H13年2定水間和子質問に対する区長答弁

○区長(高野之夫君) ただいまの水間和子議員のご質問に対しまして、順次お答えを申し上げます。

なお、教育委員会所管に属する事項につきましては、教育長から答弁を申し上げます。

初めに、文化芸術振興に対する展望と具体策についてのご質問にお答えをいたします。

第一点目の区独自の文化芸術振興プランの策定や支援策についてでございます。

区民の皆さんが身近なところですぐれた音楽・舞踊・美術作品など、芸術に触れ、親しむことができる街。みずから音楽を演奏したり、作品の創作など、文化活動を生き生きと楽しむことができる街。私は、このような心を豊かにする文化の薫り高い街豊島区を、区民の皆様とともに築き上げていきたいという、大変強い思いを持っております。

招集あいさつでも申し上げましたとおり、この間、余りにも厳しい財政状況に直面して、文化・芸術を楽しむ心のゆとりさえ失いがちだったのではないかと思っております。現在、芸術文化の振興を担当する組織も、地域文化課、教育委員会生涯学習課、コミュニティ振興公社に分散しており、ご提言をいただきましたこの機会に、芸術振興担当組織の再構築を図り、芸術文化活動を積極的に推進する体制に整備したいと考えております。

また、ご提案にございました区独自の文化芸術振興プランにつきましては、今後策定に向けて積極的に取り組んでいきたいと考えております。

第一番目の芸術文化に携わる団体・人材の育成についてでございますが、現在、教育委員会では、豊島区管弦楽団や豊島区吹奏楽団に対し、定期的な練習場所の提供や演奏会などへの助成を行っております。また、音楽や演劇活動を行うグループの練習の場として、社会教育施設を利用する際には、使用料の減額を行っております。

今後とも、区民の芸術活動の充実に向けて、学校の余裕教室を活用して練習場を確保するなど検討し、できる限りの支援育成に努めてまいります。

第二番目の芸術文化の発表の機会、場の提供についてでございます。それぞれの芸術文化活動を高めていくためには、日ごろの練習、研さんの成果を発表する場の確保が不可欠です。本区では、毎年区民芸術祭、文化祭などを実施しておりますが、こうした場をさらに充実してまいります。

また、東池袋四丁目再開発ビルに開設を予定しております交流施設には、区民がみずから演じ、みずから舞台づくりを行う、これまでにないタイプの施設として、まさに芸術・文化の創造・発信の新しい拠点を誕生させたいと考えております。

第三番目の学校や公共施設、福祉施設等における芸術文化公演の実施についてでございます。

現在、学校では地域講師を招聘した邦楽鑑賞講座などで芸術文化的な活動を行い、子供たちの豊かな心情や感性を育んでおります。また、山吹の里では月一回ボランティアによる演奏会が開催され、入所者を初め、区民の皆様に大変喜ばれております。身近な場所での公演会等の開催は、区民同士の新たな交流を生み、また文化芸術活動をより一層活発にさせ、大変有意義であると思っております。

したがいまして、本区の各施設では、通常の施設利用やスペースとの関係から必ずしも公演にふさわしい場所とは申せませんが、可能な限り実施できるよう努めてまいりたいと考えております。

次に、第二点目の街にいやしの音楽を流す要望に対します区の取り組みについてお答えをいたします。

本区では、昨年生活安全条例を制定し、区民の皆さん、関係機関の方々とともに、安全で安心な街づくりに向けて積極的に取り組んでいるところでございます。

私自身、絵をかいたり、音楽を聞いたり、数ある趣味の中でも特にクラシック音楽を聞くのが最大の楽しみでもありまして、一服の清涼剤ともなっております。

過日のご提案を受けまして、早速池袋駅周辺の商店街を初め、各鉄道会社に対しましても協力を依頼したところでございます。

また、警察署におきましても、アメリカカリフォルニア州バレーオ市の実験結果に大変興味を示され、この試みの検証をぜひしてみたいとのことでありました。

ご案内のように、区の考え方を快く受けていただいた池袋西口の商店街では、既にいやしの音楽が流れております。さらに、この試みを池袋だけではなく全区的にも広げて、文化薫り高い安らぎのある街になるよう、努めてまいりたいと考えております。

現在、池袋駅の東西では、区民の方々により実施されております環境浄化運動と相まって、これからの豊島区の街が犯罪のない、明るく住みやすい街となるよう、大いに期待するところでございます。

第三点目のロビーコンサートについてでございます。

このコンサートは、音楽を専門とする東京音楽大学の学生が、日ごろの練習の成果を発表する場として、また大学と地域の交流の場として重要な意義を有しております。

ご案内のように、庁舎は狭あいで十分なスペースが確保しにくく、窓口事務への影響も考慮されるため、開催回数は年間でも極めて限られたものになっております。したがいまして、ご提案のボランティアによるコンサートの開催につきましては、庁舎ばかりでなく、他施設での開催も含め、今後具体的な方法等を検討していきたいと考えております。

また、コンサートが開催されない日の昼休みを中心に音楽を流してはというご提案でございますが、先日、昼休みにクラシック音楽を流すこととし、六月二十九日から二週間の試行を実施しているところでございます。

今後は、その状況を十分見極めて対処してまいりたいと思っております。

次に、第四点目の豊島区制施行七十周年に当たり、豊島区愛唱歌を広く公募してはいかがかとのご提案にお答えをいたします。

お話にもございますように、明年、平成十四年十月に豊島区制が施行されてから七十周年を迎えることとなります。

私は、この節目の年を二十五万区民とともに、夢と希望に輝く豊島区を築く船出の年にしたいと考えております。

既にご案内のとおり、豊島区歌や豊島区民謡は、昭和三十六年九月、現在の区役所本庁舎の建設を記念して公募の歌詞によりつくられたものでございます。

七十周年に当たりまして、愛唱歌をつくり、長く歌い続けられるよう広く区民から公募しますことは、私も大変有意義であると考えておりますので、実現に向けて検討してまいります。

なお、ホームページの活用による公募や、区のオーケストラである豊島区管弦楽団による発表等、具体的なご提案をいただきましたが、これらの点も参考に検討し、区民の皆さんとともに知恵を出し合いながら、総意工夫あふれる七十周年記念事業としていきたいと考えております。

次に、当面する区政の諸課題についてのご質問にお答えいたします。

第一点目の中学や養護学校高等部へ通う障害を持つ子供たちが、放課後に気軽に通える場への区の取り組みについてでございます。

学校に通う障害を持つ子供たちの放課後対策といたしましては、現在児童館の学童クラブにおいて小学校六年生まで入会することができる制度がありますことは、ご案内のとおりでございます。

障害を持つ中学生以上の子供たちにつきましては、児童館内で安全に過ごしていただくために、保護者など、つき添いの方と一緒でのご利用をお願いしております。

しかしながら、中学生、高校生の障害を持つ子供たちと保護者のための気軽に利用できる居場所づくりを考えていくことは必要であると強く認識をしております。

したがいまして、早急に利用可能な場の確保に取り組み、成案を得るべく具体的な検討をしてまいりたいと思っております。

次に、第二点目の学校跡地への青少年のための大型センター設置の可能性についてのご質問でございます。

ご指摘のように、豊島区青少年問題協議会は、去る三月、「スローガン」から「システム」への青少年の参加・参画を推進するために、最重要課題として、青少年のための大型センターの設置と運営への参加・参画を第一に上げまして、答申をいただいたところでございます。

現在、児童館では地域対応、幼児対応、中学生・高校生対応と、特色ある運営を進めておりますが、中学生・高校生の利用しやすい施設としては、決して十分ではありません。

したがいまして、区内の青少年全体を視野に入れて考えますと、小中学校の統合後の跡地の利用も含め、一定規模の青少年センターの必要性は大変高いものと受けとめておりますので、児童館の適正配置の課題とともに、検討してまいりたいと思っております。

次に、第三点目の「リサイクル都市としま」についてのご質問にお答えいたします。

第一番目の千川中学校の廃食油回収についてでございます。

ご質問にもありますように、去る六月十九日、教育委員会、学校、そして回収業者の連携により、千川中学校の生徒の家庭を対象に、廃食油の回収を実施いたしました。

当日は、学校長、生徒会長等が校門前でペットボトルに詰めた廃食油を受け取り、回収箱におさめ、その日のうちに回収業者が、学校給食で使用した廃食油と合わせて回収をいたしました。

千川中学校の生徒数は三百三十三人で、集まったペットボトルは九十三本であり、約三割の生徒が廃食油を持参したことになります。

また、回収量も四十キログラム、一斗缶に換算いたしますと、三缶となり、第一回目としては大きな成果であると受けとめております。学校、生徒におきましても、こうした廃食油回収の取り組みが生徒一人ひとりのリサイクル環境への具体的な行動に結びつくと考えております。

今回の廃食油回収は、チラシの作成等、生徒が主体となった実践的な取り組みでありましたが、今後さらに地域の方々にも廃食油回収を呼びかけることも想定しており、新たな環境教育への可能性を期待しているところであります。

区といたしましては、千川中学校の実施状況を見つつ、教育委員会、学校とも連携を図り、実施拡大を検討してまいりたいと考えております。

次に、第二点目の清掃車のボディーを利用した啓発PRについてでございますが、現在ステッカーの大きさや、実施時期、標語等について、具体的な検討を進めております。

標語につきましては、公募等も考えられますが、今秋のリサイクルフェアにおいて、児童・生徒にリサイクル清掃の絵画・工作・標語を募集することとなっております。去る五月三十日のごみゼロデーのポスターも、児童の作品を活用したものであり、同様な対応を考えております。

実施時期は、十月のリサイクル月間にスタートする予定でございます。

また、清掃事業に従事する職員は、区民の皆様と日々接することから、職員が腕や胸にワッペンをつけたごみ減量等の啓発も有効な手段であると考え、清掃車を利用した啓発と同時期に合わせて実施したいと考えております。

第三番目のごみ出しマナーの普及についてでございます。

集合住宅の単身生活者等のごみ出し等のマナーの悪さは、アンケートでも指摘されているとともに、現在進めております新資源回収の説明会でも異口同音に出されております。

むろん、ご質問にありますように、一人ひとりが自覚して行動することが基本でありますが、それを待つだけではなく、具体的な対策を早急に実施すべきことが必要であると受けとめております。

そこで早速、区内、一千の不動産業者の方が参加しております東京都宅地建物取引協会豊島支部等と話し合いを行いまして、まちの現状、区民の皆様の声を伝えるとともに、区内の住宅の紹介に当たっては、ごみの分別などについて周知徹底を依頼したところでございます。

また、あわせまして区と協力して、新たにごみ・リサイクルだけではなく、ポイ捨て、放置自転車禁止などの呼びかけを盛り込んだPR紙の作成を行い、それに基づく啓発などを行うことを合意しております。

さらに、区内の大学に対しましても、マナーの普及を図るための協力要請を行い、チラシの配布、説明会の実施や新入生へのガイダンス等についても実施する方向で協議を進めているところでもございます。今後、区内の各種専修学校や日本語学校等に対しましても、同様な働きかけを行う考えでございます。

一方、行政みずからも清掃事務所の指導業務を強化いたしまして、より迅速・的確に個々の苦情などに対応してまいりたいと考えております。

いずれにいたしましても、区といたしましては、今後ともあらゆる機会をとらえ、ごみ出しのマナーの普及啓発に努めてまいりたいと思っております。

以上をもちまして、水間和子議員のご質問に対する私の答弁を終わらせていただきます。

〔教育長二ノ宮富枝君登壇〕

○教育長(二ノ宮富枝君) 教育委員会の所管事項に関するご質問に対しまして、私よりお答えいたします。

第一点目の教育基本法につきましてお答えいたします。

まず、教育基本法の理念の有用性についてでございますが、教育基本法が示した「世界の平和と人類の福祉に貢献」するという理想のもとに、「個人の尊厳」や「真理と平和を希求する人間の育成」などを目指した理念は、どのように時代が変わろうとも、不易の価値であると私は受けとめております。

その活用のありようにつきましては、制定されて半世紀、人格の完成を目指し、平和的な国家及び社会の形成者として、真理と正義を愛し、自主的精神に満ちた心身ともに健康な国民の育成を期すという、教育の本質的な目的を高らかに掲げてきたものと受けとめております。

また、現実と乖離する問題点についての認識でございますが、例えば青年たちの一部に、自己中心的で義務を十分に果たさない、生命の大切さへの理解が足りない、自主的精神が希薄などの実態が存在していると認識しております。

ご案内のとおり、今日教育界が抱えているいじめ、不登校、学級崩壊、受験加熱などの問題は、教育基本法を改めれば解決できるとは申せません。

したがいまして、戦後五十年余を経た今日、沸き起こっている再検討論議に十分耳を傾けるとともに、大いに論議を尽くすべきであると受けとめております。

この機会に、私はできるだけ多くの人が教育基本法について、教育について関心を持ち、改めて考える機会にしていただければ、大変有意義なことであると考えております。

さらに、豊島区としての最重要項目に対するご質問でございますが、本区におきましては、教育目標に「人間尊重の精神を基調に…、心身ともに健康で、広く国際社会において信頼と尊敬の得られる人間性豊かな区民」の育成を示してございます。

学校教育におきましても、一人ひとりの子供を大切にする教育を掲げまして、子供たちの人権を大切にすることによって、自他の尊重と思いやりや優しさを育み、豊かな人間性を育てる、生涯学習の基礎をつくっていく考えでございます。

このことは、教育基本法に掲げられた理念を具現化するものであると考えております。

第二点目の完全学校週五日制につきまして、お答えいたします。

ご質問のメリット・デメリットと教育立国豊島区への反映につきましては、そのメリットとして、まず時間的・空間的なゆとりが生まれることでございます。

このゆとりを生かして、生活体験、社会体験、自然体験など、今日都市に暮らす子供たちに不足しがちな体験の機会をつくり出すことができます。

これらの体験を私は、「参・勤・交・体」と例えて申しているのですが、「参」は参加する、「勤」は家の手伝いをしたり、ボランティア活動をしたりする、「交」はさまざまな人と交流する、「体」はいろいろなことを体験する、すなわち「参・勤・交・体」でございます。

こうした体験は、子供たちの心を豊かにし、たくましさを育て、これからの生き方を大きく動機づけるものと考えております。

デメリットとしては、休みが学習塾に通う時間に充てられるのではないか。あるいは、休みになっても親の仕事の関係から、子供と一緒に過ごす時間が持てないなど、保護者の悩みを必ずしもぬぐえないことや、時間を有効に活用できない子供たちも生ずるということがございます。

したがいまして、週五日制の意義等について、子供たちや保護者に十分理解を得ることが重要でございます。子供たちが、生まれた時間的ゆとりを活用して、みずから学ぶ意欲を持てるよう、楽しく交流できる活動の機会や場を設定したり、ボランティア活動の場を提供したりするなど、具体的な環境を整えていかなければならないと考えております。

次に、ゆとり教育に関するご質問でございますが、ご指摘のとおり、ゆとり教育の意義、内容につきまして、保護者に十分理解されていないために、学力が低下するのではないかなど、さまざまな誤解や不安などが生じている実態がございます。

ゆとりの中で生きる力をどのように育てていくのかという、教育改革の理念や内容を保護者に十分理解していただくことが大変重要であると受けとめております。

各教科内容を厳選することは、基礎・基本の確実な習得のゆとりをもたらします。じっくり取り組み、繰り返し学習するゆとり、応用問題にチャレンジし、総合力を発揮するゆとりをも生み出すことにつながります。

二十一世紀を生きる子供たちに最も大切な力は、学ぶ意欲に裏づけられた問題解決能力であり、基礎・基本と応用力を総合的に発揮する、創造性豊かな生きる力であります。

したがいまして、教育委員会といたしましては、今年度より再刊される「教育委員会だより豊島」、教育委員会のホームページ、あるいは「広報としま」などを通して、これからの教育の方向性について、わかりやすく伝え、説明してまいります。

学校に対しましても、保護者や地域に向けて、学校便りや保護者会、学校運営連絡協議会などを通して理解を図るよう積極的に働きかけてまいります。

第三点目の、本区における五日制実施プランの取り組みの実態と、その成果についてお答えいたします。

本区におきましては、実施プランとして特別にはまとめておりませんが、これまで公園、児童遊園の整備や学校の校庭開放、児童館での居場所づくりなどを進めてまいりました。

また、地域の育成団体等でも、数多くの行事などが年間を通して実施されております。

したがいまして、子供たちが自由に参加し、活動できる受け皿はかなり用意されていると考えております。

今後、中学校における部活動のあり方につきましても、現在策定中のスポーツ振興計画の中でその対応を検討しているところでございます。

また、「子どもの施策調整会議」では、全区的に施策のあり方等を検討しており、学校週五日制の実施に向けての対応は着々と進んでいるところでございます。

以上をもちまして、水間和子議員のご質問に対する私の答弁を終わります。

○十一番(水間和子君) ご丁寧な前向きなご答弁ありがとうございました。

一点だけ確認も含めてお伺いさせていただきたいと思いますが、放課後の障害を持つ子供たちの過ごし方の中で、私、縦割り行政上、青少年課、子育て支援課、障害者福祉課、保健所などがそれぞれ関係性を持って運営しているその体制を精査され、プロジェクトチームとして立ち上げて検討されていかれたらいかがなものかというご提案をさせていただいたのですが、その点につきまして再度確認も含めまして、区長の方からご答弁をもう一度いただければありがたいと思います。

○区長(高野之夫君) 現在、「子ども調整会議」というようなプロジェクトチームを持っておりますけれども、ただいまもご提案いただきました縦割り行政を少しでもというようなご提案でもございますので、それを十分踏まえながら、そういう形をより充実させていく、そんな思いでございますので、よろしくお願いいたします。