SDGsを推進し希望輝く街としまを目指して

令和2年9月24日登壇

私は公明党豊島区議団を代表して、「SDGSを推進し希望輝く街としまを目指して」と題して、1.SDGsの推進と今後の区政運営について。2.ICTを活用した楽しい教育、区民サービスの充実について。3.魅力ある街、安全安心の街整備について、4.その他、としてデフリンピックについての質問をいたします。いずれも、コロナ禍での区民相談やSNSを通して寄せられた区民からの生の声を元におうかがいたします。区当局の積極的な答弁を期待します。

 

質問に入る前に、7月の九州北部豪雨、9月6日、7日と九州地方を襲った大型台風10号でお亡くなりになられた方のご冥福をお祈りし、被災者の皆様に心からお見舞い申し上げます。本区においてもコロナ禍における新しい様式での救援センター準備等区民の命を守る対策に取り組んでいただきたいと思います。

 

【SDGsの推進と今後の区政運営について】

それでは通告に基づき順次質問致します。大きな項目の1番目、「SDGsの推進と今後の区政運営について」うかがいます。本年、第一回定例会で高橋議員からSDGs未来都市に手を挙げるように要望し、前呉副区長を先頭に優秀な職員のご努力で見事7月17日「SDGS未来都市・自治体SDGsモデル事業」という東京都初のダブル選定を勝ち取りました。第二回定例会では「SDGSの実現に向け「誰一人取り残さない」まちづくりを推進する決議」が全会一致で採択され、今定例会には「としまSDGS都市宣言」が提案される予定で、「誰一人取り残さない」としま実現にむけて、区と区民の皆さんと共に“希望輝く街としま”を構築するため我々公明区議団も全力で取り組んで参ります。

そこでうかがいます。SDGSの推進は、今まで豊島区が「国際アートカルチャー都市」をテーマに取り組んできた、福祉、教育、街づくり、文化、経済等々全ての施策につながるものであり、とりたてて何かを始めるものではありません。そういう観点から、区の職員一人一人の日常業務がSDGsに繋がっているという認識を全職員で共有することが大切だと思います。区職員のSDGsにもとづく意識共有についての現状、今後の取り組みについてあらためてお示しください。そして、区長も招集挨拶で力説されている通り、SDGsの推進は町会、商店街、事業者、各種団体の皆々様をはじめ、世代的には乳幼児、小中高生、大学・専門学生、働く世代、そして高齢者。外国人、区内に通勤通学される方々も含め、あらゆる区民と行政が一体となってそれぞれで取り組んでいくことが必要です。それにはまず、全ての方にSDGsの意義を知って頂くことがスタートです。あらゆる世代、各階層の方々への周知について今後どのように取り組んでいかれるのか?推進にむけた決意と計画を今一度お示しください。
 又、私はその中で特に区立小中学校の皆さんが学校等でSDGsを学び、行動していく事が将来の豊島区にとって非常に大切だと思います。小中学生、子どもたちへのSDGs推進の取り組みについて基本的なお考えと取り組みをうかがいます。

次に今後の区政運営についてのうち、まず、令和元年度の決算の特徴と課題、決算を受けた今後の区政・財政運営についてうかがいます。民間の調査会社によると新型コロナウイルス感染症の影響で今年の2月から8月まで、倒産した企業が約500社以上に上り、特に飲食業、観光業、宿泊業に深刻な影響が及んでいます。区内でも毎年新年会、忘年会で何度もお世話になった飲食店が閉店するなど、かって経験したことがない先行き不透明な状況に誰もが不安がますばかりです。2020年4月-6月期のGDP速報値や、2020年7月-9月期の法人企業景気予測調査では、大企業の景況判断はプラス2.0と1年ぶりにプラスになったものの、中小企業は著しい苦戦が続いているということです。「新しい生活様式」により、経済の早期正常化は困難であり、経済活動が元の水準に戻る時期は2024 年度までずれこむ可能性があるとしております。当然のことながら、法人税や所得税、区民税の落ち込みにより、国及び自治体の各種行政サービスの低下を心配する声も多くきかれます。

当該決算年度の令和元年度本区は、「100年に一度の大変革」と位置づけ、国家事業である東アジア文化都市の交流事業やハレザ池袋、グローバルリングのオープンと豊島新時代の幕開けの年となりました。華やかな施設整備、行事だけでなく財政の面でも、課税人口が増加し、区財政の根幹である区税収入が堅調に伸び、なによりも豊島区が「消滅可能性都市」から「持続発展都市」として内外に認められ注目される街になったことに我々も大いに評価しているところです。その矢先の「新型コロナウイルス感染症」という思いもよらない目に見えない敵が大きく覆いかぶさってきました。この大きな変化に適応する区政運営を区民と共に乗り越えていかなければなりません。ピンチをチャンスに変える豊島区の真骨頂の時代が到来したと前向きに考えていきたいと思います。

そこでうかがいます。まず、現在の区民の生活の状況をどう認識されているのか?今後の景気・経済動向をどう見込んでおられるのか基本的なご認識をうかがいます。その上で、令和元年度の本区決算の特徴と成果を改めてどうように認識されているのか伺います。

また、本区の当該年度決算と他区の決算との比較、財政状況の比較についての認識をお示しください。

令和元年の決算は歳入、歳出とも過去最大規模となりました。歳出のうち、投資的経費は23のプロジェクト事業の集中投資で210億円、123%と大幅に増額。また、義務的経費のうち、子育て施策の充実で私立保育園に対する助成経費がこの数年大きく増加しています。そこでまず、歳出における、投資的経費と扶助費、人件費、公債費についての現状の認識と今後の見通しをうかがいます。また、本決算の実質収支額は過去最大となっています。新型コロナウイルス感染症の対応の為の財源を確保されたという事ですが、昨年の3月に豊島区のおさいふで「今後5か年の財政見通し」を公表した際、令和元年末の「借金と貯金の差」を51億円の借金超過とされていましたが、最終的には73億円の貯金超過となりました。目的基金と起債を活用された経緯を改めて示しください。さらに新型コロナ感染症の影響は当分続くと思われます、貯金と借金についての今後の基本的な考えをお示しください。新型コロナウイルスの影響で先行きが不透明であるからこそ、政策決定における議会、区民への説明責任を図ることが重要と考えますがお考えをうかがいます。

また、国による不合理な税制が、今後さらに区財政を圧迫します。不合理な税制による本区の影響額について、どう認識しておられるのか伺います。今後も関連する皆さんと団結して不合理な税制解消に向けて、取り組んで頂きたいと思います。国に対する不合理な税制解消に向けての取り組みについてお聞かせください。

続いて、補正予算についてうかがいます、令和2年度において既に第1号から第3号の補正を、今定例会には第4号補正予算を編成されました。新型コロナウイルスの影響で収入が減った方や、解雇された方、母子家庭、障がい者世帯などへの生活支援、中小企業、医療、介護、障がい者施設従事者支援などを計上しました。私どもには、収入が減って生活が厳しくなり給料で足りない分、貯金を取り崩してやっと生活しているが、特に家賃が生活を圧迫している。飲食業で営業自粛し、都の感染防止協力金や持続化給付金を給付されたが、従業員の給与やお店の家賃の支払いに消えた、貯金を取り崩しながらこれから先どこまで持ちこたえられるか不安の毎日等々切実な声が寄せられています。また、区の相談窓口に相談したくてもシフトでその時間に相談の電話さえできない等「声をあげること」もできない極めて厳しい状況におかれている方々もおられ、身につまされることが度々あります。そこでうかがいます。多くの困っている方への国、東京都、区の生活支援策の情報が必要な方へなかなかいきわたっていません。各種生活支援の情報提供の現状についてどう認識しているのかお聞かせください。今後も多様な区民への相談窓口をSNSやメールを活用しやすくする等、更なる丁寧な対応に取り組んでいただきたい思います。さらに、家賃でお困りの方や、収入が低い子育て世帯の方、経営が厳しい飲食業などへの更なる支援策について、必要があれば追加の補正予算も決断すべきと考えますがお考えをうかがいます。

【ICTを活用した楽しい教育、区民サービスの充実について】

続いて、大きな項目の2つ目、「ICTを活用した楽しい教育、区民サービスの一層の充実」についてうかがいます。国連が2020年7月、加盟国の電子化をオンライン化・通信インフラ等の3つの観点からの調査結果を公表しました。1位デンマーク。2位韓国。6位スウェーデン。7位イギリス。9位アメリカと続き、日本は14位で先進国とはいえ、コロナ禍の政府の給付金に時間がかかりヨーロッパ等に比べてデジタル化の遅れを多くの国民が痛感しました。第6位のスエ―デンは、オンライン上で認証・署名ができ確定申告・運転免許申請更新・児童手当等「プッシュ型行政サービス」で9割以上の行政サービスがネット上で可能となっています。第99代内閣総理大臣に就任された菅総理大臣は、政権発足にあたり、重要施策の一つとして、デジタル庁を新設し「今までにないスピードで実施する」姿勢を明らかにされおります。デジタル政府の核心は「プッシュ型・行政サービス」であり社会保障と最も関係が深くマイナポータルを活用して適切なタイミングで必要なサービス情報を個別に通知できる、行政側から能動的にサービスを提供することを目指します。既に三鷹市では、予防接種、児童手当の手続き案内をプッシュ型で情報提供したり、千葉市の電子私書箱=ポータルサイトから必要な情報を受信して、申請ができるマイ・ポータルを活用したワンストップサービスが進んでいます。

東北大学大学院情報科学研究科 堀田 龍也教授の研究によると、経済協力開発機構(OECD)が3年ごとに世界各国の15歳の生徒を対象に実施している国際学習到達度調査(PISA)の2018年の調査で日本は数学的リテラシー、科学的リテラシーの成績は上位だが、情報を読み解く力の読解力が落る。更に、学校内でのデジタル機器の使用状況で、日本は全教科において最下位という結果となりました。さらに詳しく見ると、日本の子どもはスマホでゲームはするが、学校や家庭でPCを使って調べたりする学習の道具として活用していないことが判明。結果として情報活用能力(情報リテラシー)が弱いことが、OECD最下位の読解力に表れているとの指摘です。

本区は今般いち早くGIGAスクールに取り組み、他に先駆けてChroombookの配備を決断。機材の手配をされ、9月中には全区立小中学校に納品を終え、コロナ禍の教育環境整備の充実を成し遂げられた関係者のご努力に、予てからICTの充実を要望してきた我々としても大いに評価します。児童生徒もそしてなによりも教員も「まずは慣れること」から始めて、大人も子供もそれぞれの実力に合わせて、「楽しく」「毎日」使っていき、やがて「あたりまえの道具」になることが望まれます。

そこでうかがいます、Society5.0時代のGIGAスクールによるPCを活用した教育に取り組む基本的な姿勢をお聞かせください。学校だけでなく家庭でもPCに慣れることが大事だと考えます、自宅でのPCの使い方と保護者の協力についてお教えください。プログラミング教育やPCでの情報活用力の向上には、地域、民間等の幅広い人材の活用が望まれます。外部人材活用についてのお考えをうかがいます。更に、1人1台のPC配備では、不登校、障がい者、外国籍など、多様な子どもとの1対1の個別対応が可能となります。支援が必要な児童生徒に対して活用方法についてのお考えをうかがいます。「誰一人取り残さない」SDGSの教育の最適なツールとして、一人一人の絆を深める取り組みを望むものです。

また、SNSを介した事件やネット上の誹謗中傷、カメラでの盗撮等ICT及びネットに関わる犯罪への危険性について心配の声をお聞きします。「デジタルモラル」の徹底についての取り組みをお聞かせ下さい。そしてSDGSの「質の高い教育をみんなに」を達成し誰もが楽しいと思えるインクルーシブ教育が花開くことを期待します。

続いてICTを活用した区民サービスの一層の充実について何点かうかがいます。

政府は全ての人が情報技術(IT)を活用できる「デジタル・ミニマム」を盛り込んだIT基本法の改正を検討しています。「誰一人取り残さない」高齢者、障がい者等の情報弱者のデジタルデバイド(情報格差)解消は、国、地方自治体において喫緊の課題です。
総務省は、「デジタル活用支援員」として、高齢者等が地元地域で、ICTを学べる仕組みや、「地域ICTクラブ」として、地域で児童生徒がプログラミング等を楽しく学び合う実証実験を実施。その支援を産・官・学・NPO等多様な人材を活用する体制を検討しています。民間の調査によりますと、2020年のスマホ利用率を年代別にみると、10代~20代では約9割に。40代~50台は約8割。60台では7年前はわずか17%だった普及率が今では約7割に迫っています。ここにきてキャリア各社の定額低料金戦略により高齢者の方々のスマホ活用が急激に伸びる事となりました。

高齢者など情報弱者に対して、スマホやSNS・HPの活用について、身近に触れる機会を作っていく事が大切だと思います。

そこでうかがいます、区として、デジタルデバイド解消への取り組みの現状と今後の方針をお聞かせください。また、総務省が推奨する「デジタル支援員」や「地域ICTクラブ」のように、地域で身近にスマホやモバイルの使い方講座があればデジタルデバイド解消につながります。地域の人材や地元大学、専門学校、民間企業などと協定して、区民広場や、放課後の学校空き教室を使うことも可能と考えますがお考えをうかがいます。

本区では第二次・三次行政情報化推進計画の元、着実に行政の情報化を進めてこられました。情報管理課ではRPAを活用した発注、検査、評価、支払いの業務をモデル実施され議会にも報告されたところです。
先日、埼玉県深谷市の定型業務をRPAで運用した「申請書を書かない窓口」を担当の方から取材しました。今年の夏の新庁舎開庁にむけて「市民窓口改革」に取り組み、従来の業務の重複や複雑さを解消し“シンプルな窓口業務”目指し総務省の「住民窓口改革」補助金を活用し外部企業に委託して新しい業務を構築。住基ネットなど基幹システムとの定型業務をRPAで運用し、市民からの本人確認証明をOCRを活用、職員が基本データを入力することにより、市民の方は申請書類を記入することなく各種手続きが可能となり市民から好評を得ています。また、最近多くの民間企業や自治体で人事評価をICTによるシステムで実施している例も多く聞かれます。

そこでうかがいます、本区におけるICTを活用した区民サービスの現状と課題についての認識をうかがいます。また、深谷市のようにOCRや職員の入力により「申請書を書かない窓口」のような、シンプルでスピーディな行政サービスを進めて頂きたいと思いますが、お考えをうかがいます。また、本区における人事評価のICT活用の現状と効果についてお示しください。

次に健康福祉分野でのICTを活用した多職種連携についてうかがいます。医師会の地域医療部が中心になって歯科医師会、薬剤師会、介護事業所等と連携した、多職種連携ネットワーク、メディカルケアステーション「MCS」に区が参入し情報共有が可能となりました。医療用非公開SNSを使って医師が作成したタイムラインに招待することで、患者さんの最新情報の共有が可能となりました。急な変化にもスピーディーに対応でき、大いに期待します。この度、高齢者福祉課、池袋保健所の難病情報、高齢者総合相談センターの情報が接続できることとなり、患者さんの見守りネットワークが格段に上がります。そこでうかがいます、本区としてこのMCS活用の経緯と有効性をどう認識されているかうかがいます、また、参入にあたっての課題等があればお示しください。高齢者が住み慣れたこの豊島区にできるだけ長く住み続けられる安心のまちづくりにさらに尽力をお願いします。

次に、スマホ・アプリを活用した高齢者等の健康体力づくりについてうかがいます。この度、本区が東京都の次世代ウエルネスソリューションの構築事業「ポケット・ヘルスケア」の活用を発表されました。『デジタル技術を活用した高齢者・現役世代向け健康増進』を目指し、歩数に応じたインセティブの提供や健康診断結果に基ずく生活習慣病リスク予測などが可能とのことです。この「ポケット・ヘルスケア」事業の概要と導入目的、具体的な活用方法をお示しください。また、どのような効果を見込んでいるのかをお示しください。

ICT活用の最後に、電子図書の充実について質問します。新型コロナウイルス感染症の影響で非常事態宣言のいわゆる“巣ごもり”の中、電子図書が大幅に増加したとの報道がありました。利用者はインターネットを通じて希望図書を申し込み、デジタルデータで購読し、貸与期間が過ぎれば自動的に読めなくなる仕組みで、返却忘れはありません。

「電子出版制作・流通協議会」の調査によると、運営する地方自治体は7月1日時点で35都道府県の100自治体。新型コロナウイルスの感染が広がる中、手軽に借りられる利便性が好評で、電子図書館を持つ自治体、貸し出し件数とも急増しているとのことです。本区でも指定管理者のTRCが「TRCとしま E-ライブライ-」としてサービスを提供しています。そこでうかがいます。本区の電子図書館のコンテンツの規模と現状。今後の課題についてお示しください。いつでも、どこでも書籍を楽しむことができる電子図書の充実、広報につとめていただきたい事を要望します。
【魅力ある街、安全安心の街整備ついて】

大きな項目の3点目、魅力ある街、安全安心の街整備のうち、魅力ある街整備についてうかがいます。マンガの聖地トキワ荘マンガミュージアムが新型コロナウイルス感染症の影響で遅れましたが、7月7日一般公開が開始となりました。密を避けるため、現在は予約制をとっていますが毎週土日休日や時には平日でも多くの方が、マンガミュージアムだけでなく、トキワ荘お休み処やトキワ荘マンガステーション、トキワ荘があった碑等トキワ荘ゆかりの地に足を運び、マンガ文化の聖地を堪能されて、地元の方からも「人が増えたね、活気がでてきた。この状態を続けたいね~」との声が聞こえます。

そこでうかがいます、現在までの来館者数と運営状況、来館者の分析を通しどのように評価しているのかお聞かせください。また来館者からアンケートにて様々なご意見を頂いているとのことですがその主な内容をお聞かせください。また、区立初のミュージアムという事で、まずは、できるだけ多くの年代の豊島区民の方にこのマンガミュージアムを見ていただくことは、最も大事な観点だと思います。当初計画では区内小中学生も招待すると聞いていましたが区立小中学生の見学の現状と今後の予定についてお示しください。新型コロナウイルス感染症下の難し状況ではありますが、高齢者から子どもの区民の方の見学についてどのように取り組んでいかれるのかおうかがいします。ミュージアムという箱ものを作るだけでなく、ミュージアムができたことによって地域の街の活性化に繋げることが、地元の皆様の熱い思いです。南長崎から長崎へ、そして区内全域に波動を広げて行くためにも、地域の方々と一緒に魅力ある街づくりに取り組んで頂くことを要望します。

次に安全安心街整備のうち防災・水害対策についてうかがいます。今年の7月の九州北部豪雨に続き、台風10号が9月6日、7日にかけて九州に接近し「特別警報級の勢力」「記録的な暴風雨」と見込まれていましたがその前の台風9号が海水温度を下げ、予想よりも発達しないまま遠ざかりました。犠牲になった方はおられるものの当初の大水害被害は逃れました。気象庁がかなり早い段階から強く警告を発し,自治体もかなり積極的な避難への住民誘導が功を奏したようですが、報道では避難された方が溢れるケースが約500か所以上あったと報道されました。

本区においては、7月から9月初旬にかけて区内35か所全ての救援センターで職員向けセンター開設訓練が行われ私も地元長崎小学校に高際副区長さんと参加させていただきました。新型コロナウイルス禍の新しい方式の救援センター開設として、校庭のカギの開錠実施や「開設キット」による、段ボールベッド、マンホールトイレ組み立て、新型コロナ対応として感染の心配な方との避難経路を分ける作業など、実態に即した的確な職員の説明に参加した町会の方から「心強く感じた」とお褒めの言葉を頂きました。

しかしながら、区民の方から、台風10号の九州のように救援センターに避難者が溢れることはないのか?溢れた場合はどうするのか?との声をうかがいました。7月の防災震災特別委員会では本区として、分散避難、民間施設との協定に取り組むとの説明がありました。

そこでうかがいます。分散避難、補助・福祉救援センター、民間施設の検討状況と今後の方針についてお示しください。そして、まずなによりも、分散避難の広報、周知に取り組むべきと考えますが周知についての取り組みをうかがいます。

次に、令和2年7月九州北部豪雨では熊本県球磨川流域で甚大な被害が発生しましたが、この球磨川流域では流域の自治体が国や気象台、消防、自治会等と連携し、「球磨川水害タイムライン」を2015年に策定し、住民参加型の防災訓練などを通じ、これまで台風などの発生時に計26回にわたってタイムラインを運用。今回の豪雨では、ほとんどの住民は高台や避難所などに逃げることができ、地元の消防団員からは、「タイムラインなどの取り組み、訓練の成果がでた」と新聞報道がありました。我が党も予てからタイムラインの有効性を提案し他自治体とも情報交換を重ねてきました。このタイムラインは計画を作るだけでは全く意味がなく、タイムラインにそった避難訓練を重ねる事が何よりも大切です。

そこでうかがいます、まず本区防災計画におけるタイムライン取り組み状況をお示しください。自助・共助の視点で言えば、自治会や自主防災組織の単位で住民の防災行動を示す「コミュニティ・タイムライン」が有効で、荒川流域にあるお隣の板橋区舟渡地区や足立区中川地区などでも取り組んでおります、「我が家のタイムライン」、「我が街のタイムライン」も豊島区として積極的な呼びかけと支援が必要です。タイムライン取り組みついての今後の方針についてうかがいます。

続いて安心安全の街づくりの観点から、木密解消10年プジェクト補助172号線沿道街づくり及び西武池袋線椎名町駅と東長崎駅北口の共同化防災まちづくりについてうかがいます。私の地元補助172号線及び沿道の街整備は地元の代表の方による街づくり協議会の皆さんが熱心に議論を重ねられ、長崎1丁目~3丁目街づくりでは区長に対して沿道整備の「まちづくり提言書」を昨年夏出されました。また、椎名町駅北口、東長崎北口の共同化も防災街区整備事業という地権者には極めて有利な手法を活用し、関係地権者の皆様が意見のとりまとめに汗を流していた矢先に、新型コロナウイルス感染症により、皆さんが寄り合って話し合いもできなくなってしまい、約半年がたちました。

共同化を検討されている方々から、前代未聞のコロナウイルスという事で、国、東京都からの補助金なども厳しくなるのでは?という不安の声が寄せられています。

そこでうかがいます。補助172号線沿道の「まちづくり提言書」のなかで、残地の活用、ポケットパークの検討状況をお示しください。また、駅周辺の共同化については、地権者さんがお決め頂くことは当然のことですが、長崎1~5丁目地域が木造密集地域であり東京都の災害危険度マップでも危険度が高い状態が何十年と続いてきているなかで、地域の機運が高まり、安心の街整備には絶好のチャンスが到来しました。多くの地元地権者からも、豊島区としてもバックアップの要望を頂いています。西武池袋線椎名町駅、東長崎駅それぞれの共同化についての区としての認識と今後の取り組みをお聞かせください。

次に安心安全な街づくりのソフト面で、成年後見制度の利用促進について、質問します。

認知症や知的障害、その他精神上の障害で、ご自分で財産の管理や日常生活等に支障がある方が増加しつつあり、我々にもご家族や近隣の方から相談が寄せられます。そのたび、成年後見制度を紹介しますが、いまだに十分に理解されておらず、なかなか制度が利用されてない状況が続いています。

成年後見制度の利用を必要とする人は、自ら「成年後見制度の申立てをしてほしい」と発信することは困難で、度々人権侵害に遭うケースも報告されています。また、本来うけることができる介護・福祉サービスをうまく申請できずサービスをうけていないケースもあります。

また、介護・福祉サービス事業者の方からは、このような方と意思疎通ができず、結果的に適切なサービスを提供できない事態も生じているとのことです。

一人では意思決定が困難になった方が、引き続き地域社会で生活し続けられるよう、成年後見制度の区長申立てなどの制度がありますが、真に制度を必要としている人は、行政が窓口で座って待っているだけでは気づき、吸い上げること等できません。なによりも、地域に入り情報共有し地域と連携して、早期に、気づき、吸い上げ、対応する仕組みづくりが大変重要であると考えます。

我々公明党豊島区議団では、長年、島村高彦議員を中心に、社会貢献型後見人の養成をはじめ、この成年後見制度の問題に取り組んでまいりました。

そこでうかがいます。まずは、この間の本区の成年後見制度に関する取り組みについて、お聞かせください。

国においては“成年後見制度の利用の促進に関する法律”を、平成28年4月15日に公布し、同年5月13日に施行されました。

成年後見制度利用促進には、市町村の取組が不可欠であることから、この法律の中には、当該区域における成年後見制度の利用施策についての基本的な市町村計画を定めることとされました。

一人暮らし高齢者の割合が全国一高く、総合高齢社会対策を推進する本区としましても、成年後見制度を推進することは大変重要な課題であると考えます。

そこで、改めてお尋ねします。今後、成年後見制度の利用促進計画をどのように進めていこうとしているのか、区長のお考えをお聞かせください。

安心安全の最後に、がん検診とインフルエンザワクチン接種助成事業について質問します。2人に1人が生涯、なんらかのがんに罹患すると言われるがん対策には早期発見・治療が欠かせません。「日本対がん協会」の調べによると、今年は新型コロナウイルスの影響で、検診を受ける人が例年より3割以上減ることが見込まれているようです。同協会の方からは、がん検診の現場の方々は、感染防止にベストを尽くされており、検診は決して「不要不急な外出」ではないと強調されています。区として積極的に検診の勧奨をすべきと考えます。がん検診勧奨について現状と、今後の取り組みついてお聞かせください。

また、肺がん検診の希望者が急増し、加えて今年はコロナ禍で一時休診し、受付再開後、年内の申し込みは直ちに締め切られ、来年1月分からの分を10月1日から申し込み開始とのことです。過去にも、同様の事態が発生し、申し込んだ区民から、計画的な受診体制を強く要望されました。

今回はコロナ禍という状況はあるものの、区民の健康づくりのご希望に応えていく事は区の責務です。SDGsの適切な医療機会にもつながる課題です適切な対応を望むものです。肺がん検診の現状と申し込みをされ来年までお待たせする方への丁寧な説明と、今後区民のご要望に応える検査体制つくりについておうかがいします。

次に新型コロナウイルス感染症から高齢者の命を守るインフルエンザ予防接種事業についておうかがいます。季節性インフルエンザが流行する季節が到来します。今年は新型コロナウイルスの感染拡大の恐れがあり、重症化になりやすい高齢者のインフルエンザ予防接種は特に重要です。私どもも何度も要望してきましたが、今般東京都が今年に限り、高齢者インフルエンザ接種費用の補助を10月から開始することになりました。高齢者のインフルエンザ接種を優先として、一般の方の接種を遅らせるとの事ですが、医療現場で希望する一般の方との摩擦がおこらないように区民の皆様に周知しご協力をお願いすべきだと思います。また、高齢者の命を守る観点から、今年度だけでなく将来に亘って、インフルエンザ接種費用の助成を検討すべきだと思いますが、お考えをうかがいます。

最後にその他として、デフリンピック東京大会招致についてうかがいます。聴覚障がい者の五輪であるデフリンピック大会は4年に一度の夏季、冬季両大会を2年の間隔で交互に開催しています。2017年のトルコ夏季大会は86ヶ国・地域の2,800人を超える役員選手が参加し、日本は金メダル6個を含む過去最高の27個のメダルを獲得しました。来年2021年はブラジルの大会が決定し、選手はオリンピックでの日の丸目指して頑張っています。

小池百合子東京都知事は先の知事選挙で2025年デフリンピック東京大会開催推進を公約にされ当選しました。100周年を飾る同大会の初招致と開催を目指すとして聴覚障がいの皆さんから東京都や都議会へも実現への支援を要望されています。デフリンピックでは、大勢来られる聴覚障がい者に対して意思疎通のための手話通訳者やコミニュケーションツール確保等大きな課題もあります。

大会招致にむけては、実質的には東京都が中心となって、国と連携しながら進めることになりますが、本区としても、「聴覚障がい者の世界の祭典を東京で!」という皆様の気持ちに応えていくべきだと思います。健常者も障がい者も多様な人々が安心して生き生きと活躍できる社会構築、SDGsの誰一人取り残さない、取り組みを目指していただくことを強く要望します。そこでうかがいます、まず、本区における手話通訳の現状と課題をどう認識しておられるのか、また、手話通訳人材育成確保についてどう取り組んでおられるのかお教えください。更に、デフリンピック東京大会招致にむけ、東京都と連携を密に進めていただきたいと思いますがお考えをうかがいます。

以上で私の質問全部を終わります。ご清聴ありがとうございました。

公明党 木下広議員 令和2年第3回定例会 一般質問答弁

高野区長

ただいまの、木下広議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。

SDGsの推進と今後の区政運営についてのご質問のうち、まず、区職員のSDGsに基づく意識共有についての現状及び今後の取り組みについてのご質問にお答えいたします。

「SDGs未来都市」の選定を契機に本年8月には、私をトップとする「豊島区SDGs推進本部」を新設し、SDGsを推進するための組織的な体制を構築しております。

まず、精力的に取り組んでいるのは、SDGsへの職員の理解を浸透させることであります。これまで、管理職、新規採用2年目、主任4年目の職員を対象としたSDGs研修の実施や人材育成ニュースへの掲載による啓発を行っています。また、全ての職員へSDGsバッジを配布することにより、SDGs未来都市に選定された豊島区の職員の一員としての自覚を促し、SDGsを踏まえた事業展開への意識を醸成しています。

本年度の部の組織目標を設定する際には、それぞれの事業とSDGsのゴールの関係性を整理するなど、組織運営の中にも、SDGsの理念を組み込む仕組みづくりに着手しております。

さらには、来年度に策定を予定している「後期・基本計画」においても、SDGsの理念や考え方を、17のゴールと結び付けるとともに、経済・社会・環境の3側面による相乗効果などを意識した取り組みについて反映してまいります。

今年度には、モデル事業の展開にあわせて、各部局においてSDGsをアピールする取り組みを展開するなど、全庁をあげてSDGsの推進に取り組んでまいります。

 

次に、あらゆる世代、各階層の方々へ周知するための今後の取り組みと推進に向けた決意と計画についてのご質問にお答えいたします。

SDGsを実現するためには、区民の皆さまや事業者の皆さま、町会や商店街などの各団体の理解と協力が不可欠であり、区との連携のもとで、地域の皆さんが自律的に活動できる環境づくりが重要です。

このため、区の行事や地域の各種行事など、あらゆる場を活用し、SDGsへの歩みを区民の皆さんと共有してまいります。手始めとして、9月期の区政連絡会において「SDGs未来都市の選定」についてご説明をさせていただきました。

10月1日号の広報としまでは、SDGsを分かりやすく説明した特集記事を掲載し、全戸配布いたします。今後もできる限り多くの区民の皆さんにSDGsを知っていただき、実際の行動に移していただけるよう、全ての所管を連携させながら積極的に周知してまいります。

また、本定例会に上程いたします「SDGs都市宣言」により進むべき道しるべを示し、「SDGs特命大使」の新設などにより、公民一体となって確実にSDGsを推進していくための体制を構築してまいります。

この度の「SDGs未来都市」選定は、「国際アート・カルチャー都市」によるまちづくりを、さらに磨き上げる第一歩であり、これからが正念場です。豊島区が新たに挑戦するSDGsによるまちづくりを力強く進め、東京で唯一選ばれたことを誇りに、全国の自治体の先導的なモデルとなれるよう、区民の皆さんと一緒に取り組んでまいります。

 

次に、現在の区民生活に対する認識と今後の景気・経済動向の見込み並びにそれを踏まえた令和元年度決算の特徴と成果への認識についてのご質問にお答えいたします。

感染症の収束が見えない中で、区としても度重なる補正予算を講じてはいるものの、罹患する懸念を抱きながら生活する 区民の皆さんの不安には、私としても心を痛めております。

今後の景気・経済動向の見込みにつきましては、8月の月例経済報告で、持ち直しの動きが続くことが期待されるが、感染症が内外経済に与える影響に十分注意する必要があると慎重な見通しが示されており、地域経済への影響は先行きが不透明な状況にあると考えております。

令和元年度決算は、感染症による深刻な影響を受けておりませんが、年度末に景気後退に伴う歳入環境の悪化が強く想定されたことから、起債の発行調整や特定目的基金から財政調整基金への積み替えなどの財源対策を急遽、講じた点が特徴のひとつとなっております。

その他の特徴としては、23のまちづくり記念事業による  集中投資により、投資的経費が対前年度比で、210億円、123.0%の大幅増となったことがあげられます。

なお、区民生活を支える扶助費についても20億円、5.8%増と、過去最大規模になるとともに、教育費も25億円、29.1%の増となっており、結果として、投資事業に偏重(へんちょう)することのないバランスの取れた好決算になったと認識しております。

さらには、将来世代の負担軽減を図るため、区債の抑制方針も引き続き、堅持しております。過去最大規模となる投資的経費に連動する形で、元年度の発債額は、128億円と非常に高い予算額を計上しておりましたが、基幹歳入の伸びにも助けられ、最終的には55億円までに抑制をかけております。なお、この中には、感染症対策の一環として、敢えて発債額を増やしたという経緯もあることから、仮にこうした非常事態がなければ、元年度の発債額は、30億円台までに圧縮するつもりでした。

このように、常に区の将来を見据えて、その時点で、できる限りの対策を行った実績こそが、令和元年度決算の最大の特徴であり、成果であると認識しております。

次に、他区との比較における令和元年度決算及び財政状況に対する認識についてのご質問にお答えいたします。

各区におきましても現在、決算にかかる審査を行っている ことから、他区の決算との直接的な比較は、現時点では、困難な状態にあります。

そこで、東京都が発表した令和元年度の「特別区普通会計 決算の概要」に基づいて、特別区全体の決算と比較いたしますと、まず歳入面では、特別区民税の伸び率は、特別区全体で3.9%増に対し、本区は、ほぼ同率の3.7%増、特別区財政調整交付金は、全体で2.9%増に対し、本区は、3.3%増となっております。

歳出面を性質別で比較いたしますと、投資的経費の構成比は、特別区全体が13.2%であるのに対し、本区は、26.7%とほぼ倍となっております。また、扶助費につきましては、全体が31.3%であるのに対し、本区は25.3%となっております。

さらに、主な財政指標では、財政運営の状況を示す「実質収支比率」について、特別区平均が5.4%、本区は4.5%であり、財政構造の弾力性を示す「経常収支比率」は、特別区平均が79.1%、本区は80.9%となっております。

このように、性質別でみた歳出構成比につきましては、各区 の政策判断によって、差が現れておりますが、基幹歳入の伸び率や財政指標につきましては、特別区全体との比較で、大きく乖離(かいり)していないことから、財政状況そのものに大きな差異はないと認識しております。

令和元年度決算におきましては、かつてない投資事業を行い最大規模の投資にも関わらず、23区平均に大差なく、決算できたのは、私の運の強さだけではありません。議会の協力と区民の皆さんのご理解があってのことです。それだけに、結果を出してまいります。

 

次に、歳出における、投資的経費と扶助費、人件費、公債費についての現状認識と今後の見通しについてのご質問にお答えいたします。

令和元年度決算における投資的経費は過去最大となりましたが、これに要する財源につきましては、多額の起債発行に頼ることなく、これまで計画的に積み立ててきた基金の活用を図っていることから、区財政に与える影響は、想定の範囲内にあります。

また、扶助費、人件費、公債費といった義務的経費につきましても歳出総額に占める構成比は42.3%と、特別区平均の48.4%よりも低い水準となっていることから、財政運営上、 現状において、大きな問題はないと捉えております。

ただし、今後の見通しにつきましては、新型コロナウイルス感染症による影響が多様化、長期化することによって、大きく左右する可能性があると想定しております。投資的経費のほか、義務的経費のうち、人件費、公債費につきましては、一定程度、コントロールする余地もありますが、扶助費につきましては、感染症による影響の現れ方によって、財政需要が急増することも懸念されるところです。

こうした事態をも十分に想定し、区民生活を支えるために 確保した財政調整基金などもフル活用しながら、しっかりと 対応してまいります。

 

次に、令和元年度決算における特定目的基金と起債活用の経緯についてのご質問にお答えいたします。

特定目的基金への積み増しにかかる補正予算は、令和2年の第1回定例会に提出いたしました。議案提出時は、新型コロナウイルス感染症による影響の程度がまだ、つかめない状況で したが、その後、世界各地に拡大し、3月には世界保健機関WHO(ダブリューエッチオー)がパンデミックを宣言するに至りました。

かつて本区は、バブル崩壊やリーマンショックなどの経済 危機に伴い、単年度で数十億円にものぼる大幅減収を経験いたしました。こうした教訓を踏まえ、今回のコロナ禍に伴う歳入減に備えるとともに、緊急措置を要する財政需要への対応や コロナ禍でも区民生活を支える行政サービスの維持・安定化を図るため、できる限りの事前対策を講じる必要がありました。

3月以降、拡大の一途をたどるこうした危機的状況に鑑み、特定目的基金への積み増しを中止するともに、敢えて、区債の発債額を増やすといった財源対策を急遽講じることで、より柔軟な対応が図れる財政調整基金への資金シフトを図ったものであります。

 

次に、今後の貯金と借金に関する基本的な考え及び先行き不透明な状況下での、政策決定における議会、区民の皆さんに対し、説明責任を果たすことについてのご質問にお答えいたします。

感染症の拡大に伴い、発生するさまざまな問題に対し、時機を逸することなく、対応策を打ち出す機動性が求められますが、財政運営の持続性も極めて重要な要素であります。

単年度の財政収支のみならず、中長期的な財政展望をしっかりと持ち、安易に基金を取り崩すことによって、基金残高が 枯渇し、その後の財政運営に支障が出ないよう、貯金と借金のバランスを維持することが基本であると考えております。

しかしながら、区民の皆さんの生活を守ることを最優先に位置付け、感染症対策を講じることによって、貯金と借金のバランスが一時的に逆転する事態も想定する必要があります。財政調整基金からの取り崩しのほか、起債の最大限の活用も視野に入れるなどの対応についても検討する必要があると考えております。

なお、私は、これまで4次にわたるコロナ対策にかかる補正予算を議会に提出し、審議していただきました。コロナ対策という極めて重要な内容については、専決処分で進めることなく、議会とともに、検討し、決定する必要があると考えているためです。また、緊急やむなく、予備費を充当した事業につきましても、先日の議員協議会でご報告させていただきました。

この先、不透明な状況下で、重要な政策決定を行う新たな 事案も出てくると考えますが、私は、これまでどおり、区政  運営の両輪である区議会をはじめ、区民の皆さんへの説明責任をしっかりと果たしながら、課題の解決に取り組んでまいります。

 

次に、不合理な税制による本区への影響額についてのご質問にお答えいたします。

不合理な税制改正による特別区全体の影響額は、2,500億円に迫る勢いであり、特別区における人口70万人程度の財政規模に相当する衝撃的な額であると特別区長会事務局では分析しているところです。

令和元年度における本区財政への影響額は、法人住民税の一部国税化により、特別区財政調整交付金が23億円、地方消費税の清算基準の見直しにより、地方消費税交付金が14億円、ふるさと納税によって、特別区民税が12億円と総額で49億円もの減収影響があったと試算しております。なお、不合理な 税制改正による影響額は、年々拡大しており、本年度は、総額で70億円の規模になると見込んでおります。

また、特別区は、新型コロナウイルス感染症対策で、全国で最も多くの感染者を抱えており、膨大な財政需要によって、 特別区の負担は増え続けているとしております。

本区における状況もまったく同様であり、税制改正による負担の押しつけは、決して看過することはできないと考えております。

 

次に、不合理な税制解消に向けた国に対する取り組みについてのご質問に対しまして、お答え申し上げます。

不合理な税制改正につきましては、これまで国や全国市長会、全国町村会に対し、要請活動を実施してまいりました。

消費税率の引き上げに伴い、東京にさらなる減収をもたらす 税制改正が協議された際には、特別区長会は、東京都や東京都市長会、東京都町村会と共同要請を国に対して行いました。

直近では、国の令和3年度予算編成に向けて、重点となる 22項目の要望事項を取りまとめ、各大臣あてに要望書を8月に提出しております。

この22項目の筆頭に「分権改革の推進・地方税財源の充実強化」を掲げており、「地方分権に逆行する法人住民税の一部国税化の早期見直し」や「ふるさと納税制度の見直し」「地方消費税清算基準の制度本来の趣旨に即した見直し」について、具体的な改善要望を整理し、是正措置を明確に求めております。

こうした要望活動を継続して行っておりますが、残念ながら、いまだ改善が図られていない状況にあります。引き続き、特別区長会や東京都と緊密に連携し、あらゆる機会をとらえて国に対し、早期の是正を図るよう強く求めてまいります。

 

次に、生活支援についての情報提供に対する現状認識についてのご質問にお答えいたします。

新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの区民の皆さまより窮状を訴える声が届いております。各支援策を速やかに、確実に届けるため、ホームページをはじめ、専用の相談窓口やダイヤルの設置、広報としまなどで周知に努めておりますが、高齢者や障害のある方、平日は仕事で時間が取れない方など、必要な情報に簡単にたどりつけない方がいらっしゃることも認識しております。

特別定額給付金事業では、高齢者や障害のある方、外国籍の方などに対して、各々の所管の担当者が電話勧奨や個別訪問等を行い、お一人おひとりのお困りごとをお聞きしながら、給付金の制度説明や申請勧奨を行いました。このようにきめ細やかな対応を行った結果、給付率を97.4%まで高めることができました。

今後とも、ホームページ、広報としま、ツイッターなど広く情報を発信しつつ、情報が届きづらい方には、お一人おひとりの状況を踏まえた丁寧かつプッシュ型の情報提供を行うことにより、制度の周知徹底に努めてまいります。

 

次に、家賃でお困りの方、収入が低い子育て世帯の方、経営が厳しい飲食業などに対しての更なる支援を行うため、追加の補正予算を決断することについてのご質問にお答えいたします。

本定例会におきましては、高齢者のインフルエンザ予防接種費用をはじめ、幼稚園や保育施設、小中学校、学童クラブなどの職員に対する区独自のPCR検査経費の補助など、補正予算を提案し、コロナ対策をさらに進めています。

ご指摘の飲食店などの事業者に対しましては、国や都による家賃などの給付が行われています。

一方、他区においては、区独自の家賃補助やガイドラインに沿った感染症対策補助、デリバリーに要する経費の補助などが行われ、本区においても、同様の要望が寄せられています。

ご指摘も踏まえ、まずは飲食店にスポットを当てた対策を早急に検討してまいります。その中で、家賃でお困りの方や収入が厳しい子育て世帯の方などへの対応についても合わせて検討してまいります。

 

次に、魅力ある街、安全安心の街整備についてのご質問のうち、まず、トキワ荘マンガミュージアムの現在までの来館者数と運営状況、及び来館者の分析を通した評価、並びに来館者からのご意見についてのご質問にお答えいたします。

本ミュージアムは、新型コロナウイルス感染防止のため、事前予約制のもと7月7日より一般開館いたしました。開館以来大勢の方々にお越しいただき、直近の集計では、来館者数1万8千人、予約者数1万9千人と、2万人に迫る勢いとなっております。昨日報告をいただきました。2万人を超えた、という報告でございます。

来館者の傾向を見ると、区民の皆さんが2割であることから、区外からの来館者が多く、注目度の高さを実感する一方、区民の皆さんにはこれまで以上にお越しいただきたいと考えております。こうした考えから、9月11日から9月13日までを区民優先日と定め、地域区民ひろばや地域団体の皆さまにお声がけしたところ、多くの区民の方々にご来館いただき、4日間の連休の平均で、500人を超える来館者数となりました。

ご来館いただいた方へのアンケートによると、回答者の9割以上の方から「満足した、他の人にも勧めたい」と高い評価をいただいております。

次に、区立小中学生の見学の現状と今後の予定及び子どもから高齢者までの区民の皆さんの見学に関する取り組みについてのご質問にお答えいたします。

今月から、地元の椎名町小学校、富士見台小学校の児童たちが延べで220名、地域学習の一環として、休館日となる月曜日に来館いただきました。ある児童は目を輝かせながら「とても楽しみにしていた、再現部屋や漫画少年の展示に感動した」といった感想が聞かれました。

教育委員会では、来年度、社会科の学習の一環として、全ての区立小学校の4年生児童が来館する計画を検討しています。他にも、お子さんたちと保護者一緒の見学会や定期的な区民優先日の設定など、老若男女、より多くの方に、安全・安心にお越しいただけるよう工夫してまいります。

10月下旬からは手塚プロダクションの協力により「トキワ荘のアニキ 寺田ヒロオ展」を開催いたします。

入館料を無料とした理由は、トキワ荘の再現に賛同し、全国から当初の予想を大きく上回る4億円以上のご寄付をいただいた皆様のトキワ荘を育てたいというお気持ちに応えたいとの思いから無料といたしました。なお、特別企画展は、来館料を徴収する予定でございます。

今後も、トキワ荘マンガミュージアムがまさにマンガ文化の継承の拠点として、地域の皆さまや国内外からの多くの来訪者が訪れる、愛される施設となるようスタッフ一同全力を尽くしてまいります。

次に、成年後見制度に関する取り組みについてのご質問にお答えいたします。

認知症高齢者など、判断能力が十分でない方々の日常生活・財産管理を社会全体で支え合うことは、高齢社会における喫緊の課題であり、成年後見制度はそのための大変重要な手段であります。

本区では、成年後見制度を強力に推進するため、平成15年に、社会福祉協議会内に「福祉サービス権利擁護支援室

サポートとしま」を開設いたしました。

この間、公明党豊島区議団をはじめ各会派の皆さんから、社会貢献型後見人の活用推進など、様々なご意見をいただいてまいりました。

社会貢献型後見人は、志のある一般区民の方に後見人を

担っていただくもので、専門職による後見を補うものとして、さらには、被後見人の身近な存在として、大いに期待されるものであります。平成28年度からは、区独自の養成講習も開始し、現在12名の方にご登録いただいております。

一人暮らし高齢者の割合が全国一高い本区にとって、安心して暮らし続けられる社会を実現することは大変重要なことでありますので、引き続き、しっかりと推進してまいります。

 

次に、成年後見制度の利用促進計画の進め方についてのご質問にお答えいたします。

去る9月1日、保健福祉審議会に、利用促進計画の策定について諮問いたしました。

計画においては、利用促進を図るための「地域連携ネットワーク」の構築や、中心となる「中核機関」の設置が、大変重要な課題であります。

学識経験者や弁護士、専門家、さらには地域の代表の皆さんにもご参加いただく検討部会で議論を深め、令和3年度の計画策定に向けて、精力的に取り組んでまいります。

また、制度の利用促進強化に当たっては、地域の皆さんや関係者の方々の共通認識が大変重要ですので、利用促進に関する条例をぜひとも制定したいと考えております。

条例の中身についても、計画と併せて、審議会にてご意見を十分に伺い、その上で、区の姿勢を明確に示してまいります。

条例と計画の2本立てで、成年後見制度の利用を強力に推進し、安心して暮らし続けられるまち、日本一の高齢者にやさしいまちの実現に向けて、努めてまいります。

 

なお、私からの答弁は以上ですが、その他の質問につきましては、両副区長並びに危機管理監から、教育委員会の所管に属する事項につきましては、教育長から答弁申し上げます。

齊藤雅人副区長

ICTを活用した楽しい教育、区民サービスの充実についてのご質問のうち、まず、デジタルデバイド解消に向けた取り組みの現状と今後の方針についてのご質問にお答えいたします。

デジタルデバイドは、高齢者に顕著であることから、年齢層の高い区民の皆様を対象とした学習講座に力を入れてまいりました。

例えば、区民ひろばや東池袋フレイル対策センターなどにおいて、通信事業者によるスマホ講座や、地域の大学講師を招いてのタブレット講座、シニアのためのモバイルを利用した介護予防講座など多彩な講座を開催しています。

特に、現在9か所の区民ひろばで開催しているスマホ講座は大変好評で、年間370名を超える方にご参加いただいております。

また、「元気!ながさきの会」や「養(よう)心(しん)パソコンクラブ」、「ひまわり・健やかライフ」など、地域団体の主催によるパソコン教室も、区施設を利用して定期的に開催されています。

今後は、ウィズコロナにおける生活様式や課題等もありますが、デジタルデバイト解消に向けた、さらなる取り組みを検討いたしまして、来年度改定を予定している「基本計画」、また「行政情報化実施計画」において、位置づけ、実施してまいりたいと思います。

 

次に、デジタルデバイド解消のために、地域の人材や地域の教育機関、民間企業等と協定し、区民ひろばや放課後の空き教室を利用したスマホやモバイルの使い方講座を実施することについてのご質問にお答えいたします。

ただいま申し上げましたとおり、通信事業者や区内の大学・地域団体などが、区民ひろばなどの区施設で様々な講座を開催しております。

行政サービスのデジタル化が進むなか、高齢者をはじめ、幅広い区民の皆さまに、デジタルデバイド解消にむけた多様な機会を提供していくためには、地域が持つ様々な主体との連携を広げることが何より重要と考えております。ご指摘いただいた協定の締結や、区施設や地域人材等の活用を含め、公民連携による取り組みをさらに広げてまいります。

 

次に、本区におけるICTを活用した区民サービスの現状と課題に関する認識についてのご質問にお答えいたします。

これまでの活用事例としては、総合窓口における事前予約・混雑確認ができる「リアルタイム窓口情報システム」、保育園入園の書類等が事前に準備できる「入園手続きガイド」、さらには請求書により自宅で税の支払いが電子マネーでできるシステムなど、現在までに複数の業務でICTを導入し、成果を確認してまいりました。昨年度、辻かおる議員からご質問いただいた「お悔やみ案内」につきましても、現在、研究を続けているところです。

一方、区民サービスへのICT導入には、技術的に可能性があても、実用性という面からの課題も見えてまいりました。

例えば、昨年度から準備をいたしまして、今年7月に実証実験を行いました、「保育所AI入所選考システム」では、そのシステムによる処理が数秒で終わったわけですが、複雑かつ高度な判断が難しく、職員とAIによる選考の一致率は86%にとどまりました。この一致率でございますが、職員が同時に全件の確認を行って初めて、一致率の確認ができるものでございます。

発展著しいAI技術ですが、多様な区民ニーズに確実に応えるという意味では、人の確認を省略することは難しく、さらなる改善が必要となります。

しかしながら今後とも、機械的な作業から複雑な判断を伴う業務まで、ICT活用のチャレンジを果敢に続け、区民サービスの向上に努めてまいります。

 

次に、「申請書を書かない窓口」のような、シンプルでスピーディーな行政サービスの実施についてのご質問にお答えいたします。

区では、業務手順の改善に努め、区民の皆様をお待たせしない窓口を目指してまいりましたが、コロナ禍の影響により、窓口での滞在時間の縮減がより強く求められるようになりました。

ご提案いただきました「窓口支援システム」は、滞在時間の縮減効果が期待でき、また、現行の基幹系システムを大幅に改修することなくオプション的に追加導入できるという点では、比較的容易に導入が可能と考えられます。

一方、正確に基幹システムとデータ連携できるインターフェースの設計、新システムの段階的な導入方法、そして、待ち時間の縮減とコストを比較した費用対効果の検証など、導入に当たって検討すべき課題もございます。

シンプルでスピーディーな「申請書を書かない窓口」は、区としても目指すべき姿であると考えていますので、これら課題に取り組みながら、「窓口支援システム」の改善に努めてまいります。

 

次に、人事評価のICT化についてのご質問にお答えいたします。

区では、平成28年度より人事評価制度にICTを活用し、それまでの紙ベースでの管理・運用から、オンラインでの入力・閲覧できるシステムを導入いたしました。

こうしたシステム化により、人事評価管理に関する管理監督者の事務負担が大きく軽減され、評価を受ける職員にとっても自己に対する評価について、システムからいつでも経年で確認できるようになり、職員一人ひとりの能力開発とキャリアデザインに活用できるような運用を行っています。

システム上では、全ての評定項目を開示しており、人事評価の透明性向上にも資するものとなりました。

今後も、公正で透明性の高い評価制度の運用に、ICTの力を活用し、職員の能力向上、ひいては行政サービスの向上に努めてまいります。

 

次に、魅力ある街、安全安心の街整備についてのご質問のうち、補助172号線沿道のまちづくり提言書における、残地の活用、ポケットパークに関する検討状況についてのご質

問にお答えいたします。

平成26年度からスタートした補助172号線事業は、現在、用地買収率が約50%となっており、今年度までとしていた事業期間については、令和7年度まで5年間の延伸が予定されています。

ポケットパークについては、都と連携を図り、相応しい規模の残地がある場合は、情報提供を受けることにしておりましたが、これまでのところポケットパークに相応しい規模の残地についての情報をいただくには至っておりません。

今後も、都に情報提供を求めるとともに、用地を取得できた際には、協議会の皆さんとともに、魅力あるポケットパークの整備内容を検討してまいります。

 

次に、椎名町駅、東長崎駅共同化に関する区としての認識と今後の取り組みについてのご質問にお答えいたします。

両地区の協議会については、新型コロナウイルス感染症のため、本年2月から活動を自粛し、代わりに少人数での役員会を開催してまいりました。

この間、椎名町駅北口地区では、地権者の個別面談を行い、まちづくりの方向性について意向確認を続けてまいりました。また、東長崎駅北口地区では、まちづくりの課題について、役員の方々と個別に意見交換を行ってまいりました。

しかし、これ以上、協議会活動の自粛を続けることは、まちづくりの機運に影響を与えることも考えられるため、開催方法を工夫し、11月ごろから協議会を再開できるよう準備を進めたいと考えております。

今後は、まちづくりプランの検討を進めるとともに、準備組合の設立を目指して、全力をあげて支援を継続してまいります。

 

私からの答弁は以上でございます。

高際みゆき副区長

ICTを活用した楽しい教育、区民サービスの充実についてのご質問のうち、まず、MCS活用の経緯と有効性及び参入にあたっての課題等についてのご質問にお答えいたします。

医療介護従事者の情報共有のシステムであるメディカルケアステーション、略して「MCS」については、平成25年6月に豊島区医師会内で運用が開始され、平成27年1月には、区が主催する在宅医療連携推進会議の中にICT部会を設け、多職種間での活用について検討をしてまいりました。

平成30年度からは、ICT環境の整っていない介護事業所等に専用端末を貸与する事業を、区の補助事業として、豊島区医師会が実施するなど、活用のすそ野を広げており、現在、在宅医療を受ける方のタイムライン数は2,000を超えております。

このMCSの活用により、これまで医師、歯科医師、薬剤師をはじめ、介護やリハビリ関係職など、在宅医療に携わる多職種の方々が、それぞれ個別に連絡・調整をしていたものが、患者タイムラインに参加する関係者全員が、同時に患者の状況の共有や対応に係る調整をすることが可能となり、より質の高い患者支援を、チームとして実現できることとなります。

区が参入するにあたり、個人情報の取り扱い等が課題となっておりましたが、本年7月31日に個人情報保護審議会に承認を頂き、区の職員がいない高齢者総合相談センターにもMCS専用端末を配置するなど、課題の多くは解消しております。

今後、より一層、MCSの効果を上げていくには、在宅医療を受けられる区民の皆様のご理解と、利用の促進を図っていくことが重要であると認識しており、多職種間での協力のもと、より質の高い在宅医療の実現に向け、周知啓発を図ってまいります。

 

次に、「ポケットヘルスケア」事業の概要と導入目的、具体的な活用方法及び見込んでいる効果についてのご質問にお答えいたします。

本事業は、日常生活の身近なツールであるスマートフォンに、ヘルスケアのためのアプリを入れ、気軽に健康維持、健康増進を図っていただこうという、3か年の実証実験です。

歩数に応じてコンビニ等で使えるクーポンを受け取れることなどにより、運動への意欲を喚起するとともに、個々の状況・属性に合わせたイベント情報や健康情報を配信できます。

また、健診結果データをAIが分析し、病気等のリスクをご提示し、注意喚起をいたします。

本事業の効果としては、日頃お使いになっているスマートフォンを活用し、負担なく健康増進に取り組め、結果として疾病等の早期発見・対応につなげていくことが期待できます。

また、この取り組みと併せ、高齢者の見守り等におけるスマートフォンの活用についても検証してまいります。

 

次に、本区における電子図書館のコンテンツの規模と現状及び今後の課題についてのご質問にお答えいたします。

区の電子図書館は、指定管理者の自主事業として運営しており、令和2年8月末現在、児童書も含め、8,221点のコンテンツを利用することができます。東京都立図書館の電子書籍閲覧サービスのコンテンツ数は約7,300点ですので、本区の電子図書館は比較的充実しているものと考えております。

今後も、コンテンツの拡充とともに、区が有する独自資料のコンテンツ化等についても、事業者と協議し、電子図書館の充実に努めてまいります。

また、区の電子図書館の利用登録者数は、令和2年9月現在1,259人であり、令和2年3月末の869人から、5か月で約1.5倍に増えております。しかしながら、図書館の利用登録者数全体から見ますと、まだ1%程度という状況です。

この間、図書館カードをお持ちの区民の方については、電子図書館の利用登録を、カウンターでの申し込みに加え、電話・FAXでも可能とするなど、ご利用いただきやすい仕組みとし、ご案内をしてまいりました。

コロナ禍が長引く中、感染の状況や天候、ご自身のご体調などの如何に関わらず、来館せずとも読書を楽しむことができる電子図書館の必要性は、一層増すものと考えており、今後、より多くの皆様にご利用いただけるよう、更なる周知に努めてまいります。

次に、魅力ある街、安全安心の街整備についてのご質問のうち、まず、がん検診勧奨の現状と今後の取り組みについてのご質問にお答えいたします。

がん検診については、平成30年度から、従来の申込制に代えて、対象者全員に受診券を発送しております。対象となる検診を一覧できる受診券を直接お送りすることで、胃がんの内視鏡検査や肺がん検診の受診者数は、直近2年間で、予想を大幅に上回る増加が見られました。

一方、乳がん検診や子宮頸がん検診、大腸がん検診は、受診者数が漸減傾向にあるため、受診券送付後、さらに、はがきによる受診の勧奨を行っております。また、特定健診や長寿健診等の受診券発送時にも、「がん検診のご案内」を同封するなど、受診勧奨に努めております。

今年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により、例年より2か月ほど遅く、7月に検診を開始しました。こうした中、一人でも多くの方に受診いただけるよう、引き続き、広報としまやホームページ、メールマガジン等を通じ、がん検診受診の重要性について発信してまいります。

次に、肺がん検診の現状及び受診まで長く待たせる方に対する説明と、区民要望に応えるための今後の検査体制について

のご質問にお答えいたします。

がん検診が、例年より2か月遅れでの開始となった状況から、健診センターにおいては、他の検診枠からの振替えや、検診器材の消毒方法の工夫等により、三密回避のため一旦減らした肺がん検診の受診枠を約1,000人分追加しました。しかしながら、その人気の高さから、12月までの予約は既に定員に達している状況です。

こうした状況につきましては、ホームページ等を通じ、随時、区民の皆様へお知らせしておりますが、今後も、ご予約の状況等、区民の皆様へのより一層丁寧なご説明に努めてまいります。

また、検査体制につきましては、委託先であります豊島区医師会とも協議を重ねており、予約が取りにくい状況を少しでも改善し、多くの皆様に肺がん検診を受診していただける体制の構築に向け、早急に検討してまいります。

次に、高齢者のインフルエンザ予防接種の周知と接種費用助成についてのご質問にお答えいたします。

これまでは、定期接種として、区が費用の一部を助成し、2,500円の自己負担で接種いただいておりましたが、今年度は、自己負担分も区が助成することで、無料で接種いただけるよう、必要な経費を今回の補正予算に計上しました。

インフルエンザの予防接種は10月1日より開始されますので、希望される方が早めに接種されるよう、区民の皆様への呼びかけを行ってまいります。

また、医療現場において、接種の時期に関して、一般の方と高齢者をはじめとする優先接種対象者との間で摩擦が起こることのないよう、区報や医師会への説明会の場などを通じ、周知してまいります。

来年度以降の助成の継続に関しましては、新型コロナウイルス感染症の流行状況や、国、都の動向なども見据えながら検討してまいります。

 

次に、その他のご質問のうち、まず手話通訳の現状と課題及び手話通訳人材育成確保についての取り組みについてのご質問にお答えいたします。

豊島区では、現在、37名の通訳者が登録し活動しています。

手話通訳者の育成には、スキルアップに多くの時間や労力を要すること、さらに通訳者の高齢化もあり、人材の育成とその確保が大きな課題となっています。

コロナ禍において、国や都の会見時にも手話通訳がついたことで、手話への関心が高まる一方、感染防止のため、他自治体では手話講習会の中止が相次いでいます。

このような状況ではありますが、本区においては、手話に関心をお持ちになった方を手話講習会に繋げるため、11月から体験コースを実施できるよう、鋭意準備に取り組んでおります。

 

次に、デフリンピック東京大会招致にむけ、東京都との連携を密に進めることについてのご質問にお答えいたします。

東京都では、スポーツを「する・みる・支える」ための環境を整えるとともに、聴覚障害をはじめ身体障害や知的障害など、様々な障害のある方々、誰もがスポーツを楽しめるまちを目指し、障害者スポーツの振興に向けた取組を幅広く推進しています。

東京2020パラリンピック大会後も、障害者スポーツに対する関心を引き続き高められるよう、お話しのデフリンピックをはじめとする国際大会の開催支援についても調査・検討を進めていると伺っており、SDGs未来都市を推進する豊島区といたしましても、都の検討状況等を踏まえ、連携のあり方について検討してまいります。

 

私からの答弁は以上でございます。

今浦危機管理官

魅力ある街、安全安心の街整備についてのご質問のうち、 まず、分散避難、補助・福祉救援センターや民間施設の活用に関する検討状況と今後の方針についてのご質問にお答えいたします。

ウィズコロナ時代の避難は、常に感染症対策を念頭に入れた避難体制の推進が必要と考え、救援センター避難者一人当たりの専有面積を、これまでの2.475平方メートルから4平方メートルといたしました。その結果、救援センターでの収容人数は、従来の6割になります。このため、自宅避難や縁故避難を含む分散避難を推進して、救援センターの過密状態を防止することが重要であると考えています。一方、発災当初、避難者が救援センターに集中する場合が想定されるため、35ヵ所全ての救援センターに飛沫感染防止用のダンボールパーテーションを準備しています。更に、補助救援センター45か所、福祉救援センター39か所を努めて早く開設して避難者の一部を収容することで、救援センターの過密状態を緩和することにしています。

今後の方針としましては、ウィズコロナ時代の避難体制を見直すため、現在、震災対策推進本部において全庁的な態勢で鋭意検討を進めています。

避難スペース確保のための民間施設との連携につきましては、区内のホテルを中心に検討を開始しており、新たな施策として協定等の締結を進めて参ります。

 

次に、分散避難の広報、周知についてのご質問にお答えいたします。

分散避難については、区政連絡会や9月1日号の広報で区民の皆さまへの周知を始めました。分散避難は「避難 イコール 避難所に行く」といった従来の避難の考え方を大きく転換するものです。震災対策本部における検討成果を踏まえて、新たに「豊島区防災ハンドブック」を作成し、全戸配布するとともに、防災訓練等で広く区民の皆さまに周知してまいります。

 

次に、防災計画におけるタイムラインの取組状況についてのご質問にお答えいたします。

昨年の台風19号の教訓に基づいて、本区が昨年度作成したタイムラインでは、災害対策本部において、台風直撃の48時間前に救援センターの設置を決定して諸準備を進め、24時間前に開設を完了し、十分な余裕をもって避難者を受入れる体制を整えることになっています。現在、台風シーズン到来にあたり、全救援センター配備職員への訓練を完了すると共に、避難者に提供する備蓄品等の準備、医療救護所用器資材等の確認、保健士の派遣調整等を関係部局とともに進めています。

 

次に、タイムラインの取り組みに対する今後の方針についてのご質問にお答えいたします。

タイムラインについては、区政連絡会や町会との勉強会等で区民の皆さまに周知してまいりました。その成果として、長崎五丁目町会では、タイムラインに基く行動手順をまとめた「豪雨時避難ガイドマップ」を作成し、町会内で共有しています。

今後は、こうした取り組みが広がるよう、「我が街のタイムライン作成支援講座」の実施を検討してまいります。

私からの答弁は以上でございます。

金子智雄教育長

引き続きまして、教育委員会の所管に属する事項に関するご質問に対しまして、お答え申し上げます。

SDGsの推進と今後の区政運営についてのご質問のうち、小中学生をはじめとする子ども達へのSDGs推進に関する基本的な考え及び取組についてのご質問にお答えいたします。

「新学習指導要領」において、育成すべき資質・能力である「学びに向かう力、人間性等」を涵養する要素として、「持続可能な社会づくりに向けた態度」が示されております。SDGsの取組を推進することは、子どもたちが、広い社会の中で視野を広げて意欲を高め、様々な分野への知的好奇心や創造性を育む礎になります。この取組を通じて、地域住民をはじめ、多様な人々と協働して社会的変化を乗り越え、豊かな人生を切り拓き、持続可能な社会の創り手となるよう指導していくことが重要であると考えております。

具体的な取組といたしましては、先進的にSDGsの実践研究に取り組んできた巣鴨北中学校の研究成果を参考としながら、日々の学習の中で、子ども自らが課題を見出し、他者と対話をもとにして解決する体験を一層取り入れてまいります。さらに、SDGs未来都市である豊島区の地域人材・地域資源を授業で積極的に活用する機会を増やすことにより、豊島区のSDGsの取組を教育の面から全面的に支えてまいります。

 

次に、ICTを活用した楽しい教育、区民サービスの充実についてのご質問のうち、まずGIGAスクールによるノートパソコンを活用した教育に取り組む基本的な姿勢についてのご質問にお答えいたします。

高野区長のご英断と、区議会の皆様の大きなご支援により、本区では、どこよりも早く1人一台体制を構築し、タブレットパソコンを学びの道具として使う教育活動が始まりました。

今は、子供の学びが変わる、授業が変わる、大きな転換期であり、予め、何が正解かわからない世界の中でありますが、日々試行錯誤しながら進んでおります。

このような中、ご指摘のとおり、まずはタブレットパソコンを教員と児童生徒が日常的に使い、学習道具として慣れ親しむことを目標とし、毎日、様々な場面で楽しみながら使うことを重視しております。そして、既にすべての教科の学習において、よりよい活用方法を模索して様々な取り組みを行っておりますが、今後、多様な子供たちひとり一人に個別最適化した教育活動を展開できる、豊島区の新たな学びのスタイルを作り上げてまいります。

 

次に、自宅でのPCの使い方及び保護者の協力についてのご質問にお答えいたします。

子供たちには、家庭でも毎日タブレットパソコンを開き、各学校で作成したSNSルールに準じた使用ルールに従って、家庭学習を進めるとともに充電を行うよう指導しています。また、学校からの連絡確認としても使用しております。保護者の皆様方には、子供たちへのサポートと合わせ、ご家庭にWi-Fiがある場合には接続して使用していただくことなどを貸与の際にお知らせしております。

 

次に、プログラミング教育やPCでの情報活用力の向上における外部人材の活用についてのご質問にお答えいたします。

タブレットパソコンの配付により、児童一人一人が自分のペースで、学習に粘り強く取り組んだり、学習課題を主体的に見つけて、深く考え、解決するなど、個々の実態に応じた学習が展開され、プログラミングや情報活用能力は、今後さらに向上していくものと考えております。

一方で、この恵まれた環境を生かすためにも、ICT支援員の活用により、教員による指導力の向上をはかるだけでなく、企業の地域貢献事業や専門的ノウハウを持つ多くの方々のご支援を頂くことが大変重要であると考えております。

実際、子供たちのために協力を惜しまない地域の方々も少なからずいらっしゃいますので、今後、教育委員会が率先して、このような地域や民間の方々と学校との連携を図ることで、学校、地域が一体となってICT教育を推進してまいります。

 

次に、一人一台のPC配備を活用した支援が必要な児童・生徒に対する取り組みについてのご質問にお答えいたします。

まず、不登校傾向の子供たちへの取り組みでは、タブレットを活用したオンライン面談等により、一人一人の現状をしっかりと把握し、また、家庭でも学習ソフトを活用して基礎学力を身に付けたり、オンラインで学校の授業に参加するなど、学習機会を保証してまいります。

また、特別支援学級には、聴覚からの情報よりも視覚からの情報の方が優位な児童・生徒が多く、これまでもタブレットや大型テレビ、実物投影機などを活用してまいりましたが、今後は、一人一台のタブレットを活用することで、個に応じた取組を更に一歩前進させてまいります。

さらに、外国籍の児童・生徒たちへの取り組みでも、特に学校に日本語指導学級が無い児童は、タブレットを活用することで、教育センターへの保護者の送り迎え無しに、学校で日本語指導を受けることができます。すでに、教育センターでは、オンラインを活用した日本語指導を実験的に進めております。

今後も、まさにSDG’s未来都市の最たる取組として、「誰一人取り残さない」ための、一人一台の体制を十分に活かし、多様な子供どもたち一人ひとりに応じた教育の実現に向けて努力を重ねてまいります。

 

次に、「デジタルモラル」を徹底するための取組についてのご質問に、お答えいたします。

学校では、これまでも、特別活動や道徳科、教科等の様々な時間を活用し、インターネットのトラブルについて考える学習、情報機器の使用による健康被害についての理解を深める学習を計画的に行ってまいりました。これにより、適切な情報選択や、よりよい情報発信など、子供たちが様々なデジタル機器を適切に使いこなす能力を育成しております。

特に、インターネットやSNSのトラブルにつきましては、児童生徒が主体的に危機を回避できるように、各学校と家庭が一体となって「SNS学校ルール」「SNS家庭ルール」を作り、また毎年、これを見直すなど、適正な利用に向けた取組を推進しております。

今後は、「SNS学校ルール」に「タブレット活用ルール」を加え、新たな環境に適合した指導の充実に努めてまいります。

 

以上をもちまして、木下広議員のご質問に対する答弁を終わります。