平成30年1定・島村一般質問「協働と連携で創る豊島の未来」

平成30年2月20日登壇

公明党 島村高彦

私は公明党豊島区議団を代表して、「協働と連携で創る豊島の未来」と題し、第一に平成30年度予算について、第二に地域共生のまちづくりについて、第三にひきこもり対策について、第四に住宅確保要配慮者対策と今後の住宅施策について、第五に防災対策について、最後に児童遊園の活用について一般質問を行います。

最初に平成30年度予算についてお尋ねします。平成30年度は課税人口の伸びにより、過去最高の区民税が見込めることとなり、共働きと子育てしやすい街、ナンバー1に指名されるなど高野区長のこれまでの様々な対策が大きく功を奏したものと実感するものです。そうした中で、今後気にかかることは、他の議員からも指摘があるように投資的経費の増による起債残高の増加であります。平成26年と平成27年の第1回定例会一般質問で2年連続、今後の起債残高のピークについてお尋ねしたところ、2回とも300億円台に抑えていきたいとの答弁でありました。しかしながら、予算の概要を見ますとすでに平成31年度の起債残高は433億円とあり、32年度は438億円になっております。これまでの計画変更の内容についてお聞かせいただくとともに、改めて今後の起債残高のピーク時の額をお示しください。また、合わせて、今後、歳入環境が何らかの事情で悪化した場合でも財政運営上の懸念はないのかについてもお答えください。次に、今回、投資的経費の高まりに合わせて従来の財政規律に加え、新たにオルタナティブルールなるものを作成いたしましたが、この中に公債費比率を10%以下に抑えるとあります。標準財政規模を同じとした場合、単純計算で比率10%における起債残高は約659億円となります。今後、ここまで起債残高が高まる予定があるのか。もし、そうでないなら10%の目標値は高すぎであり、適切な財政規律となるよう、もっと低めに設定すべきと考えますが、いかかでしょうか。また、的確な財政運営が将来にわたって継続されるよう、今回定めた3つの目標値を将来も遵守すべき明確な規律としていくべきと考えますが、ご見解をお聞かせください。次に、予算内示会でも大きな議論となった不合理な税制改正への対抗策です。まず、こうした東京狙い撃ちの国の施策について区民がどこまで認識しているかが問題であります。すでに東京都においてもパンフを作成し、「地方交付税によってすでに税収の格差は調整済みなのに、国がいかに不合理に都民の税金を奪っている」かをアピールしておりますが、本区においても区民に実情を認識していただくよう最大の周知に取組むべきと考えますが、いかかでしょうか。また、これまでも区長会等において抗議を重ねてきたことは承知しておりますが、今後、この不合理な税源偏在是正措置を改めさせるため、区長会と東京都が完全に団結し、徹底抗戦すべきと考えます。そしてそのリーダーシップを発揮できるのは、並み居る区長の中でもひときわ光彩を放つ高野区長以外にいないと確信するものです。区長のご決意をお聞かせください。

第二番目に地域共生のまちづくりですが、全ての年齢層の人たちの課題解決に向けて、問題が深刻化する前の段階で手を打つべきであると訴えてまいりました。本区では現状、様々な困りごとに対応すべく、数多くの相談窓口を設置しております。自ら適切な相談先に向かえる人、あるいは、他の人の困りごとに気づき、解決しようとする人にとっては、とりあえずは、十分な体制を整備しております。しかしながら、これだけ相談窓口を用意しても、「どこに相談すればいいのかわからない」区民は未だ多く存在しているのであります。高齢者に関わる相談事は「高齢者総合相談センター」にとアピールを重ねていますが、介護認定非該当者の場合、5割弱の方がその存在を知らないという区民意識・意向調査の結果が示すとおりなのです。また、相談窓口の存在を知っても自身の課題について対応してくれない、できないと感ずる人やそもそも自身に発生している問題に気がついていない人など、いずれも放置すれば深刻化し、周辺にも多大な悪影響を及ぼすことになります。そこで、こうした問題に気づき、連絡あるいは相談してくださる身近な第三者の存在が求められてくるのであります。しかし、この第三者は当事者ではないため、共助の意識が高い人以外は通常では機能しません。すなわち困っている人に気づき、何とかしてあげたいと思っても、多忙のためにできない。また、時間はあるが関わりを持ちたくない。さらには、そもそも自分には何の関係もないと決め込んでいる人も地域にはおります。このような人たちがわざわざ区役所の代表番号を調べて連絡することはないのであります。児童虐待には通報義務はありますが罰則はなく、たとえ子どもの命が失われても「気がつきませんでした」で終るのです。しかしながら、こうした第三者こそ、これからの地域共生社会創造のネックとしていかねばならない考えるものです。本区が長年取組む「見守りと支え合いネットワーク事業」は登録世帯数、協力員数の双方が、高齢者人口の増加と反比例して年々減少していることは何度も指摘してきました。また、身近な地域で不安や悩みを抱えた人たちに気づきや声かけなどの活動を行う「地域福祉サポーター」も重要な取組みであり、さらに推進すべきではありますが、元々共助意識のある人たちであり、応募後の活動についても多くの負担を負わせるわけにもいかないことから、その効果は限定的なものとなります。将来的には、人口減少・高齢社会の中で、やがては、財源的にも行政の担う力量は減少していきます。したがってCSWや民生委員、地域福祉サポーターなど限られた専門家や意識のある人に加えて、さらに広く、浅く、軽く機能する地域の人的資源を少しでも多く育成し、地域の見守り力を向上させることが必要不可欠ではないでしょうか。その第一歩として相談先に迷う当事者や第三者が問題の種別を考えずに、何の負担もなく、いつでも、どこでも気軽に通報・連絡・相談でき、なおかつ周知しやすい窓口・連絡先をアピールすることがこれまでの要望でありました。しかし、この訴えは見事に却下されました。その上であえてお尋ねしますが、もし、これまでのご見解と違うものがあれば、お示しください。

次に訴えが却下されても、地域の見守り力は育てていかねばならないことから、別の手法について、お尋ねします。文教大学と埼玉県草加市が共同で開発した「福祉SOSゲーム」は、カードに書かれた福祉に関する多彩な相談をどの機関に連絡すればいいかを少人数のグループ単位で考え、議論するものです。地域包括ケアシステムは、認知症の高齢者を地域で支えるまちづくりを提唱しておりますが、実際に認知症の高齢者やその家族に助力を求められたとき、即座に適切な行動が取れる人は数少ないといわれます。そこで今回は認知症をテーマに、福祉の現場に身を置く民生委員のグループに参加者となってもらい、「親が認知症で、夜遅くに徘徊するようになり、近所でたびたびトラブルを起こす」というカードを提示しました。すると、福祉の専門家たちの回答は一様ではなく、人それぞれ違う意見でありました。終了後、感想を聞かれた民生委員たちは、「自分が手がけたことのない相談事例だと、どこにつなげばいいのか、正直わからない」とのことです。結果、ゲーム開発を主導した同大学の准教授の結論は「様々な相談先が市民にひと目でわかる資料が必要」というものでありました。もちろん、個別の案内資料やパンフが草加市にないわけはないのでありますが、福祉の専門家ですら、的確な対応が困難な中、あらゆる年齢層の様々な課題解決のための相談先について、一般市民が見ればすぐわかるという資料は希少なものでありましょう。専門的な見地から作成した現存の行政の資料は、とかくわかりづらいものであることから、福祉に何の関係も関心もない一般住民の視点から、「連絡先がすぐわかる案内パンフ」を作成し、あまねく配布してはいかがでしょうか。ご見解をお聞かせください。

次に、東京大学は練馬区内の介護事業所と共同し、コンビニの経営者や店員に認知症の高齢者にどう対応すべきかを考えてもらうカードゲームを開発しました。店員に渡されたカードの内容は「認知症の兄が今から、弁当を買いに行くので、対応よろしくと電話で依頼される。その後間もなく、それらしき人が来店したが、見かけでは該当者かどうか確信が持てない。その人が新聞をレジに持ってきた。あなたはその人に、お弁当を買わなくていいか確かめますか?」というものです。実際にこの店員は、これまでも認知症と思われる客が同じものを何回も買う場面に直面しており、相手のプライドもあるので「さっきも買いましたよ」とは言えないという中、このカードの内容は極めて対応が難しいと頭を抱え、他の参加者も一応に同様の反応でありました。しかしながら、この悩む、考えるということが、見守り力育成の第一歩であると考えます。全国5万店以上あるコンビニから、300m以内に高齢者の約4割が居住している中、地元の高齢者と日常的に接しているコンビニの見守り力を育てるのがゲーム開発のきっかけでありました。本区の高齢者はさらにコンビニの至近距離に居住しているわけでありますが、一枚のカードが投げかけたものは、日頃、福祉を念頭には置いていないであろうコンビニの店員にとって、意図せず、新たな地域共生の参画の糸口となったと考えます。こうした簡単なクイズ方式でも見守り力を育成することが可能であることから、本区としても事業者や町会等、様々な団体に呼び掛け実施すべきと考えますが、いかがでしょうか。

第三番目にひきこもり対策です。ひきこもりが社会問題となって、長い年月が経過しております。国や自治体の具体的な対策の遅れもあり、最近ではひきこもったままの子が40歳代、50歳代となり親は高齢化して80歳代となり、長期間支援につながらないまま孤立し、困窮していく、いわゆる「8050問題」については早急な対策が求められていると考えます。厚生労働省の調査では、社会的参加を回避し、原則的に6カ月以上にわたって家庭内にとどまり続けている状態と定義した場合は、それが約26万世帯に上ると推計し、用のあるときだけ外出して、就労はしていない、広義のひきこもり者を含めると69万6千人にも上るという内閣府の調査もあります。また、ひきこもりの長期化、高年齢化が深刻となる中、内閣府では平成30年度、40歳から59歳を対象にした初の実態調査を行うことが決定しております。本区としても今後、区内の実態を掌握するため、全ての年齢層のひきこもり実態調査を行うべきと考えますが、方針をお聞かせください。

厚生労働省では平成21年より、各地域にひきこもりに特化した専門的な第1次相談窓口としての機能を有する「ひきこもり地域支援センター」を設置し、専門職である、ひきこもり支援コーディネーターによる自立支援の取組みやひきこもりサポーターの派遣による早期発見や継続的な支援を行ってきました。また、平成27年度からは生活困窮者自立支援法の施行により、各自治体の自立相談支援機関、本区ではくらし・しごと相談支援センターがひきこもり地域支援センターと協力・連携してひきこもりの状態にある本人・家族の支援に当たることとなりました。これは自立相談支援事業では生活困窮者を包括的に受け止めることとしており、相談者の中にはひきこもりの問題を抱える人も含まれることから取組むべき事項となったものです。そこで、これまでのひきこもり者に対する自立支援の取組みと実績について、また、ひきこもり地域支援センターとの連携状況等、具体的な事例も含め、お聞かせください。

次に本区では30年度新規事業として「子ども若者総合相談事業」を開始します。しかしながら、その対象者は39歳までの若者であります。早い時期に適切な支援を行い、問題が重篤化する前に手を打つのは全くそのとおりですが、40歳以上のひきこもり対策はどうされるのか。自立相談支援事業のみで対応するのか、それとも何らかの連携・対策を図っていくのか、お聞かせください。

また、子ども若者支援ワーカー2名がアウトリーチにより相談に出向けない対象者を適切な公的支援につなぐとのことですが、その具体的な取り組み内容についてもお示しください。

次に今後の具体的な対策についてお尋ねします。早くからひきこもり対策に取組んでいる秋田県藤里町では平成23年に独自にひきこもり実態調査を行いました。結果、15歳から55歳の町民、1,293人のうち、8.74%もの113人が長期不就労でひきこもっていることが判明し、その内の半数以上が40歳以上でありました。さっそく社会福祉協議会の担当者は彼らのカウンセリングから開始しようと、訪問を重ねるが、会うことすらできず、ならば、外に連れ出そうと卓球やカラオケ大会を企画したものの参加者はありません。完全に行き詰ったときに、自分の職場である社協の採用試験にひきこもりの若者が突然、現れました。その面談で気づかされたことは、ひきこもり者の多くは働く場を求めているのではないかということです。そこで、元からあった失業者のための支援事業であるヘルパーなどの研修案内チラシをひきこもっている全ての家に投函した結果、ひきこもっていた人たちが、次々に姿を見せたのです。次に町の協力を得て、ひきこもり者を対象にした「こみっと」と呼ばれる福祉の拠点を開設、そこに手打ちそばとうどんのお店を開き、低賃金で職を提供、本格的に働くまでの、中間就労支援施設を開設したのであります。また、高齢化が進んでいる同町の高齢者たちも参加し、共同作業を行う中で、外出が困難な高齢者のための買い物代行サービスも新たに開始。さらには、商店街も支援の輪に加わり、店主からそれぞれの仕事についての講義を受けることとなります。こうした粘り強い取組みと地域の力を結集した結果、113人のひきこもり者の内、50人が家を出て、そのうち36人が就労を果たしております。

また、埼玉県所沢市では看護士、作業療法士、精神保健福祉士、精神科医でチームを編成、共同でサポートにあたり、これまで20人以上を支援につなげております。8年間、統合失調症でひきこもっている男性の場合、最初に看護士が訪問するも、医療関係者に対する不信感が強く面会拒絶。次に精神福祉士がやっとドア越しに会話をする中で少しずつ心を開き始めたところ、すかさず作業療法士が具体的なアドバイスを行うと言った具合に専門家同士が同じ目的で重層的に連携し、成果を上げております。現役世代の不就労者・ひきこもりの増加は、家庭の負担となるだけでなく、地域の活性化にとっても著しい妨げとなります。かたく心を閉ざし、生きづらさを抱えているひきこもりの人たちへの今後の具体的な対策についてお示しください

第四番目に住宅確保要配慮者対策と今後の住宅施策についてのお尋ねです。空き室が増える中で、住まいの確保に困難をきたしている人が増加している状況は一刻も早く解消しなければならない重要課題のひとつと考えます。昨年の改正住宅セーフティネット法の施行に伴い、国は要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録数を2020年度末時点で全国17万5千戸とする目標値を掲げております。昨年第3回定例会のわが会派の高橋議員の一般質問の答弁では、「豊島区の供給促進計画は、東京都が今後策定予定の計画に基づいて策定したいと考えて」いるとのことですが、23区の中で最も多くの民間賃貸住宅の空き室を抱えている本区としては、すみやかに登録目標値ぐらいは定めるべきと考えますが、いかかでしょうか。次に低所得者の入居負担軽減のための支援措置である家賃低廉化対策として国は2分の1を補助することは決定しておりますが、東京都も30年度新規事業で4分の1、上限月1万円を補助することを決定いたしました。当然これを受けて、本区としても残り4分の1の補助を行い、「高齢者世帯等住み替え家賃助成事業」を上回る支援策を打ち出すべきと考えます。国の方針が定かでないともお聞きはしておりますが、今後の方針についてお聞かせください。

次に今回の法改正による住宅確保要配慮者対策の様々な支援が「登録」を要件としていることについて、お尋ねいたします。たとえば、登録にあたり、耐震化やバリアフリー化に向けた改修費補助がありますが、昨年3月の「空家等発生メカニズム分析調査業務」によれば賃貸住宅を改修して経営を続けるとの回答は2割に留まり、古い建物も古いとは思わず、逆に愛着があってリフォームに応じないオーナーが多いとの調査結果が出ております。また、本区では平成24年7月より居住支援協議会を設立し、空家バンクへの登録を推進してきましたが、物件情報マップの高齢者向けをクリックしても「只今情報はありません」と表示されます。こうした実態の中、いくら登録を後押ししても、また、改修費を助成しても、発生する自己負担分を負担し、なおかつ800円の登録手数料を支払って、東京都に登録手続きをする賃貸オーナーがどれほどいるであろうかという疑問も生じますが、このことをどのようにお考えになっているか、お聞かせください。

また、同時に今後、登録が思うように進まないことも考慮して、登録にこだわらない住宅確保要配慮者対策が求められるのではないでしょうか。今現在も高齢を理由に入居を拒まれている人は数多くいるのであります。したがって、京都市のように入居契約と同時に、社会福祉法人による入居者への見守りサービスをオーナーに提示するか、もしくは契約前に不動産業者から連絡を受けた福祉関係者がオーナーに説明し、理解を得る取組みを開始すべきと考えます。また、京都市では年4回高齢期住まいの相談会を不動産業者、行政、福祉関係者が同時に参加して開催しておりますが、本区においては、高齢を理由に入居を拒んでいる賃貸オーナーのもとにこの3者が同時に訪問して、オーナーの不安を払拭する活動に取り組むべきと考えます。このことに関するご見解と今後の取組み方針についてお聞かせください。

次に要配慮者の入居を促進するために必要なことは、賃貸オーナーの理解に加え、地域の不動産業者の方々の協力であることは論を待ちません。本区では高齢者や障がい者、ひとり親家庭等の入居に協力してくださる不動産店を指定しております。その内、高齢者協力不動産店は宅建協会所属の不動産店で45店、全日本不動産協会ではわずか2店であります。区内全ての不動産賃貸業者の数からすればごく少数であり、高齢社会の中で、要配慮者入居促進のために、もっと多くの不動産店に協力を仰ぐべきと考えますが、ご見解をお聞かせください。また、この高齢者協力不動産店についての、入居希望高齢者における認知度ですが、現状、区の住宅相談を受けない限り、その存在すら知ることが難しい状況にあることから、入居希望者にあらかじめ周知させる取組みも必要だと考えますが、ご見解をお示しください。また、保証人がいない方のための家賃等債務保証制度、身元保証制度の利用については、これが円滑に機能していないと考えられ、未だ私どものところに「保証人がいないので貸してもらえない」との声が届きます。保証料の助成は別としても、全ての不動産店ですみやかに利用できる体制を整えるべきと考えますが、いかかでしょうか。同様に、高齢等の理由で独力では住まい探しが困難な方も増加していくことから、現状、賃貸保証機構が行っている同行サービスも入居希望者に周知し、全ての不動産店の窓口で利用できるようにすることが求められますが、ご見解をお聞かせください。

次に今後の住宅施策について伺います。これは首都圏全体に言えることですが、本区においても人口増加、区民税増収の大きな要因となっている大規模集合住宅の建築が増加しており、一方で老朽化して管理が困難となっていく分譲マンションも増加傾向にあります。今後、こうした分譲マンションの所有者の相続人が途絶えてしまったり、あるいは、うまく相続できなければ、これが管理者不在の空き家となります。本区の人口構成は年々ファミリー世帯が減少し、単独世帯が増加している傾向であり、現状ではファミリー世帯を増加させる必要性もありますが、一方で本区の人口ビジョンでは2025年を人口増加のひとつのピークとしており、いずれにしても本区の人口減少もやがて避けることはできません。そしてさらなる遠い将来、これからも建築される大規模高層マンションは、そのとき、どのように管理されているのか、これが新たな空き家となることはないのか。今後こうした集合住宅の建設を抑制する施策は不要なのかお聞かせください。入居開始時には応募が殺到したあの高島平団地も今は高齢化が進み、空き室も目立ってきております。その高島平地区の40年前と今も人気のお台場、すなわち臨海副都心地区の現在の人口構成がほぼ完全に合致しているというデータもあります。現段階でこうしたことを見据えた住宅施策やまちづくり、あるいは都市計画について検討する必要はないのか本区のお考えをお示しください。

第五番目に防災対策です。本区においては未だ避難所で長期生活を強いられるような災害は発生しておりませんが、今後、想定しうる全ての備えが必要なことは言うまでもありません。現状、避難生活に必要な飲料水・食料・生活必需品等は計画的に備蓄しており、災害の規模にもよりますが公的支援としては当面十分な対応が図られていると感ずるものです。その中で最も重要な飲料水については備蓄や給水体制整備に加えて飲料メーカーとの「災害時における飲料水等の供給に関する協定」も締結しております。しかしながら、過去の大災害後の避難生活の多くで必要とされたのが「お湯」であります。炊き出しや調理の時以外のちょっとした生活の中で必要となり、手に入れにくかったのがお湯だとのことです。たとえば避難生活のストレスから母乳が出なくなり、配布された粉ミルクを与えたくとも溶かすお湯がなく、支援物資のカップラーメンを食べるにも、お湯を手に入れるのに苦労した事例があります。特に冬場の避難生活では暖かいスープや飲み物が健康を維持するにも必需品となります。そこで過去の多くの避難生活で効果が検証されているのが「災害対応型紙カップ式自販機」であります。2015年、鬼怒川決壊による1か月に及んだ避難生活では延べ8,000杯が無料提供され、熊本地震では災害協定先の医療機関において一日最大500杯が無料提供、多くの関係者から喜ばれました。発災時、スイッチひとつで通常の販売機から災害用に切り替えられ、無料でお湯が提供されます。販売機の画面には紙カップで授乳する方法も表示され、使い捨てであることから衛生面にも優れ、なにより容器の洗浄が不要であり、生活利便性も高まります。むろん電源確保は必要ですが、これまで多くは電気が開通後の避難生活であり、本庁舎のように非常用電源が配備されている場所であれば、発災後すぐにでも稼働可能です。平常時は通常のコーヒー販売機でもあり、現状、災害協定を締結した自治体の避難所や災害医療センター等で全国340台以上が設置されております。本区においても主要救援センター等を中心に「災害対応型紙カップ式自販機」の設置を検討すべく、災害協定を締結すべきと考えますが、ご見解をお示しください。

次に火災や地震等による生活再建のうち、家屋の復旧の課題についてお尋ねです。私は昨年8月末と先月、2回にわたって新潟県糸魚川火災の視察を行わせていただきました。行政側の問題ではないことから、全く課題にも上がってはいなかったものの、実際に多くの被災者が自身の加入していた火災保険の内容を知らず、被災家屋の再建が困難になっているとの報道を耳にしました。1998年に損害保険料率の自由化が行われる前と後では、火災保険の内容に大きな違いがあり、自由化前は建物が古くなるほど保険金が減少する「時価契約」となり、それ以降は同等の住宅を建て直すのに必要な金額が補償される「再調達価額契約」となります。すなわち糸魚川では多くの人が契約中の火災保険を20年以上にわたって見直すことをせず、保険金が少額のため、家を再建することができないケースが多いとのことです。本区においても築20年以上の家屋を所有する人たちがこのことを承知しているか気にかかるところですが、将来の被害も想定し、保険料の問題等もありますが、各種加入保険の契約内容の確認や見直しを呼びかけることも広い意味での防災対策と考えますが、今後の対応をお聞かせください。

最後に児童遊園の活用についてお尋ねします。本区は主要公園については4つの公園にみられるようにパークPFI等の先進的な手法で活用に取り組んでおり、中型公園についても保育園増設の影響もあり、利用度が高まっている状況です。しかしながら、区内60か所を超える児童遊園については、場所にもよりますが、全体的に樹木や構造物が鬱蒼とした中、いつ利用されているのかわからない金網で囲われた砂場やさびれた遊具がたたずんでいる状態であります。すなわち利用率が極めて低く、維持管理費だけが失われていく状況であることから、これまでたびたび、事例も上げながら有効活用を訴えてまいりましたが、ここ最近、トイレがきれいになった他は、実に長年にわたってそのままの状態であることをどのように認識されているのか、まずはお聞かせください。

次に子どもの遊び場という観点から見たとき、必ずしも現状設置されている遊具である必要性はなく、利用されないのであれば別の整備も検討すべきと考えます。大切なのは、子どものけがなどに対する管理者責任や遊具等の製造物責任だけに意識が置かれ、子どもの遊び環境を過度に制約してはならないということです。子どもは、様々な遊びを通して自主性を伸ばし、危険を回避する知恵を身につけて成長していくのであり、遊び場における「安全」や「危険」に対する認識をもう一度見直し、今後、子どもたちの意見も集約しながら、彼らにとって魅力的な遊び場を整備すべきと考えます。ご見解をお聞かせください。

次に高齢者の介護予防につながる健康遊具設置については、十数年前、わが会派から提案した時には利用者のけがを恐れての、例の管理者責任により、実現しなかったものの現状、3つの児童遊園に設置されているとのことです。前回、わが会派のふま議員の一般質問の答弁では「気軽に、楽しく健康づくりを行っていただけるよう、公園改修などの機会を捉えてさらに整備を進めて」いくとのことですが、身近にある児童遊園に利用しやすい状態で設置してこそ、利用度が高まると考えます。安全で効果的な利用方法を掲示するなどして、さらに設置を推進すべきと考えますが、いかかでしょうか。

次に平成27年の予算委員会では地域住民の自主管理により、公園を農園として利用する事例も取り上げましたが、「畑だと土ぼこりの問題がある」とか、また、そこでは現に農作物を販売して、活動資金や公園の維持管理経費等に充当していることも紹介しましたが、「公平性の担保にも問題がある」とのことでした。しかし、利用されずに放置されたままの状態であるより、わずかでも収益を生み出し、しかもそれが地域コミュニティの向上につながるのであれば、きわめて有効な取組みであると考えますが、改めてご見解をお聞かせください。

本区では新たに「小規模公園活用プロジェクト」を開始するとのことですが、今後は、地域住民とともに、全国の取組みも参考にしながら、児童遊園の効果的な活用方法を追及していくべきと考えます。今後の取組み方針についてお示しください。

以上で私の一般質問を終わります。ご静聴ありがとうございました。

平成30年第1回定例会(第2号 2月20日)高野之夫等答弁

○区長 高野之夫 ただいまの島村高彦議員の御質問に対しまして、お答えを申し上げます。

平成30年度予算についての御質問のうち、まず、起債の計画変更の内容及び今後の起債残高のピーク時の額についての御質問にお答えをいたしたいと思います。

本区では、貯金と借金のバランスを考えた財政運営を行い、その残高は基金・起債ともに300億円台に抑えたいと説明をしてまいったわけであります。しかしながら、現時点における起債計画では、予算の概要でもお示ししたとおり、30年度の残高は300億円台、31年・32年度では400億円台となり、貯金と借金のバランスも失われております。しかしながら、借金もするが、貯金もするという財政運営をすることが大切ではないかと思っております。400億円台になってもよいとは申し上げられませんが、これまで申し上げてまいりましたように、チャンスには思い切って投資を行い、地域活性化の好循環を促すことも大変重要であるとは思っております。いずれにいたしましても、今後の事業の進捗状況や歳入状況等をにらみつつ、当該年度の予算編成時点では300億円台を維持し、バランスもとれるように努めてまいりたいと思います。そのためにも基金の積増しなどにも努め、さらに健全な財政運営を行ってまいりたいと思います。

次に、歳入環境が悪化した場合の財政運営上の懸念についての御質問にお答えをいたします。

歳入環境の悪化に対しましては、財政調整基金の活用により年度間の調整を図ってまいりました。しかしながら、急激な歳入環境の悪化により財源不足に陥った場合には、歳出を圧縮するということで、対応をせざるを得ないと考えております。過去の例から財政調整基金には、標準財政規模の2倍程度残高が必要であると申し上げてまいりましたが、今回の予算編成時における新たな財政規律のルール、もう一つのルールという意味でオルタナティブルールを掲げさせていただきました。標準財政規模に見合う身の丈の歳出構造を維持し、収入環境の悪化に耐え得る財政を保ち続けていく覚悟でございます。

次に、公債費比率の目標値の設定についての御質問にお答えをいたします。

30年度当初予算上の公債費比率は4.7%であり、特段問題がある数字ではございませんけれど、新たなルールの上限である10%の半分以下の水準となっております。

バブル期以降、本区の財政が相当に厳しかったときには、その公債費比率は9%から10%で推移をしてまいりました。また、公債費比率が大きく10%を下回ったのは、26年度以降、ここ5年ほどのことでございますことから、公債費比率を予算編成時において10%以下の目標とすることは、現時点の本区の状況に応じた健全な水準であると考えております。

次に、今回定めました3つの目標値、いわゆる一つには身の丈の運営、二つ目には財政調整基金の残高、三つ目には公債費比率、この3つの目標を将来も遵守すべき明確な規律にすることについての御質問にお答えをいたします。

今回、予算編成時の新たな財政規律を設けましたが、持続可能な財政運営を堅持するため、今申し上げた3つの目標について将来も予算編成時の規律として遵守をしてまいりたいと思います。

次に、不合理な税制改正に関し、区民の皆さんに実情を認識していただくための本区の取組みについて、不合理な税源偏在是正措置を改めさせるための私の決意についての御質問にあわせてお答えをいたしたいと思います。

この不合理な措置に対しましては、以前からホームページなど、強く主張をしてきたところでございますが、今後は紙面を工夫して、手にとって理解していただけるようなわかりやすい冊子などを作成し、区民の皆さんに国の不合理な措置について理解いただけるよう説明をしてまいりたいと思います。

また、先週、2月16日に特別区長会ではこの不合理な税制改正について、断固反対することを表すため、税源偏在是正措置に対する特別区緊急共同声明を発表いたしまして、区長会として緊急に行動を起こしていくことを確認をいたしました。共同声明の内容は、特別区が大都市特有の膨大な行政需要を抱えていること、地域間の税収格差の是正は地方交付税で調整すべきで、東京都を狙い撃ちした、自治体間に不要な対立を生むような制度は認められないことでございます。

区は、首都直下型地震への備え、超高齢化への対応、子育て支援策や社会インフラ老朽化対策などの行政需要を抱えておりまして、また、東京オリンピック・パラリンピックの開催を控えて、取り組むべき喫緊の課題が山積をしているわけでございまして、決して財源に余裕があるわけではございません。今後も断固として、反対の姿勢をとってまいりますが、この件については毎回、区長会で大変な議論をしているわけでございまして、これらの取りまとめ等は役員区長から、さらには税財政部会でこれについて徹底的に分析をするとともに、強い姿勢で臨んでいこうというような、区長会としての確認をいただいたわけでありまして、私も税財政部会の副座長というような形でおりますので、いろいろな形の中で発言の機会もたくさんございますので、これらについては、本当に言うべきことはしっかりと言っていくように努力をしてまいりたいと思います。

次に、最後の質問になります児童遊園の活用についての御質問のうち、まず、児童遊園が長年にわたり利用率が極めて低い状態であることについての御質問にお答えをいたします。

区内には児童遊園が66カ所ございます。日本一の高密都市の中で新たに公園を整備していくことが難しく、公園を補完する目的もございまして、昭和40年代から50年代にかけて多くの児童遊園を整備してまいりました。しかしながら、児童数の減少や施設、遊具の老朽化等により、近年では児童のみならず、一般の区民の皆様にもあまり利用されていない実態があることは十分に認識をしております。このため、区といたしましては、児童遊園のみならず、公園も含めて、これまでの概念にとらわれず、新たなあり方を区民の皆さんに提案したいと考えております。

まずは一番要望が多い、公園、児童遊園のトイレ改修に取り組むことといたし、区内133カ所の公園等のトイレのうち、建替え、改修が必要となる85カ所について、今年度から3カ年で改修することといたしております。また、トイレを改修するだけではなくて、トイレアート・プロジェクトと称し、地域の若手デザイナーを起用して、これまでの公園トイレの概念を変える、鮮やかな明るいデザインのトイレとし、女性や子どもさんにも安心して利用していただけるようにしてまいりたいと思います。

小規模な公園や児童遊園は、地域のコミュニティの場であり、特に近年では保育園の園庭として、その役割は引き続き重要であると認識をしております。当初の設置目的にはこだわらず、高密都市の中でいわば区民の皆さんの庭として活用されるよう、地域の実情を踏まえ、柔軟な発想で豊島区ならではの小規模公園・児童遊園の活用方策を検討してまいりたいと思います。

次に、子どもたちの意見を集約した、遊具も含め、魅力的な遊び場の整備についての御質問にお答えをいたします。

公園や児童遊園を管理する上では、定められた基準に従って、常に安全な施設であることが前提でございます。その上で子どもたちの声が絶えない公園や児童遊園となるよう、魅力的な施設整備を検討してまいりたいと思います。

次に、利用しやすい状態で健康器具設置の推進についての御質問にお答えをいたします。

健康器具は現在、18の公園と3つの児童遊園に設置しており、地域の方々が気軽に健康づくりに利用をしております。今後は児童遊園の中にも健康器具を増やすことについて、地域の方々の御意見をお聴きしながら柔軟に対応してまいりたいと考えております。

次に、地域住民の自主管理により公園や児童遊園を農園として利用する取組みについての御質問にお答えをいたします。

御提案いただきました公園における農園利用は、地域コミュニティの醸成につながります。また、施設の有効利用としての意義もある取組みであるとは思います。しかしながら、豊島区の1人当たりの公園面積は23区で一番少なく、このことは、大変貴重なものとなっているわけであります。そのため、公園の一部を農園とすることについては、管理上のルール等を決めた上で、地域ごとの理解はもとより、公園に近接してお住まいの方々の御理解も不可欠であるわけであります。今後、個別の事案に応じて、関係する方々と御相談をさせていただきながら、検討を進めてまいりたいと思います。

豊島区は本当に日本一高密都市であり、空き地も畑もないというような区でございます。そういう中で、つい最近の事例でありますけど、これは公園ではございませんけど、区民ひろばの一部を使って畑部会という形で地域の方々、大変楽しんで、まさに農園、ひろば農園といいますか、本当に小さな面積でありますけど、そのような楽しみ方をしていたわけでありますけど、この件について近隣の方から強い、やはりクレームがございまして、今トラブル中でありまして、担当は現在、大変な苦労をしております。なかなか、誰でも農園あるいは土いじりというのは非常に望むものであるけど、当区がこのような状況の中では、改めて、確かに農園等々はつくりたい思いもございますけど、本当にいろいろやはり近隣とのトラブルを十分に考えていかなきゃいけないなと。これはもちろん公園ではありませんけど、区民ひろばの一部でございますが、こういうような豊島区の現状ではないかと思っております。

次に、地域住民との児童遊園の効果的な活用方法を追求する、今後の取組みの方針についての御質問にお答えをいたします。

今年度より実施をしております公園・児童遊園のトイレ改修は、トイレの改修だけが目的ではございません。御指摘のとおり、利用率が低下している小規模公園や児童遊園を再生し、有効に活用することを最終的な目標としております。日本一の、先ほど申し上げた高密都市であるわけでありますけど、豊島区ならではの公園・児童遊園の活用方策を模索する中でトイレアート・プロジェクトの実施あるいは公園の全面禁煙化等に取り組むこととしたわけでございます。こうした取組みは共働き子育てしやすい街、また住みたい・住み続けたい街といった各種ランキングで評価されることを通して、持続発展都市につながっていくものと確信をしております。そのため、30年度の新規事業として小規模公園活用プロジェクトをスタートさせます。現在の施設の利用状況を調査した上で、地域の実情や区民の皆さんのニーズに合った新たな活用方法を検討してまいりたいと思います。

なお、池袋駅周辺では、4つの公園を国際アート・カルチャー都市実現のための拠点として整備をし、公園からまちを大きく変える取組みを進めております。

小規模な公園や児童遊園はこれら4つの公園とは規模や役割が異なりますが、地域の拠点として、今後の豊島区のまちづくりにとっては大変重要な役割を担っていくものと考えます。区民1人当たりの公園面積が東京23区で最も小さい豊島区でありますが、23区で、いや、全国で最も新しい公園活用を促進し、公園からまちを変える取組みを豊島区全域に広げていきたいと考えております。

そのためにも、これまでの概念にとらわれず、柔軟な発想を持って、それぞれの施設の新たなポテンシャルを引き出していきたいと考えております。

私からの答弁は以上でございますが、そのほかの質問につきましては両副区長並びに危機管理監から答弁申し上げます。

○副区長(水島正彦) 地域共生のまちづくりについての御質問のうち、まず、広く浅く軽く機能する地域の人的資源を育成し、地域の見守り力を向上させることについての御質問にお答えいたします。

本区ではこれまでも、より幅広い区民の皆様に協力をいただく見守り力の向上が必要であると考え、認知症サポーターや介護予防サポーター等の新たな担い手の養成を進めるとともに、地域住民の自発的な支え合い活動等を支援し、現時点で120カ所もの区民主体の地域支え合い活動場所も生まれてきております。現在策定中の地域保健福祉計画においても、重点的取組みとして、民間企業や大学、大規模集合住宅等に働きかけて、支え合い活動の裾野をさらに広げることや、多様な手段による福祉教育を推進していくことなどを掲げております。また、CSWの配置を平成30年度からは段階的に12カ所まで増やすことにより、地域の草の根の支え合い活動をさらに活性化させたいと考えております。今後も積極的に新たな担い手を発掘・育成し、地域の見守り力の強化に努めてまいります。

次に、気軽に連絡でき、周知しやすい窓口をアピールすることを却下した、これまでの区の見解との相違についての御質問にお答えをいたします。

国においては、地方での人口減等を見据え、1カ所の拠点で何でも対応できる体制の構築を目指しております。一方、人口増加が続いている本区では、国が提唱する1カ所で全てを完結させるような拠点の設置は決して効果的なものではないと考えております。そこで本区においては、従来の分野ごとの窓口の充実を図りつつも、さらに相談窓口間の連携を強化し、分野を問わず、どこかに相談すれば必要な支援先につながるような体制を構築しようと考えております。これについては、電話による相談も同じでありまして、区民の皆様にとって一番わかりやすい区役所の代表電話番号の周知を図りつつ、職員のさらなるスキルアップが必要となりますが、どこに電話が入っても必要な支援先につながるように努めてまいります。

次に、一般住民の視点からの連絡先がすぐわかる案内パンフレットを作成・配布することについての御質問にお答えいたします。

福祉の窓口は大変数が多く、広報課で発行しております豊島区案内図の裏面に掲載されております関係施設の窓口だけでも200カ所以上ありまして、それ以外にも区の関係各課の窓口や民間事業所の福祉窓口などがあり、その数が100カ所以上でございます。加えて、対象者によっては必要とする情報も異なることから、全ての窓口の情報を一つにまとめてしまうと、結果としてわかりにくくなってしまうのではないかと考えております。そこで、全てを一つにまとめるよりも、対象者別や状況別等のパンフレットをさらにわかりやすく、使いやすいものとなるよう努めていきたいと考えております。その上で、特によく使われる窓口等の情報をまとめたパンフレット等についても、有効性について検討してまいります。

次に、新たな手法を事業所や町会等の様々な団体に呼びかける、見守り力を育成することについての御質問にお答えいたします。

認知症の高齢者がますます増加すると予想されている中、このような方々にかかわると面倒なことになりそうだとか、サポートしたくてもどう接していいかわからないと考えている方がいることは事実であります。現在、本区が精力的に取り組んでおります認知症サポーター養成講座の中でも、ただの講義だけでなく、認知症と物忘れとの違いをクイズ形式で出題するなどの工夫をしておりますが、御質問にありますカード方式やゲーム方式も認知症に対する理解を深めていただくために効果的な取組みと考えられます。

さらに高齢者総合相談センターの中には、地域の民生委員や町会、事業者などが参加する地区懇談会の中で、飲食店等の店員向けに「高齢者への対応Q&A」を作成したところがございます。作成のきっかけは、飲食店等を対象に高齢者への対応に関するインタビューを実施したところ、接し方がわからないという声が多数あったからだと聞いております。Q&Aの中では、高齢者に対応する際には、優しく、ゆっくり、笑顔で接するよう心がけることがポイントとして記載されており、このQ&Aをセンターの職員が直接、飲食店等を訪問し、内容を説明した上で配付したということであります。その結果、認知症の方も含めて高齢者と接することに自信が持てるようになったなどの声があったそうであります。

しかし、これらの取組みは、まだまだ全ての高齢者総合相談センターやサポート講座の講師が実施しているわけではありません。こうした効果的な取組みが区内全域の高齢者総合相談センターで実施できるよう、今後も関係者による定期連絡会等で好事例を紹介し、同様の取組みの実施を促してまいります。

次に、ひきこもり対策についての御質問のうち、全ての年齢層のひきこもり実態調査の実施についての御質問にお答えいたします。

国においては、平成22年と平成27年に15歳以上39歳以下を対象に5,000人規模の抽出調査を行い、平成30年度には40歳以上59歳以下について調査を実施するとのことであります。国の平成22年調査によりますと、調査対象者のひきこもりの出現率は6カ月以上にわたって家から出ない等の狭い意味のひきこもりが0.61%、趣味の用事のときのみ外出する人を含めた広い意味のひきこもりが1.79%ということで、これを本区に当てはめますと、それぞれ675人、1,981人になると推計をいたしております。しかし、ひきこもりは出現率が低いため、正確に実態を把握するためには、ある程度の規模で独自の調査をしなければならず、さらに国よりも年齢の幅を広げて調査をする必要があり、少なくとも数千万円の調査経費が必要となります。

また、国は全体の傾向を把握して政策に反映することを役割としておりますが、基礎自治体である本区の場合には、個々の対象者に対して直接支援していくことが役割でありますので、このような国の抽出調査からは、全体の傾向はわかりましても、個々の実態まではなかなかつかむことができません。実態調査の必要性を否定するものではございませんが、国の調査で傾向そのものはつかめますので、本区独自の調査を行うことはせずに、アウトリーチ等によって把握したひきこもり者の支援にまずは力を入れていきたいと考えております。

次に、これまでのひきこもり者に対する自立支援の取組みと実績及びひきこもり地域支援センターとの連携状況等についての御質問にお答えいたします。

本区のくらし・しごと相談支援センターでは、平成28年度実績で29人のひきこもりをされている方々の支援を行っております。センターには家族等からの相談のほか、保健所やCSW、民生・児童委員、通信制や定時性の高校、また民間NPO法人、さらには都のひきこもり地域支援センターである東京都ひきこもりサポートネット等、大変多くの機関等から情報提供や連携依頼がございます。例えばCSWから情報提供のあった20代男性の事例では、家族の中で介護が必要な方がいるなど複合的な課題を抱えていたことから、関係機関と連携しつつ、家族丸ごとの支援を行ってまいりました。本人に対しては、支援者がサポートしながら、本人のペースで体験就労や地域参加などを行い、徐々に自信回復を図ることにより、最終的に就労につなぐことができました。本区では、CSWを地域の区民ひろばに配置し、地域の情報や早期に把握できる体制を整えたり、地域関係者との連携を推進してきておりますので、他自治体と比べて、自立支援の実績がかなり上がっているものと考えております。

次に、40歳以上のひきこもり対策についての御質問にお答えいたします。

平成30年7月より開始いたします子ども若者総合相談事業は、主な対象者を義務教育終了後から30代の方までとしておりますが、40歳以上の方のひきこもりに関する相談も寄せられることが想定されます。このような場合には、本業務を委託するNPO法人の専門員がコーディネートを行い、生活困窮者自立支援事業の専門員や関係課職員とともにカンファレンスを開催するなど、強力な連携の下で適切な援助方針を立て、支援を図ってまいります。また、東京都のひきこもり専門の相談窓口をこれまで以上に活用しながら、区民の皆様に寄り添った対応を図ってまいります。

次に、相談に出向けない対象者を公的機関につなぐ具体的な取組み内容についての御質問にお答えいたします。

子ども若者総合相談事業は窓口を設置し、子どもや若者が抱える様々な課題に対応してまいりますが、ひきこもりに対する相談については、家族や関係者の方が相談に見えるため、状況の事実確認や適切なタイミングを見極めた上で訪問し、本人と接触を図っていくことも必要になります。そのため、本事業では、窓口相談支援を行う専門員が自宅等に出向いてアウトリーチを行い、公的支援や社会とのつながりが持てるよう対応してまいります。もう一方で、相談に出向けない対象者としては、子どもが想定されます。そのため、地域に出向く行政の相談窓口として子ども若者支援ワーカーを2名配置をいたします。育成委員会など地域主催のイベントや子ども食堂などの場で直接に子どもや若者とかかわりながら状況を把握すること、また、ボランティアの方々からの相談を受け、様々な情報を得ることでアウトリーチ機能の充実を図るとともに、早期のかかわりによりまして、問題の重篤化を防いでまいります。

次に、固く心を閉ざし、生きづらさを抱えているひきこもりの方々への今後の具体的な対策についての御質問にお答えいたします。

様々な自治体で特色ある取組みを行っておりますが、本区におきましては、子ども若者総合相談事業の開始により、ひきこもり問題の対応強化につながるものと考えております。生活困窮者自立支援事業の実績と各専門員や保健師など関係職員による強力な連携の下で重層的な対応をすることができ、当事者の方々に適したアプローチが可能になります。また、就労に困難を抱えている方々に対する就労支援である就労準備事業が大きな成果を上げており、ひきこもりの方々に対しても十分に対応が可能であると考えております。いずれにいたしましても、ひきこもりの方に対する支援は専門性が必要であり、決して容易なことではありませんが、当事者と家族の方々をひきこもりの苦悩から解放できるよう、精いっぱい努力をしてまいる覚悟でございます。

私からの答弁は以上でございます。

〔宿本尚吾副区長登壇〕

○副区長(宿本尚吾) 住宅確保要配慮者対策と今後の住宅施策についての御質問のうち、まず、要配慮者の入居を拒まない賃貸住宅の登録目標値の速やかな設定についての御質問にお答えをいたします。

供給促進計画で定める登録住宅の供給の目標につきましては、地域の実情を丁寧に踏まえた上で慎重に設定する必要があると考えております。国の手引きにおきましても、既に実施をされている統計調査のほか、住宅確保要配慮者へのニーズ調査、空き家の実態調査、不動産事業者へのヒアリングなどを通じて作成することとされております。本区の登録住宅の供給の目標につきましては、今年度末に策定される東京都の供給促進計画を踏まえ、来年度から本格化する新たな住宅マスタープラン策定作業の中で丁寧に議論を尽くしてまいります。

次に、高齢者世帯等住み替え家賃助成事業を上回る支援策の今後の方針についての御質問にお答えをいたします。

東京都が平成30年度から家賃低廉化対策として、月額1万円を上限に4分の1補助を行うことが決定をしておりますので、区が月額1万円を負担すれば、都の補助1万円、国の補助2万円を活用して月額4万円の家賃低廉化が実施できるようになっております。現在、区で行っております高齢者世帯等住み替え家賃助成事業は、月額1万5,000円の助成となっておりますので、区の負担額だけで見ますれば財政負担は少なく実施できることとなります。しかしながら、一般論として家賃助成の水準につきましては、居住の実態や一般世帯における住居費負担とのバランスなどを考慮して、丁寧かつ慎重に議論をしていく必要があると考えます。したがいまして、高齢者世帯等住み替え家賃助成事業の金額の拡充につきましては、新たな住宅マスタープラン策定に向けた議論の中で家賃水準や後年度負担など公平性の観点のみならず、費用対効果の面からも総合的に検討してまいります。

次に、改修の自己負担分や登録手数料を負担してまで都に登録するかどうかについての御質問にお答えをいたします。

現時点での全国の登録状況は48件270戸、東京都においてはゼロ件と非常に低迷をしております。これは、御指摘のような改修費の自己負担や登録手数料の影響もあるものと思われます。また、登録するための面積基準が25平方メートル以上と定められていることも要件の一つと考えられます。東京都の供給促進計画(案)では、既存住宅の面積基準を着工年数に応じて15平方メートル以上にまで緩和する予定となっております。こうした緩和は登録件数が増える方向に作用するものと考えております。

次に、賃貸住宅のオーナーの不安を払拭し、理解を得る活動の取組みに関する見解と今後の方針についての御質問にお答えをいたします。

本区の居住支援協議会には、行政、不動産関係団体、社会福祉協議会などが参加しておりますが、相互に連携した活動をさらに発展・充実させていく必要があると認識をしております。御指摘のような不動産業者、行政、福祉関係者がオーナーに対して直接、理解を求める方法も含め、効果的なスキームを検討してまいります。なお、先日、空家活用条例の制定を機に、空き家活用の推進に向けて不動産団体、建築士や行政書士などの各種士業団体と協定を締結いたしました。空き家活用を行政の力だけで進めていくことは極めて難しく、これら関係団体と協力をしながら取り組んでいく必要があります。かねてより豊島区では、こうした関係団体との連携が積極的に行われておりますが、今後さらにこうした取組みに力を注いでまいります。

次に、要配慮者入居促進のための、より多くの不動産店への協力依頼についての御質問にお答えをいたします。

高齢者等入居支援事業協力店の名簿は、宅建協会豊島区支部と全日本不動産協会豊島文京支部とそれぞれ平成14年・平成16年に協定を締結し、選定された協会会員のリストを提供していただいております。それぞれの協会では、新規加入の会員に対し、名簿登載の意思を確認し、名簿の更新を行っていただいております。当初の名簿作成から随分と時間が経過していることもございますので、これを機にそれぞれの協会の御協力を得ながら、全ての会員に対しまして、改めて名簿登載を促してまいりたいと考えております。

次に、入居希望者への高齢者協力不動産店の周知についての御質問にお答えをいたします。

高齢者等入居支援事業協力店の名簿は、生活福祉課、西部生活福祉課、子育て支援課、豊島区民社会福祉協議会で共有をしているほか、現在は区のホームページでも公開をしております。しかしながら、高齢者の方々がその存在を知ることが困難な状況もあると考えますので、そもそも協力点数を増やす努力を行うとともに、広報としまによるお知らせなど御指摘を踏まえ、さらに周知に努めてまいります。

次に、家賃等債務保証制度及び身元保証制度を全ての不動産店で速やかに利用できる体制の整備についての御質問にお答えをいたします。

家賃等債務保証制度としては、高齢者住宅財団、東京都防災・建築まちづくりセンター、区が協定を締結した保証会社がそれぞれ行うもののほか、賃貸保証機構の同行サービスを利用した際の家賃債務保証制度があり、身元保証制度としては、東京都防災・建築まちづくりセンターが行っているものがございます。区では、これらの制度につきまして宅建協会及び全日本不動産協会を通じて不動産店へ周知をしているところでございます。これらの制度は、不動産店や物件自体に指定保証会社などがついていない場合であっても、全ての不動産店で利用できることとなっております。今後、こうした制度の内容をよりわかりやすくお示しするチラシを作成するなど、それぞれの協会の協力を得ながら、より一層の周知に努めてまいります。

次に、入居希望者へ賃貸保証機構の同行サービスを周知し、全ての不動産店の窓口で利用できるようにすることについての御質問にお答えをいたします。先ほどの高齢者等入居支援事業協力店の名簿と同様、広報としまによるお知らせなど御指摘を踏まえ、さらなる周知に努めてまいります。

次に、将来の大規模マンションの管理状況についての御質問にお答えをいたします。

将来の大規模高層マンションの管理につきましては、少子高齢・人口減少社会を迎え、区分所有者の高齢化や外部居住、空室問題など、既に生じているマンション問題がさらに顕在化していくことが見込まれます。こうしたマンション管理の新たな課題に対しては随時、標準管理規約が改正をされております。区といたしましては、こうした内容の周知を含め、マンションの適正管理に向けた支援を引き続き行ってまいります。

次に、高齢化や空き家の増加を見据えて大規模高層マンションの建設抑制を含めた住宅施策やまちづくり、都市計画の検討の必要性についての御質問にお答えをいたします。

一昨年に策定いたしました豊島区人口ビジョンでは、戦略的な子育て施策や定住施策を加味した場合の2060年に、豊島区が目指すべき将来人口を約30万人と設定をしております。人口減少社会において、高齢化によるまちのにぎわいや活力の低下を抑止するためには、新しい住民を呼び込み、まちの新陳代謝を活発化させることも重要であり、その意味でファミリー世帯を主なターゲットとしたマンションの供給は、豊島区にとってプラスになるものと考えております。また、豊島区のように交通利便性が高いエリアでは、ライフステージ、ライフスタイルなどに応じた職住近接、都心居住の需要もあるところでございます。人口減少や高齢社会に対応した住宅施策につきましては、現在作業中の住宅マスタープランの改定の中でも議論をされております。さらに、新たに大量の住宅が供給されることとなる大規模高層マンションなどの開発につきましては、規制や誘導のあり方も含め、区だけではなく、東京都、国も含めて幅広い視点で議論を行っていく必要があると考えております。いずれにいたしましても、住宅施策とあわせて子どもや女性にやさしいまちづくりなどの諸施策を総合的に進めることで、将来人口30万人を目指し、住み続けることができるまちづくりを展開してまいります。

私からの答弁は以上でございます。

〔今浦勇紀危機管理監登壇〕

○危機管理監(今浦勇紀) 防災対策についての御質問のうち、まず、災害対応型紙カップ式自販機設置のための災害協定の締結についての御質問にお答えいたします。

まず、御案内のとおり、災害時の備蓄物資として、食料や飲料水などの備蓄は現在、計画的に進めており、3日分の備蓄目標を達成するために、新たに建設を予定している備蓄倉庫の完成とともに、紙おむつ、粉ミルク、使捨ての哺乳瓶など、備蓄の質・量ともの充実を図ってまいります。御質問にございました災害時のお湯の供給については、御指摘のとおり、避難所での生活で乳児を抱えた被災者にとっては、大変切実な問題であると認識しております。

そこで区といたしましては、昨年、建設機器レンタル業者2社と災害時における資機材等の優先的提供に関する協定を結びました。この協定により大規模災害発災時には、トラックや建設重機はもとより、工事現場で日常使用される様々な物品の調達が可能になっており、避難所で生活を送る被災者が必要とする魔法瓶や電気ポットなどの機器を調達し、お湯などの特定の需要に対応していくこととしております。

御提案のありました自販機については災害時の利用の実例もあり、有用なものであると認識しておりますが、豊島区が救援センターに指定しているのは、主に区立小中学校であることも考慮し、設置の可否を判断すべきであると考えております。今後も区としてはレンタル機器の調達などにより、簡易に避難生活の様々なニーズに応えられる手段を追求してまいります。御提案をいただきました自販機の設置のための災害協定については、他自治体の例なども参考に、今後の研究課題とさせていただきます。

次に、防災対策における加入保険の契約内容の確認や見直しの呼びかけの今後の対応についての御質問にお答えいたします。

阪神・淡路大震災の教訓から、被災地の復興を円滑に進めるため、被災者生活再建支援制度による支援金など、被災者の生活再建を側面から支援する制度が整備されてきました。そうした中でも、公的支援のみでは十分な給付額ではなく、被災者の生活再建には限界があります。区としては、自助としての個人の保険加入は、被災後の生活再建という視点から大変重要であるとともに、公助とあわせ、被災地の円滑な復興に大いに寄与するものと考えております。今後、区の広報やホームページにおいても、自助の徹底とともに、保険加入や保険内容の見直し、確認などについて注意喚起を行うとともに、日本損害保険協会などの専門の相談窓口についてもあわせて紹介してまいります。

以上をもちまして、島村高彦議員の御質問に対する答弁を終わります。

○議長(木下 広) この際申し上げます。

議事の都合により、暫時休憩いたします。