令和2年第2回 定例会一般質問

「新たな絆を創出するまち豊島」
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2020.R2.6.23  公明党 島村高彦

 私は公明党豊島区議団を代表し「新たな絆を創出するまち豊島」と題し、第1に総合的な危機管理対策、第2に防災対策、第3に産業振興対策、第4に雇用対策と働き方支援、第5にひきこもり対策、第6に認可外保育政策、第7にSDGsの推進について一般質問を行います。

まず、世界中を大混乱に陥れた新型コロナウイルス感染症による多大な被害に対し、心よりお見舞いを申し上げ、一日も早い収束と生活の復興を強く祈念申し上げます。そして、この間、今もなお厳しい環境の中、対策に尽力くださっている医療従事者や本区においても保健所職員をはじめ、給付金の対応等、多くの相談支援に対応されている皆様のご労苦に深く感謝を申し上げます。

それでは第1の総合的な危機管理対策です。感染症パンデミックも災害の一つであり、今後もあらゆる事態を想定した総合的な危機管理体制を構築しておかねばなりません。今回、本区は新型インフルエンザ等対策行動計画に基づき「危機管理対策本部会議」また私も副議長として参加させていただいた「対策本部」を設置し、区長を本部長として全ての部と連携して対策にあたりました。これを通して従前の対策行動計画の見直し等、今後の対策として得られた教訓があればお聞かせください。

次に報道等で指摘があるように感染症拡大の最中での大地震発生など、複合的な災害発生時の対策、たとえば救援センターの開設、運営をはじめ、避難のあり方をどうするのか等、今後の対応策についてお聞かせください。

次に今回、打ち出された国や都の様々な対策が、住民へ速やかな支援を行うべき各自治体と十分な連携が図られていない問題です。国の問題でもありますが、支援を打ち出す前に現場の基礎的自治体の状況をすみやに国や都の執行機関に伝えることができる体制を構築しておく必要性があると考えます。本区だけで取りうる対策ではありませんが、お考えをお聞かせください。

次にすでに、第1回臨時会の招集挨拶で今後の財政運営について事業の延期、休止の可能性にも言及され、本定例会でも方針が示されました。大幅な歳入減が見込まれる中、きわめて難しい運営が求められますが、そうした中でも特に留意すべきは、1点目にダメージを受けた区民への影響を十分に考慮した事業の見直しであること。2点目に各施設の改修、再構築の延期等については区民生活への影響も分析し、十分な周知と理解を得ること。3点目に区長もご懸念されている地域のコミュニティが失われないよう、新たな対策を講じること。以上3点を考慮した運営方針となっているか、十分に踏まえられていると思いますが、改めて、お聞かせ願います。

次にコロナ禍で多くの区が困窮している区民のために様々な独自支援に取り組みました。そこで、本区がこれまで行った独自支援策について、実施に至った理由も含めお聞かせください。また他区の支援策が報道され「豊島区にはないのか」との声が我々には届きますが、今後さらに支援が必要な区民も増える中、さらなる本区独自の支援策があれば、お聞かせください。

次に様々な区民対応についてお尋ねします。勤務や登校の自粛等で在宅が増えたことにより児童虐待やDVの問題はどうであったのか。訪問自粛も求められる中で、高齢者の見守りに課題はなかったか。連休中の対応については特にお願いをしてありましたが、本区が生活保護の申請を拒絶したとの報道もありました。対応される職員のご苦労も十分承知しておりますが、対応の仕方次第で大きな危機につながることもあります。この間の対応で課題があれば、お聞かせ願います。

最後に次の防災対策でもふれますが、区民への情報伝達についてお尋ねです。これまで多くはホームページと広報で周知というのが中心でしたが、もはやこれだけでは周知の機能が果たされないというのが実感です。また、これまで防災行政無線もほぼ毎日同じ内容を流しておりましたが、これまでにない災厄が起きている中、発信当初は「昨日とは違う何か大切なことを言っているのではないか」と耳をそばだてて聞こうとした区民も多かったようです。しかし、過去のデジタル化の質問の答弁とは異なり、未だ聞きづらい状態です。そこで他

区では青パトなどの車両で区内を隈なく回り、発信しているとの報道もありました。本区も防災車両を回したとのことですが、実際どこをどの程度回ったのか。反応はどうであったのかお聞かせください。さらに安全・安心メールも感染予防と給付金に伴う詐欺被害への注意喚起を繰り返しております。この間、どこに相談したらいいのかという問い合わせも多い中、区民にとって有用な情報である様々な相談先をリアルタイムかつ繰り返し流さなかった理由を教えてください。この後、具体的な対策も提案いたしますが、情報弱者も多い一般区民への情報伝達について改めて取り組むべきと考えます。お考えをお聞かせください。

 

第2に防災対策です。今回は昨年10月の台風19号の課題と対策に関連してお尋ねします。まず救援センター開設について、長い間、災害時には町会単位で一時集合場所から救援センターに移動するということが防災訓練等でも周知されており、多くの町会員もそのように認識してきました。地域防災計画にも「救援センターは、区立小中学校等とする」とあります。しかし、同計画の風水害対策編ではその開設について別の定めがあります。このことが町会長をはじめ多くの区民には知られていなかったことをご存知だったでしょうか。かなり以前から本区も浸水被害に悩まされてきた中で震災時と風水害時には避難所の開設のしかたに違いがあるということをなぜ、周知してこなかったのかお聞かせください。防災会議でもお尋ねしましたが、明確なお答えを頂けなかったので改めてお聞きします。

次にこれは課題にも上がっておりませんが、センター開設後、なぜ近くの学校を開けないのかという問い合わせが数多くある中、隣接区住民からは他区の学校開設の要望もありました。毎回お尋ねの隣接区連携対策です。隣接区住民同士の合同訓練は難しいとのことですが、次なる災害に備え、せめて行政間同士の避難連携体制は整備しておくべきと考えますが、いかかでしょうか。

次に同じく毎回お尋ねの夜間、休日の救援センター開設の課題です。今回は計画的に開設され、昼間でもあり、職員が対応できました。これが休日夜間に突然発生した震災などの場合、職員が駆け付けられず、住民が困ることはないのか。また最近、小中学校の門扉は安全のためオートロック化されましたが、緊急時、センター担当職員との連携は十分であるのか、さらに平成28年には38名いた災害対策要員は現在32名、首都直下地震発生が懸念される中、増員しておくべきですが、逆に減少しております。加えて各校数名いるセンター配備職員はすぐに参集できる所に居住しているのか。

そして、そもそも救援センターの運営にあたる職員の対応力は十分であるのか。そのための日ごろの訓練は行われているのか。地域の人に開設を委ねるのは荷が重くて無理だとのことですが、これで本当に緊急時に区民の安全を守ることができるのか、これら全てについて、お答えください。

次に15年間にわたり訴え続けた要援護者対策が今さらのように課題となっておりました。すでに多くの町会や団体から支援するよう声が上がっておりますが、町会に配布された要援護者名簿もただ配布されただけとなっております。具体的な支援方法はこれまで何度も取り上げてきました。しかしながら避難支援プラン個別計画策定済み町会は長い間、19町会のままです。残りの町会に対する支援はどのように行うのかお答えください。

次に警戒レベルの伝達において避難者の多くに警戒レベル3が避難指示と誤解を与えたとの課題です。私としてはそうならないように台風前の平成30年第4回定例会で「本区については避難に際し、具体的でわかりやすい言葉で呼びかけるよう」提案いたしました。答弁も「区民の皆さまが危機を認識し、適切な避難行動が取れることを念頭に、その表現について内容を検討してまいります」とのことでしたが、それ以降、台風発生までの間、検討されなかったのでしょうか。今後の対策と合わせてお聞かせください。

次に本区の情報の周知・伝達に多くの課題があることを指摘してきました。そこで再度改善に向け2点提案いたします。ひとつは昨年、わが会派の中島前議員も取り上げた防災ラジオです。住民への情報伝達が必要な際、相手が何もしなくとも、自治体側からの操作でラジオを自動起動させ情報伝達が可能です。ケーブルテレビ等と連携し利用可能となりますが、答弁では開設に向け課題があることから協議にも至っていないとのことでした。また、都内で開設している現状を確認し、解決策を検討するとのことですが、検討結果をお聞かせください。中央区では1月末で1万7,980台が配置済みで、さらなる活用を促進しており、総務省は未導入の自治体に対する財政支援のため、19年度補正予算で4億2千万円、今年度補正予算で7億8千万円を計上しております。開局の初期投資として相当の支援も必要ですが、それ以降は風雨時等、行政無線の音声が聞きづらいときやスマホを持たない高齢者等に迅速・確実・明快な情報伝達が実現します。すみやかな実施が望まれますが、お考えをお聞かせください。もうひとつは、現在、町会役員等に配布している個別受信機です。現状では有用な活用がなされているとは言えない状況ですが、活用方法を改善し、高齢者等自ら情報取得が困難な世帯に配布することが有効ですが、ご見解をお聞かせください。いずれにせよ、現状からの改善が必要と考えますが、今後の取組み方針をお示しください。

最後に駒込小学校が協力体制のモデルケースであったとのことですが、そうなった要因について分析されているのでしょうか。本来、台風発生時には分団本部に控え、周辺警戒に務めるべき消防団員のひとりが、たまたま同校のPTA会長経験者であったことから、分団長の許可を得て特別に小学校での避難者対応にあたりました。その際、PTA関係の団員も同行し彼らの知り合いである地域の人たちや他のPTAメンバーも協力し合ったというのが実状です。これまで消防団と町会や学校等、関係機関との連携を推進するよう訴え続けてまいりましたが、今回、本来は消防団として救援センター運営の支援を行うようにはなっていなかったのであります。このことをどう認識されているのか、お聞かせください。そして、これを受けて、消防団も含めた今後の地域の連携推進対策にどう取組まれるのかお示しください。

第3に産業振興対策です。コロナ問題により、産業構造も大きく変化することも見込まれ、さらに徹底した支援が求められることとなります。私は前職が地域金融機関の営業職であり、また日本企業の99.5%が中小零細企業であり、全従業者の約7割がここで働く人たちであることから、区議会議員となった初めての一般質問である平成15年第3回定例会において、この問題を取り上げました。以来、区内の全ての事業者、またこれから新たに事業を起こそうとしている人たちに対し、事務的な対応だけでなく、あらゆる専門家を駆使した、きめ細かな、かつ効果的な相談支援に取り組むよう要望を重ねてまいりました。そして、平成22年ようやく「としまビジネスサポートセンター」が誕生したのであります。これにより、創業・起業支援、情報発信・共有のための企業支援サイトの開設、女性起業家支援、インキュベート施設の創設等々、順次ではありますが、これまで提案してきたほぼ全ての事業に取り組んでいただきました。特に強く要望してきた創業・起業支援については大きな成果を上げており、高く評価するものです。しかし一方で残念なことは、「区内産業実態調査」によれば区の中小企業施策のうち、融資あっせん・資金相談を除く施策については「知らなかった」と答えた区内事業者が半数を超え、「利用したことはない」が80%以上を占めてしまいました。こうした問題も含め、これまでの取り組みの成果と課題について簡潔にお聞かせ願います。

そして、今回のコロナ問題でこれまでビジサポの存在も知らず、利用したこともなかった人たちも含め、多くの事業者に対応していただきました。対応状況とそこで感じた課題があればお聞かせ願います。

次に、経済活動の自粛の影響により疲弊した各種事業者への支援も含め、今後の根本的な産業振興策についてお尋ねいたします。平成27年第3回定例会において、「まち・ひと・しごと創生法」に基づく総合戦略についてお尋ねしました。ここでの訴えの結論は区内事業者の特性をよく知ったうえで、支援すべきということです。まさにコロナ問題により困窮した事業者への支援の第一歩と考えますが、いかかでしょうか。その時の質問で「区内産業や事業者と他地域とのつながりについて分析を行い、それに基づいて支援をしたことがあるか」とのお尋ねに対し「ないので国のリーサスの説明会の活用も視野に入れ、あらためて調査・研究したい」との答弁でありました。当然、事業者は区内の需要や資源だけでなく、他地域の産業や異業種の動向とも密接に関係しております。そうした情報を分析し、将来を的確に予測することにより、新たな販路拡大や商品開発、また効果的な経営手法の獲得に結び付いていくのです。質問では地域経済分析システム「リーサス」の活用や、具体的な事業活動の事例も紹介しながら、その対策についてお伺いいたしましたが、これまでの調査・研究の成果、そして今後の具体的な支援策についてお示しください。

次に既存事業者の具体的な経営改善支援についてお尋ねします。リーマンショックを超えるコロナショックによる経営への被害に対しては早急な対策が求められます。資金的な課題は国や都の支援も大きな要因となりますが、先に述べた販路拡大や商品開発、効果的な営業、経営手法の獲得については基礎的自治体こそ積極的に支援すべきと考えます。たとえば以前、個人の働き方推進のために取り上げたクラウドソーシングについては、個人だけでなく、企業でも活用可能です。広告宣伝等、特段の経費をかけずに新規顧客の獲得や販路拡大につながることから、利用の仕方次第で収益を向上させることができます。また、個人受注よりも大規模な業務を受託でき、発注者にも利点があることから、ときに発注にも活用可能であります。対面営業が控えられる中、現状、区内事業者でこれがどれほど活用されているのか、また今後の経営改善策の一つとしてさらなる活用促進に取組むべきと考えますが、お考えをお聞かせください。そして一方で現金取引を主とする商店についてはさらに即効的な支援が必要です。そうした観点から、資金力のある大型店舗は今回除外し、地元の小規模・個人事業型の店舗でのみ利用可能な区内共通商品券の発行を強く要望しますが、その目的は消費喚起などという曖昧なものでなく、区民や各商店街に思い入れのある来街者が「窮地にある商店を救済する」ぐらいの意識高揚を図り、具体的な消費行動に向かわせるものです。したがってこれまでにないプレミアムを付与した商品券を発行し、徹底した商店街支援に取り組むべきと考えますがいかかでしょうか。

激しいダメージを受けた区内事業者、商店への具体的な経営改善支援策についてお示しください。

次に経営改善を本格的に進めるための体制づくりについてですが、以前取り上げた「板橋区立企業活性化センター」は平成14年に設立以来、約190人の専門家を揃え、土日祝日も対応し、倒産寸前の企業でさえ立て直すという気概で取り組んできた実績があります。センター長自身が経営者として倒産を経験し、そのときの実体験を元に経営者が見逃している点を中心にアドバイスすることにより、多くの企業を立て直してきました。また、自ら区内のすべての金融機関の支店を回り、支店長や融資担当者との連携を確保し、企業の資金調達にも効果的に支援できる体制も作り上げております。このセンターを時の中小企業庁の長官が視察に訪れ、平成26年、国により全国47都道府県にこのセンターと同じ機能を持つ「よろず支援拠点」が誕生したのであります。板橋区はこれ以外にも「産業振興公社」も有し、多角的な支援を行っておりますが、本区も大きな痛手を受けた区内事業者に対し、座して待つのではなく、自ら事業者の懐に入り込んでいく専門家集団を構築し、具体的な支援に取り組むとともに産業振興の強固な礎を築き上げていただくことを望みます。今後の展望・方針についてお聞かせください。

第4に雇用対策と働き方支援について一般質問では5回目となるお尋ねです。平成18年第2回定例会以来、生活困窮者や新卒者、高齢者、また新たな就労をめざす人など、あらゆる対象者に応じたきめ細かな就労支援に取り組むよう訴え続けてまいりました。当初、担当課長からは個別に「こうした就労支援は区の仕事ではない」と言われたのを明確に記憶しております。しかしながら、ハローワークではできない対象者の特性に応じた就労支援については区の仕事と考え、質問を続けてまいりました。そうした中、平成27年4月、生活困窮者自立支援法が施行、これにより「くらし・しごと相談支援センター」が設立され、私が強く求めてきた「生活に困難を抱えながら、通常の方法では職を手にすることが難しい」人たちに対する支援が開始されたのであります。これは区が私の要望に応えたものではなく、国の施策により行っているものです。しかしながら、本来の就労支援は相談者本人でも気づいていない特性や能力、可能性まで見極め、導いていくものであると確信しております。一方で採用側はどうしても即戦力に重点を置いて採用しがちではありますが、長年ひきこもっていた人が事業を立ち上げ大成功する事例もあれば、即戦力としては期待せずに採用したのに、予想外の成果を上げる人もおります。こうした視点を人材育成にあたる採用側の事業者に気づかせる取組みも重要ではないでしょうか。いずれにせよコロナの影響により企業倒産や採用抑制も増える中で失業者が急増しておりますが、この問題に対してどのように対応していくのかお示しください。

昨年行われた総務省の労働力調査によれば、国内の非労働力人口は4,173万人、その内、就業を希望はしているが、求職活動をしていない人は330万人に上り、その理由として「適当な仕事がありそうにない」と考える人が96万人と最も多いのであります。この中には、今は生活可能であっても、やがて困窮してしまう方もいると考えられます。したがってハローワークやネットにあふれる転職ナビだけではたどり着けない人に対し、実態確認も含め、呼びかけ型の就労支援に取組み、時に、自ら就労できる人に対してもさらに適切なアドバイスや気づきを与えられるような総合的な就労支援機関を創設すべきと考えますが、お考えをお聞かせください。

次に働き方支援として平成27年第1回と第3回定例会においてテレワークの導入を提言いたしました。今回のコロナ禍で多くの官公庁や企業において、図らずも実施することとなったわけですが、当然ながら職務の中にはわざわざ職場に出向かなくともこなせる業務もあることから、当時から叫ばれていた働き方改革のひとつとして実践すべく提言させていただきました。答弁としては「管理職限定で」試してみるとのことでしたが、現在に至るまでの本区のテレワークの導入状況と課題についてお示しください。

また、同時にテレワーク等の在宅ワークを区内事業者に推進する取組みも要望いたしましたが、答弁は「周知は行うものの、区が単独で実施すること」や「具体的な区の施策については検討が必要」とのことでありました。パーソナル総合研究所の調査によれば、今回のコロナ禍におけるテレワークの実施率は従業員数1万人以上の企業では43.0%なのに対し、100人未満の企業では16.6%とのことでした。実施できない理由としては、「テレワーク制度が整備されていない」が38.9%、「テレワークのためのICT環境が整備されていない」が19.9%となっております。また、長年の慣例で在宅勤務という概念が薄い企業もある中で、今回のような緊急事態下はもちろん、新たな働き方として、在宅ワークは今後も求められる働き方ではないでしょうか。そうした中で区として経営者の意識啓発や環境整備の支援にあたるべきと考えますが、ご認識をお聞かせください。

次に在宅ワークのひとつであるクラウドソーシングも低コストで能力や経験に応じて働くことができることから、区民への周知と活用の推進に取組むよう要望しました。答弁は「厚労省や東京都も積極的に推進しているので、区としてもホームページ掲載やリーフレット配布など区民への周知を図る」とのことでした。これまでの取り組み成果についてお聞かせください。クラウドソーシングは、ネットの仲介サイトを通して不特定多数に発注することから、様々な課題があります。それでもその市場規模は2016年950億円だったのが2020年には2,950億円の見込みとなり、急拡大しております。そこでさらに多くの人に安全な利用を促進するために、単に周知するだけではなく、必要な技能、知識の習得やトラブル防止のための基本的な支援に取り組むべきと考えます。また、中には長年の経験で得た知識や技能をネットではうまく発揮できない、いわばICT活用に課題のある人もおります。こうした区民への支援を先に述べた総合的な就労支援機関等で支援することが、新たな職を求める人への指針にもなると考えますが、今後の取組み方針をお聞かせください。

第5に不登校対策や就労支援とも関連するひきこもり対策についてお尋ねします。平成30年第1回定例会において、最も支援の手が届きにくい中年期以降のひきこもり、すなわち8050問題について豊島区議会で、はじめて取り上げました。なぜなら、ひきこもりの増加は本人や家族の困窮だけでなく、地域経済やまちづくりの担い手不足を加速させ、税収減少、社会保障関連経費の増大につながり、結果的にさらなる出生率の低下と少子高齢化に至ってしまうのであります。本区としてもこのことをよくよく認識すべきと考えます。

そこで今回は、支援体制についてお尋ねします。私の質問の後、平成30年7月、子ども若者総合相談事業「アシスとしま」を開設、子どもからおおむね39歳までの若者を対象にした相談支援を開始しました。事業開始前の答弁ですでに「本区では、他自治体と比べて、自立支援の実績がかなり上がっているものと考えて」いるとのことでした。大変素晴らしいことですが、では40歳以上の人はどうするのかという質問には、相談が寄せられれば、強力な連携のもと支援を図るとの趣旨の答弁でした。やはり40歳以上の支援機関が区民に対して明確になっていないと考えますがいかかでしょうか。東京都の「ひきこもりサポートネット」は昨年、それまで34歳までとしていた支援年齢の上限を撤廃、15歳以上全てとし、年齢を問わない支援のあり方の協議を開始しました。一方でひきこもりは不登校や未就業が深くかかわっていることも多いことから、学齢期、高校大学期、新卒就労世代、働き盛りの世代、高齢者世代とそれぞれの年齢特性に応じた対策、支援が必要であり、効果的と考えます。たとえば、25歳から59歳までの未婚の女性に焦点を当てた場合、平成27年度国税調査では、就労適齢期でありながら、約17%の105万4千人が未就労であります。けして、全てひきこもりというわけではなく、中には支援を求めている人も多いと推察できますが、同じ未婚・未就労の女性でも、25歳と59歳では異なった支援が求められます。こうした多様な実態がある中で、生活困窮者自立支援事業と連携していることも十分承知しておりますが、子どもから39歳までという区割りがひきこもり支援として適切なのか、これを見直す必要性はないのか、お考えをお聞かせください。

ひきこもりといっても、本人や家族も困ることなく、最終的に困窮にも至らず通常の生活が継続できるのなら、それはライフスタイルのひとつです。前回質問で実態調査を行うべきとしたのは、ひきこもりの人数の調査ではなく、そのまま放置すれば本人や家族はもちろん、周辺社会にも損害を及ぼす恐れのある状態を掌握すべきということです。過去、ひきこもりが原因で悲惨な事件や社会問題に至った事案では、自治体や関係機関が掌握をしていなかったり、掌握しても的確な手が打てなかった事例もあります。厚生労働省の調査では、ひきこもり者の半数以上が相談する意思がないという結果が出ております。相談が寄せられるのを待っていても、解決しないのであります。長年の苦悩による厚く硬い孤独の壁を打ち破ろうと、決死の覚悟で挑んだ他自治体の支援者の取組みは前回の質問で紹介いたしました。本区の支援体制が全ての年齢層のひきこもりの実態を掌握し、的確な支援に取組むのに十分であるのか、お答えください。また国もこの問題に対し、多様な相談に寄り添い続け、断らない相談支援体制を構築することを目的に改正社会福祉法を来年4月から施行することとなりましたが、この活用も含め今後の方針をお示しください。

第6に認可外保育政策についてお尋ねです。少子化対策を推進し、子育てを行う家族の経済的負担の軽減を図り、すべての幼児に質の高い教育と保育を一体的に提供するため子ども・子育て支援法が改正され、昨年10月より認可外保育施設も含めた幼児教育・保育の無償化が開始されました。まず保育の安全性についてお聞きします。本区における認可保育所の開設基準は応募の時点で現に他自治体で認可保育所を運営していることが条件であることから、安全性に重点が置かれ、保護者の安心にもつながり、高く評価できます。一方でこの条件により豊島区内だけで、情熱をもって保育施設を開業しても永遠に認可はおりず、どんなに質の高い保育・教育の実績があっても区からの援助はありません。今本区内にある私立認可保育所は、すべて他自治体発であり豊島区発は一園もないのです。平成30年度に全国で起きた保育園での死亡事故9件のうち、6件が認可外保育施設とのことですが、今ある本区の認可外保育施設での大きな事故で掌握しているものがあればお聞かせください。開業以来長い年月、一度も事故を起こさず運営している認可外保育所も存在します。安全性の評価として「実績」も重要ですが、同時に「現に運営している実態」こそ評価すべきと考えますが、いかかでしょうか。またもう一方で、今後については区に監督責任があることから、基準を満たさないまま運営を続ける施設に対しては指導監督の強化も必要です。基準を満し無償化の対象として支援を受け、給与面等の条件が改善されることで優秀な人材確保にもつながります。したがって基準順守に向けてのインセンティブとして、それを満たす園を「準認可保育所」と位置づけ、認可保育所と同程度の運営費補助を交付するなどの制度を設けることはいかかでしょうか。また、練馬区は改修や移転などに必要な費用を補助し、認可外保育所を都の認証保育所に移行する支援を行うとしております。本区の無償化の対象のあり方と今後の対応策についてお示しください。

次に保育内容の質の向上に向けた支援策についてお尋ねします。開業以来、長年にわたり事故もなく、語学教育やリトミックなど公立保育所にはない独自の運営に取り組んできた園もあります。それに魅力を感じた保護者がわが子を入園させたいと思っても無償化前においては、負担の面からそれがかなわないという声もありました。これはある面、区内の保育資源が有効に活用されてこなかったということであり、同時に待機児童の問題にもつながっていたことを認識されたことはあったでしょうか。最近では幼児期における非認知能力の習得がその後の社会生活に有用であることが指摘されております。したがって無償化により様々な保育・教育の選択が可能となることが重要と考えます。区立保育園の元園長さんなどで構成される保育指導グループによる巡回アドバイスも、今後は認可外保育所の方針も理解した上で、新たな視点を持って指導にあたってくださるよう要望しますが、いかかでしょうか。そして、今後の幼児の育成支援と認可外保育施設の質を向上させる方策についてご見解をお示しください。

第7にSDGsの推進について質問致します。私ども公明党区議団は、これまで生活者の目線で様々な課題を取り上げ、政策提案をして参りました。平成24年第2回定例会では、児童虐待防止法やDV防止法等が施行されたものの痛ましい事件が後を絶たない事を取り上げ、暴力を許さないとの区の姿勢を明らかにし、広く区民に問題の本質を理解していただくため「あらゆる暴力の根絶」を区として宣言するよう求めて参りました。その後、平成25年に「虐待と暴力のないまちづくり宣言」が制定され、この問題を多くの区民の皆様と考えるきっかけになりました。その後、貧困対策や教育の充実健康と福祉、ジェンダー平等、人や国の不平等、気候変動等、あらゆる世界的課題が出てきており、今正しい選択をする事で、将来世代の暮らしを持続可能な形に改善することを目指し、2015年9月、国連サミットにおいてSDGs(持続可能な開発目標)は全会一致で採択されました。貧困に終止符を打ち、地球を保護し、すべての人が平和と豊かさを享受できるようにすることを目指す普遍的な行動を呼びかけています。また、SDGsは「誰一人取り残さない」2030年を年限とする17の国際目標であり、その下に169の具体的なターゲットと232の指標が定められております。今、様々な国や全国の自治体等でSDGs推進の取り組みを更に加速させていくと共に、それを地域に浸透させていく事が期待されます。

先の第1回定例会で、我ども区議団から「SDGs未来都市」へ手を挙げるよう提案致しました。23区で唯一消滅可能性都市と指摘された豊島区こそが、誰ひとり取り残さない 持続可能なSDGsを推進する都市となる意義は大変大きいものがあると考えます。この度、2020年度SDGs未来都市等への応募を行ったとの事で、高野区長の英断を高く評価すると共に、担当された理事者の皆様に感謝を申し上げます。

今定例会初日には、SDGsの実現に向け「誰一人取り残さない」まちづくりを推進する決議が可決されました。

今後は、SDGsを区の基本計画にも落とし込む作業が行われる予定でありますが、SDGsの取り組みを、区民に理解して頂き、豊島区が一丸となって取り組む事が望まれます。そこで、豊島区としてSDGsの推進を掲げた都市宣言を行うべきと考えます。区長のご見解を伺います。

以上で私の一般質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。

 

公明党 島村高彦議員 令和2年第2回定例会 一般質問答弁

高野之夫区長

ただいまの、島村高彦議員のご質問に対しまして、お答え申し上げます。

総合的な危機管理対策についてのご質問のうち、まず、新型コロナウイルス感染症対策を通して、今後の対策として得られた教訓についてのご質問にお答えいたします。

今回の新型コロナウイルス感染症対策では、平成24年5月に策定した「豊島区業務継続計画新型インフルエンザ編」を準用して対応をはじめましたが、策定後、必要な修正をしてこなかったことから、様々な点でそのまま活用することが困難な面がありました。

このため、急遽各部局においてBCPの見直しを行い、部局間の応援体制を確立して対処いたしました。

また、職員の感染拡大防止等を目的に実施したテレワークについては、対象の職員数に比べ端末数が不足していたことやテレワークの業務要領が定まっておらず、一部の業務に制限等が生じる課題がありました。

これ以外にも、新型コロナウイルス感染症に対応する上での様々な課題が明確になりましたので、今回の教訓を活かし、新型インフルエンザ等対策行動計画及び業務継続計画の改定を進めてまいります。

次に、感染拡大の最中に大地震が発生するなど複合的な災害発生時の救援センターの開設、運営、避難の在り方等、今後の対応策についてのご質問にお答えいたします。

震災、風水害時に開設する救援センターについては、感染症対策を踏まえたものに見直しを行い、6月に暫定版のマニュアルも策定しております。受付での検温や体調の聞き取り、マスクや消毒液の備蓄、発熱者専用スペースの確保、1人当たりの占有スペースの拡大等を規定しています。

マニュアルに規定しています。感染を予防するための衛生用品や段ボールベッド等につきましては、今回の補正予算でご提案させていただいており、台風シーズンまでに、救援センターに配備できるよう努力いたします。

また、今後は、避難のあり方として、分散避難を推進してまいります。分散避難とは、自宅避難、縁故避難、車両避難といった在宅避難を前提とし、在宅避難が困難な場合のみ、避難所に避難していただくといった考え方です。

この様に、従来と避難の考え方が大きく変わりますので、区民の皆さんにご理解いいただけるよう、丁寧に周知し、ご協力いただけるよう努めてまいります。

次に、現場である基礎的自治体の状況を速やかに国や東京都に伝える体制の構築についてのご質問にお答えいたします。

今回の新型コロナウイルス感染症への対策は、緊急を要することなどから、情報共有を図る場が設定されないまま、各省庁や東京都から次々と支援策が提示されております。スピードを要する支援策であることから、やむを得ない状況も理解できますが、現実に対応する区の現場が混乱したことは事実であります。

こうした教訓をしっかりと活かしていけるよう、特別区長会とも連携しながら、国や東京都と課題を共有できる仕組みについて検討してまいります。

次に、事業の見直し方針は、ダメージを受けた区民の皆さんへの影響を十分に考慮したものとなっているかについてのご質問にお答えいたします。

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、大きな影響を受けた区民の皆さんの暮らしや生活を守ることが、区政として、まず最優先すべき視点であると考えております。事業の見直しにあたり、予算の重点化や徹底した執行管理を進めていく中で、こうした点に十分配慮してまいります。

次に、各施設の改修、再構築の延期等については、区民生活への影響を分析し、十分な周知と理解を得られる方針となっているかについてのご質問にお答えいたします。

各区有施設は区民生活に直結した施設であることから、改修や再構築の時期及びその内容は、区民生活に大きな影響を与えるものであると認識しております。

今回の施設に関する計画の見直しにおいては、計画の中止ではなく、延期を基本として、取り組みたいと考えます。

また、見直しを行う際には、各施設の改修時期を調整し、区民の皆さんへの影響を最小限に留めるとともに、必要に応じて、施設の利用者ニーズを改めて確認し、改修計画に反映することなどにより、区民の皆さんのご理解を得ながら進めてまいりたいと考えます。

次に、地域コミュニティが失われないよう、新たな対策を講じることについてのご質問にお答えいたします。

この間の自粛要請は、感染症の拡大防止に効果を発揮した反面、3か月にも及ぶ地域区民ひろばの休止により、区民の皆様の交流が途絶え、地域の活力を停滞させてしまいました。

地域コミュニティの拠点となる地域区民ひろばをはじめ、区民集会室など、区の施設は段階的に再開しており、町会等の地域活動も徐々に動き始めておりますが、「新しい日常生活様式」が定着するためには、もう少し時間を要するものと考えております。

今後は、区の施設を核とした新たなコミュニティや文化の広がりに加え、感染症対策の一環として、リモートなどの情報システムの活用やSNSによる情報発信など、地域における先進的な取り組みを支援していくことで、新たなコミュニティづくりを広げてまいります。

次に、区の独自支援策と実施に至った理由についてのご質問にお答えいたします。

本区では、区民の皆さんに最も身近な基礎自治体として、様々な区独自の感染症対策を展開しております。

こうした対策を実施した理由といたしましては、区議会各会派の皆さまからいただいた100項目を超える緊急要望や区民の皆さんからのご意見によるものが多くを占めております。

いくつか具体的な取組を申し上げますと、PCR検査センターを設置、妊婦へのサージカルマスクの配布、「こころと身体の相談電話」、「無利子・信用保証料ゼロ」の区独自融資、休校中のコミュニケーションツールとしてのICTの活用、そして、「申請書類等の記入が複雑でよくわからない」という事業者の声を受け、行政書士による申請代行に補助を行う、国内でも先進的な取り組みなどを実施しております。

次に、さらなる区の独自支援策についてのご質問にお答えいたします。

ひとり親家庭は、家事、育児、仕事など家庭のことをたった一人で対応しなければならない、固有の事情を抱えております。

それに加え、不安定な雇用形態にある方も多いことから、今般の新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う影響を大きく受け、経済的にも、精神的にも大変厳しい状況となっております。

このような状況の中、先日、国及び東京都から、ひとり親家庭に対する経済支援策が示されましたが、困窮するその生活実態を踏まえると、さらなる支援が必要と考えております。

本区といたしましても、ひとり親家庭の生活実態に即した、緊急の支援が必要と判断いたしました。ひとり親世帯のうち、児童扶養手当を受給している世帯に対して、1人目のお子さんに5万円、2人目以降のお子さんには1人3万円の緊急支援の給付について進めてまいります。

また、介護・障害者サービス事業所においても、新型コロナウイルス感染症の防止策をとりながら事業継続していただいたこと、またこれからも長期的に対策が必要となることから、区として事業所に支援することとし、一事業所に対し10万円を支給したいと考えております。

これは、ひとり親世帯の支援と合わせて、厳しい財政状況、限られた財源を最大限に有効活用を考えるべきであり、最優先で対応をしてまいります。

次に、この間の区民対応での課題についてのご質問にお答えいたします。

発達障害のある子どもを抱えたひとり親家庭、ネグレクトなどが心配な家庭の児童や生徒、高齢者の見守りについては、感染リスクを回避するため、この間、電話やメールでの対応とせざるを得ない状況が続きました。

この様な状況下においても、一つ一つ丁寧な対応を心がけておりましたが、直接顔を合わせることができないことから、相手の様子や生活の変化等を確認することが難しく、きめ細やかな対応を行うことに限界があることを痛感しました。

今後は、リモートのメリットを取り入れながら、訪問ケアと適切に組み合わせ、より区民の皆さんに寄り添った対応に努めてまいります。

 

次に、産業振興対策についてのご質問のうち、まず、中小企業施策に関するこれまでの取組の成果と課題についてのご質問にお答えいたします。

公民が協力して中小企業を支援する「としまビジネスサポートセンター」が開設し、早いもので10年が経過しました。とりわけ島村高彦議員には、としまビジネスサポートセンターに大変期待とお力をいただいており、資金、起業・創業、売上拡大、労務、経理・税務などのサポートをワンストップで実施するとともに、セミナー・交流会の開催、としまスタートアップオフィスなどの活躍の場の提供などを実施してきました。

特に起業・創業については、平成26年に全国で最も早く、産業競争力強化法に基づく創業支援事業認定を受けるなど、女性のための起業支援であるサクラーヌビズ応援プロジェクトの支援者約1,000名をはじめ、これまで約7,600名の支援を行っており、着実に私は成果をあげていると思っています。

年々、認知度は上がってはいますが、まだ5割弱と不十分と認識しており、今後さらなる認知度の向上が課題です。このため、金融・創業に関する専門相談員が自ら商店街を訪問し、各店舗や事務所にビジネスサポートセンターの案内チラシを配付するなど周知の取り組みを行っています。

次に、区内事業者の特性をよく知ったうえで支援することが、困窮した事業者への支援の第一歩であると考えることについてのご質問にお答えいたします。

最適な支援を行うためには、相談者の特性や実情についてよく理解することが必要であると認識しています。

そのためには、日ごろからの景気動向の把握はもちろんのこと、専門相談員や職員が商店街に出向き、ヒアリングを実施するなど、実態把握に努める取り組みを行ってまいります。

また、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者に対しては、これまでの経緯や現在の状況をよく聞き取り、国や都、区の様々な支援策の中から、事業者の特性に応じた最適な支援につなげてまいります。

次に、地元の小規模・個人事業型店舗でのみ利用可能な区内共通商品券の発行やこれまでにないプレミアムを付与した商品券の発行により、徹底した商店街支援に取り組むことについてのご質問にお答えいたします。

先程の池田裕一議員にも質問をいただき答弁をいたしましたが、ご提案の地元の小規模・個人事業型店舗限定のこれまでにないプレミアムを付与した商品券の発行においては、その効果が期待できるものの、これまでの商品券事業では換金された事業者が特定の大型店舗や業種に偏り、商店街などの小規模事業者の売上向上に十分な成果があったとまでは言えないなどの分析を行っており、小規模・個人事業型店舗限定の商品券が消費者に受け入れられるのかという課題があります。

さらに、今後の区財政がリーマンショックの減収を大きく超えることが見込まれる危機的な状況であること等を踏まえ、慎重に判断する必要があると考えております。

豊島区全域の商店街が対象でございますので、豊島区商店街連合会と社会状況を踏まえて、対応を一緒に考えながら検証をしていかなければならないと思っております。

しかしながら、新型コロナウイルス感染症による影響を受けた小規模・個人事業型店舗や商店街に対する支援は、まさに喫緊の課題であると認識しています。窮地にあるお店や商店街を消費者が支え、近所のお店や商店街が消費者の安心した日常生活を支えていくような相乗的な効果が得られる支援をしていきたいと考えています。十分に検討をさせていただきたいと思います。

次に、激しいダメージを受けた区内事業者、商店への具体的な経営改善支援策についてのご質問にお答えいたします。

今回のコロナ禍は、休業等の影響によるダメージのみではなく、新しい生活様式に沿った社会生活そのものの転換も求められています。区内事業者や商店も新たな営業体制を構築していく必要があります。

区では、まず、この点の支援の充実を図っていきたいと考えております。先程申し上げた非常に特徴があり、非常に注目され効果があがっているとしまビジネスサポートセンターへのコロナ対策専門チームの創設などにより、「withコロナ」時代における新たな経営方式や環境整備への支援を行うことや、感染症対策が行われている店舗等を認定、公表することで、区民の皆さんや来街者が安心して利用できる環境整備に努めてまいります。

次に、雇用対策と働き方支援についてのご質問のうち、まず、企業倒産や採用抑制が増える中で、就労希望者の特性に応じた就労支援策についてのご質問にお答えいたします。

くらし・しごと相談支援センターでは、就労支援において委託事業者が生活課題や本人の適性、希望、経験などを丁寧に聞き取り、ご相談者が持っている特性を見い出しながら、その人の条件に合った求人開拓を行っています。

今回のような経済状況下の採用では、これまで以上に面接の際に自身の特性をしっかりと伝えるよう助言しております。また、こうした本人の特性や個性など、即戦力以外の魅力も見ることを面接官に心掛けていただくよう、産業カウンセラーやキャリアコンサルタントの資格を有する担当者からも機会をとらえて働きかけてまいります。

次に、呼びかけ型の就労支援や就労に関するアドバイス等を与えられるような総合的な就労支援機関の創設についてのご質問にお答えいたします。

本区の就労支援は、生活産業課による面接セミナーや障害福祉課の企業内職場体験学習など、関係部署がそれぞれの専門性を活かしつつ、組織を横断して連携しながら進めております。

くらし・しごと相談支援センターにおいては、民間事業者に委託している就労準備部門があります。そこでは、直ちに就労につながる生活困窮者だけでなく、将来生活困窮のリスクがある方に対しても体験就労や職場見学会、コミュニケーションや自己表現等のセミナーなどを開催することで、本人の意欲を引き出し、自信をつけて就労という目標に向かう機会を提供しています。

今後は、このような取り組みについてホームページやSNSなどを通じて積極的に情報発信を行い、より効果的な就労支援に取り組んでまいります。

次に、本区でのテレワークの導入状況と課題についてのご質問にお答えいたします。

本区でのテレワークの導入状況については、平成30年度以降、期間限定の試行という形で合計4回実施しております。

各部署が、最大限テレワークに取り組んだ結果、ほとんどの職員が、テレワークを利用しました。

その一方、多くの課題も確認できました。具体的には、資料のペーパーレス化と個人情報の保護、情報セキュリティ、テレワーク用端末の不足、業務管理の方法や仕事の成果の評価基準などです。

今後は、想定される新型コロナウイルスの第2波に向けて、

今回確認できた複数の課題の解決に創意工夫して取り組んでいくことで、テレワークの機能性、効率性を高めていきたいと考えております。

次に、ひきこもり対策についてのご質問のうち、まず、ひきこもりの増加が税収減、社会保障関連経費の増加、さらには出生率の低下から少子高齢化に至ることに関する区としての認識についてのご質問にお答えいたします。

内閣府が平成30年に40歳から64歳までの5,000人を対象に行った「生活状況に関する調査」において、中高年のひきこもりの出現率は、1.45%で対象人口から推計すると全国で約61万人となる結果が公表されました。これを本区に当てはめますと、中高年層の約1,400人が該当することになります。

ひきこもりが長引くと、労働機会の喪失や経済的困窮、心身の不調、社会からも孤立する可能性があり、社会や経済全体に与える影響は決して小さくないと認識しております。

次に、改正社会福祉法に基づき、一括した相談体制を自治体が整える際の財政支援の活用を含めた今後の方針についてのご質問にお答えいたします。

ひきこもりなど、制度のはざまで孤立した方やその家庭に対する一括した相談・支援などに財政支援が行われることは、大変ありがたいことであります。

本区が進めている部局を横断した横ぐしの支援や、包括的な支援を強化できることは、まさに地域共生社会の実現にさらに一歩近づくことになりますので、今後、国から示される具体的な制度や内容を確認しながら、財政面での支援を積極的に活用できるよう検討してまいります。

次に、豊島区としてSDGsの推進を掲げた都市宣言を行うことについてのご質問にお答えいたします。

区議会第一回定例会において、公明党の高橋佳代子議員から手を挙げるよう提案のあった「2020年度SDGs未来都市」の選考結果につきましては、募集要領において「5月下旬から6月」に公表するとされております。コロナウイルス感染症の影響により今日時点では、公表に至らず、現在、私も祈る気持ちで待ち続けている状況です。

「SDGsの推進を掲げた都市宣言」につきましては、本区がSDGsに取り組む姿勢を鮮明にするばかりでなく、着実に前進するための羅針盤になると強く考えます。更には、区民の皆さんがSDGsへの理解を深め、行動に移すための契機として、非常に有用なものだと理解しております。

新しい、まさに豊島区の新時代の第一歩、私たちが目指す

2030年、「国際アート・カルチャー都市」と一体となって、このSDGs未来都市を創り上げていかなければならないという強い思いを持っております。

こうしたことから、6月15日に全会一致で決議された「SDGs未来都市の実現に向け「誰一人取り残さない」まちづくりを推進する決議」を踏まえ、早急にSDGsを推進するための都市宣言に向けた準備に取り掛かりたいと思います。

また、今年度からスタートする「後期・基本計画」の策定におきましては、SDGsの考え方を十分に踏まえながら議論を進め、より国際的な視点に立った、住民参加型の豊島区政を浸透させることができる総合的な計画となるよう努めてまいります。

なお、私からの答弁は以上ですが、その他の質問につきましては、高際副区長並びに危機管理監から答弁申し上げます。

産業振興対策についてのご質問のうち、まず、新型コロナウイルス感染症が拡大する中での「としまビジネスサポートセンター」の対応状況と課題についてのご質問にお答えいたします。

としまビジネスサポートセンターでは、2月28日に新型コロナウイルス感染症に係る相談窓口を設け、現在まで9,000件を超える相談を受け付けております。3月12日より「小企業融資の新型コロナ特例」の受付を、5月20日からは信用保証料の全額と、最長5年間の利子を全額区が補助する「新型コロナウイルス感染症対策緊急資金」の受付を開始しました。受付件数は、両融資を合わせて、約800件となっております。

また、融資に必要となる「国のセーフティネット保証制度」の認定を行っており、この認定件数は約3,000件となっております。

これらの対応にあたっては、感染拡大の緊急時ということもあり、国や都による新たな支援制度についての情報が、区側に迅速に届かないといったことがありました。

このため、感染の第2波に備え、どのような場合でも、区民の皆様や事業者の方々へ、迅速かつ効果的に、必要な情報の周知が行えるよう、体制を整えてまいります。

次に、地域分析システム「リーサス」に関するこれまでの調査・研究の成果並びに今後の具体的な支援策についてのご質問にお答えいたします。

地域分析システム「リーサス」につきましては、経済センサスとともに、平成31年4月に策定しました「豊島区産業振興指針」の策定作業の中で活用しています。

今後は、「中小企業者の経営基盤の強化」など豊島区産業振興指針でお示しした6つの指針に基づき、産業振興を行っていく際に、産業構造マップなど、リーサス機能の活用を図ってまいります。

次に、区内事業者におけるクラウドソーシングの活用状況並びに活用促進に取り組むことについてのご質問にお答えいたします。

現在、区内事業者においても、クラウドソーシングの利用が進んでいますが、インターネット等のネットワーク経由でサービスを提供・利用する「クラウド」という特性から、区では、その全体像の把握ができておりません。

今回クラウドソーシングについて、個人の活用のみならず、企業の活用においても利点があるとお示しいただきました。対面営業が控えられるなどの新たな生活様式において、経営改善策のひとつとして期待できるとのご示唆を踏まえ、今後、としまビジネスサポートセンターが行う経営改善セミナーなどを通じた活用促進策について検討してまいります。

次に、自ら事業者の懐に入り込んでいく専門家集団を構築し、具体的な支援に取り組むとともに産業振興の礎を築き上げていくことについての今後の展望・方針についてのご質問にお答えいたします。

としまビジネスサポートセンターにおいては、昨年度、専門相談員が区内商店街の半数程度を訪問し、各店舗や事務所に対し、業務内容や支援制度等についての周知活動を行いました。今年度はこれに加え、新たに、新型コロナウィルス感染症対策専門チームを立ち上げ、各店舗や事務所に赴いて、現場で直接アドバイスを行うことなどを予定しております。

今後、これらの実施状況等を踏まえ、より積極的かつ機動的な支援のあり方について検討してまいります。

次に、雇用対策と働き方支援についてのご質問のうち、まず、区内経営者に対し、テレワーク等新たな働き方に関する意識啓発及び環境整備の支援を行うことについてのご質問にお答えいたします。

今回のコロナ禍において、テレワークをはじめ、新たな働き方の試行、導入が大きく進んでいると認識しています。しかしながら大企業に比べ、区内の中小企業ではまだまだ導入が進んでいない状況にあります。

区といたしましては、導入のメリットや留意点等をご紹介しながら、各事業者がそれぞれの実態に応じて、導入に向けた取組が進められるよう、支援してまいりたいと考えております。このため、まずは、専門家による講演会やセミナーを開催し、意識啓発に努めてまいります。

環境整備への支援については、国の生産性革命推進事業によるIT導入補助や、都のテレワーク導入モデル体験事業などの支援策をご案内し、活用を図ってまいります。

次に、クラウドソーシングに関するこれまでの取組の成果についてのご質問にお答えいたします。

クラウドソーシングの活用促進については、検討を進めておりますが、具体的な事業の実施にまでは至っておりません。企業の活用にもメリットがあるということであり、「新しい生活様式」へもマッチした働き方の一つとなりますので、引き続き取組について検討してまいります。

次に、ICT活用に課題がある区民等への支援を「総合的な就労支援機関」等で行うことについての今後の取組方針についてのご質問にお答えいたします。

現在、区では各部局において、それぞれの所管の専門性を活かすとともに、部門間の連携を図りながら、相談者の状況に応じた就労支援を行っております。そうしたことから、総合的な就労支援機関を設置することは考えておりませんが、今後も十分な連携体制をとることを基本に、ICTの活用に課題がある方も含め、就労を希望するそれぞれの相談者に寄り添った支援を行ってまいります。

次に、ひきこもり対策についてのご質問のうち、まず、40歳以上のひきこもりの方に対する支援機関が明確になっていないことについてのご質問にお答えいたします。

ひきこもりに関する相談窓口は、くらし・しごと相談支援センターをはじめ、アシスとしま、教育センター、障害福祉課、保健所、高齢者総合相談センター、コミュニティ・ソーシャルワーカーなどのすべてが支援機関となり、どなたがどこに相談されても、断らずに受け止める体制づくりをしております。

しかしながら、ご指摘のとおり、現在、区民の皆様には、そうしたことの周知が十分に行き届いている状況とは言えませんので、今後、ホームページや広報としま、チラシなどを通じ、区の相談窓口や支援内容をわかりやすく周知し、ひきこもりの当事者や関係者が気軽に相談できる環境を整えてまいります。

次に、ひきこもり支援の対象が子どもから39歳までの区割りとなっていることを見直す必要性についてのご質問にお答えいたします。

支援対象とする年齢につきましては、いじめや虐待、非行などに関する「子ども若者総合相談」の窓口であるアシスとしまにおいては、おおむね39歳までと位置付けておりますが、「ひきこもり支援」への対応にあたりましては、いずれの窓口においても、年齢で区切るという考えはとっておりません。

一方で、各窓口それぞれの特性があり、例えば、くらし・しごと相談支援センターでは就労年代からの、障害福祉課の精神障害、発達障害部門では若年世代からの相談が多いことなどが挙げられます。

こうした中で、自立相談支援機関である、くらし・しごと相談支援センターがすべての窓口の調整の役割を担い、区全体としての連携関係を強化することにより、複雑・困難な課題への対応を図るとともに、年齢で線を引くことのない、切れ目のない支援を目指しております。

連係強化に向けた具体的な取組といたしましては、本年4月、ひきこもりを担当する各部署の担当係長を、「福祉包括化推進員」として自立促進担当課長のもとに兼務配置し、それぞれの窓口でお受けした相談等の情報を共有しながら、適切な支援に結び付けられるよう努めているところです。

こうした区の対応につきましては、区民の皆様へのわかりやすい情報提供について、工夫してまいります。

次に、本区のひきこもり支援体制が全年齢層の実態を掌握し、十分に的確な支援を行うことができるのかについてのご質問にお答えいたします。

ただいまご答弁申し上げましたとおり、本区のひきこもり相談は、関係部署すべての窓口で受けられる体制をとっています。

しかしながら、対応等に関する共通のガイドラインが整備されていないなど、相談支援体制として、まだまだ改善すべき点がございます。

今後、各支援機関で把握しているひきこもりの実態を調査・分析し、相談実績等を共有するとともに、精神科医や精神保健福祉士、臨床心理士など医療面からのアドバイスの充実、また、職員の支援能力向上のための研修などを行うことで、相談支援体制の強化を図ってまいります。

次に、認可外保育政策についてのご質問のうち、まず、区が掌握している区内の認可外保育施設での大きな事故についてのご質問にお答えいたします。

区内にある28の認可外保育施設では、これまで、死亡や意識不明、長期間の治療を要する負傷などの重大な事故が起きた例はありません。

次に、「現に運営している実態」を評価することについてのご質問にお答えいたします。

豊島区においては、認可保育施設の開設・運営事業者の要件として、「現に認可保育所を運営している法人であること」としていますが、この要件において、認可外保育施設を認可保育施設と同一・同等であるとみなすことはできません。

これは、認可保育施設が、職員の配置について、「全従事者が保育士などの有資格者でなければならない」と規定されていることをはじめ、認可外保育施設よりも厳しい基準となっているからです。

このため、認可外保育施設が、現に良好な運営実態であったとしても、そのことだけで認可保育施設と同等の保育環境を確保できているとの評価にはならないものと考えております。

次に、一定の基準を満たす園を「準認可保育所」と位置づけ、認可保育所と同程度の運営費を補助する制度の創設についてのご質問にお答えいたします。

昨年度、国の制度である「認可外保育施設の認可化移行への支援助成額」が増額されたことを受け、区といたしましては、この補助金の交付が決定した施設へ、最長5年間の移行準備期間中に職員の処遇面をサポートする「宿舎借上げの補助」を行うことなどを検討してまいります。

また、保育の内容が指導検査等によって認可保育所と同レベルにあることが確認できた施設には、利用料の補助等による「保護者の負担軽減」などについても、検討してまいります。

なお、全ての認可外保育施設へ認可保育施設と同程度の運営費を補助するとした場合、約30億円の財源が必要であり、区単独で行うことは財政的な負担が大きく、現時点で実施する考えはございません。

次に、無償化の対象の在り方と今後の対応策についてのご質問にお答えいたします。

昨年10月から始まりました保育の無償化は、認可外保育施設も対象となっており、特例として、都の定める基準を満たしていない施設についても、2024年までの間は対象とされております。

区といたしましては、運営面等の相談にきめ細かく応じることで、猶予期間中に、全ての認可外保育施設が基準を満たすよう取り組んでまいります。

次に、認可外保育所が費用負担の面から選択されないことが、保育資源が有効に活用されず待機児童の問題につながっていたことに対する認識についてのご質問にお答えいたします。

ご指摘のとおり、認可外保育施設の中には、教育的なプログラムを導入し、英才教育に力を入れている施設がございます。

こうした施設は以前から人気がありましたが、無償化の制度が始まったことで、入園を検討する保護者が増え、そのことは待機児童対策にも寄与するものと考えております。

次に、無償化により様々な保育・教育の選択が可能となることから、認可外保育所の方針を理解し、新たな視点をもって指導にあたることについてのご質問にお答えいたします。

認可外保育施設は、スポーツや語学等の教育に力を入れたり、土日や夜間の保育を行うなど、多様化する保育ニーズに対応する施設となっておりますが、子どもを預かる施設であることに変わりはありません。

区といたしましては、認可保育施設と同様、子どもの命や人権を守るといった保育の基本的な内容を点検していく方針のもと、各施設の保育方針を十分に踏まえて対応してまいります。

次に、今後の幼児の育成支援と認可外保育施設の質を向上させる方策についてのご質問にお答えいたします。

無償化制度が始まったことで保護者の経済的な負担が軽減され、幼児教育・保育施設の選択の幅が広がりました。

区は、認可外保育施設を単に「認可保育施設への入園が叶わなかったお子さんの受け皿」としてだけではなく、「多様化する保育ニーズに対応する有効な保育資源」と考えております。

認可外保育施設の特徴は、事業者の強みを活かして施設運営ができることにありますが、先程、ご答弁申し上げましたとおり、子どもの命と人権を守る確かな保育に裏付けられたサービスが提供できてこそ、保護者に選ばれる個性豊かな質の高い施設と呼べるのだと思います。

区といたしましては、安全安心な保育環境の維持・向上に向けて、施設に寄り添った指導・助言を行うことで、認可外保育施設の個性を活かせる保育の質の向上に努めてまいります。

私からの答弁は、以上でございます。

総合的な危機管理対策についてのご質問のうち、防災車両の巡回場所とその反応、安全・安心メールを使用して相談先情報を流さなかったこと及び情報弱者も多い区民の皆様への情報伝達についてのご質問にお答えいたします。

区では、新型コロナウイルス感染症に係る緊急事態宣言発令中、防災行政無線にて、1日に3回、不要不急の外出の自粛等のお願いをしておりました。また、無線が聞き取りにくいといったお声をいただいたエリアには、音波塔の他、1日に1、2回、防災の車両を運行させ、外出自粛要請を広報しました。こうした対応については、区民の皆さまからも好評をいただきました。

相談先情報については、ホームページや安全・安心メールで、4月27日に相談窓口一覧も含めた新型コロナウイルス感染症関連情報を発信し、5月7日と22日に、広報としま号外を全戸配布し、区民の皆様にお知らせいたしました。

安全・安心メールでは、外出自粛などの感染予防や詐欺被害への注意喚起を中心に発信しておりましたが、今後は様々な情報をリアルタイムに発信してまいります。

情報発信のデジタル化が飛躍的に進んでおりますが、情報弱者への情報伝達にも配慮し、広報紙や広報車、掲示板の活用など、すべての区民の皆様に遺漏なく情報をお届けできるよう努めてまいります。

次に、防災対策についてのご質問のうち、まず、地域防災計画上の風水害対策編における救援センター開設の定めが知られていなかったこと及び震災時との違いを周知してこなかったことについてのご質問にお答えいたします。

昨年の台風19号の際には、風水害時の避難所が、震災時と違うことの周知が不足していたことで混乱が生じてしまいました。これを教訓とし、令和元年度版地域防災計画において、風水害時に開設する避難所を震災時と同じ35か所としました。

今後は、感染症を踏まえた複合災害対策として分散避難を推進して参ります。従来の避難体制を大きく改めることになるため、新たな「豊島区の防災対策」の冊子を作成し、全戸配布を行うなど、区民の皆さまに丁寧に周知し、ご理解いただけるよう努めて参ります。

次に、隣接区との行政間同士の避難連絡体制の整備についてのご質問にお答えいたします。

特別区では、特別区間の相互協力及び相互支援に関する協定に基づき、各区で実施される防災訓練の視察や定期的に東京都も含め、防災上の諸課題の検討会も開催しております。今後、新型コロナウイルス感染症対策においては、隣接区での住民の相互避難等も想定されるため、改めて特別区相互の連携体制強化について検討して参ります。

次に、夜間・休日における救援センター開設において、職員参集に関する課題の有無及び緊急時におけるセンター担当職員との連携についてのご質問にお答えいたします。

夜間・休日での災害時には、区内在住の災害対策要員が、速やかに指定された救援センターに向かい、地域の皆さまと共に救援センターを開設いたします。

また、救援センターの近隣に住む地域配備職員も災害対策要員と同様の役割を担っております。合同防災訓練等を通じて、災害対策要員と係長級のセンター長を中心に、地域の皆さまとの連携体制は十分に取れているものと認識しています。

小中学校の門扉については、オートロック化後も開錠の確認を行っており、問題はないと考えていますが、今後は、更に地域防災組織との鍵の共有等について検討して参ります。

次に、災害対策要員の人員体制及びセンター配備職員の居住場所についてのご質問にお答えいたします。

災害対策要員は35名のところ現在3名欠員しております。発災時には、地域配備職員等がその役割を補うため、現状として問題ないと考えていますが、今後、感染症等の複合災害に対応できるよう災害対策要員等の増員についても、検討して参ります。

また、地域配備職員は、区役所から概ね半径10キロメートル圏内に居住している職員を配備しています。そのうち、約25%が区内在住者であり、最小限の参集体制は確保できていると考えています。

次に、救援センター運営に対する対応力と対応力向上のための取り組み及び現在の救援センターの体制で、緊急時に区民の皆様の安全を守ることができるのかについてのご質問にお答えいたします。

災害対策要員や地域配備職員には、感染症を含む複合災害対策など、救援センターの運営能力の向上が常に求められていると認識しております。

そこで、今年度導入した救援センター開設キッド及び6月に策定した「救援センター運営における新型コロナウィルス感染症対策マニュアル(暫定版)」に基づき、台風シーズンが到来する9月上旬までに35か所すべての救援センターで地域配備職員を対象とした訓練を実施してまいります。

今後も、区民の皆さまの安全・安心を守るため、様々な訓練を積み上げ、職員の複合災害対応能力の向上に努めてまいります。

次に、要援護者避難支援プラン未策定の町会に対する支援についてのご質問にお答えいたします。

避難支援プラン個別計画の策定にあたっては、町会の皆さまには多くのご苦労があることは承知しています。

南長崎地区では、社会福祉協議会、町会、高齢者クラブ、民生委員等が連携した地区支援推進会議を開催し、具体的な見守り体制を検討しているなど、整備の進んでいる地域もあります。避難支援プラン個別計画策定に関する町会の要望を改めてヒアリングし、要望に応じた支援が行えるよう検討してまいります。

次に、避難に際し、具体的でわかりやすい言葉で呼びかけることに関する検討状況と今後の対策についてのご質問にお答えいたします。

昨年の台風19号の際、国の指針等に基づき、本区では警戒レベル3を発令し、防災行政無線や安全・安心メール、エリアメール等で伝達いたしました。

その結果として、区民の皆さまから、避難準備なのか、避難指示なのか内容が分かりにくいというご意見もいただきました。今年度は、国からの改めて出された指針等に基づいて、土砂災害警戒区域等、危険な場所を限定するとともに、避難の対象地域の区民の皆様にとってよりわかりやすい伝達内容としてまいります。

次に、都内における防災ラジオの開設状況と開設にあたっての課題解決に向けた検討結果及び速やかな実施についてのご質問にお答えいたします。

区では、昨年の台風19号の教訓を踏まえ、風水害時に防災行政無線の音声が聞き取り難いときやスマートフォン等をお持ちでない情報弱者の方向けに、フリーダイヤルで防災行政無線で発信した内容を確認できるサービスを本年1月から開始しています。

防災ラジオにつきましては、現在、23区中9区で運用していますが、平時の運営体制やスポンサーの確保等の課題があります。今後、引き続き費用対効果も踏まえ、検討して参ります。

次に、町会役員等に配布している個別受信機の活用方法の改善及び今後の取組方針についてのご質問にお答えいたします。

町会等に配布している個別受信機については、平時の定時放送を行うことで、通信の確認を行っております。今後も通信訓練等を実施し、災害時に有効に活用できるよう努めて参ります。

また、スマートフォン等をお持ちでない高齢者等への個別受信機の配布は、情報発信として有効な手段であると認識していますが、1台当たり約4万円程度の機器を約2万世帯へ配布することが想定されます。このため、費用対効果も含め配布する対象を検討してまいります。

次に、救援センター運営において、消防団、学校、関係機関との連携推進に関する認識及び今後の地域の連携推進対策についてのご質問にお答えいたします。

災害時には、消防団員には本来の役割があり、現状では救援センターの運営を直接的に支援できないことは承知しております。

一方で、昨年度は、合同防災訓練に消防団員の皆さんにもご参加いただき、救援センターの運営や協力体制についてご意見をいただきました。

感染症等、複合災害対策においては、分散避難を推奨する必要があるため、消防団、町会等の地域防災組織や関係機関の協力が不可欠となっています。今後は、合同防災訓練等、各種の訓練を通じて、連携体制を一層強化し、地域防災力向上に取り組んでまいります。

以上を持ちまして、島村高彦議員のご質問に対する答弁を終わります。