキワ荘の歴史・漫画文化の活用について》

最後に、地元の課題として1点だけ伺います。都市再生のところでも若干ふれましが、西側地域の文化施策について、面的、連続的な取り組みが計画されており、長崎、南長崎地域の住民には大きな期待がもたれており大いに評価いたすところであります。過去にも多くの議員の方々が長年訴えてきたことですが、ここにきて、旧長崎中学校跡地の西部地区スポーツ施設整備事業や西部地区総合事務所の施設整備に本格的に取り組まれるにあたり、区が新たに整備する施設に、トキワ荘やアトリエ村等の地域の歴史、文化を紹介する、なんらかのイメージ作りを施して、他の用事で訪れ方にも、常に地域の歴史や文化を自然のうちに語りかける方策を望みます。

昨年9月トキワ荘で青春時代を過ごし、区内祥雲寺にお墓もある、サイボーグ009の作者、石ノ森章太郎の出身地、宮城県登米市の“石ノ森章太郎ふるさと記念館”に視察に伺ました。塩釜市の石ノ森記念館は、漫画文化の担い手としての石ノ森を全面にしている記念館に対して、登米市のふるさと記念館は人間としての石ノ森を表現している記念館です。入館者は毎年約3万3千人。立地条件、交通の不便さからいっても毎年、確かな来館者がこられています。本館の敷地に入って、プロムナード、企画室、トキワ荘室内再現、デジタルシアター、更に“石ノ森章太郎のたからもの”としてトキワ荘の水道の蛇口が有名な漫画家から同館の開館直前に寄贈され展示されるなど、館内の内容の充実は私たちに本当に強くうったえかけてきました。本館から歩いて30秒ところには、石ノ森章太郎の生家を利用した別館もあり、少年時代の石ノ森の部屋や、1階の大広間は会議室として一般に公開されています。

そのふるさと館で私が注目したのは、あまり大きくない屋外の庭園“小川のせせらぎ”に、ビオトープの脇に石ノ森作品が壁に刻み込まれており、来館者が本館からちょっと目を違う方向に向けたところにも石ノ森作品が目に入り、無意識のうちに語りかける配慮がなされているところです。

 

本区においても、トキワ荘の記念館や資料館になるとそれなりに時間とお金がかかり大上段に構え議論する必要がありますが、南長崎、長崎地域で区が新しく整備する施設の床や、壁、ちょっとしたスペースを利用してトキワ荘の歴史・漫画文化を紹介する試みが可能ではないかと考えます。整備する施設にデザインなどちょっとした工夫を施すことにより、トキワ荘や漫画文化を身近に感じられる取り組みを望むものであります。

石ノ森の生家の大広間で、登米市の同館の副館長や関係者と意見交換の際に、登米市関係者から「ヨーロッパやアジア諸国の大学では近年、アニメ学部を創設し日本の漫画・アニメ文化を学ぼうとしている時に、漫画文化発祥の地、豊島区で、なんとしても日本・世界に発信できる取り組みを!」と強く、強く、要望、激励されました。

 

地元商店街の方々からも、記念碑などのご要望も頂いていることはご承知のとおりです。平成20年度予算案にも予算を計上されおり感謝致しているところですが、将来的には民間との協働をはかることは当然のこととして、区として新たに施設整備する際は、絶好の機会だと考えます。ぜひ前向きな取り組みを望むところですがお考えを伺います。

以上で私の質問全部を終わります。ご静聴ありがとうございました。

 

トキワ荘の歴史・漫画文化の活用についてのご質問にお答えいたします。

ご質問のとおり、手塚治虫や石ノ森章太郎ら多くの漫画家が青春の時を過ごした「トキワ荘」は、「アトリエ村」と並んで、本区の西側地域における貴重な文化資源であり、今なお、多くの人々から漫画の聖地と呼ばれ、特別な場所とされています。

本区におきましては、これまでに2度、郷土資料館において特別展を開催し、新中央図書館には特設コーナーを設置したところでございます。また、今年は、手塚治虫の生誕80周年にあたるため、これを記念した「手塚治虫セル画展」が、駒込、巣鴨及び雑司が谷の3つの地域文化創造館におきまして、3月2日まで開催されております。

そうした中で、南長崎地域の町会や商店会の方々によりまして、トキワ荘の記念碑を設立しようという機運が、現在高まってきており、近く正式に、地域の方々による設立準備委員会が結成されると伺っております。

区といたしましては、20年度予算に、その設立経費を計上しておりますが、地域の方々と協働して行うこの事業を契機に、「トキワ荘」の魅力を内外に向けて、さらに発信していかなければならないと考えております。

「大規模でなくても区有施設のスペースを有効に活用せよ」というご提案は、まさにそのとおりと存じます。地域を訪れた方々が、いつでも「トキワ荘」の歴史や漫画家たちの生き様に触れることができる空間は、必要不可欠でありますので、アーカイブス事業なども、検討してまいりたいと考えております。

いずれにいたしましても、「トキワ荘」を地域のブランドへ昇華させるように、地域の方々と共に、様々な施策に取り組んでまいります。

以上をもちまして、木下広議員のご質問に対する答弁を終わります。