H14年4定木下代表質問
平成15年度予算編成及びユビキタスな情報サービスをめざして

私は公明党豊島区議団を代表して「平成15年度予算編成及びユビキタスな情報サービスをめざして」と題し、①平成15年度予算編成について②IT推進組織の拡充とリーダーシップについて③情報リテラシーの向上と民間活力導入について④更なる地域情報化の推進と今後の諸課題について。の4点にわたって質問いたします。区長及び教育長の積極的な答弁を期待し質問に入ります。

現在豊島区を取り巻く内外の状況は、デフレの悪化、景気の腰折れが懸念される厳しい経済状況のもと、国、地方も引き続き困難な財政運営を強いられる現状であります。また、地方への税源移譲が具体的に盛り込まれると期待された「地方分権改革推進会議」の報告でも残念な結果となったのはみなさんご承知の通りであります。

こうした過酷な状況を背景として、高野区長が取り組まれている本区の15年度予算編成は、相当の困難が予想されると思いますが、今まさに編成作業が進む中、平成15年度予算編成の諸課題について質問いたします。加えて、財政制度全般について多様な議論が活発化し《新基本構想、基本計画》の策定作業が走り出した中、本区の総合的な将来を見据えた行財政運営のあり方について伺うものであります。

最初に平成15年度予算編成の諸課題について伺います。区長は、召集挨拶の中で「厳しい状況の中でも、豊島区の未来を切り開く展望をもった予算編成が求められる」と述べておられますが、平成15年度予算編成の中では、具体的に、どのような分野に力点を置こうとしておられるのか伺います。

次に予算編成にあたって財政健全化計画は極めて、有効に機能していることは平成13年度決算が2年連続して黒字に転じることができたことに象徴するよう、私どもは大いに評価するところであります。また、厳しい状況の中では、その健全化への着実な取り組みが不可欠であると考えるところから、15年度に向けた健全化計画への取り組み状況と現段階における達成見込みについて区長のご所見を伺います。

 

次に現在策定作業に入ったの新基本構想・基本計画における行財政経営方針について伺います。先ほども触れたように財政健全化計画は予算編成にあたり、有効に機能していると思われますが、同計画が終了する平成17年度以降も、このような機能を持った計画が不可欠であると考えますが区長のご所見を伺います。 また、この「ポスト財政健全化計画」は、健全化計画が果たした機能のみならず、職員定員の見直し、区有財産の活用、行政評価の予算への反映、などを包括的に盛り込み、施策のレベルアップ、時代に即応した施設建設など新規事業を総合的、体系的に明示すべきであり、いわば、「行財政経営計画」と言うべきものと考えますが区長のお考えを伺います。

更に新たな基本構想、基本計画の策定に着手している今、この「行財政経営計画」を基本計画の体系の中にしっかりと位置づけ、基本計画の目標を達成する手段として機能させるべきと考えますが区長のお考えを伺います。

 

続いて大きな項目の二つ目、『IT推進組織の拡充とリーダーシップ』について伺います。地方自治体の行政の情報化について発信している、週間「行政情報化推進ニュース」ではこの夏、695市区に対してアンケートをとり、584市区から解答を得て、行政サービス情報化ランキング付けを行いベスト30が掲載されています。それによると、三鷹市が第1位、23区では台東区・荒川区が同率17位、武蔵野市が同率30位と報告されています。また、昨年の2月のIT先進都市ランキング20では第1位が横須賀市、三鷹市が同率5位、武蔵野市が同率19位と出ています。そのアンケート結果に、次のような記者のコメントが載っていました。 「上位にランクされている市及び自治体は、市長さんなどの〝長〟の情報化に対する理解及びリーダーシップが強いところがあり、かつオピニオンリーダーとしての情報システム・政策担当者がいらっしゃる。この組み合わせが必要なのでしょう」とありました。すなわち、行政のIT推進には、〝長〟のリーダーシップと情報化政策リダー及びその方々と情報化についての意思を共有しIT化を進める組織という3点が必要であるとのコメントであります。

国では、IT戦略本部が「平成14年度IT重点施策に関する基本方針」いわゆるe-Japan2002プログラムが発表され、平成15年度までに電子政府を実現し、電子自治体の構築を推進することとされています。
本区においては、H8年策定のテレトピア計画においては企画部情報化推進担当課、H12年策定した「豊島区行政情報化推進計画」は政策経営部企画課、電算機や庁内LANなどの設備や管理は政策経営部情報管理課となっています。又、HPの運営については政策経営部広報課が所管し、言い意味では作業の分担化を進めている反面、本格的な電子区役所の構築を統括して進めて行く〝核〟のような部分、エンジンのような部門が明確になっていない気がするのであります。

又、後述する市川市のようにIT推進におけるアウトソーシングの活用は時代の要請であります。そこで区長に伺います。本格的な電子区役所の構築を統括して進めて行く組織についてどうお考えなのか?どのようにして進めていかれるのか、アウトソーシングの活用をふまえてご答弁願います。

又、先ほど紹介した「行政情報化推進ニュース」のコメントにあるように、IT先進自治体の特徴に市長さんなど〝長〟のリーダーシップが大きく影響しているとあるように、高野区長の強力なリーダーシップを発揮される必要があると思います。区長の電子自治体に向けたご決意を再度お聞かせ下さい。

 

又、最近多くの諸団体で、CIO(チーフ・インフォメーション・オフィサー)=情報統括責任者というのがあると伺いました。情報システムの導入、運営、管理が中心の専門的な役務であり、重要なのは、CIOには情報専門知識は当然のこととし、重ねて経営的戦略が求められている役職であります。

情報化を推進する本区として、後段で述べる情報リテラシーの観点からも、全庁的な権限を有するCIOを設置し、情報の求心性とマネジメント力を高める必要があると考えます。CIO設置に向けたご検討について区長のご所見を伺います。

 

続いて大きな3項目目、『情報リテラシーの向上と民間活力の導入』について伺います。豊島区のIT推進化の顔としての区公式ホームページの取り組みには若干の物足りなさはあるものの、HP担当職員の採用などその〝やる気〟は評価できるところであります。

しかしながら、区HPの〝政策〟のページを見た30歳台の会社員の区民の方から「事務事業評価」のなかの企画課-職員提案制度の項目をさして「庁内LANの効果が全くなっていない」とのお叱りの言葉をいただきました。確かに13年度の事務事業評価ですから庁内LANの活用が始まったばかりの段階であることは差し引いても、平成14年の年末になった今でも、未だに情報機器を使った全職員への情報アンケート、e-mailを使った職員提案制度が実施されていないことに疑問を持つものは私一人ではないと思います。

仮に最新の機器・すぐれたアプリケーションソフトが整備されたとしても、それを活用する職員の情報活用能力=情報リテラシーが貧弱であれば宝のもちぐされになってしまいます。そこで伺います、情報機器を有効に活用するための本区の職員情報リテラシーへの取り組みはどういう方針で、どういう計画でおこなっているのか、これまで取り組んだ成果などもふくめ伺います。

全国的にIT先進自治体で有名な横須賀市では、まず、職員の情報活用能力をイントラネットでアンケートをとり、電子市役所のあるべき職員の情報リテラシーの目標を明確にし、習熟度別の技術講習会に加え、情報マネジメントの講習会も行なうなど「電脳仕事人養成塾」の体制をつくり大きな成果をあげています。

私は係長以上全員にパソコンが行き渡った現在、早急に現在の職員の情報リテラシーを掌握するための電子アンケートを行ない、アンケート調査にもとづいた豊島区独自の職員の〝情報リテラシー向上計画〟を作ることが必要と考えますが区長のお考えを伺います。

更に、庁内LANが職員の新たな業務の開発に有効であることを内外に示すためも早急にe-mailを使った職員提案を行なう事は必要と考えますが合わせてご答弁下さい。

理想的な情報化を進めるに当っては最新のIT技術の習得と同時にあらゆる知恵を使った財源の確保に取り組んでいく必要があることはIT先進自治体を調査すればするほど明確であります。私は前述したIT推進の組織の明確化とともにH12年12月に策定された「豊島区行政情報化推進計画」をある程度、時期的にそして財源的な裏付けのある、「豊島区IT推進実施計画」を作成し、職員を初め区民に明らかにすることにより時代の要請である区民との協働が進み更に職員の情報リテラシーの向上にもつながると考えます。IT実施計画への取り組みについて区長のご見解を伺います。

更に自治体の厳しい財政状況を考えますと、「アウトソーシング」民間活力の積極的な活用が、区民ニーズに適応した行政情報化推進に不可欠であると考えられるところから、本区の情報リテラシー向上におけるアウトソーシングの活用についてどのようにお考えなのか伺います。また、アウトソーシングの活用及び飛躍的に進む行政情報のIT化においては、〝個人情報保護〟という問題は、一層、重点的に取り組むことが望まれます。大切な個人データーを扱う職員及び外部企業の〝個人情報保護〟に対するモラルの向上についてどう取り組んでいかれるのか伺います。

 

続いて大きな4項目、『更なる地域情報化の推進・情報拠点など今後の諸課題について』提案も含め質問いたします。区民のための情報化を推進するためには、ITを活用した行政の区域や組織の枠を超えた区民の力を区政に反映させる、パートナーシップに根ざした取り組みが不可欠であります。

本区においては、例えば区立図書館蔵書情報のインターネット検索サービスは多くの区民から好評をえているところであり、関係職員のご努力には敬意を表するものでありますが、いつでもだれでもどこでもというユビキタスなサービスは、これからが本番であります。

私は千葉県市川市の情報プラザを取材しました。このプラザの5階には情報システム課の職員がおり、情報システム課の人数は25人ですが、今年度からその内6人は民間人を迎え、区の職員と混在して仕事をしております。それは、ITの進歩に市の職員だけで対応するのが厳しくなって来ているため、民間の情報技術を積極的に導入するためだそうです。この様に情報施策の上でアウトソーシングが具体的に進んで、情報化推進に関する民間活力がしっかりと生かされるような仕組みが出来つつある様子がうかがえました。更に具体的な地域情報サービスにおいては、24時間365日サービス拠点として、東京を含め関東600店舗のコンビニエンスストアの情報端末から市のホームページの一部を閲覧できるようにしました。これは、情報機器を持たないことによる、行政情報におけるデジタルデバイドを解消するためのものであり、同時に、地域学習センターにインターネット接続のパソコンを設置し、市のホームページを閲覧できる公衆情報端末として活用していくものであります。

 

私は、地域情報化をすすめるためには、区の情報施策を推進し区民はもとより区外の方にアピールする情報拠点づくりが必要と考えます。また、現在区有施設において「豊島区HP」を閲覧できる場所はまだまだ限られていると言わざるをえません。区民への多様な情報サービスを考えた場合、いつでもどこでも誰でもという〝ユビキタス〟な情報サービスの構築をはかる必要があります。本区における地域情報化を推進する情報拠点についてどのようにお考えなのか区長のご見解を伺います。又、情報拠点づくりとともに私が何度も議会で提案したとおり〝地域情報化実施計画〟を明らかにし、お年寄りから子どもまで、情報サービスが提供できる仕組みを作るべきと考えますが区長のご所見を伺います。

 

その他の情報化に対する諸課題について細かい点を質問いたします。まず『高齢者・障害者へのIT支援』についてであります。国が推進したIT講習会は、時間がたてば経つほど盛り上がりをみせ、特に高齢者の積極的な姿勢が特筆されることは情報通信白書の結果を見てもあきらかです。残念ながら国からの支援は一応終了となってしまいますが、今後、豊島区として高齢者・障害者の社会参加を進める上で有効なIT支援づくりについてどのようにお考えなのか伺います。このような施策は情報化の人的ネットワークを活用することがかかせません。コンピュータ学習を支援するNPO、シニアネット等との連係となりますが、IT講習会に始まった高齢者・障害者へのIT化支援をより連続性のあるものとして充実させるための方策についてどのようにおかんがえなのか教育長に伺います。

 

最後に『東京都など他自治体とのネットワークの活用』について伺います。東京都は、平成13年3月に、「電子都庁推進計画」を発表して、既に総合的な情報化施策の推進を図っています。更に、昨年12月には、「電子都市構築に関する懇談会」をスタートさせ、電子都市の構築に向けて重点的に取り組むべき政策の方向性について検討を進めてきました。この報告書の内容として、注目されるのは、電子自治体の構築と新たな自治体間の連携を目指して、東京都が広域的に取り組むべき施策を提言する、としているところです。具体的には、住民サービスの向上のための自治体連携の推進として、

① 東京都と区市町村、関東エリア七都県市との連携に向けた総合的な調整機能の発揮

② 広域的な事業取り組みへのベストプラティチスの提示

③ 電子申請や電子調達、統合的GISの構築・運用の検討

④ 東京都と連携した区市町村の電子化・情報化の推進

⑤ 電子的な行政サービスの取り組みに向けた区市町村との協議

⑥ 東京都と区市町村を結ぶネットワークシステムの検討

⑦ 区市町村との共同開発・共同運営を促進するための「都区市町村電子自治体共同運営協議会」の設立

などが提言されており、本区が「行政情報化推進計画」で、やろうとしたことの大部分を、都が共同してやろうと提言しているのであります。

行政のIT化には単独で実現するには、かなり負担の重いものが多いのは前述した通りであります。事柄の性格上、広域的な処理を要するものやネットワーク上では、共通のアプリケーションソフトを走らせる必要から、システムを共同開発したり、共同運用したりすることが妥当であるようなものについては、当然のことながら他の自治体と共同して取り組めれば、それに越したことはありません。又、既に開発されたシステムを利用できれば、より低コストでIT推進事業を実現することもできます。東京都の情報化を巧く生かして、本区のIT推進事業にプラスになるよう努めることが必要です。

東京都及び他自治体との共同についての現状と今後の方針をお聞かせ下さい。

以上で私の一般質問全部をおわります。ご清聴誠にありがとうございました。

11/25/02 8:34:08 PM