令和3年第三回定例会公明党木下広一般質問
人に優しい街としまを目指して
令和3年9月22日登壇
私は公明党豊島区議団を代表して、「人に優しい街としまを目指して」と題して、
1.新型コロナウイルス感染症対策について、
2.令和2年度会計決算と今後の区政運営の在り方について。
3.障がい者に優しい街づくりについて。
4.今後の本区のデジタル化推進について。
5.その他として西武池袋線沿線の街整備ついて一般質問します。
区長並びに区当局の積極的な答弁を期待します。
質問に入る前に、新型コロナウイルス感染症でお亡くなりになられた方々に心から哀悼の意を表し、現在新型コロナウイルスの治療中の皆様に心からのお見舞いを申し上げます。そして未曽有のコロナ感染症から日々国民の命を守って頂いている医療従事者はじめ池袋保健所職員の皆様、介護従事者の皆様に心から感謝を申し上げるます。7月23日開催した2020東京オリンピック、9月5日に閉会したパラリンピックを無事終えることができました。開催国の一人として、誠に嬉しく誇らしい気持ちで一杯です。2020オリンピック・パラリンピックは「全ての人が自己ベストを目指し」「ひとり一人が互いを認め合い・多様性と調和」「そして、未来につなげよう・未来への継承」との3つのコンセプトのもと開催され、コロナ禍という困難な状況ではありましたが、世界中のお客様をおもてなしの心をもってお迎えし、東日本大震災からの復興を世界にアピールし大成功に終えることができました。選手並びにボランティア、大会関係者の尽力に心から感謝を申し上げます。今回、築き上げた「多様性と共生の姿」を世界に更に広げ、孫子の代にしっかり継承していく事を強く感じました。
それでは、発言通告に基づいて順次質問させていただきます。
【新型コロナウイルス感染症対策について】
最初に新型コロナウイルス感染症対策についてうかがいます。
コロナ対策の中心であるワクチン接種について、希望者には一日も早く接種することが望まれますが、本区における接種状況と今後の接種見込み、ワクチン供給見通しをお示しください。中学3年生や高校3年生の受験生のワクチン接種にご対応頂き感謝します。今後の受験生への優先接種についての予定を教えください。自宅療養者への支援について感染急拡大にともない区が積極的に陽性者への初回確認や希望者への食料品対応を高く評価します。自宅療養者への不安を取り除く相談体制も必要と考えますがお考えをうかがいます。若い世代の方の中にはワクチン接種を躊躇(ちゅうちょ)するケースやSNSなどで誤った情報によりワクチン接種が遅れ感染拡大に繋がる恐れがあります。自治体として、若い世代に正しい情報発信し感染防止を図ることが必要と考えます、ご所見をうかがいます。感染された方の多くが何らかの後遺症に悩んでいます。後遺症相談についての現状と今後の取り組みについてお示しください。更に、ワクチンパスポートの問い合わせを頂きます。本区のワクチンパスポートの現状と今後の対応についてお知らせください。
また、度重なる緊急事態宣言で飲食業、宿泊業、運輸業やその関連事業者は大変な状況の中、知恵を使って懸命に頑張っておられます。事業への国の中小企業庁の月次支援金や子供の臨時休校で仕事を休まざるを得なくなった保護者への小学校休業等対応助成・支援や雇用労働者の「休業支援金」など、コロナ禍で事業者支援策の案内、情報提供を更に進めて頂きたいと思います。ご見解をうかがいます。また、各種支援金申請は原則インターネット申請となっており、豊島区が独自に取り組んだ行政書士等の代理申請はIT環境のない個人事業主などに大変喜ばれており今般の補正予算での計上を評価します。行政書士等による代理申請の効果をお示しください。
【令和2年度会計決算と今後の区政運営について】
次に令和2年度の区会計決算の評価と課題、決算を受けた今後の区政・財政運営についてうかがいます。緊急事態宣言の影響で、区民の暮らし、営業、経済活動は大きく影響を受けています。内閣府が8月に発表した今年4~6月期の国内総生産(GDP)は、年率換算で1・9%増となり、先月発表の速報値から上方修正され、2四半期ぶりのプラス成長となりました。飲食業の低迷と自動車販売も苦戦。7月~9月期も低成長が続き景気の停滞は長期化するとみられます。日本経済が成長していくためのけん引役として期待されるのが、デジタル技術によるデジタル・トランスフォーメーション=DX関連や環境分野への投資で外食分野におけるデリバリー化の推進やリモート勤務、オンライン授業の増加など、デジタル化が益々進むことになります。また、13日発表された法人企業景気予測によると、大企業景況判断指数はプラス3・3となり、3四半期ぶりのプラス。半導体の需要、ワクチン接種の進展を背景に、製造業を中心に改善。先行きについては、大企業全産業が10月~12月期、来年1月~3月期でプラス6・6を見込み、中小企業はマイナスで推移するとしています。
令和2年度の本区会計決算については、新型コロナウイルス感染症対策の影響で歳入・歳出決算ともに過去最大の規模となりました。投資的経費は令和元年が「百年に一度の大改革」と位置づけ、施設投資が一段落したことにより、大幅な減となりました。財政の弾力性を表す「経常収支比率」は85.9%。「公債費率」は4.1%となり、いずれも本区の財政規律をクリアし、引き続き健全な財政であるとしています。
今後の財政運営を考えますと、不合理な税制改正やコロナ禍の影響からくる法人住民税の減少が年々区財政に悪影響を与え続け、先行き不透明な状況が続くと言わざるを得ません。また、待機児童対策など子育て施策の充実、生活保護などの扶助費の増大、学校等の大規模改修による施設の長寿命化等は避けては通れない命題です。国際アートカルチャー都市を標榜する文化を中心とした魅力ある街づくりに向けての様々な行政需要に応えていかなければなりません。今後も突発的な緊急対応の備えも視野に入れながら、長期的な安定した財政基盤を考えた場合、貯金である基金と借金である起債の有効活用も常に考えていく必要があります。
そこでうかがいます、アフターコロナの不透明な時代の区政運営、財政運営についての基本的なお考えを伺います。更に財政の基本、2大財源である特別区民税、特別区財政調整交付金について今後どう見込んでおられるのかうかがいます。又、借金と貯金のバランスについて現状の認識と今後の取り組みついてお聞かせください。さらに、PDCA・マネジメントサイクルにより経営改善のための行政評価を着実に進めていくことも重要だと思います。行政評価への取り組みについてのご見解をお示しください。
私は高野区政がスタートした平成11年・2000年当時の深刻な区財政状況を区議会2期生として経験しました。起債残高872億円、経常的な経費と借金の返済で、新しい街づくり、行政サービスへの投資は抑えられるという硬直した悪夢を二度と繰り返すことのないよう時代を見据えながら健全な財政運営を望むものであります。
【障がい者に優しい街整備について】
続いて、大きな項目の2つめ、障がい者に優しい街整備についてうかがいます。
2020東京オリンピックに続き、東京パラリンピックが9月5日感動のうちに無事閉幕しました。コロナ禍という未曽有の困難な状況の中、大会テーマである「多様性と調和」を世界に発信した意義は大変に大きいと思われます。
パラリンピック大会には、162の国・地域と難民選手団のアスリート約4400人が参加。さまざまな障がいを乗り越えて競技に挑むパラアスリートの勇姿に、人間の持つ可能性の大きさ、偉大さを改めて教えて戴きました。希望と勇気を世界中に発信して頂いた全てのパラアスリートを心から称えたいと思います。今後は、開催都市TOKYOとして、パラリンピックの理念である「共生社会・インクルーシブ社会」をどう構築していくかが大きな課題となります。そこでまず、2020東京五輪及びパラリンピックについての高野区長のご所見を伺います。
今年の4月初旬、南長崎在住の視覚に障がいをもつ方より、大和田通りの信号機を撤去するという看板を知人から教えて貰い、恐怖と不安を綴ったご相談メールをいただきました。早速、区土木関係者、地元町会、富士見台小学校に確認。近隣にお住まいの区障がい者福祉協会会長さんらと協議し、署名をもって信号機存続の声を豊島区と目白警察に届ける事になり、短期間のうちに地域の皆様や障がい者団体の皆様に署名のご協力をいただくことができました。
4月中旬には高野区長に署名簿をお渡しし要望。翌日には視覚障がい者と共に目白警察署の交通課長にも署名簿をお渡しし信号機存続を嘆願。交通課長さんからは「陳情の主旨を重く受け止め善処する」旨回答を頂きました。同日夕方には撤去を知らせる看板が外されるという最速の対応により、押しボタン信号機が当面存続する事となりました。この信号は20年数前入学したばかりの富士見台小学校1年生児童が自動車にひかれ亡くなるというつらく悲しい歴史をもつ信号でした。就任早々の岡谷危機管理官に於かれては、陳情文に記載された「信号の押しボタンを押してから11秒心でカウントし12秒後に歩き出せば通りを安全に渡れる」との相談者の声を自ら現地で体験して下さり様々ご尽力頂き感謝いたします。
警察はこの信号の撤去は数回の調査をしたうえで撤去の方針を定め、豊島区土木担当課には「撤去した後の安全を考えて欲しい」との指示をし、地元町会、富士見台小ISS委員会にも「信号を撤去する」との決定を前提にして周知したと説明されました。残念ながら周辺にお住いの視覚障がい者、聴覚障がい者等障がい者団体の方々にはにはなんら説明はありませんでした。
障がい者が安全で安心に暮らすことができるバリアフリーの街整備について、我が国は平成26年国連「障がい者の権利に関する条約」に批准。平成28年4月「障がいを理由とする差別の解消の推進に関する法律=障がい者差別解消法」を受け、共生社会を実現し、社会的障壁を除去する改正バリアフリー法が平成31年全面施行されました。本区においては2020東京オリンピクを目指してまず「池袋駅地区バリアフリー基本構想」が交通事業者、大型店舗、地元町会、商店街に加えて、障がい者団体の代表の方にも参加頂き現地調査も行い、議論を重ね、計画を策定されました。そして計画に基づき、案内板の整備、車イスの導線や点字ブロックの整備、エレベーターが設置される等安全安心な池袋駅周辺のバリアフリーの街整備が進み、区議会にもご説明を戴きました。
「障がい者差別解消法」には高齢者や障がい者の自立した日常生活を確保するために、公共交通施設や建築物のバリアフリー化、地域における重点的・一体的なバリアフリー化の推進が明記されています。
そこでうかがいます、「池袋駅地区バリアフリー基本構想」は本区におけるバリアフリー化のモデルとして、池袋駅以外のJR各駅、西武池袋線、東武東上線など私鉄駅、地下鉄各駅など駅周辺のバリアフリー化に計画性をもって取り組む必要があると思います。池袋駅以外の駅周辺及び公共施設周辺のバリアフリー化への計画策定についてのお考えをお聞かせください。
豊島区未来戦略プランには区内の各地域を都市計画マスタープランなどで街づくりの在り方などが明記されていますが、そのような計画と共に、各地域のバリアフリー化の計画も策定するべきだと考えます。その計画には池袋駅地区基本構想と同様に障がい者団体の皆様にも参加頂き、安全安心のバリアフリーの街計画に取り組むべきだと考えますがお考えをうかがいます。
また、喫緊の課題として、前述した通り地域の信号や交通標識、ガードレールなど交通機材を撤去するなど交通環境を大きく変える際は、障がい者や高齢者等交通弱者保護の観点からも、警察関係者と区道管理者である豊島区と綿密に連携をとり街づくりに取り組むことが、本区の全ての方に優しい街づくりには何より大事だと思います。何から、何まですべての変更の意思疎通は無理としても、交通体系が大きく変わる際には必ず区側と警察が連携をとる体制の構築をこちらから働きかけしていただきたいと思いますがご所見を伺います。
又、視覚障がい者の方から、「障がい者教育」の充実についてご要望を頂きました。自転車に乗った児童が視覚障がい者のま横を勢いよく通り過ぎ、急停止し転倒した際、陳情者の白状が自転車のタイヤスポークに入り込み折れてしまうなどの怖い思いをしたとの事です。教育委員会からは、本区小中学校では学年に応じて違いを認め、みんなが共生していく教育を進め、点字ブロックを現地で体験学習するなど、障がい者教育の実例をうかがいました。現在は高齢化が益々進み、手押し車、杖、車いす等安全のために支援が必要な方が更に増えていきます。インクルーシブ社会の担い手として小・中学校の時代に人への優しさを身に着けることは欠かせないと考えます。視覚障がい者の方からは改めて児童に“やってもらいたい事”として「自転車で狭い道路ではスピードを出さない、白状を持った方や盲導犬の方が信号で止まっていたら声をかける。できれば信号が赤から青に変わるまで待ってあげて教えてあげる」とのご要望をいただきました。障がい者の方が“やってもらいたい事”を分かり易く丁寧に子どもに伝え、子ども達に気付かせながら共生社会の実現に資するよう取り組んで頂きたいと思います。聴覚障がい者の方からも同様の要望がある通り、障がい者の立場に立った子供たちへの気づき、インクルーシブ教育に取り組んでいくことが大切だと思います。お考えをうかがいます。
次に点字ブロックについてうかがいます。本区では、主要な駅周辺や駅から公共施設までの導線に点字ブロックを整備して頂いていますが、例えば小学校や区民事務所の位置は大体分かりますが、「入り口」がどこにあるかが分からず、施設の周辺を一周してやっと入り口にたどり着くケースがあるそうです。駅、バス停には既に整備されて車両の入口が分かっているそうです。そこで、区有施設について、視覚障がい者の声を聴いて頂き「入り口案内点字ブロック」のチェック、整備に取り組んでいただきたいと思います。更に、郵便局等公共性の高い施設にも「入り口案内の点字ブロック」をご検討頂きたいと思いますがご見解を伺います。
続いて、聴覚障がい者の意思疎通事業についてうかがいます。聴覚障害者の意思疎通を図るツールとして、オペレーターが手話や文字と音声とを通訳する電話リレーサービスがいよいよ7月から開始され、聴覚障がい者が携帯電話等で簡単にホテルの予約がとれる等活用が期待されます。利用方法はご本人が、必要な時に直接センターに申し込むので、区は直接かかわることがありません。しかしながら、聴覚障がい者の皆様には、未だこのサービスをご存じない方や、電話リレーサービスの有効性について良く理解されていない方がいると思われます。区としてあらゆる機会に電話リレーサービスの啓蒙・広報に努めて頂くことを要望します。ご見解をうかがいます。また、平成31年に導入された、PC上で音声認識し話し言葉を活字に変換するアプリ、UD-ユニバーサルデザイントークもコミニュケーションツールとしては有効です。活用状況と課題についてお教えください。又、聴覚障がい者の方からは、高性能の収音機器の配備を望む声も寄せられています。UDユニバーサルトークと接続することで持ち運びを可能にし、更に本区議会にも導入されているヒアリングループの音を受信して手元のスマホやタブレットで文字化することが可能となります。聴覚障がい者のコミュニケーションツールとして検討すべきと考えますがご所見をうかがいます。
次にデフリンピック招致支援について伺います
公益社団法人東京聴覚障害者総合支援機構東京都聴覚障害者連盟評議員会は、ろう者のオリンピックである「デフリンピック」の 2025年東京招致実現に向け決議し、一般財団法人全日本ろうあ連盟主催の全国ろうあ者大会で特別決議。昨年からは小池都知事及び都議会各派への要請はじめ国会議員各会派へも度々要望されています。
2025年は、1924年にパリで第1回デフリンピックが開催されてからちょうど100 年の節目にあたります。その記念すべき年に東京でデフリンピックを開催することは国内外に成熟したインクルーシブ都市をアピールする、またとない機会となります。
この夏、開催された東京オリンピック・パラリンピックのレガシーの活用、ダイバーシティの観点からも東京の共生社会構築が一層進むことが期待できます。豊島区でも聴覚障害者の社会参加や障害者福祉の向上にも結びつくことから、デフリンピック東京招致実現に向け東京都と連携した支援が必要と思われますがご見解をうかがいます。更に豊島区として、聴覚障害者などの障害者スポーツ大会支援及び手話ボランティア支援、全ての人に開かれた言語・コミュニケーション環境づくりに積極的に取り組んでいただきたいと思います。区のお考えをうかがいます。
続いて難聴者に対する支援策についてお伺いいたします。我が国において高度感音難聴といわれる重度の聴覚障害者は約35万人とされており,新生児の約1000人に1人が先天性の高度感音難聴と診断されています。まず、新生児聴覚検査についてうかがいます。聞こえの異常を早期発見し早期療育を図ることで難聴にあわせた治療に早急に対処し、聞こえや言葉の訓練を適切に行うことで支障なく生活に繋がります。本区においては我々公明区議団からも要望し、平成31年から全ての新生児の聴覚検査を実施しています。この事業の実績と効果をお聞かせください。
次に、人工内耳と補聴器についてお伺いいたします。パラリンクピック大会のNHKパラリンピックリポーター後藤祐(ゆう)季(き)(ゆうき)さんも人口内耳手術で聴力を回復し立派にパラスポーツの解説をされている姿は記憶に新しい所です。
御承知のとおり、人工内耳は、側頭部に聴覚補助器具を埋める手術で、内耳の蝸牛(かぎゅう)に細い電極を埋め込み、聴神経を電気的に刺激して、それを脳に伝え、外側の音声信号処理装置、スピーチプロセッサとセットで聴覚を取り戻すという医療であり。我が国では1994・平成6年4月から保険適用となり、令和2年にはスピーチプロッセサーの補装具費の修理についても支給対象となりました。人工内耳の装用者数は,日本では約1万人程度とされており,普及率ではアメリカの1/3,ヨーロッパの半分という低さです。
一方、補聴器については高齢化に伴い装着が増えたというものの日本は難聴者率13%で、中途難聴者の補聴器装着率は英国の48%、フランスの41%に比べ、日本は最も低く14%です。
そこでうかがいます、人工内耳を装着しているご家族からは、助成対象にならないスピーチプロッセサーの電池やプロッセッサーについた汗を乾かす乾燥機等の交換にその都度数万円の出費があり、西日本の自治体では自治体独自に電池等舗装具の支援を実施しているところも多くあります。「インクルーシブル都市としま」を構築する上でもぜひ電池等舗装具の支援をご検討頂きたいと思いますがご所見を伺います。
本区では、中等度難聴児発達支援事業として令和元年から、身体障害者手帳の交付対象とならない、18歳未満の児童が使用するデジタル式補聴器について、助成金額を上乗せしていただいています。その成果をお示しください。又、令和元年から高齢者等の補聴器の購入に要する費用についても助成を開始されました。多くの方から評価する声をうかがっていますが、事業の実績と効果、課題についてお教えください。いずれも、そのままでは、難聴が原因で引きこもってしまったり、社会と適切に関係を持つことが困難な方への必要な支援と考えます。インクルーシブ都市を目指して助成の上乗せを検討すべきと考えますが、ご見解を伺います。
【デジタル化の推進について】
デジタル庁が9月1日に発足しました。誰もがデジタル化の恩恵を最大限に受けることができる社会を実現するための司令塔として、内閣直属で首相がトップを兼ね、その下に担当相を置き、事務方トップには民間から「デジタル監」を配置しました。他省庁に業務見直しなどを勧告する権限を持ち、強い総合調整機能を担うとしています。 デジタル化に関して日本は、2000年にIT基本法を制定したものの従来型縦割り行政の弊害から、省庁間のデジタル共有がすすまず、昨年の1人一律10万円の定額給付金の混乱に明らかなように、他の先進国に後れを取ってきました。平井卓也デジタル改革担当相は、開庁にあたり、全ての行政システムが連動し国と地方でデジタルガバメントを構築し、デジタル時代の官民のインフラを今後5年で一気呵成に作り上げる、との目標達成にむけて、今までなし得なかった省庁横断“横ぐし”のデジタル化改革に期待が集まります。
私は、デジタルガバメントの目標は、なんといっても、住民が生活していく上で、より簡素に、より手数をかけずに、より便利で上質なサービスを受けられる事こそ大切であり、住民の生活ありきで進める事が重要だと思います。
本区におけるデジタル化の推進は、従来の行政情報推進本部のもとに新たにデジタルガバメント検討チームを立ち上げ、全庁横断的な検討をおこない、東京都と都内区市町村が運営する「東京電子自治体共同運営サービス」と内閣府の「マイナポータル・ぴったりサービス」を活用する事によって手続きの効率化に大きな成果を得ています。
又、今年5月にはデジタル化推進員を民間から採用されました。
そこでうかがいます。まずデジタル化推進員の職務概要と区としての期待についてうかがいます。
また、デジタルガバメント検討チームでは窓口キャッシュレス化、行政手続きオンライン化、相談オンライン化等に取り組んでおられますが、現在の検討状況、成果をお聞かせください。
デジタル化の推進は、何よりマイナンバーカードの普及が欠かせません。現在の豊島区のマイナンバー取得の現状と、マイナンバーカード取得のための今後の取り組みついてお教えください。
更に、65歳以上の高齢者のスマホ活用率は直近の調査では82%を超え、今まで情報機器に不慣れな方が急速にスマホを持つ時代となりました。機器を便利に安全に使うための身近な教室・講座等が益々重要となります。従来、区民広場を活用したスマホ講座は好調とうかがっていますが、実績と課題、今後のデジタル機器教室の拡大についての取り組みをお聞かせ下さい。
【西武池袋線椎名町駅及び東長崎駅周辺の防災街づくりの支援】
最後に、その他として、災害に強い防災まちづくりの観点から、西武池袋線の椎名町駅北口、東長崎駅北口周辺の共同化についてお伺いします。防災街区整備事業という地権者には極めて有利な市街地再開発の手法で進められている2つの共同化事業は昨年来のコロナ禍で協議会の皆様が顔を合わせて話し合う機会がとれずに、早、1年以上が経過しました、そこで、まず、東長崎駅北口、椎名町駅北口整備の協議会の現状についてお示しください。
防災街区整備事業は「密集市街地における防災街区の整備に関する法律」に基づく都市計画事業で、土地建物の共同化をもって老朽建物を除去し防災機能を備えた街整備を行うものです。東京都でもこれから実績を重ねていく事業で、この西武池袋線椎名町駅北口と東長崎駅北口の事業は先駆けとなる事業です。
地元の地権者からは、長年の懸案であった木造密集地域の解消となる安全の街整備の絶好のチャンスととらえており、豊島区のバックアップを強く要望されています。今後とも引き続き、地域住民に寄り添い、情報提供する等、住民が望む安心安全な街整備に取り組んで頂きたい思います。また、東長崎駅北口の地域住民からは、共同化整備にあたり、高齢化が進んでいる状況で地震や台風等の災害時の避難スペースの確保のご意見も頂いております。地権者による組合皆様の中で決めていく事は承知していますが、区としても将来にわたる安全な街整備を進める中で、地元住民の声を新しい街整備に反映していけるよう働きかけて頂きたいと思います。お考えをうかがいます。
以上で私の一般質問全部を終わります。ご清聴、ありがとうございました。
公明党 木下広議員 令和3年第3回定例会 一般質問答弁
【高野区長】
ただいまの、木下広議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。
新型コロナウイルス感染症対策についてのご質問のうち、まず、本区におけるワクチン接種状況、今後の接種見込み及び供給見通しについてのご質問にお答えいたします。
8月下旬に12歳から15歳の方へクーポン券を発送し、対象となるすべての方にクーポン券をお届けいたしました。9月21日現在、全対象者の68.5%が1回目の接種を終え、2回目の接種を終えた方は56.9%となっています。今後の見通しですが、10月末には希望するすべての方の1回目の接種を、11月末には2回目も終了できるものと考えております。
また、今後、ファイザー社ワクチンの供給が厳しい状況の中、武田/モデルナ社ワクチンは、必要数が確保できる見込みが立ったことから、10月より、一部の集団接種会場のワクチンを武田/モデルナ社ワクチンに変更して、接種を実施いたします。
次に、受験生へのワクチン優先接種についてのご質問にお答えいたします。
中学3年生や高校3年生の方やご家族は、感染により受験に大きな影響が生じることにご不安な方も少なくないと思います。そこで、区では、同居しているご家族も対象に含めた優先接種枠を2つの集団接種会場において、土日を中心に確保し、9月21日より予約受付を開始いたしました。優先接種は10月2日土曜日より開始いたしますので、広く周知を図ってまいります。
次に、自宅療養者の不安を取り除く相談体制の必要性についてのご質問にお答えいたします。
ご自宅で療養中の方は、孤独感とともに、病状悪化に対する不安があり、それを取り除くための相談体制の整備は必要と考えます。
現在、保健所は全庁からの支援を受け、遅くとも診断の翌日には、初回の電話連絡を行い、今後の対応について説明する体制をとっています。その中で、自宅療養者専用の連絡先を伝えており、不安を感じる方は、24時間いつでも相談できる体制となっております。
また、区は、自宅療養中で症状が比較的重い方や、重症化リスクのある方の健康観察を、区看護師会に委託しており、担当の訪問看護ステーションに24時間相談が可能です。
今後も、自宅療養の方の不安をできるだけ取り除けるような支援体制を構築してまいります。
次に、若い世代に正しい情報を発信して感染防止を図ることについてのご質問にお答えいたします。
現在、若年層の感染が広がり、重症化するケースも見られる中、本区における10代から30代の接種率は40代以上の方々より低い状況であり、区では、若年層の接種率を高めるべく、ワクチン接種に関する情報の周知を進めております。
東京都の調査によると、接種について否定的な姿勢を示している若年層はおよそ2割とのことですが、その背景として、ワクチンに関する誤った情報や、情報不足に伴う副反応への過度な恐れなどから、接種に対して消極的になっていることが考えられます。
区といたしましては、今後も、若年層の主たるコミュニケーションツールであるSNS等を活用し、公的機関や専門機関等による正しくわかりやすい情報や、実際に接種を受けた同世代の方の体験談など、若年層に向けた積極的な情報発信を行ってまいります。
次に、後遺症相談の現状と今後の取組についてのご質問にお答えいたします。
現在、都立大塚病院をはじめ、8か所の都立病院及び公社病院に「コロナ後遺症相談窓口」が設置され、無料相談を行っております。
区の新型コロナウイルス相談センターでお受けしたコロナ後遺症に関するご相談件数は徐々に増加しており、8月中は2日に1件程度でしたが、現在では1日に2、3件程度のご相談をお受けしています。ご相談を受けた場合には、症状等を確認した上で、都立大塚病院や都立駒込病院などの専門相談窓口につなげております。
コロナ後遺症については、自己抗体、サイトカインストームと呼ばれるウイルスによる過剰な炎症、活動性のウイルスそのものによる障害、不十分な抗体による免疫応答など様々な要因が考えられてはいますが、診断基準や治療法については依然として確立されていない状況にあります。区としては、今後、後遺症に関するリーフレットをホームページに紹介するなど、最新の情報提供に努めてまいります。
次に、ワクチンパスポートの現状及び今後の対応についてのご質問にお答えいたします。
海外の渡航先への入国時に、相手国等が防疫措置の緩和等を判断する上で活用されるよう、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種の事実を公的に証明する「ワクチンパスポート」を各自治体で交付しています。
本区では、7月26日より受付を開始し、これまでに約1,700件の申請をお受けしました。
今後、対象国の拡大や国内活用についての検討など、国の動きを注視し、方針等の変更時には迅速かつ適切に対応してまいります。
次に、コロナ禍での事業者支援策の案内、情報提供を更に進めることについてのご質問にお答えいたします。
現在、事業者の支援策については、支援策の新設、変更がある度に、区ホームページを更新するとともに、ビジネスサポートセンター利用者への案内、広報としまへの掲載、商店街へのメールマガジン、産業団体へのメール配信などで周知を図っております。
また、日ごろからビジネスサポートセンターを利用していただいている皆さんには、セミナーや勉強会での周知、適時のブログ更新など、ビジネスサポートセンターの発信機能を有効活用した周知に努めています。
現在も懸命に頑張っておられる飲食業をはじめ様々な事業者の皆さんに、支援策の情報が正確かつ漏れなく行き届くために、支援策の一覧などが手軽に入手できるようにするなど、更なる情報提供に努めてまいります。
次に、行政書士等による各種支援金申請の効果についてのご質問にお答えいたします。
行政書士による事業者申請支援事業については、23区で豊島区と新宿区のみが実施しており、本区では今定例会において補正予算案を計上し、事業を継続していきたいと考えております。
昨年5月の事業開始以降、IT環境のない個人事業主などに利用していただいており、昨年度が647件、今年度からは月次支援金も支援対象に加え、8月末までに約1,500件の実績がございます。
各種支援策の申請がデジタル化される中、IT環境のない個人事業主などは、コロナ禍で疲弊し、その支援策についても申請すらできず、事業継続をあきらめざるを得ない状況に陥っていくことが容易に想像されます。
このような時に、法的に代理権があり、各種支援策にも精通した行政書士等が正確な代理申請を行い、その結果早期受給が可能になることは、事業者が安心して事業を継続できることにつながっています。また、行政書士等とのかかわりの中で新たな支援策や経営手法、業態転換についての情報を得て、事業拡大にも役立っているケースもあると聞いております。
次に、令和2年度会計決算と今後の区政運営についてのご質問のうち、まず、アフターコロナの不透明な時代の区政運営、財政運営に対する基本的な考えについてのご質問にお答えいたします。
令和3年度の4つの重点テーマは、「新型コロナ対策」、「SDGs推進」、「デジタル化推進」、「池袋の都市再生」から構成され、特に、新型コロナウイルス対策やコロナ禍における区民生活の支えを最優先に位置付けています。
さらに、先行きが不透明な時代こそ、消滅可能性都市の指摘以来、これまで本区が磨き上げてきた、将来像である「国際アート・カルチャー都市」と世界標準の「SDGs未来都市」の実現、この2つのテーマを両輪として、「コロナ時代」に柔軟に対応した、持続可能な区政運営に努めてまいります。
また、このような区政運営を支えるための財政運営についてですが、平常時であれば、「入るを量りて出ずるを為す」という言葉のとおり、「身の丈」にあった財政運営が基本的な考え方となります。
しかしながら、今は、4回目となる緊急事態宣言下にあり、コロナ禍という未曽有の危機的な状況に直面しています。
財政の基本である単年度における収支のバランスを重要視しつつも、コロナ対策関連予算を充実させるとともに、まちの価値を高めるような事業には思い切って予算を投入するなど、臨機応変な財政運営を展開してまいります。
次に、特別区民税、特別区財政調整交付金の今後の見込み並びに借金と貯金のバランスに対する現状の認識及び今後の取組についてのご質問にお答えいたします。
特別区民税と特別区財政調整交付金は、本区の二大基幹歳入であり、まさに本区の生命線であります。
令和3年度予算において、特別区民税は対前年度比で5.6%減となる292億円を、特別区財政調整交付金の普通交付金は対前年度比で10.9%減となる270億円を見込みました。
現時点までの特別区民税の賦課の状況は順調に推移してきており、当初予算額は下回らないことが見込まれます。
また、特別区財政調整交付金については、8月の当初算定額が275億円と当初予算額を5億円上回りました。
このような状況にある二大基幹歳入ですが、コロナ禍の先行きが不透明な中、今後、数年先の財政の見通しを立てることは、非常に困難な状況にありますが、昔の綱渡り財政を脱却した今の豊島区には、今後、複数年の危機的な状況を耐え得る財政的な体力を備えてきたと自負しております。
貯金と借金のバランスにつきましては、コロナ禍という未曽有の危機的な財政状況にあっても、バランスを保持しただけでなく、貯金超過額をさらに積み増すことができ、2年度末の貯金超過額は87億円に達しました。
基金を積み増して、貯金と借金のバランスを改善することは、それ自体が目的ではなく、いざというときにおいても区民生活を守ることが目的であります。
その時々の状況に応じて、貯められるときにはしっかりと蓄え、危機に直面した際には、思い切って基金を取り崩すことにより、コロナ禍から区民生活を守るため、後で後悔のないよう、しっかりと財政運営の舵取りを行ってまいります。
次に、経営改善のための行政評価を着実に進めていくことについてのご質問にお答えいたします。
「計画」「実行」「評価」「改善」というPDCAサイクルを実行性あるのもとして効果的に運用するためには、評価によって明らかとなった現状と課題を、着実に改善に結び付けていく必要があります。
今年度から新たに「改善アクションシート」による事業の改善確認の項目を加えたところ、多くの事業で具体的な改善の取り組みにつながっていることを確認しております。
また、昨年から続く新型コロナウイルス感染症の影響により、思うような実施ができなかった事業も多いため、こうした状況変化にも対応できる評価方法の検討も必要であると考えております。
現在策定中の後期基本計画についても行政評価による進捗管理を続けながら、評価手法の改善も適宜加えつつ、アフターコロナを見据えて、効果的かつ効率的な事業を実施できるよう最善をつくしてまいります。
次に、障がい者にやさしい多様性と調和のまちをめざしてのご質問のうち、まず、2020東京オリンピック・パラリンピックに対する私の所見ついてのご質問にお答えいたします。
新型コロナウイルスの厳しい感染状況を受けて、オリンピック・パラリンピックの聖火リレーやライブサイトは中止され、東京2020大会は無観客での開催となりました。
東京2020大会に向けて整備した「23のまちづくりプロジェクト」をはじめ、これまで準備に準備を重ね、豊島区が進めてきたまちづくりをさらに加速させたいと思ってきただけに、残念であり、悔しい思いであります。
しかし、コロナ禍によって閉塞感に包まれた中においても、世界のトップアスリートの活躍は、私たちに夢と希望、感動を与えてくれました。特に、豊島区出身のスポーツクライミング女子複合の野中 生萌選手とゴルフ女子の稲見 萌寧選手が銀メダルに輝いたことは大変うれしいニュースでありました。また、白血病を克服した競泳女子400メートルメドレーリレーの池江 璃花子選手、パラリンピックの視覚障害者柔道男子の永井 崇匡選手やゴールボール視覚障害クラスの若杉 遥選手など豊島区ゆかりの選手が躍動する姿に、私たちには無限の可能性が秘められていることを改めて実感いたしました。
さらに、実際の活動は叶いませんでしたが、区民の皆さんにご応募いただいた聖火リレーボランティアや区内の中学校代表の皆さんによる聖火リレーサポートランナー、地域の皆さんが一体となった野中選手の応援など「オールとしま」で取り組んだことは、オリンピック・パラリンピックの大切なレガシーとなりました。
緊急事態宣言中での開催となりましたが、限られた中でのこうした貴重な経験をしっかりと受け継ぎ、スポーツ環境の向上やパラスポーツの普及とともに、SDGs未来都市としてめざす、誰もが主役になれる共生社会の実現に向けて取り組んでいきたいと考えております。
次に、池袋駅以外の駅周辺及び公共施設周辺のバリアフリー化への計画策定についてのご質問にお答えいたします。
現在の池袋駅地区バリアフリー基本構想は、平成18年施行のバリアフリー法に基づくエリアの要件に該当していることから、平成23年度に重点整備地区の区域設定とともに公民連携の協議会において策定いたしました。
その後、平成26年度には新庁舎整備や造幣局跡地整備計画に伴い、東池袋駅周辺も含めたエリアに重点整備地区を拡大し、バリアフリー法に基づく従来の整備に加え、基本構想に沿って、地区全体の連続性、整合性を高めるための取組を、公共施設、民間施設ともに実施しております。
ご指摘の通り、池袋駅以外の駅周辺及び公共施設周辺のバリアフリー化への計画策定は、大変重要な施策であると認識しております。
池袋駅地区バリアフリー基本構想では、今後、豊島区全域の現況と課題について改めて調査を行い、区全体の評価を行ったうえで、他地区への基本構想策定への展開を検討するとしておりますので、池袋駅地区でのこれまでの取組み成果を検証するとともに、まずは、区全体の評価を行い、地区ごとの優先度を慎重に見極めてまいります。
次に、各地域のバリアフリー計画を、障がい者団体参加の上で策定することについてのご質問にお答えいたします。
バリアフリー法に基づく基本構想の策定の際は、高齢者や障がい者等も参画していただく、公民連携の協議会を設置することとなっております。
池袋駅地区の協議会の皆様には、この本庁舎やイケ・サンパーク建設の際にも、バリアフリー化の現地調査点検をしていただくなど、ご貢献いただいております。
今後、他地区において策定する際にも、池袋駅地区と同様に、皆様にご参加いただく協議会を設置し、検討してまいります。
次に、交通環境を大きく変える際に、区と警察が連携をとる体制の構築を働きかけることについてのご質問にお答えいたします。
安全安心なまちづくりの推進には、交通管理者である警察と区道の管理者である豊島区が、車の両輪として取り組むことが大切だと考えております。しかし、昨年からの新型コロナウイルス感染症の拡大により、警察との会議やパトロールが休止となるなど、十分な意思疎通が難しくなっております。
そうした状況の中、今年4月に池袋警察署長を務められた岡谷危機管理監をお迎えし、これまで以上に警察とのパイプを太くすることができました。今後は、交通環境が変わる際には情報交換を密に行うよう努めてまいります。
なお、私からの答弁は以上ですが、その他の質問につきましては、両副区長から、教育委員会の所管に属する事項につきましては、教育長から答弁申し上げます。
【斉藤副区長】
本区のデジタル化推進についてのご質問のうち、まず、デジタル化推進員の職務概要並びに区としての期待についてのご質問にお答えいたします。
DXの知見を民間から取り入れ、デジタルガバメントを加速させる推進力として、本年5月1日付で、IT事業開発コンサルタントとして活躍されてきた岡村直人氏を、「デジタル化推進員」として採用いたしました。
推進員に期待する職務内容としては、まず1点目は、現在進めている区の「DX推進計画」の策定支援、そして2点目は、「デジタル技術を担う区職員の育成」であります。
まず1点目の「DX推進計画」検討する中で、日々新たな技術革新が進んでいる民間や他団体の動向を取り入れる一方、本区が現在取り組んでいるデジタル技術の活用状況について、技術的な面はもちろん、費用対効果や利用者の立場からも評価し、効果的な改善策を立案することです。
そして、2点目の「デジタル技術を担う職員の育成」については、管理職向け、係長向け、そしてデジタル化施策の推進力となる若手職員に向けての研修を実施、計画しています。
研修にあたっては、単に新たな知識や社会動向を伝えるだけではなく、岡村氏が各職場の職員と直接交流して感じた本区のデジタル化に関する課題と改善の方向など加味した、実践的な講義内容をお願いしています。
さらに今年度の後半では、岡村氏をファシリテーターとする若手職員のプロジェクトチームを設置し、業務改革や区民サービス向上、区民の皆様のICTリテラシーの向上などの課題と向き合い、学習する機会をつくることで、DXを推進する職員の育成に努めたいと考えております。
次に、デジタルガバメント検討チームの現在の検討状況及び成果についてのご質問にお答えいたします。
デジタルガバメント検討チームのテーマは多岐にわたりますが、令和3年度に特に注力している取り組みとして、行政手続きや相談業務のオンライン化、キャッシュレス決済の
拡大、SNSツールであるLINEの活用などがあります。
まず、行政手続きのオンライン化では、「マイナンバーカードを利用した転出届」や「新型コロナウイルス感染症の影響による国民健康保険料減免の申請」など11の事務について、既にオンライン化を実施し、年度内には新たに7つの事務についても実施する予定でございます。
また、相談業務のオンライン化では、10月から司法書士等による専門士業相談、ひきこもり支援相談で運用をはじめます。ご利用いただく区民の皆様は、自宅にいながらスマホやパソコンを利用することで、簡単に利用することができるシステムとなっています。
さらに、キャッシュレス決済では、税証明の発行手数料の支払い、税や国民健康保険料の納付に利用できる電子マネーを5種類へ拡充して運用しています。
6月1日に開設した、区の公式LINEについても、登録者数が6月の約1,500名から9月には約7,400名まで増加し、コロナワクチン等の情報発信や行政手続きの入口として、好評をいただいております。
次に、マイナンバーカード取得の現状及び取組についてのご質問にお答えいたします。
本区における8月末現在のマイナンバーカード交付件数は12万8,679件、交付率は44.3%であり、国の平均値である37.4%を6.9ポイント上回っており、23区では6番目に高い交付率となっております。
マイナンバーカードの取得促進策といたしましては、平成29年度から、取得促進キャンペーンを実施してまいりました。本庁舎や、東・西区民事務所に写真撮影や申請書の記入補助などを行う臨時窓口を開設し、これまで4年間で1万2千人もの方々にご利用いただきました。昨年度は、初めて「地域区民ひろば」でもキャンペーンを開催し、大変ご好評をいただいたところであります。
マイナンバーカードは、コンビニでの住民票などの証明書の取得に加え、健康保険証としての利用、来年度には転出・転入手続きのワンストップ化が予定されるなど、今後も利便性の向上が期待されます。
引き続き、区民の皆様がマイナンバーカードを取得しやすい環境整備とわかりやすい情報の提供に努め、交付率をさらに伸ばしてまいります。
次に、今後のデジタル機器教室の拡大に関する取組についてのご質問にお答えいたします。
本区では、平成30年度から、区民ひろばや東池袋フレイル対策センターなどにおいて、高齢者等を対象とした初心者向けスマートフォン講座などの取組を進めてまいりました。
令和元年度に「地域区民ひろば」9か所で17講座を開催したスマートフォン講座については、この間コロナ禍により実施できませんでしたが、今年度後半には再開する予定です。
10月以降には、区民センターやイケビズ等を会場として、高齢者の方々を対象として40回程度、スマートフォン講座を計画しており、「豊島区プレミアム付デジタル商品券」の購入方法や使い方等に関する「スマートフォン相談会」についても、10月から10回程度実施する予定です。
また、これまで導入を進めてきた、救援センターの「バカン」、障がい者向けの「シカイ」、区民ひろばでの「ピアッツァ」、生理用品の「オイテル」など、スマートフォンを活用した情報提供やサービスは、今後とも増加することが想定されます。
新たなサービスを導入する際には、区民の皆さま向けのデジタル機器教室も同時に行っていただくことを民間事業者に働きかけてまいります。
次に、その他のご質問のうち、まず、東長崎駅北口、椎名町駅北口整備の協議会の現状についてのご質問にお答えいたします。
まず、東長崎駅北口の協議会についてですが、昨年12月、これまでの検討を踏まえ、今年度末までに準備組合の設立を目指す方針を決定いたしました。現在、会合による協議会開催が難しいため、約100名の地権者の皆さんと丁寧に個別面談を行い、準備組合への参画に向けたご意向を確認しております。
また、椎名町駅北口の協議会についても、コロナ禍により協議会を開くことが出来ない状況が続いておりますが、これまでの経緯や検討内容、今後の見通しなどを分かりやすく整理し、まちづくりニュースや町会・商店街の回覧板による情報発信により機運の醸成に努めているところであります。
次に、共同化整備にあたり、地域住民の声を新しい街の整備に反映していけるよう働きかけることについてのご質問にお答えいたします。
東長崎や椎名町の駅周辺の住宅地は、長崎神社や区の無形文化財である獅子舞、トキワ荘など、歴史とマンガ文化の玄関口の顔を持ち、池袋から至近に位置することから、極めて高いポテンシャルを持つ住宅地でございます。
そして、このエリアの発展のためには、まず、魅力ある駅前開発を進めることで、共同化による駅前広場の確保や、防災機能を向上させることが必要不可欠であると考えております。
魅力ある駅前開発を実現させ、その効果をエリア全体に波及させていくことで、魅力ある住宅地としての価値とブランドを高めることができると考えております。
まちづくりの推進役として、区が果たす役割は、大変重要なものであると考えております。協議会活動を積極的に支援するとともに、共同化事業にいただくご意見やご要望については、協議会の皆様はもちろん、その周辺の皆様を含めて、真摯に耳を傾け、将来の計画に反映するよう、引き続き取り組んでまいります。
私からの答弁は以上でございます。
【高際副区長】
障がい者にやさしい多様性と調和の街目指してのご質問のうち、まず、区有施設の「入り口案内点字ブロック」のチェック、整備に取り組むことについてのご質問にお答えいたします。
これまで区では、セーフコミュニティの「障害者の安全対策委員会」において、視覚障害者の歩行の妨げとなっていた放置自転車や商店の前の看板への対策を提起するなど、視覚障害者の安全な外出を支援してまいりました。
ご指摘の、区有施設の「入り口案内点字ブロック」の設置状況や、点字ブロックが施設の入り口だとわかるように設置されているかのチェックの実施についても、今後、委員会での取り組みとしてできるよう、区として提案してまいります。
次に、公共性の高い施設へ「入り口案内点字ブロック」を整備することについてのご質問にお答えいたします。
現状では、駅から利用者の多い公共施設までの案内として、歩道上に点字ブロックを設置し、建物の入り口まで誘導しています。前面道路の幅や現地の状況によっては、ご要望通りに設置できない可能性はありますが、具体的なご要望をお聞きし、可能な限り設置に努めてまいります。
次に、あらゆる機会をとらえて電話リレーサービスの広報を行うことについてのご質問にお答えいたします。
「電話リレーサービス」は、聴覚や発話に困難がある方と聞こえる方を、通訳オペレーターが、24時間365日、電話で双方向につなぐサービスであり、電話連絡が困難な聴覚障害者にとって、大きな安心につながると考えます。
本区におきましても、サービスの開始に先立ち、官公庁等連絡協議会での周知を行いました。また、庁内では、窓口職場の職員だけでなく全職員に対して、サービスを案内し、適切に対応ができるよう周知いたしました。更に、区ホームページへ掲載するほか各障害団体への情報提供や当事者の方へも周知を図っており、今後も、より分かりやすい周知方法を工夫するなど更なる広報に努めてまいります。
次に、ユニバーサルデザイントークの活用状況及び課題についてのご質問にお答えいたします。
令和元年度に、UDトークをインストールしたタブレットと聴こえやすさを向上させたスピーカーを東部・西部障害支援センター、障害福祉課の窓口に1台ずつ設置しております。また、今年度は、ワクチン接種会場にも1台貸し出し、活用しています。
聴覚に障害のある方の窓口対応では、これまでコミュニケ―ションボードを使っておりましたが、タブレットを用い、窓口職員の言葉を文字変換してお見せすることで、コミュニケーションがとりやすくなったとの意見を頂いております。
一方、機器に不慣れであると、文字変換が上手くいかず、お互いの理解までに時間を要するとの課題もありますので、使い方のご案内をしながら、今後も活用してまいります。
次に、高性能の収音機を配備することについてのご質問にお答えいたします。
現在、区に設置してある議場やセンタースクエアーのヒアリングループについては、UDトークとの接続状況などを検証してまいります。また、持ち運びの出来る高性能の収音機器につきましては、実用性等も検証しながら配備について検討してまいります。
次に、デフリンピック東京大会招致実現にむけて東京都と連携した支援を行うことについてのご質問にお答えいたします。
東京都では、スポーツを「する・みる・支える」ための環境を整えるとともに、聴覚障害をはじめ様々な障害のある方々、誰もがスポーツを楽しめるまちを目指し、障がい者スポーツの振興に向けた取組を幅広く推進しています。
都は、「東京2020パラリンピック大会」後も、障がい者スポーツに対する関心を引き続き高められるよう、デフリンピックをはじめとする国際大会の開催支援についても調査を実施し、検討に向けた基礎資料とすると伺っており、SDGs未来都市を推進する豊島区といたしましても、都の検討状況等を踏まえ、連携のあり方について検討してまいります。
次に、障がい者スポーツ大会支援、手話ボランティア支援及び全ての人に開かれた言語・コミュニケーション環境づくりに積極的に取り組むことについてのご質問にお答えいたします。
障がい者スポーツは、競技者だけのものではなく、障がい者スポーツを見て楽しむ人、障がい者スポーツを支えることで自己実現を図る人など、すべての人々に関わる、大きな意義のある活動であると考えております。
こうした障がい者によるスポーツ大会や手話ボランティアへの支援を通じて、多様な方法でコミュニケーションが可能となるよう、障がいのある方や関係者のご意見を伺いながら共生社会の実現にふさわしい環境づくりに取り組んでまいります。
次に、新生児聴覚検査事業の実績及び効果についてのご質問にお答えいたします。
区は、平成31年度より新生児聴覚検査の費用助成を行っています。昨年度の実績では、検査を受けた新生児1,928人のうち4人が精密検査を受け、最終的に1人が難聴と診断されました。
聴覚障害は、早期に診断し、適切な治療とその後の継続した支援を受けることで、言葉の発達などへの影響を最小限に抑えることができます。このため区では、精密検査が必要な方を確実に専門医療機関につなげ、障害が見つかった場合には、療育機関につなげるためのサポートを行っており、今後も引き続き対応してまいります。
次に、人工内耳の電池等補装具への支援についてのご質問にお答えいたします。
人工内耳に関するサービス給付は、平成25年度以降、自立支援医療サービス給付等、合計3件となっており、給付実績が多くないこともあってか、これまで、電池等補装具の支援についての具体的な要望はいただいていない状況です。
一方で、人工内耳を用いた聴覚活用の有効性が認知されるようになり、技術も進んだこともあって、全国的に手術件数は年々増加している傾向にあります。また、人工内耳の装用者にとって、電池等の費用は自己負担になっており、経済的負担が大きいことから、助成対象とする自治体も増えております。
こうした動向を踏まえ、今後、人工内耳の電池等の支援について、検討してまいりたいと考えております。
次に、中等度難聴児発達支援事業の成果についてのご質問にお答えいたします。
身体障害者手帳の交付対象とならない中等度難聴児に対する補聴器の購入費用の助成につきましては、令和元年度から、新たに、デジタル式補聴器の調整が必要な場合に2千円を加算する助成をスタートさせました。
デジタル補聴器の購入に係る助成は、令和元年度からこれまで6件ありましたが、いずれも助成基準額である、13万7千円の範囲内での給付であったため、加算分を活用するに至っておりません。今後、活用状況を見て、必要な検討をしてまいります。
次に、高齢者補聴器購入費助成事業の実績、効果及び課題についてのご質問にお答えいたします。
本事業は、聴力機能の低下により、家族等とコミュニケーションがとりにくい高齢者に対して、補聴器の装用を促すことで、聴力低下によるひきこもりを防ぎ、社会参加と地域交流を支援する目的で実施しています。平成30年7月から助成事業を開始し、令和3年8月末までに累計200件、月平均5件程度の利用がありました。
利用される方も多く、一定の評価を得ているものと考えておりますが、一方で、補聴器の調整がうまくいかないことなどが障壁となり、購入後、活用されないこともあると聞いております。
こうした実態を把握するため、今年度、豊島区医師会と連携し、本事業を利用した区民の皆さまへアンケート調査を実施し、必要な方が利用しやすい制度を検討してまいります。
次に、中等度難聴児及び高齢者の補聴器購入に対する助成の上乗せを検討することについてのご質問にお答えいたします。
中等度難聴児に対する補聴器の助成につきましては、令和元年度以降給付した6件について、補聴器1個の平均額は、約11万円となっており、現在の助成内容で、必要な方には、助成ができている状況にございます。したがいまして、現時点において、さらなる上乗せは、考えておりせん。
また、高齢者の補聴器購入に対する助成の上乗せにつきましては、今後実施予定の利用者へのアンケートの結果などを踏まえて、ニーズを把握してまいります。
私からの答弁は以上でございます。
【金子教育長】
引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問に対しまして、お答え申し上げます。
障がい者にやさしい多様性と調和の街目指してのご質問のうち、障がい者の方がやってもらいたいことを分かり易く子どもに伝え、子ども達に気付かせながら共生社会の実現に資するように取り組むことについてのご質問にお答えいたします。
まずもって、ご指摘のあった、白杖を折られ怖い思いをされた方には、本区の子どもが故意ではないと言え、関わったことではありますので、改めて、お詫びとお見舞いを申し上げたいと思います。交通安全という教育の点でも、注意してまいりたいと思います。さて、SDGs担い手育成を重視している豊島区としては、ご指摘のように、共生社会の実現のため、児童・生徒自らが、障がいについて学び、子供のうちから実行する体験を重ねることが肝要であると認識しております。
本区はその認識のもと、令和2年度より、東京都教育委員会の指定を受け、「学校におけるインクルージョンに関する実践研究事業」をやってまいりました。多様な学びの場の整備に向けた取組を促進してまいりました。
本事業のモデル校である要小学校では、児童自らが、障がい者理解を深めていくために、特別支援学校の教員から障がいの特性を学んだり、通常の学級の子供と特別支援学級の子供が、日常的に、直接交流や共同学習を行い、障がいの有無に関わらず多様性を尊重する心を育てる教育を実践しております。
加えて今年度は、「ボッチャ交流行事推進事業」の指定も受け、清和小学校をモデル校として特別支援学校等とパラスポーツのボッチャを通じた直接交流を行い、合理的配慮により相互理解を深める実践を進めております。
今後、各種の研究事業の成果を全小・中学校で共有するとともに、コロナ禍のもとで、簡単でない場合もありますが、障がいのある方々をできるだけ直接学校にお招きし子供たちと直接交流を行うなどにより、障がい者の方々がやってもらいたいことをしっかり伝えることで、障がい者理解教育をより一層充実してまいります。
以上をもちまして、木下広議員のご質問に対する答弁を終わります。
10023÷300=約33