平成19年第4回定例会(11/28)一般質問及び答弁

公明党  西山 陽介

 

公明党の西山陽介でございます。私は公明党区議団を代表して「安心と輝く未来の豊島を目指して!」と題し、1.地域コミュニティの再生について、2.災害に強いまちづくりの推進について、3.その他についてお伺いします。

本年4月多くの支持者の皆様からのご期待を担い、区議会の一員として早7ヶ月となりました。駅伝ではありませんが、タスキを渡していただいた小倉前議員からは「10年間は勉強だぞ」との言葉は、これまで片時も忘れることなく、後継の自覚を持って本日始めての一般質問を迎えることとなりました。

さて前回の第3回定例会では、初の決算特別委員として平成18年度決算の審議をさせていただきました。その中で昨年度、一般会計決算は実質単年度収支がプラス17億円となり、3年連続の黒字を受け、今年度予算は前年比3.9%プラスとなる9年ぶりの積極予算と伺いました。肌身に感じていない1期生の私が軽々に意見することは、はばかれることと思いますが、過去の資料を見ますと大変な危機的状況はうかがい知れるところであります。その中で職員定数の削減等を初め、これまでの行財政改革プランから、10年先を見据えた未来戦略推進プランへと、輝く未来への歩みを踏み出された今年度であると捉え、微力ながら与党の一員として、区民の幸せのために誠心誠意で取り組んでまいる決意でございます。

それでは1項目目の「地域コミュニティの再生」について7点にわたりお伺いします。

未来戦略推進プラン2007では、「私たちの豊島区が、住みたいまち、訪れたいまちとして選ばれていくためには、地域社会が結集して、魅力あるまちづくりを進め、自治体経営の持続可能性に対する信頼を高めていく必要がある」とあります。地域社会の結集と一口に言っても、我が豊島区にはそれぞれの特性を持った地域構造があります。特に町会或いは自治会といった既存コミュニティに加入したり、参加する方が減少傾向にあることに対し、危機感が叫ばれております。

一方で固有の地域課題において社会貢献を目指すNPOや市民グループなどの、いわゆるテーマ・コミュニティが活発化し、最近では気軽な交流空間としてインターネット・コミュニティが生まれるなど、コミュニティのあり方も多様化しつつある現状であります。これらを踏まえ、今後の地域再生を考えるとき、現行の地域活動を担っていただいている町会等と、将来の人口増を見越した転入の方たちと、また多様化するコミュニティ体との相互関係の構築が大変に重要な課題と考えますが、まず高野区長のご所見を承りたいと存じます①。

 

高野区長答弁

① ただ今の西山陽介議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。

まず、地域コミュニティの再生についてのご質問のうち、多様化するコミュニティ体相互の関係構築についてお答えいたします。

豊かなコミュニティの存在は、「住みたいまち」を形作る重要な価値であり、治安や防災をはじめ、子育て、教育、福祉、そして文化に至るまで「文化と品格を誇れる価値あるまち」の実現にとって欠くことのできない“地域の力”の源泉であります。

地域社会における、人と人との多様なつながりを基盤とした信頼関係の蓄積は、ソーシャル・キャピタルとも呼ばれ、都市の成長を左右する要素として、改めて注目されています。

核家族化が進み、人口の流動性も高い豊島区では、町会などの地縁に基づくコミュニティの希薄化が危惧されるとともに、旧来から住み続ける方々と、新たに転入してくる方々との交流やコミュニケーションも課題となっております。

その一方で、文化芸術や子育て、環境など、社会への関心や問題意識など、テーマを中心としたコミュニティが、活発な活動を繰り広げる姿もみられます。

私は、地域コミュニティを再生するためには、町会や商店会等を主体とする地縁型のコミュニティを基盤としながらも、テーマ型のコミュニティやNPO活動、さらには大学や企業も含め、それぞれが異なる立場を尊重し合いながら、横のつながりを広げていくことが重要であると考えております。

また、 豊島区 は、多様なライフスタイルと価値観を持つ区民が暮らす街であり、そこでのコミュニティもまた、多様で開かれた姿を目指す必要があります。

様々なコミュニティや新旧の住民が、考え方の違いを越え、対等の立場で交流しながら情報を共有することで、新たな連携や協力が生まれ、また、それぞれの魅力と活力を高めることにも、つながるのではないかと考えております。

地域コミュニティの再生は、一朝一夕に解決できる問題ではなく、将来を見据えながら、腰を据えてじっくり取り組むべき課題であります。

現在進めている「地域区民ひろば」を含め、地域のコミュニティを担う町会等と新たなコミュニティ、そして郷土を愛する一人ひとりの区民が、相互に理解と信頼を広げる姿を構想しつつ、新たな交流の仕組みを構築すべく、行政がコーディネーターとしての役割を積極的に果たしてまいります。

 

次に今年度の新規重点事業である、区政協力活動事業について伺います。

本年3月、区は町会連合会と協働協定を締結しました。本協定による当初目的について、現時点でのお考えをお聞かせください②。

 

高野区長答弁

② 次に、区政協力活動事業についてのご質問にお答えいたします。

これまで、区政における町会や町会が行う区政協力活動の位置付けは必ずしも明確ではなく、地域自治の視点から協働関係の再構築が求められていたところであります。

そこで、平成18年4月、区は「自治の推進に関する基本条例」を制定し、協働事業に関する協定について明文化しました。これを機に、ご指摘の区と町会連合会との協働協定の締結により、町会を区政推進のパートナーとして明確に位置付けるとともに、町会の区政広報活動を区と町会の協働事業として新たに位置づけし直し、「目的の共有・対等な立場・役割の分担」を基本に、町会に区政推進の担い手として区政協力活動を展開していただくこととなりました。

この協働協定の締結によりまして、町会の皆さんの意識が、これまでの「行政の下請け」といったものから、「区と対等なパートナー」へと変わりつつあり、特に地域区民ひろばの運営にあたっては、町会が中心となって協働がなされています。

この協定に基づき区と町会連合会で組織する「区政協力活動推進会議」で協働事業を推進する上での区と町会それぞれの役割と責務について議論されておりますが、今後は区政広報活動のみならず、リサイクル・清掃事業等の様々な事業につきましても協働事業と位置付けていく考えであります。

 

次に地域自治のあり方について伺います。「街全体をキャンパスに!」のスローガンのもと、先週19日に区内6大学と本区は「連携・協働に関する包括協定」を締結されました。6大学である、学習院、女子栄養、大正、帝京平成、東京音楽、立教の各大学がそれぞれに固有の特色を持ち合わせており、どの大学とも似通ったところではない、という印象であります。「人づくり」「活動づくり」「地域づくり」を基本コンセプトに掲げた「としまコミュニティ大学」が、大正大学を皮切りに紹介講座が開始されますが、連携・協働内容の達成に向け、大いに期待するものであります。また現在、自治推進委員会の設置を聞いておりますが、本区の目指す地域自治のあり方について、ご見解をお聞かせください③。

高野区長答弁

③ 次に、豊島区の目指す地域自治のあり方についてのご質問にお答えいたします。

冒頭で申し上げましたように、多様化・複雑化する地域の課題を解決していくためには、これまでの町会・自治会活動を基盤として、多様な地域活動団体、大学、企業、そして街を愛する一人ひとりの区民が、横の連携を強め、力を合わせていくことが重要であります。

地域の課題解決に向けて、様々な主体が役割分担をしながら協働し、“地域の力”を発揮する姿こそが、今後の「地域自治」の基本的なあり方であると考えています。

また、団塊の世代や新たな居住者など、より多くの区民に、身近な地域に対する関心を持ってもらうためには、参加することが自己実現につながるような魅力的な仕組みを作り上げていく必要があります。

こうした新たな地域自治の仕組みとして、現在、自治推進委員会において、「地域協議会」のあり方についてご審議いただいております。

「地域協議会」は、「自治の推進に関する基本条例」に基づき、一定の地域区分を定めて区長が設置するものであり、ヨコのつながりを広げながらまちづくりを協議する場、地域と行政との開かれたコミュニケーションの場として、位置づけるものであります。

また、行政の縦割りによる政策を、地域を軸として総合化し、横断的・効果的なまちづくりを展開する仕組みとしても、大きな期待を持っております。

「地域協議会」のあり方につきましては、自治推進委員会において、今年度末に中間報告を、そして来年度末には答申をいただく予定であり、その答申に基づき、区民の皆さまのご意見を十分うかがいながら、制度化を進めたいと考えております。

 

続いて本区における地域コミュニティへの支援策について伺います。

人も地域もコミュニティも直面している状況は千差万別であり、それぞれの現場では内在する課題に対し、その一つ一つを解決する知恵を求めている状況がございます。区全体を包括する支援策と地域に即した個別的な支援策、さらにコミュニティ独自の内からの力または提案に対応する視点を、より具体的に対策を講ずる必要があるとも考えますが、ご見解を伺います④。

 

高野区長答弁

④ 次に、区全体の包括支援、地域に即した個別的支援策、新たなコミュニティ体からの提案に対する対応についてのご質問にお答えいたします。

地域住民一人ひとりが自主的に参加し、その総意と協力により、地域福祉、環境保全、防犯・防災、子どもの健全育成など様々な分野で住みよいまちづくりを共通目的とする地域コミュニティへの支援は、「地域の力」を高める観点から極めて重要であると考えております。

まず、区全体の包括的支援策でございます。

町会への支援策として、これまでも、町会連合会作成パンフレットの転入者への配布、区のホームページへの町会活動の紹介など加入促進をバックアップしてまいりました。さらには、急増するマンション居住者の町会加入を促進するため、マンション居住者の町会加入状況等を調査し、マンション事業者が新たにマンションを分譲又は賃貸する場合に、入居者の町会加入に協力を促すための方策を講じてまいりたいと考えております。

また、NPOなどの地域活動団体の活動拠点であり、事務所機能、団体相互の交流場所や情報発信の機能を併せ持つ「区民活動センター」につきましては、その機能を十分に発揮できていないことから、後程ご答弁申し上げます地域SNSの活用なども視野に入れながら、来年度、検討会を設置し、設置数や機能について改めて本格的に検討する考えであります。

また、区民の自主的な活動であって、区民の社会生活の諸分野に寄与し、豊島区の地域づくりに貢献する活動をする区民グループへの支援を目的とする「区民活動支援事業補助金」につきましては、今後も、制度の周知徹底を図るとともに、その時々の社会経済情勢や区民ニーズを十分に考慮し、地域づくりに最も効果の高い事業へ補助してまいります。

一方、地域に即した個別的な支援策でございます。

地域区民ひろばにおいては、運営協議会による自主運営を通じて、地域コミュニティの活性化を目指しています。既に6地区において運営協議会が設立され、自主的な活動を展開しておりますが、区は運営協議会の設立から活動に対し、様々な支援を行っているところでございます。

また、西部地区では、地元の町会等が主体となって、豊かな地域社会の醸成を目指して、「西部地区夏まつり」を開催し、今年で4回目を迎えました。その他にも、西部区民事務所の施設利用登録団体運営委員会の主催で、毎年、ミュゼ・ダール吹奏楽団などが参加する「音楽日和」が開催され、多数の来場者で大きな盛り上がりを見せています。

こうした地域団体が協力し合って行事を成功させていく、その積み重ねこそが地域コミュニティの再生につながっていくものと考え、積極的に支援してまいります。

最後に、新たなコミュニティ体からの提案に対する対応につきましては、町会や地域団体、NPOなど、地域の課題に向けた活動を行っている団体からの提案を公募・認定し、事業を委託する仕組みを構築することで、地域の課題解決力を高めていくことが重要であると考えております。

 

さらに「としま協働プロジェクト」について伺います。

本プロジェクトの施策の中で、協働の基本的考え方、基本施策、協働マニュアル等を一体化したガイドラインの策定を計画されていると思いますが、本区が理想とする「協働」のあり方について、どのような着眼点をもって策定を進めておられるのか、地域コミュニティの構成員の一人として、是非わかり易い表現を通してお聞かせください⑤。

 

高野区長答弁

⑤ 次に、「協働推進ガイドライン」についてのご質問にお答えいたします。

協働には、行政が行ってきた事業を民間企業等へアウトソーシングする「官民協働」と、様々な地域課題を解決していくために、地域の公益的活動とのパートナーシップを築く「地域協働」の二つがあると考えています。

「官民協働」では、効率性とサービス向上が第一に求められるのに対し、「地域協働」は、豊かなコミュニティや地域活動の活性化を主眼として取り組むものであります。

現在、自治推進委員会の議論と並行して策定を進めている「協働推進ガイドライン」は、このうち、「地域協働」についての基本的な指針を示すものであり、職員が、公益的な活動団体との協働事業を進める上でのマニュアルとして活用することを目的としています。

協働は、これまでの行政主導のまちづくりを転換するものであり、職員一人ひとりが、その意義や公益的活動の特性を深く理解し、仕事の進め方を見直していく必要があります。

「ガイドライン」では、協働の原則をはじめ、協働事業の企画、協定書の作成方法、役割分担の明確化、そして成果の評価と公開など、ステップごとにポイントを分かりやすく示すとともに、特に、他の自治体を含めた実例を数多く紹介する予定であります。

豊富な実例を通して、協働の難しさと効果、課題を乗り越える創意工夫、さらに協働事業を継続していくための留意点などを具体的に伝え、職員の果敢なチャレンジを引き出すような指針として、今年度末には策定したいと考えております。

 

次に「公民連携」の考え方についてお伺いします。

ちょうど20年の佳節を迎える国鉄からのJR化、本年は郵政事業が民営化され、「官から民へ」の潮流は時代の流れを確実に反映しているものであります。厳しい予算の中で、ニーズの強い事業を施策とするには、効率化というキーワードは必然であります。

折りしも近年、新たな手法の一つとして公民連携という概念がアメリカの成功例もあり注目されつつあります。公民連携、通称PPP、パブリック・プライベート・パートナーシップと呼ばれ、公益実現のための公と民が連携する新しい枠組みのことで、公民が互いに分業・共働の精神で意思疎通を改善しつつ、潜在するリスクを互いに明示しあい、事業を確実に成功させるためのメカニズムを設定することであります。

当然の理解として本区では指定管理者制度等を導入していることは、公民連携に基づくことであり、価値ある評価と認識しております。地方分権が加速度を増す中、この公民連携の手法を今後も明確化して取り上げるべきと考えますが、まずは4年後、さらに10年後の展望としてのご見解を伺います⑥。

 

高野区長答弁

⑥ 次に、公民の連携の手法等についてのご質問にお答えいたします。

ご指摘のように、公民の連携は、社会の成熟化を踏まえ、「画一化による非効率」を課題として登場したものと認識しております。

公共サービスの提供や都市の再生、地域経済の振興などの政策を実現していくうえで、「目的共有から、施設建設、事業運営、さらには資金調達にいたるまで」、官と民がそれぞれ役割を分担し協働することが公民連携であると思います。

ここで民とは、民間企業、NPO、区民等をさすことはいうまでもありません。

このような連携を進めていくには、「リスクとインセンティブ」の関係を明確にし、「契約による合意」を行うことが必要です。本区が導入を進めてまいりました指定管理者や施設の民営化におきましてもこの点を明確にし、民の創意工夫、能力を引き出すための条件を提示してまいりました。

公民の連携につきましては、市場化テストの導入やPFIの活用といった検討に取り組んでまいります。さらに、区が所有する土地・建物の売却や賃貸などについても「民間事業の誘導・促進型」から、民間所有の土地を活用したまちづくりや都市再生などにより都市の価値を高めていくための「規制・誘導型」の公民連携も検討してまいりたいと考えております。

特に、今後、東池袋、南池袋の再開発の他、池袋西口の再開発を進めてまいりますので、ご指摘の手法を積極的に活用していく余地は多いと考えております。

その意味でも今後の4年、さらに10年後は、区の未来を拓く都市基盤の計画づくり、都市再生に大変重要な時期でありますので全力をあげて推進してまいります。

 

1項目目最後の質問は地域SNSの活用についてであります。

SNSソーシャル・ネットワーキング・サービスは、会員として登録した参加者が、インターネット上で共通の関心事について、日記やメールなどの機能を使って交流するサービスのことであります。従来のネット掲示板などに比べ、匿名性が排除されることから、いわゆる荒らしが発生する可能性が低く、安全性と信頼性が確保されているのが特徴です。

自治体としては熊本県八代市が国内初の運営を始め、静岡県掛川市、新潟県長岡市も参入し、東京都では千代田区がNPOなどの協力を得て、SNSコミュニティを構築する実証実験を開始したとのことであります。この千代田区では、「花見の季節になると、区に開花情報の問い合わせが殺到する」との悩みを、地域SNSコミュニティに持ちかけたところ、参加者から「開花しているライブ映像を配信してはどうか」との提案。実際の映像提供方法なども意見が寄せられ、最終的には24時間中継を実現し、問題提起からわずか1ヵ月半というスピード解決と聞きました。

また掛川市では市が策定する地球温暖化防止地域推進計画に関するコミュニティを設置。市民の感覚、身近な温暖化に関する話題が意見交換され、市はこれらの意見を計画策定に生かしていく方針とのことでありました。

本区では「区政への区民参加の拡大・多様化」のもと、3年ごとアンケートの実施及び、パブリックコメントを行っております。単身世帯が多い本区では、とかく行政に依存しがちなきらいがあるとすれば、新たなコミュニティの一つの手段として、ごみリサイクル問題、子育て支援、高齢者介護、障害者の社会参加のきっかけなどや、まちの課題解決、地域力強化に、新たに地域SNSを活用すべきと提案しますが、是非前向きなご答弁を伺いたいと存じます⑦。

 

高野区長答弁

⑦ 次に、地域SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)の活用についてのご質問にお答えいたします。

安全・安心なまちづくり、子育て支援、コミュニティの再生などの問題が、地域において切実な課題になっている状況の中で、地域SNSは、ご指摘のとおり、まちの課題解決、地域力強化に有効な双方向のコミュニケーション手法の1つであると考えております。

地域SNSの特徴は、行政だけではなく、NPOやボランティア団体、地域サークル、PTA等の多様な団体がコミュニティの場をつくり、会員同士の連絡や自由な意見交換を行う場を提供することにあります。地域の日常的な話題やイベント情報など、掲載内容に創意工夫をすることにより、会員の関心が高まり、会員の参加意識や他の団体との連携が強まることによって、地域コミュニティの活性化につながります。

全国の自治体の先進例を見ますと、利用に関して規制の少ないNPO等の民間団体が運営主体となっております。また、民間情報の掲載は有料化し、収益金を運営費に当てている団体もございます。

一方で、行政主導の地域SNSの場合は、行政情報が主体で、ともすると「硬い」内容になる傾向があり、アクセス数や会員数が伸び悩むという問題が指摘されています。

このため、地域SNSの姿としましては、行政もコミュニティの1人の構成員として参加し、民間団体若しくは公民連携で運営することが望ましいのではないかと考えます。

本区には、NPO団体や第3セクターの豊島テレビなど様々な団体がございます。このため、地域で活動する多様な団体の特性を活かし、地域コミュニティの再生のため、区と地域団体等との公民連携による地域SNSの構築について、積極的に検討してまいります。

なお、私からの答弁は以上ですが、その他の質問につきましては、関係部長から答弁いたさせます。

次に大きな項目の2つ目、「災害に強いまちづくりの推進」について質問します。

これまでも防災対策については、様々な機会で提案と論議が交わされてきたことと思います。本区の事業施策としても、居住環境総合整備事業を始め防災指導員の増員や戸別情報配信システム、地域防災組織の育成等々、終わり無き取り組みをされています。

そこで2項目目は6点に亘りお伺いします。

まず防災士養成への取り組みについて伺います。

防災士資格はNPO法人・日本防災士機構が実施する資格試験に合格後認定されるものであり、本年9月現在、全国で1万9千人余となっております。ライフラインが断たれた場合の対応や実際に災害現場で役立つ専門知識の習得を主に、33講座50時間の過程という、専門性を求めた高いハードルが設定されています。

このような中、現在まで17の都県自治体が防災士育成に取り組みを開始しております。東京都では世田谷区、荒川区が育成事業を位置付けており、この内世田谷区では「地域防災リーダー」の区独自養成講座を開始し、3年間で300人の育成を計画中であります。

本区における地域防災組織での取り組み以外にも将来を見越しての共助の役立てとして、防災士育成への取り組みは有効と考えますが、ご所見をお伺いします。

小野総務部長答弁

① 災害に強いまちづくりの推進についてのご質問にお答えいたします。

まず、防災士育成の取り組みについてのご質問にお答えいたします。

防災士は、減災と社会の防災力向上を図るために、十分な意識、知識、技能を有する者として、NPO法人日本防災士機構が認定するもので、資格取得には、講習会を受講して試験に合格することと、消防署等による救急救命講習の受講が必要で、一人当たり経費としては6万円程度が必要になります。

また、地域防災組織を中心とした地域の防災力の向上に、防災士が具体的にどのように関り、貢献していくことができるのか、精査する必要もございます。

本区におきましては、後ほど答弁いたします、リーダーハンドブックの作成や防災リーダーの育成が、まずは急務であると考えておりまして、防災士の育成につきましては、その後の課題とさせていただきたいと存じます。

また本区における防災リーダーへの取り組みや、いざというときの行動指針等の準備についてもお聞かせください。

小野総務部長答弁

② 次に、防災リーダーへの取り組みや行動指針の準備についてのご質問にお答えいたします。 本区におきましては、阪神・淡路大震災の発生を受けて、「リーダーハンドブック」を作成し、地域防災組織のリーダーとなる方々に対して、日ごろの備えや、地震が起きたときの具体的な活動内容などについて、指針をお示ししているところです。しかしながら、作成から10年以上が経過し、その後発生した災害での経験や、災害時要援護者対策などの課題も浮き彫りになっております。また、昨年には、東京都が首都直下地震がおきた場合の最新の被害想定を策定しておりますので、こうした状況の変化を踏まえた、新たなリーダーハンドブックを作成し、地域の防災リーダーの育成に取り組んでまいりたいと考えております。

次に豊島区災害協定について伺います。本区では11の地方自治体、同じく11の教育機関、13の自治体機関と公共的団体、さらに18の民間団体等と締結しております。これら協定先との連携は現在までどのような意思疎通や交流などを展開されているのでしょうか。特に民間団体等は中心的担当者の異動などもあることでしょうし、協定内容が災害現場での実行力ある体制になっているのかどうか、せめて年1回の顔の見える連絡会などを開催すべきと思いますが、ご見解を伺います③。

小野総務部長答弁

③ 次に、災害協定先との連携についてのご質問にお答えいたします。

ご指摘のとおり、協定先の担当者が異動などによって替わったり、連絡先の事務所が変わる場合などがございます。そこで、区では、毎年、年度替りの時期に、協定先の代表者や実務担当者、連絡先などの確認をしております。

ただ、確認方法は郵送で行っておりまして、いわゆるフェイス・トゥ・フェイスの関係ができ上がっている訳ではございません。顔の見える連絡会につきましては、協定先と緊密な連携を図るために有効ですので、今後、実現に向けて検討してまいります。

続いて災害時情報の発信準備について質問します。

以前我が会派の中島議員を通じて、区民の署名簿とともにコミュニティFM開設の提案をしました。残念なことに使用できる電波帯がいっぱいとのことで、やむなしの結果と受け止めております。

災害時のラジオからの情報は非常に有益なことですが、本区では、としまテレビの存在があります。地域防災計画には関係機関業務大綱として、広報の役割が明文化しておりますが、先月開始された緊急地震速報には対応しておりません。災害時情報の発信として、直前情報、直後情報と生活情報が広報の使命であることは論を待ちませんが、災害時における区民が必要とするローカル情報の有効手段として、としまテレビとの今後の連携について、そのご見解を伺います④。

小野総務部長答弁

④ 次に、災害時における情報発信の際のとしまテレビとの連携についてのご質問にお答えいたします。 災害時には、区民の方々に正確な情報をすばやくキャッチしていただくことが大切です。そうした観点から、本区におきましても屋外拡声器や戸別受信機など、災害に強い防災無線を整備しているところでございます。このほか、テレビやラジオなども災害時の重要な情報源となりますが、これらの媒体からは、区内の身近な情報を得ることが難しいという問題があります。

ご指摘のとしまテレビは、地震直後には電気やケーブルが途絶する恐れがありますが、復旧後には医療機関や交通情報、救援センターの開設状況などの区民生活に密着した生活情報の提供が期待できるものと考えております。そのため、今後、災害時におけるとしまテレビとの連携について、積極的に検討してまいります。

次に地震に対する本区の取り組みについて伺います。

本年7月16日発生の新潟県中越沖地震における負傷者の要因では、東京消防庁の資料によりますと、家具類の転倒・落下によるものが39%、3年前の新潟県中越地震では、実に41%に上り、負傷要因のトップになっております。本区では災害要援護者世帯を対象に、家具転倒防止器具の設置事業を昨年度より実施されておりますが、今年度にて終了の計画とし、評価次第で継続判断となっております。

消防庁では「地震に対する10の備え」のトップに家具類の転倒・落下防止を謳っております。我が会派の辻議員は先の決算特別委員会でも、継続を求める意見を表明いたしましたが、人の命に関わる重点事業として、来年度以降の事業リニューアルを改めて要望いたします。家具転倒防止が地震時において、身の安全を守る、最も大事な重要事項として、広く区民に継続して広報していただきたいと考えますが、ご見解を伺います⑤。

 

小野総務部長答弁

⑤ 次に、家具転倒防止器具設置事業の継続及び広報についてのご質問にお答えいたします。ご指摘のとおり、過去の大地震での負傷要因の第一位は家具類の転倒や落下でございまして、家具類の転倒防止は、減災対策の最重要課題の一つであると考えております。区では、区民の皆様に対して、「自助」の一つとして、家具類の転倒防止を行うよう、広く呼びかけるとともに、平成18年度から、災害時要援護者の方々を対象とした、家具類の転倒防止器具設置事業を行ってまいりました。2年間で約200世帯に対して転倒防止措置を講じましたが、潜在的には、更に多くの需要があるものと見込まれますので、この度、事業のリニューアルを行うことといたしました。

詳細は、検討中でございますが、介護保険の要介護1・2の方々にも対象範囲を広げることや、経済的理由で自ら設置することが難しい世帯に対して住宅用火災警報器の設置を行うことなどを、予定しております。

これによりまして、更に多くの方々に利用していただけるものと存じますので、内容が固まり次第、広くお知らせしてまいります。

2項目目の最後として、区民への地震に対する啓発活動について伺います。

最近はガスマイコンメーターの普及率がほぼ100%に、また石油燃焼機器類等における対震自動消火装置の設置は、昭和48年の火災予防条例により義務付けられており、地震直後の行動も従前の認識を変えなければなりません。「地震、その時10のポイント」では、以前は「すばやい消火、火の始末」が標語でしたが、現在は「火を使っているときは、揺れが収まってから、あわてずに火の始末」と改定されております。

要は、身の安全の確保を最優先とした行動の習慣付けを徹底し、揺れが収まってから、あわてずに出火防止や初期消火を行うなどの自助の重要さを、更に区民に向けて啓発活動を強化するべきと考えますが、その方策についてご所見を伺います⑥。

小野総務部長答弁

⑥ 次に、地震時の自助の考え方に対する啓発活動についてのご質問にお答えいたします。

ご指摘のとおり、大地震が発生したときには何よりも身の安全を確保することが重要で、東京消防庁のPR資料「地震 その時10のポイント」でも、第一番目の項目として見直されているところでございます。しかしながら、未だに以前のまま、「火の始末」を最優先しなければならないと覚えている方が多いことも事実です。

大地震への備えといたしましては、事前の対策として、先程の家具類の転倒防止や水・トイレの家庭内備蓄が重要ですし、発生直後には、まず身の安全を図り、揺れが収まってから消火活動を行うなどの心得を徹底することが重要です。すでに、広報としまや防災訓練、出前講座などを通じて、周知徹底に取り組んでいるところですが、今後、「防災ハンドブック」を作成し、全戸配布を計画しておりますので、その中でも、地震に備えた自助の大切さについて、強く訴えてまいりたいと考えております。私からの答弁は以上でございます。

大きな項目の3番目、その他について3点質問いたします。

初めに「コンビニ収納の実施」について、区長にお伺いします。

豊島区においては、財政健全化計画のもと、平成12年度に収入役を本部長とする収納対策本部を設置し、税、国民健康保険料、介護保険料及び保育園保育料の4公金をはじめとする債権の確保に取り組んでこられました。その結果、公法上の債権及び貸付金等の私法上の債権を合わせて、13年度末には53億円を超えていた収入未済繰越額が、18年度末には約44億円強に減少するまでに至っております。収納率は年々向上し、18年度において、現年度分と滞納繰越分を合わせた収納率は、例えば、特別区民税については23区で9位、国民健康保険料は10位という着実な成果が上がっております。まだまだ課題は多いことから、今年7月、収納対策本部は新たに副区長を本部長とする組織に改編され、存続されることになったと伺っております。

本区については、区民の転入・転出率が高い、また単身世帯の割合が高いなど、収納環境が決して恵まれているとは言えず、私としましては、督促・催告、初期未納者に対する電話催告、差し押さえにとどまらず、ありとあらゆる収納対策を進めていくべきであると考えております。

全国に目を転じれば、先進的な自治体においては、クレジットカードによる納付、携帯電話を利用した支払い、ペイジーの使用、あるいは、税等の滞納者が利息制限法を超えて支払った過払い金の差し押さえなども一部で実施されております。例えば、今年度から、宇都宮市においては、市立の小・中学校に通う児童・生徒の保護者全員から「給食費納入確約書」の提出を求め、支払いが滞った場合に備え連帯保証人を求めるといった対策も講じられております。また、この6月から、那覇市においては、子どもが卒園した後も滞納を続けている世帯からの保育料徴収業務の一部が、民間の債権回収会社に委託実施されております。

そうした状況において、身近な場所でいつでも納付が可能なことから、私としましては現段階において最も有効な収納対策であると考えるコンビニ収納については、18年度現在、23区で、住民税については7区、軽自動車税は11区、国民健康保険料は7割を超える17区で既に導入済みとなっております。

厚生労働省の調査によれば、国民健康保険料について、17年度にコンビニ収納を実施した50自治体のうち37団体、実に74%において収納率が向上したことが報告されております。その一つである江戸川区では、コンビニ収納を開始したことを主な理由として、国民健康保険料の収納率が一挙に1.72ポイントも上昇したとの報道も耳にしているところであります。

一方、20年度からは、医療制度改革に伴い75歳以上の高齢者を対象とした後期高齢者医療制度が創設され、保険料は個人賦課となり、約8割の方が年金からの天引きになるものの、残りの2割の方はこれまでどおり納付書を用いた普通徴収となることが予定されています。また、豊島区がベストシティの第2位にランクインした「週間ダイヤモンド」の全国805都市ランキング調査では、豊島区は、平成19年の10平方キロメートル当たりのコンビニエンスストアの数が131店と、全国で6番目に密度が高い状況となっております。

こうしたことから、本区においても、1日も早くコンビニ収納を実施すべきであると考えますが、区長のお考えは如何でしょうか①。

渡邉区民部長答弁

① コンビニ収納の実施についてのご質問にお答えいたします。

コンビニ収納については、平成15年度に収納対策本部において検討を行いましたが、相当な導入経費を要すること、先行して運用開始した自治体の実施期間が1年未満で、収納率の向上に結びつく検証がなされていない等の理由により、導入が見送りとなった経緯があります。

しかしながら、ご指摘のとおり、現在多くの自治体でその効果の検証が得られ、また、24時間、365日支払いが可能なことから、区民サービスの向上に寄与するとともに、納付があった日の翌営業日には速報が届けられるため、督促状の送付費用を削減できるというメリットもあることが分かりました。

したがって、今後、税、保険料等の収納率のさらなる向上を目指す上で、コンビニ収納が極めて有効な手段であると考えます。

システム開発に一定の期間を要することとなりますが、来年度当初予算に必要経費を計上し、平成21年4月からの導入を図ってまいりたいと考えております。

私からの答弁は以上でございます。

次に歩道上に一休みできるようなベンチ等の設置について伺います。

池袋2丁目郵便局前から川越街道にかけての、補助73号、通称劇場通りは歩道幅も広く、また自転車との歩車分離も施されており、池袋および池袋本町の方々は「安全に通行できる道」として池袋駅に向かう通勤者も含めて、非常に喜ばれているところであります。

そこで歩道の数箇所で、ちょっと一休みできるベンチや腰掛けることができるバーなどを設置することにより、高齢者に優しい町並みのひとつとして区民から喜ばれるものと思いますが、いかがでしょうか、お伺いします②。

亀山土木部長答弁

② 歩道上へのベンチ等の設置についてのご質問にお答えいたします。

ご指摘の補助73号線につきましては、区が管理する道路の中でも25mと広幅員で、さまざまな道路づくりが考えられる路線であります。歩道上にベンチ等を設置することは、高齢者や障害を持った方々が休むことができるばかりでなく、人々が憩うスペースの創造にもつながるものと考えます。

この路線の歩道にベンチ等を設置する場合、設置場所が歩車道境界側になるため、自転車とベンチ等を利用する歩行者が錯綜するなどの課題もございますことから、限られた場所での整備となることが想定されます。今後、交通管理者とも協議し、試行的にベンチ等を設置するなどの社会実験を行い、地域の方々や利用者の声を聞くなど検証を進めてまいります。

最後に地域に親しまれる公園利用を目指して、本区での公園改善計画についてお伺いします。

池袋本町には比較的大きな池袋本町公園があり、30年に亘り地域に親しまれている公園であります。日曜日には地域の方による清掃ボランティアも数年来活動され、桜の季節の賑わいや、地元の盆踊り会場として、また隣接する防災広場と小学校が地続きで広がり、池袋本町地域としてはゆったりできる貴重な空間であります。

そこで今後も子供の声が響く公園造り、お年寄りが元気になっていく公園造り、安全で安心できる公園造りに知恵と工夫を結集され、子どもからお年寄りまで楽しめる遊具の改善、特に最近、介護予防を楽しみながら体験できる介護予防遊具を設置した川越市や千代田区立西神田公園は、高齢者の方々に喜ばれていると聞いております。本区におかれましても、介護予防の一環として、介護予防遊具を活用した魅力あふれる公園造りを是非推進願うものでありますが、ご見解をお聞かせください③。

以上をもちまして私の一般質問全部を終わります。ご清聴、誠にありがとうございました。

亀山土木部長答弁

③ 次に、遊具の改善、介護予防遊具の新設についてのご質問に、お答えいたします。

ご質問にございますように、子どもから高齢者までの幅広い層に役立つ介護予防遊具として、23区で本格的に設置した事例としては、千代田区の2箇所の公園がございます。

これまで豊島区では、公園内で気軽に運動ができるように、大人の健康増進のための健康遊具を平成元年頃から設置しており、15箇所の公園・児童遊園に45基を設置しておりますが、介護予防の遊具は設置してまいりませんでした。

昨年、整備いたしました椎名町公園において、初めて、地域からのご要望を受け、介護予防の遊具を試験的に3基設置したところでございます。

また、介護予防遊具は、設置した公園等を「介護予防資源」に位置づけ、そこで介護予防教室を実施するなど、地域の屋内施設ばかりでなく屋外施設も連携することで、介護予防の推進策の可能性が、大きく拡がるものではないかと考えます。

介護予防遊具は、製品として目新しいこともあり、遊具に表示されている説明なども高齢者には小さすぎて読めないなど、製品としても改良が必要なものでございます。今後は、試験的に設置した遊具の利用状況を十分考慮し、遊具メーカーと改善点について意見交換を行い、公園内に介護予防遊具を設置していくかどうか検討をしてまいります。

以上をもちまして、西山陽介議員のご質問に対する答弁を終わります。