ただいまの、木下広議員のご質問に対しまして、順次、お答えを申し上げます。

まず、平成15年度予算編成の諸課題についてのご質問にお答えいたします。
第1点目の15年度予算での重点分野についてでありますが、本年9月に策定した「平成15年度予算編成方針」におきましては、『区民生活に密着し、「暮らし続けられる安心・安全なまちづくり」、「副都心等の再生」に資する事業に対し、限りある財源を重点的、効果的に配分すること。』を掲げております。
これは、新基本計画における施策体系との関連を想定しつつ、区民生活の質的な向上に対する効果が大きく、また、計画的な展開が必要とされる事業を、重点分野と位置づけようとするものであります。具体的には、学校の新築を始めとする「教育」の分野、また、駅周辺整備などを中心とした「街づくり」の分野について、財源の工夫なども加えながら、積極的に対応してまいりたいと考えております。

次に第2点目、財政健全化計画への取り組み状況と達成見込みについてお答えいたします。
3年次目となる財政健全化計画は、本年9月に、今後の収支見通しを踏まえた取り組みの概要を示す「実施計画素案」を策定し、現在、その具体化に向け、検討、調整作業を進めております。15年度予算への反映の考え方につきましては、「実施計画原案」にとりまとめ、本定例会の最終日に、ご説明申し上げたいと予定しております。また、健全化計画の達成見込みについてでありますが、まず、歳出抑制につきましては、職員の定員削減、事務事業の見直しを中心として取り組んでおりまして、特に、事務事業の見直しにつきましては、中間の集計段階で80%を超える達成率になるものと見込んでおります。歳入確保につきましては、税等の徴収努力などを掲げておりますが、厳しい雇用情勢などもあり、計画目標をどの程度達成できるのか、予断を許さない見込みとなっております。

次に第3点目、新基本計画における「行財政経営計画」についてお答えいたします。まず、第1番目の財政健全化計画と同様の機能を持った計画の必要性についてでありますが、今後の財政環境は、社会経済の成熟化にともない、税収の大きな伸びが期待できない一方、施設の改築、改修を中心に膨大な歳出需要が想定されるのであります。
したがいまして、時代に見合った新しい行政需要に対し、的確に応えて行くためにも、スクラップ・アンド・ビルドを徹底し、限られた資源を効率的に活用することが不可欠でありますので、このような機能を果たし、推進する計画が必要であると考えております。

次に、第2番目の「行財政経営計画」のご提案についてでございます。
今後の行財政運営は、先ほども申し上げましたとおり、行政需要に対し、拡大を前提として臨むことはできず、新たな区民サービスを開始するためには、既存サービスの見直しが不可避となる、いわば「政策の選択」が基本となると考えられます。
そのため、ご提案にございました「財源」、「人員」、「資産」などを適切に管理し、最も必要とされる分野へ効果的に投入する、ということが重要となってまいります。同時に、これらを総合化し、具体的な展開を方向づけることが必要でありまして、新たな基本計画での施策を考えるうえでも、こうした機能をもった計画の意義、役割について、十分検討する必要があると認識したしております。
そこで、このような計画づくりを含め、新しい時代にふさわしい「行政経営システムのあり方」を検討するため、基本構想審議会との連携も考慮し、東京大学法学部助教授の金井利之先生を座長に、関係の主要課長で構成する「豊島区行政経営システム検討会議」を、今月発足させ、政策展開、財政運営、人事制度、定員管理などについての検討に着手いたしたところでございます。
したがいまして、この会議での検討、また、基本構想審議会でのご論議を踏まえ、ご提案がございました「行財政経営計画」を基本計画の体系になかに位置づけ、有効に機能する基本計画となるよう、今後、十分に検討してまいりたいと思います。

次に、IT推進組織の拡充とリーダーシップについてのご質問にお答えいたします。
第1点目の、電子区役所の構築を進めていく組織についてのご質問にお答えいたします。
電子区役所を構築していくための、推進組織の必要性については、私も十分に認識しております。
そこで、本年9月に、助役を本部長といたします、「豊島区行政情報化推進本部」を設置したところでございます。今後の電子区役所の構築につきましては、この本部を核として進めてまいります。
現在重点的に検討している事項といたしましては、文書管理・財務会計などの事務処理システムの導入、アウトソーシングの活用などがございます。
特にアウトソーシングの活用につきましては、オペレーション業務、システム運用・管理業務を中心に検討しております。しかしながら、個人情報保護のための効果的な対策、システムのブラックボックス化の防止など、解決すべき問題点も多くありますので、今後さらに検討を深めていきたいと考えております。

次に、第2点目の、電子自治体に対する決意についてのご質問にお答えいたします。
e―Japan2002プログラムにおきましては、2003年度までに、電子情報を紙情報と同等に扱う行政を実現することとされております。このプログラムに基いて推進されている、電子政府の構築と歩調を合わせまして、現在多くの自治体は、電子自治体の構築に取り組んでいるところでございます。
本区におきましても、他の自治体に遅れることのないよう、電子自治体の構築に取り組んでいく所存であります。
また、電子自治体につきましては、私自身、理解を深める必要があると感じております。そのため、年2回程度、幹部職員とともに、研修を受ける機会をもつようにしておりまして、来月も研修会を予定しております。

次に、第3点目の、CIO設置に向けた検討についてのご質問にお答えいたします。
CIOには、情報専門知識と経営的戦略が求められることは、ご質問のとおりでございます。両者を兼ね備えるのが理想ではありますが、私は、どちらかと言えば、経営的戦略の方が重要であると考えております。
そこで、先ほど申し述べました、「豊島区行政情報化推進本部」の設置と同時に、本部長である助役をCIOに位置付けたところでございます。

次に、情報リテラシーの向上と民間活力の導入についてのご質問にお答えいたします。
第1点目の、職員情報リテラシー向上への取り組みについてのご質問にお答えいたします。
ご指摘のとおり、情報機器を有効活用するためには、職員の情報リテラシーの向上が、必要不可欠になります。
そこで、庁内LANの導入にあたっての、全管理職・全係長を対象とした研修を始めとして、導入後も、各課に置きましたキーパーソンを中心に、適宜研修を実施しているところでございます。
また、従来から、職能研修としてOA研修を実施しておりますが、特に今年度は、「職員研修基本計画」に基くOJTのテーマとして、約3分の2の課が「OA」を選択しております。
これらの研修により、職員の情報リテラシーは着実に向上しているものと考えておりますが、質・量ともにより充実を図り、今後も職員の情報リテラシーの向上に、積極的に取り組んでいく所存であります。

次に、第2点目の、「情報リテラシー向上計画」についてのご質問にお答えいたします。
ご指摘のとおり、職員の情報リテラシーにはかなりの個人差がございます。また、IT技術は日進月歩の状況でございますので、情報リテラシーの向上には、到達点はないものとも考えております。 その中で、職員の情報リテラシーの向上を図り、職場のITリーダーとなる人材を育成していくためには、計画的に研修を実施していく必要があると認識しておりますので、「情報リテラシー向上計画」につきましても、前向きに検討させていただきます。 なお、Eメールを使った職員提案でございますが、現在、職員提案制度そのものの見直しを図っているところでございますので、その中で、検討させていただきたいと思います。

次に、第3点目の、「豊島区IT推進実施計画」への取り組みについてのご質問にお答えいたします。 「豊島区行政情報化推進計画」におきましては、本区が電子区役所の構築に向けて進むべき方向性は定めておりますが、ご指摘のとおり、財源的裏付けのあるものではございません。しかしながら、先ほど申し上げましたとおり、電子区役所の構築は、本区にとっても重要な課題と考えております。
したがいまして、厳しい財政状況ではございますが、今後策定されます「豊島区基本計画」との整合性も図りながら、着実に「行政情報化推進計画」を実現していく所存であります。

次に、第4点目の、情報リテラシー向上におけるアウトソーシングの活用についてのご質問にお答えいたします。
IT技術が日進月歩の状況にある現在におきましては、職員による対応には限界がございます。それを補うためにアウトソーシングを活用することは、きわめて有効な手段であると考えております。
このことは、情報リテラシーの向上につきましても、同様でございますので、今後アウトソーシングを積極的に活用していきたいと考えております。

次に、第5点目の、個人データを扱う職員及び外部企業の個人情報保護に対するモラルの向上についてのご質問にお答えいたします。
区におきましては、住民のみなさんの個人データを扱う業務が数多くございます。また、意図的な漏えいも含めまして、個人データが漏えいする原因の8割以上が、人為的ミスによるものという統計もございます。このため、個人情報保護に対するモラルの向上はもちろんのこと、セキュリティ対策がますます重要になっているものと認識しております。
職員に対して、セキュリティ教育を繰り返し行うとともに、外部企業につきましても、セキュリティ教育の実施を求めることなどにより、個人情報に対するセキュリティ対策の強化をなお一層図っていきたいと考えております。

次に、更なる地域情報化の推進・情報拠点など今後の諸課題についてのご質問にお答えいたします。
第1点目の、地域情報化を推進する情報拠点についてのご質問にお答えいたします。
情報拠点につきましては、いつでもどこでも誰でもという「ユビキタス」な情報サービスの実現を考えますと、どこか一ヵ所に集中させるということではなく、地域のどこにでも拠点があるという状況が望ましいものと考えております。
そのために、現在も、中央図書館、社会教育会館などに、区民のみなさまが利用できる情報端末を設置しておりますが、ご質問の市川市のように、コンビニエンスストアの情報端末を利用することも含めまして、さらに多くの出先機関に情報端末を設置することを検討してまいります。
今後は、区民のみなさまが、いつでも気軽に利用できるような情報拠点づくりを積極的に検討していきたいと考えております。

次に、第2番目の、「地域情報化実施計画」についてのご質問にお答えいたします。
電子自治体の構築は、誰もがIT社会の恩恵を受けられるような仕組みを作ることを、目的としているものと、理解しております。そのような意味で、行政情報化とともに、地域情報化の推進を図ることも、電子自治体を構築するための重要な課題と考えております。
先ほど行政情報化について申し述べましたが、地域情報化につきましても、「豊島区基本計画」とも整合性を図りながら、着実に推進していく所存でございます。

次に、IT推進組織の拡充とリーダーシップについてのご質問にお答えいたします。
第1点目の、電子区役所の構築を進めていく組織についてのご質問にお答えいたします。
電子政府の構築と歩調を合わせまして、電子区役所を構築していくことは、本区においても重要な課題であると認識しております。
そこで、本年9月に、助役を本部長、収入役を副本部長、各部長を本部員といたします、「豊島区行政情報化推進本部」を設置したところでございます。今後の電子区役所の構築につきましては、この本部で検討していくことになります。
また、アウトソーシングの活用につきましても、この本部で検討していくことになります。

次に、第2点目の、「地域情報化実施計画」についてのご質問にお答えいたします。
電子自治体の構築は、誰もがIT社会の恩恵を受けられるような仕組みを作ることを、目的としているものと、理解しております。そのような意味で、行政情報化とともに、地域情報化の推進を図ることも、電子自治体を構築するための重要な課題と考えております。
先ほど行政情報化について申し述べましたが、地域情報化につきましても、「豊島区基本計画」とも整合性を図りながら、着実に推進していく所存でございます。

引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問に対しまして、私からお答え申し上げます。
第3点目の、高齢者・障害者への情報化支援の充実についてのご質問にお答えいたします。
まず、今後の区としての支援づくりについてのご質問にお答えいたします。
平成13年度に国の補助を受け単年度事業として実施したIT講習会に引き続き、14年度は、コミュニティ振興公社への助成により、28講座、約600人を対象としたパソコン教室等を開催するとともに、区民事務所、中央図書館、社会教育会館など区内12か所にインターネット接続の端末を配置し、区民の利用に供しております。また、心身障害者福祉センターでは、「障害者地域自立生活支援センター事業」としてパソコンルームを設置し、視覚障害などそれぞれの障害に対応した講習を実施しております。今後も、こうした事業の充実に努め、高齢者や障害者の情報処理能力の向上を図ってまいりたいと考えております。

続きまして、高齢者・障害者への情報化支援をより連続性のあるものとして充実させるための方策についてのご質問にお答えいたします。
現在、高齢者の生きがい事業として実施しているシニアライフ入門講座の修了者が自主的に集まり、旧池袋授産場において高齢者向けのパソコン教室を実施しています。また、先に述べた心身障害者福祉センターにおける障害者向けの講習会では、公募のボランティアが講師として活躍しております。
区といたしまして、15年度は、社会教育会館1階に個人及び団体の利用に供する常設のパソコンルームを設置するとともに、講師ボランティアの育成事業も行ってまいりたいと考えております。
従いまして、高齢者及び障害者の更なるIT基礎技能習得に向けて、コンピュータ学習を実施したり、支援したりするグループ・団体とのネットワーク化を図り、情報及び場の提供、指導員派遣等の支援の充実に努めてまいりたいと考えております。

次に、第4点目の、東京都及び他自治体との共同についての現状と今後の方針についてのご質問にお答えいたします。
本年5月に、共同でシステムの開発・運営を行うための基本方針等を検討するため、東京都と都内の全区市町村が参加して、「都区市町村電子自治体共同運営協議会準備会」が発足いたしました。
「準備会」におきましては、現在、共同運営協議会のあり方、電子申請、電子調達に関する基本方針について、検討をしております。その結果をまって、来年1月を目途に、共同運営協議会への参加の意思確認が行われることになっております。
他自治体との共同につきましては、ご質問のとおり、本区のIT事業の推進にプラスになる点が多々ございますので、今後、積極的に検討していきたいと考えており
ます。
以上をもちまして、木下広議員のご質問に対する答弁を終わります。

次に、第4番目の、東京都及び他自治体との共同についての現状と今後の方針についてのご質問にお答えいたします。
東京都と都内の全区市町村が、共同でシステムの開発・運営を行うための基本方針等を検討するため、本年5月に、都区市町村電子自治体共同運営協議会準備会が発足いたしました。
準備会におきましては、現在、協議会のあり方、電子申請、電子調達に関する基本方針について、検討をしております。その結果をまって、来年1月を目途に、共同運営への参加の意思確認が行われることになっております。
今後も、本区のIT事業の推進にプラスになると判断するものにつきましては、他自治体との共同について、積極的に検討したいと考えております。
以上をもちまして、木下広議員のご質問に対する答弁を終わります。