○区長(高野之夫君) ただいまの水間和子議員のご質問に対しまして、順次お答え申し上げます。なお、教育委員会の所管に属する事項につきましては教育長から答弁申し上げます。

まず、当面する青少年施策をさらに一歩進めるための課題について、順次お答えをいたします。
まず第一点目の障害を持つ中高生の放課後や長期休業中の過ごし方の問題についてでございます。
第一点目の「アフタースクールの会」の場所の問題についてのご質問にお答えをいたします。
「アフタースクールの会」においては、昨年十二月より西部保健福祉センターの一室をご利用いただいておりますが、ご指摘のとおり、スペース、設備などの面で十分とは言い難い状況にございます。このため、区といたしましても、もう少し広い場所をで
きるだけ早く提供できないかと、現在、廃館になりました児童館を候補に挙げ、貸付条件等について鋭意検討をしているところでございます。なお、施設改善につきましても、「アフタースクールの会」の要望等を踏まえながら、合わせて検討していきたいと考えております。

第二番目の補助金の支給についてのご質問にお答えいたします。
「アフタースクールの会」は、既に本区の区民活動支援事業補助金の平成十四年度新規公募分に申請されております。補助金等審査委員会においては、区民グループが行う自主的な活動として大変高く評価されており、現在、交付に向けて最終の調整を行っているところでございます。また、東京都の福祉改革推進事業の補助金につきましても申請中でございますが、ただいま触れました区民活動支援事業補助金との関連から、交付される可能性は高
いものと考えられます。

第三番目の区の基本構想、基本計画の見直しにおける障害児施策のあり方についてのご質問にお答えをいたします。
ご案内のとおり、昨年十一月、心身障害者福祉センターの幼児部門が西部子ども家庭支援センターの開設に伴い、発達支援事業として移管いたしました。また、東西の子ども家庭支援センターにおいては、子供と家庭に関するあらゆる相談に対応できる体制を整備したところでございます。したがいまして、今後、障害児の施策に関しましては、子ども家庭部が中心となって取り組んでいく所存でございます。このため、先般、子ども家庭部内において障害児対策を検討するプロジェクトチームを立ち上げたところでございます。
ご指摘いただいた関連施策や施設の一覧を初めとする必要な情報の集約につきましては、具体化に向けて検討してまいりたいと考えております。なお、ご指摘にあります区独自の要綱、補助金制度の確立につきましては、今後の検討課題とさせていただきます。
一方、見守りシステムの導入、ワンストップサービスに向けての整備や中高生の障害児に関わる放課後の支援のあり方については、教育委員会との連携が不可欠であります。したがいまして、区の横断的な検討組織である「子どもの施策調整会議」において、今後の課題として検討の上、その方向性について区の基本計画のスキームに盛り込んでいきたいと考えておりす。

次に、第二点目の学童クラブの夏休み中のお弁当券導入についてのご質問にお答えをいたします。
現在、本区では、夏休み等の休校日は昼食について弁当持参を原則としておりますが、保護者の皆様の協力を得ながら、衛生面には特段の配慮をしております。また、親御さんが心を込めてつくられましたお弁当を子供たちは楽しみにしているという状況にあります。しかしながら、一方、ご指摘のとおり、最近お弁当券の導入に関する要望が「区民の声」として上がってきている状況もございます。したがいまして、今後、利用者の選択肢の一つとして、希望者にはお弁当券を販売するシステム導入についても、その是非やあり方に関して検討していきたいと考えております。

次に、住民参加型ミニ市場公募債の早期導入についてのご質問にお答えをいたします。
第一点目、本年度にミニ市場公募債の発行を検討している団体と対象事業についてお答えをいたします。
現段階で把握している団体は十五団体でありまして、府県レベルでは、ご質問にありました群馬県を含む七県、政令指定都市では札幌市など三市、市町村では群馬県太田市など四市一町となっております。また、対象事業は防災センター整備、福祉センター建設、学校整備などとなっております。

次に、第二点目、このような状況の受止め方とミニ公募債の意義についてお答えをいたします。
ご案内のとおり、地方債を取り巻く状況は大きく変化をしておりまして、金融制度改革とも関連し、自治体の資金調達方法は多様化しつつあると認識をしております。ミニ公募債もこのような多様化の表れと受け止めておりまして、自治体の関心も急速に高まってきているものと考えております。
また、ミニ公募債の意義につきましては、ご質問にもございましたように、住民が資金を提供することにより行政への参加が促進され、住民自治を推進する上で大きな意義があるものと考えております。

第三点目、ミニ公募債のメリットとデメリットについてのご質問にお答えいたします。
導入されて間もない制度でありますので、今後、多くの事例を積み重ね、見極める必要があると考えられますが、現段階におきましては、メリットとして次のことが挙げられると考えております。まず、自治体にとりましては資金調達手段の多様化が図られ、住民の行政への参加意識を高めることができること、引き受ける金融機関にと
りましては新たな顧客獲得が期待できること、そして住民にとりましては資金の運用対象が広がることであります。
一方、デメリットといたしましては、引受け金融機関が個人の販売体制を整えるため、相当の経費を要するものと考えられます。これが手数料などへ跳ね返り、資金調達コストが高くなってしまうことも考えられます。

次に、第四点目、ミニ公募債の早期導入と具体化に向けた対応についてのご質問にお答えをいたします。
ミニ公募債につきましては、この制度が発表された平成十三年度以来、大きな関心を持って他団体の状況等を調査するとともに、二十三区財政課長会におきましても、早期導入に向け積極的に働きかけを行ってきたところであります。
このような動きに応え、この度二十三区財政課長会の下に住民参加型ミニ市場公募債等検討会が設置され、今月十二日に第一回の会議を開催したところでございます。本区の財政課長もメンバーとして参加をしておりますので、早期導入に向け積極的に対応してまいりたいと考えておりまして、二十三区の協議結果にもよりますが、十四年度ないし十五年度の導入を目指して取り組んでまいりたいと思います。
また、金融機関との折衝、募集・PR方法など実務面での条件整備も必要になるものと考えられますが、ミニ公募債の意義を踏まえて、導入実現に向けて努力をしてまいる所存でございます。
以上をもちまして、水間和子議員のご質問に対する私の答弁を
終わります。
〔教育長二ノ宮富枝君登壇〕
○教育長(二ノ宮富枝君) 引き続きまして、教育委員会の所管に
属する事項に関するご質問に対しまして、私から順次お答え申し
上げます。
まず、新教育制度下における豊島区の現状と展望についてお答
えいたします。
第一点目のゆとりの教育と学力低下についてのご質問について
お答えします。
第一番目の学校週五日制の実施状況の問題点等についてでござ
いますが、平成四年の月一回から始まり、平成七年には月二回へ、そして本年四
月からの毎週実施へと段階的に実施してまいりましたので、円滑
に進行していると捉えています。
今、四月からの新学習指導要領の実施に伴い、子供たちにゆと
りの中で生きる力を育成する教育を行っております。この生きる
力とは、各教科の学習ばかりでなく、様々な体験を積むことによ
って身に付く総合的な学力でございます。したがいまして、学校
ばかりでなく、家庭、地域がそれぞれ持つ役割を果たしていかな
ければ、この生きる力の育成は成し得ないと考えております。
ご質問にありますように、子供たちが土曜日を有意義に過ごす
ことができる機会と場を選択肢として数多く用意することは大変
重要であります。この点から、教育委員会としても、新しく中学
生の居場所づくり事業やおもしろサイエンスワールド事業を実施
しているところでございます。また、学校においては、例えば長
崎小学校では囲碁・将棋、読み聞かせ、理科実験などの土曜教室
が、時習小学校におきましてはスポーツなどの時習塾が、保護者、地域の育成団
体、教員等の協力により開催されています。私は、これらの事業
の継続や広がりを長い目で見守ってまいりたいと考えております。
ゆとりをうまく活用することができず、塾通いが増加するので
は、また学力が低下するのではとの声も一部でありますが、様々
な機会を捉えまして、説明したり実際に見ていただくなどにより
まして、生きる力を育む教育に対する理解を進めてまいりたいと
考えております。今後とも子供たちの家庭や地域における過ごし
方の状況を見ながら、選択肢の適切な提供を行ってまいりたいと
考えております。
第二番目の民間活力を生かした手法の導入等、教育技術の手法
についてのご質問にお答えします。
ご案内のとおり、本区では既に各学校におきまして、地域の人
材や民間活力を導入した体験活動や学習を推進しているところで
ございます。本年度の「としまスクールスタッフ派遣事業」では、百五十名を超
えるスクールスタッフの登録を行い、登録された人
材はデータベース化され、各学校の活用が始まっています。また、区内のロータ
リークラブの協力による講師派遣を受け、千早小学校、長崎小学
校では夏休み英会話教室の開催を予定しているところでございま
す。
私は、今日の学校教育は学校の人材だけで進める時代ではなく
なったと認識しており、こうした民間が持つ専門性を取り入れて
いくことは、特に児童・生徒の感性や社会性を育む重要な役割を
持つものと考えております。教育委員会といたしましては、今後
とも民間の持つ教育技術の手法を積極的に取り入れていきますと
ともに、活用のシステムづくりを進めてまいります。
次に、第三番目の学力向上型の取組みについてのご質問にお答
えいたします。
一つ目の本区における小中学校の私立への進学状況についての
ご質問にお答えいたします。
今春四月の進学状況を見ますと、私立小学校へは六・九%、私
立中学校へは三二・五%で、例年とほぼ同様の数値を示しており
ます。これは、「学力低下が私学志向を強める」というマスコミ報
道とは異なり、多様なニーズ、例えば小中高一貫教育等への期待
によるもの、私学の建学精神に共感するもの、将来の希望にかな
う学校の特徴があるなどに応じて選択がなされているものと捉え
ております。
次に、二つ目の朝の読書運動の具体策についてのご質問にお答
えいたします。
朝の読書運動の取組みは、本に親しみ、活字離れを防ぐ取組み
として重要であると受け止めております。本年五月、指導室にお
いて実施いたしました「読書活動等に関する調査」によりますと、小中学校とも
に七割が朝の読書活動に取り組んでおりました。また、教科や休
み時間などを利用した読書活動を含めますと、全校で取り組んで
おります。この読書活動への取組みを詳細に見ますと、保護者の
協力を得た読み聞かせ、全教員がブックトークを行う読書タイム、
オープン図書館の設置など、読書を習慣付ける様々な工夫が見ら
れます。
一方、取組みの深さにつきましては、ご指摘のようにばらつき
もございます。したがいまして、まず先進的な事例の紹介等を積
極的に進め、読書活動を奨励してまいりたいと考えております。
また、平成十五年度からは、読書活動の中心となる司書教諭を十
二学級以上の学校に置くという基準を上回る方向で本区では全校
に配置することといたし、一層の充実を図ってまいります。
教育委員会では、子ども読書推進法の趣旨を踏まえ、学校図書
館の充実、読書教育を総合的に進めるため、「これからの学校図書
館検討委員会」、仮称でございますが、設置をいたしまして積極的
に取り組んでまいります。
次に、三つ目の学力向上型サタデースクールについてのご質問
にお答えします。
四月以来、教科の補習を行う教育委員会や学校の事業がマスコ
ミ等で紹介されており、これらの取組みを注目しているところで
ございます。
本区におきましては、児童・生徒の学力向上には基礎・基本の
定着を図る授業の充実、わかる授業の実施が何よりも重要である
と考えております。したがいまして、授業研究の奨励、教員研修
の充実・強化を行うとともに、少人数指導や習熟度別指導、チー
ムティーチングの拡充に努めているところでございます。
また、七月から始まります夏季休業中に教科の学習補充や学習
を深める学習深化の指導を計画している学校が、小学校では六校、中学校では七
校あります。学力向上を学校の課題として主体的に取り組んでい
きますよう働きかけますとともに、教育委員会といたしましては、
各学校への支援を行っていきたいと考えております。
ご提案のサタデースクールは、児童・生徒の学力向上にとって
有効な方法の一つであると思います。学校週五日制実施の趣旨、
新教育課程の目指す方向を踏まえますと、教育課程に関する実施
状況調査の結果にも注目しながら、既に実施している学校等の成
果や状況を参考にし、モデル実施も含め、本区に合ったサタデー
スクールの形態、実施方法等を鋭意検討してまいりたいと考えて
おります。
次に、第四番目の独自の実態調査の実施についてのご質問にお
答えいたします。
学校週五日制の完全実施は、子供の学習や生活スタイルに大き
な影響を与えております。また、学校や家庭、地域社会にとって
も新しい対応が求められております。
したがいまして、これからの教育のあり方を見詰め、変化に対
応して教育改革を進めていく上でも、ご提案の実態調査の必要性
は極めて高いと考えております。青少年の健全育成・教育は区政
の重要施策の一つでございます。教育委員会といたしましては、
子ども家庭部とも連携して、本年度末を目途に、学校教育、家庭
や地域での過ごし方等に関する実態調査を実施してまいる予定で
ございます。
次に、第二点目の小中学校の外部評価制度につきましてお答え
いたします。
第一番目の学校運営連絡協議会の役割についてでございますが、
その役割の一つには、学校運営や教育活動を保護者や地域の方々
にご理解いただくこと、二つには、学校の課題を明らかにしその
解決に向けて連携・協力を図ること、三つ目には、よりよい学校
運営が行われるよう支援することであり、開かれた学校づくりを
推進する上で極めて重要であります。
ご案内のとおり、本区では平成十一年度、学校評議員制度の趣
旨を先取りし、東京都で真っ先に全小中学校に学校運営連絡協議
会を設置いたしました。この間、各委員と学校とが教育活動や学
校運営についての意見交換や協議を行うとともに、地域の方々の
スクールスタッフへの協力や学校の地域行事への参加、地域が一
体となった学校安全体制の確立、さらに外部評価機関としての役
割も果たし、成果を上げてきたところでございます。
昨年六月の池田小学校における児童殺傷事件の際には、すべて
の小中学校において直ちに臨時の学校運営連絡協議会が開催され、子供たちの安
全確保や危機対応が適切になされ、大きな成果を上げたことは記
憶に新しいところでございます。本区の学校運営連絡協議会のあ
り方や取組みは、東京都の模範例として紹介され、全国各地から
視察を受けているところでございます。
次に、第二番目の品川区の外部評価制度をどのように受け止め
るかについてでございます。
品川区では、平成十二年度から実施した学校選択制に伴い、専
任の外部評価者が区共通の評価項目と基準によって担当する学校
の外部評価を実施し、その結果を公表するというものでございま
す。本区のように学校運営連絡協議会の組織は持たず、外部評価
のみを目的としていることに特徴がございまして、一つの方法と
して今後の成果に注目してまいりたいと考えております。
次に、第三番目の品川区のような外部評価制度の導入の検討に
ついてでございます。
本区におきましては、学校運営連絡協議会の委員が各学校の評
価項目を作成し、主としてアンケート方式による外部評価を実施
してきたところでございます。平素から学校の状況を多面的に把
握している委員によって外部評価を行う意義は、評価の精度を高
くするとともに、信頼関係の中で評価結果を学校運営に生かすこ
とができるところにあると捉えています。
本区の方式、品川区の方式、方式は異なりましても、開かれた
学校づくりを推進し、学校をより活性化していこうという目的は
同様でございます。今後は教育委員会事務局の中に外部評価検討
委員会を設置し、本区の共通の評価項目や評価基準、公表のあり
方等を検討していく予定でございます。このように、評価方法等
の共通化を進めることによりまして、本区の外部評価のより一層
の充実を図ってまいりたいと考えております。
次に、知的財産権の保護など、教育行政への取組みについてお
答えいたします。
学校におきましては、教育活動の一環として情報リテラシーの
育成を図っております。プライバシーの保護や著作権について、
発達段階に応じた学習を行い、知的財産権に対する正しい認識の
育成に努力しているところでございます。教員に対しましても、
著作物は無断使用できない、複製は授業の必要限度において認め
られるなど、著作権法の趣旨の徹底を図っているところでござい
ます。
また、生涯学習の観点から、今後、知的財産権をテーマにした
区民教室、大学公開講座などを開催し、一般区民の方々にも理解
を深めていただきたいと考えております。
ご提案にありますように、生涯学習社会の重要な課題として、
知的財産権に対する理解の推進につきまして努力してまいりたい
と考えております。
以上をもちまして、水間和子議員に対する私の答弁を終わりま
す。